NISAとつみたてNISAの違い|自分に合う制度の選び方

イギリス株への投資に興味があるけれど、どの証券会社を選べばいいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
イギリスはロンドンを中心に世界有数の金融センターとして発展しており、バークレイズやHSBCといった老舗の金融機関が本拠を構えています。
一方で、日本の投資家がイギリス株に投資する場合は、日本の証券会社を通じて取引するのが一般的です。
本記事では、イギリス本国の主要証券会社ランキングと、日本からイギリス株を取引できる証券会社の両方を詳しく解説します。
この記事を読めば、イギリス株投資の始め方から注意点まで、必要な情報がすべて分かります。
目次
イギリス証券会社ランキングとは?
イギリスの証券会社ランキングを調べる際、実は2つの異なる視点があることをご存知でしょうか。
1つ目は、イギリス本国に本社を置く証券会社や投資銀行のランキングです。もう1つは、日本の投資家がイギリス株を取引できる日本の証券会社の比較です。
この2つは全く異なる情報ですが、どちらも「イギリス 証券会社 ランキング」という検索で求められている内容なんですね。
本記事では両方の視点から詳しく解説していきますので、あなたの目的に合った情報を見つけてください。
イギリス本国の証券会社ランキングは、主に投資銀行業務や資産規模で評価されます。
ロンドンは世界三大金融センターの1つとして、300年以上の歴史を持つ老舗金融機関から、グローバルに展開する投資銀行まで、多様な証券会社が集まっています。
バークレイズやHSBCといったイギリス4大銀行に含まれる金融機関は、銀行業務だけでなく投資銀行部門でも高い評価を受けています。
また、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスといった米系投資銀行もロンドンに大規模な拠点を構え、欧州市場で重要な役割を果たしているんです。
日本の投資家がイギリス株に投資する場合、日本の証券会社を通じて取引するのが一般的です。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手ネット証券では、欧州株の一部としてイギリス株を取り扱っています。取扱銘柄数は証券会社によって異なりますが、FTSE100構成銘柄の多くは購入可能です。
日本の証券会社を利用するメリットは、日本語でのサポートが受けられることと、税務処理が比較的簡単なことです。
一方、イギリス本国の証券会社に直接口座を開設することも可能ですが、英語でのやり取りが必要になり、税務処理も複雑になります。
イギリス本国の証券会社ランキングTOP5
イギリス本国の証券会社は、長い歴史と国際的なネットワークを持つ金融機関が多いのが特徴です。
ここでは、投資銀行業務の規模や歴史、専門性などを総合的に評価したTOP5をご紹介します。これらの証券会社は、イギリス国内だけでなく世界中で金融サービスを提供しており、グローバルな金融市場で重要な役割を担っています。
日本の投資家が直接これらの証券会社で口座開設することは難しい場合もありますが、イギリスの金融業界を理解する上で知っておきたい企業ばかりです。
バークレイズは1690年創業という300年以上の歴史を持つ、イギリスを代表する総合金融グループです。
イギリス4大銀行の1つとして、銀行業務、投資銀行、証券、クレジットカード業など多岐にわたる事業を展開しています。投資銀行部門では財務アドバイザリーや資金調達、リスク管理などの業務を行い、世界的な投資銀行ランキングでも常に上位にランクインしています。
バークレイズの特徴
総資産額イギリス国内第2位の規模
40カ国以上で事業展開、8万人以上の従業員
日本にもバークレイズ証券株式会社が東京・六本木に本社
2023年のデータでは、バークレイズはイギリス国内で総資産額第2位の地位を占めており、欧州でも5番目に大きな銀行として評価されています。40カ国以上で事業を展開し、8万人以上の従業員を抱えるグローバル企業です。
日本にもバークレイズ証券株式会社が東京・六本木に本社を置き、ホールセール業務を中心に顧客への情報提供を行っています。
HSBCは正式名称を「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation」といい、香港とロンドンに拠点を置く国際的な銀行グループです。
イギリスに本社を置きながら、特にアジア市場で強力なプレゼンスを持っているのが特徴です。個人および法人向けに銀行業務、資産運用、保険、投資銀行業務などを世界中で展開しており、グローバルな金融ネットワークを活用したサービスを提供しています。
HSBCはFTSE100指数の主要構成銘柄の1つでもあり、イギリス株式市場において重要な位置を占めています。
投資銀行部門では、グローバル・バンキング・アンド・マーケッツ(GBM)として、政府機関、企業、機関投資家向けに財務ソリューションを提供しているんです。
日本でもHSBC証券が日本橋に支店を構え、債券取引などのサービスを展開しています。
モルガン・スタンレーはニューヨークに本社を置く米系投資銀行ですが、ロンドンにも大規模な拠点を構え、欧州市場で重要な役割を果たしています。
投資銀行業務、証券取引、資産管理、ウェルスマネジメントを提供する世界的な金融サービス会社で、M&A活動や投資銀行手数料のランキングで常にトップクラスに位置しています。2025年の投資銀行ランキングでは世界第2位にランクインしており、その実力は世界的に認められています。
日本では三菱UFJ証券ホールディングスとの合弁会社として、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が事業を展開しており、日本の投資家にとっても馴染みのある名前です。
ゴールドマン・サックスは世界で最も権威ある投資銀行として知られ、ロンドンにも主要拠点を持っています。
投資銀行、投資管理、証券、その他の金融サービスを提供する国際的な金融機関で、2025年の投資銀行ランキングでは世界第2位に位置しています。特にM&Aアドバイザリーや資金調達の分野で高い評価を受けており、大企業や政府機関の重要な取引を数多く手掛けています。
ゴールドマン・サックスの特徴
世界で最も権威ある投資銀行の1つ
M&Aアドバイザリーで特に高い評価
日本法人も世界を代表する金融機関として知られる
ゴールドマン・サックス証券として日本でも事業を展開しており、日本法人は世界を代表する金融機関の日本拠点として知られています。投資銀行業務における専門性の高さと実績は、業界内でも特に高く評価されているんです。
Interactive Brokersは米国を拠点とするオンライン証券会社ですが、ロンドン市場へのアクセスを提供する主要な証券会社の1つです。
世界中の株式市場にアクセスできる取引プラットフォームを提供しており、日本の投資家も口座開設が可能です。サイトが多言語対応となっており、日本語でも口座開設やサービスが受けられるのが特徴です。
取扱銘柄数が非常に多く、ロンドン証券取引所の小型株やAIM市場の銘柄まで幅広く取引できます。
本格的にロンドン市場で取引したい投資家にとって、有力な選択肢となっています。手数料も比較的低く設定されており、アクティブトレーダーに人気があります。
イギリス株に投資できるおすすめの証券会社5社
日本の投資家がイギリス株に投資する場合、日本の証券会社を利用するのが最も一般的で安心な方法です。
ここでは、イギリス株を取り扱っている日本の主要証券会社5社をご紹介します。各社で取扱銘柄数や手数料体系が異なるため、自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが大切です。
日本の証券会社を利用するメリットは、日本語でのサポートが受けられること、税務処理が比較的簡単なこと、そして金融庁に登録された信頼できる業者であることです。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券は欧州株の取扱銘柄数が2,000銘柄以上と、日本の証券会社の中でもトップクラスの充実度を誇ります。
イギリス株はもちろん、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、イタリア、スペイン、スイスの8カ国の株式を取引できます。FTSE100構成銘柄の多くをカバーしており、イギリスの主要企業への投資が可能です。
SBI証券の特徴
口座数約1,500万口座と日本最大級
投資信託の取扱本数約2,600本と豊富
複数のポイントプログラムに対応(Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイント)
口座数は約1,500万口座と日本最大級で、投資信託の取扱本数も約2,600本と豊富です。新NISAにも対応しており、成長投資枠でイギリス株を購入できます。取引手数料は約定代金に応じて設定されており、外国株取引の手数料体系は公式サイトで確認できます。
Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイントなど、複数のポイントプログラムに対応しているのも魅力です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券は約1,200万口座を持つ大手ネット証券で、イギリスを含む6カ国の外国株を取り扱っています。
米国株が約4,500銘柄、欧州株も幅広くカバーしており、イギリスの主要企業に投資できます。楽天グループのサービスと連携しており、楽天ポイントを使った投資や、投資で楽天ポイントを貯めることができるのが大きな特徴です。
取引ツールの「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能で使いやすいと評価が高く、リアルタイムの情報収集や分析に役立ちます。
新NISAにも対応しており、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を活用できます。
楽天銀行との連携により、入出金がスムーズに行えるのも便利なポイントです。楽天経済圏を活用している方には特におすすめの証券会社といえるでしょう。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券は外国株投資に力を入れている証券会社で、イギリス株に関する情報提供が充実しています。
米国株は約5,000銘柄、中国株も取り扱っており、グローバルな分散投資が可能です。投資信託の取扱本数は約1,800本で、新NISAのつみたて投資枠対象ファンドは約217本と豊富です。
マネックス証券の特徴
銘柄分析ツールやレポートが充実
マネックスポイントやdポイントを貯められる
口座開設は最短2営業日で完了
マネックス証券の強みは、銘柄分析ツールやレポートが充実していることです。外国株に関する情報も豊富で、投資判断に役立つ情報を得やすい環境が整っています。マネックスポイントやdポイントを貯めることもでき、ポイント投資も可能です。
口座開設は最短2営業日で完了し、取引ツールも17種類と豊富に用意されています。
サクソバンク証券はデンマーク系の証券会社で、欧州株の取扱に特に強みを持っています。
欧州株は2,000銘柄以上を取り扱っており、イギリス株はもちろん、他の欧州諸国の株式も幅広くカバーしています。グローバルな投資を志向する投資家にとって、魅力的な選択肢です。
取引プラットフォームは高機能で、プロフェッショナルな投資家にも対応できる仕様になっています。外国株取引の手数料体系は独自のものとなっており、取引スタイルによって向き不向きがあります。
欧州市場に精通したサポート体制も整っており、イギリス株を含む欧州株投資を本格的に行いたい方におすすめです。
Interactive Brokers(IB証券)は、世界中の株式市場に直接アクセスできる本格的な証券会社です。
ロンドン証券取引所の銘柄を直接取引でき、FTSE100構成銘柄はもちろん、小型株やAIM市場の銘柄まで幅広く取引可能です。取扱銘柄数は他の日本の証券会社とは比較にならないほど多く、本格的なイギリス株投資を目指す方に適しています。
手数料は取引量に応じた体系で、アクティブトレーダーには有利な設定になっています。取引プラットフォームは高機能ですが、初心者には少し使いこなすのが難しいかもしれません。
日本語サポートも提供されていますが、基本的には海外の証券会社であることを理解した上で利用する必要があります。
イギリス株投資の5つのメリット
イギリス株への投資は、近年日本の投資家からも注目を集めています。
その理由は、配当利回りの高さや通貨分散のメリット、そして世界的な優良企業に投資できることなど、複数の魅力があるからです。米国株に次ぐ投資先として、ポートフォリオに組み入れる投資家が増えているんですね。
ここでは、イギリス株投資の5つの主なメリットを詳しく解説していきます。
イギリス株の最大の魅力は、配当利回りが高い企業が多いことです。
FTSE100指数の配当利回りは3〜4%台と、日本株や米国株と比較しても高水準にあります。イギリス企業は伝統的に株主還元を重視する傾向が強く、安定した配当を支払う企業が多いんです。
特にエネルギー、金融、生活必需品セクターの企業は高配当銘柄が多く、インカムゲインを重視する投資家に人気があります。配当金は外国税と日本の税金が二重にかかりますが、外国税額控除の制度を利用することで一部を取り戻すことができます。
長期的な資産形成において、配当再投資による複利効果を活用できるのも大きなメリットといえるでしょう。
イギリス株に投資することで、ポンド建ての資産を保有でき、通貨分散によるリスク軽減効果が期待できます。
日本円や米ドルだけに資産が集中していると、その通貨が下落した際に資産全体の価値が目減りしてしまいます。ポンド建て資産を保有することで、円安・ポンド高の局面では為替差益を得られる可能性があります。
英ポンドは米ドル、ユーロ、日本円と並ぶ主要通貨の1つであり、国際的な準備通貨としても認められています。
イギリスは成熟した金融市場を持ち、自国通貨が準備通貨であることから、通貨の信頼性も高いといえます。
グローバルな資産配分を考える上で、ポンド建て資産は重要な選択肢の1つです。
イギリスには、世界的に有名な優良企業が数多く上場しています。
FTSE100構成銘柄には、Shell(石油)、AstraZeneca(医薬品)、HSBC(銀行)、Unilever(家庭用品)、Vodafone(通信)、Burberry(ファッション)など、日本でも馴染みのあるグローバル企業が含まれています。
FTSE100の主要構成銘柄
Shell(石油)、AstraZeneca(医薬品)
HSBC(銀行)、Unilever(家庭用品)
Vodafone(通信)、Burberry(ファッション)
これらの企業は、イギリス国内だけでなく世界中で事業を展開しており、グローバルな成長の恩恵を受けられます。特に旧植民地やアメリカなど、イギリス国外での売上高の比重が高い企業が多く、FTSE100はイギリスに拠点を置くグローバル企業指数としての性格を持っているんです。
長い歴史と確立されたブランド力を持つ企業が多いのも、イギリス株の魅力といえるでしょう。
ロンドン証券取引所は300年以上の歴史を持ち、世界三大金融センターの1つとして高い信頼性を誇ります。
市場の透明性や規制の厳格さ、取引の公正性などが確保されており、投資家保護の仕組みも整っています。イギリスの金融行為監督機構(FCA)による厳格な監督のもと、市場の健全性が維持されています。
ロンドン市場は欧州最大の株式市場であり、時価総額でも世界有数の規模を持っています。流動性も高く、大口の取引でも市場への影響を抑えながら売買できる環境が整っています。
長年にわたって培われた金融インフラと専門知識の蓄積は、投資家にとって安心材料となるでしょう。
イギリス株への投資は、米国株に偏りがちなポートフォリオを分散する効果があります。
多くの日本の投資家は米国株を中心に外国株投資を行っていますが、特定の地域に集中しすぎるとリスクが高まります。イギリスを含む欧州株を組み入れることで、地域分散によるリスク軽減効果が期待できるんです。
イギリス株は米国株とは異なる値動きをすることも多く、ポートフォリオ全体のボラティリティを抑える効果があります。
特にエネルギーや素材セクターの比重が高いFTSE100は、米国のS&P500とは業種構成が異なり、補完的な関係にあります。
グローバルな分散投資を実現する上で、イギリス株は重要な役割を果たすといえるでしょう。
イギリス株投資で気をつけたい4つのこと
イギリス株投資には魅力的なメリットがある一方で、注意すべきリスクやデメリットも存在します。
投資を始める前に、これらのリスクをしっかりと理解しておくことが大切です。特に為替リスクや税金、政治リスクなどは、投資判断に大きな影響を与える要素となります。
ここでは、イギリス株投資で特に気をつけたい4つのポイントを詳しく解説します。
イギリス株投資で最も大きなリスクの1つが、為替変動による影響です。
イギリス株はポンド建てで取引されるため、株価が上昇しても円高・ポンド安が進めば、円換算での利益が減少したり損失が出たりする可能性があります。逆に、株価が下落しても円安・ポンド高が進めば、為替差益で損失を相殺できることもあります。
英ポンドは主要通貨の中でも変動が大きい通貨の1つです。経済指標の発表や政治イベント、中央銀行の政策変更などで大きく動くことがあります。
Brexit以降は特に政治的な不確実性が為替変動の要因となっています。
為替リスクを完全に避けることはできませんが、長期投資を前提とすることで、短期的な為替変動の影響を緩和できます。
イギリス株の配当金には、イギリスと日本の両方で税金がかかる二重課税の問題があります。
イギリスでは配当金に対して源泉徴収税が課され、さらに日本でも所得税・住民税が課税されます。このため、実際に受け取れる配当金は額面よりも少なくなってしまいます。
ただし、日本の税制には「外国税額控除」という制度があり、確定申告をすることで外国で支払った税金の一部を取り戻すことができます。
この手続きは少し複雑ですが、配当収入が多い場合は活用する価値があります。
証券会社によっては年間取引報告書で外国税額控除に必要な情報を提供してくれるので、確認しておくとよいでしょう。
2020年にイギリスがEUから正式に離脱したことで、Brexit関連の政治リスクには引き続き注意が必要です。
Brexit後の経済への影響については、企業投資の低下やEU出身労働者の減少による労働力不足などが指摘されています。一部の試算では、イギリスの現在のGDPはEUを離脱しなかった場合と比べて4%小さいとされています。
また、イギリスとEUの間の貿易関係や規制の違いが、企業活動に影響を与える可能性もあります。金融サービス業では、EUからの「同等性評価」が得られていない分野もあり、ロンドンの金融センターとしての地位にも変化が見られます。
ただし、FTSE100構成銘柄の多くはグローバル企業であり、イギリス国内の経済だけでなく世界経済の影響を受けるため、Brexit の影響は限定的との見方もあります。
イギリス株に関する日本語の情報は、米国株と比べて限られているのが現状です。
企業の決算発表やニュースは基本的に英語で発信されるため、英語が苦手な方は情報収集に苦労する可能性があります。また、イギリス特有の会計基準や規制を理解する必要もあり、投資判断の難易度は高めといえます。
日本の証券会社が提供するレポートや分析情報も、米国株ほど充実していないことが多いです。自分で英語の情報を読み解くか、限られた日本語情報を活用するかの工夫が必要になります。
初心者の方は、まずはFTSE100のような主要指数に連動するETFから始めて、徐々に個別銘柄の情報収集に慣れていくのがおすすめです。
イギリス株投資の始め方
イギリス株投資を始めるための具体的な手順を、5つのステップで解説します。
初めて外国株投資をする方でも、この手順に従えば迷うことなくイギリス株投資をスタートできます。各ステップで注意すべきポイントも併せて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
準備から実際の取引開始まで、一つひとつ確実に進めていきましょう。
まず最初に、イギリス株を取り扱っている証券会社を選びます。
選択のポイントは、取扱銘柄数、手数料体系、取引ツールの使いやすさ、情報提供の充実度などです。SBI証券や楽天証券、マネックス証券などの大手ネット証券は、欧州株の取扱があり、日本語サポートも充実しています。
すでに日本株や米国株で利用している証券会社があれば、同じ口座で外国株取引を始められることが多いので確認してみましょう。新規で口座開設する場合は、キャンペーンなどを活用するとお得に始められます。
本格的にロンドン市場で取引したい場合は、Interactive Brokersのような海外証券会社も選択肢になります。
証券会社を決めたら、オンラインで口座開設の申し込みを行います。
必要な書類は、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)とマイナンバー確認書類です。スマートフォンで書類を撮影してアップロードするだけで手続きが完了する証券会社が多く、最短で即日〜翌営業日に口座開設できるケースもあります。
外国株取引を行うには、総合口座とは別に外国株取引口座の開設が必要な場合があります。申込時に外国株取引口座も同時に申し込むか、総合口座開設後に追加で申し込むことになります。
口座開設の審査が完了すると、ログインIDやパスワードが郵送またはメールで届きます。
口座開設が完了したら、投資資金を証券口座に入金します。
日本円で入金し、証券会社の為替取引機能を使ってポンドに両替するのが一般的です。為替手数料は証券会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。為替レートが有利なタイミングで両替することで、コストを抑えることができます。
一部の証券会社では、円貨決済といって日本円のまま外国株を購入できるサービスもあります。この場合、購入時に自動的に為替交換が行われますが、為替手数料が割高になることもあるので注意が必要です。
外貨建てMMFを活用すると、両替した外貨を運用しながら待機させることもできます。
資金の準備ができたら、投資したい銘柄を選んで注文を出します。
FTSE100構成銘柄から選ぶのが初心者にはおすすめです。Shell、AstraZeneca、HSBCなど、知名度の高い企業から始めると安心です。各銘柄の財務情報や配当利回り、業績動向などを確認した上で投資判断を行いましょう。
注文方法は、指値注文と成行注文があります。指値注文は希望する価格を指定して注文する方法で、成行注文は現在の市場価格で即座に約定させる方法です。ロンドン市場の取引時間は日本時間の夕方から深夜にかけてなので、時差を考慮して注文を出す必要があります。
最初は少額から始めて、取引に慣れてから投資額を増やしていくのが賢明です。
イギリス株投資で利益が出た場合、税金の申告が必要になることがあります。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が自動的に税金を計算・徴収してくれるため、確定申告は原則不要です。ただし、配当金の外国税額控除を受けたい場合や、複数の証券会社で取引している場合は、確定申告をした方が有利になることもあります。
証券会社から発行される年間取引報告書には、売買損益や配当金、外国税額などの情報が記載されています。この報告書は確定申告の際に必要になるので、大切に保管しておきましょう。
税務処理が不安な場合は、税理士に相談するか、証券会社のサポートを活用することをおすすめします。
FTSE100指数とは?
イギリス株投資を理解する上で、FTSE100指数の知識は欠かせません。
FTSE100はイギリスを代表する株価指数で、ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成されています。日本のTOPIXや米国のS&P500に相当する重要な指標です。
ここでは、FTSE100指数の特徴や構成銘柄、ロンドン証券取引所の取引時間などを詳しく解説します。
FTSE100指数は、ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
1983年12月31日を基準値1,000として算出が開始され、この100銘柄でロンドン証券取引所上場企業の時価総額の約8割を占めています。算出はロンドン証券取引所の子会社であるFTSE Russellが行っています。
FTSE100の特徴は、旧植民地やアメリカなど、イギリス国外での売上高の比重が高い企業が多く含まれていることです。そのため、イギリスに拠点を置くグローバル企業指数としての性格を持っています。
構成銘柄は四半期ごとに見直され、時価総額順で上位100社に入らなくなった企業は指数から外され、新しい銘柄と入れ替えられます。
配当利回りは3〜4%台と高水準にあり、インカムゲインを重視する投資家に人気があります。
FTSE100の構成銘柄を業種別に見ると、エネルギー、金融、素材、生活必需品、ヘルスケアセクターの比重が高いのが特徴です。
時価総額上位の銘柄には、Shell(石油)、AstraZeneca(医薬品)、HSBC Holdings(銀行)、Unilever(家庭用品)、BP(石油)、GlaxoSmithKline(医薬品)、Vodafone(通信)、Barclays(銀行)などがあります。これらは日本でも馴染みのある世界的な大企業です。
エネルギーセクターの比重が高いため、原油価格の動向がFTSE100の値動きに大きく影響します。また、金融セクターも大きな割合を占めており、金利動向や金融規制の変更なども指数に影響を与えます。
生活必需品やヘルスケアセクターの割合も高く、ディフェンシブ性が相対的に高いのも特徴といえるでしょう。
ロンドン証券取引所の取引時間は、現地時間で8:30〜16:30です。
イギリスではサマータイムが導入されており、夏時間(3月最終日曜日〜10月最終日曜日)は日本時間の16:30〜翌0:30、冬時間(10月最終日曜日〜3月最終日曜日)は日本時間の17:30〜翌1:30が取引時間となります。
日本の投資家にとっては、日本の夕方から深夜にかけての時間帯に取引が行われることになります。リアルタイムで取引したい場合は、この時間帯に注文を出す必要があります。時差があるため、日中に出した注文は翌日の取引時間に執行されることになります。
証券会社によっては、取引時間外でも注文を受け付けており、取引開始時に執行される仕組みになっています。
Brexit後のイギリス証券業界
2020年のBrexit(イギリスのEU離脱)は、イギリスの証券業界に大きな変化をもたらしました。
EU離脱から数年が経過した現在、その影響が徐々に明らかになってきています。投資家にとっても、Brexit後のイギリス市場の変化を理解しておくことは重要です。
ここでは、Brexit前後の市場パフォーマンスや規制の変化、日本の投資家への影響について解説します。
Brexit国民投票(2016年6月)の直後、金融市場は大きく混乱し、英ポンドは30年ぶりの安値を記録しました。
しかし、その後のFTSE100指数は意外にも堅調なパフォーマンスを示しました。これは、FTSE100構成銘柄の多くがグローバル企業であり、ポンド安が海外での収益を押し上げる効果があったためです。
2020年の正式離脱後も、コロナショックの影響はあったものの、FTSE100は長期的には緩やかな上昇トレンドを維持しています。ただし、米国や日本の株式市場と比べると、パフォーマンスはやや見劣りする状況が続いています。
Brexit後の経済への影響については、企業投資の低下やEU出身労働者の減少による労働力不足などが指摘されており、イギリスの現在のGDPはEUを離脱しなかった場合と比べて4%小さいとの試算もあります。
Brexit後、イギリスはEUの金融規制から独立し、独自の規制体系を構築しつつあります。
イギリスの金融行為監督機構(FCA)は、国際金融センターとしての競争力を維持するため、金融規制改革を進めています。株式市場改革では、ロンドン証券取引所のメイン市場のセグメントを統合し、市場構造を簡素化する方針が示されています。
ただし、EUからの「同等性評価」が得られていない分野もあり、イギリスの金融機関がEU市場でサービスを提供する際には制約が生じています。一部の金融機関は、EU域内に新たな拠点を設立するなどの対応を迫られました。
イギリスは成熟した金融市場を持ち、自国通貨が準備通貨であることから、国際金融センターとしての地位は維持していますが、他の主要都市との競争は激しくなっています。
Brexit後のイギリス市場の変化は、日本の投資家にも一定の影響を与えています。
最も大きな影響は為替変動です。Brexit関連の不透明感が高まると英ポンドが下落し、円換算での投資収益が減少する可能性があります。逆に、Brexit関連の不安が後退すると、ポンドが上昇して為替差益を得られることもあります。
また、イギリスに拠点を持つ日本企業への影響も考慮する必要があります。自動車メーカーや金融機関など、イギリスを欧州市場へのゲートウェイとして活用してきた日本企業は、事業戦略の見直しを迫られる場合があります。
ただし、日本の証券会社を通じてイギリス株を取引する場合、Brexit による直接的な影響は限定的です。取引の仕組みや税務処理に大きな変更はなく、引き続き安心して投資を続けられる環境が整っています。
日本に居住している個人投資家が、イギリスの証券会社に直接口座を開設することは可能ですが、ハードルは高めです。
Interactive Brokersのように日本語対応している海外証券会社もありますが、多くのイギリス本国の証券会社は英語での手続きが必要になります。また、最低預入金額が高額に設定されている場合や、日本の居住者を受け入れていない証券会社もあります。
税務処理も複雑になり、日本とイギリスの両方の税制を理解する必要があります。初心者の方は、まず日本の証券会社を通じてイギリス株投資を始めることをおすすめします。
新NISAの成長投資枠を使って、イギリス株を購入することは可能です。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの大手ネット証券では、NISA口座での外国株取引に対応しています。ただし、つみたて投資枠では個別の外国株は購入できず、金融庁が指定した投資信託やETFのみが対象となります。
NISA口座で外国株を購入すると、売却益や配当金が非課税になる大きなメリットがあります。ただし、イギリスで源泉徴収される外国税については、NISA口座では外国税額控除が適用されないため、その分は税負担として残ります。
イギリス株の配当金は、企業が定める配当支払日(Payment Date)に入金されます。
イギリス企業の多くは年2回(中間配当と期末配当)または年4回(四半期配当)の配当を行っています。配当支払日は企業によって異なり、決算発表から数週間〜数ヶ月後に支払われることが一般的です。
日本の証券会社を通じて保有している場合、配当金はポンドから円に両替されて証券口座に入金されます。入金までに配当支払日から数日かかることもあります。配当金には、イギリスでの源泉徴収税と日本での税金が差し引かれた金額が入金されます。
為替手数料は証券会社によって異なりますが、一般的にポンド/円の為替手数料は片道で数十銭程度です。
例えば、SBI証券や楽天証券では、外貨両替時の為替スプレッド(買値と売値の差)として手数料が設定されています。円貨決済を利用する場合は、自分で両替するよりも為替手数料が高くなることが多いので注意が必要です。
為替手数料を抑えるコツは、まとまった金額を一度に両替することや、為替レートが有利なタイミングで両替することです。また、外貨建てMMFを活用すると、両替した外貨を運用しながら待機させることができます。
初心者の方や分散投資を重視する方には、イギリス株ETFがおすすめです。
FTSE100指数に連動するETFを購入すれば、1つの銘柄で100社に分散投資できます。個別銘柄のリスクを避けられ、市場全体の成長を享受できるメリットがあります。東京証券取引所にも、イギリス株式コアETFが上場しており、日本円で手軽に投資できます。
一方、特定の企業の成長性や配当に魅力を感じる場合は、個別株投資が適しています。Shell、AstraZeneca、HSBCなど、知名度の高い優良企業に集中投資することで、より高いリターンを狙えます。
自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせて、ETFと個別株を組み合わせるのも良い方法です。
外国税額控除の手続きは、確定申告に慣れていない方にとってはやや複雑に感じるかもしれません。
外国税額控除を受けるには、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」を添付する必要があります。証券会社から発行される年間取引報告書には、外国で支払った税額が記載されているので、その情報を基に記入します。
控除できる金額には上限があり、所得税と住民税で計算方法が異なります。配当収入が少額の場合は、手続きの手間に対して控除額が小さいこともあります。
不安な場合は、税理士に相談するか、国税庁のホームページで確定申告の手引きを確認することをおすすめします。近年は確定申告ソフトも充実しており、ガイドに従って入力すれば比較的簡単に申告できるようになっています。
イギリス証券会社ランキングと日本からの投資方法について、詳しく解説してきました。
イギリス本国の主要証券会社としては、バークレイズ、HSBC、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、Interactive Brokersなどが挙げられます。これらは世界的な金融機関として、投資銀行業務や証券サービスを提供しています。
一方、日本の投資家がイギリス株に投資する場合は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの日本の証券会社を利用するのが一般的で安心です。これらの証券会社では、欧州株の一部としてイギリス株を取り扱っており、日本語サポートや税務処理のサポートも受けられます。
FTSE100指数はイギリスを代表する株価指数で、時価総額上位100銘柄で構成されています。エネルギー、金融、素材、生活必需品、ヘルスケアセクターの比重が高く、グローバル企業が多いのが特徴です。
イギリス株投資を始めるには、証券会社を選び、口座開設し、入金・外貨両替を行い、銘柄を選んで注文を出すという流れになります。新NISAの成長投資枠も活用でき、税制面でのメリットも享受できます。
なお、投資には元本割れのリスクがあり、為替変動により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社にご確認いただくことをおすすめします。
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