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経理部門の役割とは?経理と他部門の役割の違い・経理の役割における注意点を解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

CFOになるには?キャリアパスも解説

経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア

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経理部門は企業になくてはならない部門の1つです。経理の役割は多岐にわたるため「経理部門に配属されたが経理の役割がわからない」と思う方は多いようです。

そこで本記事では、経理部門の役割をご紹介します。経理部門と他部門の役割の違い、注意点やスケジュールについてもご紹介するため経理部門で働きたい方、異動を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

経理とは

経理とは「経営管理」の略称です。経理部門の目的は、企業活動で発生するさまざまな部門の会計情報を管理することです。各部門の人材、資金、資材などの情報を帳簿に記帳し管理します。経営資源を有効活用し、企業の目標達成に貢献できるでしょう。

経理が網羅する業務範囲は企業全体に及び、迅速かつ的確な業務遂行が求められます。経営層が見落としがちな「些細な重要な点」に気づき、提言することが重要です。経営層が重要な決定をする際、経理は必要な情報を提供し、経営層が意思決定できるようサポートします。そのため、経理部門は企業になくてはならない重要な部門であると言えるでしょう。

経理部門の役割

経理部門の役割は、主に企業の資金を管理することです。経理部門が果たす4つの役割をご紹介します。
・現金の出納業務
・帳簿などの記帳業務
・決算書などの集計業務
・従業員の給与計算業務

現金の出納業務

経理部門が果たす役割の1つに「現金の出納業務」があります。現金の出納業務とは、企業の金庫内の現金または銀行の預金通帳の管理を通して、企業が保有する金銭の入出管理・処理をすることです。この役割は「現金出納帳」と呼ばれる帳簿に記帳するまでが一連の業務となります。

現金出納帳には「入出金日」「その用途」「金額」などを記載します。企業内での業務上、交通費や備品購入などの立て替えで現金のやり取りが発生します。そのため、経理は一定額の現金を常備しておき、その都度対応することが求められるでしょう。

しかし、通常のやり取りは、銀行口座を通じて行われることが一般的です。このように毎日欠かさず、現金出納帳と実際の現金残高が一致しているかどうかを管理することが経理の役割の1つです。

帳簿などの記帳業務

「帳簿などの記帳業務」も経理部門の重要な役割の1つです。記帳業務とは、企業が行う日々の業務において発生する取引きを会計データとしてまとめ、帳簿に仕分けする作業のことです。仕訳は、現金増加の場合は借方、現金減少の場合は貸方の勘定科目への記入がなされます。

帳簿の記帳業務は「日次業務」「月次決算業務」「年次決算業務」とわかれます。日次業務は売上や支払い、交通費などの日常の企業活動の中で発生する資金を管理する業務です。請求書や納品書、領収書の発行などを行います。

月次決算業務は売掛金と買掛金の管理、給与計算です。売掛金の管理では、仕入先請求書に基づいて支払い手続きを行います。

年次決算業務は、年間の収益状況を決算書にまとめる作業です。

決算書などの集計業務

経理部門の役割には「決算書などの集計業務」もあります。集計業務とは、日々記帳された会計データをもとに、計算表や決算書を作成する作業のことです

決算書は、経営者および株主などの外部関係者に対し、企業の財政情報や経営状況を証明する書類のことです。近年IT化の推進にともない、会計ソフトを利用して総勘定元帳などの集計を自動で行っている企業が多く見受けられます

総勘定元帳とは、企業の経営で発生したすべての取引を記録する帳簿のことです。決算書は総勘定元帳をもとに作成されるため、必ず正確に記帳しなければなりません。

従業員の給与計算業務

従業員に支払う給与額を計算する業務も、経理部門の重要な役割の1つです。給与計算業務では、総労働日数や欠勤日数などの勤怠項目や各種手当、社会保険料や住民税などを算出します

給与の算出には、労使協定における控除項目を控除することも含まれます。控除項目は、会社で加入している保険料や、従業員が企業から借りた金銭などです。経理は、給与計算を正確に行うことで、企業の安定性に貢献します。

経理と他部門の役割の違い

経理部門は間接部門の1つですが、他の間接部門の役割とは異なります。一般的に企業規模が小さいベンチャー企業やスタートアップ企業などでは、経理部が他の部署の役割も担う傾向があります。しかし、企業規模が大きくなるにつれて、間接部門もより詳細に役割が分けられていきます。

ここでは、経理と他部署の役割の違いについて解説していきます。取り上げる他部署は、以下の通りです。
・財務部門との違い
・法務部門との違い
・労務部門との違い
・総務部門との違い
・庶務部門との違い

財務部門との違い

財務部門は、企業の未来の資金を管理することが主な役割です。具体的には「予算管理や資金調達」「金融機関との交渉」「貸付金や借入金の管理」「有価証券管理や社債管理」「余剰資金の運用」などがあります。

経理部門は現在の資金を管理することが主な役割であるため、財務部門の役割とは異なります。企業により、財務部門が果たす役割を経理部門が兼任するところもあります。

財務部の役割についての詳細は、以下の2つの記事もご覧ください。
財務部門とは?業務内容・仕事のやりがい・必要なスキルについて徹底解説
財務部門の仕事とは?主な仕事内容・役に立つ資格・キャリアパスについて解説

法務部門との違い

法務部門の主な役割は、法律に関する業務を行うことです。企業が対応する必要のある法律関係の業務はさまざまです。業務におけるトラブルは、企業のイメージを悪くし、取引先などの信頼性を損なう恐れがあります。そのため、トラブルを未然に防ぎ、トラブルが生じても迅速に対応し早期解決に努めることが必要です。

企業外トラブルへの対応はもちろん、法務部門は企業内トラブルへの対応も求められています。トラブル対応や社内業務の法的手続きのほかに、契約書の確認、コンプライアンス・社内規定の整備などが法務部門の役割です

ベンチャー企業やスタートアップ企業などでは、法務部門ではなく顧問弁護士などに外部委託するケースがあります。

労務部門との違い

企業には労務部門も存在します。労務部門の主な役割は、勤労管理や給与計算を行うことです。経理部門の役割に従業員の給与計算業務がありますが、規模の大きな企業では労務部門が担います。

労務部門は、従業員の入退社時に健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険に関する手続きを行います。迅速で的確な作業が求められている部門です。労務部門は、採用活動など人材確保、従業員の能力開発などの研修や教育を計画する役割も担っています。

また、労働基準法に基づいた企業における労働環境の整備や管理も、労務部門の役割に含まれています。企業により、労務部門の役割を人事部門や総務部門が担うケースもあるようです。

総務部門との違い

総務部門の主な役割は、企業の経営陣がコア業務に専念できるようにサポートすることです。企業により総務部の役割は大きく異なります。一般的な役割は、全社会議の開催、社内イベントの開催、オフィス環境の整備、電話対応、来客対応、秘書業務、防災対策などがあります。

また、企業により、採用活動や人事管理を総務部門が行うケースもあるようです。さらに、総務部門が経理部門の主な役割を担うこともあるため、総務部門の役割が多岐にわたることがわかります。

庶務部門との違い

庶務部門の主な役割は、職場環境整備などです。職場環境を整えることで、従業員がスムーズに業務を行えるようにします。総務部門の役割と似ていますが、総務部門の業務は企業全体に及ぶのに対し、庶務部門の業務は各部門、部署、事業者などの範囲内の業務に限定されます

たとえば、電話対応、来客対応、オフィスの掃除、オフィス内の整理整頓、備品管理、書類の発送、資料作成などが挙げられるでしょう。

経理の役割での注意点

経理業務は企業の資金を管理することが主な役割であり、法律にも精通しておく必要がある重要な部門です。そのため、経理業務を行ううえでいくつか注意するべき点があります。

以下の3つのポイントをご紹介します。
・書類の保管期間
・書類の整理方法
・他の部門との連携とコミュニケーション

書類の保管期間

書類の保存期間に注意しましょう。経理業務に関する帳簿書類などは、法律で7年間の保管期間が定められています。また、インターネットなどでの電子取引の場合、原則として電子データをその事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間保存することが義務付けられています。

以下の保存期間に注意しましょう。

保存期間 書類
7年間(※) 領収書、請求書、契約書、見積書、預金通帳など
10年間 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、貸借対照表、損益計算書など
半永久 税務申告書、税務届出書、決算書、社内規定書など

※2018年4月1日以降、欠損金が発生する事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年に延長されます。

電子データについては、2022年1月1日より「改正電子帳簿保存法」が施行されました。電子帳簿保存法とは、各税法で保存が義務付けられている帳簿、書類を電子データで保存するためのルールなどを定めた法律のことです。改正内容は、2021年12月10日に発表された「令和4年度税制改正大綱」での「電子取引」に関するデータ保存の義務化です。2023年12月末までに行われた2年間の電子取引については、従来通り紙媒体での保存が認められますが、その後には電子取引への対応が求められることになります

電子帳簿保存法についての詳しいことは、国税庁公式ホームページをご覧ください。

書類の整理方法

2022年1月1日から施行された改正案によると、電子データによる保存は義務化されることになります。すでに上述した通り、2023年12月末までの2年間に行われた取引に関しては、従来通り紙媒体での保存が認められていますが、それは電子データ化による保存のための準備期間が短いため、中小企業や小規模企業、個人事業主に配慮した背景があります。

2022年1月1日に施行された「電子帳簿保存法」の整理方法の区分は、以下の通りです。
・電子帳簿等保存
・スキャナ保存
・電子取引データ保存

以下、表にまとめているため、参考にしてください。

整理区分 概要
電子帳簿等保存 電子的に作成した帳簿、書類をデータのまま保存する
スキャナ保存 紙媒体で受領、作成した書類を画像データで保存する
電子取引データ保存 電子的に授受した取引き情報を電子データで保存する

紙媒体ではなく電子データとして保存するなら、書類の保存場所を確保する必要がなくなり、整理しやすいなどの業務効率化が期待できます。しかし「電子帳簿保存法」の改正にともない、電子データで保存するための要件が定められています。

「電子帳簿保存法」で定められている電子データ保存の要件は、以下の通りです。

保存要件 概要 対応方法
システム概要に関する書類の備え付け データ作成ソフトのマニュアルなどの備え付け

見読可能装置の備え付け データを確認できるアプリなどの備え付け

検索機能の確保 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる状態にする

・検索機能に対応した専用ソフトを使用する
・ファイル名を「231007_(株)****」などにしてデータ保存する
・Excelなどで索引簿を作成し、保存したファイルと関連付ける

データの真実性の担保する装置 保存したデータの真実性を担保できるようにする

・タイムスタンプが付与されている書類の受け取り
・速やかにタイムスタンプをデータに付与する
・データの改正、削除が記録される、または禁止されたシステムでデータを受け取って保存する
・不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備運用する

電子帳簿保存法についての詳しい内容は、国税庁公式ホームページをご覧ください:

他の部門との連携とコミュニケーション

経理業務を行っていくうえで注意するべきポイントは「他の部門との連携とコミュニケーション」です。経理の業務は、従業員の経費精算や取引先への支払いや入金など、企業の資金に関することです。企業内のさまざまな部署が関係するため、円滑なコミュニケーションは欠かせません。

経理部門には各部署とのやり取りが必要なため、高いコミュニケーションスキルが求められます。コミュニケーションスキルアップのため、積極的に各部署の担当者や取引先の担当者などと接することが重要です。

経理の役割スケジュール

経理の日次業務についてご紹介します。経理の日次業務の業務内容は多岐にわたりますが、主な業務は以下の通りです。
・現金管理
・預金管理
・経費精算
・伝票や帳簿への記入・入力

上記のように、経理の日次業務は分別されます。しかし、日次業務は時期により変わる場合があります。繁忙期と閑散期との違いについて説明していきます。

繁忙期の役割

経理部門の繁忙期は、決算期間です。繁忙期の1日の業務スケジュールは、午前中に経費精算や仮払金などを精算し、午後は決算書類や伝票の作成、現預金の確認などを行います。例えば3月決算の会社の経理の場合、4月〜6月にかけて「決算整理」「納税および確定申告」「株主総会へ向けた準備」などが行われます

たとえば、4月の主な経理業務は、棚卸業務で確認した在庫と帳簿残高に差額が生じている場合、調整します。そして決算整理に基づき、経理は決算書を作成し、経営陣に提出します。5月の主な経理業務は、法人税や消費税、法人事業税などの税金を納めることが主な業務です。事業年度終了日より2か月以内にすべてを行わなければなりません。また、6月に開催される株主総会の準備を5月から開始します。株主総会に向けた準備には、招集通知の発送があります。公開会社や書面投票、書面投票や電子投票を実施する企業は、株主総会開催の2週間前に通知が必要です。6月の主な経理業務は、株主総会に向けた準備がメイン業務です。

閑散期の役割

経理の閑散期は、決算期よりも離れた8月、9月、10月頃です。有給休暇などを取得しやすい時期です。閑散期における経理業務の日次業務は、午前中に経費精算をし、午後は現金残高の確認やメール確認、ファイリングなどの業務を行います。また、入出金の管理や、伝票作成なども行います。

経理業務の月次業務は、月末に業務が集中しやすい傾向にあるようです。月次業務は、主に3つの分野に分けられるでしょう。
・請求書の発行
・給与台帳の作成
・売掛金の計上

たとえば、給与台帳の作成では、経理の担当者は従業員1人1人の給与支給額を計算します。総支給額を算出し、総支給額から控除項目を除外します。

まとめ

この記事では、経理部門の役割や経理部門と他部門の役割の違い、注意点やスケジュールなどをご紹介しました。

経理の役割は、企業の資金の管理だけに留まらず企業全体の管理業務が含まれています。そのため、経理での仕事は数字に強いだけでなく、タスク管理能力や問題解決能力などが求められるでしょう。また、IT化が推進されていく中で、デジタル化への順応力も期待されています。

この記事が、経理部門への転職または異動を考慮している方の参考となり、経理業務のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。