証券会社大手5社を比較|特徴と選び方のポイント

証券会社大手5社を比較|特徴と選び方のポイント

証券会社を選ぶとき、「大手なら安心」と考える方は多いのではないでしょうか。

実際、大手証券会社は豊富な実績と信頼性を持っていますが、それぞれに強みや特徴が異なります。

この記事では、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大手5社を徹底比較し、投資目的に応じた選び方を解説します。

対面でのサポートを重視するか、手数料の安さを優先するか、IPO投資に強い証券会社を選ぶか。

あなたに最適な証券会社を見つけるための判断材料を提供します。

この記事の要約
  • 大手証券会社5社は対面サポートと豊富な商品ラインナップが強み
  • IPO投資や相続・事業承継では大手証券会社が有利
  • 手数料重視ならネット証券、サポート重視なら大手証券会社がおすすめ

証券会社の大手5社とは?|対面証券のトップ企業

証券会社の大手5社とは、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を指します。これらは日本の証券業界を代表する対面型証券会社で、全国に店舗網を持ち、営業担当者による対面サポートを提供しています。

大手証券会社の最大の特徴は、総合的な金融サービスを提供できる体制です。

株式や投資信託だけでなく、債券、外国証券、デリバティブ商品など幅広い商品を取り扱っています。また、IPO(新規公開株)の主幹事実績が豊富で、一般投資家が購入しにくいIPO株の配分を受けやすいのも大きなメリットです。

日本証券業協会のデータによると、これら5社は営業収益で業界の上位を占めており、預かり資産も数十兆円規模に達しています。

特に野村證券は業界トップの地位を維持しており、国内外で高い評価を得ています。

日本証券業協会:会員の概況

大手証券会社は、メガバンクや大手金融グループの傘下にあることが多く、銀行や信託銀行との連携による総合的な資産管理サービスを提供できます。

相続対策や事業承継、不動産活用など、複雑な資産運用ニーズにも対応可能です。

一方で、ネット証券と比較すると手数料が高めに設定されているのが一般的です。対面サポートや店舗運営のコストが反映されているためですが、その分、専門家による丁寧なアドバイスを受けられる点が評価されています。

証券会社の大手と中堅・ネット証券の違い

証券会社は規模やサービス形態によって、大手証券、中堅証券、ネット証券に分類されます。

それぞれの特徴を理解することで、自分に合った証券会社を選びやすくなります。

大手証券会社の特徴

大手証券会社の最大の特徴は、全国に展開する店舗網と対面サポート体制です。

営業担当者が顧客一人ひとりに対応し、投資相談から商品提案、アフターフォローまで一貫したサービスを提供します。

商品ラインナップの豊富さ

国内外の株式、債券、投資信託

仕組債やラップ口座、ヘッジファンド

富裕層向けの商品やサービス

特に富裕層向けの商品やサービスが充実しているのが特徴です。

また、IPO主幹事実績が豊富で、IPO株の配分を受けやすい点も見逃せません。野村證券やSMBC日興証券、みずほ証券は年間10社以上の主幹事を務めており、IPO投資を積極的に行いたい方には有利な環境です。

相続や事業承継などの専門的な相談にも対応できる体制が整っており、資産規模が大きい方や複雑なニーズを持つ方に適しています。

ネット証券との違い

ネット証券は店舗を持たず、インターネット取引を中心としたサービスを提供します。

最大の違いは手数料の安さで、SBI証券や楽天証券などの主要ネット証券では、国内株式の売買手数料が無料または格安に設定されています。

ネット証券の強み

リアルタイムの株価情報、チャート分析、注文機能

投資信託の本数が豊富(SBI証券約2,600本、楽天証券約2,550本)

スマートフォンやパソコンで簡単に利用可能

一方で、対面でのサポートは基本的に受けられません。投資判断は自分で行う必要があり、初心者には難しく感じる場面もあります。また、IPO主幹事実績はほとんどなく、IPO株の配分も大手証券と比べて少ない傾向があります。

ネット証券は、手数料を抑えて自分で投資判断ができる方に向いています。

中堅証券会社との違い

中堅証券会社は、大手証券とネット証券の中間的な位置づけです。

岡三証券やGMOクリック証券、岩井コスモ証券などが該当し、対面サービスとネット取引の両方を提供しているケースが多くあります。

手数料は大手証券よりも安く、ネット証券よりは高めに設定されていることが一般的です。

地域密着型の営業スタイルを取る証券会社もあり、地方在住の方にとっては利用しやすい選択肢となります。

商品ラインナップは大手証券ほど豊富ではありませんが、基本的な投資ニーズには十分対応できます。IPO取扱実績も一定数あり、岡三証券は年間30銘柄以上のIPOを取り扱っています。

中堅証券会社は、対面サポートを受けたいが手数料も抑えたいという方や、地域に根ざしたサービスを求める方に適しています。

大手証券会社5社の特徴を比較

大手証券会社5社はそれぞれ異なる強みを持っています。

ここでは各社の特徴を詳しく解説し、どのような投資家に向いているかを明らかにします。

野村證券|業界トップの実績と信頼

野村證券は日本最大の証券会社であり、業界トップの地位を長年維持しています。国内外での豊富な実績と信頼性が最大の強みです。

野村證券の特徴

営業収益、預かり資産、口座数のいずれも業界トップクラス

約550万口座を保有

IPO主幹事実績年間16社(2024年実績)

投資信託約900本、外国株式4カ国対応

商品ラインナップは約900本の投資信託に加え、債券、外国株式、デリバティブ商品など幅広く取り扱っています。

外国株式は米国、中国、香港、ベトナムの4カ国に対応し、約850銘柄の米国株を売買できます。

野村ポイントプログラムでは、取引に応じてポイントが貯まり、投資信託の購入や他社ポイントへの交換が可能です。

取引ツールはWebアプリが中心で、スマートフォンやパソコンから利用できます。

手数料は現物取引で152円~78,571円、信用取引は1注文あたり524円と、ネット証券と比べると高めです。しかし、対面での丁寧なサポートと豊富な情報提供を受けられる点が評価されています。

野村證券は、業界トップの実績と信頼性を重視する方、IPO投資に力を入れたい方におすすめです。

大和証券|リテール営業に強み

大和証券は個人投資家向けのリテール営業に強みを持つ大手証券会社です。

全国に約120店舗を展開し、地域密着型のサービスを提供しています。

大和証券の特徴

投資信託の取扱本数約1,000本

NISA口座対応(つみたて投資枠と成長投資枠)

IPO取扱実績年間40銘柄以上

営業担当者によるきめ細かなサポート

投資信託の取扱本数は約1,000本で、特に国内外の株式型ファンドや債券型ファンドが充実しています。

NISA口座にも対応しており、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を利用できます。

IPO取扱実績も豊富で、年間40銘柄以上を取り扱っています。主幹事実績は野村證券に次ぐ水準で、IPO投資を検討している方にとって有力な選択肢です。

大和証券の特徴は、営業担当者によるきめ細かなサポート体制です。投資初心者向けのセミナーや勉強会も定期的に開催しており、投資知識を深めながら資産形成を進められます。

手数料は大手証券の標準的な水準で、現物取引は約定金額に応じて変動します。

大和証券は、丁寧なサポートを受けながら投資を始めたい方、地域密着型のサービスを求める方におすすめです。

SMBC日興証券|三井住友FGの安定基盤

SMBC日興証券は三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)の傘下にある大手証券会社です。

メガバンクグループの安定した経営基盤が最大の強みです。

SMBC日興証券の特徴

口座数約400万口座

投資信託約1,000本

IPO主幹事実績年間22社(2024年実績)

外国株式2カ国対応、米国株約2,200銘柄

口座数は約400万口座で、投資信託は約1,000本を取り扱っています。つみたてNISA対象商品は約160本で、初心者でも始めやすいラインナップです。

IPO主幹事実績は年間22社(2024年実績)と5社の中でも上位に位置し、IPO株の配分を受けやすい環境です。特に中小型株のIPOに強く、初値上昇が期待できる銘柄の取り扱いが多いのが特徴です。

ダイレクトコースと総合コースの2つの取引コースがあり、ダイレクトコースでは手数料が137円~27,500円とやや抑えられています。総合コースは対面サポートが充実しており、手数料は1,925円~192,500円です。

Vポイントやdポイントが貯まるポイントプログラムもあり、取引に応じてポイントを獲得できます。

SMBC日興証券は、メガバンクグループの安定性を重視する方、IPO投資に興味がある方におすすめです。

みずほ証券|みずほFGとの連携

みずほ証券はみずほフィナンシャルグループの一員として、銀行や信託銀行との連携による総合的な金融サービスを提供しています。

みずほ証券の特徴

口座数約170万口座

投資信託約100本

外国株式6カ国対応、米国株約6,500銘柄

IPO主幹事実績年間19社(2024年実績)

口座数は約170万口座で、投資信託は約100本を取り扱っています。つみたてNISA対象商品は約10本と少なめですが、厳選された商品ラインナップが特徴です。

外国株式は6カ国に対応し、約6,500銘柄の米国株を売買できます。これは5社の中で最も多い取扱数です。

IPO主幹事実績は年間19社(2024年実績)で、大型IPOの主幹事を務めることが多いのが特徴です。年間取扱銘柄数は43銘柄で、IPO投資の機会は十分にあります。

手数料は現物取引で1,045円~84,480円、信用取引は無料です。信用取引の手数料無料は5社の中でも珍しく、信用取引を活用したい方にとってはメリットがあります。

みずほ銀行やみずほ信託銀行との連携により、相続や事業承継、不動産活用などの総合的な資産管理サービスを受けられます。

みずほ証券は、銀行との連携サービスを活用したい方、米国株投資に力を入れたい方におすすめです。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券|投資銀行業務の強さ

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループと米国大手投資銀行モルガン・スタンレーの合弁会社です。

投資銀行業務に強みを持ち、法人向けサービスが充実しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の特徴

口座数約1,800万口座(5社中最多)

投資信託約750本

外国株式14カ国対応、米国株約650銘柄

IPO主幹事実績年間9社(2024年実績)

口座数は約1,800万口座と5社の中で最も多く、投資信託は約750本を取り扱っています。つみたてNISA対象商品は約30本で、厳選された商品から選べます。

外国株式は14カ国に対応し、約650銘柄の米国株を売買できます。

IPO主幹事実績は年間9社(2024年実績)で、年間取扱銘柄数は21銘柄です。大型IPOの主幹事を務めることが多く、安定した企業のIPOに参加できる機会があります。

手数料は現物取引で約定金額の0.055%~0.99%で、金額に応じて変動します。Pontaポイントが貯まるポイントプログラムがあり、取引に応じてポイントを獲得できます。

三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、銀行や信託銀行との連携による総合的な資産管理サービスを提供しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、メガバンクグループの総合力を活用したい方、事業承継や相続対策を検討している方におすすめです。

大手証券会社の業績・口座数・預かり資産ランキング

大手証券会社5社の規模を客観的なデータで比較します。

業績や口座数、IPO実績などの数値は、証券会社の実力を測る重要な指標です。

営業収益ランキング

営業収益は証券会社の事業規模を示す重要な指標です。

野村證券が業界トップの地位を維持しており、年間営業収益は1兆円を超える規模です。

第2位は大和証券で、リテール営業を中心に安定した収益基盤を持っています。第3位はSMBC日興証券で、三井住友フィナンシャルグループの支援を受けて成長を続けています。

みずほ証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券もそれぞれメガバンクグループの一員として、安定した営業収益を確保しています。

営業収益が大きい証券会社は、商品開発や情報提供、システム投資などに多くの資源を投入できるため、サービスの質が高い傾向があります。また、財務基盤が安定しており、長期的に安心して利用できる点も評価されています。

口座数・預かり資産ランキング

口座数では三菱UFJモルガン・スタンレー証券が約1,800万口座で首位です。三菱UFJ銀行との連携により、銀行口座からの誘導が効果的に機能しています。

第2位は野村證券の約550万口座で、業界トップの信頼性を背景に多くの投資家が利用しています。第3位はSMBC日興証券の約400万口座で、三井住友銀行との連携により口座数を伸ばしています。

預かり資産では野村證券がトップで、数十兆円規模の資産を預かっています。富裕層や機関投資家からの信頼が厚く、大口の資産運用ニーズに対応できる体制が整っています。

大和証券、SMBC日興証券も預かり資産で上位に位置し、安定した顧客基盤を持っています。

口座数や預かり資産が多い証券会社は、多くの投資家から信頼されている証拠です。サービスの質や情報提供の充実度も高い傾向があり、初心者から上級者まで幅広い層に対応できます。

IPO主幹事実績ランキング

IPO主幹事実績では野村證券が年間16社(2024年実績)でトップです。大型IPOから中小型IPOまで幅広く主幹事を務めており、IPO投資を積極的に行いたい方には最も有利な環境です。

第2位はSMBC日興証券の年間22社で、特に中小型株のIPOに強みを持っています。初値上昇が期待できる銘柄の主幹事を務めることが多く、IPO投資のリターンを狙う方に適しています。

第3位はみずほ証券の年間19社で、大型IPOの主幹事を務めることが多いのが特徴です。安定した企業のIPOに参加したい方に向いています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は年間9社、大和証券は年間10社程度の主幹事実績があります。

IPO主幹事実績が多い証券会社は、IPO株の配分を受けやすく、当選確率が高まります。IPO投資を重視する方は、主幹事実績の多い証券会社で口座を開設することをおすすめします。

日本取引所グループ:IPO銘柄一覧

投資目的別|大手証券会社の選び方

投資目的やスタイルによって、最適な証券会社は異なります。

ここでは4つの投資目的別に、どの大手証券会社が適しているかを解説します。

資産運用の相談をしたい人向け

投資初心者や、専門家のアドバイスを受けながら資産運用を進めたい方には、対面サポートが充実した証券会社がおすすめです。

野村證券と大和証券は全国に店舗網を持ち、営業担当者による丁寧なサポートを提供しています。

野村證券は業界トップの実績と信頼性があり、豊富な商品ラインナップから最適な投資プランを提案してもらえます。投資初心者向けのセミナーや勉強会も定期的に開催しており、投資知識を深めながら資産形成を進められます。

大和証券はリテール営業に強みを持ち、地域密着型のサービスを提供しています。営業担当者が顧客一人ひとりの投資目的やリスク許容度を丁寧にヒアリングし、最適な商品を提案します。

投資初心者向けのサポート体制が整っており、安心して投資を始められます。

IPO投資をしたい人向け

IPO投資を積極的に行いたい方には、IPO主幹事実績が豊富な証券会社が有利です。

野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券の3社は年間10社以上の主幹事実績があり、IPO株の配分を受けやすい環境です。

野村證券は年間16社の主幹事実績があり、大型IPOから中小型IPOまで幅広く取り扱っています。IPO投資を最優先する方には最も適した選択肢です。

SMBC日興証券は年間22社の主幹事実績があり、特に中小型株のIPOに強みを持っています。初値上昇が期待できる銘柄の主幹事を務めることが多く、高いリターンを狙う方に向いています。

みずほ証券は年間19社の主幹事実績があり、大型IPOの主幹事を務めることが多いのが特徴です。

IPO投資では複数の証券会社で口座を開設し、当選確率を高める戦略も有効です。

大口取引をしたい人向け

資産規模が大きく、大口取引を行いたい方には、富裕層向けサービスが充実した証券会社がおすすめです。

野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、富裕層向けの専門部署を持ち、個別対応のサービスを提供しています。

野村證券は預かり資産が数十兆円規模で、富裕層や機関投資家からの信頼が厚い証券会社です。専任の営業担当者が付き、資産運用から相続対策まで総合的なサポートを受けられます。

大口取引では手数料の優遇措置もあり、コストを抑えながら効率的な運用が可能です。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループの総合力を活用した資産管理サービスを提供しています。銀行や信託銀行との連携により、不動産活用や事業承継など、複雑なニーズにも対応できます。

みずほ証券も同様に、みずほフィナンシャルグループの総合力を活用したサービスを提供しており、大口取引に適しています。

相続・事業承継を考えている人向け

相続対策や事業承継を検討している方には、メガバンクグループの証券会社が適しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、みずほ証券は、銀行や信託銀行との連携により、総合的な相続・事業承継サービスを提供しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ信託銀行との連携により、遺言信託や遺産整理、不動産の有効活用など、相続に関する幅広いサービスを提供しています。

事業承継では、株式の評価や後継者への株式移転、事業承継税制の活用など、専門的なアドバイスを受けられます。

SMBC日興証券は、三井住友信託銀行との連携により、相続対策から資産承継まで一貫したサポートを提供しています。相続税の試算や節税対策、生前贈与の活用など、具体的な提案を受けられます。

みずほ証券も、みずほ信託銀行との連携により、総合的な相続・事業承継サービスを提供しており、複雑なニーズに対応できます。

大手証券会社とネット証券はどちらを選ぶべき?

大手証券会社とネット証券はどちらを選ぶべき?

大手証券会社とネット証券のどちらを選ぶべきかは、投資スタイルや優先する条件によって異なります。

ここでは3つの観点から比較し、選び方のポイントを解説します。

手数料で比較

手数料の安さを重視するなら、ネット証券が圧倒的に有利です。

SBI証券や楽天証券などの主要ネット証券では、国内株式の売買手数料が原則無料に設定されています。投資信託の購入手数料も無料(ノーロード)の商品が多く、コストを抑えた運用が可能です。

大手証券会社の手数料は、野村證券で現物取引152円~78,571円、SMBC日興証券のダイレクトコースで137円~27,500円と、ネット証券と比べると高めです。

ただし、対面サポートや専門的なアドバイスを受けられる点を考慮すると、手数料に見合った価値があると言えます。

頻繁に売買を行うアクティブトレーダーや、少額投資を行う方は、手数料の影響が大きくなるためネット証券が適しています。一方、大口取引を行う方や、取引頻度が低い方は、手数料の差が相対的に小さくなるため、大手証券会社でも問題ありません。

サポート体制で比較

サポート体制を重視するなら、大手証券会社が優れています。

野村證券や大和証券は全国に店舗網を持ち、営業担当者による対面サポートを提供しています。投資初心者や、専門家のアドバイスを受けながら資産運用を進めたい方には安心感があります。

ネット証券もコールセンターやチャットサポートを提供していますが、基本的には自分で投資判断を行う必要があります。

投資知識がある程度ある方や、自分で情報収集や分析ができる方には問題ありませんが、初心者には難しく感じる場面もあります。

大手証券会社では、投資初心者向けのセミナーや勉強会も定期的に開催しており、投資知識を深めながら資産形成を進められます。

相続や事業承継など、複雑なニーズにも対応できる専門部署があり、総合的なサポートを受けられる点が大きなメリットです。

複数口座を持つメリット

大手証券会社とネット証券の両方で口座を開設し、用途に応じて使い分ける方法も有効です。

IPO投資や対面サポートが必要な場合は大手証券会社を利用し、日常的な売買や少額投資はネット証券を利用するという使い分けができます。

複数口座を持つメリットは、各証券会社の強みを活用できる点です。IPO投資では複数の証券会社で申し込むことで当選確率が高まります。また、証券会社ごとに取扱商品が異なるため、投資機会を広げることができます。

一方で、複数口座を管理する手間がかかる点はデメリットです。資産状況の把握が煩雑になり、確定申告の手続きも複雑になります。

初心者の方は、まず1つの証券会社で投資に慣れてから、必要に応じて追加の口座を開設するのがおすすめです。

複数口座を持つ場合は、それぞれの証券会社の強みを理解し、明確な使い分けルールを設定することが重要です。

大手証券会社で気をつけたいこと

大手証券会社を利用する際には、いくつか注意すべき点があります。

メリットだけでなくデメリットも理解した上で、自分に合った証券会社を選びましょう。

手数料が高めに設定されている

大手証券会社の手数料は、ネット証券と比べると高めに設定されています。

野村證券の現物取引手数料は152円~78,571円、SMBC日興証券の総合コースでは1,925円~192,500円と、ネット証券の無料~数百円と比較すると大きな差があります。

対面サポートや店舗運営のコストが反映されているためですが、頻繁に売買を行う方や少額投資を行う方にとっては、手数料負担が大きくなる可能性があります。

特に短期売買を繰り返すデイトレードやスイングトレードを行う場合、手数料の影響が運用成績に大きく響きます。

手数料を抑えたい方は、SMBC日興証券のダイレクトコースなど、ネット取引専用のコースを選ぶことで手数料を下げることができます。また、大口取引では手数料の優遇措置がある場合もあるため、取引金額が大きい方は営業担当者に相談してみましょう。

担当者による提案の質にばらつきがある

大手証券会社では営業担当者が付きますが、担当者の知識や経験によって提案の質にばらつきがあります。

優秀な担当者であれば適切なアドバイスを受けられますが、経験の浅い担当者の場合、十分なサポートを受けられないこともあります。

また、営業担当者には販売ノルマがあるため、顧客の利益よりも会社の利益を優先した商品提案が行われるケースもあります。手数料の高い商品や、複雑な仕組みの金融商品を勧められることもあるため、提案内容を鵜呑みにせず、自分で情報収集や比較検討を行うことが重要です。

担当者の提案に疑問を感じた場合は、他の情報源で確認したり、セカンドオピニオンを求めたりすることをおすすめします。

また、担当者との相性が合わない場合は、変更を申し出ることも可能です。大手証券会社を利用する際は、担当者に依存しすぎず、自分自身でも投資知識を身につけることが大切です。

ネット取引の機能がネット証券より劣る場合がある

大手証券会社もネット取引サービスを提供していますが、取引ツールやアプリの使いやすさはネット証券に劣る場合があります。

リアルタイムの株価情報、チャート分析、注文機能などの機能面で、ネット証券の方が優れていることが多いです。

特にスマートフォンアプリの使い勝手では、SBI証券や楽天証券などのネット証券が高い評価を受けています。直感的な操作性や、豊富な情報提供、高機能なチャート分析など、ネット取引に特化した開発が行われているためです。

大手証券会社のネット取引を利用する場合は、事前にデモ画面や口コミを確認し、自分にとって使いやすいかを判断することが重要です。ネット取引を頻繁に利用する方は、ネット証券との併用も検討しましょう。

大手証券会社は対面サポートが必要な場合に利用し、日常的な売買はネット証券で行うという使い分けが効果的です。

大手証券会社に関するよくある質問

大手証券会社に関するよくある質問
大手証券会社は本当に安全ですか?

大手証券会社は金融庁の登録を受けた正規の金融商品取引業者であり、厳格な規制のもとで運営されています。顧客資産は分別管理が義務付けられており、証券会社の資産と分けて保管されるため、証券会社が倒産しても顧客資産は保護されます。

さらに、投資者保護基金に加入しているため、万が一証券会社が破綻して顧客資産が返還されない場合でも、1,000万円までは補償されます。大手証券会社はメガバンクグループの一員であることが多く、財務基盤が安定しているため、倒産リスクは極めて低いと言えます。

口座開設にはどれくらい時間がかかりますか?

大手証券会社の口座開設にかかる時間は、証券会社によって異なります。野村證券は最短5営業日、SMBC日興証券は最短即日、みずほ証券は最短3営業日、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は最短2営業日です。

オンラインで口座開設を申し込む場合、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)をスマートフォンで撮影してアップロードすることで、郵送よりも早く手続きが完了します。郵送での申し込みの場合は、書類の往復に時間がかかるため、1~2週間程度かかることもあります。急ぎの場合は、オンライン申し込みを利用しましょう。

大手証券会社で口座を開設するメリットは何ですか?

大手証券会社で口座を開設する最大のメリットは、対面サポートと豊富な商品ラインナップです。営業担当者による丁寧なアドバイスを受けられるため、投資初心者でも安心して資産運用を始められます。

IPO主幹事実績が豊富で、IPO株の配分を受けやすい点も大きなメリットです。野村證券やSMBC日興証券、みずほ証券は年間10社以上の主幹事を務めており、IPO投資を積極的に行いたい方には有利な環境です。また、相続や事業承継など、複雑な資産運用ニーズにも対応できる専門部署があり、総合的なサポートを受けられます。

NISAは大手証券会社でも利用できますか?

大手証券会社5社すべてでNISA口座を開設できます。つみたて投資枠と成長投資枠の両方に対応しており、非課税で投資信託や株式を購入できます。

つみたてNISA対象商品の本数は証券会社によって異なり、SMBC日興証券は約160本、みずほ証券は約10本と差があります。投資信託の選択肢を重視する方は、取扱本数が多い証券会社を選ぶとよいでしょう。NISA口座は1人1口座しか開設できないため、慎重に証券会社を選ぶことが重要です。

証券会社が倒産したら資産はどうなりますか?

証券会社が倒産しても、顧客資産は分別管理されているため保護されます。金融商品取引法により、証券会社は顧客資産を自社の資産と分けて保管することが義務付けられています。

万が一、分別管理が適切に行われておらず顧客資産が返還されない場合でも、投資者保護基金により1,000万円までは補償されます。大手証券会社はメガバンクグループの一員であることが多く、財務基盤が安定しているため、倒産リスクは極めて低いと言えます。それでも心配な方は、複数の証券会社に資産を分散することでリスクを軽減できます。

大手証券会社の担当者は信頼できますか?

大手証券会社の担当者は、金融商品に関する専門知識を持っており、基本的には信頼できます。ただし、担当者の知識や経験にはばらつきがあり、すべての担当者が同じレベルのサービスを提供できるわけではありません。

また、営業担当者には販売ノルマがあるため、顧客の利益よりも会社の利益を優先した商品提案が行われるケースもあります。担当者の提案を鵜呑みにせず、自分でも情報収集や比較検討を行うことが重要です。担当者との相性が合わない場合や、提案内容に疑問を感じた場合は、変更を申し出ることも可能です。

日本投資者保護基金:投資者保護基金制度について

金融庁:NISA特設ウェブサイト

まとめ

大手証券会社5社は、それぞれ異なる強みと特徴を持っています。

野村證券は業界トップの実績と信頼性、大和証券はリテール営業の強さ、SMBC日興証券は三井住友FGの安定基盤、みずほ証券はみずほFGとの連携、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は投資銀行業務の強さが特徴です。

投資目的に応じて最適な証券会社は異なります。

資産運用の相談をしたい方は野村證券や大和証券、IPO投資をしたい方は野村證券やSMBC日興証券、大口取引をしたい方は野村證券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券、相続・事業承継を考えている方は三菱UFJモルガン・スタンレー証券やSMBC日興証券がおすすめです。

大手証券会社とネット証券の選択では、手数料を重視するならネット証券、サポート体制を重視するなら大手証券会社が適しています。

複数口座を持ち、用途に応じて使い分けることも有効な戦略です。

大手証券会社を利用する際は、手数料が高めに設定されている点、担当者による提案の質にばらつきがある点、ネット取引の機能がネット証券より劣る場合がある点に注意しましょう。

これらのデメリットを理解した上で、自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが重要です。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社の公式サイトでご確認ください。

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