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IPOコンサルティングの種類や業務とは?必要なコストや選ぶ際のポイントも徹底解説!

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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こんにちは、SOICO株式会社の茅原です。

IPOに向けた準備として、経営管理体制を整備し適切に運用すること会計監査を受けること証券会社の引き受け審査を受ける証券取引所の審査を受ける、また諸々の手続きのための書類作成の事務作業などやらなければならないことが多くあります。

IPOを行うためにはまず上にあげたような業務に関する知識や経験を持つ人に、管理部門を牽引してもらうことが必要で、そのための方法は3つあります。

①IPO経験のあるCFOを新たに雇用する
1つ目の方法はIPO経験のあるCFOを新たに雇用することです。しかし、IPO経験があり、上に述べた業務をこなす能力のあるCFOを新たに雇用するとなると相当な人件費がかかります。IPO準備にかかる期間は3年ほどであるので、約1億円ほどのコストがかかります。さらに、雇用したものの、能力に乏しく期待していた働きをしてくれないなどのリスクもあります。

社外CFOについてはこちらの記事もご参照ください。
社外CFOを活用すべき3つの理由!CFO転職/採用はもう古い?
シェアリングCFO®︎の活用事例ご紹介①

②新たに社員を教育する
2つ目は新たに社員を教育し、CFOにするという方法です。この方法では、上場後もCFOを任せることができ人件費を抑えることができるというメリットがあります。しかし、教育をするために時間コストがかかることや、誰が教育を行うのかという問題、さらに教育がうまくいかないというリスクがあります。

CFOについてはこちらの記事もご参照ください。
CFO(最高財務責任者)とは?定義・意味から役割・仕事内容・なり方・キャリアパスまで徹底解説!
CFO転職の方法とは?CFO転職のメリットやキャリアパスも徹底解説!
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公認会計士からCFOは目指せる?求められる役割とCFOに転職するメリットについて解説
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③IPOコンサルタントに依頼する
3つ目の方法は、IPOコンサルタントに依頼するという方法です。IPOコンサルタントはIPOに関する専門的な知識を豊富にもち、さらに経験も豊富であるため、費用コストを抑えながらも、IPO準備の時間を圧倒的に短縮することが可能になります。

今回の記事では、IPOコンサルティング会社に依頼するという点に絞って、
・IPOコンサルティング会社の業務内容
・IPOコンサルティング会社の種類
・IPOコンサルティング会社の費用
・IPOコンサルティング会社に依頼するメリット
・IPOコンサルティング会社に依頼する際の注意点
について解説していきます。

IPOコンサルティング会社の業務内容

株式上場のためには約3年ほどの準備期間が必要となることが一般的で、監査法人によるショートレビュー、主幹事証券会社の選定など行うべきことは様々です。IPOコンサルタントは、そのような株式上場のために必要な業務の計画、実行を行う専門家です。

IPOコンサルティングの業務内容には、

・提出書類の作成や指導
・上場審査対応(主幹事証券会社、証券取引所)
・内部管理体制の構築支援
・各種関係機関の紹介(証券会社、監査法人、証券印刷会社、弁護士など)
・社内の規定の見直しや作成
・経営計画の作成支援
・資本政策作成支援
・予算管理体制作成支援

などがあります。

株式上場には監査法人や証券会社、証券取引所などとのやり取りが重要ですが、IPOコンサルタントは中立的な立場で俯瞰的に捉え、上場申請企業が適切なIPO準備を行えているかどうかをチェックしてくれます。

準備期間だけではなく、上場後に問題のない適切な体制を整えるサポートを行うこともIPOコンサルタントの業務となります。

IPOコンサルティング会社によって対応できる業務が異なる場合があるため、自社に必要なものに対応しているかどうかを調べることが必要です。

資本政策・上場審査・主幹事証券会社・監査法人・法務・労務監査については、こちらの記事もご参照ください。
IPOに向けた成功する資本政策|上場後の資金調達の仕組みも解説
上場審査とは?審査基準・審査の流れ・審査通過のポイントを徹底解説!
IPOにおける主幹事証券会社の役割|引受審査や選び方についても解説
IPOにおける主幹事証券会社の選び方|主幹事選択の事例と証券会社について解説
IPOにおける監査法人の役割とは?監査法人を選ぶポイントも解説!
IPO準備に法務は必要?上場審査での法務の役割・業務を解説!
IPOに向けた労務監査とは|労務管理のポイントについて解説

IPOコンサルティング会社の種類

コンサルティング会社には大きく3種類の会社があります。

・証券会社系コンサルタント
・会計士系コンサルタント
・ベンチャー・スタートアップ系コンサルタント

以下、それぞれについて説明します。

証券会社系コンサルタント

証券会社の引受審査や、取引所の審査の実務の経験が豊富で、審査のための書類作成などの業務を得意とするコンサルティング会社です。

審査の実務の経験を持ち合わせているため、審査をする側がどのようなものを求めているかという視点で書類などを作成することが可能です。とくに主幹事証券会社の引受審査、証券取引所の上場審査について、取引所目線でのアドバイスや実行ができることが強みとなります。

会計士系コンサルタント

会計士系のコンサルティング会社は監査法人出身の方が所属しており、内部統制や決済開示体制の整備を得意としています。

監査法人は中立性が求められるため、監査やアドバイスはできても実際の業務を行うことはできません。監査法人出身のIPOコンサルタントであれば、監査法人目線でのアドバイスなどが可能なことは大きなメリットといえます。

会計士系のコンサルティング会社には、「作業を負担してくれる会社」と「企業の自律化を支援する会社」があります。したがって、単純に業務を代行してもらいたいという場合は前者を、IPO後も自立して運営できるシステムを構築したいという場合は後者を選ぶといった具合に、自社のニーズを満たすものを選択すると良いでしょう。

ベンチャー・スタートアップ系コンサルタント

ベンチャー企業や、スタートアップなどでCFO経験があり、IPOの実務を実際に経験した人がコンサルティングを行っているコンサルティング会社です。実際にIPOを行った企業側での実務を経験しているため、IPOを行う企業側の忙しさなど現場のこと熟知しているというメリットがあります。

当事者としてIPOを行った経験があることで、上場申請企業の経営者であある自分たちの立場での考えや大変さが身にしみてわかることが特徴としてあげられます。

IPOコンサルティング会社の費用

IPOコンサルティング会社にかかる費用の相場は年間およそ600万円から1600万円になります。上場までにおよそ3年ほどかかるため、総額は2000万から5000万円ほどかかることになります。

上にも述べたようにIPOコンサルタントには種類があり、それぞれ得意とするものも違うため、自社が必要とするサポートと費用をよく調べて、依頼する先を選びましょう。

IPOの費用については、こちらの記事もご参照ください。
IPOの費用は?準備時・上場時・上場後の時期別に詳しく解説!

IPOコンサルティング会社に依頼するメリット

専門家による対応が受けられる

IPOコンサルタントに依頼する最大のメリットは、専門家による適切な手続きを行えるという点にあります。IPOを行う際には、様々な書類作成から、内部統制や取引所や証券会社の審査など専門的な知識を要する業務が多く存在します。これらを自社で行おうとするとミスが発生してしまうリスクがあります。そこで、IPOの専門家であるIPOコンサルタントに依頼することで、適切で、ミスのない手続きを行うことができます。

時間コストの削減が可能

IPOを行うにあたって、外部から人材を新たに雇ったり、社内で新たに担当者を選定し教育していったりする場合、時間コストがかかってしまいます。しかし、IPOに関する業務の中にはその時にしか生じない業務も多くあります。そのため、IPOコンサルタントと契約することで、一時的な業務に対する時間コストを削減することが可能です。

IPOまでにするべき準備内容

IPOを目指すには、少なくとも3年はかかります。上場審査において、直前2期分の会計情報が必要になることと労務管理などバックオフィス体制が整備されている必要があります。また、証券会社や監査法人といった外部組織の協力も得ながら上場準備・上場審査・上場申請を進めていくので十分な準備をしなければなりません。

IPOの準備は、上場を申請する「申請期」を起点として、その1期前を直前期(N-1期)」、2期前を「直前々期(N-2期)」、3期前を「直前前々期(N-3期)」に分けて考えます。

IPOの準備については次の記事もご参照ください。
【経営者・役員向け】IPOの準備スケジュール|直前前々期から申請期まで解説

直前前々期(3期前,N-3期)

直前前々期(N-3期)において、IPOに向けて行う準備内容は次の通りです。

①事業計画を策定する
②資本政策を策定する
③プロジェクトチームの編成する
④IPOコンサルタントを選定する
⑤内部統制を整備する
⑥ショートレビューを受ける
⑦監査法人を選定する
⑧主幹事証券会社を選定する

ショートレビュー・内部統制については、こちらの記事もご参照ください。
IPOに向けたショートレビューとは?費用・時期・確認するポイントも解説!
内部統制とは?会社法・金融商品取引法での定義や方針を徹底解説!
IPOに内部統制が必要な理由とは?構築する目的・要素も解説!

直前々期(2期前,N-2期)

直前々期(2期前,N-2期)において、IPOに向けて行う準備内容は次の通りです。

①利益管理制度を整備する
②業務管理制度を整備する
③組織運営体制を整備する
④会計制度を整備する
⑤特別利害関係等との取引を解消・整理する
⑥関係会社を整備する
⑦J-SOXへ対応する
⑧会計監査へ対応する
⑨主幹事証券会社、監査法人と打ち合わせを行う

J-SOXについては、こちらの記事もご参照ください。
J-SOXとは?内部統制の目的とJ-SOXの具体的な進め方と役割について解説
J-SOXの3点セットとは?作成目的や手順をサンプルを交えて解説
J-SOX対応における内部監査部門が担う役割とは?J-SOXの3点についても解説

直前期(1期前,N-1期)

直前期(1期前,N-1期)において、IPOに向けて行う準備内容は次の通りです。

①経営管理体制を運用する
②事業計画・資本政策を見直す
③市場を選定する
④申請書類を作成する

直前期についてはこちらの記事もご参照ください。
【経営者・役員向け】上場スケジュール:直前期|直前期(N-1期)の過程について解説

申請期(N期)

IPO申請期において行う内容は、IPOに向けて行う準備内容は次の通りです。

①主幹事証券会社による引受審査を受ける
②定款を変更する
③上場申請する
④証券取引所による審査を受ける
⑤上場承認を受ける

申請期についてはこちらの記事もご参照ください。
【経営者・役員向け】上場スケジュール:申請期|申請期の過程について解説

IPOコンサルティング会社に依頼する際の注意点

IPOコンサルティングは、基本的にフルサポートと個別テーマサポートの2パターンがあります。ここで、IPOコンサルティングを依頼する際に以下の2点を行っておく必要があります。
・現状の整備状況を整理すること
・業務依頼範囲を定義すること

IPOコンサルティングにおいて依頼したい内容の定義に不明確な部分があると後戻りが発生してしまい、余分なコストが発生してしまうリスクがあります。したがって、依頼する前にある程度何をしてもらいたいのかを定義する必要があります。また、その際に自社の状況を客観的に把握する必要があります。

社内のCFO経験者がIPOコンサルティング会社への対応が可能ならば、現状の整備状況の整理と業務依頼範囲の定義をどちらもした上で個別サポートの調整が可能です。しかし、CFO経験者がいない場合はフルサポートのIPOコンサルティングを依頼する必要があります

他にIPOコンサルティング会社へ依頼する際に注意すべき点を以下、説明していきます。

得意分野は何か

証券会社系のコンサルティング会社は審査に関わる業務、会計系のコンサルティング会社には内部統制や決済開示体制の整備といった得意としているものが会社によって異なっています。したがって、自社が苦手としている部分や相談したい部分は何かを把握した上で、その部分を得意としているコンサルティング会社を選ぶ必要があります。

株式上場のための業務は多岐に渡るので、苦手分野がある会社ももちろんあります。苦手分野があってもそれをカバーしてくれるパートナーがいるかはヒアリングするとよいでしょう。

IPOの実績があるか

コンサルティングを受けても、審査に通過できなければコストが無駄になってしまいます。そこで実際に上場のサポート実績があるコンサルティング会社であれば、知識やノウハウを豊富に持つ専門家に依頼できるため、満足のいくサポートを受けることができます。

コストが見合っているか

コンサルティング会社に依頼するためには、サポートを受けられる代わりに当然それに応じた金銭的コストが発生します。コンサルティング会社に依頼をする際に発生する費用は年間で約600万から1500万円程度になります。しかし、コストを削減するために費用が安いコンサルタントに依頼すると、経験が浅く十分なサポートを受けられない可能性があります

そのため、コンサルタントを利用しない場合にかかる時間と費用がどれくらいかかるかを一度見積もり、比較を行ってみることをお勧めします。また、自社が必要としているサポートは何かということも検討することも、コストが見合っているかを判断するために有効です。

まずは、無料で見積もりを行っているコンサルティング会社を利用するのも良いでしょう。

また、取引のある銀行があれば、IPOに関する知識を持っている可能性があるので、一度相談してみるのも良いでしょう。

各関係機関との連携ができるか

IPOでは、監査法人や証券会社、証券印刷会社、VC、証券取引所など様々な機関との円滑なやりとりが求められます。したがって、各機関との連携がスムーズであり、各機関に対する説得や、各機関からの意見を自社に適切に説明できるIPOコンサルタントでなければなりません。そのため、各機関とのやりとりを行った実績があるかどうかを調べることが大切です。

自立運用できるまでサポートしてもらえるか

自立運用できるまでサポートをしてくれるかというのも重要なポイントになります。

内部管理体制などを整備してもらっても、自立運用ができなければ、IPOを行った後もアドバイスを受け続けなければなりません。そうなるとコストが余計にかかってしまいます。自立運用できるまでサポートをしてくれるかはしっかりと確認するようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回の記事ではIPOコンサルの種類とIPOコンサルを選ぶ際のポイントについて解説しました。

IPOコンサルを選ぶ際のポイントは

・IPOの実績があるか
・得意分野は何か
・各関係機関との連携ができるか
・自立運用できるまでサポートを受けれるか
・コストが見合っているか

ということを解説しました。

現在スタートアップ・ベンチャー企業を経営していて上場を目指されている方にとって参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。