fbpx

COLUMN

コラム

【ストックオプションとは?】制度の仕組みやメリット・種類について解説

こんにちは、SOICO株式会社の土岐です!

信託型や有償のストックオプションについては記事を書いていましたが、「そもそもストックオプションって何?」「信託型とか有償とかの前にもっと基本的なことを教えて欲しい」というお問い合わせも多くいただきました。

そこで今回は、ストックオプションの仕組みやメリット、種類について網羅的に解説していきたいと思います。

この記事を読めば、ストックオプション全般を最短・最速で理解していただけるかな、と思います。

どうぞ最後までお付き合いください!

ストックオプションとは

ストックオプションとは権利のこと

そもそも「ストックオプション」とは、あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利のことです。

インセンティブ制度としてのストックオプションとは、まず役員や従業員(=付与対象者・引受者)に対して、あらかじめ決められた価格(=行使価額)で株式を取得できる権利を付与します。役員や従業員は、権利行使すると会社の株式を行使価額で取得できます。その後、将来株価が上昇した時点で株式を売却すると、行使価額と株価との差がキャピタルゲインとして得られるという仕組みです。後述の ”ストックオプション制度の仕組み” で詳しく説明します。

ストックオプションは株式報酬なので、多くの企業のインセンティブ制度として採用されていて、毎年600社前後が発行しています

ストックオプションは新株予約権の一種

ストックオプションはよく「新株予約権」と呼ばれていますが、厳密には両者には違いがあります。

新株予約権とは、会社が発行する株式をあらかじめ決められた価格で取得できる権利のことです。こう聞くと、ストックオプションと同じように聞こえますが、ストックオプションは社内向けに発行した新株予約権ということになります。新株予約権は単独での発行が認められているため、一般の投資家が取得することもできます

従業員持株会との違い

ストックオプションとよく混同されがちなのが、「従業員持株会」です。

従業員持株会とは、毎月給与の一部を持株会に預け、持株会が集めた資金で自社株を購入する制度です

ストックオプションは、株を買うことができる「権利」なので実際に買う必要はありませんが、従業員持株会では実際に株を購入するため、株価が下がっている時に株を売却すると損をすることになります

(従業員持株会については、信託を活用したスキームも出てきているので、今後別記事で解説します!)

ストックオプション制度の仕組み

ストックオプション制度において重要なのは、”発行・付与””行使”の2つのステップと、インセンティブ制度の根幹であるキャピタルゲインがどう生まれるのかです。

発行・付与と行使については、下図のような流れ・やりとりになっています。それぞれ見ていきましょう。

ストックオプションの発行・付与について

発行の際、①ストックオプション1個分の価値(=公正価値)を算定し、有償の場合は②発行価額も算定します。

下図のように、まずは今の株価などから将来の株価を予測することで、ストックオプションの公正価値を算定します。発行価額の算定は、公正価値に対して行使に係る条件を付与することで、実際に払い込む価格を引き下げる、という方法で行います。

また、ストックオプションの付与に関しては、発行のタイミングで割当先の役職員、及び割当比率を決めます

ただし、信託型ストックオプションの場合のみは、対象者と割当数を後から決めることができるスキームとなっているため、この点の自由度は高くなっています。

ストックオプションの行使について

行使に関しては、行使価額を支払い、ストックオプションの権利を行使し、株式を取得するという流れになっています。

ここで、「行使価額」とは、ストックオプションの権利を行使する時に支払う価格のことです。

行使価額は、基本的に今の株価とします。ただし、1年以内に株の取引がない場合は、DCF・マルチプル・純資産法などで計算したものを使います。

DCFは、会社が将来生み出すと期待されるキャッシュ・フローを現在価値に割り引くことで株価算定を行う手法です。複雑な計算が多く、DCFは専門機関に依頼することが一般的です。

マルチプルは、対象企業に類似した企業をいくつか挙げ、その企業の数値(EBITDA、PERなど)から株価を算定する方法です。

純資産法は、純資産額を発行株数で割ったものを株価とする方法です。

キャピタルゲインの仕組み

冒頭の ”ストックオプションとは” では、キャピタルゲインについて文章で述べましたが、それではどうしても理解が難しい部分があると思いますので、どの部分がキャピタルゲインなのか図解したいと思います。

上図をみてもらうと、株価が100円の時にストックオプションを発行しているので、行使価額が100円となっています。

上場やM&Aなどで権利を行使するタイミングになったとき株価が200円になっていたとすると、行使価額の100円を払って200円の株を買うことになります。こう聞くとキャピタルゲインが100円のように思えますが、権利行使時点ではまだ株を保有している状態なので、報酬は生まれません。つまり、”ストックオプションを株に変えた”だけなので、株を売らなくてはキャピタルゲインが得られないのです。

図の例では、上場後株価が上がり、売却時点では株価が300円となっているので、この時点で売ればキャピタルゲインは200円ということになります。

このように、行使と売却ではタイミングがずれるということに注意が必要です。

ストックオプションのメリット4つ

ストックオプションは、採用、支払い、資金調達など、あらゆる面でメリットがあり、ベンチャー経営において非常に重要な資本政策となっています。それぞれのメリットについて細かく説明します。

①優秀な人材の採用のための活用

ストックオプションは、将来的な株価の上がり幅によっては大きなキャピタルゲインとなるので、優秀な人材にも魅力的なインセンティブ制度としてアピールできます。

さらに入社後も、ストックオプションの行使が可能になる時点より前に辞めた場合は報酬がもらえないので、優秀な人材の流出を防ぐこともできます

②従業員のモチベーションアップ

ストックオプションは、自社の株価が上がるほど、つまり業績がアップするほどキャピタルゲインが大きくなります。

そのため、役員や従業員は「会社の業績をあげる」という一つの目標に向かうため、モチベーションを高めることができます。

③外部人材との長期的な付き合いが可能

外部の顧問・アドバイザーに対してストックオプションを付与することで、権利行使まで長期的な付き合いが可能となります。また、上記メリットの2つ目と同様の理由で、外部人材の当事者意識を高め、モチベーション向上にも繋がります。

さらに、ストックオプションで報酬を支払うことで、キャッシュアウトを防ぐことができるというメリットもあります

④株式の持分の回復ができる

株式の持分比率が下がっている経営陣にストックオプションを付与して、早めに行使することで、持分を回復してから上場に臨むという活用法もあります。

ストックオプションのデメリット4つ

①株価が行使価格を下回った場合、従業員の士気低下に繋がる

株価が行使価格を下回った場合、つまり、ストックオプションの権利を行使してもキャピタルゲインが得られない状況になった場合は、インセンティブ制度として機能しないため、従業員の士気が低下してしまう可能性があります。

この状況は、自社の努力とは関係なく起こる可能性も十分にありうるので、将来への見通しが重要です。

②付与基準が不明瞭な場合、従業員に不公平感が発生する

付与基準が不明瞭なままストックオプションを運用していくと、付与対象者以外の従業員が不公平感を感じたり、士気を無くしてしまうことに繋がる可能性があります。

また、このことをきっかけに、従業員間の関係性が悪化する危険性もあるので、運用には十分な注意が必要です。

③報酬を得た人材が流出する

ストックオプションの権利を行使してキャピタルゲインを得た場合、ストックオプションに魅力を感じていた従業員にとっては、その会社で働き続ける理由が減ってしまいます。

今の会社より良い条件の会社があった場合には転職する従業員が出てくる可能性もあります。

④既存の株式に希薄化が生じる

上場後にストックオプションを大量に付与してしまうと、会社に入ってくるお金が無い状態で株式の発行数が増加することになり、既存株主が保有している株式の価値が低下してしまいます。

ストックオプションの活用に向いている企業

インセンティブ制度としてのストックオプションは、発行時に比べた行使時の会社の業績が上がっているほど、ストックオプションの魅力は大きくなります。よって、将来的に業績が上がる可能性を秘めている、IPOを目指しているベンチャー企業に向いているインセンティブ制度だと言えます。

ただし、ストックオプションの活用方法としては、インセンティブ制度以外にも、退職金としての活用や持分回復のための発行などがあります。このような活用方法では、ベンチャー企業に限らず、上場企業でもストックオプションを導入している例は多いです。

ストックオプションの種類

ストックオプション(SO)は下図の通りに分類できます。

それぞれの特徴を解説してきます!

(A)無償税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションは、付与される際にお金がかからない無償ストックオプションの中で、付与対象者や行使期間などに関する厳しい適格要件を満たすことで、権利行使時の給与課税を免れるという税制優遇措置を受けたものです。

(B)無償税制非適格ストックオプション

税制非適格ストックオプションは、無償ストックオプションの中で、(A)のような要件は無い代わりに、権利行使時の給与課税が課されてしまいます

(A)・(B)の無償ストックオプションに関して詳しく知りたい方は、別記事「【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やメリット・デメリットを解説!」をご覧ください!

(C)株式報酬型ストックオプション(1円ストックオプション)

株式報酬型ストックオプションとは、行使価格を1円といった低価格に設定した、(B)無償税制非適格ストックオプションの活用型のことです。その特徴から、「1円ストックオプション」と呼ばれています。

権利行使時に、その時点の株価とほぼ同等のキャピタルゲインを得ることができます

退職金として使われるケースが多く、その場合、通常の無償税制非適格SOと異なり、給与課税(最大55%)でなく退職金課税(約25%)である点、権利行使時に金銭負担がほとんど生じない点、などがメリットとなっています。

(株式報酬型ストックオプションについては、今後別記事で解説します!)

(D)有償ストックオプション

(A)~(C)の無償ストックオプションと異なり、付与される際にお金がかかるのが有償ストックオプションです。

有償ストックオプションの仕組みは、まず会社が発行したストックオプションを役員・従業員が発行価額を支払うことで購入します。そして、ストックオプションの保有者となった役員・従業員が行使価額を支払い、権利行使することで株式を取得することができる、となっています。

有価証券として取り扱われるため、無償税制非適格に比べて課税回数が少ないなど、いくつかのメリットがあります

詳しくは別記事「【有償ストックオプションとは?】発行/行使価額算定の仕組みやメリット/デメリットを徹底解説!」をご覧ください!

(E)信託型ストックオプション

(D)有償ストックオプションの新しい活用方法として、信託を利用した「信託型ストックオプション」があります。

信託型ストックオプションとは、発行したストックオプションを信託に預け、信託満了まで保管します。そして、ストックオプションに交換できるポイントを役員・従業員に付与していき、信託満了時にポイント数に応じてストックオプションが割り振られる、というスキームのことです。

信託型ストックオプションは新しいスキームで、従来のストックオプションに比べ、一回の発行で済む、割当先を後から決められる、希薄化を防げる、など様々なメリットがあります

詳しくは別記事「【経営者向け】話題の「信託型ストックオプション」を徹底解説」をご覧ください!

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、ストックオプションについてその仕組みと活用方法をまとめてみました。

インセンティブ制度そのものは、ストックオプション以外にも様々(RS、RSU、PSなど)ありますので、今後ご紹介していきたいと思います。

この記事でストックオプションに興味を持っていただいた方は、詳細に研究・検討する上で、税務・法務・会計上もう一歩踏み込んだ疑問点や、活用方法、事例に関する質問も出てくることと思います。ご不明点やさらなるご質問、こういった内容をまとめてほしいなどのご要望がありましたら、以下からお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

お問い合わせはこちら

この記事を書いた人

SOICO株式会社  共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)

 

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。