新NISAで株主優待はもらえる?選び方とおすすめ銘柄を解説

新NISAで株主優待はもらえる?選び方とおすすめ銘柄を解説

新NISAを使って株主優待をもらいたいけれど、本当にもらえるのか不安に感じていませんか。

結論から言うと、新NISAの成長投資枠を使えば株主優待をもらうことができます

さらに配当金も非課税で受け取れるため、通常の口座よりもお得に株主優待投資を楽しめます。

この記事では、新NISAで株主優待株を選ぶポイントや、投資金額別のおすすめ銘柄を詳しく解説します。

株主優待投資を始めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事の要約
  • 新NISAの成長投資枠で株主優待がもらえる
  • 配当金が非課税になり、長期保有に適している
  • 配当利回りと優待内容を確認して銘柄を選ぶ
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

新NISAで株主優待はもらえる?

新NISAで株主優待をもらうことは可能です。新NISA制度には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がありますが、株主優待をもらえるのは成長投資枠で個別株を購入した場合のみです。

成長投資枠では、東京証券取引所に上場している個別株を購入できます。株主優待を実施している企業の株式を購入し、権利確定日に株主として登録されていれば、株主優待を受け取ることができます。

新NISAの成長投資枠は年間240万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。この枠内であれば、複数の株主優待株に分散投資することも可能です。

金融庁:NISA特設ウェブサイト

一方、つみたて投資枠では金融庁が定めた投資信託やETFのみが対象となるため、個別株は購入できません。そのため、つみたて投資枠では株主優待を受け取ることはできません。

株主優待投資を始めたい方は、必ず成長投資枠を利用する必要があります。

新NISAでは配当金も非課税で受け取れるため、株主優待と配当金の両方を非課税で享受できる点が大きなメリットです。通常の課税口座では配当金に20.315%の税金がかかりますが、新NISAならこの税金が一切かかりません。

株主優待とは?基本的なしくみ

株主優待とは、企業が株主に対して自社製品やサービス、金券などを贈る制度です。企業が株主への感謝の気持ちを表すとともに、長期保有を促進する目的で実施されています。

日本では約1,500社が株主優待制度を実施しており、食品メーカーなら自社製品、外食チェーンなら食事券、小売業なら買物優待券など、業種によって優待内容はさまざまです。

株主優待がもらえる条件

株主優待をもらうには、企業が定めた「権利確定日」に株主名簿に登録されている必要があります。多くの企業は3月末や9月末を権利確定日としていますが、企業によって異なります。

また、優待をもらうために必要な株数も企業ごとに設定されています。多くの企業では100株(1単元)以上の保有が条件ですが、中には300株や500株以上の保有が必要な企業もあります。

さらに、保有期間の条件を設けている企業もあります。たとえば「1年以上継続保有」や「3年以上継続保有」といった長期保有優遇制度を導入している企業では、保有期間に応じて優待内容がグレードアップします。

権利確定日・権利付最終日・権利落ち日とは

株主優待をもらうためには、権利確定日に関する3つの日付を理解する必要があります。

権利確定日は、企業が株主名簿を確定する日です。この日に株主として登録されていれば、株主優待や配当金を受け取る権利が得られます。多くの企業では3月末や9月末が権利確定日となっています。

権利付最終日は、株主優待や配当金を受け取る権利を得られる最後の日です。日本株の場合、株式の受渡しには購入日から2営業日かかるため、権利確定日の2営業日前が権利付最終日となります。この日までに株式を購入すれば、株主優待を受け取ることができます。

権利落ち日は、権利付最終日の翌営業日のことです。この日以降に株式を購入しても、その期の株主優待や配当金は受け取れません。権利落ち日には、優待や配当の価値分だけ株価が下がる傾向があります。

権利確定日の具体例

3月31日(金)が権利確定日の場合

3月29日(水)が権利付最終日

3月30日(木)が権利落ち日

株主優待をもらうには、3月29日の取引終了時点で株式を保有している必要があります。

配当金と株主優待の違い

配当金と株主優待は、どちらも株主が受け取れる利益ですが、性質が異なります。

配当金は企業の利益の一部を株主に現金で分配するものです。配当金の金額は保有株数に比例し、1株あたりの配当金額が決まっています。業績が良ければ増配、悪ければ減配や無配になることもあります。

一方、株主優待は企業が株主に贈る自社製品やサービス、金券などです。優待内容は保有株数に応じて段階的に設定されていることが多く、必ずしも保有株数に比例するわけではありません。また、株主優待は企業の任意の制度であり、業績にかかわらず廃止されることもあります。

新NISAでは配当金は非課税ですが、株主優待品そのものには税金がかかりません。ただし、株主優待品を換金した場合や、金券類を使用した場合には、一時所得として課税対象となる可能性があります。

新NISAで株主優待投資をする3つのメリット

新NISAで株主優待投資を行うと、通常の課税口座にはない3つの大きなメリットがあります。ここでは、新NISAを活用する利点を具体的に解説します。

配当金が非課税で受け取れる

新NISAの最大のメリットは、配当金を非課税で受け取れることです。通常の課税口座では、配当金に対して20.315%の税金がかかります。

たとえば、年間10万円の配当金を受け取った場合、約2万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは約8万円です。

しかし、新NISAの成長投資枠で購入した株式からの配当金は、全額非課税で受け取ることができます。同じ年間10万円の配当金でも、新NISAなら10万円がそのまま手元に残ります。

金融庁:NISA特設ウェブサイト

配当利回りが高い銘柄ほど、非課税のメリットは大きくなります。配当利回り3%の銘柄を100万円分保有している場合、年間3万円の配当金が得られますが、課税口座では約6,000円が税金として引かれます。新NISAならこの6,000円も非課税で受け取れるため、長期保有すればするほど差が広がります。

株主優待投資では、優待品だけでなく配当金も重視する方が多いため、配当金が非課税になる新NISAは株主優待投資と非常に相性が良い制度です。

長期保有しやすい

新NISAは非課税保有期間が無期限のため、長期保有に適しています。旧NISA制度では非課税期間が5年間(一般NISA)または20年間(つみたてNISA)と決まっていましたが、新NISAではこの期間制限がなくなりました。

株主優待投資は、企業の優待制度を長く享受することで真価を発揮します。毎年安定して優待品や配当金を受け取ることで、投資のリターンが積み上がっていきます。新NISAなら、期間を気にせず優待株を保有し続けることができます。

また、売却して得た利益(譲渡益)も非課税です。株価が上昇したタイミングで売却すれば、その利益に税金がかからないため、効率的に資産を増やせます。

さらに、新NISAでは売却した分の非課税枠が翌年に復活します。たとえば、100万円分の株式を売却した場合、翌年には再び100万円分の非課税枠が使えるようになります。これにより、ポートフォリオの見直しや銘柄の入れ替えもしやすくなっています。

長期保有優遇を受けやすい

多くの企業が導入している「長期保有優遇制度」は、一定期間以上株式を保有している株主に対して、優待内容をグレードアップする仕組みです。たとえば、1年以上保有で優待品が1.5倍、3年以上保有で2倍になるといった優遇があります。

新NISAは無期限で保有できるため、長期保有優遇の条件を満たしやすくなります。課税口座では税金のことを考えて売却を検討することもありますが、新NISAなら配当金も譲渡益も非課税なので、安心して長期保有を続けられます。

長期保有優遇制度がある銘柄は、新NISAとの相性が特に良いと言えます。優待内容が充実するだけでなく、配当金も非課税で受け取れるため、総合的なリターンが大きくなります。

また、長期保有を前提とすることで、短期的な株価変動に一喜一憂せず、落ち着いて投資を続けられるという心理的なメリットもあります。株主優待という楽しみがあることで、投資を継続するモチベーションにもなります。

新NISAで株主優待株を選ぶ5つのポイント

株主優待株を選ぶ際には、優待内容だけでなく、配当利回りや企業の業績など、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。ここでは、銘柄選定の具体的な基準を5つのポイントに分けて解説します。

配当利回りもチェックする

株主優待株を選ぶ際は、優待内容だけでなく配当利回りも必ず確認しましょう。配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合のことで、「年間配当金÷株価×100」で計算されます。

配当利回りが3%以上あれば高配当株と言われており、株主優待と合わせて総合的なリターンが高くなります。たとえば、配当利回り3%の銘柄で年間3,000円相当の優待品がもらえる場合、優待利回りと合わせて実質的な利回りは4%以上になることもあります。

新NISAでは配当金が非課税で受け取れるため、配当利回りの高さがそのまま手元に残る金額に直結します。株主優待だけを重視して配当利回りが低い銘柄を選ぶよりも、両方のバランスが取れた銘柄を選ぶことで、より効率的な資産形成ができます。

優待内容が実用的か確認する

株主優待の内容は企業によってさまざまですが、自分の生活で実際に使えるものを選ぶことが重要です。どんなに豪華な優待品でも、使わなければ意味がありません。

食品メーカーなら自社製品の詰め合わせ、外食チェーンなら食事券、小売業なら買物優待券やポイント付与など、日常生活で使いやすい優待内容の銘柄を選びましょう。特に、全国展開している企業の優待券は使い勝手が良く、人気があります。

また、優待品の価値も重要です。投資金額に対してどれくらいの価値の優待品がもらえるかを「優待利回り」として計算できます。優待品の価値÷投資金額×100で計算し、1%以上あれば優待利回りとしては良好と言えます。

長期保有優遇制度があるか

長期保有優遇制度がある銘柄は、保有期間が長くなるほど優待内容が充実します。新NISAは無期限で保有できるため、長期保有優遇制度との相性が非常に良いです。

長期保有優遇制度の条件は企業によって異なりますが、一般的には1年以上、3年以上といった期間で区切られています。たとえば、1年以上保有で優待品が通常の1.5倍、3年以上で2倍になるといった優遇があります。

長期保有優遇制度がある銘柄を選ぶことで、時間の経過とともにリターンが増えていくため、長期投資のモチベーションにもなります。

企業の業績が安定しているか

株主優待株を選ぶ際は、企業の業績が安定しているかを必ず確認しましょう。業績が悪化すると、株主優待制度が廃止されたり、配当金が減配・無配になったりするリスクがあります。

企業の業績を確認する際は、過去3年から5年の売上高と営業利益の推移をチェックします。売上高と利益が安定して増加している企業は、株主優待制度を継続する可能性が高いと言えます。

また、自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)が30%以上あれば、財務的に安定していると判断できます。自己資本比率が高い企業は、不況時にも倒産リスクが低く、長期保有に適しています。

企業のIR情報(投資家向け情報)は、各企業の公式サイトで確認できます。決算短信や有価証券報告書を読むことで、企業の財務状況や今後の事業計画を把握できます。

最低投資金額が予算内か

株主優待をもらうためには、企業が定めた最低株数を購入する必要があります。多くの企業では100株(1単元)が最低単位ですが、株価によって必要な投資金額は大きく異なります。

たとえば、株価が1,000円の銘柄なら10万円、株価が5,000円の銘柄なら50万円が最低投資金額となります。自分の予算内で購入できる銘柄を選ぶことが重要です。

新NISAの成長投資枠は年間240万円まで投資できますが、一度に全額を使う必要はありません。予算に応じて複数の銘柄に分散投資することで、リスクを抑えながら多様な株主優待を楽しむことができます。

少額から始めたい方は、10万円以下で購入できる銘柄を選ぶと良いでしょう。逆に、まとまった資金がある方は、50万円以上の高配当・高優待利回りの銘柄を検討するのも一つの方法です。

新NISAにおすすめの株主優待銘柄10選

ここでは、新NISAで株主優待投資を始める方に向けて、条件別におすすめの銘柄を紹介します。配当利回り、優待内容、企業の安定性などを総合的に評価した銘柄を厳選しました。

少額で始められる銘柄(10万円以下)

投資初心者や少額から始めたい方には、10万円以下で購入できる銘柄がおすすめです。少額で始められる銘柄なら、複数の銘柄に分散投資しやすく、リスクを抑えながら株主優待投資を楽しめます。

イオン(8267)の特徴

全国に展開する総合小売業

オーナーズカードで買い物金額の3~7%キャッシュバック

配当利回り約1.5%、総合利回り4%以上

イオン(8267)は、全国に展開する総合小売業です。株主優待として「オーナーズカード」が発行され、イオングループでの買い物金額に応じてキャッシュバックが受けられます。保有株数が多いほどキャッシュバック率が高くなり、100株保有で3%、500株以上で7%のキャッシュバックが受けられます。

すかいらーくホールディングス(3197)の特徴

ガストやバーミヤンなどを展開する外食チェーン

年2回、食事優待カード6,000円分

配当利回り約2%、総合利回り5%程度

すかいらーくホールディングス(3197)は、ガストやバーミヤンなどを展開する外食チェーンです。株主優待として年2回、食事優待カードがもらえます。100株保有で年間6,000円分の優待カードが受け取れ、優待利回りは約3%です。

少額で始められる銘柄は、株価の変動幅も比較的小さいため、初心者でも安心して保有できます。まずは10万円以下の銘柄から始めて、株主優待投資の感覚をつかむと良いでしょう。

配当利回りが高い銘柄(3%以上)

配当利回りが3%以上ある銘柄は、株主優待と合わせて高い総合利回りが期待できます。新NISAでは配当金が非課税で受け取れるため、高配当株のメリットを最大限に活かせます。

日本たばこ産業(JT、2914)の特徴

配当利回り5%以上の高配当株

自社グループ商品の詰め合わせ2,500円相当

総合利回り6%以上

日本たばこ産業(JT、2914)は、配当利回りが5%以上ある高配当株の代表格です。株主優待として、自社グループ商品の詰め合わせがもらえます。100株保有で年1回、2,500円相当の優待品が受け取れます。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は、メガバンクの一角を担う金融持株会社です。配当利回りは約3.5%で、安定した配当が期待できます。株主優待はありませんが、高配当株として人気があり、新NISAでの保有に適しています。

高配当株は、配当金を再投資することで複利効果を得られる点も魅力です。新NISAで受け取った配当金を使って追加投資をすることで、資産を効率的に増やせます。

優待内容が充実している銘柄

優待内容が充実している銘柄は、生活の質を向上させる実用的な優待品がもらえます。食品や日用品、食事券など、日常生活で使いやすい優待内容の銘柄を選ぶことで、投資のメリットを実感しやすくなります。

オリックス(8591)の特徴

カタログギフトや宿泊割引券、水族館入場券など多彩

100株保有で年1回、5,000円相当の優待品

配当利回り約3%、総合利回り5%以上

オリックス(8591)は、リース業を中心に多角的な事業を展開する企業です。株主優待として、カタログギフトや宿泊割引券、水族館の入場券など、多彩な選択肢から選べます。

ヤマダホールディングス(9831)の特徴

家電量販店大手のヤマダ電機を展開

年2回の買物優待券、年間3,000円分

配当利回り約2%、総合利回り約4%

ヤマダホールディングス(9831)は、家電量販店大手のヤマダ電機を展開する企業です。株主優待として、年2回の買物優待券がもらえます。100株保有で年間3,000円分の優待券が受け取れ、家電製品の購入時に利用できます。

優待内容が充実している銘柄は、株主優待を受け取る楽しみがあるため、長期保有のモチベーションにつながります。

長期保有優遇がある銘柄

長期保有優遇制度がある銘柄は、保有期間が長くなるほど優待内容が充実します。新NISAは無期限で保有できるため、長期保有優遇制度との相性が非常に良いです。

ビックカメラ(3048)の特徴

家電量販店大手

100株保有で年間4,000円分、2年以上継続保有で5,000円分

配当利回り約1.5%、長期保有で総合利回り約4%

ビックカメラ(3048)は、家電量販店大手の企業です。株主優待として、年2回の買物優待券がもらえます。100株保有で年間4,000円分の優待券が受け取れますが、2年以上継続保有すると年間5,000円分にグレードアップします。

キリンホールディングス(2503)の特徴

大手飲料メーカー

100株保有で1,000円相当、3年以上継続保有で3,000円相当

配当利回り約3%、長期保有で総合利回り約4.5%

キリンホールディングス(2503)は、ビールや清涼飲料水を製造する大手飲料メーカーです。株主優待として、自社グループ商品の詰め合わせがもらえます。100株保有で年1回、1,000円相当の優待品が受け取れますが、3年以上継続保有すると3,000円相当にグレードアップします。

長期保有優遇制度がある銘柄は、時間をかけてリターンを最大化できるため、新NISAでの長期投資に最適です。

業績が安定している銘柄

業績が安定している銘柄は、株主優待制度が廃止されるリスクが低く、配当金も安定して受け取れます。長期保有を前提とする株主優待投資では、企業の安定性が非常に重要です。

KDDI(9433)の特徴

通信業界大手、安定した業績

カタログギフトまたはau PAY残高3,000円相当

配当利回り約3.5%、総合利回り約4.5%

KDDI(9433)は、通信業界大手の企業です。携帯電話事業を中心に、安定した業績を維持しています。株主優待として、カタログギフトから選べる商品や、au PAY残高へのチャージがもらえます。100株保有で年1回、3,000円相当の優待品が受け取れます。

花王(4452)の特徴

日用品メーカー大手、業績が非常に安定

自社製品の詰め合わせ1,500円相当

配当利回り約2.5%、総合利回り約3.5%

花王(4452)は、日用品メーカー大手の企業です。洗剤やシャンプーなど、生活必需品を製造しており、業績が非常に安定しています。株主優待として、自社製品の詰め合わせがもらえます。100株保有で年1回、1,500円相当の優待品が受け取れます。

業績が安定している銘柄は、不況時にも株価が大きく下落しにくく、安心して長期保有できます。企業の財務状況や業績推移を確認し、安定性の高い銘柄を選びましょう。

投資金額別のポートフォリオ例

ここでは、予算別の具体的な投資例を紹介します。10万円、50万円、100万円の3つのパターンに分けて、どのように銘柄を選び、分散投資を行うかを解説します。

10万円で始める場合

投資初心者や少額から始めたい方には、10万円以下で購入できる銘柄を1~2銘柄選ぶことをおすすめします。少額から始めることで、リスクを抑えながら株主優待投資の経験を積むことができます。

たとえば、イオン(8267)を100株購入すると、約8万円の投資で年間3%のキャッシュバックと配当金が受け取れます。残りの2万円は次の投資資金として貯めておくか、別の少額銘柄を検討すると良いでしょう。

もう一つの例として、すかいらーくホールディングス(3197)を100株購入すると、約6万円の投資で年間6,000円分の食事優待カードと配当金が受け取れます。残りの4万円で、他の少額銘柄を追加購入することも可能です。

10万円で始める場合は、まず1銘柄に集中投資して株主優待の仕組みを理解し、慣れてきたら追加投資で銘柄を増やしていくのが良いでしょう。新NISAは年間240万円まで投資できるため、毎月少しずつ積み立てていくことも可能です。

50万円で始める場合

50万円の予算がある場合は、3~5銘柄に分散投資することをおすすめします。複数の銘柄に分散することで、リスクを抑えながら多様な株主優待を楽しむことができます。

ポートフォリオの例として、以下のような組み合わせが考えられます。

  • オリックス(8591):約20万円(100株)- 配当利回り3%、優待利回り2.5%
  • KDDI(9433):約15万円(100株)- 配当利回り3.5%、優待利回り2%
  • イオン(8267):約8万円(100株)- 配当利回り1.5%、優待利回り3%
  • すかいらーくホールディングス(3197):約6万円(100株)- 配当利回り2%、優待利回り3%

この組み合わせでは、総合利回りが約4~5%となり、配当金と株主優待の両方をバランス良く受け取ることができます。また、業種も分散されているため、特定の業界の不況に影響を受けにくくなります。

50万円で始める場合は、高配当株と優待充実株をバランス良く組み合わせることで、安定したリターンが期待できます。

100万円で始める場合

100万円の予算がある場合は、5~8銘柄に分散投資することで、さらにリスクを抑えながら高いリターンを狙うことができます。複数の銘柄に分散することで、株主優待の内容も多様になり、生活の質が向上します。

ポートフォリオの例として、以下のような組み合わせが考えられます。

  • 日本たばこ産業(JT、2914):約30万円(100株)- 配当利回り5%、優待利回り1%
  • オリックス(8591):約20万円(100株)- 配当利回り3%、優待利回り2.5%
  • KDDI(9433):約15万円(100株)- 配当利回り3.5%、優待利回り2%
  • ビックカメラ(3048):約10万円(100株)- 配当利回り1.5%、優待利回り2.5%
  • イオン(8267):約8万円(100株)- 配当利回り1.5%、優待利回り3%
  • すかいらーくホールディングス(3197):約6万円(100株)- 配当利回り2%、優待利回り3%
  • ヤマダホールディングス(9831):約5万円(100株)- 配当利回り2%、優待利回り2%
  • 花王(4452):約6万円(100株)- 配当利回り2.5%、優待利回り1%

この組み合わせでは、高配当株から優待充実株まで幅広くカバーし、総合利回りは約4~5%となります。業種も金融、通信、小売、外食、日用品と分散されているため、リスク分散効果が高くなります。

100万円で始める場合は、配当金と株主優待のバランスを考えながら、業種を分散させることが重要です。新NISAの成長投資枠は年間240万円まで投資できるため、100万円で始めた後も、追加投資で銘柄を増やしていくことができます。

新NISAで株主優待株を買う方法

ここでは、新NISAで株主優待株を購入するための具体的な手順を解説します。口座開設から銘柄選定、購入までのステップを順番に説明します。

証券口座を開設する

株主優待株を購入するには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。証券会社には店舗型とネット証券がありますが、手数料が安く、取扱銘柄も豊富なネット証券がおすすめです。

主要なネット証券には、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などがあります。各証券会社で手数料体系や取扱商品が異なるため、自分に合った証券会社を選びましょう。

口座開設の手続きは、オンラインで完結します。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)とマイナンバーを用意し、証券会社の公式サイトから申し込みます。最短で翌営業日には口座が開設され、取引を始めることができます。

新NISA口座を申し込む

証券口座を開設したら、次に新NISA口座を申し込みます。新NISA口座は1人1口座しか開設できないため、どの証券会社で開設するかをよく検討しましょう。

新NISA口座の申し込みは、証券口座開設と同時に行うこともできますし、後から追加で申し込むこともできます。申し込み手続きは簡単で、オンラインで必要事項を入力するだけです。

新NISA口座の開設には、税務署での審査が必要なため、通常1~2週間程度かかります。審査が完了すると、証券会社から新NISA口座開設完了の通知が届きます。

銘柄を検索して選ぶ

新NISA口座が開設されたら、株主優待株を検索して選びます。多くの証券会社では、株主優待検索ツールが用意されており、優待内容や配当利回り、最低投資金額などの条件で絞り込むことができます。

銘柄を選ぶ際は、配当利回り、優待内容、企業の業績、最低投資金額を総合的に判断しましょう。また、権利確定月が分散するように複数の銘柄を選ぶと、年間を通じて株主優待を楽しむことができます。

証券会社の株主優待検索ツールでは、人気ランキングやおすすめ銘柄も表示されるため、初心者でも銘柄選びがしやすくなっています。気になる銘柄を見つけたら、企業の公式サイトで優待内容や業績を詳しく確認しましょう。

成長投資枠で購入する

銘柄を選んだら、新NISAの成長投資枠で購入します。証券会社の取引画面で、購入したい銘柄のコードまたは銘柄名を入力し、「成長投資枠」を選択します。

購入する株数と注文方法(成行注文または指値注文)を選択し、注文を確定します。成行注文は現在の市場価格で即座に購入する方法、指値注文は希望する価格を指定して購入する方法です。初心者には、確実に購入できる成行注文がおすすめです。

注文が約定(取引成立)すると、購入した株式が新NISA口座に反映されます。権利確定日までに株式を保有していれば、株主優待と配当金を受け取ることができます。

新NISAの成長投資枠は年間240万円まで投資できるため、予算に応じて複数の銘柄を購入することができます。一度に全額を使う必要はないので、少しずつ銘柄を増やしていくことも可能です。

新NISAで株主優待投資をするときに気をつけたいこと

株主優待投資には魅力的なメリットがありますが、同時に注意すべきリスクやデメリットもあります。ここでは、新NISAで株主優待投資を行う際に気をつけたいポイントを解説します。

株価が下がる可能性がある

株式投資には元本割れのリスクがあります。株主優待や配当金が魅力的でも、株価が大きく下落すれば、トータルでは損失が出る可能性があります。

特に、株主優待目当てで株価が高騰している銘柄は、権利落ち日以降に株価が急落することがあります。高値で購入してしまうと、優待や配当金を受け取っても、株価の下落分を補えないこともあります。

株価の変動リスクを抑えるためには、複数の銘柄に分散投資することが重要です。また、企業の業績や財務状況を確認し、株価が適正水準にあるかを判断してから購入しましょう。

優待制度が廃止されることもある

株主優待制度は企業の任意の制度であり、業績悪化や経営方針の変更により廃止されることがあります。優待制度が廃止されると、優待目当てで保有していた投資家が一斉に売却し、株価が急落することもあります。

優待制度廃止のリスクを避けるためには、業績が安定している企業を選ぶことが重要です。過去数年間の売上高と利益が安定している企業は、優待制度を継続する可能性が高いと言えます。

また、優待制度だけに頼らず、配当金も重視した銘柄選びを行うことで、優待廃止のリスクに備えることができます。配当利回りが高い銘柄であれば、優待が廃止されても一定のリターンを確保できます。

権利落ち日に株価が下がりやすい

権利落ち日には、株主優待や配当金の権利がなくなるため、株価が下がる傾向があります。これは、優待や配当の価値分だけ株価が調整されるためです。

権利付最終日の直前に株式を購入すると、翌日の権利落ち日に株価が下落し、含み損を抱えることがあります。短期的な株価変動に一喜一憂しないためには、長期保有を前提として投資することが重要です。

権利落ち日の株価下落は一時的なものであり、業績が安定している企業であれば、時間とともに株価は回復する傾向があります。焦って売却せず、長期的な視点で保有を続けることが大切です。

成長投資枠は年間240万円まで

新NISAの成長投資枠は年間240万円までという制限があります。この枠を超えて投資することはできないため、計画的に投資を行う必要があります。

複数の銘柄に分散投資したい場合は、各銘柄の投資金額を調整し、年間240万円の枠内に収めるようにしましょう。また、一度に全額を使い切る必要はないため、市場の状況を見ながら少しずつ投資していくことも可能です。

非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。長期的には、この限度額まで投資を続けることで、大きな非課税メリットを享受できます。

まとめ

新NISAの成長投資枠を使えば、株主優待を非課税で楽しむことができます。配当金も非課税で受け取れるため、通常の課税口座よりも効率的に資産を増やせます。

株主優待株を選ぶ際は、配当利回り、優待内容、企業の業績、長期保有優遇制度の有無を総合的に判断しましょう。複数の銘柄に分散投資することで、リスクを抑えながら多様な株主優待を楽しむことができます。

投資金額は10万円から始めることができ、予算に応じて銘柄を増やしていくことが可能です。証券会社で新NISA口座を開設し、成長投資枠で株主優待株を購入すれば、すぐに株主優待投資を始められます。

ただし、株式投資には元本割れのリスクがあり、株主優待制度が廃止される可能性もあります。投資判断はご自身の責任で行い、リスク許容度に合わせて慎重に検討してください。最新情報は各証券会社や企業の公式サイトでご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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