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コラム

CFOを目指す人のための本|CFOの考え方・実務・キャリアなど網羅的に紹介

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

CFOになるには?キャリアパスも解説

経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア

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経理部門や財務部門で働く人の中には、部長・管理職や経営企画など次のキャリアを考える人もいるでしょう。

近年では、大企業や外資系企業からベンチャー企業・スタートアップ企業のCFOとしてキャリアチェンジする方も見られます。

企業の経営参謀として、その価値を最大化することを目的に財務面および非財務面で企業を成長させていくCFOは求められるスキル・能力でかなりの専門性の高さを求められます。

本記事では、CFOを目指す人が読むべき書籍について紹介していきます。

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CFOとは

企業の参謀であるCFO(Chief Financial Officer)は、企業の財務および経理の戦略の立案と執行に関する責任者の立場にいます。

具体的には、CFOは企業の価値の最大化を目的として財務や経理といった「ファイナンス」に関わる全ての領域を統括し、CEOを支える経営陣の一員として活動します。

CFOの主なミッションは、経営戦略や事業戦略の立案、財務戦略の立案と実行、管理部門の統括です。特に、IPOを目指すベンチャー企業やスタートアップ企業など規模の小さい組織では、組織開発まで担当することもあります。

CFOは成長戦略のナビゲーターとして、経営企画を基盤としてバックオフィスの各部門を統括する役割を果たしています。

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CFOを目指す人が読むべき本9選

事業会社の経理部門や財務部門、経営企画部門での職務経験や公認会計士などの資格を持っている方々の選択肢となるCFOですが、ここではCFOを目指す上で読むべき以下の本を紹介していきます。
・ファイナンス思考
・CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋
・CFOの実務 企業価値向上のための役割と実践
・CFOを目指すキャリア戦略
・CFOの履歴書
・CFOポリシー
・CFO 最先端を行く経営管理
・実践CFO経営 これからの経理財務部門における役割と実務
・デジタルCFO

ファイナンス思考

著者は、ファイナンスの領域で日本企業が抱える課題として、売上・利益を最大化することを目的にした短絡的な思考態度を指摘し、PL脳の呪縛と呼んでいます。

企業の価値を最大限まで高めることを目的として、経営者・経営陣は、長期志向で事業戦略・財務戦略を構築していく必要があることが強調されています。

本書は、CFOを中心のテーマとして扱ってはいませんが、本来のCFOの役割である「企業の価値向上」を目的とした未来志向のファイナンスに対する考え方を知ることができる点で非常に大きな価値があります。

著者:朝倉祐介
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2018年7月11日

CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋

「CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋」ではCFOの仕事内容やCFOとしての考え方が紹介されています。

従来の経理や税務の仕事では、決められたルールに従って数字を扱うルーティンワークが中心であり、これらの業務を正確に行い企業価値を保つことが重要だという考えが主流でした。これを筆者は「金庫番思考」と呼んでいます。

しかし、筆者は、このようなルーティーンワークの中にも企業価値の向上のためにできることがあり、企業価値向上が自分の役割であると考え、経理や予算の数字の計算だけにとどまらず、数字の分析を行い、監査法人や株主と議論していく「CFO思考」が大切であることを説いています。

「CFO思考」とは、冷徹な計算と合理性を超えた熱意を兼ね備え、企業の価値を向上することをCFO自身の責務とする考え方と定義し、CFOが関与すべき領域として「経理」「予算」「税務」「財務」「IR」の5つについて解説しています

著者:徳成旨亮
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2023年6月7日

CFOの実務 企業価値向上のための役割と実践

「CFOの実務 企業価値向上のための役割と実践」では、第1章でCFOの役割を「情報マネジメントを担う最高責任者」と定義し、CFOの機能の変革が求められていることを述べた後に、CFOの機能に関してCFOが行うべき一通りの業務が全体を通して述べられています。

この本では、IFRSや内部統制だけでなく、税務戦略やトレジャリーマネジメント(※)、リスクコントロールまでの内容まで記載されています。

また、日本企業のグローバリゼーションとCFOの役割として日本企業各社の経営者の方々のコメントを取り上げているため、日本企業の実践例が豊富に紹介されています

500ページ弱と分量は多いですが、CFOの一通りの業務の内容を知りたいという方は一度読んでみると良いでしょう。

※トレジャリーマネジメント:企業の資金効率を最適化すると同時に、リスク管理の高度化を通じた経営の安定化を目的とした手法

著者:あずさ監査法人・KPMG
出版社:東洋経済新報社
出版日:2008年3月1日(第2版:2012年4月20日)

CFOを目指すキャリア戦略

「CFOを目指すキャリア戦略」では、CFOを目指す財務・経理マン向けにCFOの具体的な仕事とCFOのキャリアを目指すために必要なスキルが紹介されています。

本書ではCFOに必要なスキルとして270個ものスキルが紹介されており、また、企業の規模やタイプ別にCFOの役割や報酬額が紹介されているため、CFOのキャリアを目指すための指針を立てるために有用な情報を得ることができます。

筆者自身のキャリアコンサルタントとして育成とマッチングに携わってきた経験を元に、CFOのキャリア形成について説明がされているため、CFOを目指す方は一度読んでみると良いでしょう。

著者:安藤秀昭
出版社:中央経済社
出版日:2015年4月9日(最新版:2019年7月27日)

CFOの履歴書

「CFOの履歴書」では、ファイナンス関係の業務に関係のある方・CFOを目指している方・現在CFOとして働いているが自信の無い方に向けて、CFOの役割や必要なスキルについて解説がされています。

10名のCFO経験者の具体例や実例に沿って解説が行われているため、CFOの仕事がイメージしやすく、仕事の内容の理解を深めることができます。また、本書で紹介されるCFOは、ベンチャー企業から上場した企業が中心なので、これからIPOを目指す方にとって知りたい内容が詰まっています。

しかしながら、この本では専門的なファイナンス理論は書かれてないため、専門的な理論を勉強するためには不十分です。そのため、CFOへのキャリアアップを目指す人でCFOの仕事の内容を大まかにイメージしたいと思う人は読んでおいた方が良い本です。

著者:大塚寿昭
出版社:‎中央経済社
出版日:2019年7月6日

CFOポリシー

「CFOポリシー」では市場からの評価を高め、より企業価値を高めることができる財務戦略やガバナンスについて詳しく解説が行われています。

本書は、一般のファイナンスやCFO論を扱った本とは異なり、筆者自身が早稲田大学の会計研究科の客員教授として研究を行ってきた理論とエーザイ株式会社のCFOとして実際に取り組んできたことの2軸に基づいて企業価値を向上させ投資家からの評価を高めるための、「財務戦略」と「非財務戦略」という点に絞って解説が行われています。

また本書は、経理や財務関連の仕事をしている人から学生まで幅広い人に向けて書かれているため、CFOのキャリアを考えている人にとっては非常に読みやすい本になっています。

著者:柳良平
出版社:中央経済社
出版日:2019年12月18日(第3版:2023年3月24日)

CFO 最先端を行く経営管理

「CFO 最先端を行く経営管理」ではCFOがFP&Aの機能を担い、経営にファイナンスの観点を反映させるためにはどのようにすれば良いかが解説されています。

CFOは経理部門の上に立つだけでなく、経営支援で重要な役割を果たす、FP&A(Financial Planning & Analysis)の上に立ち、業務管理及び財務計画の立案・分析を通じて企業体制や経営方針に影響を与えていかなければならないことが述べられており、FP&Aの仕事内容な企業における役割に重点を当てて解説がされています。

また、著者の3人の実際の経験が事例紹介として本のあらゆる箇所に記載がされているため、非常に読みやすい1冊です。

著者:昆政彦・大矢俊樹・石橋善一郎
出版社:中央経済社
出版日:2020年4月18日

実践CFO経営 これからの経理財務部門における役割と実務

「実践CFO経営 これからの経理財務部門における役割と実務」では、CFOが組織に求められる役割について管理会計、財務会計などの財務的な面だけでなく、ポートフォリオやリスクマネジメント、税務、M&A、ICTなど企業の戦略に関わるものも含めて幅広いテーマから解説されています。

本書では、実際のプロジェクトなどを基本に体系的にCFOの役割が記述されており、理論などの専門的な内容はあまり記載せず全体的な概略がわかりやすいように構成されているため、専門的な理論などを詳しく知りたい人は、この本と合わせて専門書を合わせて読まれることをおすすめします。

著者:デロイト トーマツ グループ
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
出版日:2018年3月30日

デジタルCFO

「デジタルCFO」では、IT技術が発展し企業のあり方も変化していく中で、CFOは今後どのように対応をしていくべきかを解説しています。

具体的には、「次世代型ERP」「RPA技術」「人工知能(AI)」「ブロックチェーン」「クラウド」「ビッグデータ」といった技術を広く取り上げてCFOが今後期待される役割であるスコアキーパー、カストディアン、コメンテーター、ビジネスパートナーの4領域でどのように変化していかなければならないかが解説されています。

CFOや経理・財務に関わりながら今後キャリアを高めていきたい人が、ファイナンスに関係するテクノロジーを網羅的に学ぶ意味合いで役に立つ1冊ですが、CFOの実務に直結した内容は弱い印象を受けるので、そこには注意を払いたいところです。

著者:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
出版社:東洋経済新報社
出版日:2017年5月19日

まとめ

本記事では、CFOを目指す人に役に立つ書籍について紹介してきました。

今後のキャリアを考えている方や社内のキャリアに関わるポジションの方のご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、管理部門の職種としてキャリアアップしたい方、さらにCFOとして経営参画も視野にいれている方は、プロの専門家に相談するのが一番です。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。