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ストックオプションは退職すると失効する⁈保有したまま会社を辞めたケースを解説!

執筆者:土岐彩花(Ayaka Doki)

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上場を目指すベンチャー企業では、従業員・役員にストックオプションを付与することが多くあります。

しかし、人の入れ替わりの激しいのがベンチャー企業。

「正直、いつまで会社に在籍するかわからない。もし退職した場合、付与されたストックオプションは行使できるの?」と気になる方もいらっしゃるかと思います。

そこで、今回はストックオプションを付与されたまま退職した場合のケースについて詳しく解説します!

※そもそもストックオプションの仕組みから理解をしたい方は、以下の記事が入門編としておすすめですので、ぜひご参照ください。
【経営者必読】ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!

退職者のストックオプションは失効する場合が多い

いきなり結論ですが、退職者のストックオプションは失効する場合が多いです。

ストックオプションには、付与時に以下のような行使条件が付されていることが一般的です。

・新株予約権発行時において当社の取締役、監査役または従業員であったものは、新株予約権の行使時においても、当社、当社子会社または関係会社の取締役、監査役または従業員であることを要する。
・乙(従業員)が甲の取締役または従業員でなくなったとき、甲は乙の新株予約権を消去することが出来る。

これはつまり、「ストックオプションを付与されても、上場前に退職してしまうと権利が失効してしまう」という意味になります。

退職者のストックオプションが失効してしまう理由

ここでは、退職した従業員・役員のストックオプションが失効してしまう理由について解説します。

退職者のストックオプションが失効してしまう理由は、ストックオプションの目的を考えるとわかりやすいかと思います。

ストックオプションの目的は、「従業員や役員のモチベーション高め、会社への貢献度を高めること」です。

そのため、退職し会社への貢献をしなくなった従業員・役員のストックオプションは「失効(消失)」することが一般的なのです。

また、「上場後●年経過後でないと権利行使できない」など行使条件が定められていることも多いですが、こちらは従業員や役員が上場後すぐにストックオプション行使・株式売却してキャピタルゲインを得て、退職してしまうリスクを防ぐためです。

退職後にストックオプションを行使したい場合はどうすればよい?

退職後にストックオプションを行使できるか否かについては、結局のところ、ストックオプション付与時に決められた行使条件次第となります。

行使条件に「在職中」であることが定められている場合、ストックオプションは行使できないと考える方が良いです。

どうしても退職後でも行使したい場合、取締役会に上申し承認されれば、退職後の行使が認められるケースもあります

※ストックオプションの発行要項に「取締役会の承認を経た場合はこの限りではない」と記載がある場合のみ

ただし、退職後の行使が承認されるのは極めて稀で、認められるのは以下のような場合が考えられます。

・在職中に、会社への貢献度が抜群に高かった
業務委託や顧問など契約形態を変更し、引き続き会社への貢献が期待できる
・退職後にも顧客紹介などの大きなメリットが見込める

退職金型1円ストックオプションなど、退職後に行使可能なものも

退職金型1円ストックオプション
行使価格 1円
権利行使期間 退職日から10日以内
課税タイミング 権利行使時(退職課税) / 株式売却時(譲渡課税)
最大課税率 約20% / 約20%

長年会社に貢献したのにも関わらず、退職したことを理由にストックオプションを失効させるのは、従業員・役員の退職を不当に制限すると見なされるリスクもあります。

そのため、定年退職の場合には退職後のストックオプションを行使を認めていたり、退職後一定期間については行使を認めているストックオプションも存在します。

その例が退職金型1円ストックオプションです。

こちらは、「退職金の代わり」として活用されることが多い新株予約権で、その名の通り、行使価格が1円に設定されています。

つまり、「株価 − 行使価額(1円)」なので、「自社株価×株数」とほぼ同等のキャピタルゲインを得ることが可能です。

退職金型1円ストックオプションは、権利行使期間を「退職日から10日以内」に限ることで、給与所得ではなく「退職所得」と扱われることを狙っています。退職課税の場合税率が20.42%で、給与課税の最大55%の累進税率と比較すると、従業員・役員の課税額が少なくなるメリットがあります。

また近年、退職金型ストックオプション(1円ストックオプション)は「譲渡制限付株式(RS)」に取って代わられるケースも見られます。

RSは退職金型ストックオプション(1円ストックオプション)とほぼ同じ条件で設計できる上、損金算入できるため、税金の圧縮メリットがあります。

海外の事例

最後に、海外の事例について触れます。

日本だと退職した従業員・役員のストックオプションは失効することが多いですが、海外では基本的に退職する従業員・役員にもストックオプションを付与したままのケースが多いです。

例えば、かの有名なGoogleの場合、退職後3ヶ月以内にストックオプションを行使し株式を取得する場合はOK(失効しない)としており、これを「アーリーエクササイズ(=早期行使)」と呼び、推奨しています。

まとめ

今回は退職者のストックオプションはどうなるのか?について解説しましたが、いかがでしょうか?

会社から付与されたストックオプションの発行要件や行使条件について疑問点をお持ちの方がいらっしゃいましたら、以下からお気軽にお問い合わせください。

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最後までお読みいただきありがとうございます!

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この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。