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インセンティブプランとは?種類とメリット・導入時の注意点を解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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ストックオプションや株式交付信託のようなインセンティブを付与することで従業員のモチベーションを高めたり企業の採用力自体を強化することができます

経営者が従業員に自社株や債券などを与えてキャピタルゲインを得られる仕組みであるインセンティブプランには、「特定譲渡制限付株式」や「税制適格ストックオプション」「パフォーマンス・キャッシュ」「信託型ストックオプション」といったさまざまな種類が存在します。

効果的なインセンティブプランの設計をするためには、自社の規模や状況、従業員の人数や現在の評価制度など多くの事項を踏まえる必要があります。

そこで、本記事ではインセンティブプランの導入を検討している企業の方に向けて、インセンティブプランとは何か・インセンティブプランの種類・メリット・導入の際に注意するポイントについてまとめていきます。

インセンティブプランとは?

インセンティブプランとは、経営者および企業が役員・従業員に自社株を与えて、株価が上昇した後に売却をすることでキャピタルゲインを得られるようにする仕組みのことをいいます。

上場する前の企業の株価が株式公開後に大きく上昇することは多く、それによって株式を保有する役員・従業員は莫大な売却益を得ることができます。まだ上場していない企業のインセンティブプランは、キャピタルゲインによる利益が高い可能性があるので、役員・従業員のモチベーションアップにも繋がります。

子会社に向けの株式インセンティブプランについては以下の記事もご参照ください。
【上場企業必見】M&A先で有効な業績連動型報酬とは?子会社向け株式インセンティブプラン4類型を分かりやすく解説!

インセンティブプランの種類

インセンティブプランの種類内容
株式交付信託企業側で金銭を信託に拠出し、信託側で市場などから株式を取得する仕組み
ストックオプション自社の株式をあらかじめ定められた権利行使価格で購入する権利
無償ストックオプション役員や従業員に対して付与が無償でおこなわれるストックオプション
税制適格ストックオプション労働の対価として、一定の税制の条件を満たしたストックオプションを無償で付与する仕組み
税制非適格ストックオプション無償ストックオプションのうち、税制適格要件を満たしていないストックオプション
有償ストックオプション役員や従業員に対して新株予約権を付与する仕組み
パフォーマンス・シェア中長期目標の達成度合いに応じて株式自体を付与する仕組み
パフォーマンス・キャッシュ中長期の業績目標の達成度に応じて、現金を役員に交付する仕組み
ファントム・ストック株式を付与したと仮想して、株価相当の現金を役員に交付する仕組み
ストック・アプリシエーション・ライト対象株式の市場価格が予め定められた価格を上回っている場合に、その差額部分の現金を役員に交付する仕組み
信託型ストックオプション企業が発行したストックオプションを信託によって役員・従業員に交付される仕組み

株式交付信託

自身が勤めている会社の株式を取得することで、従業員が受ける福利厚生の充実や財産形成を促す報酬制度のことをいいます。

株式交付信託によるメリットには次のようなものがあります。
・比較的自由な設計ができる
・企業側の事務負担を減らすことができる

株式交付信託については以下の記事もご参照ください。
株式交付信託(株式報酬信託、株式給付信託)とは何か?複雑な仕組みやメリット・デメリットをご紹介!

ストックオプション

ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利のことをいいます。

ストックオプションを企業が導入するメリットは以下の4点があります。
・優秀な人材の採用のための活用
・従業員のモチベーションアップ
・社外協力者との長期的な付き合いが可能
・株式の持分の回復

ストックオプションについては以下の記事もご参照ください。
ストックオプション制度とは?仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!新株予約権との違いも解説!

無償ストックオプション

無償ストックオプションとは、役員・従業員に無償で付与されるストックオプションのことを言います。

無償ストックオプションには次のような特徴があります。
・発行価額が「無償」
・給与所得として税金が課せられる
・税制適格でない場合、最高で55%の所得税が課せられる

無償ストックオプションの詳細については以下の記事もご参照ください。
【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やデメリットを解説!

税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションは、労働の対価として、一定の税制の条件を満たしたストックオプションを無償で付与することをいいます。

税制適格ストックオプションには次のような特徴があります。
・権利を行使する時に給与所得課税がされず、譲渡所得として扱われる
・上場を目指す企業が選ぶ代表的なインセンティブプラン
・行使価額は、割当時に定める発行会社の普通株式の時価以上に決められ、株式を売却する時の株価が割当時よりも上昇している時に、その差が利益となる

税制適格ストックオプションの詳細については以下の記事もご参照ください。
税制適格ストックオプションとは?〜有償ストックオプションとの違い・7つの要件について解説〜

税制非適格ストックオプション

税制非適格ストックオプションとは、無償ストックオプションのうち、税制適格要件を満たしていないストックオプションのことをいいます。

税制非適格ストックオプションの特徴には、税制適格ストックオプションの要件を満たさなくていいことがあります。また、以下3つのメリットもあります。
・権利行使期間の制限が無い
・他人への譲渡が可能
・権利行使限度額が無い

税制非適格ストックオプションの詳細については以下の記事もご参照ください。
税制非適格ストックオプションとは?〜税制適格ストックオプションとの違い・メリット・デメリットについて解説〜

有償ストックオプション

有償ストックオプションは、会社が発行したストックオプションを役員・従業員が発行価額を支払うことで購入し、あらかじめ決められた条件を満たした際にストックオプションの保有者となった役員・従業員が行使価額を支払い権利行使することで株式を取得する仕組みのことを言います。

有償ストックオプションの特徴として以下のようなものがあります。
・給与や役員報酬とみなされない
・役員報酬決議が必要ない
・社外・外部協力者への付与ができる

有償ストックオプションの詳細については以下の記事もご参照ください。
【有償ストックオプションとは?】メリット・デメリットや発行価額と行使価額の違いを簡単に解説!

パフォーマンス・シェア

パフォーマンス・シェアとは、企業が役員に対して職務執行の対価として、事前に設定した業績目標の達成を条件に譲渡制限付株式を事前に交付、業績の達成度合いに応じて譲渡制限が解除される報酬制度のことをいいます。

パフォーマンス・シェアの特徴として、以下の事が挙げられます。
・事前に譲渡制限のついている自社株式を役員に付与し、役員が譲渡制限の要件を満たして初めて売却可能
・役員退職慰労金等の継続勤務の長さによって取得可能な報酬と比較して、会社の業績が報酬に連動するため発行体への貢献が的確に報酬へ反映

パフォーマンス・シェアについては以下の記事もご参照ください。
パフォーマンスシェア(業績連動型株式報酬制度)とは一体?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説!

パフォーマンス・キャッシュ

パフォーマンス・キャッシュは、企業の中長期の目標の達成度によって与えられるインセンティブで、文字通り「現金」で支払われます。従業員への支給よりは役員報酬という形で用いられる傾向があります。

パフォーマンス・キャッシュの特徴として、以下の点があります。
・企業の業績と役員のモチベーションが高まる
・事務手続きの負担が増える
・算定方法の要件が難しい

役員報酬・業績連動給与についてはこちらの記事もご参照ください。
役員報酬とは?どのくらいの額が適切?知っておくべき基礎的知識を徹底解説
役員報酬の決め方とは?手続きや注意点について徹底解説!

ファントム・ストック

ファントムストックとは、従業員への報酬制度の1つで、実際の株式や株式の購入権利を付与するのではなく、架空の実態のない株式を付与する仕組みのことをいいます。

ファントム・ストックのメリットには、以下の3点があります。
・持株比率の希薄化が生じない(会社・株主側)
・従業員のモチベーション向上に繋がる(会社・株主側)
・権利行使から売却までの手間がかからない(付与対象者側)

ファントム・ストックについては以下の記事もご参照ください。
ファントムストック(ファントムオプション)とは?仕組み・メリット/デメリット・注意点を解説!

ストック・アプリシエーション・ライト

ストックアプリシエーションライトとは、あらかじめ株価を設定し、役員が権利を行使した際に、その時の株価と設定された株価との差額を株式または現金で受け取れる権利のことをいいます。

ストックアプリシエーションライトのメリットには、以下の4点があります。
・個人に合わせて柔軟に計画できる
・株式の希薄化が起こらない
・株価が低下しても損失がない
・付与対象者に強いインセンティブが働く

ストックアプリシエーションライトについては以下の記事もご参照ください。
ストックアプリシエーションライト(SAR)のメリット・デメリットについて解説!

信託型ストックオプション

信託型ストックオプションとは、信託契約と有償ストックオプションの仕組みを組み合わせた新株予約権のことをいいます。

信託型ストックオプションには次のような特徴があります。
・ストックオプション発行時に割当先を後決めできる
・株価上昇前の低い行使価額のまま、信託に保管する
・投資家の懸念する株式の希薄化を防げる
・有償ストックオプションと同じ税制でシンプル
・一度の登記で済むので発行コストが低い

信託型ストックオプションについては以下の記事もご参照ください。
【経営者向け】話題の「信託型ストックオプション」を徹底解説

インセンティブプランのメリット

インセンティブプランを導入することによるメリットは以下の2つが挙げられます。

・従業員のモチベーションの向上に寄与
・企業の採用力強化

従業員のモチベーションの向上に寄与

インセンティブプランの中でも1番大きな目的が、役員・従業員のモチベーションアップになります。福利厚生のような権利や賞与(ボーナス)の代わりに与えるもの、退職金のような扱い方もできるので、自社の状況に合わせたプランの設計をすることで役員・従業員にメリットを与えることができます。

企業の採用力強化

学生や新卒年代の層にもIPOやストックオプションの認知度が高まったこともあり、ストックオプションの付与が採用の待遇の中にあることが魅力的に感じるでしょう。スタートアップの上場によって株価が上昇した株式を売却することで莫大な利益を得たという事例もSNSやWEBニュースなどで目にするようになり、ユニコーン企業やスタートアップ企業が人気な就職先・転職先として特集が組まれることもあります。

インセンティブプランの導入は、優秀な学生や中途採用で即戦力を獲得したいスタートアップ企業や採用力を強化したい企業の人事部にとって大きなメリットがあります。

インセンティブプラン導入における注意するポイント

インセンティブプランの導入はメリットだけではありません。次のようなことに注意すべきでしょう。
・従業員同士に差が生まれる
・全体の結束力が弱まってしまう

それぞれについて説明していきます。

従業員同士に差が生まれる

インセンティブを与えるのに一番の悩みとなるのが「評価の公平性」です。公平な評価が行われないと与えられるインセンティブに差が生まれ、その差がゆくゆくは従業員の離職に繋がってしまう可能性もあります。このような問題を解決するために、公平な評価基準を設けることが求められます。

インセンティブを与えるにあたって、古くからいる従業員の方や役職が高い方が評価されがちですが、中堅や新人も評価することが公正な評価において重要です。それぞれの職務や部門ごとに表彰制度を設け、中堅や新人にも評価の機会を与えることも選択肢に入れるのも良いかもしれません。

インセンティブを公平な評価基準で与えるための仕組みとして「信託型ストックオプション」があります。こちらの記事で、「信託型ストックオプション」について詳細な説明をしていますので是非こちらもご参照ください。
【経営者向け】話題の「信託型ストックオプション」を徹底解説

全体の結束力が弱まってしまう

インセンティブの付与による従業員の間に生まれた差は、そのまま組織のモチベーションを下げてしまう恐れがあります。また、インセンティブ付与の評価を個人ごとにする場合に、従業員が多いと声の大きな人や見せ方が上手い人が評価され、成果をうまくアピールできない人と差が生まれてしまい不公平感を増してしまう可能性もあります。総じて、組織全体の結束力を弱めてしまうかもしれません。

このような事態に陥らないために、組織内のチームごとにインセンティブを付与したり、古参従業員だけでなく中堅や新人の従業員にも不公平感のないインセンティブ設計・仕組みづくりが重要になります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

本記事では、インセンティブプランの導入を考えている企業に向けて、インセンティブプランとは何か・インセンティブプランの種類・メリット・導入の際に注意するポイントについて解説をしました。

ストックオプションなどを活用したインセンティブプランについて、ご不明点やご質問がございましたら、以下からお気軽にお問い合わせください!

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22年上半期』
  1. 新規上場企業のストック・オプション統計データ
    ーストック・オプション発行割合サマリー
    ーストック・オプション積極活用企業5選
  2. 役職別ストック・オプション付与割合
    ーCOO、CFO、CTOなどのCxO人材
    ー常勤監査役、社外取締役など
  3. 信託型ストック・オプションの発行状況
    ー見込みキャピタルゲインと発行割合
  4. 上場時の代表者持分割合
    ー代表者持分がもたらす資本政策への影響
  5. ストック・オプション失敗例&解決策3選
    ー発行時期が遅過ぎて、キャピタルゲインが取れない
    ーせっかく発行したのに、パフォーマンスが上がらない
    ー社内に仕組みが浸透せず、発行しても離職率が下がらない
  6. お問い合わせ方法

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。