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【ストックオプションに係る税金】確定申告や計算方法・税金対策について徹底解説!

こんにちは、SOICOの土岐です!

ストックオプション(SO)はキャピタルゲインがもらえるというポジティブな側面が注目されがちですが、設計次第ではキャピタルゲインの半分程度を税金として納める必要が出てくる場合もあります。

今回は、結局いくら手元に残るのかなどストックオプションを受け取る側に係る税金について気になっている方のため、種類ごとに体系的に解説していきたいと思います!

なお、ストックオプションの概要について先に理解を深めたい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますので、まずはこちらをご覧ください。

▶参照:【経営者必読】ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!

ストックオプションに係る税金の概要

ストックオプションに係る税務は、会社側と付与対象者の両方にに対して発生しますが、今回は付与対象者側の税金について解説します。課税に関しては、いつ、いくら、何に対してかかるのか、が重要な論点となっています。

また、確定申告が必要なのかどうかも気になる点だと思います。所得が発生する場合は、所属する会社で年末調整等の対応がない場合は、取引の翌年3月の確定申告期限までに確定申告を行う必要があります

課税の対象となる金額や確定申告の要不要は、ストックオプションの種類行使・売却などタイミングという2つの切り口で下の表のように整理することができます。

今回は、ストックオプションの種類A,B,Cそれぞれについて、いつ、何に対してかかるのかを、具体例を交えて体系的に解説していきます。

(※以下で扱う詳細な計算結果は、2020年4月現在において、SOの他に通常の給与収入があると設定し、給与所得控除は加味せず、また、社会保険料控除や復興特別所得税、総合課税などの仕組みも考慮していない場合のものとなっていますのでご了承ください)

(A) 税制非適格無償ストックオプションに係る税金と課税タイミング

税制適格要件を満たしていない無償ストックオプションの場合、下図の通り、権利行使と株式売却の2回のタイミングで課税が発生してきます。

権利行使のタイミングでは、行使時の株価から行使価額を引いた部分の金額に対して、給与所得などの所得として課税されます。上図で言うと、行使時の株価1500円から行使価額100円を引いた1400円の部分に該当します。

給与所得として課税される場合、具体的には以下のように計算されます。(1万個付与された場合)

課税対象額:(1,500円/個 – 100円/個) × 1万個 = 1400万円
給与所得など税額:1400万円 × (所得税率(このときは33%) + 住民税率(10%))= 602万円

対象額が大きくなると、所得税は累進課税をとっているので、住民税と合わせて最大55%の税率になります。行使時は株式を取得しただけで、実際に現金を得たわけではないにもかかわらず、税金を支払う必要があります。億単位の税額になった際、現金を用意することが難しくなってくる場合もあるので、その点注意をしましょう。

このとき、所得の種類は行使時の付与対象者の身分によって下記の表の通り異なっており、それにより計算方法も異なってきます。詳しい分類・計算方法は後述します。


また、株式売却のタイミングでは、売却時の株価から行使時の株価を引いた部分の金額に対して、譲渡所得として課税されます。上図で言うと、売却時の株価2500円から行使時の株価1500円を引いた1000円の部分に該当します。

具体的には以下のように計算されます。(1万個付与された場合)

課税対象額:(2,500円/個 – 1,500円/個) × 1万個 = 1000万円
譲渡所得税額:1000万円 × (所得税率(このときは15%) + 住民税率(5%))= 200万円

行使時の税額と合わせると、税制非適格無償ストックオプションの場合、602万+200万=802万円の支払いが必要になります。

(B) 税制適格無償ストックオプションに係る税金と課税タイミング

税制適格要件を満たしている無償ストックオプションの場合、下図の通り、株式売却のタイミングのみ課税が発生します。

株式売却時の株価から行使価額を引いた部分の金額に対して、譲渡所得として課税されます。上図で言うと、売却時の株価2500円から行使価額100円を引いた2400円の部分に該当します。

具体的には以下のように計算されます。(1万個付与された場合)

課税対象額:(2,500円/個 – 100円/個) × 1万個 = 2400万円
譲渡所得税額:2400万円 × (所得税率(このときは15%) + 住民税率(5%))= 480万円

(C) 有償ストックオプションに係る税金と課税タイミング

有償ストックオプションの場合、下図の通り、株式売却のタイミングのみ課税が発生します。

株式売却時の株価から行使価額と発行価額を引いた部分の金額に対して、譲渡所得として課税されます。上図で言うと、売却時の株価2500円から行使価額100円と発行価額5円を引いた2395円の部分に該当します。

具体的には以下のように計算されます。(1万個付与された場合)

課税対象額:(2,500円/個 – 100円/個 – 5円/個) × 1万個 = 2395万円
税額:2395万円 × (所得税率(このときは15%) + 住民税率(5%))= 479万円


以上、行使価額100円・行使時株価1,500円・売却時株価2,500円(・発行価額5円)・1万個付与、と設定した場合のそれぞれの種類のストックオプションに係る合計の税額や最終的な手取り額は、下記の表の通りとなります。

上述の通り、無償ストックオプションは、税制適格要件を満たすことで課税の回数と合計税額も低くすることができます(税額が半分程度になるケースもあります)。

適格要件について、また無償ストックオプション全般について詳しく知りたい方は、【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やデメリットを解説!」をご覧ください。

確定申告について

ストックオプションに係る取引によって所得を得た場合、株式譲渡益課税制度に則って確定申告を行う必要があります。

よって、冒頭の表の通り、基本的には課税と同じタイミングで同じ金額に対して確定申告が必要です。

各所得税の計算方法について

上述の通り、株式売却時には譲渡所得、税制非適格の無償ストックオプションの権利行使時には様々な種類の所得が発生します。

そもそも、給与課税は総合課税、譲渡所得課税は分離課税と、税金のかかり方が異なっているので、説明しておきたいと思います。

総合課税と分離課税

まず、所得への税金のかかり方は、総合課税と分離課税の2種類があります。

総合課税に分類される所得は、それらの1年間の所得をすべて合計し、その合計金額に対して課税されます。

一方、分離課税に分類される所得は、所得の種類ごとに個別に課税されます。

ストックオプションに係る所得である給与所得、退職所得、事業所得、雑所得、譲渡所得はそれぞれ、下の表の通りに分類されています。

税額の計算方法

総合課税に関しては、それぞれの所得を合計した金額に、下の累進課税の税率表の通りの税率に住民税率の10%を足したもの(最大55%)を掛け合わせた結果が税額となります。

分離課税についてはそれぞれ特殊で、譲渡所得の場合の税率は所得税15%と住民税5%の合計で20%となります。

ただし、2020年4月現在は、所得税率に復興特別所得税がかかってくるため、税率=所得税率×102.1%となっています。(所得税率が15%のときは、15×102.1%=15.315%となり、そこに住民税が加わるため、最終的な税率は20.315%となります)

退職所得となる場合は、以下の通り、課税対象額から変わってきます。(税制非適格無償ストックオプションの場合)

課税対象額:((行使時の株価 – 行使価額) × so付与数 – 退職所得控除額*) × 0.5
*退職所得控除額
 └勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(→80万円に満たない場合は80万円とする)
 └勤続年数20年超 :70万円 × (勤続年数 – 20年) + 800万円
(先ほどの例だと、勤続年数が10年の場合の課税対象額は、(1500円/個 – 100円/個) × 10,000個 – (40万円 ×10) = 2,020,000円と、給与所得の場合に比べかなり小さくなります)

このように計算した課税対象額の結果に、上の累進課税の表にあてはめて税率を掛け合わせたものが退職所得の税額となります。

まとめ

ストックオプションに係る税金について体系的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

この記事を読んでストックオプションに興味を持った方は、詳細に研究・検討する上で、税務・法務・会計上もう一歩踏み込んだ疑問点や、活用方法、事例に関する質問も出てくることと思います。

ご不明点や質問、こういった内容をまとめてほしいなどのご要望がありましたら、以下からお気軽にお問い合わせください!

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この記事を書いた人

SOICO株式会社  共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)

 

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。