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【経営者・CFO向け】IPO担当者が知るべき目論見書とは? 〜投資家が判断するポイントについて解説〜

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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IPOを目指すために知っておきたいポイント

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株式を購入する際に目論見書を参考にする多くの投資家がいます。目論見書は「投資対象の説明書」とも言われており、投資家の投資判断を裏付ける最も重要な資料となります。

目論見書の内容に虚偽の記載があったり、記載すべき事項が漏れていたりすると金融商品取引法に違反してしまいます。もしも、目論見書の作成の際に虚偽や記載事項の抜け漏れがあった場合、この目論見書に該当する有価証券を取得した者に対して発行者は損害賠償責任が課せられます。

IPOを目指す企業の中でも、ごく稀に目論見書に関するトラブルが発生している事実もあります。

そこで、本記事では目論見書についてその目的、種類、内容、そして投資家が目論見書を見る時のポイントについてまとめていきます。

目論見書とは

目論見書とは有価証券の募集や販売をする時に、有価証券の発行者の事業や条件などの事項に関する説明を記したものです。株式、社債、投資信託などの募集や販売の時には、販売する企業による目論見書の交付が法律(金融商品取引法15条2項)で義務付けられています。

目論見書の目的

目論見書の目的は株主や投資家に向けて、投資判断に必要な情報を提供することにあります。企業の事業内容や資本構成や財務諸表、業績といった数字情報のサマリーをわかりやすく記したパンフレットのようなものです。

目論見書の発行主とサポート体制

目論見書を発行するのは、株式を公開する企業になります。

目論見書に掲載される内容は幅広いので、作成業務についてはIPOの準備を管轄する部署や経理部、総務部などさまざまな部署で対応することになります。そうすると、目論見書の全体的な内容にズレが生じてしまう場合も考えられます。このズレをなくすために、ディスクロージャー会社(宝印刷株式会社・株式会社プロネクサスなど)にIPO準備のコンサルティングとして業務サポートを依頼します。

また、この目論見書が企業の魅力を説明できているかについて、主幹事証券会社にアドバイスをもらうこともできます。

目論見書の種類

目論見書には、「交付目論見書」と「請求目論見書」の2つの種類があります。

交付目論見書請求目論見書
内容基本的な情報詳細な情報
発行義務有り投資家から請求がある場合

交付目論見書

交付目論見書は、ファンドの目的や基本的な性質、さまざまなリスクや投資方針、投資対象、運用実績や手数料といった基本情報について記されています。

主に投資信託の特徴や実績などがまとめられています。投資家が株式を購入する前に投資信託の目的、リスク、運用実績、費用など確認すべき事項が開示されます。

請求目論見書

請求目論見書は、ファンドの沿革や経理状況といった交付目論見書の内容よりも詳細な情報が記されています。この目論見書は、投資家から請求がある場合に必ず交付しなければなりません。反対に、投資家から請求が行われない場合は発行する必要がありません。

目論見書と有価証券届出書

目論見書は、発行株や増資株式の発行者、事業内容、経営計画、利益予測などその他の項目について説明されている書類になります。この目論見書と似ている書類として有価証券届出書があります。

有価証券届出書は、企業の上場が承認された後の株式の募集・売出しを目的として、金融庁に提出されます。そして、有価証券を発行する者は、この株式の募集・売出しの時に目論見書を用意しなければなりません。

有価証券届出書をもとに目論見書が作成されるので、これらの書類の内容に違いはありません。

目論見書の内容

目論見書には、主に次のような内容が記載されています。
・発行者に関する情報(発行者名・事業内容・資本構成・財務諸表・手取金の使途)
・発行する有価証券に関する情報(発行総額・発行価格・利率・払込日・満期日)
・引受に関する情報(引受人名・引受額・手数料)

その中でも特に以下の項目について説明していきます。
目的と運用
リスク
分配金と決算
運用状況
費用

これらの情報に基づいて、投資家は有価証券の購入を検討します。注意すべき点として、重要な事実の記載が漏れていた場合には、有価証券の発行者および販売企業は損害賠償責任を負います。

目的と運用

何を目的にして、どこに投資しているのか、またファンドの仕組みについて目論見書に記載されています。 

ファンドとは、多くの投資家から集められた資金を1つにまとめて基金にすることで収益を還元する仕組みのことをさします。

ファンドでは、投資する資産について、事前に投資の割合が制限されることがあります。これによって、リスクが大きくなることを防いだり、ファンドが目的から外れないようにコントロールすることができます。

リスク

株式の投資に関するリスクはさまざまなものがあります。そのリスクの中には、為替変動のリスクや株価変動のリスクだけでなく、有価証券の発行者自体の信用リスク、投資対象となる国や地域における政治・経済状況の変化に起因するカントリーリスク、有価証券の時価総額が小さく取引量が少なくなることで流動性リスクが起こりうるなどが挙げられます。

運用実績

目論見書の中には、運用実績として分配金や決算について記載されています。分配金とは、ファンドの決算時に支払われるお金のことをさします。利子や配当、売買による利益といったファンドの運用を通して得た利益になります。

この分配金は、直近5期分の決算についてその推移を確認することができます。

手数料

目論見書では、手数料の項目の中には購入単位や購入価額、購入代金などについて記載されています。購入の申し込み期間、申し込みの締め切り時間など日時に関することなどが細かなところを投資家に向けて説明する必要があります。

投資家が目論見書を見るときのポイント

投資家が目論見書を見るときのポイントとして次の4点が挙げられます。
経営理念・事業内容
財務諸表
調達した資金の使い方
発行株数

新規で投資をする、または追加で投資をする際に投資家は目論見書の内容を通して、投資先として有益かリスクがあるかを判断します。以下、4つのポイントについて説明していきます。

経営理念・事業内容

最初に、企業の全体的な概要と企業や事業の将来性を確認するために経営理念や事業内容を読みます。投資家の多くが有望だと考えると株価の初値は高くなりますが、事業内容や企業の将来性が魅力的だと思われないと投資家の期待を集めることができず、株の初値は公募価格を下回ってしまう場合もあります。

財務諸表

投資家は必ず財務諸表に目を通します。この中でも注目されるのは、次の2点になります。
売上額の伸び具合
利益率の向上

現状が赤字だとしても、投資対効果の大きさや黒字に向けた期待されるスケジュール感から黒字化の根拠を見る投資家もいます。その指標として、目論見書に記載されている過去5期にわたる数字の推移だけでなく業界全体の外部環境の状況なども判断の基準とする投資家もいるでしょう。

調達した資金の使い方

目論見書の中には、新規株式発行、また追加の株式発行による資金調達の使い方についても掲載されます。その内容として、
製品開発
研究開発(R&D)
新規サービス
工場の建設
人材の確保
といった内容があります。

投資家が判断をする基準の1つとして、その使い道が事業の拡大や組織力の強化など具体的に決まっていること自体が重要になってきます。

発行株数

投資家は、企業が発行する株数から当選確率を推測します。一般的な傾向として、新規発行株数・売出株数が少ない場合は当選確率が低く、反対に新規発行株数・売出株数が多い場合は当選確率が高いと考えられます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

本記事では、目論見書について、その目的、種類、内容および投資家が目論見書を見るときのポイントについて解説をしました。

本記事が上場を目指しているスタートアップ・ベンチャー企業の経営者の方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

       
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知っておきたいポイント
  1. IPOまでのロードマップ
  2. N-3期の想定課題と解決策
  3. N-2~N-1期の想定課題と解決策
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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。