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50歳から資産形成を始めたいけれど、iDeCoとNISAのどちらを選べばいいか迷っていませんか?
「今から始めても間に合うのか」「どちらが自分に合っているのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
結論から言うと、50歳からでも資産形成は十分に間に合います。
そして、資金に余裕があるならiDeCoとNISAの併用がおすすめです。
この記事では、50歳からiDeCoとNISAを始める際の選び方、それぞれのメリット・デメリット、具体的なシミュレーションまで詳しく解説します。
目次
50歳からiDeCoとNISAを始めるなら併用がおすすめ
50歳から資産形成を始める場合、iDeCoとNISAのどちらか一方ではなく、可能であれば両方を併用することをおすすめします。それぞれ異なる税制優遇と特徴があるため、併用することでメリットを最大限に活用できるからです。
「50歳から始めても遅いのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。しかし、50歳からでも資産形成は十分に間に合います。
2022年の制度改正により、iDeCoは65歳まで加入できるようになり、受給開始年齢も75歳まで延長されました。NISAは年齢制限がなく、非課税保有期間も無期限です。
50代は収入のピークを迎える年代でもあります。子どもの教育費が落ち着いたり、住宅ローンの返済が終わったりすることで、資産形成に回せる資金が増えるタイミングでもあるんです。
実際、金融広報中央委員会の調査によると、50代の平均貯蓄額は二人以上世帯で1,147万円、中央値は300万円です。単身世帯では平均941万円、中央値は100万円となっており、他の年代と比較しても貯蓄額が増加しています。
さらに、定年退職後も働き続ける方が増えています。65歳以上で働いている方の割合は2人に1人以上となっており、現在50歳の方であれば20年近く働く可能性があります。長く働けるということは、それだけ資産形成に充てられる期間も長くなるということなんですね。
iDeCoとNISAの併用をおすすめする理由は、大きく3つあります。
老後資金の準備を考える前に、現在の50代の貯蓄状況と老後に必要な資金を確認しておきましょう。
金融広報中央委員会の調査によると、50代の平均貯蓄額は二人以上世帯で1,147万円、中央値は300万円です。単身世帯では平均941万円、中央値は100万円となっています。
平均値と中央値に大きな差があるのは、一部の高額貯蓄者が平均を押し上げているためです。中央値を見ると、実際には貯蓄が少ない世帯も多いことがわかります。
一方、老後に必要な資金はどのくらいでしょうか。総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均支出額は月額約25万円、単身世帯では約15万4,000円です。公的年金だけでは毎月1〜2万円ほど不足する可能性が高く、ゆとりある老後を過ごすためには追加の資金が必要になります。
仮に65歳から85歳までの20年間で考えると、夫婦世帯では約480万円〜960万円、単身世帯では約240万円〜480万円の資金が不足する計算になります。これに医療費や介護費用、趣味や旅行などの費用を加えると、退職金と合わせて2,000万円程度の準備が理想的とされています。
iDeCoとNISAの基本的な仕組みと違い
iDeCoとNISAを効果的に活用するために、まずはそれぞれの基本的な仕組みと違いを理解しておきましょう。両制度とも投資で得た利益が非課税になる点は共通していますが、目的や制約が大きく異なります。
iDeCoは、個人型確定拠出年金の略称で、老後資金を準備するための私的年金制度です。毎月一定の掛金を拠出し、自分で選んだ金融商品(投資信託、定期預金、保険など)で運用します。
加入できるのは20歳以上65歳未満の国民年金被保険者で、掛金の上限額は職業によって異なります。
ただし、原則として60歳まで引き出せないという制約があります。
NISAは、少額投資非課税制度の略称で、投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年から新NISA制度がスタートし、より使いやすい制度になりました。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、両方を併用できます。
新NISAの投資枠
つみたて投資枠:年間120万円まで
成長投資枠:年間240万円まで
合計で年間360万円まで非課税で投資可能
非課税保有限度額は生涯で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
NISAの大きな特徴は、いつでも引き出せる自由度の高さです。iDeCoと異なり、年齢制限や引き出し制限がないため、急な出費が必要になった時にも対応できます。また、非課税保有期間が無期限になったことで、長期的な資産形成がしやすくなりました。
iDeCoとNISAの主な違いを表で整理しました。それぞれの特徴を理解して、自分に合った制度を選びましょう。
| 項目 | iDeCo | NISA |
| 制度の目的 | 老後資金の準備 | 資産形成全般 |
| 加入年齢 | 20歳以上65歳未満 | 18歳以上(制限なし) |
| 年間投資上限 | 14.4万円〜81.6万円(職業により異なる) | 360万円(つみたて120万円+成長240万円) |
| 非課税保有限度額 | なし | 1,800万円 |
| 税制優遇 | 掛金全額所得控除、運用益非課税、受取時控除 | 運用益非課税のみ |
| 引き出し制限 | 原則60歳まで引き出し不可 | いつでも引き出し可能 |
| 投資対象商品 | 投資信託、定期預金、保険(35本まで) | 投資信託、株式、ETFなど |
| 口座管理手数料 | あり(月171円〜) | なし |
この表からわかるように、iDeCoは老後資金準備に特化した制度で税制優遇が手厚い一方、引き出し制限があります。
NISAは自由度が高く、ライフイベントに合わせて柔軟に活用できる点が魅力です。どちらも運用益が非課税になるという共通点がありますが、使い分けることでそれぞれのメリットを最大限に活かせます。
50歳からiDeCoを始める3つのメリット
50歳からiDeCoを始めることには、大きく3つのメリットがあります。特に税制優遇の効果は非常に大きく、現在の手取り収入を増やしながら老後資金を準備できる点が魅力です。
iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になることです。これは、拠出した掛金の分だけ課税所得が減るため、所得税と住民税が軽減されるという仕組みです。
具体的な節税効果を見てみましょう。例えば、年収500万円の会社員(企業年金なし)が毎月2.3万円をiDeCoに拠出した場合、年間の掛金は27.6万円です。
所得税率を10%、住民税率を10%とすると、年間で約5.5万円の税金が軽減されます。10年間続ければ約55万円、15年間なら約82.5万円もの節税効果が得られる計算になります。
さらに、年収が高いほど所得税率も高くなるため、節税効果も大きくなります。年収600万円で所得税率20%の場合、年間の節税額は約8.3万円になります。50代は収入のピークを迎える年代でもあるため、この所得控除のメリットを最大限に活用できるタイミングなんです。
この節税効果は、実質的に「国が掛金の一部を負担してくれる」ようなものです。節税で浮いたお金をさらに貯蓄や投資に回せば、資産形成のスピードをさらに加速できます。
iDeCoで運用して得た利益は、すべて非課税になります。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoではこの税金が一切かかりません。
例えば、10年間で運用益が50万円出た場合、通常の課税口座なら約10万円が税金として引かれ、手元に残るのは約40万円です。しかし、iDeCoなら50万円がそのまま手元に残ります。
この差は運用期間が長くなるほど、また運用益が大きくなるほど広がっていきます。
さらに、非課税で得た運用益を再投資することで、複利効果も高まります。税金で引かれる分も含めて再投資できるため、資産がより効率的に増えていくんです。50歳から15年間運用した場合でも、この非課税効果は大きなメリットになります。
iDeCoは受け取る時にも税制優遇が適用されます。受取方法は「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3つから選べ、それぞれに控除が適用されます。
一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。退職所得控除は、iDeCoの加入年数に応じて控除額が増える仕組みです。
例えば、50歳から65歳まで15年間加入した場合、退職所得控除額は585万円になります。この金額までは税金がかからず、超えた部分も2分の1に軽減されて課税されます。
年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。65歳未満なら年間60万円まで、65歳以上なら年間110万円までは非課税で受け取れます。
公的年金の受給開始を繰り下げて、その間にiDeCoを年金形式で受け取れば、税負担を抑えながら生活費を確保できます。
ただし、退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除が重複して税負担が増える可能性があります。受取タイミングを調整することで、税制優遇を最大限に活用できるため、受け取り方は慎重に検討しましょう。
50歳からiDeCoを始める3つのデメリット
iDeCoには大きな税制メリットがある一方で、50歳から始める場合に注意すべきデメリットもあります。特に引き出し制限と運用期間の短さは、しっかりと理解しておく必要があります。
iDeCoの最大のデメリットは、原則として60歳まで資産を引き出せないことです。これは老後資金の準備に特化した制度であるため、途中で解約したり引き出したりすることができません。
50歳から始めると、60歳まで残り10年しかありません。この間に住宅のリフォーム費用、親の介護費用、子どもの結婚資金など、まとまった支出が必要になる可能性もあります。
しかし、iDeCoに拠出した資金は引き出せないため、別途、緊急予備資金を確保しておく必要があります。
ただし、加入者が死亡した場合や、一定以上の障害状態になった場合など、特定の条件を満たせば60歳未満でも給付金を受け取ることは可能です。
とはいえ、基本的には60歳まで引き出せないという前提で、生活資金とのバランスを考えて掛金額を設定することが重要です。
50歳からiDeCoを始めると、運用期間が短くなるため、元本割れのリスクが高まる可能性があります。
投資は長期で運用するほどリスクが分散され、安定したリターンが期待できますが、短期間では価格変動の影響を受けやすくなります。
例えば、50歳から60歳までの10年間で運用する場合、運用期間の終盤に株式市場が大きく下落すると、受け取り時に元本割れしている可能性があります。
20代や30代から始める場合は、下落しても回復を待つ時間がありますが、50代から始めると回復を待つ余裕が少なくなります。
このリスクを軽減するためには、リスクを抑えた商品選びが重要です。株式100%の商品ではなく、債券やバランス型の投資信託を組み合わせることで、価格変動を抑えながら運用できます。また、60歳が近づいてきたら、徐々に安定性の高い商品にシフトする「ターゲットイヤー型」の投資信託も選択肢の一つです。
50代後半からiDeCoに加入する場合、受給開始年齢が遅れる点に注意が必要です。
iDeCoは60歳から受け取れますが、これは「60歳までに10年以上加入していた場合」に限られます。加入期間が10年未満の場合、受給開始年齢が段階的に繰り下げられます。
ただし、2022年5月以降に60歳以上でiDeCoに加入した場合は、加入から5年経過後に受け取りが可能です。
また、60歳から受給開始年齢までの間も運用は継続できるため、資産を増やす機会は残されています。とはいえ、この期間は新たな掛金の拠出ができず、口座管理手数料だけがかかり続ける点は理解しておきましょう。
受給開始年齢が遅れることを考慮して、公的年金の繰り下げ受給や、NISAでの資産形成と組み合わせるなど、総合的な老後資金計画を立てることが大切です。
50歳からNISAを始める3つのメリット
NISAは50歳から始める場合でも、柔軟性の高さと使いやすさが大きな魅力です。iDeCoと比較して制約が少なく、50代のライフイベントにも対応しやすい制度と言えます。
NISAの最大のメリットは、いつでも資産を引き出せる自由度の高さです。iDeCoと異なり、年齢制限や引き出し制限がないため、必要な時に必要な金額を引き出せます。
50代は、住宅のリフォーム、親の介護、子どもの結婚資金など、予期せぬ大きな支出が発生する可能性がある年代です。また、病気や怪我で医療費が必要になることもあるでしょう。
NISAならこうした突発的な支出にも柔軟に対応できます。
さらに、60歳で定年退職した後、公的年金の受給開始までの「空白期間」の生活費としても活用できます。
公的年金の受給開始を繰り下げれば受給額が増えるため、その間の生活費をNISAの資産でまかなうという戦略も取れます。この柔軟性は、50代からの資産形成において非常に重要なポイントです。
NISAで運用して得た利益は、すべて非課税になります。通常、株式や投資信託の配当金や売却益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座ではこの税金が一切かかりません。
例えば、毎月3万円を年利3%で10年間積み立てた場合、元本360万円に対して運用益は約59万円になります。
通常の課税口座なら約12万円が税金として引かれますが、NISA口座なら59万円がそのまま手元に残ります。
さらに、2024年から始まった新NISA制度では、非課税保有期間が無期限になりました。以前は一定期間で非課税期間が終了していましたが、今は何年でも非課税で運用を続けられます。50歳から始めても、70歳、80歳と長期にわたって非課税のメリットを享受できるんです。
2024年から始まった新NISA制度では、非課税枠が大幅に拡大されました。
年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。
旧NISA制度では、一般NISAとつみたてNISAを併用できず、年間投資枠も120万円または40万円に限られていました。
新NISA制度では両方の枠を併用でき、年間投資枠も大幅に増えたため、より多くの資金を非課税で運用できるようになりました。
50歳から60歳までの10年間で考えると、理論上は年間360万円×10年=3,600万円まで投資できますが、生涯の非課税保有限度額は1,800万円なので、最大1,800万円まで非課税で運用できます。
例えば、退職金の一部をNISAで運用するという選択肢も現実的になりました。
また、NISA口座で保有していた商品を売却すると、その分の非課税枠が翌年に復活します。必要な時に引き出しても、また非課税枠を使って投資を再開できるため、柔軟な資産運用が可能です。
50歳からNISAを始める2つのデメリット
NISAは自由度が高く使いやすい制度ですが、iDeCoと比較すると税制優遇の面で劣る点があります。また、運用期間が短い場合のリスクも理解しておく必要があります。
NISAの大きなデメリットは、iDeCoのような所得控除が受けられないことです。NISAで得られる税制優遇は「運用益が非課税になる」ことだけで、投資した金額自体に対する税制優遇はありません。
iDeCoなら掛金が全額所得控除の対象となるため、年収500万円の会社員が月2.3万円を拠出すれば年間約5.5万円の節税効果があります。
一方、NISAで同じ金額を投資しても、所得税や住民税は一切軽減されません。
特に50代は収入のピークを迎える年代で、所得税率も高くなりがちです。年収が高い方ほど、iDeCoの所得控除のメリットは大きくなります。例えば、年収800万円で所得税率23%の場合、iDeCoの節税効果は年間約9万円にもなります。NISAではこうした「今すぐ使える節税効果」が得られない点は、大きなデメリットと言えます。
ただし、NISAは運用益が非課税になるため、長期的に見れば大きな節税効果が期待できます。
また、いつでも引き出せる自由度を考えると、所得控除がないことは必ずしも致命的なデメリットではありません。自分の収入や資金の流動性ニーズに応じて、iDeCoとNISAを使い分けることが重要です。
50歳からNISAを始める場合、運用期間が短いとインフレリスクの影響を受けやすくなります。インフレ(物価上昇)が進むと、お金の実質的な価値が目減りしてしまうためです。
例えば、預貯金で100万円を持っていても、年2%のインフレが10年続けば、実質的な購買力は約82万円に減少します。
50歳から60歳までの10年間、預貯金だけで資産を保有していると、インフレによって老後資金が目減りしてしまう可能性があるんです。
NISAで株式や投資信託に投資すれば、インフレに対抗できる可能性があります。株式は企業の成長や物価上昇に連動して価値が上がる傾向があるため、長期的にはインフレリスクをカバーできます。
ただし、運用期間が短いと、価格変動のリスクも高まります。
このリスクを軽減するためには、リスクとリターンのバランスを取った商品選びが重要です。株式100%ではなく、債券やバランス型の投資信託を組み合わせることで、インフレ対策をしながらも価格変動を抑えられます。また、つみたて投資枠を活用して毎月一定額を積み立てれば、ドルコスト平均法の効果で購入価格を平準化できます。
50歳からどっちを選ぶべき?4つのケース別判断基準
iDeCoとNISAのどちらを優先すべきかは、個人の状況によって異なります。ここでは、4つのケースに分けて、それぞれに適した選択基準を紹介します。自分に当てはまるケースを見つけて、判断の参考にしてください。
以下の条件に当てはまる方は、iDeCoを優先することをおすすめします。
iDeCoの最大のメリットは所得控除です。年収が高い方ほど所得税率も高くなるため、節税効果が大きくなります。
例えば、年収700万円で所得税率20%の会社員が月2.3万円をiDeCoに拠出すると、年間約8.3万円の節税効果があります。10年間で約83万円もの税金が軽減される計算です。
また、60歳まで引き出せないというデメリットを「強制的に貯蓄できるメリット」と捉えられる方にも向いています。つい使ってしまいがちな方でも、iDeCoなら確実に老後資金を準備できます。
以下の条件に当てはまる方は、NISAを優先することをおすすめします。
年収が比較的低い場合、iDeCoの所得控除のメリットが小さくなります。例えば、年収300万円で所得税率5%の場合、月2.3万円の拠出でも年間の節税効果は約2.8万円にとどまります。
この場合、いつでも引き出せるNISAの方が使い勝手が良いでしょう。
また、50代は親の介護費用や住宅のリフォーム費用など、予期せぬ大きな支出が発生する可能性がある年代です。こうした支出に備えて資金の流動性を確保したい方には、NISAが適しています。
以下の条件に当てはまる方は、iDeCoとNISAの併用をおすすめします。
併用することで、iDeCoの所得控除とNISAの自由度、両方のメリットを享受できます。
例えば、iDeCoで月2万円、NISAで月3万円を投資すれば、老後資金を準備しながら、いつでも引き出せる資産も確保できます。
また、iDeCoとNISAで異なる商品に投資することで、リスク分散も図れます。iDeCoでは安定性重視のバランス型投資信託、NISAでは成長性重視の株式投資信託といった使い分けも可能です。
同じ50代でも、年齢によって最適な選択は変わります。ここでは、50歳、55歳、58歳の3つのケースで考えてみましょう。
50歳から始める場合の運用シミュレーション
実際に50歳からiDeCoやNISAを始めると、どのくらいの資産が形成できるのでしょうか。具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。
50歳の会社員(企業年金なし)が、月2万円をiDeCoで10年間運用した場合を考えてみます。年利3%で運用できたと仮定すると、以下のような結果になります。
iDeCo運用結果(年利3%・10年間)
元本:240万円(月2万円×12カ月×10年)
運用益:約39万円
合計:約279万円
さらに、iDeCoには所得控除のメリットがあります。年収500万円(所得税率10%、住民税率10%)の場合、年間の節税額は約4.8万円です。
10年間で約48万円の節税効果があるため、実質的には約327万円の資産を形成できたことになります。
もし年収が高く所得税率が20%の場合、年間の節税額は約7.2万円になり、10年間で約72万円の節税効果が得られます。この場合、実質的な資産形成額は約351万円にもなります。
このシミュレーションからわかるように、iDeCoは所得控除の効果が非常に大きいことがわかります。特に年収が高い方ほど、そのメリットを実感できるでしょう。
50歳の方が、月3万円をNISAで10年間運用した場合を考えてみます。年利3%で運用できたと仮定すると、以下のような結果になります。
NISA運用結果(年利3%・10年間)
元本:360万円(月3万円×12カ月×10年)
運用益:約59万円
合計:約419万円
通常の課税口座なら、運用益59万円に対して約12万円の税金がかかりますが、NISA口座なら税金はゼロです。この12万円の差は、10年間の運用で得られる非課税効果です。
さらに、NISAは60歳以降も運用を続けられます。60歳で積立を停止し、そのまま70歳まで10年間運用を続けた場合、419万円が年利3%で増えると約563万円になります。20年間の運用で、元本360万円が約563万円に増える計算です。
NISAの魅力は、いつでも引き出せる柔軟性と、非課税保有期間が無期限である点です。60歳前に急な支出が必要になっても対応でき、老後も長期にわたって非課税で運用を続けられます。
iDeCoとNISAを併用した場合の配分例と、その効果を見てみましょう。50歳の会社員(年収600万円、企業年金なし)が、月5万円を投資に回せる場合を想定します。
| 項目 | iDeCo | NISA | 合計 |
| 月額投資額 | 2万円 | 3万円 | 5万円 |
| 10年間の元本 | 240万円 | 360万円 | 600万円 |
| 運用益(年利3%) | 約39万円 | 約59万円 | 約98万円 |
| 60歳時点の資産 | 約279万円 | 約419万円 | 約698万円 |
| 10年間の節税効果 | 約72万円 | 約12万円 | 約84万円 |
| 実質的な資産形成額 | 約351万円 | 約419万円 | 約770万円 |
この配分例では、10年間で約770万円の資産を形成できます。
iDeCoの所得控除による節税効果約72万円と、NISAの運用益非課税効果約12万円を合わせると、約84万円もの税制優遇を受けられる計算です。
さらに、iDeCoは老後資金として確実に確保でき、NISAはいつでも引き出せる資金として活用できます。この柔軟性が、50代からの資産形成において非常に重要なポイントです。
併用することで、税制優遇を最大限に活用しながら、ライフイベントにも柔軟に対応できる資産形成が実現できます。
50歳から始める際に気をつけたい5つのこと
50歳からiDeCoやNISAを始める際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、実際に資産形成を進める上で気をつけたい5つのことを解説します。
50代は住宅ローンの返済や子どもの教育費がまだ残っている方も多い年代です。資産形成も重要ですが、まずは目の前の支出をしっかりと管理することが大切です。
住宅ローンの金利が高い場合は、繰り上げ返済を優先することも検討しましょう。
例えば、金利2%の住宅ローンが残っている場合、繰り上げ返済することで確実に2%の「利回り」が得られます。一方、投資は元本割れのリスクもあるため、確実性を重視するなら繰り上げ返済が有利な場合もあります。
子どもの教育費が残っている場合も、まずは教育費を確保することが優先です。大学の学費は4年間で数百万円かかることもあるため、資産形成に回せる余裕資金を正確に把握しましょう。
教育費が終わった後に、その分を資産形成に回すという計画も現実的です。
iDeCoの一時金と会社の退職金を同じ年に受け取ると、退職所得控除が重複して税負担が増える可能性があります。受取タイミングを調整することで、税制優遇を最大限に活用できます。
退職所得控除は、勤続年数やiDeCo加入年数に応じて計算されます。例えば、勤続30年の退職金とiDeCo加入10年の一時金を同じ年に受け取ると、控除額が重複してしまいます。
この場合、退職金を60歳で受け取り、iDeCoの一時金を65歳で受け取るなど、5年以上間隔を空けることで、それぞれに退職所得控除を適用できます。
また、2026年からは退職所得控除の計算方法が一部改正される予定です。改正内容を確認し、最も有利な受取方法を検討することが重要です。
受取方法は複雑なため、ファイナンシャルプランナーや税理士に相談することもおすすめします。
50歳から始める場合、運用期間が短いため、リスクを抑えた商品選びが重要です。株式100%の商品ではなく、債券やバランス型の投資信託を組み合わせることで、価格変動を抑えながら運用できます。
具体的には、以下のような商品がおすすめです。
ただし、リスクを抑えすぎると、インフレに対抗できない可能性もあります。年齢や資金の性質に応じて、適度なリスクを取ることも検討しましょう。
例えば、60歳までの10年間は株式中心で運用し、60歳以降は徐々に債券の比率を高めるという戦略も有効です。
iDeCoやNISAを始める前に、まずは緊急予備資金を確保しておくことが重要です。緊急予備資金とは、病気や怪我、失業などの予期せぬ事態に備えるための資金のことです。
一般的には、生活費の3〜6カ月分を緊急予備資金として確保しておくことが推奨されています。
例えば、月の生活費が30万円なら、90万円〜180万円を預貯金で持っておくと安心です。
特にiDeCoは60歳まで引き出せないため、緊急予備資金を確保せずに始めると、いざという時に困ることになります。NISAはいつでも引き出せますが、市場が下落している時に売却すると損失が確定してしまうため、やはり緊急予備資金は別途確保しておくべきです。
緊急予備資金を確保した上で、余裕資金を資産形成に回すという順序を守りましょう。
老後資金の準備は、自分だけでなく配偶者の年金や資産も含めて、世帯全体で考えることが重要です。夫婦それぞれがiDeCoやNISAを活用すれば、非課税枠を2倍に増やせます。
例えば、夫がiDeCoで月2万円、妻がNISAで月3万円を投資すれば、世帯全体で月5万円の資産形成ができます。
さらに、夫婦それぞれの年金受給額を確認し、不足分を補う計画を立てることも大切です。
また、配偶者が専業主婦(主夫)の場合、国民年金の第3号被保険者としてiDeCoに加入できます。掛金の上限は月2.3万円で、所得控除は配偶者の所得から控除できるため、世帯全体での節税効果が期待できます。
老後は夫婦2人で過ごす期間が長いため、世帯全体で資産形成を考えることが、豊かな老後生活につながります。
50歳からiDeCoとNISAを始めることは、決して遅くありません。むしろ、収入のピークを迎え、子育てが落ち着く50代は、資産形成を加速できる絶好のタイミングです。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税、受取時にも税制優遇があるという3つの税制メリットがあります。一方、原則60歳まで引き出せないという制約があるため、緊急予備資金を確保した上で、余裕資金で始めることが重要です。
NISAは運用益が非課税になり、いつでも引き出せる自由度が魅力です。2024年から始まった新NISA制度では、非課税保有期間が無期限になり、年間投資枠も大幅に拡大されました。50代のライフイベントに柔軟に対応しながら、長期的な資産形成ができます。
どちらを選ぶかは、年収、資金の流動性ニーズ、老後資金の不足額などによって異なります。資金に余裕があるなら、iDeCoとNISAを併用することで、税制優遇を最大限に活用しながら、柔軟な資産形成ができます。
50歳からの資産形成は、老後の安心につながる重要な一歩です。まずは自分の状況を整理し、無理のない範囲で始めてみましょう。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは金融機関やファイナンシャルプランナーにご相談ください。
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