BofA証券とは|事業内容と就職情報を徹底解説

BofA証券とは|事業内容と就職情報を徹底解説

「BofA証券で口座開設できるのかな」と検索してこのページにたどり着いた方もいるかもしれません。

結論から言うと、BofA証券は個人投資家向けのサービスを提供していない法人専門の投資銀行です。

この記事では、BofA証券がどのような企業なのか、どんな事業を展開しているのか、就職・転職先としてどうなのかを詳しく解説します。

メリルリンチからの商号変更の経緯や、リサーチ部門の高い評価についても触れていきます。

企業研究や就職活動の参考として、ぜひ最後までお読みください。

この記事の要約
  • BofA証券は法人専門の投資銀行であり、個人投資家は利用できない
  • 2020年にメリルリンチ日本証券から商号変更し、バンク・オブ・アメリカのブランドに統一
  • リサーチ部門の評価が高く、投資銀行業務やトレーディング業務で強みを持つ
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

BofA証券とは|法人向け投資銀行の概要

BofA証券株式会社は、米バンク・オブ・アメリカの日本法人で、ホールセール専門の証券会社(投資銀行)です。

2020年11月1日にメリルリンチ日本証券株式会社から商号変更し、現在の社名になりました。

事業会社、金融機関、政府機関など広範な法人顧客を対象に株式・債券のトレーディングを行い、資本市場業務、投資銀行業務、その他のアドバイザリー・サービスを提供しています。

東京都中央区日本橋に本社を構え、約620名の従業員が働いています。

個人投資家は利用できない理由

BofA証券は「ホールセール専門」の証券会社です。

ホールセールとは、法人顧客向けの大口取引を専門に扱う業務形態を指します。

個人投資家向けのリテール業務は、2006年にリテール部門を分割して三菱UFJメリルリンチPB証券(現在は三菱UFJモルガン・スタンレー証券に統合)に事業譲渡しました。そのため、個人で株式や投資信託を購入したい方は、SBI証券や楽天証券などの個人向け証券会社を利用する必要があります。

ホールセール専門企業とは

ホールセール専門企業とは、機関投資家や事業会社、金融機関などの法人顧客を対象にサービスを提供する金融機関のことです。

取引規模が大きく、高度な金融知識と専門性が求められます。

BofA証券が扱う業務

企業のM&Aアドバイザリー

大規模な資金調達の支援

株式や債券の大口トレーディング

個人投資家向けの少額取引とは性質が大きく異なります。

親会社バンク・オブ・アメリカについて

親会社であるバンク・オブ・アメリカは、米国ノースカロライナ州シャーロットに本社を置く世界有数の総合金融機関です。

1784年に設立されたマサチューセッツ・バンクを起源とし、240年以上の歴史を持っています。

日本では1947年に東京支店を開設し、70年以上にわたって日本経済の発展を支えてきました。

現在は、BofA証券株式会社とバンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ東京支店の2つの法人を通じて、日本で事業を展開しています。

BofA証券の7つの事業内容|どんなサービスを提供しているか

BofA証券は、法人顧客向けに幅広い金融サービスを提供しています。

主な事業内容は7つの業務領域に分かれており、それぞれ高い専門性を持つチームが担当しています。

投資銀行業務

投資銀行業務では、企業の資金調達やM&A(合併・買収)に関するアドバイザリーサービスを提供しています。

日系大手企業による大型M&Aや海外M&Aの執行支援を得意としています。

  • 企業価値の評価(バリュエーション)
  • 買収対象企業の調査(デューデリジェンス)
  • 取引条件の交渉支援

資本市場業務

資本市場業務は、企業が株式や債券を発行して資金を調達する際のサポートを行います。

IPO(新規株式公開)の支援や、社債発行のアレンジメントなどが主な業務です。

発行体である企業と投資家の双方のニーズを満たす最適な市場を選定し、円滑な資金調達を実現します。

株式トレーディング業務

株式トレーディング業務では、機関投資家や事業会社を顧客として、株式の売買仲介やマーケットメイク(流動性の提供)を行います。

顧客のニーズに応じて最適な取引タイミングや価格を提案し、大口の株式取引を効率的に執行します。

セールスチームとトレーダーが連携して、顧客に付加価値の高いサービスを提供しています。

債券トレーディング業務

債券トレーディング業務は、国債、社債、外国債券など様々な債券商品の取引を扱います。

金利リスクや信用リスクを適切に管理しながら、顧客の運用ニーズに応えます。

為替や金利デリバティブなども組み合わせて、顧客のリスク管理をサポートする高度なソリューションを提供しています。

リサーチ業務

リサーチ業務は、BofA証券の大きな強みの一つです。

インスティテューショナル・インベスター誌のランキングでは日本の調査部門で2011年が1位、2012年と2013年が2位となっています。

経済情勢、業界動向、個別企業の分析などを行い、詳細なリサーチレポートを作成します。

このレポートは機関投資家の投資判断に活用され、高い評価を受けています。

資産運用サービス

資産運用サービスでは、機関投資家や富裕層向けに資産運用のアドバイスやポートフォリオ管理を提供しています。

グローバルなネットワークを活かし、国際分散投資などの高度な運用戦略を実現します。

ただし、個人投資家向けの投資信託などの販売は行っていません。

証券管理サービス

証券管理サービスは、顧客の有価証券の保管や決済、資産管理などを行うバックオフィス業務です。

正確かつ迅速な処理により、顧客の取引をサポートしています。

グローバルな取引ネットワークを通じて、クロスボーダー取引の円滑な決済を実現しています。

メリルリンチからBofA証券へ|商号変更の経緯

2020年11月1日、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの商号をバンク・オブ・アメリカに変更したことに伴うブランドのバンク・オブ・アメリカへの統一により、メリルリンチ日本証券からBofA証券に商号を変更しました。

この変更は、日本だけでなくグローバル全体で行われたブランド統一の一環です。

長年親しまれてきた「メリルリンチ」の名前が消えることになりました。

2008年のリーマンショックと買収

旧メリルリンチは1914年にウォール街で営業を始めた老舗で、米国三大投資銀行の一角を占めていました。

しかし、2007年のサブプライムショックで巨額の損失を計上し、経営危機に陥りました。

2008年9月、リーマン・ブラザーズが破綻する金融危機のさなか、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに救済買収されました。

この買収により、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカの完全子会社となり、独立した投資銀行としての歴史に幕を閉じました。

2020年の商号変更の理由

バンカメによる旧メリルリンチ買収から10年以上が経過し、全社的なブランドを再構築することの一環として商号変更が行われました。

これにより、「名実ともにワンカンパニー」としての体制が整いました。

ブランド統一により、バンク・オブ・アメリカの強固な財務基盤を前面に打ち出し、投資銀行部門の案件開拓を加速する狙いがあります。

変更後のブランド戦略

商号変更後、投資銀行や証券業務のブランド名は「BofAセキュリティーズ」に統一されました。

ただし、資産運用業のブランドとしては「メリル」の名前が残されています。

日本でも「BofA証券」という新しいブランド名で、引き続き法人顧客向けの高品質な金融サービスを提供しています。

グローバルに統一されたブランドにより、世界中のネットワークを活かしたサービス提供が可能になっています。

BofA証券の沿革|日本進出から現在まで

BofA証券の日本での歴史は60年以上にわたります。

メリルリンチ時代から現在に至るまでの主要な出来事を時系列で見ていきましょう。

1964年|日本進出と初期の展開

1964年、メリルリンチ・ピアース・フェナー・アンド・スミス・エス・エイ(スイス法人)が東京駐在員事務所を設置しました。

これがメリルリンチの日本進出の始まりです。

1972年6月、メリルリンチ証券会社東京支店が外国証券として初めて証券業免許を取得し、本格的に営業を開始しました。

当時は法人向けの営業活動がメインで、個人投資家向けのリテール取引はほとんど手がけていませんでした。

1998年|山一證券破綻後のリテール進出

1997年11月に山一證券が経営破綻すると、メリルリンチは同社の営業基盤を引き継ぐ形で、日本でのリテール取引に本格進出することを狙い1998年2月にメリルリンチ日本証券株式会社を設立しました。

当初は山一證券の支店網の大半を引き継ぎ、元山一の営業マンを大量採用したことで大きな話題となりました。

しかし、旧山一側の連帯責任制の風土とメリルリンチの個人責任重視の文化が衝突し、多くの社員が離脱する事態が発生しました。

2006年|リテール部門からの撤退

2006年5月、リテール部門を分割し、三菱UFJメリルリンチPB証券を設立して事業譲渡したため、ホールセール専門の証券会社となりました。

これにより、個人投資家向けサービスから完全に撤退し、法人顧客に特化する戦略を明確にしました。

その後2012年末に三菱UFJメリルリンチPB証券の全株式を三菱UFJフィナンシャル・グループに売却し、日本国内のリテール部門から完全に手を引きました。

2018年|東証システム障害事件

2018年10月9日、AM7時31-32分の間に東証に対し、通常の千倍以上のデータを誤送信し、4つの接続装置のうち1つの接続装置をダウンさせ、国内証券会社がかなりの時間の間取引停止に追い込まれました。

この事故は、システムの重要性と誤操作のリスクを改めて認識させる出来事となりました。

その後、再発防止策が講じられ、システムの安定運用が図られています。

BofA証券の強み|リサーチ部門の高い評価

BofA証券の最大の強みの一つが、リサーチ部門の高い評価です。

業界内で高く評価されるリサーチ能力は、同社の競争力の源泉となっています。

インスティテューショナル・インベスター誌での評価

インスティテューショナル・インベスター誌のランキングでは日本の調査部門で2011年が1位、2012年と2013年が2位となっています。

この雑誌は、機関投資家を対象とした投票により、セルサイドアナリストのランキングを発表しており、業界内で最も権威のある評価の一つです。

継続的に上位にランクインしていることは、BofA証券のリサーチ部門が高い専門性と分析力を持っていることを示しています。

日本株リサーチの実績

BofA証券のリサーチ部門は、日本株を中心に幅広い業種をカバーしています。

各業界に精通したアナリストが、企業の財務分析、業界動向の調査、経営陣へのインタビューなどを通じて、詳細なレポートを作成しています。

これらのレポートは、機関投資家の投資判断において重要な情報源となっており、市場での影響力も大きいです。

企業のIR活動においても、BofA証券のアナリストの評価は注目されています。

アナリストの専門性

BofA証券のアナリストは、高い学歴とキャリアを持つプロフェッショナルです。

財務モデリング、企業評価、マクロ経済分析などの専門スキルを駆使して、客観的で洞察力に満ちたリサーチを提供しています。

また、グローバルなリサーチネットワークを活用し、海外の動向も踏まえた包括的な分析が可能です。

この専門性の高さが、BofA証券のリサーチ部門の評価を支えています。

他の外資系投資銀行との比較|業界でのポジション

BofA証券は、外資系投資銀行の中でどのような位置づけにあるのでしょうか。

主要な競合他社と比較しながら見ていきましょう。

ゴールドマン・サックスとの違い

ゴールドマン・サックスは、投資銀行業界のトップランナーとして知られ、M&Aアドバイザリーや資本市場業務で圧倒的な実績を誇ります。

特にハイプロファイルな大型案件に強みを持っています。

一方、BofA証券は、親会社であるバンク・オブ・アメリカの銀行機能と証券機能を組み合わせた「ユニバーサルバンク」モデルが特徴です。

融資と証券業務を一体で提供できる点が差別化要素となっています。

また、リサーチ部門の評価が高いことも特徴です。

モルガン・スタンレーとの違い

モルガン・スタンレーは、日本では三菱UFJフィナンシャル・グループとの合弁で三菱UFJモルガン・スタンレー証券を展開しており、日本市場での存在感が大きいです。

国内企業とのリレーションが強く、日系企業の案件に強みがあります。

BofA証券は、グローバルネットワークを活かしたクロスボーダー案件に強みを持っています。

日系企業の海外M&Aや海外での資金調達支援などで実績を積んでいます。

JPモルガンとの違い

JPモルガンは、商業銀行と投資銀行の両機能を持つ総合金融機関として、幅広いサービスを提供しています。

資産規模や収益力では業界トップクラスです。

BofA証券も同様にユニバーサルバンクモデルを採用していますが、日本市場ではJPモルガンと比べると規模はやや小さいです。

ただし、特定の業界や案件タイプでは高い専門性を発揮しています。

BofA証券の独自性

BofA証券の独自性は、リサーチ部門の強さと、バンク・オブ・アメリカのグローバルネットワークを活用できる点にあります。

特に、日本企業の海外展開支援や、米国市場へのアクセス提供において強みを発揮します。

また、親会社の強固な財務基盤により、大型案件にも対応できる資本力を持っています。

BofA証券への就職・転職|働き方と部門別の特徴

BofA証券は、外資系投資銀行として高い年収と成長機会を提供する一方で、激務としても知られています。

部門別の働き方や特徴を見ていきましょう。

投資銀行部門の働き方

投資銀行部門は、BofA証券の中でも最も激務とされる部門です。

M&Aや資金調達の案件を担当し、クライアントの要望に応じて深夜や週末も働くことが珍しくありません。

若手のうちから年収2,000万円に到達できる可能性がある一方で、月間残業時間が100時間を超えることもあります。

高い報酬と引き換えに、ハードワークが求められる環境です。

しかし、若いうちから大型案件に関わり、急速に成長できる点が魅力です。

トレーディング部門の働き方

トレーディング部門は、市場が開いている時間帯に集中して業務を行います。

朝は海外市場の動向を確認し、日本市場が開く前にチームで情報共有を行います。

市場が開いている時間は顧客対応や取引執行に追われますが、市場が閉まった後は比較的時間に余裕ができることもあります。

ただし、市場の急変時には深夜まで対応が必要になることもあります。

年収水準は高く、成果に応じたボーナスが支給されます。

リサーチ部門の働き方

リサーチ部門は、アナリストとして企業分析やレポート作成を行います。

決算期には担当企業の決算分析で忙しくなりますが、投資銀行部門ほどの激務ではないとされています。

学者肌の方が多く、専門性を深めながらキャリアを築いていける環境です。

業界や企業への深い知識を身につけられるため、その後のキャリアパスも広がります。

年収水準は投資銀行部門と比べるとやや低めですが、それでも高水準です。

年収水準とキャリアパス

BofA証券の平均年収は約1,900万円とされており、投資銀行業界の中でも高水準です。

新卒入社の場合でも、初年度から1,000万円前後の年収が期待でき、数年で2,000万円を超えることも珍しくありません。

キャリアパス
  • アナリスト
  • アソシエイト
  • ヴァイスプレジデント
  • ディレクター
  • マネージングディレクター

優秀な人材は、ヘッジファンドやプライベートエクイティファンド、事業会社のCFOなどへの転職も可能です。

個人投資家がBofA証券の情報を活用する方法

BofA証券は個人向けサービスを提供していませんが、同社の情報を間接的に活用する方法はあります。

証券会社経由でのリサーチレポート入手

BofA証券が作成するリサーチレポートは、一部の証券会社を通じて個人投資家も閲覧できる場合があります。

大手ネット証券や対面証券の口座を持っていれば、外資系投資銀行のレポートを提供している会社もあります。

ただし、すべてのレポートが個人投資家向けに公開されているわけではなく、機関投資家向けの詳細なレポートは限定的です。証券会社のサービス内容を確認してみましょう。

メディアでのアナリストコメント活用

BofA証券のアナリストは、日本経済新聞やBloomberg、ロイターなどの金融メディアで市場分析や企業評価についてコメントすることがあります。

これらのメディア記事を通じて、BofA証券の見解を知ることができます。

また、企業のIR資料にBofA証券のアナリストによる評価が言及されることもあります。

こうした公開情報を活用することで、間接的にBofA証券のリサーチの恩恵を受けることが可能です。

まとめ

BofA証券は、米バンク・オブ・アメリカの日本法人として、法人顧客向けの投資銀行業務、トレーディング業務、リサーチ業務などを提供するホールセール専門の証券会社です。

2020年にメリルリンチ日本証券から商号変更し、グローバルでのブランド統一が図られました。

個人投資家は利用できませんが、リサーチ部門の高い評価や、ユニバーサルバンクモデルによる総合的な金融サービスの提供が強みです。

就職・転職先としては、高い年収と急速な成長機会がある一方で、激務が求められる環境です。

企業研究や就職活動を行う方は、BofA証券の事業内容や特徴を理解した上で、自分のキャリア目標と照らし合わせて検討することをおすすめします。

投資銀行業界に興味がある方にとって、BofA証券は魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

なお、金融業界でのキャリア選択は、ご自身の適性や目標に応じて慎重に検討する必要があります。詳しくは各企業の採用情報や、転職エージェントにご相談ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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