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人事評価面談|面談の目的・進め方・ポイントについて解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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人事評価面談は、従業員の評価を決めるにあたり、非常に重要となってきます。しかし、面談の実施方法に不備があると、満足のいく効果を得ることができません。

本記事では、効果的に人事評価制度を運用していくために、人事評価面談の目的や進め方、運用ポイントについて説明します。

人事評価面談とは

人事評価面談は、評価者(上司)と被評価者(部下)の間で定期的に行われる面談です。面談を実施するタイミングは企業によって異なりますが、通常は半年ごと、または1年ごとの周期で行われます。

一般的に、面談は直属の評価者(上司)と被評価者(部下)の間で個別に行われますが、時折、複数の評価者が同席する形式の人事評価面談も存在します。

また、評価面談を実施することで、従業員の離職率の低下に繋がります。

上司からの評価と部下の自己評価の間にギャップがあると、部下のモチベーションが低下する可能性があります。評価面談では、部下に自身の仕事を客観的に評価する機会を提供し、上司も部下の本音に接しやすくなります。そのため、両者で認識が一致しやすくなり、双方が納得できる人事評価が期待できます。

人事評価面談の目的

人事評価面談は、多くの会社で人事評価をするために取り入れている施策になりますが、面談を通して人材育成やマネジメントなど目指していくことも目的に含まれます。そのため、人事評価面談の持つ目的をしっかりと把握したうえで効果的な人事評価面談を実施していきましょう。ここでは、以下の4つの目的について解説していきます。
・人事考課
・人材育成
・モチベーション向上
・人材マネジメント

人事考課

人事評価面談を実施する目的の1つは人事考課です。人事考課は、部下の成果や能力などを上司が評価することです。この評価結果を基準に、従業員の給与面や昇格および降格、賞与などを含めた待遇を検討します。

人事考課に関わる従業員の情報は、機密性が高く非常に重要な情報ですので、その内容は社内で非公開とするようにしましょう。

人事考課については次の記事もご参照ください。
人事考課制度の作り方|会社と社員へ与える影響と運用の注意点を解説

人材育成

人事評価面談の目的の2つ目は人材育成です。人事評価面談において、上司と部下が一緒に業務の取り組みを振り返りながら、良かった点や改善すべき点を考えて話し合います。一部の部下では、自己分析が不十分な場合もありますので、第三者視点から部下の強みや改善すべき点を上司が伝えることで、部下は主観的な考えに囚われず、より正確に自身の現状について把握することができます。

さらに、会社が従業員を評価するだけでなく、将来的に期待することについて上司から部下に伝えます。これからチーム一丸となって進むべきベクトルを合わせていくことで、人材育成を促進する役割を果たします。

モチベーション向上

人事評価面談の目的の3つ目は部下のモチベーション向上です。これを動機形成とも呼びますが、人事評価面談において、部下の動機形成を図ることも重要な目的となります。

過度に業務や成果に集中すると、仕事のやりがいや何のために仕事をしているのかという点について見失ってしまうことがあります。そのため評価面談において、部下のモチベーションを維持・向上させていくために、自身が取り組んでいる仕事の意義や目的などを伝え、意欲高く仕事に取り組むことができるような機付けを行います。

人材マネジメント

4つ目は人材マネジメントです。人事評価面談を実施することで、上司と部下の関わり方やマネジメント、更には同じチームのメンバーとの関わり方についても考える良い機会になります。

チーム目標や方針・計画について、現在の進捗状況を確認し、なぜそのような結果となったのか振り返りを行うことは必要です。計画や業務の進行がうまくいかない原因として、マネジメントが1つの要因であることも多く、仕事の割り振りやスケジューリング、メンバーのモチベーションなど、チームの生産性向上に向けてこれまでを振り返る機会と捉えて改善していきしましょう。

人事評価面談の進め方

人事評価面談において、部下と十分にコミュニケーションをとり、効果的に運用していくことができるような面談の進め方を紹介いたします。
1.面談の準備
2.面談の場所の確保
3.アイスブレイク
4.目的の共有
5.自己評価のヒアリング
6.評価結果のフィードバック
7.課題の共有
8.解決策の確認
9.新たな目標設定・今後のビジョン

1.面談の準備

人事評価面談を行う前に、面談の中で部下に伝える評価や質問事項についてまとめておくようにしましょう。評価をフィードバックするにあたり、部下が納得することが重要です。そのため、評価にあたっての根拠を示しつつ評価を伝えるようにしましょう。

また、面談において部下が話したいと思われる内容を事前に想定し、適切な回答を準備しておくことも重要となります。

2.面談の場所の確保

人事評価面談は、部下と2人でリラックスして話すことができる静かで落ち着いた個室で行いましょう。他の従業員に聞かれるような場所や大きな音がする場所では、部下は面談に集中できません。また、部下が話したいことがあったとしても、その場で話すことを諦めてしまうことも考えられます。

そのため、必ず周りに人がいない静かで、落ち着いた雰囲気の場所で実施しましょう。また、人事評価の重要性も伝えるために、面談は個室で行うことがより好ましいです。

3.アイスブレイク

面談を始めるにあたって、部下の緊張を和らげるために、面談の冒頭でアイスブレイクを行うようにしましょう。人によっては、緊張や委縮してうまく話せないこともあります。

部下をリラックスさせるために、部下の良かった点を話すことも有効な方法になります。アイスブレイクを行うことで雰囲気が和やかになり、上司も評価やフィードバックをスムーズに話すことができます。

ただし、面談の時間も限られていますのでアイスブレイクが長くなりすぎないように注意しましょう。

4.目的の共有

お互いリラックスした後に、人事評価面談の目的を部下に共有するようにしましょう。評価面談の目的が双方で一致していないと、部下が評価に納得せず、部下のモチベーションを低下させる可能性があります。

ただし、部下に目的を伝える際には、そのまま伝えるのではなく、面談のゴールとそのゴールへの道筋を具体的に部下に伝えるようにしましょう。

5.自己評価のヒアリング

目的の共有後、部下から自分自身の評価を聞くようにしましょう。重要な点は、先に自己評価を話してもらうことです。もし先に上司が評価を伝えると、率直な自己評価を話しづらくなってしまう可能性があるからです。

部下が自己評価を話している間は、上司が途中で遮ることなく、最後まで部下の話を聞くようにしましょう。部下が自身の意見が受け入れられていないと感じると、部下は率直な意見を言わなくなってしまうこともあります。部下が自分の意見を適切に伝えることができるよう、最後まで注意深く聴くことを心掛けましょう。

6.評価結果のフィードバック

部下から自己評価を聞いた後に、上司が部下に評価のフィードバックをします。その際に、まずマイナスなことを伝えるのではなく、部下の良かった点、活躍した点のフィードバックから始めるようにしましょう。その後、部下の改善点について言及していくようにします。

部下からしてみると、否定的な評価を受け入れることは心に余裕がないと難しいでしょう。部下がしっかりと評価を受け入れることができるよう、話の順番や表現を工夫して、理解してもらえるような丁寧な伝え方を心掛けましょう。そのためには、面談を行う前に部下の周りの従業員から話を聞いておくことも有力です。

なお、人事評価のフィードバックは、それぞれの状況に合わせて実施するようにしましょう。人事評価面談で行うべきか、日々の業務で都度伝えていくべきか、目的に対してより効果的なフィードバックとなるよう、状況に合わせて見極めていきましょう

7.課題の共有

自己評価を部下から聞き、上司からも評価を伝えた後に、課題点についてお互いで共有するようにしましょう。一方的に上司が部下の課題を決めて伝えることは好ましくありません。

お互いの評価におけるギャップが生じている部分について、部下に質問し掘り下げていくことで、課題を共有していきます。改善すべき課題点について、しっかりと部下が納得できるためには、部下自身も課題点を把握することが必要になります。

8.解決策の確認

課題を共有したら、その課題解決について対応策を共有していきます。どうすれば課題を解決していくことができるか、具体的な行動目標を定めます

部下がモチベーション高く行動に移していくことができるよう、部下のキャリアプランも確認したうえで、部下自身に解決策を考えてもらうようにしましょう。

9.新たな目標設定・今後のビジョン

面談の最後に次の目標について部下とすり合わせを行いましょう。今回の面談で洗い出された課題点とその改善策についてしっかりと整理し、お互いに確認したうえで、次回の人事評価面談までに実施する行動方針や目標の方向性を合わせていきます。

その際に、より本人が課題を理解することができるよう、部下に課題を整理してもらうようにしましょう。もし、曖昧な点があった場合は、改めてお互いにすり合わせを行いましょう。

また、面談終了時には、部下のモチベーションを向上させるため、今後、部下に期待することを伝えておきましょう

人事評価面談のポイント

ここまで、人事評価面談の進め方について見てきました。次に、より良い人事評価面談を実施するためのポイントについて解説していきます。人事評価面談では、以下の3点を十分に意識するようにしましょう。
・入念な準備
・傾聴
・アフターフォロー

入念な準備

人事評価面談では、部下本人にとって公にしたくない繊細な情報を取り扱うため、周りに人がいないような静かな個室など、部下に配慮した環境で実施するようにしましょう。また、場合によっては、面談が長引くこともあり得ます。そのため、リラックスして落ち着いて面談できる場所を選ぶことも人事評価面談のポイントです。

次に、部下に伝えるべき評価について、きっちりと整理をします。部下が納得できなければ、面談をしたことで逆効果になってしまう可能性もあります。根拠と話の順序、表現等をしっかりと整理をしておきましょう。

最後に、部下から尋ねられる質問についても想定しておくことも重要です。部下の質問に対して上司が曖昧に回答してしまうと、部下の中には評価に納得することができないという人もいるでしょう。部下の日頃の行動や態度を整理したうえで、的確な回答を考えておきましょう。もしも、上司と部下の評価に差がある場合は、より注意して回答するようにしてください。

また、部下に伝えるうえで、何を伝えたいのか要点を絞り、わかりやすく確実に伝えるようにしましょう。伝えたい内容が多すぎても少なすぎてもいけません。部下が評価に納得し、課題の改善に向けて自身が何をすべきか理解できるような面談を実施するようにしましょう。

傾聴

人事評価面談では、部下の自己評価に対し上司からフィードバックを行い、両者がしっかりと話し合うことで、お互いの認識のギャップを埋めていきます。

そのためにも、まずは上司が部下の話をしっかり聞くようにしましょう。自分の仕事について部下自身がどのように感じているのか、耳を傾けてしっかりと聞いてあげることで、部下が評価について納得できるだけでなく、両者の信頼関係も維持され、モチベーションも維持・向上できるといったメリットもあります。

アフターフォロー

人事評価面談において、評価だけを部下に伝える場となってしまうと、部下との信頼関係に影響が出てしまう懸念もあります。そのため、面談では、課題解決に向けた今後の目標をしっかりすり合わせましょう

また、面談終了後は、日々の中で部下のモチベーションに注意し、業務上のアドバイスを部下にしていくよう心掛けてください。アフターフォローにおいて、部下の目標意識を高めることも目的の1つです。部下を放置すると、面談の内容が欠落してしまう可能性があります。その結果、評価面談の意義が薄れるため、上司は部下に気を配っていくことが重要です。

人事評価面談の質問方法

人事評価面談において、部下が自己評価を伝える時に上手く伝えられない場面も想定できます。こうした場合、上司から質問をすることもありますが、決して誘導尋問のような質問にならないよう注意が必要です。上司の考えに沿うような質問をしてしまうと、部下の自己評価をしっかりと聞くことができなくなりますし、部下から不信感を持たれる可能性もあります。

部下からうまく発言を引き出すことができるよう、2つの質問方法をご紹介します。
・オープンクエスチョン
・肯定的な質問

オープンクエスチョン

1つ目は、オープンクエスチョンです。

部下に質問するにあたって、「はい」か「いいえ」で答えられるような質問は避けましょう。どうしても「どちらか」の回答を求める質問をしなければならない場面もありますが、常にこうした質問をしていると、話が進展しづらくなります。さらに、質問を受ける部下の立場になると、尋問を受けているような印象を抱かれる可能性もあります。

面談において、部下ができなかったと感じている点について触れた場合、「次はどの点を変えていけば、より良くなっていくと思う?」など話が拡がるだけでなく、部下から話を引き出せるような質問をしましょう。

肯定的な質問

2つ目は肯定的な質問です。

部下に質問する際に、否定的な問いかけをしてしまうと、部下は非難されているように感じてしまいます。できなかったこと、反省すべき課題について触れる際、部下に「どうしてできないのか」ではなく、「今後はどうしたらよいか」質問するようにしましょう。

まとめ

ここでは、人事評価面談の目的や実際の進め方などについてお伝えしました。

人事評価に関する面談の場を上手く活用することで、部下のモチベーションが高まり、従業員の成長と組織力の強化につなげることができます。

本記事が、ベンチャー・スタートアップ企業の人事担当者や新たに管理職に登用された方のご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

       
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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。