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経理業務の繁忙期はいつ?忙しい理由・残業が多い理由・経理業務の効率化について解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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経理業務に携わっている方であれば、決算や月初など忙しい時期をどのように乗り越えるか悩むこともあるでしょう。経理独特の性質として、決められた期日があるため避けられない要素もあります。

経理職としての経験が長い方にとっては、忙しい時期と忙しくない時期を感覚的につかめているかもしれませんが、これから経理職としてキャリアチェンジを考えている方や次の仕事で経理業務に携わる方にとっては、なんとなく6月が忙しいくらいの肌感の方もいるかもしれません。

この記事では、経理が忙しい理由や作業内容や業務を効率化するためのポイントを解説します。


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経理の繁忙期はいつ?

経理業務の繁忙期は、3月に締める企業であれば主に月初・3〜5月・年末に集中します。上場企業など業務量の多い職場でなければ、それ以外の時期はほぼ毎日定時で帰れるような期間が続きます。

ここでは、1ヶ月の中の繁忙期と1年の中での繁忙期について解説します。

経理業務の月次業務・年次業務については、次の記事もご参照ください。
経理部門の仕事とは?主な仕事内容・日次/月次/年次のサイクルについても解説

繁忙期:月次

経理部門は、基本的に月初が最も忙しくなります。月初には、月末に締め切った作業の後処理を行わなければなりません。遅くとも10営業日までには、すべての作業を終わらせるのが一般的で、その間の休みは取りづらく残業も多くなりがちです。

月次で行う経理業務には、以下のようなものがあります。
・取引先への請求書の発行
・伝票作成・仕訳
・取引先への入金
・決算処理(月次)
・給与の支払い
・源泉所得税・社会保険・税金・の納付
・入金の確認

まず、すべての取引先に前月に締めた分の請求書を発行します。経理初心者はこの作業だけでもかなり手間取ってしまうでしょう。そして自社に送られてきた請求書を元に伝票を作り、仕訳を行います。一般的に、企業間での取引では支払い期限が月末に設定されていることが多く、それまでに入金を済まさなければなりませんが、契約で決められた期日があればそれに従って支払い処理を行います。

請求書をすべて処理し終えたら、次に決算処理を行います。決算書などの財務諸表を、仕訳から作成したデータに基づいて作ります。他にも、経理部門が給与計算を担っていれば給与・各種社会保険・税金を計算し支払う手続き、さらに源泉所得税の納付や月末の取引先からの入金確認など、月初だけでなく月末にも重要な業務が集中するでしょう。

繁忙期:年次

年次業務では総決算業務があるため、月次業務と比べて忙しさは段違いです。法律で定められている通り1年に1度必ず決算で書類を作成し、決められた書式で提出する必要があるからです。上場企業の場合、さらに3ヶ月ごとに四半期決算も行うよう義務付けられています。ここでは、企業の間で多く見られる3月決算の例で考えてみましょう。

3月 ・決算関連の準備
・実地棚卸
4月 ・決算処理
・財務諸表の作成・提出
・株主総会の準備
・固定資産税(第1期)
5月 ・各種法人税の確定申告と納付
・消費税の確定申告と納付
・決算の申告
6月 ・住民税関連の処理
7月 ・源泉所得税の納付
・社会保険・雇用保険の更新
・月額算定基礎届の提出
8月・9月・10月 ・閑散期
11月 ・年末調整の準備
・従業員から各種控除に関係する書類の収集
12月 ・年末調整
・給与額から所得税の再計算
・源泉徴収票・給与支払報告書の作成
・賞与の計算・支払い
1月 ・償却資産申告書・法定調書合計表・給与支払報告書の提出
・源泉所得税の納付
2月 ・閑散期

3月が締めとなるため、決算関連の準備と実地棚卸を行い、4月から決算処理が始まります。決算で出来上がったデータに基づいて財務諸表を作成・提出し、株式会社であれば株主総会の準備をします。4月は固定資産税の第1期納付期限です。

5月には、各種法人税の確定申告と納付、さらに消費税の確定申告と納付もあります。仕上がった決算を申告するのも5月です。6月は従業員の住民税に関連した処理、7月は源泉所得税の納付・社会保険や雇用保険の更新・月額算定基礎届の提出があります。

11月は年末調整のための準備に入り、生命保険料控除・2年目以降の住宅ローン控除・地震保険控除など各種控除に関係する書類を各従業員から集める必要があるでしょう。

12月は年末調整本番で、確定した給与額から所得税を再計算し、源泉徴収票・給与支払報告書の作成、賞与の計算と支払いを行います。1月も忙しく、償却資産申告書・法定調書合計表・給与支払報告書を提出し、源泉所得税を納付するなど、税金関連の業務が多くあります。

これらすべてを通常業務をこなしながら同時並行で進める必要があるため、決算の絡む3〜5月、社会保険などの申告が迫る7月、年末調整に追われる12〜1月が年次業務関連で忙しい時期です。

経理に繁忙期がある理由

経理の業務が忙しい理由には、法律に関する業務や部門を超えた調整業務などさまざまな要素が絡んでいます。負荷の高い代表的な業務と、作業が多くなる理由を解説します。
・決算業務
・確定申告
・給与・賞与支払い
・年末調整
・株主総会

決算業務

決算は、経理の業務の中で最大の労力と煩雑さが発生する業務です。決算は税金を公平に支払い、融資元の金融機関や株主に正確な情報を提出するため法律で定められています。さらに、企業が経営状況を自ら把握するのにも役立つでしょう。

決算では、まず当期分の記帳を確定し、実地棚卸や残高確認で自社の資産を把握します。それに基づき、証憑綴り・総勘定帳・勘定科目明細書のデータを作成します。いずれも取引や金額の詳細を整理し、税務署をはじめとした行政機関への提出のために必要です。さらに減価償却を行って残高を確定し、決算書作成へと移ります。

決算で作成する書類は、財政状況を見るための貸借対照表・当期の利益と損失を記録した損益計算書・現金取引で資金の流れを見るキャッシュフロー計算書の「財務三表」がメインとなります。その他にも提出が求められる財務諸表をすべてミスなく作成し、提出しなければなりません。

決算書がすべて揃うと、法人税納付に関係する申告書を作成します。法人税・消費税・地方税申告書、法人事業概況説明書などを作成します。法人税の申告と納付は決算日から2ヶ月以内と決められているため、計算間違いや期限のプレッシャーと闘いながら業務をこなす毎日が続くでしょう。後述しますが、株式会社であれば株主総会の準備と開催をここで行い、そこで承認を受けてから申告書の提出と納税をします。

確定申告

法人の確定申告では、法人税・消費税・法人事業税などの各種税金の確定と支払いを行います。法人税は、決算で明らかになった企業の所得から算出します。個人でも確定申告により所得税を支払いますが、法人では益金と損金の差に法人税額をかけて計算した金額です。確定申告を行う期間は、事業年度終了日の翌日より2ヶ月以内と定められています。

消費税の確定申告は、顧客から受け取った金額と自社が支払っている税額との差額から算出し、翌年度の3月31日までに申告するよう定められています。法人事業税も、地方自治体に納める税金です。法人税と同じく各事業年度の企業所得に応じて発生します。事業そのものに課されるもので、物税であるため翌年の損金算入が認められています。

法人税関連では、さらに法人住民税も支払う義務があります。法人として行政サービスを利用することへの税金で、法人税割と均等割により構成・算出されます。これも地方自治体に納める税金です。しかし、均等割で算出される法人住民税は法人事業税と違い、赤字でも発生する税金であり、資本金や従業者数に応じて支払わなければなりません。

これら税金の確定と支払いのために、決算書に基づいて確定申告書を作成し、申告と納付を行います。確定申告の際には、勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書も添付する必要があります。

給与・賞与支払い

毎月の給与や年に数度の賞与計算と支払いも大切な業務です。経理部門が行うのが一般的なイメージですが、総務部や人事部が担うこともあれば、税理や社労士など外部に委託するケースも多くみられます。

契約時に決められた基本給に、各種手当や残業代を加えて総支給額を算出し、そこから税金と社会保険料などの控除を計算します。それらを総支給額から差し引いた手取り額で賃金台帳や給与明細を作成し、各従業員への振り込み手続きを行わなければなりません。そして差し引いた税金や保険料を納付します。

多くの企業では会計ソフトで済ませるのが通常ですが、従業員ごとに異なる控除や手当を正確に計算して支払い、税金を納付する必要があるため、必ず人の目でのチェックが欠かせません

賞与の場合も、契約や就業規則により定められた支給額から保険料や税金を計算し、最終的な賞与の手取り額を算出します。賞与の場合、毎月の給料計算とは異なり経験する機会が少ないため、細かなルールを忘れがちです。加えて、最新の保険料や税額を計算する作業を忙しい業務に追われながらこなすため、経理部門が担当する場合は大きな負担となります。

就業規則については、こちらの記事もご参照ください。
就業規則の作成について|就業規則の作成手順と記載事項・作成時の注意点も解説

年末調整

年末調整はすでに源泉徴収した所得税と、1年間の給与が確定して初めて算出できる正確な徴収額の過不足を精算する業務です。まず、担当者はすべての控除書類を従業員ごとに集めます。常に全従業員が余裕を持ち忘れずに提出してくれれば苦労はないのですが、各自が自分の業務で忙しく書類の提出が遅れることもあるため、トラブルが起きやすい業務です。従業員数が多ければ多いほど、書類集めの段階で苦労します

そして、各種控除金額に基づいて正確な所得税を計算し、源泉徴収票を作成します。従業員本人用・税務署への提出用・市区町村への提出用の3枚が必要です。その後、支払調書や給与支払報告書なども含む4つの書類を、関係各所に提出するために作成します

経理職でなくてもプレッシャーを感じる年末調整ですが、経理担当者は膨大な計算を1円たりとも間違えずにこなさなければなりません。

株主総会

株主総会(株主への業績報告の場合)は、決算日の3ヶ月以内に開催することが定められています。株主への招待通知と提出書類をすべて揃え、確定申告の準備と併せて5月末までにはすべての準備を終わらせなければなりません。

株主へは、事前に報告書や計算書類を送付して投資先企業の状態を把握できるようにします。株主総会では取締役からの報告だけでなく、株主から運営状況や会社の財務状況についての質疑応答も行われます。質問に納得のいく返答をして投資者と良好な関係を築く必要があるため、取締役や役員が問答想定集を持って備えておくのが通常です。

これらの準備と総会を無事終えると、前述のように決算申告と納税が始まります。

経理部門の残業が多い企業の特徴

中小企業やベンチャー企業・スタートアップ企業の経理職は、比較的残業が多くなる傾向にあります。経理部門の人員が足りないケースが多く、大企業ほどの高給を提示できないため応募者も集まりにくいからです。加えて、経験豊富でスキルの高い経理経験者ほど年収アップを狙って大企業へと集まります。このような事情から、大企業と比べると1人あたりの負担が増えるでしょう。

大企業でも残業は発生します。特に上場企業では決算の回数が増えることと、連結決算など業務そのものが複雑なため、年中忙しく業務のプレッシャーも非常に高くなります。経験を積んでくると、閑散期に入念な準備をして決算期でも残業ゼロを実現できる場合もあるでしょう。

加えて、トラブルやイレギュラーが発生すれば残業は多くなります。法規制があり残業時間には上限が設けられているものの、決算業務を放り出すことはできないため、残業で処理せざるを得ないこともあるでしょう。さらに、会計システムの未導入や非効率的な業務フロー、経理以外の業務も担当しているなどの理由で、残業が増えてしまう職場環境もあります。

経理の業務を効率化するには

経理の業務は、突き詰めると効率化できるポイントが多くあります。経験者ほど無駄な手間を減らし、事前の準備で繁忙期に備えています。以下は、経理業務を効率化するうえでポイントとなる項目です。
・徹底的な経理業務のシステム化
・ペーパーレス化の推進
・閑散期に効率化に向けた準備する
・外部業務委託の活用

徹底的な経理業務のシステム化

会計ソフトなどを導入して、業務をシステム化します。手入力や二度手間を減らし、自動で仕訳や記帳すればかなりの労力を減らせます。台帳や試算表を自動で作成し出先でも確認できるシステムなどもあり、効率化だけでなく財務状況の確認も瞬時に行うことができます。

経理業務のシステム化は、電子帳簿保存法の施行もありメリットだけでなく法的根拠を背景とした必要性が生じています。最初は1998年に施行された電子帳簿保存法は、帳簿や決算関連書類を電子的に保存することを定めた法律です。2022年の法改正により保存の際の「税務署寮による事前承認」が廃止され、経理業務をシステム化しやすくなっています

しかし、同時に電子データ保存の義務化も導入されたため、タイムスタンプ付与可能なシステムの導入やファイル名の管理なども徹底しなければなりません。

一定の条件を満たした場合のみ2024年1月以降も猶予が認められますが、原則2023年12月31日までに行う必要があります。会計情報の改ざんや不当な破棄などには強化された罰則もあり、早急にシステムの導入と理解が必要です。

経理業務のDX化については、こちらの記事もご参照ください。
経理業務のDX化とは?経理業務にDX化が必要な理由・メリット・ツール・DX推進のポイントについて解説

ペーパーレス化の推進

このような事情でシステム化が必須の経理業務ですが、いずれの場合でもペーパーレス化に務めることは業務の効率化に役立ちます。スキャナ保存を利用して紙書類の削減を計りましょう。レシートや伝票も、スキャニングで電子データ化できます。ペーパーレス化は、経理部門にとって目に見える成果の出る作業の1つです。

閑散期に効率化に向けた準備する

繁忙期を乗り越えると一息つきたい気持ちになりますが、閑散期を有効活用するなら次の繁忙期を効率よく処理できます。どれも基本的なものですが、以下のような内容に取り組んでみると効果を実感できるでしょう。
・業務改善
・各種プロジェクト対応
・知識のインプットやスキルアップ

業務改善

乱雑になっていた経理業務やワークフローを整理したり、マニュアルの見直しを行ったりしましょう。提案や実際の改善には、それなりの経験を必要とするでしょう。しかし経験が浅くとも、繁忙期の作業内容を思い出し、よく分からないまま終わらせた手順や何となく進めた作業を勉強し直せるはずです。

まずは独学で学べるものや復習できるものがおすすめです。忙しい時期に少なくとも1〜2つの苦手な作業をリストアップしておくのも効果的でしょう。作業自体は滞りなく終わったものでも、その会計処理の論理的な裏付けを勉強することで経験値を確かなものにし、今後のスピードアップやイレギュラー対応などのスキルを伸ばせるでしょう。

各種プロジェクト対応

組織再編や税制改正、新しい会計基準への対応は閑散期にも進められます。新しい論点や新基準への変更対応は、経理部門が主導することで進捗させられるでしょう。先のことを放置するのではなく、閑散期に進められるものを事前に処理することで、繁忙期の残業量を減らせます

決算に必要な情報収集やマニュアルの確認、事業部との事前調整などの準備が決算期の明暗を分けます。入念な準備は心理的な余裕にも繋がり、繁忙期のミスや心理的負担を減らすのに効果的です。

知識のインプットやスキルアップ

自分の担当分野やキャリアアップに必要となる業務の勉強に励むことも重要です。Excel(エクセル)の関数関連を学んだり、会計基準をより深く調べて各処理の根拠を頭に入れたりするなど、自分のスキルを高めるために必要な点を磨いていきましょう。

キャリアアップのためであれば、日商簿記1級や他の資格などを目指して試験勉強することや、英語を学んで国際会計基準や海外支社を担当できるようにしておくなどの学習に取り組めるでしょう。閑散期は定時帰宅も多くなるため、自由時間を活かしてスキルアップや自身の市場価値向上を目指すのが最善です。

経理職に役立つ資格については、こちらの記事もご参照ください。
経理職に役に立つ資格|資格が有利に働く場面とおすすめの資格について解説

外部業務委託の活用

組織的な課題が解決できない場合、外部へ委託する(アウトソーシング)のも非常に有効な手段です。近年では、オンラインで手軽に経理業務代行サービスを探せるようになりました。委託する業務も細分化されたサービスの中から選ぶことが可能で、一括での委託や記帳代行などいくつかの分野のみを依頼することも可能です。

当然ながら、上司や経営陣が導入してくれるかにかかっていますが、実際の作業効率やコスト削減をアピールして現場から提案できるでしょう。普段の業務上の課題から、委託すべき業務を見極めて焦点を絞ると説得力が増すかもしれません。

経理の業務委託については詳しくは、こちらの記事もご参照ください。
経理業務の業務委託とは?委託できる仕事内容・向いている人・メリット・デメリットを解説

まとめ

経理職の忙しさは独特であり、決算や書類提出の期限は変更できません。しかし、いくつか的を絞って効率化と準備に努め、勉強やスキルアップに根気よく取り組むなら、忙しい時期も比較的楽に乗り越えていけるでしょう。

この記事が、経理担当者として忙しく働いておられる方のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。