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新株予約権付社債とは?会社と投資家双方のメリットと注意点を詳しく解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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外部から資金調達する方法として、新株の発行という手段が一般的ですが、「社債」という方法で外部から資金を借り入れる方法もあります。

社債であれば返済が必要になるものの、資本構成が変わらないので既存の株主の権利を害する心配もありません

より効率的に社債を発行して、投資家にメリットを持たせる方法が「新株予約権付社債」を発行する方法です。

新株予約権付社債なら、社債そのものの魅力に加えて新株発行の魅力があるので、投資家にとっては非常にメリットの大きな方法です。本記事では、新株予約権付社債の特徴やメリットと注意点を詳しく解説していきます。

新株予約権付社債とは

新株予約権付社債とは、新株に転換できる権利を持った社債として次のような特徴があります。

・株式に転換できる債券
・クーポンや転換価格が決められている
・債券としての魅力と株式としての魅力を享受できる

新株予約権付社債の3つの特徴について、まずは詳しく解説していきます。

株式に転換できる債券

新株予約権付社債とは、発行会社の株式を一定の条件で取得する権利がついた社債のことです。新株予約権とは、株式を一定の条件で取得する権利のことで、この権利がついた社債が新株予約権付社債です。

新株予約権が行使され、投資家が当該企業の株式を取得すると、株式相当額の社債については払い込みがなされた(投資家へ返済した)と見なされます。

クーポンや転換価格が決められている

新株予約権付社債はクーポンや転換価格があらかじめ決められています。

クーポンとは社債に対してあらかじめ定められた期日(利払期日)ごとに支払われる利息のことです。クーポンが5%であれば額面10,000円の社債に対して毎年500円の利息が支払われます。

転換価格とは、新株予約権が行使されて、社債と株式を交換する際の価格のことです。例えば「社債10,000円に付き1株と交換する」という価格があらかじめ設定されます。この場合、株価が10,000円を超えた時に新株予約権を行使すれば、投資家は確実に利益を出すことができます。

債券としての魅力と株式としての魅力を享受できる

投資家にとっては債券として毎年安定的にクーポンを受け取ることもできますし、株式へ転換してキャピタルゲインを享受することも可能です。

社債としての安定投資と、株式としての積極投資のいずれも選択できるので、投資家にとってはメリットがあります。

また、会社としても通常の社債よりも資金調達しやすいのが大きなメリットです。

債券としての2つの魅力

新株予約権付社債には債券として次の2つの魅力があります。

・株価が上昇すれば債券価格も上がる
・株価が下落しても利回りが得られる

新株予約権付社債は株式市場の様子を見ながら、債券の魅力を享受できるのは大きなメリットです。

新株予約権付社債の2つのメリットについて詳しく解説していきます。

株価が上昇すれば債券価格も上がる

新株予約権付社債は、発行した企業の株価が上昇すれば債券価格も上昇する傾向があります。

新株予約権付社債は、発行時に定められた価格で新株を取得できる権利がついた債券です。そのため、発行企業が成長して「株価がさらに上がるかもしれない」という期待感が市場に高まれば、多くの人が発行企業の株式を安く買いたい」と考えるので、新株予約権付社債の価格が上昇する可能性があります。

株価が上昇した場合には、新株予約権付社債を市場で高値で売却して利益を狙うことが可能です。

株価が下落しても利回りが得られる

もしも、発行企業の株価が下落しなかった場合には、債券としてそのまま保有を続けて満期償還を待てば損をするリスクは皆無です。毎年利息も受け取れるので、安定したインカムゲインも享受できます。

仮に、株価が下落しても債券として保有し続ければよいだけですので、損失のリスクなく株価上昇のチャンスを窺うことができるという点で新株予約権付社債は投資家にとって非常にメリットがあります。

新株予約権付社債の会社側のメリット

新株予約権付社債には発行する企業にとっても次の3つのメリットがあります。

・資金調達が容易にできる
・株式発行よりも手続きが容易
・新株予約権が行使されれば資金の流出がない

新株予約権付社債を発行する際の会社側の3つのメリットを詳しく解説していきます。

資金調達が容易にできる

新株予約権付社債は、投資家にとって通常の社債よりもメリットがあります。そのため成長が見込まれる企業であれば、募集に対して投資家が集まりやすいので資金調達が簡単です。

銀行などの外部の金融機関から借入を行うよりも容易に資金調達できるでしょう。

株式発行よりも手続きが容易

新株予約権付社債は、IPOなどの方法で新株を発行するよりも手続きが容易です。

新株発行によって上場すれば非常に多くの資金を株式市場から調達できますが、上場までには3年程度の時間と膨大な事務手続きと数千万円の費用が必要になります。

新株予約権付社債であれば、時間とコストをかけずに容易に資金調達が可能です。

「急いで高額な資金調達をしたい」というケースにおいても新株予約権付社債は有効です

新株予約権が行使されれば資金の流出がない

新株予約権付社債は新株予約権が行使されれば、新株の発行をもって償還することができます。そのため資金の流出がありません。

一般の社債は満期の際に現金で償還しなければならないので、期日に大きな資金が流出しますが、新株予約権付社債では、新株の発行で償還できるので、必ずしも資金の流出がないのがメリットです。

新株予約権付社債の投資家側のメリット

新株予約権付社債へ投資することは投資家側に次の2つのメリットがあります。

・株価が上昇したら株式へ転換できる
・株価が下落したら債券として安定運用ができる

株価が下落しても上昇しても投資家にとってはリスクなく利益を追えるという点で、新株予約権付社債には非常に大きなメリットがあります。

新株予約権付社債の投資家にとっての2つのメリットについて詳しく解説していきます。

株価が上昇したら株式へ転換できる

新株予約権付社債は株価が上昇したら株式へ転換し、確実に利益を出すことができます

社債発行時の新株予約権の行使価格を市場の株価が上回れば上回った分が確実に利益になります。

株式投資には「購入した株価が下落するかもしれない」というデメリットがありますが、新株予約権付社債では、行使価格を市場価格が上回っていれば確実に利益を出せるので、投資家とすれば非常にメリットがあります

株価が下落したら債券として安定運用ができる

新株予約権付社債は株価が下落時にもメリットがあります。

株価が上昇せず、新株予約権の行使価格を市場価格が上回らなかった場合には、新株予約権を行使しなければよいだけです。

通常の社債と同じように、満期まで保有すれば毎年クーポンを受け取り、満期には額面金額が100%償還されるので投資家にリスクはありません

新株予約権付社債は株価上昇のチャンスを狙いながら、債券としての安定運用ができるので、投資家としては一石二鳥のメリットがあります。

新株予約権付社債の注意点

新株予約権付社債を発行する際には、企業は次の2つの点に注意しなければなりません。

・満期には返済が必要
・専門性が高く会社単独で発行するのが難しい

必ずしも新株発行だけで償還が完了するわけでないので資金繰りに注意しなければなりませんし、一般の企業が独力で発行することも困難です。

新株予約権付社債を発行する際の2つの注意点について詳しく解説していきます。

満期には返済が必要

新株予約権付社債は社債ですので、投資家が新株予約権を行使しなかった場合には、返済が必要になります。

満期になると多額の返済金が必要になるので、場合によっては会社の資金繰りが厳しくなってしまう可能性があります

新株予約権が行使されれば資金の流出がないので、会社としては新株予約権の行使価格を市場の株価が上回るよう、会社を成長させていかなければなりません。

専門性が高く会社単独で発行するのが難しい

新株予約権付社債の発行は非常に専門性が高いため、会社が単独で発行するのは簡単ではありません

上場企業で新株予約権付社債を発行する、おおよその流れは次の通りです。

1.取締役会の決議
2.招集通知の発送
3.株主総会の開催
4.募集事項の通知
5.引受けの申込み
6.取締役会の決議
7.新株予約権付社債の割当て通知
8.社債の振込み
9.登記申請

クーポンをどのくらいにして、権利行使条件をどうするのかなど、詳細な条件や事務手続きをこれまで新株予約権付社債を発行したことがない会社が行うことは簡単ではありません。自社で気軽に発行できないのはデメリットです。

新株予約権付社債を発行したい場合には、証券会社やコンサルなどの専門業者へまずは相談しましょう。

まとめ

新株予約権付社債とは、新株を一定の条件で取得する権利である「新株予約権」がついた社債です。

新株予約権の行使価格を市場価格が上回った時に新株予約権を行使すれば投資家は確実に利益を出すことができ、株価が上昇しないのであれば社債として安定運用を継続できるので投資家には非常にメリットがあります。そのため企業にとっては資金調達しやすい方法です。

「この会社の株価は将来的に上昇するだろう」と判断されれば期待値で新株予約権付社債に資金が集まりやすくなります

簡易に資金を集めやすい方法ですので、投資家から資金調達する方法の1つとして新株予約権付社債を頭に入れておきましょう。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。