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経理に向いている人とは?向いている人・向いていない人の特徴と自分自身の見極め方を解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

CFOになるには?キャリアパスも解説

経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア

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経理を目指す場合、自分が向いているかどうかを知るのは重要です。どのような仕事も慣れと経験は必要ですが、向き不向きを事前に知っておくと、経理という職種の独特さゆえに後で苦労することを減らせるかもしれません。

この記事では、経理向きの特徴・スキルと不向きな性格について解説します。

経理の主な仕事内容

企業の取り引きすべてを記録・管理するのが経理の業務内容です。まず、毎日の入出金や現金の動きを記録します。数字をすべて帳簿に正確に記録し、報告書を要求されればいつでも正確なデータを提出できるよう保管します。

日々の記録から月次の記録、さらには半期や年次の決算も作成します。年次の作業には、年末調整、償却資産の査定、税金の納付なども含まれます。会計基準に則り、第三者が見ても理解できる正しい記録でなければなりません。そのため、1円でも違うとやり直しが発生するというプレッシャーやミスと闘う責任重大な仕事です。経理の一般的な業務内容は、他にも以下のようなものが挙げられます。

・売上の記録管理
・仕入の記録管理
・売掛金の管理
・給与・賞与の支払いと記録・保険料・税金の支払いと記録
・従業員の経費の精算と記録
・資産購入・売却時の処理と記録

経理の詳細については次の記事もご参照ください。
経理部門とは?業務内容と仕事のサイクル・やりがい・待遇について解説

経理に向いている人の特徴

早速、経理に向いている人の特徴を考えてみましょう。数字と向き合い、期日が定期的に迫ってくる経理の業務には、独特のスキルや特徴が求められます。経理に向いている主な11の特徴を解説します。
・正確な仕事を追求できる
・立てた計画を進めていける
・納期や決算期に責任感を持っている
・数字好き・苦手意識がない
・細かいことを気にしない
・勉強好き・向上心がある
・コミュニケーション力がある
・チームワークを重視している
・口が堅い
・1人でも仕事のペースを作れる
・PC作業・データ処理ができる

正確な仕事を追求できる

正確さは、経理業務に取り組むうえで欠かせない特徴です。これには、たった1円でさえ間違いが許されない経理業務の性質が関係しています。記録した金額と実際に動いた金額に1円でも間違いがあると、確認作業からすべてやり直しです。取り引きやキャッシュの記録はもとより、給与の支払いや税金の納付なども普通以上の正確さが要求されます。

几帳面で細かいところまで心配できる人は、経理向きの性格であるといえます。正確さの追求やミスを許さない姿勢は、日常生活ではストレスになりがちです。しかし、経理業務に限っていえばむしろ適性があり、業務を日々こなしていくのに役立つでしょう。

立てた計画を進めていける

経理の業務には、過ぎてはいけない期限が多く存在します。決算書や確定申告書の提出、税金や給与の支払いなどがそうです。期日を過ぎてしまうと、企業の業務と取引先や関係各所に多大な影響を与え、会社を上げて業務の遅れを取り戻さなければなりません

そのため、期日を意識して毎日確実にタスクをこなせる性格が望ましいといえます。先の見通しを立て、そこから逆算して何をいつまでにこなさなければならないかを自分で管理する能力が必要です。

経理部門では、相互の業務が密接に関連しているのも業務の特徴です。例えば、決算書を提出するために必要な財務諸表の作成には、取り引きの記録や領収書などをすべて収集・確認する必要があります。そこまでの日程を立て、都度進捗を確認し、予定より遅れが生じていれば残業などで確実に終わらせるよう対応を求められることもあるでしょう。

進捗管理が求められる業務の性質から、タスク管理と挽回・修正が得意な人は経理に向いています。

納期や決算期に責任感を持っている

責任感が求められるのは経理職に限ったことではありませんが、企業のお金の管理という意味で経理職は特別な責任を負っています。1つ目の項目で触れたように、ミスの許されない業務内容ゆえに、求められる責任も大きいのが経理という職種です。

決算が遅れると、銀行や投資家からの信頼を失いかねません。中小企業では、人員不足により業務範囲が広くなり、その分こなさなければならない業務範囲も広がります。加えて、人間である以上1円単位のミスはあり得るものですが、そのまま提出してしまうと、企業の社会的な信頼を失ってしまったり、最悪の場合不正を疑われてしまったりする恐れがあります。

家計と大きく違い、社会における企業の資金の管理に求められる責任は非常に重大です。納期や決算期にミスをゼロに抑えるため、確実な作業と入念なチェックを常に遂行できる責任感が求められます。

数字好き・苦手意識がない

数字を扱う仕事ゆえに当然ともいえますが、数字に苦手意識がなく計算が比較的好きであることも経理職に向いている特徴です。決して天才学者並みに計算が速い必要はなく、あくまで好きや得意という範疇で十分です。

毎日数字を睨み、正確に記録するのが経理業務です。数字に苦手意識があると、常に数字を見つめることがストレスになり、どうしても正確さが失われてしまいます。Excel(エクセル)や会計ソフトを使用する際も、小さな枠内へ正確に入力しなければならず集中力が求められます。

苦手意識でプレッシャーを感じながらの作業よりも、集中して数字を照らし合わせる方がミスを減らせるのは当然です。初めから経理が好きというよりも、年数を重ねるうちにストレスではなくなるケースの方が多いかもしれません。まずは苦手意識をなくし、慣れるまで繰り返し取り組めば、やがて数字への苦手意識は克服できるでしょう。

細かいことを気にしない

1つ目の「正確さ」と矛盾するように聞こえますが、細かいことを気にし過ぎない性格も重要です。これは決して業務を大雑把に行うという意味ではなく、ポイントを抑えて効率良く捌いていくという意味です。正確さを求められるプレッシャーが大きいからこそ、安定して業務をこなしていくバランス感覚が必要になります。

経理の確認作業は、完璧を求め過ぎると終わらなくなります。そうなると毎日デスクに向かうのも辛くなり、仕事を続けられなくなってしまうかもしれません。正確さは必要ですが、同時に仕事を続けていけるだけの余裕も求められます。そのバランス感覚があれば、絶対に遅れることのできない納期や間違えられない数値には十分にエネルギーを注ぎ、その他は重要度に応じてこなしていく判断ができるでしょう。大事にならないミスを見逃せる余裕も必要です。

勉強好き・向上心がある

会計基準や法律が変わることがあるため、経理は最新情報のキャッチアップを必要とする職種です。例えば、企業が一部上場する場合、通常の経理業務に加えて会計監査やIR対応のための手続きを準備しなければなりません

あるいは、自社がIFRS(国際会計基準)を採用する場合、世界共通の会計基準を一から勉強する必要があります。税法の一部が変更になった場合も対応しなければなりません。

普段は業務のほとんどが定常作業だとしても、ほんの1つの変化で業務内容が大きく変わるのが経理の世界です。常に新しい知識を取り入れ、勉強することが苦にならない性格は経理に向いています。

IRについては、こちらの記事もご参照ください。
IR(Investor Relations)とは?IRの業務内容と必要なスキルを詳しく解説

コミュニケーション力がある

デスクワークの多い経理職ですが、円滑なコミュニケーションが求められる場面も多数存在します。月末や決算期は数字を確認しなければならず、各部署と密なやり取りをしながらデータをまとめていく必要があります。記録に問題や確認点があれば、取引先とスムーズなコミュニケーションを交わすことも求められるでしょう。

過去の記録や取り引きを確認することも多く、ストレスのない意思の疎通には気配りや親切な言葉も必要になるでしょう。自社部門が提出してきた数字に間違いがあれば、親切かつ素早く修正するために何度も繰り返しやり取りすることもあります。誰しもプレッシャーを感じやすいお金に関することゆえに、スムーズなコミュニケーションを取る能力が重要です。

チームワークを重視している

経理職にはチームワークが求められます。作業そのものは1人で行うことが多いですが、経理全体の業務は分担しなければ終えられません。チームとしてすべての作業をこなすためには、協調性を発揮することが必要です。

経理部門内のルールや習慣に沿って作業することが求められ、遅れ気味の業務や個人のサポートが必要になることもあるでしょう。自分の分を終えれば仕事が終わる訳ではなく、チームで連携して仕事を進めなければなりません。1人では情報を集めることも難しいため、業務の始めからチームプレーが必要です。繁忙期には業務量が増加するため、余計なストレスやプレッシャーを生まないためにも円滑なチームワークが求められます。

口が堅い

経理職では、秘密を守れる口の堅さも非常に重要です。企業の財務情報はトップシークレットであり、ほんの少しのデータが漏れるだけでも経営戦略の漏洩につながりかねません。一部の必要経費や領収書が分かるだけで、他社の動向を読めてしまうこともあります。その場合、自社の信用問題や経営危機を引き起こしかねません。

飲み会の席や匿名のSNSでも自社情報を漏洩しない、口が固く信頼のおける性格は経理に向いています。ランチ中の同僚との会話や、公共交通機関や会社外のエレベーターでの移動時などにも情報漏洩に気を配れるなら、経理職として同僚や上司の信頼を勝ち得ることができるでしょう。

1人でも仕事のペースを作れる

コミュニケーションが求められるとはいえ、1人で作業することが多いのも経理職の実情です。朝のスケジュール確認と情報共有が終われば、夕方の報告まで常に1人で作業することも珍しくありません。ミーティングや電話処理などもありますが、PCのモニターを眺めながらひたすらデータを入力・処理するのが一般的な作業スタイルです。

さらに、過去の資料やデータから1人で読み解かなければならないケースも多々あります。経理経験があれば、人にイチから教えてもらうのではなく自分で理解し周りに付いていくことが期待されるでしょう。加えて、担当した科目でなければヘルプを求めても誰も教えることができないため、必然的に自分で勉強してデータを読み解く必要があります。

そのため、自分のペースを決めて仕事に取り組める、あるいは仕事を確実に終わらせていく感覚を楽しめる人であれば、経理業務も安定してこなせるでしょう。経理の場合、M&A(企業買収)などでもない限り、チーム一丸となってプロジェクトを動かすことはまずありません。1人で仕事のペースを作り出し、1人で学んで成長していく姿勢が求められます

PC作業・データ処理ができる

会計ソフトやExcel(エクセル)を使える人は重宝されます。大量のデータをベースに書類作成する機会が多く、効率が求められる場面が非常に多いからです。VLOOKUP・SUMIF・ピボット、さらに関数やマクロも扱えるなら、業務の効率化に大いに役立つでしょう

経理は膨大なデータをExcel(エクセル)で管理・分析・処理しなければなりません。普段の業務では、会計ソフトよりもExcel(エクセル)を触っている時間の方が長いほどです。Excel(エクセル)は使えば使うほど熟達できるため、スキルがないうちは繰り返し勉強しましょう

スキマ時間に本や講座でExcel(エクセル)の高度な操作方法について学びましょう。普段から作業を自己分析し、手作業での入力ではなくExcel(エクセル)で効率化できれば、業務での大きな貢献につながるかもしれません。

経理に向いていない人の特徴

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以下のような特徴があると、経理に向いていない可能性があります。
・PC作業が苦手
・数字が苦手
・細かすぎる、完璧主義
・タスク・スケジュール管理が苦手
・仕事のミスを隠す
・プレッシャーに弱い

PC作業が苦手

モニターを見つめて作業するのが苦手な人は、経理職に向いていないかもしれません。確かに、長時間のPC作業は体に負担になり、時には健康問題をも引き起こします。単純にPCを使うのが苦手な場合、経理の業務そのものがストレスになってしまうでしょう。

あるいは作業そのものは苦手でなくても、PCを使ってより効率的な作業を模索することが苦手な場合も辛く感じるようになるかもしれません。Excel(エクセル)を勉強することや仕事のスピードを上げることはどうしても必要です。苦手意識のせいでミスが余計に多くなることは避けたいものです。とにかく慣れるために、向上心を持ってPCと向き合っていく覚悟が求められます。

数字が苦手

ひたすら数字と向き合うのが経理の仕事であるため、数字を見るのが苦手な人にとって経理は難しいでしょう。通常の作業はExcel(エクセル)や会計ソフトを使用するため、自分ですべて計算する必要はありません。計算が人より早い必要はありませんが、少なくとも毎日数字と向き合うことがそれほどストレスにならないという耐性が必要です。

得意かよりも、数字を扱う際の苦手意識の強さが向き不向きを分けます。複雑な計算が苦手でも、自身の数字へのアレルギーをなくす努力をしてみましょう。

細かすぎる、完璧主義

経理で完璧を求めると大きなストレスになります。データや計算の間違いに気付くことは必要ですが、すべての作業で張り詰めていては気持ちが燃え尽きてしまいます。繁忙期や決算期はいつもより集中し、閑散期や日常作業は意識して力を抜くバランス感覚が必要です。

完璧主義はあらゆることに弊害をもたらします。正確さが求められるからこそ、自分の限界と業務の正確さのバランスを取れるセルフマネジメント力が重要です。完璧主義ではなく現実的な視点を持つよう努力しましょう。

タスク・スケジュール管理が苦手

経理は期日の決まった業務が多く、それを達成するための関連業務も膨大な量になります。スケジュールをチームで確認した後は、自分で逆算して効率よく取り組む必要があります

タスク・スケジュール管理をこなして、1人でコツコツと作業を終わらせるのが苦手な人は、経理の日常的な業務で苦労するかもしれません。繁忙期には自分の作業が終わらないこともあるでしょう。進捗状況を自分で確認し、終わりそうになければヘルプを要請するといったマネジメント力も必要になります

仕事のミスを隠す

誰しもミスを報告するのは嫌なもので、可能なら無かったことにしてしまいたいと感じるでしょう。しかし、間違った数字を公表してしまうと粉飾決算などの不正行為と捉えられかねず、企業全体を巻き込む重大な問題になり得ます。あるいは、そこまで重要なデータを扱っていないとしても、1箇所間違えるだけで業務全体がやり直しになることもあり、チーム全員に影響が及びます。

「1箇所入力に自信がない」「領収書を提出するのを忘れていた」といったささいなことも可能な限り迅速に報告し、時間が経ってからの修正を避ける意識が必要です。

プレッシャーに弱い

繁忙期や締日には期日が刻一刻と迫り、かつミスが許されないというプレッシャーに晒されることになります。経験豊富な経理マンにとっても経理の忙しさは手強いものです。そのため、プレッシャーを上手くやり過ごせるスキルがなければ苦労するかもしれません

プレッシャーとの戦いは経理に限ったことではありませんが、ミスの重大な影響と合わさって経理の業務がストレスになることも十分想定できます。プレッシャーやストレスを上手に受け流し、目の前の作業に意識的に集中するセルフマネジメント力も重要です

経理で目指せるキャリアパス

経理職から目指せるキャリアパスには、経営企画部門への異動があります。経営企画部門は、経営戦略の策定や経営陣のサポートを行う部門です。大企業への転職も人気のキャリアです。中小企業より規模が大きいため業務が細分化され、より専門的な経験を積む機会があります。

他にも、CFO(最高財務責任者)として企業内で経営者を目指したり、公認会計士や税理士の資格を取得してスペシャリストを目指したりするのも最終的なキャリアとして代表的です。

経理のキャリアパス・経営企画部門について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
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まとめ

経理職には長時間にわたって正確さと集中力を発揮することが求められますが、乗り越えた際には非常に大きな達成感も感じられる仕事です。

「自分は経理に向いていない」と感じた方でも、努力と慣れ次第で改善できる場合もあります。自発的に学んで能力を伸ばしつつ、業務の負担が減るようなスキルを身につけましょう。

この記事が、経理への適性を考えておられる方のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。