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【経営者必見】役員報酬は相場はいくら?資本金別・従業員数別・業種別に徹底解説!

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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役員報酬とは、取締役や監査役といった役員に対して支払う報酬を指し、業務執行の適切な監督及び監査により、コーポレートガバナンス向上を役割に持つ優秀な人財を確保することを目的としています。

そもそも役員報酬とは何か?など、基礎的な理解を深めたい方は先にこちらの記事を参照ください
【経営者必見!】役員報酬とは?どのくらいの額が適切?知っておくべき基礎的知識を徹底解説

この役員報酬は、一般に従業員に対して支払う給与とは異なり、一定のルールを厳守しなければ損金に計上することができないため、役員報酬を決める際は事前に理解しておくことが非常に重要です。

そこで今回は、「報酬額の相場はどの程度なのか?」というテーマで、解説いたしました!

役員報酬についてどのように決定するべきか迷っている方や昨今の新型コロナウイルスの影響で役員報酬の見直しを検討している方でも、記事を読み終わった後には役員報酬に関する基礎知識をご理解頂けます!

また、役員報酬の代替制度として用いられる、ストックオプションや株式報酬制度の概要についても理解を深めたい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますのでこちらをご覧ください。
【経営者必読】ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!
譲渡制限付株式とは!?株式報酬制度の仕組み・メリットを総まとめ!


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役員とは?

役員は、企業の業務執行や監督を行う幹部のことをいいます。会社法によって定められている役員は、取締役、会計参与、監査役を指します。また、役員等と言われる場合は執行役と会計監査人まで含みます。

取締役

取締役は、会社運営が執り行われるように意思決定、監督をします。取締役は株主総会の決議で選任され、この中から企業の業務に関する最終決定をする代表取締役を選任します。取締役の序列の中には他に、日常的な業務の管理・執行を行う常務取締役と企業の業務全体の管理・監督を行い代表取締役を補佐する専務取締役があります。

執行役

執行役は、取締役会の意思決定に従って、その企業の業務執行を担当します。執行役が複数人いるときは、代表執行役員を取締役会で選任します。厳密には、執行役は会社法上の役員ではありませんが、事業など特定の執行権限を有しています。

監査役

ま監査役は、取締役、会計参与の職務の執行について監査をします。監査役は業務監督と会計監査の権限があることから、企業経営の健全化やコーポレートガバナンス・コンプライアンスを担保する役割が期待されています。

会計参与

会計参与は、税理士・公認会計士が取締役等と共同して計算関係書類を作成することと、この計算関係書類を企業とは別に備えて、企業の株主の求めに応じて開示することを行います。

役員報酬の相場は?

まずは役員報酬の相場を見てみましょう。ここでは、資本金別・従業員数別・業界別の3つの観点から相場をご紹介していますので、是非参考にしてみてください。

役員報酬は高すぎる報酬額の設定をしていると、税務署から損金として認められないリスクがあります

そのため、税務署から否認されないよう、事前に役員報酬の相場を知っておくことが重要です。

資本金別:平均年間報酬

資本金が大きくなればなるほど、役員報酬も多くなる傾向が見られます

これは、「資本金が大きい=企業規模が大きい=利益額が大きい」、利益が多い分役員報酬として支払える金額も大きい、と考えられるためです。

資本金男女合計男性女性
2,000万円未満582万674万372万
2,000万円以上832万921万571万
5,000万円以上1,086万1,158万490万
1億円以上1,279万1,326万760万
10億円以上1,598万1,799万521万

参考:国税庁『民間給与実態統計調査結果』(令和元年)

資本金男女合計男性女性
2,000万円未満581万667万375万
2,000万円以上856万972万493万
5,000万円以上1,086万1,177万634万
1億円以上1,313万1,397万635万
10億円以上1,426万1,502万608万

参考:国税庁『民間給与実態統計調査結果』(令和2年)

資本金男女合計男性女性
2,000万円未満614万691万421万
2,000万円以上922万1,030万582万
5,000万円以上826万939万463万
1億円以上1,043万1,092万544万
10億円以上1,603万1,686万734万

参考:国税庁『民間給与実態統計調査結果』(令和3年)

従業員数別・役名別平均年間報酬

従業員数が増えるほど(企業規模が大きくなるほど)、役員報酬の額も増える傾向が見られます。

また、役職が上がるにつれ、役員報酬も多くなる傾向も見られました。役員の中でも、会長が最も役職が上なので、その分役員報酬も多く支払われています。

例えば、同じ役員でも(企業規模問わず)会長と常務では、2倍以上の報酬差があることが読み取れます。

役職全規模3,000人以上1,000人以上
3,000人未満
500人以上
1,000人未満
会長6,355万1億160万5,585万5,130万
副会長5,246万6,47 3万4,548万4,798万
社長4,622万7,37 3万4,554万3,963万
副社長3,924万5,450万3,460万2,856万
専務3,190万4,502万3,067万2,462万
常務2,461万3,396万2,382万2,127万

参考:人事院『民間企業における役員報酬(給与)調査』

従業員数別:社長の平均月間報酬

また、300人以下の企業の社長の月間役員報酬のデータを以下にまとめました。

上記同様、こちらも企業規模が大きくなればなるほど、比例して役員報酬の額も多くなります。

これからベンチャー・スタートアップを創業する起業家は参考にすると良いでしょう。

役員報酬20名以下21〜50名51〜100名191〜300名
平均額80万112万130万189万
最高額250万450万250万400万
中位額70万89万114万154万
最低額14万30万31万62万

参考:日本実業出版社「役員報酬・賞与・退職金」中小企業の支給相場【2021年版】』

業種別:平均月間報酬

最後に業種別の役員報酬ですが、「製造」「建設」「卸・小売」「サービス」の4つで比較しました。

結論、製造業の社長が最も平均月収(役員報酬)が高い結果となりました。

役員報酬製造業建設業卸・小売業サービス業
平均額132万86万120万114万
最高額400万167万360万330万
中位額116万88万100万90万
最低額23万14万31万25万

参考:日本実業出版社「役員報酬・賞与・退職金」中小企業の支給相場【2021年版】』

役員報酬を決める際には役員報酬の相場を知った上で、同業種・同規模他社と比べて乖離した金額にならないよう注意しましょう。

役員報酬額を決める際のポイント

役員報酬を決める際に注意すべきポイントについて解説します。年間の業績や社会保険との兼ね合いを考えた上で、報酬額を設計することがポイントとなりますので参考にして下さい。

なお、役員報酬の決定方法について詳細はこちらの記事を参照ください
【経営者必見!】役員報酬の決め方とは?手続きや注意点について徹底解説!

会社の年間収益との兼ね合い

役員報酬は、売上予測を元に売上総利益や固定費などから利益を算出した上で、役員報酬を決定します。そのため、役員報酬が自社の利益を圧迫しないよう慎重な判断が不可欠となります。

会社に利益を残したい場合は役員報酬は抑えるべきですが、ひとり社長など個人と企業との区別がなく報酬を増やしたい場合は、報酬額を高めに設定すると良いでしょう。

税金・社会保険料との兼ね合い

役員報酬を決定するにあたり、税金や社会保険料とのバランスも重要になってきます。

役員報酬は会社の利益から出ていますので、役員報酬が増えると会社の利益が減り、法人税や会社の健康保険料などが少なくなります。一方で、高い役員報酬を受け取った役員個人側は、負担する税金や社会保険料が高くなります。

そのため、役員報酬の総額と会社の支出金額などを比較して、最も支出を抑えられる金額を把握しておきましょう。

同業種・同規模の他社との兼ね合い

役員報酬を決定する際、同業種・同規模の他社と比較して、報酬額が高すぎない程度に設定することが必要です。

先述のとおりですが、役員報酬が同業種・同規模の他社と比べて高すぎる場合、税務署から損金への計上を否認されるリスクがあります。

反対に、低すぎる役員報酬は役員のモチベーションを削ぐ可能性がありますので、役員報酬を決定する際は、他社の役員報酬とのバランスを考慮すると良いでしょう。

損金算入が可能な3つの役員報酬

役員報酬の勘定科目は、販売費及び一般管理費に含まれる役員報酬で、計上時期は役員報酬を支給した時点となります。

法人税法上、損金算入可能な役員報酬は種類が決められており、一定の手続きを踏んで決定されたもののみ損金算入可能です。

役員賞与や条件から外れた役員報酬は、損金に算入できなくなってしまうため注意が必要です。

税務上、損金に算入可能な役員報酬には、
定期同額給与
事前確定届出給与
業績連動型給与
の3つがあります。下記で、詳しく解説していきますのでご確認ください。

1.定期同額給与

定期同額給与は、年度中は毎月同額が支払われる報酬のことを指します。この報酬においては、税務署への特別な届け出は不要で、毎月一定金額を支払うことを条件として損金参入が可能となります。

ただし注意点として、会社設立時には設立後3ヵ月以内に決めておかなければ、損金として算入できないことが挙げられます。また、新型コロナウイルスなどの影響を受けて会社の業績が悪化し、株主や取引先に多大な影響がある、などの特別な事情がない限り役員報酬の額を変更することができません。

​​2.事前確定届出給与

役員への賞与(ボーナス)は、原則損金として認められません。ただし、予め税務署に届出を出すことで、企業側は役員の賞与として支払い、損金として計上することができます。これが事前確定届出給与と呼ばれる報酬です。

事前確定届出給与を損金として算入するためには、
・届出書に記載した対象者
・支給金額
・支給日
の届出の記載通りに支給することが必要です。

届出を税務署に提出する期限は、
株主総会などの決議した日から1ヵ月以内
事業年度開始日から4ヵ月以内
のうち、いずれか早い日と定められています。

​​3.業績連動型給与

業績連動型給与(平成29年度の税制改正以前は利益連動給与)は、企業業績及び役員個人の評価を連動させて額を算出する役員報酬を指します。

業績連動型給与は、有価証券報告書に記載されている営業利益などの指標を元に算定されますが、同族会社では認められていません。非同族会社、もしくは同族会社の完全子会社となっている同族会社のみに認められた役員報酬です。

日本の中小企業のうち約9割は同族会社であるため、業績連動型給与を採用可能な企業は、ほんの一部の中小企業のみです。

業績連動型給与に関して、概要だけでなくメリットやデメリット、導入時の注意点などの理解を深めたい方は下記の記事を参考にしてください。
【上場企業必見】導入が急増する業績連動型賞与とは?メリットやデメリット、他の賞与との違いを解説!

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、役員報酬を決める際に予め知っておきたい役員報酬の相場や決める際のポイントついて幅広く解説していきました。

役員報酬を損金に算入するにあたって、
業界や規模別の相場を知り、高額すぎない適切な報酬額を定めること
役員報酬として損金算入可能な報酬を理解し、各々の報酬に適した手続きを踏むこと
が重要なポイントとなります。

しかし、役員報酬の設定だけでは業績向上へのモチベーションを保つことは難しい上、役員報酬の設定にはかなりの手間を要することが難点です。

そのため、役員の業績への貢献度に応じて支払額を調整可能な、ストックオプションや株式報酬制度の導入を検討する一考の余地はあるでしょう。

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また今回の記事では、役員報酬について中心に解説しましたので、ストックオプションや株式報酬制度について理解を深めたい方は下記の記事をご参照ください。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。