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【2024年最新】ESG経営の取り組み事例集!企業ごとの具体例を紹介

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

コーポレートガバナンス・コードの基本のキ
~概要と基本原則を解説~

コーポレートガバナンス・コードの「基本的な概要」と「基本原則」にフォーカスして紹介

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近年、世界のビジネスにおいて「ESG」という言葉が注目され、多くの企業が環境や社会への配慮として取り組みを導入し始めています。

その背景として、企業経営においては、単なる利益追求だけでなく、持続可能性や社会的な側面に焦点を当てる必要が求められ、その中でESGが特に注目を浴びているためと言えます。

当記事では、ESGに対する企業の取り組み事例を中心にご紹介します。ESGの取り組みをお考えの際は是非参考にしてみてください。


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ESGとは

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせたものです。これらは企業が長期的に成長するために考慮すべき重要な観点で、環境問題や社会問題への対応が世界的に重視されています。

それぞれ3つの観点において、企業は以下のような課題に対して取り組みを行っています。

環境(Environment) 気候変動、自然資源の枯渇、海洋プラスチック汚染、生物多様性の減少
社会(Social) 過重労働、給与未払い、ハラスメント、ジェンダー差別、人権侵害、不衛生な職場、誤解を与える広告
ガバナンス(Governance) 不透明な意思決定、不適切な契約・商品販売、会計不正、不祥事の隠蔽

このようなグローバルで注目される課題に対して、ESG経営と称して企業が対策することによって、投資家などのステークホルダーに評価され、企業価値向上につながっていきます。

ESGの取り組み事例

企業のESGに対する取り組みは多岐に渡ります。ここでは、現在ESGの導入に力を入れている企業の取り組み事例について解説していきます。

トヨタ自動車

環境(Environment)

事業活動全体を通じて環境負荷を低減し、持続可能な社会・地球環境の実現を目指しています。

 

1960年代から環境問題への取り組みを続けてきており、特に「トヨタ環境チャレンジ2050」では、CO2をゼロにするというチャレンジと、気候変動対策・資源循環・自然共生を実現することを定めて推し進めています。

社会(Social)

「幸せの量産」を目指し、SDGsの実現に貢献することをトヨタの社会への取り組みの目標としています。具体的には、各種の社会課題に対して「自分事」として取り組む姿勢を持ち、さまざまなパートナーと連携を図っています。

 

また、人財育成においてはトヨタの研究開発者などを集め、燃料電池自動車教室を開くなど、子どもたちの学びやモノづくりへの関心を育む活動を展開しています。災害時の車両貸し出しや移動型バリアフリートイレの開発など、自動車を製造販売する企業ならではの貢献を積極的に行っています。

ガバナンスGovernance

持続的な成長と企業価値の向上を目指し、トヨタはガバナンス体制の確立に努めており、具体的に以下のようなポイントを掲げています。

 

・コーポレートガバナンス:取締役会や監査役会の適切な運営など
・リスクマネジメント:カーボンニュートラルや自動運転など不確実性の高い自動車産業で起こりうるリスクへの対策
・コンプライアンス:「トヨタ行動指針」に基づき、贈収賄防止や人権などの現代の事業環境や優先課題を反映した取り組み

BMW

環境(Environment)

CO2排出量削減や温室効果ガス排出量を抑える取り組みを積極的に進めており、各部門でこの考え方が浸透しています。特に、2030年までの明確な目標を設定し、電気自動車の販売拡大、各車両のライフサイクル全体にわたるCO2排出量削減、生産拠点でのCO2排出量削減などを計画しています。

 

また、太陽エネルギーや水力などの再生可能エネルギーを活用した生産を掲げていたり、スチールの再利用やCO2フリーの鉄鋼生産など、リサイクル可能な原材料の使用を推進している点も特徴的です。

社会(Social)

BMWには113カ国から集まった約12万人の従業員が所属していることもあり、「ダイバーシティ(多様性)」を大きく掲げております。差別をなくし、平等な処遇や日常におけるリスペクトなどが重要な要素です。

 

また「インクルージョン(社会的一体性)」の観点で、障がいの有無にかかわらず平等に働ける環境の構築を目指しています。

日本郵政

環境(Environment)

日本郵政は、TCFDの提言に賛同し、気候変動が事業に与える影響の分析や情報開示を進めています。また、以下のような取り組みを行っています。

 

・郵便配送車両をガソリン車からEV車両への切り替えを推進
・郵便局に充電設備を設置し、地域住民向け充電サービスを提供することで、地域のカーボンニュートラル化を促進

社会(Social)

社会に向けて、以下のようなさまざまな取り組みを実施しています。

 

終活に関する事業者を紹介するサービスを提供
・かんぽ生命保険では保険金を支払うだけではなく、「すこやかんぽ」というアプリを通じて予防や健康増進を支援
・次世代教育として、子どもたちへ手紙の書き方体験授業や金融の教育を実施
・JR東日本と共同で、郵便局で乗車券の販売やSuicaの発売・チャージなど駅窓口業務も取り扱えるように推進

ガバナンスGovernance

日本郵政グループは、持株会社である日本郵政株式会社を中心に、適切なコーポレートガバナンス体制を構築し、グループ全体の適切なガバナンス実現を目指しています。

 

株主の権利保護、ステークホルダーとの対話、適切な情報開示、取締役会の監督のもとに迅速な意思決定と業務執行などを掲げています。

キヤノン

環境(Environment)

キヤノンは、2050年までに製品ライフサイクル全体でCO2排出量をゼロにすることを目指しています。2030年には、2008年から続けている目標「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善」を達成し、累計で50%の削減が掲げている目標です。

 

具体的には、製品ライフサイクル全体での省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの利用、資源循環を通じたCO2削減などに取り組んでいます。

社会(Social)

キヤノンは、人権の尊重、ダイバーシティの推進、社会文化の支援活動など取り組みは多岐に渡っています。具体的に一例をご紹介すると以下の通りです。

 

・人権についての懸念を通報できる内部通報窓口を国内外で設置
2025年末までに女性管理職比率を2011年比で3倍以上にする
男性の育児休業取得率を50%以上にする
・芸術・学術・スポーツ支援・災害支援などへの取り組み

ガバナンスGovernance キヤノンではガバナンスを大きく4つに分けて、自社の考えを提唱しています。
1. コーポレート・ガバナンス:透明性と経営監視の強化を基本とし、全役員と従業員の倫理観と使命感を重要視しています。
2. リスクマネジメント:業務の適正保持と企業価値の向上に向けて、事業運営に伴う重大リスクの管理体制を徹底しています。
3. 知的財産マネジメント:研究開発による成果の1つである知的財産の保護を重視しています。
4. ブランドマネジメント:キヤノンロゴの適切な使用と保護を通じて、ブランド価値の向上を図り、ブランドの「共創」を目指しています。

SOMPOホールディングス

環境(Environment)

掲げている環境ポリシーにおいて、地球環境を未来に引き継ぐため、業務プロセスに環境配慮を組み込み、ステークホルダーと協働して環境問題に積極的に取り組むことを目指しています。具体的な動きとしては以下のとおりです。

 

1. 自然災害リスクに対応する商品・サービスの提供と低炭素社会への貢献
2. 省資源、省エネルギー、資源循環の推進とバリューチェーン全体での環境負荷低減
3. 環境問題に対する意識啓発と環境・地域貢献活動の推進

社会(Social)

グローバル全体のステークホルダーの基本的人権を尊重し、持続可能な社会の創造に向けて高い倫理観を持って行動することを目指しています。

 

具体的には、2013年にダイバーシティ推進本部を設置し、イノベーション創出と社員の幸福度・やりがいの向上を目指し、すべての社員が多様な才能や強みを活かして働ける環境を推進しています。

 

ジェンダーギャップ解消に向けて、女性管理職比率を30%以上にする目標を設定し、様々な育成プログラムを実施しています。2023年4月時点で女性管理職比率は28.1%に達しており、ダイバーシティ経営企業100選やなでしこ銘柄に複数回選定されるなど、外部からも高い評価を受けています。

ガバナンスGovernance

ガバナンス面では、監視役会を設置する一方で、指名・報酬委員会とのハイブリッド型の企業から指名委員会等設置企業に完全に移行しました。

 

これにより、監視と業務執行の分離が可能となり、更に高い透明性と公正性が示されるようになりました。

花王株式会社

環境(Environment) 製品を通じて消費者が日常的に環境保護に取り組めるようにすることを支援しています。これには、節水・省エネ型製品、詰め替え・つけ替え可能な省資源型製品、コンパクト化や濃縮化による製品、およびプラスチック資源のリサイクルが含まれます。また、ビジネスパートナーと協力して、持続可能な原材料への転換、製品配送の効率化、PETボトルの再利用などを進めています。
社会(Social) 社会に対する取り組みとして、社会課題をビジネス手法で解決するために、次世代の社会起業家を育成支援したり、地域の方々に向けてコンサートを行ったり、年齢・性別・障がいの有無に関わらず楽しめるボッチャというスポーツの普及など、さまざまな活動を支援しています。
ガバナンスGovernance 花王ではガバナンスのために以下のような取り組みを行っています。
花王ビジネスコンダクトガイドライン(BCG)の強化:「花王ウェイ」と呼ばれる経営理念に基づき、法令遵守、透明性の高い経営、社員の倫理観の強化などを目指すガイインを定めています。
贈収賄防止ガイドライン:贈収賄を防止するためのガイドラインを設定し、接待・贈答の提供・受領金額の基準を定め、事前報告を義務付けています。
マネーロンダリング方針の導入:2021年10月にマネーロンダリング方針を導入し、反マネーロンダリングの姿勢を強化しています。

ユニリーバ

環境(Environment) 環境に関して行っている取り組みをいくつかご紹介します。・水資源の保全:2008年以来、製造現場での水使用量を生産量1トンあたり約50%削減してきました。・製品の使用による温室効果ガス排出量の削減:製品の使用はもちろん、家事などで発生する温室効果ガス排出量も含めて、2030年までに半減することを目指しています。
社会(Social) ユニリーバは2014年に「公正な報酬のフレームワーク」を作成しました。グローバル全体の従業員に対して、生活賃金を支払うことを約束しています。そのために過度な労働時間を強いたり、賃金の男女不平等が起こらないように、毎年コンプライアンスの監査を行っています。

富士フイルムホールディングス

環境(Environment)

環境面では、気候変動への対応、資源循環の促進、脱炭素社会の実現、製品や化学物質の安全確保に取り組んでいます。

 

具体的には、カーボンニュートラルの実現、太陽光発電など再生可能エネルギーの利用、化学物質の安全管理などに注力しています。また、バイオ医薬品の開発や製造受託においても、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用して環境負担の低減に努めています。

社会(Social)

社会面では、多様性の尊重と推進、差別の禁止に重点を置いています。

 

国籍、年齢、性別などに基づかない平等な機会の提供、女性や外国人の積極的な登用、障害者雇用の促進などに取り組んでいます。2030年までには、外国人の基幹ポスト占める比率を35%に増やす、グループ全体の女性役職者の比率を25%にするなど具体的な目標を設定しています。

ガバナンスGovernance

ガバナンス面では、誠実かつ公正な事業活動を通じて、持続的な成長と企業価値の向上、社会の発展への貢献を目指しています。

 

内部監査・監査役監査・独立監査人による監査体制の強化、独立社外取締役の積極的な活用、顧客満足を重視した窓口対応の改善などが進められています。また、医療機器分野における公式なガイドラインに従った営業活動や、透明性の確保のための情報開示も行っています。

三菱ケミカルグループ

環境(Environment) 三菱ケミカルの環境に関する具体的な取り組み例は以下の通りです。・大陽日酸は、再生可能エネルギーを利用した「オンサイト型CO2フリー水素充填システム」を設置し、水素社会の実現に向けて貢献
子どもたちが地球温暖化に関する理解を深めるためのゲームを提供
社会(Social) 三菱ケミカルの社会に関する具体的な取り組み例は以下の通りです。・大陽日酸では、従業員の健康を重視し、単身赴任者に対して人間ドックおよび脳ドックの受診を義務化しています。疾病の早期発見と重篤化の防止が目的です。
危険物である化学物質などを取り扱うためのドライバーの人材不足を背景に、「ホワイト物流」推進運動に賛同し、安全で持続可能な物流環境の確保へ取り組んでいます。
ガバナンスGovernance 三菱ケミカルグループでは、経営の透明性や公正性を高めるために、指名委員会等設置会社を設置し、監督機能の強化と意思決定のスピードを上げることを狙っています。経営の監督を行う役割は、取締役会・指名/監査/報酬の3つの委員会が担う形です。

日鉄ソリューションズ

環境(Environment) 地球環境保全を経営の最重要課題の一つと位置付け、経済活動と環境保全の両立を目指しています。特に気候変動に対応し、TCFDへの賛同、温室効果ガス削減、循環型社会構築などに注力しており、エネルギー効率の高いデータセンター運用や気象衛星「ひまわり」を用いた気候変動監視などの取り組みを展開しています。
社会(Social) IT技術の進化を背景に、お客様と共に社会のニーズに応える新しい価値の創造に取り組んでいます。IoTソリューションによる安全な作業環境の実現、品質管理の強化、ダイバーシティ&インクルージョン施策、働き方改革、健康経営などを進めており、これにより社会的課題の解決を目指しています。
ガバナンスGovernance 健全かつ持続的な成長と企業価値の向上を目指し、適切なコーポレートガバナンスの仕組みを確立しています。グループ行動規範「グローバル・ビジネス・コンダクト」を通じて、すべての人権を尊重し、高い倫理観をもって事業活動を行っており、プロジェクトリスク管理や品質管理を組織的に徹底することを推進しています。

まとめ

本記事では、企業のESGに対する取り組み事例を中心にご紹介しました。

本記事が、経営者・役員・企業のガバナンスに関係する担当者の方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。