米国株投資におすすめのネット証券|選び方と始め方ガイド

iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めようか迷っているけれど、実際にどれくらい節税できるのか分からず、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
iDeCoのシミュレーションを使えば、あなたの年収や職業に応じた節税額を簡単に試算できます。
この記事では、シミュレーターの使い方を画面付きで詳しく解説し、年代別・職業別の具体的な試算事例もご紹介します。
シミュレーション時によくある間違いや、結果の見方、掛金額の決め方まで網羅的に説明しますので、この記事を読めばiDeCoを始めるかどうかを自信を持って判断できるようになります。
まずはシミュレーションで節税効果を確認してから、ご自身に合った資産形成を始めましょう。
目次
iDeCoのシミュレーションとは?
iDeCoのシミュレーションとは、あなたの年収や職業、掛金額を入力することで、将来の積立総額や節税効果を試算できる無料ツールです。
金融機関の公式サイトや金融庁のサイトで提供されており、iDeCoを始める前に「自分にとってどれくらいメリットがあるのか」を具体的な数字で確認できます。
シミュレーションを使うことで、漠然とした不安や疑問が解消され、iDeCoを始めるかどうかの判断材料になります。
実際に数字を見ることで、老後資金の準備に対する意識も高まるでしょう。
iDeCoのシミュレーションでは、主に以下の3つの情報を試算できます。
まず1つ目は、毎年の節税額です。掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されます。年収や掛金額によって節税額は変わりますが、年間数万円から十数万円の節税効果が期待できます。
2つ目は、30年間の積立総額です。
毎月の掛金を設定した期間積み立てた場合、元本と運用益を合わせていくらになるかを試算できます。運用利率を変えることで、リスクを取った場合とリスクを抑えた場合の違いも比較できます。
3つ目は、運用益の非課税効果です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは運用益が非課税になります。長期運用すればするほど、この非課税効果は大きくなります。
2つ目は運用益が非課税になることです。
通常の課税口座では運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは運用期間中の利益に税金がかかりません。複利効果と合わせて、長期運用すればするほど資産が増えやすくなります。
3つ目は受取時も税制優遇があることです。
一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。ただし、退職金の額や他の年金収入によっては課税される可能性もあるため、受取方法は慎重に検討する必要があります。
iDeCoのシミュレーションは、以下のような方に特におすすめです。
シミュレーションを使うべき人
iDeCoを始めようか迷っている方
掛金額をいくらにすべきか悩んでいる方
NISAとiDeCoのどちらを優先すべきか迷っている方
節税効果や将来の積立額を具体的な数字で見ることで、始めるべきかどうかの判断材料になります。
シミュレーションで複数のパターンを試算することで、無理なく続けられる掛金額を見つけられます。最低5,000円から始められるため、まずは少額でシミュレーションしてみるのもよいでしょう。
両制度の特徴を理解した上で、シミュレーション結果を比較することで、ご自身の状況に合った選択ができます。
iDeCoは60歳まで引き出せないという制約がありますが、その分税制メリットが大きいため、老後資金として確実に貯めたい方に向いています。
iDeCoシミュレーターの使い方
iDeCoのシミュレーターは、基本的に5つのステップで簡単に試算できます。
金融機関によって画面デザインは異なりますが、入力項目はほぼ共通しています。ここでは一般的なシミュレーターの使い方を順番に解説します。
シミュレーションを始める前に、源泉徴収票や給与明細を手元に用意しておくと、年収や企業年金の有無を正確に入力できます。
最初に、あなたの職業(被保険者種別)を選択します。
選択肢は通常、「会社員(第2号被保険者)」「公務員(第2号被保険者)」「自営業者(第1号被保険者)」「専業主婦(夫)(第3号被保険者)」の4つです。この選択によって、次のステップで入力する掛金上限額が自動的に変わります。
会社員の場合は、さらに企業年金の有無を確認する必要があります。
企業年金がない場合は月額2.3万円、企業型DCのみの場合は月額2万円、DBと企業型DCの両方がある場合は月額1.2万円が上限となります。職業の選択を間違えると、掛金上限が正しく表示されないため注意が必要です。
会社員の方は、勤務先に企業年金制度があるかどうかを確認します。
企業年金には「企業型DC(企業型確定拠出年金)」と「DB(確定給付企業年金)」の2種類があり、どちらに加入しているかで掛金上限が変わります。両方に加入している場合もあるため、正確に確認しましょう。
企業年金の有無は、勤務先の人事部や総務部に問い合わせるか、就業規則や給与明細を確認することで分かります。
給与明細に「企業型DC」や「DB」の掛金が記載されている場合は、その制度に加入していると判断できます。企業年金の種類を間違えると、掛金上限を超えて拠出してしまう可能性があるため、必ず正確な情報を入力してください。
次に、現在の年齢と年収を入力します。
年齢は60歳までの運用期間を計算するために必要です。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、運用期間が長いほど複利効果が大きくなります。例えば30歳で始めれば30年間、50歳で始めれば10年間の運用期間となります。
年収は、源泉徴収票の「支払金額」欄に記載されている金額を入力します。
この年収から所得税と住民税の税率が計算され、節税額が試算されます。年収が高いほど税率も高くなるため、節税効果も大きくなります。ボーナスを含めた年収を入力することで、より正確な試算ができます。
掛金額は、月額5,000円から1,000円単位で設定できます。
職業や企業年金の有無によって上限額が異なるため、シミュレーターに表示される上限を確認しながら入力しましょう。無理のない金額から始めることが大切です。
掛金額を決める際は、家計の状況を考慮することが重要です。iDeCoは60歳まで引き出せないため、生活費や緊急時の資金を確保した上で、余裕資金から拠出するようにしましょう。
また、掛金額によって節税効果が大きく変わります。
例えば年収500万円の会社員が月額1万円を拠出すると年間約2.4万円の節税、月額2万円なら年間約4.8万円の節税になります。複数のパターンでシミュレーションして、最適な掛金額を見つけましょう。
最後に、想定する運用利率を入力します。
運用利率とは、年間でどれくらいの利回りで運用できるかを示す数値です。一般的には0%(元本確保型)、1%、3%、5%などの選択肢が用意されています。リスクを取らない場合は0~1%、バランス型なら3%、積極的な運用なら5%程度を目安にするとよいでしょう。
運用利率を高く設定すれば将来の積立総額は大きくなりますが、実際にその利回りを達成できる保証はありません。
過去の実績では、国内外の株式や債券に分散投資した場合、長期的には年率3~5%程度のリターンが期待できるとされていますが、短期的には元本割れのリスクもあります。
シミュレーション結果には、毎年の節税額、30年間の積立総額、運用益の内訳などが表示されます。
複数の運用利率でシミュレーションして、楽観的なケースと保守的なケースの両方を確認しておくと、より現実的な計画が立てられます。結果を印刷したり、PDFで保存できる機能があるシミュレーターもあるため、活用しましょう。
iDeCoの掛金上限額は、職業や企業年金の有無によって異なります。
この上限額を正確に把握することは、シミュレーションを正しく行うために非常に重要です。ここでは職業別の掛金上限額と、その確認方法について詳しく解説します。
会社員の掛金上限額は、企業年金の加入状況によって3つのパターンに分かれます。
企業年金がない場合は、月額2.3万円(年間27.6万円)が上限です。これは比較的高い上限額で、しっかりと老後資金を準備できます。
企業型DCのみに加入している場合は、月額2.0万円(年間24.0万円)が上限です。
企業型DCとiDeCoを併用する場合、企業型DCの規約でiDeCoへの加入が認められている必要があります。2022年10月の制度改正により、多くの企業で併用が可能になりましたが、事前に勤務先に確認しましょう。
企業年金には主に2つの種類があります。
1つ目は企業型DC(企業型確定拠出年金)で、企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用方法を選択する制度です。給与明細に「企業型DC」や「DC掛金」といった項目があれば、この制度に加入していると判断できます。
2つ目はDB(確定給付企業年金)で、企業が将来の給付額を約束する制度です。
キャッシュバランスプランや規約型・基金型などの種類があります。給与明細に「DB掛金」や「企業年金基金」といった項目があれば、この制度に加入している可能性が高いです。
企業年金の種類を確認する最も確実な方法は、勤務先の人事部や総務部に直接問い合わせることです。また、毎年送られてくる「企業年金のお知らせ」や就業規則にも記載されています。
年収別・年代別のシミュレーション事例
ここでは、年収別・年代別の具体的なシミュレーション事例をご紹介します。
自分と似た状況の事例を参考にすることで、iDeCoの節税効果や将来の積立額をイメージしやすくなります。以下の試算は、企業年金のない会社員を想定しています。
20代で年収300万円の会社員が、月額1万円(年間12万円)を30歳から60歳まで30年間積み立てた場合のシミュレーション結果です。
所得税率は5%、住民税率は10%と仮定します。
年間の節税額は約1.8万円です(所得税6,000円+住民税12,000円)。30年間では約54万円の節税効果が期待できます。20代のうちから始めることで、長期的な複利効果を最大限活用できます。
30年間の積立総額は、運用利率3%と仮定すると約580万円になります。
元本360万円に対して、運用益が約220万円となり、この運用益には税金がかかりません。運用利率0%の場合でも、元本360万円と節税効果54万円を合わせて414万円の資産形成ができます。
20代は収入が低いため節税効果は控えめですが、運用期間が長いため複利効果が大きくなります。まずは少額から始めて、収入が増えたら掛金を増額していくのがおすすめです。
30代で年収500万円の会社員が、月額2万円(年間24万円)を35歳から60歳まで25年間積み立てた場合のシミュレーション結果です。
所得税率は10%、住民税率は10%と仮定します。
年間の節税額は約4.8万円です(所得税24,000円+住民税24,000円)。25年間では約120万円の節税効果が期待できます。年収500万円になると、所得税率が上がるため節税効果も大きくなります。
25年間の積立総額は、運用利率3%と仮定すると約855万円になります。
元本600万円に対して、運用益が約255万円となります。運用利率5%で試算すると約1,140万円となり、積極的な運用によってさらに資産を増やせる可能性があります。
30代は住宅購入や子育てなど出費が増える時期ですが、老後資金の準備も並行して進めることが大切です。
NISAとの併用も検討しながら、バランスよく資産形成を進めましょう。
40代で年収700万円の会社員が、月額2.3万円(年間27.6万円・上限額)を45歳から60歳まで15年間積み立てた場合のシミュレーション結果です。
所得税率は20%、住民税率は10%と仮定します。
年間の節税額は約8.3万円です(所得税55,200円+住民税27,600円)。15年間では約124.5万円の節税効果が期待できます。年収が高くなると所得税率も上がるため、掛金上限まで拠出することで節税効果を最大化できます。
15年間の積立総額は、運用利率3%と仮定すると約540万円になります。
元本414万円に対して、運用益が約126万円となります。運用期間は短いですが、掛金額が大きいため、まとまった老後資金を準備できます。
40代は老後が見えてくる時期であり、本格的に老後資金の準備を始める方も多いです。運用期間が短いため、リスクを抑えた運用を心がけることも重要です。
50代で年収800万円の会社員が、月額2.3万円(年間27.6万円・上限額)を50歳から60歳まで10年間積み立てた場合のシミュレーション結果です。
所得税率は20%、住民税率は10%と仮定します。
年間の節税額は約8.3万円です(所得税55,200円+住民税27,600円)。10年間では約83万円の節税効果が期待できます。運用期間は短いですが、高い年収による節税効果は十分に大きいです。
10年間の積立総額は、運用利率3%と仮定すると約320万円になります。
元本276万円に対して、運用益が約44万円となります。運用期間が短いため、元本確保型や債券中心の安定運用を選択する方も多いです。運用利率1%でも約290万円の積立が可能です。
50代からでもiDeCoを始めるメリットは十分にあります。特に節税効果は年収が高いほど大きくなるため、掛金上限まで拠出することで税負担を軽減できます。
自営業者で年収600万円の方が、月額6.8万円(年間81.6万円・上限額)を35歳から60歳まで25年間積み立てた場合のシミュレーション結果です。
所得税率は20%、住民税率は10%と仮定します。
年間の節税額は約24.5万円です(所得税163,200円+住民税81,600円)。25年間では約612.5万円の節税効果が期待できます。自営業者は掛金上限が高いため、節税効果も非常に大きくなります。
25年間の積立総額は、運用利率3%と仮定すると約2,910万円になります。
元本2,040万円に対して、運用益が約870万円となります。運用利率5%で試算すると約3,880万円となり、老後資金として十分な金額を準備できます。
自営業者は国民年金のみで老齢厚生年金がないため、iDeCoを活用して老後資金をしっかり準備することが重要です。
掛金上限が高いため、収入が安定している方は上限額まで拠出することで、大きな節税効果と資産形成が期待できます。
シミュレーション結果の見方
シミュレーション結果には様々な数字が表示されますが、それぞれの意味を正しく理解することが大切です。
ここでは、シミュレーション結果に表示される主な項目の見方と注意点を解説します。
年間の節税額は、掛金による所得控除で軽減される所得税と住民税の合計額です。
シミュレーション結果には「年間〇〇万円の節税」と表示されることが多いですが、これは掛金全額が所得から控除されることで、支払う税金が減る金額を示しています。
節税額は年収と掛金額によって変わります。年収が高いほど税率も高くなるため、同じ掛金額でも節税効果は大きくなります。
例えば年収400万円の方が月額2万円を拠出すると年間約3.6万円の節税ですが、年収800万円の方なら年間約8.3万円の節税になります。
節税額はあくまで概算であり、実際の税額は所得控除や税額控除の状況によって変わります。配偶者控除や住宅ローン控除など他の控除を受けている場合、節税効果が小さくなる可能性もあります。
30年間の積立総額は、設定した掛金額を運用期間中積み立て、想定した運用利率で運用した場合の最終的な資産額です。
この金額には元本と運用益の両方が含まれています。シミュレーション結果には、元本と運用益を分けて表示されることが多いため、どれだけ運用で増えたかを確認できます。
積立総額は運用利率によって大きく変わります。
例えば月額2万円を30年間積み立てた場合、運用利率0%なら720万円(元本のみ)ですが、運用利率3%なら約1,160万円、運用利率5%なら約1,660万円となります。運用利率が高いほど複利効果で資産が増えますが、その分リスクも高くなることを理解しておきましょう。
シミュレーション結果はあくまで試算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。市場環境によっては元本割れする可能性もあります。
シミュレーション結果には、積立総額の内訳として「元本」と「運用益」が表示されます。
元本とは、あなたが実際に拠出した掛金の合計額です。運用益とは、運用によって増えた金額を指します。この運用益がiDeCoでは非課税になるため、通常の課税口座よりも有利に資産形成ができます。
運用益の大きさは、運用期間と運用利率によって決まります。
運用期間が長いほど複利効果が働き、運用益は大きくなります。例えば月額2万円を運用利率3%で30年間運用すると、元本720万円に対して運用益は約440万円となり、運用益が元本の約61%にもなります。
通常の課税口座では、この運用益440万円に対して約20%の税金(約88万円)がかかりますが、iDeCoでは非課税です。この非課税効果は、長期運用すればするほど大きくなるため、早めに始めることが有利です。
iDeCoは運用期間中は非課税ですが、受取時には税金がかかる可能性があります。
受取方法には「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3つがあり、それぞれ税制が異なります。シミュレーション結果には受取時の税金が含まれていないことが多いため、別途確認が必要です。
一時金で受け取る場合は、退職所得控除が適用されます。
勤続年数(iDeCoの加入期間)に応じて控除額が決まり、控除額以内であれば非課税です。例えば30年間加入していた場合、退職所得控除は1,500万円となり、この範囲内であれば税金はかかりません。ただし、会社からの退職金と合算されるため、退職金が多い方は注意が必要です。
年金で受け取る場合は、公的年金等控除が適用されます。
65歳未満なら年間60万円まで、65歳以上なら年間110万円までは非課税です。ただし、他の年金収入(国民年金、厚生年金など)と合算されるため、合計額が控除額を超えると課税されます。
受取方法によって税負担が変わるため、退職金の額や他の年金収入を考慮して、最も有利な受取方法を選択することが重要です。
シミュレーションでは運用期間中の節税効果と非課税効果に注目しがちですが、受取時の税金も含めてトータルで判断しましょう。
シミュレーション時の注意点
iDeCoのシミュレーションを行う際、入力項目を間違えると正確な試算ができません。
ここでは、シミュレーション時によくある5つの間違いと、その対策を解説します。これらのポイントを押さえることで、より正確なシミュレーションができるようになります。
最も多い間違いが、企業年金の種類を正しく把握していないことです。
企業年金には「企業型DC」と「DB」の2種類があり、どちらに加入しているかで掛金上限が変わります。「企業年金がある」ことは知っていても、具体的な種類を把握していない方が多いです。
企業型DCのみの場合は月額2万円、DBまたはDB+企業型DCの場合は月額1.2万円が上限です。
この違いを理解せずにシミュレーションすると、実際には拠出できない金額で試算してしまい、後で計画を修正する必要が出てきます。
対策としては、勤務先の人事部や総務部に直接確認することが最も確実です。給与明細や就業規則にも記載されているため、事前に確認してからシミュレーションを行いましょう。
シミュレーションで運用利率を高く設定しすぎると、現実離れした結果になってしまいます。
「運用利率7%で30年間」といった楽観的な設定でシミュレーションすると、積立総額が大きく表示されて安心してしまいますが、実際にその利回りを達成できる保証はありません。
過去の実績では、国内外の株式や債券に分散投資した場合、長期的には年率3~5%程度のリターンが期待できるとされていますが、短期的には元本割れのリスクもあります。
特にリーマンショックやコロナショックのような経済危機では、一時的に大きく資産が減少する可能性があります。
対策としては、複数の運用利率でシミュレーションすることです。保守的なケース(1~2%)、標準的なケース(3%)、楽観的なケース(5%)の3パターンで試算し、最も現実的な結果を参考にしましょう。
iDeCoには各種手数料がかかりますが、シミュレーション結果には手数料が含まれていないことが多いです。
手数料には、加入時・移換時手数料(2,829円)、口座管理手数料(月額171円~)、運営管理手数料(金融機関によって異なる)、給付時手数料(1回440円)などがあります。
特に運営管理手数料は金融機関によって大きく異なります。
SBI証券や楽天証券などの主要ネット証券は無料ですが、一部の金融機関では月額数百円かかる場合もあります。月額500円の手数料がかかる場合、30年間で18万円の負担となり、運用益が減少します。
対策としては、運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶことです。また、シミュレーション結果から手数料分を差し引いて、実質的な積立総額を計算しておくとより正確です。
iDeCoは運用期間中は非課税ですが、受取時には税金がかかる可能性があります。
シミュレーション結果には「〇〇万円の節税効果」と表示されますが、これは運用期間中の節税効果であり、受取時の税金は含まれていません。受取時の税金を考慮しないと、実際に受け取れる金額が想定より少なくなる可能性があります。
一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されますが、会社からの退職金と合算されるため、退職金が多い方は控除額を超えて課税される可能性があります。
年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用されますが、他の年金収入と合算されるため、合計額が多いと課税されます。
対策としては、退職金の見込み額や他の年金収入を考慮して、受取方法を事前にシミュレーションしておくことです。一時金と年金を併用することで、税負担を最適化できる場合もあります。
iDeCoは一度始めたら掛金額を変更できないと思い込んでいる方も多いですが、実際には年1回掛金額を変更できます。
また、掛金の拠出を一時停止することも可能です(ただし手数料はかかり続けます)。この柔軟性を知らずにシミュレーションすると、「最初から上限まで拠出しなければならない」と考えて、始めるのをためらってしまうことがあります。
ライフステージの変化(結婚、出産、住宅購入など)によって家計状況は変わります。
最初は少額から始めて、収入が増えたら掛金を増額する、逆に支出が増えたら掛金を減額する、といった調整が可能です。ただし、掛金の変更は年1回のみで、変更手続きには時間がかかるため、計画的に行う必要があります。
対策としては、まずは無理のない金額から始めることです。最低月額5,000円から始められるため、家計に余裕がない場合は少額から始めて、徐々に増額していく方法がおすすめです。
自分に合った掛金額の決め方
シミュレーションで節税効果や積立総額を確認したら、次は実際にいくら拠出するかを決める必要があります。
掛金額は家計の状況やライフプラン、他の資産形成との兼ね合いを考慮して決めることが大切です。ここでは、無理なく続けられる掛金額の決め方を解説します。
掛金額を決める前に、まずは家計の現状を把握しましょう。
毎月の収入と支出を整理し、どれくらいの金額を貯蓄や投資に回せるかを確認します。iDeCoは60歳まで引き出せないため、生活費や緊急時の資金を確保した上で、余裕資金から拠出することが重要です。
家計の見直しでは、固定費(家賃、保険料、通信費など)と変動費(食費、娯楽費など)を分けて考えます。
固定費を削減できれば、毎月安定して拠出できる金額が増えます。例えば、スマホを格安SIMに変更する、不要な保険を見直すなどの工夫で、月額数千円の余裕が生まれることもあります。
緊急時の備えとして、生活費の3~6ヶ月分を預貯金で確保しておくことをおすすめします。この緊急資金を確保した上で、残りの余裕資金をiDeCoやNISAなどの資産形成に回すことで、無理なく続けられます。
iDeCoとNISAは両方とも税制優遇のある制度ですが、特徴が異なります。
iDeCoは掛金が全額所得控除になる点が大きなメリットですが、60歳まで引き出せないというデメリットがあります。一方、NISAは運用益が非課税になり、いつでも引き出せる柔軟性がありますが、掛金の所得控除はありません。
一般的には、老後資金として確実に貯めたい金額はiDeCo、それ以外の資金はNISAという使い分けがおすすめです。
例えば、月額3万円を資産形成に回せる場合、iDeCoに1万円、NISAに2万円といった配分が考えられます。iDeCoは最低限の老後資金を確保し、NISAは住宅購入や教育資金など、途中で必要になる可能性がある資金を準備するイメージです。
また、所得税率が高い方(年収が高い方)は、iDeCoの節税効果が大きいため、優先的にiDeCoの掛金を増やすことも有効です。
逆に、所得税率が低い方や、近い将来まとまった資金が必要になる可能性がある方は、NISAを優先する方が良い場合もあります。ご自身の状況に合わせて、両制度を組み合わせて活用しましょう。
iDeCoは最低月額5,000円から始められます。
「いきなり上限まで拠出するのは不安」という方は、まずは少額から始めて、家計への影響を確認しながら徐々に増額していく方法がおすすめです。年1回掛金額を変更できるため、収入が増えたタイミングで増額することも可能です。
少額から始めるメリットは、家計への負担が少なく、無理なく続けられることです。
例えば月額5,000円なら、年間6万円の拠出で済みます。年収400万円の会社員なら年間約9,000円の節税になり、30年間で約27万円の節税効果が期待できます。元本180万円と節税効果27万円を合わせて207万円の資産形成ができます。
少額から始めることで、iDeCoの仕組みや運用商品の選び方を学ぶ時間も取れます。最初は元本確保型(定期預金)で始めて、投資に慣れてきたら投資信託に配分を変更するといった段階的なアプローチも有効です。
掛金額を決める際は、今後のライフイベント(結婚、出産、住宅購入、子どもの教育費など)も考慮することが重要です。
これらのイベントでは大きな支出が発生するため、iDeCoに拠出しすぎると家計が苦しくなる可能性があります。
例えば、5年後に住宅購入を予定している場合、頭金を貯める必要があります。
この場合、iDeCoの掛金は控えめにして、NISAや預貯金で頭金を準備する方が良いでしょう。住宅購入後、住宅ローンの返済が安定したら、iDeCoの掛金を増額することも可能です。
また、子どもの教育費がかかる時期(高校・大学進学時)は、一時的にiDeCoの掛金を減額または停止することも検討できます。
教育費の負担が終わったら、再び掛金を増額して老後資金の準備を加速させることができます。ライフプランを立てて、各時期に必要な資金を見積もり、iDeCoの掛金額を調整しましょう。
シミュレーション後の次のステップ
シミュレーションで節税効果や積立総額を確認し、iDeCoを始めることを決めたら、次は実際に口座開設の手続きを進めます。
ここでは、シミュレーション後の具体的なアクションプランを3つのステップで解説します。
iDeCoを始めるには、まず金融機関(運営管理機関)を選ぶ必要があります。
金融機関選びのポイントは、運営管理手数料と商品ラインナップの2つです。運営管理手数料は金融機関によって異なり、無料のところもあれば月額数百円かかるところもあります。長期運用では手数料の差が大きな影響を与えるため、できるだけ手数料が安い金融機関を選びましょう。
主要なネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など)は運営管理手数料が無料で、商品ラインナップも豊富です。
特にSBI証券は投資信託の本数が多く、信託報酬の低い商品も揃っています。楽天証券は楽天ポイントが貯まる・使えるため、楽天経済圏を利用している方におすすめです。
商品ラインナップでは、信託報酬(運用管理費用)が低いインデックスファンドが充実しているかを確認しましょう。例えば、全世界株式や米国株式、バランスファンドなど、長期投資に適した商品があるかをチェックします。
金融機関を決めたら、口座開設の手続きを行います。
手続きは主にオンラインで完結しますが、書類の郵送が必要な場合もあります。口座開設には通常2~4週間程度かかるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
必要書類
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
基礎年金番号が分かる書類(年金手帳、ねんきん定期便など)
金融機関の口座情報(掛金引き落とし用)
勤務先の証明書(会社員の場合)
会社員の場合は、勤務先に「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を記入してもらう必要があります。
この書類で企業年金の有無や種類を確認するため、人事部や総務部に依頼しましょう。
口座開設が完了したら、運用商品を選びます。
iDeCoでは、投資信託(株式、債券、バランスファンドなど)と元本確保型(定期預金、保険商品)から選択できます。初心者の方は、まずリスク許容度を考えて商品を選びましょう。
商品選びで迷った場合は、信託報酬が低いインデックスファンドを選ぶことをおすすめします。
信託報酬は毎年かかるコストなので、長期運用では低いほど有利です。また、運用商品は後から変更できるため、最初は保守的な商品から始めて、慣れてきたら積極的な商品に変更することも可能です。
iDeCoのシミュレーションは、節税効果や将来の積立総額を具体的な数字で確認できる便利なツールです。
職業や年収、掛金額を入力するだけで、自分にとってのメリットを簡単に試算できます。シミュレーターの使い方は5つのステップで簡単ですが、企業年金の種類や運用利率の設定には注意が必要です。
職業別の掛金上限額は、会社員で月額1.2万円~2.3万円、公務員で月額1.2万円、自営業者で月額6.8万円と大きく異なります。
年収別・年代別のシミュレーション事例を参考にすることで、自分と似た状況での節税効果や積立総額をイメージしやすくなります。シミュレーション時には、企業年金の種類を間違えない、運用利率を高く設定しすぎない、手数料や受取時の税金を考慮するなどの注意点を押さえましょう。
掛金額は家計の状況やライフプランに合わせて決めることが大切です。
まずは少額から始めて、収入が増えたら徐々に増額していく方法がおすすめです。NISAとの優先順位も考慮しながら、無理なく続けられる金額を設定しましょう。シミュレーション後は、運営管理手数料が無料で商品ラインナップが豊富な金融機関を選び、口座開設の手続きを進めます。運用商品はリスク許容度に合わせて選び、信託報酬が低いインデックスファンドを中心に検討しましょう。
なお、iDeCoは長期的な資産形成に適した制度ですが、60歳まで引き出せないという制約があります。また、投資には元本割れのリスクがあり、シミュレーション結果は概算であり将来の運用成果を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、不明な点は専門家や金融機関にご相談ください。まずはシミュレーションで節税効果を確認し、ご自身に合った資産形成を始めましょう。
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