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【人事必見】評価項目の設定方法とは?設定時のポイントやサンプルまでご紹介!

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

成長ベンチャー企業が直面する
よくある「人事問題」事例集

成長ステージごとにも解説!

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人事評価の見直しを検討する際に、どのような評価項目を採用すれば良いか悩まれている人事担当者も多いのではないでしょうか。

評価項目の内容は、実際に現場で働く社員のモチベーションに紐付くため、慎重に項目を吟味してから反映させる必要があります。

そこで今回の記事では、

人事評価項目の種類には何があるか
評価項目を決める際のポイントは何か
評価項目の設定手順

の3点を中心に解説していきます。今回の記事をお読みいただければ、各評価項目の内容をご理解いただくだけでなく導入イメージも掴んでいただけます。

尚、改めて評価制度について学び直してから評価項目の見直しを検討したい方は、以下の記事で詳しく解説しておりますのでこちらをご覧ください。
評価制度とは?評価制度の目的・種類・制度の導入時に考えるべきポイントを解説


評価項目とは?

評価項目には一体どのような項目があるのでしょうか。

多くの方がご存じ、または容易に想像のつきやすい項目は成績評価だと思いますが、実際には以下3種類の項目が主に存在しています。

成績評価
能力評価
情意評価

それでは、各評価項目について以下にて詳しく解説していきます。

【前提】評価項目の目的について

そもそも評価項目を設定することの裏には、どのような背景があるのでしょうか。

具体的には、以下4点の目的が挙げられます。

ビジョンやミッション、行動指針などを社員に広く浸透させるため
各社員の処遇を公平に判断するため
人材の育成のため
最適な人員配置の参考材料に活用するため

本項では評価項目の目的について詳しく言及することを避けますが、上記についてより詳細な内容に触れたい方は以下の記事を参考にしてください。
【人事必見】人事評価の項目とは?項目の種類や評価項目例、参考事例をご紹介!

項目①:成績評価

成績評価(業績評価)とは、評価期間内における業務成績を基準とした評価項目を指します。

評価期間の開始初期に上長と設定した目標を、評価期間の終了時点でどの程度達成できたかによって評価します。

この時、ただ目標設定に対してどの程度達成できたかを評価するのではなく、達成に至るまでのプロセスも含めて評価するケースが多いでしょう。
例)営業職:目標売上50万円、実績売上40万円
目標に対して10万円下回っているため、目標に対しては未達という判断になりますが、
・目標に対する達成率は何%か
・目標達成に向け毎日何件の新規提案に出向いたか
など客観的に判断できるプロセスを評価に加味します。

項目②:能力評価

能力評価とは、企画力や実行力、改善力など日々の業務遂行に必要な能力がどの程度備わっているかを基準とした評価項目を指します。

具体的な項目例としては、
・企画力:所属部署や担当業務に関して提案を行えたか
・実行力:担当業務を独力で行えたか
・改善力:業務改善を行えたか
などが挙げられます。

上記の他に、リーダーシップやリスク管理能力などの指標もあり、等級(役職)や部署によって求められる能力を項目として設定します。

成績評価とは異なり、日々の発言や行動、影響力の大きさなどを基に主観的な評価が求められる点が特徴です。

項目③:情意評価

情意評価とは、勤務態度や業務に対する意欲の高さなどを基準とした評価項目を指します。

具体的な項目例としては、
・責任性:職務を全うする姿勢
・協調性:部署を問わず周囲と協力できたか
・積極性:自主的に業務に取り組めたか
などが挙げられます。

その他には各会社が独自に自社が重視する要素に応じて、遅刻や早退を含む勤務態度や研修やeラーニングなどの学習姿勢を評価する学習意欲、礼節・マナーを項目として設けるケースもあります。

その他評価項目

ここまで基本的な評価項目について解説してきましたが、近年日系企業でも導入が増えている評価項目があります。

具体的には以下3点の評価項目です。

コンピテンシー評価:仕事のできる人の行動特性(コンピテンシー)を基に評価する項目
360度評価:被評価者を中心に様々な立場の関係者が評価する項目
バリュー評価:所属する会社の価値観や行動基準(バリュー)をどの程度実践できたかを評価する項目

こちらの評価項目については、以下の記事にて詳しく言及しておりますのでご興味のある方は是非ご覧ください。
【人事必見】人事評価の項目とは?項目の種類や評価項目例、参考事例をご紹介!

評価項目を決める際のポイントとは?

評価項目を決める際はどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。本項では、以下3つのポイントについて解説いたします。

・評価項目の分類
・等級に応じた項目設定
・部署や職種に応じて評価項目を調整する

詳細は以下にて順々解説していきます。

ポイント①:評価項目の分類

先述の通り、評価項目は基本的には以下3つに大別されます。

成績評価
能力評価
情意評価

各評価項目において評価対象とする内容が当然異なるため、どれか1つの評価項目を採用して設計するのではなく、組み合わせて評価項目を設計することをお勧めします。

例えば、成績評価は上長と設定した目標数字に対してどの程度達成したかなど定量的に評価できる内容を対象にする分、各社員の能力や勤務態度などの定性的な部分を評価することはできません。

事業部や部署によっては、各社員が持つミッションの難易度に差があることも多いため、複数評価項目を採用して公正な評価判断ができるようにしましょう。

ポイント②:等級に応じた項目設定

所属する会社内で定められた、等級(役割)や職種ごとに求められる役割や与えられた権限、能力の大きさ、成果の大きさなどをもとにして評価項目にすると良いでしょう。

等級では一般社員や主任、係長などと職位が決まっており、それぞれに評価項目を設定します。

例えば、1,2等級の一般社員は調整や問題対応、作業管理項目など、3等級の主任はリーダーシップや組織管理、業務改善項目などを評価項目に据えます。

等級制度の作成方法については以下の記事で詳しく解説しておりますので興味のある方は参考にしてください。
等級制度とは?3種類の等級制度と作成方法・導入事例について解説

ポイント③:部署や職種に応じて評価項目を調整する

評価項目は、所属の部署や職種に応じて調整することが必要です。

例えば営業職と事務職では、各職種にて重視される評価項目が異なります。具体的には、営業職では交渉力が重視されるのに対し、事務職では各事務処理における正確性が重視されるでしょう。

職種間での重視指標が異なっているため、各指標に点数のウェイトを持たせることで職種間での評価差を正すことができるでしょう。

評価項目とグレード(等級)数の関係とは?

ここまで評価基準の項目について解説しましたが、実際に社員を評価するためには各社員のグレード(等級)を決める必要があります。

この時登場する問題として、グレード数をどのように決めれば良いかという点が挙げられます。

グレード数が多い場合と少ない場合のメリットとデメリットに触れつつ、どのように運用すべきなのか解説いたします。

グレード(等級)数が多い場合のメリット/デメリット

グレード(等級)数が多い場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:昇格(グレードが1段階以上上がること)へのモチベーション向上
昇格時の昇格幅が小さいため、昇格の基準を緩やかかつ細かに設定することができます。そのため、昇格することへのモチベーションを高めることが可能です。

デメリット:昇給額が小さいことによる金銭面への魅力付けが弱い
昇格に対するモチベーションは上がる一方、昇格時の昇給幅は小さくなるため給与アップによる社員の動機付けは困難と言えます。

グレード(等級)数が少ない場合のメリット/デメリット

グレード(等級)数が少ない場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット:昇格時の達成感の大きさ
昇格数が少ないため、昇格するためのハードルが高くなります。そのため、困難なハードルを超えて昇格した時の達成感や昇給額の大きさによる金銭的モチベーションの向上は非常に大きいでしょう。

デメリット:評価が得られにくい社員のモチベーション維持が困難
昇格の機会が少ないことにより、なかなか評価を得られない社員はモチベーションを上げにくいでしょう。そのため、昇格以外の手段により社員のやる気を持続させる仕組みを別に用意する必要があります。

【対策】グレード数(等級)と役職数を一致させる

上記のメリットとデメリットを踏まえ、おすすめの対策方法はグレード(等級)と役職を一致させることです。具体的には、G4グレードであれば局長、G3グレードであればマネージャーなどのように固定します。

もし仮にグレードと役職を別々に運用した場合、別々の評価基準が複雑になります。その結果、
評価の決め方と賃金への反映方法が複雑化する
役職を与えなくても昇格させることが可能なため、上位グレードに低い役職者や役職のないものが昇格する
といった評価にねじれが発生します。

結果、グレードの仕事レベルとは関係なく役職者が増えることで社内からの反感を買い、仕事へのモチベーションが下がる社員が続出するでしょう。

評価項目の設定手順とは?

事業拡大に伴い事業部や部署が増えることで人事制度を見直したり、スタートアップ企業の人員増加に合わせて人事評価制度を導入する必要性が出てきたり、など人事評価項目を検討するご担当者様は多いのではないでしょうか。

そこで本項では、具体的な評価項目の作り方について順々に解説していきます。

尚、本稿の解説をきっかけにより制度の設計方法について学びたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
人事制度における評価基準の作り方とは?評価基準の種類・目的・必要性・注意点について解説

手順①:役割/業務について整理して洗い出す

まず着手すべきことは、職務の定義についてです。

この際に重要なことは、一度業務を細分化して職務として特定することです。そして、評価項目として作成する項目を厳選・選定することです。

この際、日常の業務評価に関する項目が多く採用されやすい傾向にあるため、会社の方針や理念、業績などを反映した項目を選定し、評価制度が有効活用されるように注意しましょう。

手順②:役割の難易度を決める

次に実施することは、役割の難易度を設定することです。

この時に最も一般的な方法は、従業員を大きく3つに分けることです。

分け方については会社によって異なりますが、
一般等級:一般従業員
リーダー等級:主任や係長などの中間管理職
管理等級:課長や部長などの管理職で監督する立場
の3つに分けることが一般的です。

手順③:等級数を設定する

役割の難易度が決まった後は、各等級にどのような仕事が求められているかを記載するマニュアルを作成します。

その際、各等級の目標や仕事内容も併せて作成、マニュアル化することで、より社員に分かりやすくなり浸透しやすくなるでしょう。

手順④:等級ごとに求められる役割を設定する

評価基準を設定後は、評価内容を数値化する必要があります。各等級に求められる職務レベルを数値化することができれば、公正な判断が可能となります。

また、成績評価・能力評価・情意評価の各項目について部署や職務ごとに分け、その配分を決める必要があります。

職務によって評価のレベルは異なるので、公正な評価を行うためには先述の通り役職や職種間に評価項目のウェイトを設けると良いでしょう。

手順⑤:業務プロセスや行動に関する評価基準も考える

従業員の売上や目標の達成度など数値化できる実績に注目する傾向にありますが、そうした業績評価だけでは、数値化しにくい業務に従事している従業員の不満に繋がりかねません。

また、勤続年数が長い社員は業務への理解が深いため業績が上がりやすく、勤続年数が短い社員は評価されにくくなる、キャリアの長さに依存する評価格差が発生する危険性も孕んでいます。

手順⑥:作成した評価基準の導入と運用に向けた環境を整える

作成した評価基準を導入するだけでなく、運用に向けた環境を整えることも重要です。

評価基準は実際に活用されることで活かされるので、制度を定めたら終了ではなく、実際の業務に落とし込めるところまで環境を整えましょう。

その結果、会社の中での評価基準が定まり、少しづつ従業員の不安要素を取り除くことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では、評価項目の種類や評価項目を決める際のポイント、評価項目とグレード数の関係、具体的な項目の設計方法をまとめてみました。

会社の立ち上げ直後やスタートアップ企業の人員拡大に合わせて設計するだけでなく、どの成長フェーズにある会社でも可変的に設計し直しされるものですので、設計時期に合わせて組織の課題を再定義してうまく作り替えていくことが重要です。

その際、設計内容に対して社員から反感を買うこともあるかと思いますが、都度社員からのフィードバックに向き合い、設計して終わりではなく受け入れられる制度を目指して日々改善していくと良いでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます!

       
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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。