会社設立時における税理士の必要性とは?メリットや注意事項・選定のポイントについて解説

会社を設立するにあたって、税理士と顧問契約を締結し、会計に関する様々な業務をサポートしてもらうケースがありますが、どのようなサービスを受けることができるのか、いつ依頼すべきなのかなど、悩むポイントもいくつかあります。

そこで本記事では、税理士に依頼することで得られるメリットやデメリット、税理士を選定する際のポイントなどをご紹介していきます。

会社設立時に税理士に依頼するメリット

会社を設立するにあたって、様々な税法や会社法など決められたルールや仕組みを十分に理解した上で、正しく対応しなければならない場面は少なくありません。こうした状況において、税理士に相談することは非常に重要であり、多くのメリットを享受することができます。

様々な助成金や補助金に関する知識が不足していたり申請が遅れたことで、受給できるはずであった資金を逃したり、より少なくおさえることができた費用を多く支払わなければならないなどの状況に直面し、会社の運転資金に大きな影響を与え得る場合があります。

そのため、まずは税理士に相談することによるメリットを5つ紹介しますので、それぞれ理解した上で対応を考えていくようにしましょう。
・節税につながる
・行政や金融機関の制度利用に関するアドバイス
・記帳業務の委託
・会社設立にあたって必要事項把握
・税務署からかかってくる電話連絡の代行

節税につながる

1つ目は節税に繋がることです。日本では様々な税法が定められていますが、会社が納めなければならない法人税や消費税、所得税などについて深い知識を持っていないと、大きく損失を被る可能性があります。

その中でも特に消費税については大きく損をする可能性があるため、注意が必要です。例えば、会社設立時は2年間消費税の納税義務が免除されますが、資本金が1,000万円以上であった場合は免税期間が与えられません。

その他にも、消費税には原則課税方式と簡易課税方式の2種類の課税方式が存在しますが、いずれにしても期限を守って届出書を提出できない場合も大きく損失を被る場合があります。

消費税だけでなく、法人税や登録免許税など様々な場面において、知識が十分にないと損する場合がありますので、税理士に依頼することで、こうした点で不利益とならないように進めることができます。

行政や金融機関の制度利用に関するアドバイス

2つ目は、行政や金融機関の制度を最大限利用できるよう、アドバイスをもらえることです。

会社の設立時においては、運転資金の確保は最重要課題となります。そのため、受けることができる助成金や補助金を活用していくことは、円滑な会社の運営に大きく影響を与えることになります。こうした制度を積極的に活用していくためのアドバイスを受けることができる点が、大きなメリットとなります。

記帳業務の委託

3つ目は、記帳業務の委託をすることができる点です。会社を設立したばかりの時は、様々な事務作業に追われ、本業に影響を与え得る場合があります。

具体的には、法人の口座やクレジットカード、各届出書の作成と提出など多岐に渡ります。その中でも特に、記帳業務は毎日まとめていかなければならず、初めは多くの時間と労力が必要となります。

そのため、こうした業務を専門的知識のある税理士に委託することで、結果的にコストをおさえることができ、確実に進めていくことができます。ただし、税理士によっては記帳業務を委託できない場合もありますので、必ず事前に確認するようにしましょう。

会社設立にあたって必要事項把握

4つ目は、会社を設立するにあたって事前に決めておかなければならない必要事項を把握しておくことができる点です。

具体的なものとしては、定款に記載する内容と登記事項が該当します。会社設立後に定款の内容を変更する場合は、本来必要でなかったコストが発生するため、税理士と相談しながら確実に決めていくようにしましょう。

定款について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
定款について詳しく知りたい方はこちら

法人登記について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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様々な届出書など必要書類の作成

5つ目は、会社を設立するにあたって必要となる様々な届出書などの書類作成を代行して作成・提出してくれる点です。

会社設立時には、法人設立届や青色申告の承認申請書、給与支払事務所の解説届など、必要となってくる書類は数多く存在します。こうした書類作成と提出を税理士に委託することで、提出すべき書類に漏れがないか、記載すべき内容に不備がないかなど、余計なことを気にする必要もなくなり本業に注力できることから、非常に大きなメリットであると言えます。

税務署からかかってくる電話連絡の代行

最後は、税務署からかかってくる電話の対応を代行してくれることです。税務署から連絡が来る場合は、事務的な連絡だけでなく税務調査の告知などが挙げられます。

こうした対応についても、税務代理権限証書に税理士事務所の情報を記載して提出することで、会社に連絡が来ることを避けることができますので、安心して本業に集中することができます。

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税理士に依頼する時期ごとに異なるメリット

税理士に依頼する時期については、会社を設立する前もしくはその直後である場合がほとんどです。もちろん相談しなければならないタイミングは決められていませんが、それぞれの時期で税理士に相談すべき内容やメリットが変わってきます。

また、税理士に依頼する場合においては、継続的なサポートだけでなく必要とする時期のみ相談するような依頼も可能となってきますので、事前に依頼する時期を決めておくと良いでしょう。ここでは、それぞれの依頼時期に応じたメリットをご紹介していきます。

会社設立前に依頼する場合のメリット

まずは、会社を設立する前から税理士に相談を依頼する場合、以下3点のメリットがありますので、それぞれ詳しく解説していきます。
・事前に決めるべき事項に対するアドバイス
・会社設立にあたって必要となる手続きに関する士業との連携と円滑化
・助成金や補助金の利用に関するサポート

事前に決めるべき事項に対するアドバイス

株式会社を設立する場合は、設立前に決めておくべき様々な事項によって、会社が収めるべき税金に大きく影響します。

具体的には、資本金や役員報酬などが該当しますが、こうした知識が十分ではない場合、会社設立後に想定以上の納税が必要となってくる場合があります。そのため、事前に税理士に相談をしておくことで、こうした事態を未然に防ぎ、会社設立後の資金繰りや売り上げ予測を踏まえつつ、適切に決めていくことが可能となります。

また、個人事業主が法人化を進めていく時期や納税方法について相談したい場合も税理士に相談することが有効な手段となりますので、事前に依頼してみると良いでしょう。

会社設立にあたって必要となる手続きに関する士業との連携と円滑化

会社を設立した後は、様々な手続きをしなければなりません。また、それぞれの手続きを行うにあたり、各士業ごとでできることとできないことがあります。

そのため、税理士に相談することで、提携先の士業と連携し代行して進めてくれるため、必要とされる手続きをスムーズに進めていくことが可能となります。

助成金や補助金の利用に関するサポート

会社を設立するにあたって、助成金や補助金を利用することができます。こうした制度を活用していくにあたり、税理士が申請のサポートをしてくれるだけでなく、利用できる助成金や補助金の制度を紹介してくれるため、会社設立後の資金繰りに大きく役立ちます。その他にも、融資を受けるにあたり重要となる事業計画書の作成や売上予測、資金繰りにアドバイスをもらうことも可能です。

また、認定経営革新等支援機関に登録されている税理士に依頼することで、経営力向上計画を策定することができます。これは、人材育成の取り組みやコストを管理するための取り組みなどを取りまとめたものであり、事業所の所轄大臣が認めた場合は、様々な支援を受けることができます

会社設立後に依頼する場合のメリット

続いて、会社を設立した後に税理士に相談することで得られるメリットを3つご紹介しますので、それぞれ確認していきましょう。
・経理・会計・税務処理のサポート
・必要書類作成のサポート
・財務面を中心とした経営のアドバイス

経理・会計・税務処理のサポート

会社の運営において、必須となってくる業務は経理や会計に関する業務です。しかし、会社を設立して間もない時期では、こうした業務の進め方に慣れておらず思わぬ労力が必要となってきます。

こうしたポイントを解消するにあたって税理士への相談は有効な手段であり、それぞれの処理の方法についてアドバイスをもらうことができます。

また、契約によっては日々の記帳を代行してもらうこともできるため、どういう形でサポートしてもらうかについては、事前に決めておくようにしましょう。

必要書類作成のサポート

会社を運営していくためには、非常に複雑な書類を作成する必要があります。特に決算申告を行うにあたり、消費税を確定するための知識は高い専門性が必要となります

こうした書類の作成においても、税理士が代行して作成してくれるため、自身で作成することが難しい場合は税理士に依頼すると良いでしょう。

会社設立時に必要な書類について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
会社設立時に必要な書類|書類のまとめ方と提出手順・税務署への提出書類について解説

財務面を中心とした経営のアドバイス

顧問契約を締結している税理士からは、会社の財務面に関するアドバイスをもらうことができます。売上に対するコストや資金繰りの改善など、経営を進めていくにあたり、様々な面でサポートを受けることができます。

会社設立時に税理士に依頼するデメリット

続いて、税理士に依頼することで生じるデメリットをご紹介します。会社設立時または会社設立後のタイミングで注意すべき点も変わってくるので、それぞれ詳しく紹介していきます。

まずは、会社設立時に税理士に依頼する場合のデメリットを2点ご紹介していきます。
・コストの増加
・税理士の選定にかかる労力

コストの増加

税理士に会社設立を依頼することで、税理士に支払わなければならない費用が発生します。

会社を設立するにあたって、資金繰りは重要となってくるため、安定的な売上や一定以上の資金を確保することができるか、また税理士に依頼することによるコストパフォーマンスについてもよく考えた上で依頼すべきかどうかを決定するようにしましょう。

税理士の選定にかかる労力

税理士に会社設立を依頼するにあたって、誰に依頼しても同じというわけではありません。運営する事業や業種に対応できなかったり、相性が合わないなどのケースもありえます

そのため、税理士に依頼する前に、時間をかけて自身が設立した会社にあった税理士を選定するようにしましょう。

会社設立後に税理士に依頼するデメリット

次に、会社設立後において、税理士に依頼する場合のデメリットや注意事項を2点ご紹介します。
・会社設立前の決定事項は変更が困難
・依頼が断られる懸念

会社設立前の決定事項は変更が困難

会社を設立する前に定款を作成し、役員報酬や決算期など様々な事項を決めておく必要がありますが、決定したのちに変更することは容易ではありません

場合によっては、納税すべき金額に影響することもありますので、注意するようにしましょう。

依頼が断られる懸念

会社を設立したのちに税理士に依頼する場合、断られる可能性があります。理由としては、依頼先の税理士の決算期が集中している12月から翌年5月の時期や決算直前であるのにも関わらず何も準備を進めていない場合、また申告期限を守っていない場合が挙げられます。

こうしたケースでは、依頼を断られる、あるいは別途料金が必要となることもありますので、注意しておくと良いでしょう。

税理士への依頼費用

税理士に会社設立を依頼することで費用が発生してきます。この費用は、税理士事務所によって変わってきますが、依頼する会社の規模によっても金額が変わります。これは、依頼する会社の売上や事業が大きく、決算において申告すべき書類が煩雑となるためです。

なお、税理士事務所によっては、売上に応じた割合であったり、融資の成功報酬割合で決めている事務所もありますので、必ず事前に確認しておくようにしましょう。

また、相場としては、月額顧問料として3万円程度からの設定が多く、法人の決算申告について依頼した場合は15万円程度からが相場となってきますので、目安として考えていただくと良いでしょう。

税理士の選定におけるポイント

税理士に依頼するにあたって、どのような税理士が良いのかを判断することは、円滑に事業を継続していくにあたり非常に重要なことです。そのため、税理士を選定する際に確認すべき以下のポイントをご紹介します。
・実績
・サービス内容
・相性
・費用
・アンテナの高さ

実績

まずは、依頼する税理士の資格を持っているか、どのような実績を積んできたかを確認するようにしましょう。税理士の資格を持っているかどうかについては日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトから検索することでWEB上で確認することができます。

また、実績を確認する際には、どのような分野が得意か、不得意かということを確認するようにしましょう。なお、会社を設立する際に依頼するのであれば、会社の設立を支援した実績のある税理士を選ぶようにしましょう。

サービス内容

税理士の業務は多岐にわたるため、自分が求める内容に沿ったサービス・サポートをしてくれる税理士を選ぶようにしましょう。それぞれの税理士でサービスが異なってくるため、必ず会社設立後の運営も想定した上で、どのような業務を依頼したいのか、整理しておくようにしましょう。

相性

依頼した税理士とは、会社設立後においても長く関わっていくことが一般的であることから、自分との相性も重要となってきます。

もちろん自分が求めているような知識や経験がある税理士を選定しなければなりませんが、その中でもコミュニケーションが取りやすい人柄であるか、説明がわかりやすいか、自分が話しやすい相手であるかというポイントも重要となります。そのため、必ず自分との相性を確認するようにしましょう。

費用

税理士と顧問契約を締結した場合、毎月顧問料を支払う必要があります。

そのため、顧問料の金額を確認した上で、会社の固定支出として計上しても資金面で問題はないか確認するようにしましょう。

アンテナの高さ

税金に関する法律は必ず毎年改正されています。こうした改正内容について確実に知識を把握しているかどうかを見極めることは非常に重要となります。

実績のあるベテランの税理士においても、税制改正が多く見られる消費税に関する知識が弱い税理士もいるので、しっかりと事前に確認するようにしましょう。

まとめ

本記事では、会社設立にあたって税理士に依頼することのメリットやデメリット、また税理士を選定する際のポイントなどについてご紹介しました。

会社を設立するにあたって、税理士に依頼することで資金繰りなど様々な面でサポートしてもらえることから、円滑な事業運営が可能となります。こうしたことからも、税理士の存在は非常に重要なので、事前にどういうサービスをどのような税理士に求めるのかをきちんと整理しておくようにしましょう。

本記事が、これから会社設立を行う予定の起業家・個人事業主・独立予定の会社員の方のご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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