ビットコイン投資信託は日本で買える?代替商品を解説

ビットコイン投資信託は日本で買える?代替商品を解説

ビットコインへの投資に興味があるけれど、仮想通貨取引所での取引は不安という方も多いのではないでしょうか。

「投資信託のように証券口座で手軽にビットコインに投資できないか」と考える方が増えています。

結論から言うと、2025年12月時点で日本ではビットコインETFや投資信託は未承認のため、直接購入することはできません。

ただし、ビットコイン関連のファンドやブロックチェーン関連企業に投資する投資信託は購入可能です。

この記事では、ビットコインETF・投資信託の基本から日本での承認状況、そして日本で買える代替商品まで詳しく解説します。

この記事の要約
  • 日本ではビットコイン投資信託は未承認で直接購入できない(投資信託法の制約)
  • 米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認され、機関投資家の参入が進んでいる
  • 日本では代替商品としてブロックチェーン関連ファンドをNISA成長投資枠で購入できる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

ビットコインETF・投資信託とは|基本のしくみ

ビットコインETF・投資信託は、ビットコインに投資するための金融商品です。

仮想通貨取引所で直接ビットコインを購入するのではなく、証券口座を通じて投資できる点が大きな特徴となっています。

ETFの基本的なしくみ

ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場している投資信託のことです。

株式と同じように市場でリアルタイムに売買でき、指数や特定の資産に連動するように運用されます。

通常の投資信託は1日1回の基準価額で取引されますが、ETFは取引時間中に価格が変動し、好きなタイミングで売買できる利便性があります。

信託報酬も一般的な投資信託より低めに設定されていることが多く、コスト面でも有利です。

ビットコインETFの特徴

ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動するように設計されたETFです。

投資家は直接ビットコインを保有する必要がなく、証券口座を通じて取引できます。

ビットコインETFのメリット

ウォレットの管理やセキュリティ対策が不要

秘密鍵の紛失リスクがない

証券会社の分別管理により資産が保護される

投資者保護基金の対象になる

税制面でも、仮想通貨取引所での直接購入(雑所得・総合課税)と比べて、ETFは譲渡所得として申告分離課税(20.315%)が適用される点がメリットです。

日本での承認状況(2025年12月時点)

2025年12月時点で、日本ではビットコインETFや投資信託は金融庁に承認されていません。

これは投資信託法施行令の制約によるもので、投資信託が投資できる「特定資産」に暗号資産(仮想通貨)が含まれていないためです。

米国では2024年1月にビットコイン現物ETFが承認されましたが、日本では法改正がない限り、同様の商品の上場は難しい状況です。

金融庁は暗号資産に対して慎重な姿勢を維持しており、今後の承認時期については明言されていません。

金融庁:暗号資産の利用者のみなさまへ

日本でビットコイン投資信託は買えるのか

日本でビットコイン投資信託が買えない理由は、法律上の制約にあります。

投資信託法施行令により、投資信託が投資できる対象が限定されており、暗号資産はその対象に含まれていません。

投資信託法の制約とは

投資信託法施行令では、投資信託が投資できる「特定資産」が明確に定義されています。

具体的には、有価証券(株式・債券等)、デリバティブ取引、不動産、金銭債権などが含まれますが、暗号資産(仮想通貨)は特定資産に含まれていません。

そのため、日本の投資信託はビットコインに直接投資することができず、ビットコイン投資信託やビットコインETFを組成することも法律上不可能です。

この規制は投資家保護の観点から設けられており、暗号資産の価格変動リスクや規制の不確実性を考慮したものとされています。

金融庁:投資信託及び投資法人に関する法律

特定資産に暗号資産が含まれない理由

暗号資産が特定資産に含まれない主な理由は、価格変動の激しさと規制の未整備にあります。

ビットコインは1日で10%以上価格が変動することも珍しくなく、投資信託のような一般投資家向け商品には不適切とされています。

暗号資産は世界的に規制が発展途上であり、各国で取り扱いが異なります。日本では資金決済法により暗号資産交換業者の登録制度がありますが、投資信託の組入資産として認めるには、さらなる法整備が必要と考えられています。

今後の承認可能性と金融庁の動き

金融庁は暗号資産に対して慎重な姿勢を維持していますが、海外での動向を注視しています。

米国で2024年1月にビットコイン現物ETFが承認されたことで、日本でも議論が活発化する可能性はあります。

ただし、日本で承認されるには投資信託法施行令の改正が必要であり、そのためには十分な投資家保護の仕組みや市場の成熟が求められます。

金融庁は「暗号資産に関する規制は引き続き検討する」としていますが、具体的な承認時期は示されていません。

当面は海外のビットコインETFを海外証券口座で購入するか、国内のブロックチェーン関連ファンドを活用する方法が現実的です。

ビットコインETFの2つのタイプ|現物型と先物型

ビットコインETFには大きく分けて「現物型」と「先物型」の2つのタイプがあります。

米国では両方のタイプが承認されており、それぞれ特徴が異なります。

現物型ETFのしくみとメリット

現物型ETFは、実際にビットコインを保有してその価格に連動するETFです。

運用会社がビットコインを購入・保管し、ETFの価格がビットコインの市場価格に直接連動します。

米国では2024年1月にSEC(米国証券取引委員会)が初めて現物型ビットコインETFを承認しました。

BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)やFidelityのFidelity Wise Origin Bitcoin Fund(FBTC)など、複数の運用会社が現物型ETFを提供しています。

現物型ETFのメリットは、ビットコイン価格との連動性が高く、先物型で発生する「ロールコスト」がない点です。

先物型ETFのしくみと注意点

先物型ETFは、ビットコイン先物契約に投資するETFです。

現物のビットコインを保有せず、先物市場で取引される契約を通じてビットコイン価格に連動します。

米国では2021年からビットコイン先物ETFが取引されており、現物型ETFよりも先に承認されました。

先物型ETFの注意点は、「ロールコスト」と呼ばれる追加コストが発生することです。先物契約には期限があるため、期限が近づくと次の期限の契約に乗り換える(ロールオーバー)必要があります。

この際、先物価格が現物価格より高い状態(コンタンゴ)だと、ロールコストが発生し、長期的にはビットコイン現物価格とのずれが大きくなる可能性があります。

また、先物型ETFは現物型に比べて信託報酬が高めに設定されていることが多く、年率0.95%程度のものもあります。

長期投資を考える場合は、現物型ETFの方がコスト面で有利と言えます。

米国でのビットコインETF承認と市場への影響

米国では2024年1月に現物型ビットコインETFが承認され、暗号資産市場に大きな影響を与えました。

この承認は長年の議論の末に実現したもので、機関投資家の参入を促進する転機となっています。

2024年1月の承認までの経緯

米国でビットコインETFの承認申請は2013年から繰り返し行われてきましたが、SECは長年にわたり却下し続けてきました。

主な理由は、市場操作のリスクや投資家保護の懸念でした。

転機となったのは2023年8月、Grayscaleが裁判でSECに勝訴したことです。

裁判所はSECの却下理由が不十分であると判断し、SECに再検討を命じました。

この判決を受けて、SECは2024年1月10日に11社のビットコイン現物ETFを一斉に承認しました。

承認されたETFにはBlackRock、Fidelity、Invesco、VanEck、ARK Investなどの大手運用会社が含まれています。

承認後のビットコイン価格への影響

ビットコイン現物ETFの承認後、ビットコイン価格は大きく上昇しました。

承認前の2023年12月には約42,000ドルだったビットコイン価格は、2024年3月には73,000ドルを超え、史上最高値を更新しました。

ETF承認により、これまで暗号資産取引所での取引に抵抗があった機関投資家や個人投資家が、証券口座を通じて簡単にビットコインに投資できるようになったことが価格上昇の要因です。

特にBlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)は承認後わずか数ヶ月で純資産総額が200億ドルを超え、ETF史上最速の成長を記録しました。

機関投資家の参入状況

ビットコインETFの承認により、機関投資家の参入が加速しています。

年金基金、保険会社、ヘッジファンドなど、これまでビットコインへの直接投資が難しかった機関投資家が、ETFを通じてポートフォリオに組み入れるようになりました。

2024年第1四半期の報告によると、米国の主要機関投資家の約10%がビットコインETFを保有していることが明らかになっています。

また、大手資産運用会社のMorgan StanleyやWells Fargoなどが、顧客向けにビットコインETFの取り扱いを開始しました。

機関投資家の参入は、ビットコイン市場の流動性向上と価格の安定化に寄与すると期待されています。

ビットコインETFの5つのメリット

ビットコインETFには、仮想通貨取引所で直接ビットコインを購入する場合と比べて、多くのメリットがあります。

特に投資初心者や証券口座での取引に慣れている方にとって、利便性と安全性の面で優れています。

証券口座で手軽に取引できる

ビットコインETFは通常の株式やETFと同じように証券口座で取引できます。

仮想通貨取引所の新規口座開設や本人確認手続きが不要で、既に持っている証券口座ですぐに取引を始められます。

株式投資の経験がある方なら、同じ操作感で取引できるため、学習コストがかかりません。

ウォレット管理が不要

仮想通貨取引所で直接ビットコインを購入する場合、ウォレット(電子財布)の管理が必要です。

秘密鍵の紛失や盗難のリスクがあり、セキュリティ対策に神経を使います。

ビットコインETFなら、運用会社が機関投資家向けの高度なセキュリティ対策を施した保管サービスを利用するため、個人でウォレットを管理する必要がありません。

リアルタイムで売買できる

ETFは証券取引所に上場しているため、取引時間中はリアルタイムで売買できます。

通常の投資信託は1日1回の基準価額での取引となりますが、ETFなら価格の変動を見ながら好きなタイミングで売買できる利便性があります。

指値注文や逆指値注文も利用でき、柔軟な取引戦略が可能です。

分別管理で資産が守られる

証券会社では顧客の資産を会社の資産と分別して管理することが法律で義務付けられています。

万が一証券会社が破綻しても、顧客の資産は保護され、投資者保護基金により1,000万円まで補償されます。

少額から分散投資できる

ビットコインETFは1口単位で購入でき、少額から投資を始められます。

ビットコインの価格は1BTC=数百万円と高額ですが、ETFなら数千円から投資可能です。

また、複数のETFを組み合わせることで、ビットコイン以外の資産とも簡単に分散投資ができます。

NISAの成長投資枠を活用すれば、税制優遇を受けながら長期的な資産形成も可能です。

ビットコインETFの4つのデメリットと注意点

ビットコインETFには多くのメリットがある一方で、デメリットや注意すべき点もあります。

投資を検討する際は、リスクを十分に理解しておくことが重要です。

信託報酬などの手数料がかかる

ビットコインETFには信託報酬(運用管理費用)が毎年かかります。

米国の現物型ビットコインETFの信託報酬は年率0.2%~0.25%程度が一般的ですが、これは毎年資産から差し引かれるコストです。

仮想通貨取引所でビットコインを購入する場合は購入時の手数料のみで、保有中のコストはかかりません。

長期投資を考える場合、信託報酬は積み重なって大きなコストになります。例えば、100万円を10年間運用した場合、年率0.25%の信託報酬だと約2.5万円のコストが発生します。

ただし、ウォレット管理の手間やセキュリティリスクを考えると、このコストは必要経費とも言えます。

日本では未承認で直接購入できない

2025年12月時点で、日本ではビットコインETFや投資信託は金融庁に承認されていません。

米国のビットコインETFを購入するには、海外証券口座を開設する必要があります。

海外証券口座の開設には英語でのやり取りや、米国の税務申告(W-8BEN提出)が必要になるケースもあり、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。

また、海外ETFを購入する場合は為替リスクも考慮する必要があります。円安が進めば為替差益が得られますが、円高になると為替差損が発生します。

日本で承認されるまでは、国内で購入できるブロックチェーン関連ファンドが現実的な選択肢となります。

ビットコイン価格の変動リスクが大きい

ビットコインは価格変動が非常に激しい資産です。

1日で10%以上価格が変動することも珍しくなく、短期間で大きな損失を被る可能性があります。

過去にはビットコイン価格が1年で70%以上下落したこともあります。

ビットコインETFはビットコイン価格に連動するため、ビットコインの価格変動リスクをそのまま受けます。投資する際は、余裕資金で行い、ポートフォリオ全体の5~10%程度に留めるなど、リスク管理が重要です。

短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが推奨されます。

金融庁:投資の基本

現物保有ではないため使用できない

ビットコインETFはビットコインの価格に連動する金融商品ですが、実際にビットコインを保有しているわけではありません。

そのため、ビットコインを決済手段として使ったり、他のウォレットに送金したりすることはできません。

ビットコインを実際に使いたい方や、ブロックチェーン技術を体験したい方には、ETFではなく仮想通貨取引所での直接購入が適しています。

日本で買える代替商品|ビットコイン関連ファンド3選

日本ではビットコインETFが未承認ですが、ビットコインやブロックチェーン技術に関連する企業に投資する投資信託は購入できます。

これらのファンドは証券会社で取り扱われており、NISA成長投資枠での購入も可能です。

グローバル・フィンテック株式ファンド

グローバル・フィンテック株式ファンドは、世界のフィンテック関連企業に投資する投資信託です。

ブロックチェーン技術を活用する企業や、暗号資産関連のビジネスを展開する企業も組入銘柄に含まれています。

主な組入銘柄

Coinbase(米国の大手暗号資産取引所)

Block(旧Square、決済サービス大手)

PayPal(オンライン決済大手)

これらの企業はビットコインやブロックチェーン技術と密接に関連しており、ビットコイン価格の上昇が業績にプラスの影響を与える可能性があります。

信託報酬は年率1.8%程度と高めですが、ビットコインに直接投資するのではなく、関連企業の株式を通じて間接的に投資できる点がメリットです。

SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券で購入でき、NISA成長投資枠の対象にもなっています。

インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(世カエル)

インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(愛称:世カエル)は、ブロックチェーン技術の開発・活用に取り組む世界の企業に投資するファンドです。

暗号資産取引所だけでなく、半導体メーカーやソフトウェア企業など、ブロックチェーン関連の幅広い企業に分散投資します。

主な組入銘柄

MicroStrategy(ビットコインを大量保有する米国企業)

NVIDIA(AI・暗号資産マイニング用GPU大手)

CME Group(先物取引所運営)

これらの企業はビットコイン市場の成長から恩恵を受ける立場にあります。

信託報酬は年率1.98%程度で、為替ヘッジなしの運用が基本です。

ビットコイン価格だけでなく、ブロックチェーン技術全体の発展に投資したい方に適しています。

SBI証券、楽天証券、松井証券などで購入でき、NISA成長投資枠での購入も可能です。

ビットコイン関連ファンドの比較表

ファンド名 信託報酬(年率) 主な組入銘柄 NISA対応 取扱証券会社
グローバル・フィンテック株式ファンド 約1.8% Coinbase、Block、PayPal 成長投資枠 SBI証券、楽天証券、マネックス証券
インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(世カエル) 約1.98% MicroStrategy、NVIDIA、CME Group 成長投資枠 SBI証券、楽天証券、松井証券
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド 約1.65% Microsoft、Alphabet、Meta 成長投資枠 SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券

これらのファンドはビットコインに直接投資するわけではありませんが、ビットコイン価格の上昇や暗号資産市場の成長から間接的に恩恵を受ける可能性があります。

ただし、ビットコイン価格との連動性は完全ではなく、株式市場全体の影響も受けるため、その点は理解しておく必要があります。

各証券会社公式サイト・目論見書

NISA成長投資枠でビットコイン関連に投資する方法

NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を活用すれば、ビットコイン関連ファンドへの投資で得た利益が非課税になります。

税制優遇を最大限活用しながら、長期的な資産形成を目指せます。

NISA成長投資枠の基本

2024年から始まった新NISA制度では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されています。

成長投資枠は年間240万円まで投資でき、上場株式や投資信託など幅広い商品が対象です。

非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、非課税期間は無期限です。

成長投資枠では、ビットコイン関連ファンドを含む多くの投資信託が購入できます。通常、投資信託で得た分配金や売却益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で購入すればこれらが非課税になります。

金融庁:新しいNISA

NISA対象のビットコイン関連ファンド

前述のグローバル・フィンテック株式ファンドやインベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(世カエル)は、NISA成長投資枠の対象商品です。

これらのファンドをNISA口座で購入すれば、運用益が非課税になります。

ただし、すべてのビットコイン関連ファンドがNISA対象というわけではありません。購入前に証券会社のサイトでNISA対象かどうかを確認する必要があります。

NISA活用のメリットと注意点

NISA口座でビットコイン関連ファンドを購入する最大のメリットは、運用益が非課税になることです。

例えば、100万円投資して200万円になった場合、通常の課税口座なら利益100万円に対して約20万円の税金がかかりますが、NISA口座なら税金はゼロです。

注意点としては、NISA口座では損益通算ができないことです。ビットコイン関連ファンドで損失が出ても、他の株式や投資信託の利益と相殺することができません。

また、一度売却した分の非課税枠は翌年以降に再利用できますが、その年の枠は戻りません。

長期保有を前提に、慎重に銘柄を選ぶことが重要です。

ビットコインETFと仮想通貨取引所の税金比較

ビットコインへの投資を考える際、税金面での違いは重要な判断材料です。

ビットコインETF(投資信託)と仮想通貨取引所での直接購入では、税制が大きく異なります。

ビットコインETF(投資信託)の税金

ビットコインETFや関連ファンドは、税制上「株式等の譲渡所得」として扱われます。

売却益や分配金には申告分離課税が適用され、税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)です。

特定口座(源泉徴収あり)で取引すれば、証券会社が自動的に税金を計算・納付してくれるため、確定申告は原則不要です。また、他の株式や投資信託との損益通算が可能で、損失が出た場合は他の利益と相殺できます。

さらに、損失の繰越控除も3年間認められています。

NISA口座で購入すれば、運用益が完全に非課税になるため、税制面では最も有利です。

国税庁:株式等の譲渡所得等の課税

仮想通貨取引所での直接購入の税金

仮想通貨取引所でビットコインを直接購入して売却した場合、利益は「雑所得」として扱われます。

雑所得は総合課税の対象となり、給与所得など他の所得と合算して税率が決まります。

税率は所得額に応じて5%~45%(住民税10%を含めると最大55%)と累進課税です。

例えば、年収500万円の会社員がビットコイン取引で100万円の利益を得た場合、合計所得は600万円となり、税率は約30%(所得税20%+住民税10%)になります。

ビットコインの利益100万円に対して約30万円の税金がかかる計算です。

また、雑所得は株式等の譲渡所得との損益通算ができません。ビットコイン取引で損失が出ても、株式投資の利益と相殺することはできず、損失の繰越控除も認められていません。

確定申告も必須となり、税務処理が複雑になります。

税金シミュレーション|どちらがお得?

項目 ビットコインETF(投資信託) 仮想通貨取引所(直接購入)
所得区分 譲渡所得(株式等) 雑所得
課税方式 申告分離課税 総合課税
税率 一律20.315% 5%~55%(累進課税)
損益通算 可能(株式等と) 不可(雑所得内のみ)
損失繰越 3年間可能 不可
確定申告 特定口座なら原則不要 必須
NISA活用 可能(非課税) 不可

例えば、年収600万円の会社員が100万円の利益を得た場合を比較すると、ビットコインETFなら税金は約20万円(20.315%)ですが、仮想通貨取引所なら約30万円(所得税20%+住民税10%)となり、約10万円の差が生じます。

NISA口座で購入すれば税金はゼロになるため、さらに有利です。

税制面では、ビットコインETFや関連ファンドの方が圧倒的に有利と言えます。

ただし、日本ではビットコインETFが未承認のため、現時点では国内のブロックチェーン関連ファンドを活用するのが現実的な選択肢です。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
ビットコインETFは日本で買えますか?

2025年12月時点で、日本ではビットコインETFは金融庁に承認されておらず、国内の証券会社では購入できません。投資信託法施行令により、投資信託が投資できる「特定資産」に暗号資産が含まれていないためです。米国のビットコインETFを購入するには海外証券口座の開設が必要ですが、日本で購入できるブロックチェーン関連ファンドが代替商品として利用できます。

ビットコインETFはいつ承認されましたか?

米国では2024年1月10日にSEC(米国証券取引委員会)が初めて現物型ビットコインETFを承認しました。BlackRock、Fidelity、Invescoなど11社のビットコインETFが一斉に承認され、取引が開始されました。これ以前の2021年には先物型ビットコインETFが承認されていましたが、現物型の承認は暗号資産市場にとって大きな転機となりました。

ビットコイン投資信託とビットコインETFの違いは?

ビットコイン投資信託とビットコインETFの主な違いは、上場しているかどうかです。ETFは証券取引所に上場しており、取引時間中にリアルタイムで売買できます。一方、投資信託は上場しておらず、1日1回の基準価額で取引されます。また、ETFは一般的に信託報酬が低く、流動性が高いというメリットがあります。ただし、日本ではどちらも未承認のため、現時点では購入できません。

海外のビットコインETFを日本から買う方法は?

海外のビットコインETFを購入するには、米国などの海外証券口座を開設する必要があります。Interactive BrokersやFirstradeなどの海外証券会社が日本居住者の口座開設を受け付けています。ただし、英語でのやり取りや米国の税務申告(W-8BEN提出)が必要になるケースがあり、ハードルは高めです。また、為替リスクや海外送金手数料も考慮する必要があります。

ビットコイン関連ファンドのリスクは?

ビットコイン関連ファンドは、ビットコイン価格やブロックチェーン関連企業の株価に影響を受けるため、価格変動リスクが大きいです。ビットコイン価格が暴落すれば、関連企業の株価も下落する可能性があります。また、信託報酬が年率1.5%~2%程度と高めで、長期保有するとコストが積み重なります。投資する際は余裕資金で行い、ポートフォリオ全体の5~10%程度に留めるなど、リスク管理が重要です。

ビットコインETFの手数料はどのくらい?

米国の現物型ビットコインETFの信託報酬は、年率0.2%~0.25%程度が一般的です。例えば、BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)は年率0.25%、Fidelityのビットコイン ETFは年率0.25%です。先物型ビットコインETFはやや高めで、年率0.95%程度のものもあります。日本のブロックチェーン関連ファンドは年率1.5%~2%程度と高めですが、これは株式ファンドとしての運用コストが含まれているためです。

まとめ

ビットコイン投資信託やETFは、証券口座で手軽にビットコインに投資できる金融商品です。

米国では2024年1月に現物型ビットコインETFが承認され、機関投資家の参入が進んでいます。

ウォレット管理が不要で、税制面でも有利というメリットがあります。

しかし、日本では2025年12月時点でビットコインETFや投資信託は未承認です。

投資信託法施行令により、投資信託が投資できる「特定資産」に暗号資産が含まれていないためです。

今後の承認可能性については、金融庁が慎重な姿勢を維持しており、具体的な時期は示されていません。

日本で購入できる代替商品としては、グローバル・フィンテック株式ファンドやインベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(世カエル)などがあります。

これらはビットコインに直接投資するのではなく、ブロックチェーン関連企業の株式に投資するファンドです。

NISA成長投資枠で購入すれば、運用益が非課税になる税制優遇も受けられます。

ビットコイン関連への投資を検討する際は、価格変動リスクが大きいことを理解し、余裕資金で行うことが重要です。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。税金の取り扱いは個人の状況により異なりますので、詳しくは税理士等の専門家にご相談ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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