fbpx

COLUMN

コラム

【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やデメリットを解説!

こんにちは、SOICO株式会社の土岐です!

最初にお金を払い込むことなく発行できるために、様々な企業で採択されている無償ストックオプション。

今回は、そんな無償ストックオプションの、税制適格要件の詳細やその税制について、体系的に解説していきたいと思います!

無償ストックオプションとは?30秒で解説!

まず、ストックオプションは大きく、下図の通りに分類できます。

無償ストックオプションとは、役員・従業員に無償で付与されるストックオプションのことです。

何が無償なのかというと、「発行価額」が無償になっています。発行価額とは、ストックオプションの発行時に、付与される人が払い込むお金のことです。無償ストックオプションでは、この発行価額の払込が発生しません。(費用計上のため、発行価額(公正価値)の算定は行います)

無償で付与できるが故に、税制上は給与としてみなされてしまうため、最大約55%の給与課税が適用されてしまいます。

ただし、適格要件というものを満たすことで、給与課税を課されないようにすることができます

税制適格ストックオプションについて

冒頭の図に示した通り、無償ストックオプションには税制適格と税制非適格の2種類があります。

適格要件を満たすか満たさないかで税制が大きく変わってくるので、無償ストックオプションを語る上で「適格要件」は外せない論点となっています。

では、その適格要件とは一体どのようなものなのか、また税制はどう変わってくるのか解説していきます。

適格要件について

適格要件とは主に以下の4点に関わってきます。

(1)発行形態
(2)行使価額の制限
(3)行使期間の制限
(4)付与対象者の制限

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)発行形態

そもそも、無償ストックオプションであること、すなわち無償で発行されることが条件になってきます。

また、発行されるストックオプションについて、譲渡が禁止されていること、すなわち本人が行使することが必要になります。

(2)行使価額の制限

行使価額に関する制限は2つあります。

1つ目が、年間権利行使が1200万円未満であることです。一度でもこの条件から外れてしまうと、それ以降の年間行使価額がいくらであろうと、税制適格の対象ではなくなってしまいます。IPOなどのキャピタルゲインが大きくなるインセンティブプランの場合、この制限が障害となる場合があります。

2つ目が、付与時の株価の時価以上に設定することです。ストックオプションは本来インセンティブとして用意することで株価をあげることを目的としています。それ故に、行使価額を契約締結時の時価未満で設定してしまうと、権利行使をした時点で付与者の利益となり、本来の目的も満たすことができないため、税制適格の対象ではないのです。従って、1円ストックオプションは対象外となります。

(3)行使期間の制限

権利行使期間には、ストックオプションの付与決議から2年後〜10年後の8年間のみ行使可能という制限があります。

(4)付与対象者

適格要件の中でも、付与対象者に関する要件は複雑になっていますので、注意が必要です。

①付与対象者は、発行会社・その子会社の取締役・執行役・使用人・権利承継相続人であること

付与対象は誰でも良いわけではなく、発行会社・その子会社の取締役・執行役・従業員に限定されています。

また、社外の人材はもちろん、監査役も除外されているという点に注意しましょう。

(※ただし、適用対象者に関する制度が改正され、一定の条件を満たす場合は社外高度人材への付与が可能となりました。この点については、いずれ解説したいと思います!)

②付与決議日において大口株主及び当該大口株主の特別関係者でないこと

自社やその子会社の役職員の中でも、1/3以上の持ち分を持っている者(大口株主)には割当できません

さらに、大口株主の親族や配偶者などにも付与することはできません。

税制適格ストックオプションは課税が2回起こらない

この要件を満たすかどうかでどのように税制がかなり変わってきます。税制適格と税制非適格の違いを図にまとめてみました。

※各税の計算は以下の計算式の通り

譲渡課税=譲渡所得×20%
    =(権利行使価格と売却価格の差額×株式数)×20%

給与課税=給与所得×10~55% (←累進課税)
    =(権利行使時の株価と権利行使価格の差額×株式数)×10~55%

上図に示す通り、1番の違いとしては、税制非適格の場合はストックオプションの権利を行使して株式に変える際、給与所得に対する10〜55%が課税されるということです。

ここで言う給与所得は「権利行使時の株価と権利行使価格の差額×株式数」であるので、実際には現金を得ていないのにもかかわらず課税されます

また、株式売却時の譲渡課税もあるため、税制非適格の場合は課税が2つのタイミングで発生します。

また、ストックオプションの運用中に適格要件から不本意に外れてしまい、高額の給与課税を課されたという例もあるので、ここはかなり注意が必要になってきます。

無償ストックオプションのデメリット3つ

①税制適格じゃないと累進課税が課される

「税制適格ストックオプションは課税が2回起こらない」で説明した通り、税制適格要件を外れた場合はキャピタルゲインを得る前に給与課税が課されます。これが無償ストックオプションの最大のデメリットとなっています。

②無償ゆえに従業員への効果が薄い

無償ストックオプションは無料で付与されるが故に、従業員のモチベーションをあげるためのインセンティブとして付与したにもかかわらず、従業員によっては、ストックオプションをもらった実感が沸かずありがたみが得られないという話もあります。

従業員のストックオプションに対する理解も深める必要が出てくるかもしれません。

③株主総会にて決議が必要

役員に付与する場合、会社法上、株主総会にて役員報酬決議をする必要があります。

上場企業にとっては、取締役会決議のみで発行可能な有償ストックオプションと比べて「機動的な発行が難しい」というデメリットが生じます。

有償ストックオプションによる無償のデメリットの解決

以上で述べた無償ストックオプションのデメリットも、有償ストックオプションであれば解決することができます

無償と有償のストックオプションの違いについては詳しく知りたい方は【徹底比較】有償・無償ストックオプションの違いとは?会計処理・税制面などのメリット・デメリットは?をご覧ください!

また、有償ストックオプション自体を深く掘り下げたい方は、【有償ストックオプションとは?】メリット・デメリットや発行価額と行使価額の違いを簡単に解説!をご覧ください!

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、無償ストックオプションについて、税制適格についての詳細とメリット・デメリットを簡潔にまとめてみました。

無償ストックオプションは、払込なく発行できるスキームですが、税制適格を満たすかどうかなど、最低限の知識と法務・会計・税務理解が必要となってきます。

無償ストックオプションの発行を検討している方、無償ストックオプションに限らずインセンティブ設計に関して疑問点をお持ちの方がいましたら、以下からお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

お問い合わせはこちら

この記事を書いた人

SOICO株式会社  共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)

 

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。