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ピープルアナリティクスとは?活用方法やメリット・注意事項とともに導入事例を踏まえて解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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よくある「人事問題」事例集

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働き方改革やDXが浸透しつつある現状において、企業における様々なデータを分析し、課題解決に向けて取り組む方法として、ピープルアナリティクスという方法が注目を集めています。

本記事では、そもそもピープルアナリティクスとは何か、またどのようなデータを分析し、どのように活用できるのかについて解説していきます。

ピープルアナリティクスとは

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ピープルアナリティクス(people analytics)とは、従業員の年齢や性別など、一人ひとりの属性データや行動データを収集及び分析することで、人事領域の施策や意思決定、課題解決に役立てる手法を指します。

もともとは、ビッグデータの活用を得意とするIT企業が取り入れた解析手法であり、近年注目されている手法となります。

ピープルアナリティクスの目的

ピープルアナリティクスの目的はIT技術を活用し、客観的なデータを収集・分析することで、人事の課題解決の解決に向けた意思決定を行うことです。

これまでは、人事担当者の経験や主観的な判断に基づいて、人事課題に対する対応が行われる事が多かったと思われますが、客観的なデータに基づいた判断をしていく必要性が求められたことから、ピープルアナリティクスが活用されるようになりました。

ピープルアナリティクスのメリット

それでは、ピープルアナリティクスを活用していくメリットを4つご紹介します。
・活躍できる人材の採用
・適性にあわせた人材の活用
・適正な評価
・離職の防止

活躍できる人材の採用

1つ目は、活躍が期待される優秀な人材の採用です。従業員のデータ分析を通じて、入社後に高いパフォーマンスを発揮している人材の特徴を把握し、人材を採用するにあたって重要な指標として活用することができます。

例えば、優秀な従業員における属性や入社の志望動機、採用面接における質疑応答の内容など様々な情報を分析し、共通して見出せる特徴を判別することで、自社で成功しやすい従業員の特徴が明らかになります。これに基づいて、同様の特徴を持つ候補者にアプローチしていくことで、入社後の定着やパフォーマンス向上が期待できます。

適性にあわせた人材の活用

2つ目は、適正に合わせた人材の活用です。従業員の能力やスキルなどデータを収集し分析し、個々の特性に合った異動配置を行うことで、人材をうまく活用していくことが可能となります。例として、それぞれの所属部署における優秀な従業員のデータを集め分析することで、その部署で求められるスキルや能力が明らかになり、異動配置を決定する基準として活用することができます。

適正な評価

3つ目は適正な評価です。人事担当者の主観や判断によって従業員の行動や成果、パフォーマンスを評価するのではなく、収集されたデータに基づいて客観的で公平な評価をすることができます。そのため、評価に対する従業員の納得感を高めることができ、評価することで従業員に期待される効果も高まります。

離職の防止

4つ目は離職防止です。過去の退職者に関するデータを収集し分析することで、従業員の離職防止に繋げることができます。例として、退職者が多く発生する部署がある場合、その部署に所属する従業員と面談を実施することや、従業員の行動を分析して退職の兆候がみられる場合は積極的にコミュニケーションをとるなど、様々な措置を講じることで、従業員の離職防止に繋げていくことができます。

分析対象のデータ

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ピープルアナリティクスを活用しデータを分析するにあたって、必要となるデータについて4つご紹介いたします。
・人材データ
・デジタルデータ
・オフィスデータ
・行動データ

人材データ

1つ目は人材データです。これは、従業員一人ひとりの年齢や性別といった属性データや、所属部署、給与、などの基本となるデータです。また、評価歴やスキル、勤怠情報等も、場合によっては分析することもあります。

デジタルデータ

2つ目はデジタルデータです。勤務中のPCの利用に関する情報やインターネットの閲覧履歴、メールや電話履歴などが該当します。これは、連絡を取り合う相手と実際の成果における関係などについて、分析することができます。

オフィスデータ

3つ目はオフィスデータです。会社の設備の利用状況を分析することで、従業員の行動やコミュニケーションについて分析することができます。またオフィス設備の使用頻度や会議室や複合機の利用状況などを時間帯や時期で収集することで、従業員の活動や相互作用に関する間接的な情報を得ることができます。

行動データ

4つ目は行動データです。これは、従業員の行動を把握するためのデータを指します。カレンダー機能を使用して、従業員の自席滞在時間や会議の時間を計測することができます。また、社用携帯の位置情報を利用することで、外出時間や外出先のデータを収集することが可能です。

ピープルアナリティクスにおけるデータ活用の流れ

次に、ピープルアナリティクスでデータを活用・分析していくにあたり、具体的な流れをご紹介します
・データの蓄積
・目的の設定
・データの分析
・データの活用

データの蓄積

まず最初に、従業員に関するデータを収集し、蓄積していきます。各データがまとまって管理されていないことが多いですが、その場合は様々な部署に協力を求め、データを収集していく必要があります。その際、どのシステムを用いてどこにデータを収集・蓄積するのかを決め、定期的なデータ更新について、具体的な方法を決めておくことが望ましいです。

目的の設定

次に、ピープルアナリティクスを何のために活用していくのか、目的を明確にしていきます。データの収集・分析のために活用するのでは、人事課題の解決には繋がりません。

ピープルアナリティクスを活用する目的は、会社ごとで異なりますので、自社の課題を確認したうえで、目的を明確に決めていきましょう。例として、従業員の離職防止にむけた満足度の向上や、会社の求める人材像に近い社員を採用するための採用基準の設定などが挙げられます。

ここで設定される目的によって、どのようなデータを収集するのかが変わってきますので、必ず明確にしておくようにしましょう。

データの分析

続いて、データの分析を行っていきます。まずは、従業員の年齢や性別、役職などの基本データをもとに、傾向を確認していきます。

ここでの注意点として、データから分析された結果がすべて正しいと捉えないようにしましょう。従業員の心境や外部からの影響など、データに反映しきれない要因があるため、データ分析だけを行うのではなく、従業員と直接コミュニケーションをとり、データ結果を参考にしつつ、判断していくようにしましょう。

データの活用

最後にデータの活用です。データを分析したことで得られた結果をもとに、課題解決に向けた対応方針を考え、具体的な施策を実施します

施策実施後に、どのような効果が得られたかについての結果を蓄積し、継続的に運用・分析していくことで、より効果的な活用が可能となります。そのため、必ずデータを活用し、施策を実施した後は振り返りの分析を行い、PDCAサイクルを回していくようにしましょう。

データアナリティクスの活用における注意点

ここで、ピープルアナリティクスを活用していくにあたり、注意すべき点を3つご紹介します。
・データの管理
・データの整理
・データの分析のスキル

データの管理

1つ目はデータの管理についてです。ピープルアナリティクスを活用していくにあたり、収集・蓄積するデータについては、データの取り扱いに十分気を付けて取り扱うようにしましょう。特に、コンサルティング会社など、第三者にピープルアナリティクスのデータを共有する場合、個人が特定できないようデータを修正することや、事前に従業員に利用目的を明示しておくなど、十分注意するようにしましょう。

また、社内での活用についても、個人情報の利用目的に適合しているかどうか確認しましょう。万が一、個人情報の利用にあたって、目的が明らかとされていない場合は、必ず本人の同意を得るようにしましょう。

データの整理

2つ目はデータの整理です。データを分析するにあたって、データが正確なものであるか、また客観的なデータとなっているかが重要となります。それぞれの部署で保管されているデータの形式が異なっていたり、データの入力漏れがないか、また担当者が入力しているデータであれば、ミスや主観が混じった主観的なデータとなっていないか注意する必要があります。

そのため、データの一元管理や入力方法の統一化など、どのように整理すべきか明確にしておくことが望ましいです。

データの分析のスキル

最後はデータの分析です。データを分析し、効果的に活用していくためには、それぞれの目的に沿ってどのような形でデータを収集すべきか設計しなければならず、これには分析を担当する従業員のスキルが必要となります。

そのため、データの解釈や分析結果について正確に判断していくにあたり、データ分析に関する研修や外部からデータ活用に詳しい社員を採用するなど、データ分析を効果的にすることができるよう、会社としても対応した施策を実施していきましょう。

ピープルアナリティクスの企業事例

最後に、ピープルアナリティクスを活用している企業事例をご紹介します。
・Google
・ソフトバンクグループ株式会社
・株式会社日立製作所

Google

1社目はGoogleです。Googleでは、ピープルアナリティクスを採用面接の効率化や高度化だけでなく、マネジメント職に求められる要素や、生産性向上の要因である心理的安全性を見出すことにも活用されています。

ソフトバンクグループ株式会社

2社目はソフトバンクグループ株式会社です。ソフトバンクでは、ピープルアナリティクスを活用し、新卒採用のエントリーシートによる選考において、人事担当者からAIによって実施されています。また、AIが行うことで、公平な選考を実施できるだけでなく、効率的な選考が可能となりました。

株式会社日立製作所

3社目は株式会社日立製作所です。日立製作所では、ピープルアナリティクスを活用し、社内の優秀な人材を分析し定量化していくことで、人材の育成に活用しています。

さらに、従業員の行動データを収集し分析することで、従業員の幸福度を調査し、従業員のパフォーマンス向上に向け、ピープルアナリティクスを活用しています。

まとめ

以上、ピープルアナリティクスのメリットや活用方法、ポイントなどをご紹介しました。

従来、人事領域においてはデータの活用やDXを進めにくかった分野ではありますが、現在ではデータ分析に基づいた施策や意思決定を行うことが進んできています。

ピープルアナリティクスの導入により、個々の社員の適性に基づいた高度な人材マネジメントが可能となりますが、効果的に活用していくためには、ピープルアナリティクスの目的や注意点をしっかり確認し、社内で共有していく必要があります。

本記事が、離職防止や従業員の満足度向上に向けた対応施策を検討している経営者や人事担当者、ピープルアナリティクスの導入を検討されている担当の方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

       
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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。