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新株予約権原簿に記載する内容 | 原簿の役割や管理方法も詳しく解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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新株予約権を発行した会社は、会社法によって新株予約権原簿の作成をしなければなりません。新株予約権原簿とは、新株予約権者および発行された新株の内容を管理するための帳簿です。

新株予約権に関することは専門性が高く、内容をキャッチアップすることに会社経営や日頃の実務の時間を多く削ってしまうかもしれません。

新株予約権についてエッセンスをお伝えするために複数の記事に分けて、解説させていただきます。本記事では、新株予約権原簿の記載内容や管理方法、新株予約権原簿の役割について詳しく解説を行います。

新株予約権とは

新株予約権とは、権利を行使することによって、新株予約権を発行した株式会社の株式を受けることができる権利です。

新株予約権証券

会社は新株予約権のついた証券を発行することができ、これを新株予約権証券といいます。

新株予約権証券を持っている人は、新株予約権を行使し、一定の行使価格を払うことにより、会社に新株を発行させる、または会社自身が保有する株式を取得できます。

会社が新株予約権証券を発行するときは「会社は新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権証券を発行しなければならない」と会社法288条1項で定められていますが、新株予約権者からの請求があるまで、新株予約権証券を発行しないことができます

ここで、新株予約権証券には、記名式と無記名式の2種類があり、新株予約権者は、新株予約権の内容として相互転換ができないとされている場合以外は、いつでも記名式の新株予約権証券を無記名式に、無記名式を記名式とすることを請求できます。

新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、新株予約権が付与された社債のことをいいます。

新株予約権付社債は、一定の利息を毎期受け取ることができ(クーポン)償還日まで保有することで額面金額が払い戻されるという社債としての側面を持つ一方で、新株予約権を行使し株式に転換することで、株価の値上がり益を得るという株式としての側面も持ち合わせているものです。

​​したがって、新株予約権付社債には社債の記載事項に加えて、新株予約権の内容及び数の記載も行われます。

新株予約権原簿とは?

新株予約権原簿は、発行した新株の内容や新株予約権者を管理するための帳簿を言います。

株式発行後の株主名簿に相当するものであり、株式会社は新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権原簿を作成しなければならないことが会社法第249条に定められています。

新株予約権の譲渡

会社法第254条において、新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することができることが定められています。

ただし、新株予約権付社債については、新株予約権のみ又は社債のみを譲渡することはできません。社債もしくは新株予約権のみが先に消滅したときに限り、残りの一方の権利のみの譲渡は可能です。

証券が発行されていない新株予約権の譲渡

証券が発行されていない新株予約権を譲渡する場合は、その新株予約権を取得した者の氏名又は名称及び住所を新株予約権原簿に記載し、または記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができないことが会社法第257条1項に定めれれています。

※対抗する:自分の権利を他者に主張する

証券が発行されている新株予約権、新株予約権付社債の譲渡

証券が発行されている新株予約権と新株予約権付社債を譲渡する場合は、証券を交付しなければ譲渡の効力が生じないことが会社法第255条に定められています。

記名式の新株予約権証券の場合は新株予約権原簿の名義書換えが株式会社に対する対抗要件であり、(会社法第257条2項)、無記名式新株予約権証券の場合は、会社法第257条1項が適用されないため、証券の所持が会社その他の第三者に対する対抗要件になります。(会社法第257条3項)

※対抗要件:当事者の間における権利の変動などが成立した時に、第三者にこの権利を主張するための要件

新株予約権原簿の名義書換

新株予約権を当該新株予約権を発行した株式会社以外の人から取得した者は、会社に対して新株予約権原簿の名義書換を請求することができることが会社法第260条に定められています。

新株予約権を譲渡する場合は、新株予約権原簿の名義書換が会社その他の第三者に対する対抗要件であるため、新株予約権を譲渡された場合は、会社に対して新株予約権原簿の名義書換を請求し、名義書換を行う必要があります。

名義書換請求は、株式の譲渡の場合とほぼ同様に、取得者と現在の名義人又は相続人その他の一般承継人と共同で行わなければならず、譲渡制限付新株予約権の場合には会社の承認がある場合でなければ名義書換請求はできません。

新株予約権原簿の記載事項の書面での交付請求

新株予約権原簿へ記載されていることで新株予約権者としての権利を有している事になります。

そのため、新株予約権者は会社に対して新株予約権原簿に記載されている事を書面で交付するように請求することができるということが会社法第252条2項において定められています。

会社法第252条2項の条文は以下の通りです。

株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる

・ 新株予約権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧または謄写の請求

・ 新株予約権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧または謄写の請求

なお、会社は以下の場合を除いて、閲覧謄写請求を拒むことはできません

・ 当該請求を行う株主または債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

・ 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
・ 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき。
・請求者が新株予約権原簿の閲覧または謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
・請求者が、過去2年以内において、新株予約権原簿の閲覧または謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

そのため、これらの事由に該当しない場合は、株主及び債権者からの閲覧謄写請求に応じる必要があります。

「新株予約権原簿記載事項証明書」の交付により、自分が新株予約権者であることが確認できます。

新株予約権者に対する通知

株式会社が新株予約権者に対してする通知または催告については、新株予約権原簿に記載し、または記録した当該新株予約権者の住所にあてて発送すれば良いということが会社法第253条に定められています。

新株予約権が2人以上で共有して所有されている場合は、通知を受け取る人を1人決めて、決められた者に対して通知をすれば良いとされています。

新株予約権原簿の管理方法

新株予約権原簿の管理方法は、会社法第252条1項に定められており、以下の2通りの方法があります。

・企業の本店に保管する
・管理人や管理会社の営業所に保管する

新株予約権原簿は、原則は企業の本店に据え置くことで、開示請求があった際に速やかに対応できるようにしておく必要があります。また、株主名簿管理人を定めている場合には、管理人や管理会社の営業所に保管することができます。上場企業の場合は、管理人や管理会社の営業所に保管していることが一般的です。

新株予約権原簿の記載事項

新株予約権原簿への記載事項は新株予約権の区分に応じて異なります。

会社法第249条に規定されている「新株予約権原簿記載事項」について、

①無記名式の新株予約権証券が発行されている場合
②無記名式新株予約権付社債に付された新株予約権が発行されている場合
①・②以外の場合

①無記名式新株予約権が発行されている場合

無記名式新株予約権を発行した場合に新株予約権原簿に記載しなければならない事項は

・新株予約権証券の番号
・新株予約の内容と数

になります。

②無記名式新株予約権付社債に付された新株予約権が発行されている場合

無記名式新株予約権付社債に付された新株予約権を発行した場合に新株予約権原簿に記載しなければならない事項は、

・新株予約権社債券の番号
・新株予約の内容と数

になります。

①・②以外の場合

上記にあげた2つに該当しない新株予約権を発行した場合に新株予約権原簿に記載しなければならない事項は、

1.新株予約権者の氏名・名称、住所
2.新株予約権の内容と数
3.新株予約権を取得した日
4.証券発行新株予約権である場合は証券番号
5.証券発行新株予約権付社債に付されたものである場合は社債券の番号

になります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

本記事では、新株予約権原簿の記載内容や役割について解説をしました。

本記事が上場を目指しているスタートアップ・ベンチャー企業の経営者の方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。