会社設立は自分で行える?かかる費用や必要な手続きについて解説

これから会社を自分で設立しようと考えている人は、どのような手続きが必要なのか、会社設立にかかる費用はどのくらいなのか、と疑問に思うことでしょう。

実際、会社設立を自分で行うか、または専門家に依頼するかで、必要な手続きや費用は異なります。

そこで本記事では、会社設立を自分で行うために必要な手続きや費用、会社設立を成功させるためのポイントを詳しく解説します。

会社設立の具体的な流れについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立の具体的な流れ|設立のための手続き・方法やメリット・デメリットについて解説

会社設立のための手続き

ここでは、株式会社を設立する場合に必要となる一般的な手順と手続きをご紹介します。

株式会社を設立する手順は、以下の通りです。
・会社の基本事項を決定する
・会社用の実印を作成する
・定款を作成する
・定款の認証を受ける
・資本金の払込み
・登記申請書類を作成する
・法務局に登記申請書類を提出する

法務局に登記申請書類を提出した後、下記のような手続きも必要です。
・税金関係における手続き
・社会保険関係における手続き
・労働保険関係における手続き

税金関係における手続き

会社は経営していくにあたってさまざまな税金を支払う必要があります。登記申請後、税金の支払いを行っていくための手続きを行いましょう。以下で税金関係の手続きについて解説します。

会社設立のための登記申請書類を法務局に提出した後、法人設立届出書を税務署に提出します。法人設立届出書とは、会社を設立したことと会社の概要を記した書類のことです。

法人設立届出書は、会社設立日から2ヶ月以内に会社の所在地を管轄している税務署に提出します。その後、必要に応じて都道府県税事務所、市町村役場への届出も行います。

社会保険関係における手続き

法務局に登記申請書類を提出した後、社会保険関係における手続きも必要です。健康保険や厚生年金保険などに加入するため、年金事務所への届出が必要になります。社会保険への加入手続きは、法人登記が完了してから5日以内に行わなければなりません。

社会保険へは原則加入しなければなりません。社会保険に加入しないまま放置していると、年金事務所から連絡が届き、最終的に罰則が課されます。

社会保険の必要書類について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立後も手続きは必要!税金や社会保険の必要書類や期限を確認

労働保険関係における手続き

従業員を雇う場合、労働保険関係における手続きも必要です。労働保険関係の手続きには、労災保険と雇用保険の手続きがあります

労災保険とは、業務時や通勤時にケガをした場合の治療費や休業した場合の給与の補償を受けられる保険のことです。雇用保険とは、失業した場合に、それまで受け取っていた給与額の一定割合を受給できる保険のことです。

労災保険の手続きは労働基準監督署、雇用保険の手続きはハローワークで行います

事業者は会社を設立し従業員を雇う場合、労災保険と雇用保険に加入する義務があります。しかし、雇用保険に関しては、下記条件に該当する場合は加入の対象外です。

(1)国・都道府県・市区町村の公務員およびこれらに準ずる事業に雇用される者
(2)週の所定労働時間が20時間未満の者
(3)継続して31日以上の雇用が見込まれない者(前2か月の各月で18日以上同じ事業主の適用事業に雇用された者、並びに日雇い労働被保険者は除く。
(4)季節的事業に雇用される者で、4ヶ月以内の期間を予定して雇用される者か、週所定労働時間が20時間以上30時間未満である者
(5)日雇労働者のうち、日雇労働被保険者にならない者
(6)昼間部の学生または生徒
(7)船員保険の被保険

これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。

また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。

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会社設立で必要な書類

会社設立で必要な書類はさまざまです。そのため、大きく3つの分野に分けて必要な書類の準備を行うとよいでしょう。

会社設立で必要な関連書類は、以下の通りです。
・定款認証関連の書類
・設立登記関連の書類
・年金事務所関連の書類

必要書類
定款認証関連の書類・定款
・実質的支配者となるべき者の申告書
・定款認証収入印紙(書類定款の場合)
・発起人の印鑑証明書
・発起人の身分証明書
・発起人実印
設立登記関連の書類・登記申請書
・定款
・登録免許税分の収入印紙
・領収書の貼付台紙
・発起人決定書
・取締役の就任承諾書
・代表取締役の就任承諾書
・取締役の印鑑証明書
・資本金払込証明書
・通帳コピー
・印鑑届出書
・登記すべき事項をデータ保存した記録媒体
年金事務所関連の書類・健康保険
・厚生年金保険被保険新規適用届
・健康保険
・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届

定款認証について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
定款認証とは?具体的な手続きや流れ・必要書類等を解説

会社設立にかかる費用

会社設立時にかかる費用は、会社の形態(株式会社や合同会社など)によって異なります

ここでは、株式会社設立時にかかる費用をご紹介します。会社設立には、会社法に基づいた法定費用と、各種書類提出にかかる費用が必要です。

下記の表は、定款枚数8枚、登録免許税15万円とした場合の費用一覧表です。

項目金額
定款認証手数料50,000円
定款謄本手数料(1枚250円)2,000円
定款貼付用の収入印紙代40,000円
設立登記の際の登録免許税150,000円
合計242,000円

電子定款を利用して定款の作成と認証を行う場合、40,000円の収入印紙代を節約できます。ただし、この方法では、特定のソフトウェアやICカードリーダーなどの特別な機器が必要になるため、状況によっては収入印紙代以上の費用が発生することもあります。

会社設立を依頼できる専門家

会社設立を専門家に依頼することも可能です。それぞれ専門とする職種や依頼できる業務も異なってくるため、必要に応じて使い分けることが重要です

会社設立について係る専門家には、以下の職種が該当します。
・司法書士
・税理士
・行政書士
・社会保険労務士

司法書士

司法書士には、会社設立を行う場合に必要な手続きをすべて依頼できます。たとえば、定款作成や定款認証、そして設立登記申請などです。

登記申請の代行業務は、司法書士にしか行えません。さらに、会社用の印鑑作成などに関しても司法書士に相談できます。

税理士

税理士も会社設立を依頼できる専門家です。税理士は税務の専門家であるため、会社設立において依頼できる業務は税務署への手続きに限ります

税理士には、登記申請代行を行う権限がありません。しかし、顧問契約を前提とした場合、設立登記のための書類作成や定款の作成援助を依頼できる可能性があります。

税理士の必要性について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立時における税理士の必要性とは?メリットや注意事項・選定のポイントについて解説

行政書士

会社設立を行政書士に依頼することも可能です。行政書士には、定款の作成、公証役場への定款認証を依頼できます。

また、行政書士は、飲食業や運送業などの許認可が必要な業種において、申請代行の依頼を受けることも可能です。許認可が必要な事業を始めたい人にとって行政書士は心強い存在でしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士には、会社設立における社会保険の各種手続きに必要な書類作成や、労務に関する書類作成を依頼できます。

社会保険労務士に、健康保険や厚生年金、雇用保険の相談をすることが可能です。たとえば、年金事務所に行う社会保険関連届出や労働基準監督署に行う労務関係届出、またハローワークに行う雇用保険関係届出、許認可届出などがあります。

これらの手続きがわからない人は、社会保険労務士に依頼することをおすすめします。また、許認可届出に関しての有料職業紹介事業、労働者派遣事業の許可申請は、社会保険労務士のみ対応できる事柄です。

よくある会社設立の4つの方法を比較

株式会社の設立には、誰が手続きを行うかでいくつかのパターンがあります。

ここでは、会社設立のよくあるパターンを4つご紹介します。
・「自分で」定款作成および会社設立手続きを行う
・専門家に定款作成を依頼し、「自分で」会社設立手続きを行う
・「自分で」定款作成を行い、専門家に会社設立手続きを依頼する
・専門家に定款作成および会社設立手続きを依頼する

「自分で」定款作成および会社設立手続きを行う

会社設立のための資本金の総額が100万円未満の場合、定款認証の手数料は「3万円」、資本金の総額が100万円以上で300万円未満の場合は「4万円」、その他の場合は「5万円」です。

また、定款認証の際、収入印紙代が4万円かかります。この4万円の収入印紙代に関して注意が必要でしょう。

電子定款の使用による定款作成と認証プロセスでは、紙の場合に必要となる40,000円の収入印紙代が不要となります。しかし、このプロセスには専用のソフトウェアやICカードリーダーといった特定の機器が求められるため、場合によっては収入印紙代を上回るコストがかかる可能性があります。

定款の作り方について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
定款の作り方|作成のポイントと注意点・電子定款の作成について解説

専門家に定款作成を依頼し、「自分で」会社設立手続きを行う

電子定款でかかる時間的コストを節約するために、電子定款だけを専門家に依頼するケースです。代行費用は、依頼する専門家によって異なりますが、相場は1万円前後です。

電子定款を専門家に依頼した場合、一般的な費用内訳は以下の通りです。

項目金額
定款認証印紙代0円
定款認証手数料52,000円
登録免許税150,000円
電子認証手数料10,000円
合計212,000円

定款認証手数料は、認証手数料と謄本手数料の合計額です。繰り返しとなりますが、定款認証の手数料は、資本金の額によって異なります。資本金額が100万円未満の場合「3万円」、資本金額が100万円以上300万円未満である場合は「4万円」、その他の場合は「5万円」となります。

自分で電子定款を作成する場合、かなりの手間と時間が必要になります。会社設立のタイミングは、事業の基盤を築くための重要な時期です。定款認証などの煩雑な手続きに多くの時間や労力を費やすことは、ビジネス展開に悪影響を及ぼす恐れがあります。電子定款の作成以外にも、多くの手続きが必要とされるため、これらの手間と時間を軽減するために、定款作成を専門家に任せる選択肢も考えられます。

「自分で」定款作成を行い、専門家に会社設立手続きを依頼する

上述したように、電子定款を自分で作成するとなると手間がかかります。電子定款の作成を専門家に依頼した場合の費用相場は1万円前後ですが、会社設立手続きを専門家に依頼した場合、以下のような費用になります。

項目金額
定款認証印紙代0円
定款認証手数料52,000円
登録免許税150,000円
電子認証手数料10,800円
司法書士手数料10,800円
合計223,600円

専門家に会社手続きを依頼した場合と、自分で会社設立手続きを行った場合を比べてみると、その費用差は11,600円程度です。実質、11,600円で会社設立のための手続きを専門家にすべて依頼できると考えると、決して高くないと言えるでしょう。

複雑で手間のかかる申請書類などを自分で調査して作成するよりも、専門家にすべて依頼する方が手間がかかりません。

専門家に定款作成および会社設立手続きを依頼する

定款作成や会社設立の手続きを全面的に専門家に任せるケースです

最近では、会社設立後の顧問契約を前提とすることで、会社設立に関する手数料を無料で提供する専門家が増加しています。設立後の運営を考えて、専門家との長期的な関係が必要と感じる場合、専門家への全面委託は効果的な選択かもしれません。

ただし、専門家との契約が実際に必要かどうかを事前に慎重に判断することが肝心です。

会社設立を自分でするか専門家に依頼するか

会社設立のための手続きをすべて自分で行うことは可能です。しかし、実際には手続きは煩雑なものが多いため、手続きを専門家に依頼する方が良い場合もあります。

ここでは、会社設立を自分でする場合と、専門家に依頼する場合のメリットとデメリットをご紹介します。

自分で会社設立をするメリット

自分で会社設立をするメリットとしては以下2つがあげられます。
・専門家に依頼する費用を抑えられる
・会社設立に関する専門知識が身につく

以下でそれぞれ解説します。

専門家に依頼する費用を抑えられる

自分で会社設立をするメリットとして専門家に支払う費用を節約できる点があげられます。

会社設立にかかる専門家の料金は、特に初期段階のスタートアップにとって大きな負担となることがあります。自分で設立手続きを行えば、これらの費用を削減でき、限られた資金を他の重要な事業活動に割り当てることが可能になります。

会社設立に関する専門知識が身につく

自分で会社設立の手続きを行うことで、会社法や税務に関する知識が自然と身につきます

会社法や税務の知識は、事業を運営していくうえでとても重要ですし、将来的に法的な問題や複雑な状況に直面した際に役立ちます。

自分で会社設立をするデメリット

自分で会社設立をするデメリットとしては以下2つがあげられます。
・手続きに時間と労力を取られる
・専門知識がなく手続き上のミスが発生する可能性がある

以下でそれぞれ解説します。

手続きに時間と労力を取られる

自分で会社設立をするデメリットは、手続きや書類作成に時間と労力がかかることです。

必要な書類の準備、提出、さまざまな法的要件の確認、申請手続きなど、多岐に渡るプロセスを全て自分で行う必要があります。特に、時間が限られている場合や他の事業活動に集中したい場合に大きな負担となり得ます。

専門知識がなく手続き上のミスが発生する可能性がある

会社設立に関する専門知識の不足による手続き上のミスが発生する可能性があることもデメリットとしてあげられます。

会社設立には多くの法的要件が伴い、その詳細を把握することは専門家でなければ困難です。手続き上のミスをすると、後々修正が必要になり、結果的に時間と費用の追加が発生する可能性があります。そして、最悪の場合、法的な問題に発展するリスクもあります。

専門家に会社設立を依頼するメリット

専門家に会社設立を依頼する最大のメリットは、時間と労力を省略できることです。

専門家は、会社設立のためのプロセスを設立する人の代わりに迅速かつ効率的に進行させることで、設立する人は本業の準備や他の重要な事業活動に集中できるようになります

また、専門家は会社設立における法的、財務的な側面に関して豊富な知識を持っているため、手続き上のミスが発生する可能性が低く、会社設立を滞りなく実現することが可能です。

さらに、専門家は会社設立に留まらず、事業計画策定など設立後の経営に関するアドバイスを提供し、企業の成長と発展をサポートしてくれます

これらの点は会社設立を専門家に依頼するメリットと言えます。

事業計画書について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
事業計画書は必須!?記載すべき内容を項目別に解説

専門家に会社設立を依頼するデメリット

専門家に会社設立を依頼することのデメリットは、依頼するのにコストがかかることです。これから会社を設立する人にとって、専門家への依頼料は大きな経済的負担となる可能性があります。

さらに、適切な専門家を見つけるための手間もかかります。市場には数多くの専門家が存在し、それぞれ専門分野、経験、料金体系は大きく異なるため、自社のニーズに最適な専門家を見つけるには時間とリサーチが必要です。

また、会社設立を依頼するにあたって顧問契約を結ぶことが必要になる場合があります。顧問契約を結ぶと月額で費用がかかるため、本当に顧問契約が必要かどうか十分に判断する必要があります

これらの要因を総合的に考慮すると、専門家に会社設立を依頼することは、コスト面だけでなく時間と契約上の負担を伴うことがわかります。そのため、専門家の支援を求める際には、これらのデメリットを慎重に評価し、自社の財務状況と将来のビジョンと照らし合わせて決定することが重要です。

まとめ

この記事では、会社設立を自分で行うために必要な手続きや費用、また会社設立を自分で行う場合と専門家に依頼する場合のメリット・デメリットをご紹介してきました。

すべての手続きを自分で行うことは可能で、専門家に依頼する費用を削減できますが、慣れない書類作成や申請手続きに時間が取られてしまい、本業に集中できない恐れがあります。

一方、すべての手続きを専門家に依頼することで会社設立にかかる時間と労力を省くことができますが、すべての手続きを専門家に依頼することは、費用面で大きなコストをかけることにもなるでしょう。

自分の状況に合わせて、自分で行うことと専門家に依頼することを分類することが重要です。

この記事が、会社設立を自分で行おうとしている人のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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