証券会社を起業する方法|設立費用と現実的な選択肢

証券会社を起業する方法|設立費用と現実的な選択肢

「証券会社を起業したい」と考えているあなたは、投資で成功を収め、次のステージを目指しているのかもしれません。

しかし、証券会社の設立には最低5000万円以上の資本金と、億単位のシステム投資が必要という現実があります。

実は「証券会社の起業」と検索する方の多くは、本当に必要なのは「投資会社の設立」や「IFAとしての独立」かもしれません。

この記事では、証券会社設立の具体的な方法から、より現実的な代替案まで、金融業として独立するための選択肢を網羅的に解説します。

あなたの目的に最も適した方法を見つけ、適切な判断ができるようサポートします。

この記事の要約
  • 証券会社設立には資本金5000万円以上と億単位のシステム投資が必要
  • 個人投資家の法人化なら投資会社設立で30万円程度から可能
  • 金融業として独立したいならIFA・投資顧問という選択肢もある
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

証券会社の起業とは|投資会社との違いを理解する

「証券会社を起業する」という言葉には、実は3つの異なる意味が含まれています。まずは自分がどのパターンに当てはまるのかを明確にしましょう。

証券会社とは|金融商品取引業の基本

証券会社とは、金融商品取引法に基づく「金融商品取引業」の登録を受けた会社のことです。顧客から注文を受けて株式や債券を売買したり、投資助言を行ったりする事業を営みます。

金融商品取引業には第一種と第二種があり、株式の売買を仲介する証券会社は第一種金融商品取引業に該当します。金融庁への登録が必須で、最低資本金5000万円以上、厳格なコンプライアンス体制、高度なシステムインフラが求められます。

金融庁:金融商品取引法の概要

つまり証券会社の設立は、個人投資家が「自分の投資を法人化したい」というレベルをはるかに超えた、本格的な金融事業の立ち上げです。

投資会社とは|個人投資家の法人化

一方、投資会社とは、自己資金で株式や不動産などに投資し、その運用益を得ることを目的とした会社です。他人から資金を集めたり、投資助言を行ったりしない限り、金融商品取引業の登録は不要です。

個人投資家が年間利益500万円を超えるようになると、所得税の累進課税で税負担が重くなります。法人化すれば法人税率(最大約34%)で済むため、節税効果が期待できます。設立費用は30万円〜100万円程度で、証券会社設立とは比較にならないほど低コストです。

多くの個人投資家が「証券会社を起業したい」と考えているとき、実際に必要なのはこの投資会社の設立です。

資産管理会社とは|もうひとつの選択肢

資産管理会社は、投資会社とほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、より広く「資産の管理」を目的とした会社を指します。投資だけでなく、不動産の保有や事業収益の管理なども行います。

富裕層や経営者が、個人資産を法人に移して管理するケースが一般的です。投資会社と同様、他人の資産を預かったり投資助言をしたりしない限り、金融商品取引業の登録は不要です。

投資会社と資産管理会社の違いは曖昧で、実質的には同じものと考えて問題ありません。

あなたが本当に必要なのはどれ?|判断フローチャート

以下のチェックリストで、あなたに適した選択肢を確認しましょう。

  • 顧客から資金を預かって運用したい → 証券会社設立(第一種金融商品取引業)
  • 投資助言を行って報酬を得たい → 投資顧問業(投資助言・代理業)
  • 独立系アドバイザーとして活動したい → IFA登録
  • 自分の投資利益を効率的に管理したい → 投資会社設立
  • 年間投資利益が500万円以上ある → 投資会社設立を検討
  • 資本金5000万円以上を用意できる → 証券会社設立も選択肢

このチェックリストで「投資会社設立」に該当する方が最も多いはずです。次のセクションでは、まず証券会社設立の方法を詳しく見ていきましょう。

証券会社を設立する方法|5つのステップと登録要件

証券会社を設立するには、金融商品取引法に基づく厳格な手続きが必要です。ここでは第一種金融商品取引業の設立手順を中心に解説します。

第一種・第二種金融商品取引業の違い

金融商品取引業には、主に第一種と第二種があります。第一種金融商品取引業は、株式や債券などの有価証券の売買・媒介を行う業務です。いわゆる証券会社がこれに該当します。

第二種金融商品取引業は、ファンドの販売や私募の取扱いなど、第一種以外の金融商品を扱う業務です。第一種よりも規制が緩く、最低資本金は1000万円からとなっています。

一般的に「証券会社を起業する」という場合は第一種金融商品取引業を指します。以下のステップは第一種を前提に説明します。

ステップ1|事業計画の策定と資本金の準備

まず、詳細な事業計画を策定します。どのような顧客層に、どのようなサービスを提供するのか、収益モデルはどうするのかを明確にします。

第一種金融商品取引業の最低資本金は5000万円です。ただし、これは最低ラインであり、実際には自己資本規制比率(120%以上維持)を満たすため、より多くの資本金が必要になります。

さらに、システム構築費用(数千万円〜数億円)、人件費、オフィス費用なども考慮すると、総額で1億円以上の初期投資が現実的です。

ステップ2|会社設立と定款の作成

株式会社を設立します。定款には、金融商品取引業を営む旨を明記する必要があります。「金融商品取引法に基づく金融商品取引業」という文言を目的欄に記載します。

会社設立の手続き自体は通常の株式会社と同じですが、金融庁への登録申請を見据えた準備が必要です。取締役の選任、コンプライアンス責任者の配置なども考慮しましょう。

ステップ3|金融庁・財務局への登録申請

会社設立後、金融庁(または財務局)に第一種金融商品取引業の登録申請を行います。申請書類は膨大で、事業計画書、財務諸表、役員の経歴書、コンプライアンス体制の説明書など、数十種類に及びます。

審査は非常に厳格で、資本金の確認、役員の適格性、業務運営体制、システムの安全性など、あらゆる面でチェックされます。審査期間は通常3〜6ヶ月程度ですが、不備があればさらに長期化します。

金融庁:金融商品取引法の概要

ステップ4|システム構築とコンプライアンス体制

証券会社には、顧客の注文を処理する取引システム、顧客資産を管理するシステム、リスク管理システムなど、高度なITインフラが必要です。これらのシステム構築には、最低でも数千万円、大手並みの機能を目指せば億単位の投資が必要になります。

また、金融商品取引法に基づくコンプライアンス体制の構築も必須です。内部管理責任者の配置、内部監査体制、顧客情報管理、マネーロンダリング対策など、多岐にわたる対応が求められます。

システム構築とコンプライアンスで必要な項目

1. 取引システムの構築・導入

2. 顧客管理システムの整備

3. リスク管理システムの構築

4. コンプライアンス体制の整備

5. 内部監査体制の構築

ステップ5|審査完了と営業開始

金融庁の審査をクリアし、登録が完了すれば、ようやく営業を開始できます。ただし、登録後も継続的な報告義務があり、自己資本規制比率の維持、定期的な財務報告、業務改善命令への対応など、厳しい規制が続きます。

また、日本証券業協会への加入、投資者保護基金への加入なども必要です。これらにも費用がかかります。

証券会社設立は、登録がゴールではなく、スタートラインに立つまでに膨大なコストと時間がかかるということを理解しておきましょう。

証券会社設立にかかる費用|資本金とシステム投資の現実

証券会社設立の最大のハードルは、莫大な初期投資です。具体的な費用の内訳を見ていきましょう。

第一種金融商品取引業の資本金要件|最低5000万円

第一種金融商品取引業の最低資本金は5000万円です。これは法律で定められた最低ラインであり、実際にはこれだけでは不十分です。

金融商品取引業者は、自己資本規制比率を120%以上に維持する義務があります。この比率は「固定化されていない自己資本÷リスク相当額」で計算されます。事業規模が大きくなるほど、必要な自己資本も増加します。

実務的には、資本金7000万円〜1億円程度を用意するのが一般的です。開業後の運転資金も考慮すると、さらに余裕を持った資金計画が必要になります。

システム構築費用|億単位の初期投資

証券会社のシステム構築費用は、最も大きな負担のひとつです。既存のシステムをパッケージとして導入する場合でも、数千万円はかかります。

自社でシステムを開発する場合は、億単位の投資が必要です。取引システム、顧客管理システム、リスク管理システム、決済システムなど、複数のシステムを統合する必要があります。

また、システムの保守・運用費用も継続的に発生します。セキュリティ対策、システム更新、障害対応など、年間数百万円〜数千万円のコストがかかります。

人件費・オフィス費用|年間数千万円の固定費

証券会社には、コンプライアンス責任者、内部管理責任者、営業担当者、バックオフィス担当者など、最低でも5〜10名程度の人員が必要です。

金融業界の人件費は高く、1人あたり年間500万円〜1000万円程度が相場です。10名体制なら年間5000万円〜1億円の人件費がかかります。

オフィス費用、通信費、システム保守費用なども含めると、年間の固定費は最低でも数千万円に達します。開業後すぐに収益が上がるとは限らないため、数年分の運転資金を確保しておく必要があります。

設立費用の総額シミュレーション

証券会社設立にかかる費用の総額をシミュレーションしてみましょう。

項目 金額(最小ケース) 金額(標準ケース)
資本金 5,000万円 1億円
システム構築費用 3,000万円 1億円
オフィス・設備費用 500万円 1,000万円
登録申請費用・専門家報酬 500万円 1,000万円
初年度人件費 3,000万円 6,000万円
初年度運転資金 1,000万円 2,000万円
合計 1億3,000万円 3億1,000万円

最小ケースでも1億円以上、標準的なケースでは3億円以上の初期投資が必要です。これだけの資金を用意できる個人投資家は、ごく限られているでしょう。

証券会社設立のメリット・デメリット|本当に必要か考える

莫大なコストをかけて証券会社を設立するメリットは何でしょうか。デメリットと合わせて冷静に検討しましょう。

メリット1|顧客から手数料収入を得られる

証券会社を設立する最大のメリットは、顧客から手数料収入を得られることです。株式売買の仲介手数料、投資信託の販売手数料、投資助言報酬など、多様な収益源を確保できます。

顧客基盤を構築できれば、安定した収益を上げることが可能です。特に富裕層向けのプライベートバンキング業務は、高い収益性が期待できます。

ただし、顧客を獲得するまでには時間がかかり、初期は赤字が続く可能性が高いことを覚悟する必要があります。

メリット2|金融業としての社会的信用

金融商品取引業の登録を受けることで、金融業者としての社会的信用を得られます。金融庁の厳しい審査をクリアした証として、顧客からの信頼も高まります。

また、他の金融機関との提携や、大口顧客との取引も可能になります。金融業界でのネットワークを構築しやすくなるでしょう。

デメリット1|莫大な初期投資と維持費用

最大のデメリットは、前述のとおり莫大な初期投資が必要なことです。1億円以上の資金を用意できても、開業後の運転資金、システム保守費用、人件費など、継続的なコストが発生します。

収益が安定するまでに数年かかることも珍しくなく、その間の資金繰りは大きな負担となります。

デメリット2|厳しい規制とコンプライアンス負担

金融商品取引業者は、金融庁の厳しい監督下に置かれます。定期的な報告義務、立入検査、業務改善命令など、常にコンプライアンスを意識した経営が求められます。

違反があれば、業務停止命令や登録取消といった重い処分を受ける可能性があります。コンプライアンス体制の維持には、専門人材の確保と継続的な教育が必要です。

  • 金融庁への定期報告義務(財務報告、業務報告)
  • 自己資本規制比率の維持義務
  • 顧客資産の分別管理義務
  • 投資者保護基金への加入義務
  • 内部管理体制の整備義務
  • マネーロンダリング対策の実施

これらの規制対応には、専門知識と多大な労力が必要です。経営者にとって大きな負担となることを理解しておきましょう。

投資会社を設立する方法|個人投資家の法人化

多くの個人投資家にとって、現実的な選択肢は証券会社設立ではなく、投資会社設立です。ここでは投資会社設立の具体的な方法を解説します。

投資会社設立の手順|5ステップで完了

投資会社の設立は、通常の株式会社設立とほぼ同じ手順です。金融商品取引業の登録は不要なので、証券会社設立と比べて圧倒的に簡単です。

まず、会社の基本事項を決定します。商号、本店所在地、資本金、事業目的などを決めます。事業目的には「有価証券の保有及び運用」「不動産の保有及び運用」などと記載します。

次に、定款を作成し、公証役場で認証を受けます。その後、資本金を払い込み、法務局で設立登記を行います。登記完了後、税務署や都道府県税事務所に開業届を提出すれば完了です。

専門家に依頼せず自分で手続きする場合、2週間〜1ヶ月程度で設立できます。行政書士や司法書士に依頼すれば、さらにスムーズです。

設立費用は30万円〜100万円程度

投資会社設立にかかる費用は、資本金を除けば30万円〜100万円程度です。内訳は以下のとおりです。

定款認証費用(約5万円)、登録免許税(資本金の0.7%、最低15万円)、印鑑作成費用(約1万円)、その他実費(約5万円)で、合計約26万円が最低限必要です。

専門家に依頼する場合は、行政書士や司法書士への報酬として10万円〜30万円程度が追加でかかります。税理士との顧問契約も考慮すると、初年度は50万円〜100万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

証券会社設立の1億円以上と比べれば、圧倒的に低コストです。

節税効果|年間所得いくらから法人化すべきか

投資会社設立の最大の目的は節税です。では、年間所得がいくらになったら法人化を検討すべきでしょうか。

個人の所得税は累進課税で、課税所得695万円超で税率23%、900万円超で33%、1800万円超で40%となります(住民税10%を含む)。一方、法人税率は所得800万円以下で約23%、800万円超で約34%です。

国税庁:株式等の譲渡所得等の課税

一般的に、年間課税所得が500万円〜700万円を超えたら、法人化を検討する価値があります。投資利益が年間1000万円を超えるなら、法人化による節税効果は明確です。

ただし、法人化には設立費用や維持費用(税理士報酬、決算費用など年間30万円〜50万円)がかかるため、トータルで損益を計算する必要があります。

投資会社設立のメリット・デメリット

投資会社設立のメリットとデメリットを整理しましょう。

項目 メリット デメリット
税金 法人税率で節税可能(最大約34%) 赤字でも住民税均等割(年間7万円)が発生
費用 設立費用30万円〜100万円と低コスト 税理士報酬など年間維持費30万円〜50万円
手続き 金融庁への登録不要で簡単 決算・確定申告の事務負担
信用 法人としての信用力 個人投資家としての柔軟性が失われる
損益通算 事業所得との損益通算が可能 個人の給与所得との損益通算は不可

投資会社設立は、証券会社設立と比べて圧倒的にハードルが低く、個人投資家にとって現実的な選択肢です。

IFA・投資顧問という選択肢|証券会社設立の代替案

金融業として独立したいが、証券会社設立はハードルが高すぎるという方には、IFAや投資顧問という選択肢があります。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは

IFAとは、特定の金融機関に属さず、独立した立場で顧客に投資アドバイスを行う専門家です。証券会社と業務委託契約を結び、その証券会社の商品を顧客に提案します。

IFA自身は金融商品取引業の登録を受ける必要はなく、提携先の証券会社の登録のもとで活動します。そのため、証券会社設立と比べて圧倒的に低コストで始められます。

IFAになるには、証券外務員資格(一種または二種)を取得し、IFA法人に所属するか、自分でIFA法人を設立して証券会社と提携する必要があります。初期費用は数十万円〜数百万円程度です。

日本証券業協会:投資者のためのガイドブック

投資顧問業(投資助言・代理業)とは

投資顧問業とは、顧客に対して投資判断の助言を行い、その対価として報酬を得る業務です。金融商品取引法上の「投資助言・代理業」に該当し、金融庁への登録が必要です。

投資顧問業の最低資本金は投資助言・代理業には最低資本金の要件は存在せず、必要なのは営業保証金500万円の供託で、証券会社の5000万円と比べて大幅に低く設定されています。システム投資も最小限で済むため、総額1000万円〜2000万円程度で開業できます。

ただし、顧客の資産を預かって運用することはできません。あくまで「助言」のみが業務範囲です。顧客から投資一任を受けて運用したい場合は、投資運用業の登録が必要で、これは資本金5000万円以上が必要になります。

証券会社・IFA・投資顧問の比較

証券会社設立、IFA、投資顧問業の3つを比較してみましょう。

項目 証券会社 IFA 投資顧問業
最低資本金 5,000万円以上 不要(法人設立なら数百万円) 500万円
初期投資総額 1億円〜3億円 数十万円〜数百万円 1,000万円〜2,000万円
金融庁登録 第一種金融商品取引業 不要(提携先証券会社の登録) 投資助言・代理業
業務内容 株式売買の仲介・自己売買 投資アドバイス・商品提案 投資判断の助言
収益源 売買手数料・自己売買益 販売手数料(証券会社からの分配) 助言報酬
顧客資産の預かり 可能 不可(提携先証券会社が管理) 不可

金融業として独立したいなら、まずはIFAや投資顧問業から始めるのが現実的です。

どの選択肢が自分に合っているか

自分に合った選択肢を判断するためのポイントを整理しましょう。

目的 おすすめの選択肢 理由
自分の投資利益を節税したい 投資会社設立 低コストで法人化でき節税効果が高い
顧客に投資アドバイスをしたい IFA 低コストで始められ証券会社のインフラを利用できる
投資助言で報酬を得たい 投資顧問業 資本金500万円で登録でき独立性が高い
顧客資産を預かって運用したい 証券会社設立 第一種金融商品取引業の登録が必要
金融業として本格的に起業したい 証券会社設立 資本力があれば最も事業拡大性が高い

多くの場合、投資会社設立かIFAが現実的な選択肢となるでしょう。

証券会社設立支援サービスの選び方|実績と費用を比較

それでも証券会社設立を決断した場合、設立支援サービスの活用が不可欠です。選定のポイントを解説します。

設立支援サービスの種類と特徴

証券会社設立支援サービスには、大きく分けて3つのタイプがあります。

第一に、コンサルティング会社による総合支援サービスです。事業計画の策定から金融庁申請、システム構築、人材確保まで、トータルでサポートします。費用は高額ですが、専門性が高く、成功確率が上がります。

第二に、行政書士・弁護士による申請代行サービスです。金融庁への登録申請書類の作成と提出を代行します。費用は比較的抑えられますが、システム構築や人材確保は自分で行う必要があります。

第三に、システムベンダーによるパッケージ提供サービスです。証券会社向けのシステムをパッケージとして提供し、導入支援を行います。システム面は安心ですが、法務・コンプライアンス面は別途専門家が必要です。

選定時の3つのチェックポイント

設立支援サービスを選ぶ際は、以下の3点を必ずチェックしましょう。

選定時のチェックポイント

1. 実績:過去に何社の証券会社設立を支援したか

2. サポート範囲:どこまでサポートしてくれるか

3. 費用の透明性:見積もりが詳細で追加費用の有無が明確か

第一に、実績です。過去に何社の証券会社設立を支援したか、特に第一種金融商品取引業の登録実績があるかを確認します。地方銀行の証券子会社設立実績があれば、信頼性が高いでしょう。

第二に、サポート範囲です。事業計画策定、金融庁申請、システム構築、人材確保、開業後の運営支援まで、どこまでサポートしてくれるかを確認します。トータルサポートが望ましいですが、費用とのバランスも考慮しましょう。

第三に、費用の透明性です。見積もりが詳細で、追加費用の有無が明確かを確認します。安すぎる見積もりは、後から追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。

金融庁・財務局との折衝サポートの重要性

証券会社設立で最も重要なのが、金融庁・財務局との折衝です。申請書類の不備や、審査官からの質問への対応が適切でないと、審査が長期化したり、最悪の場合は登録が認められないこともあります。

金融庁との折衝経験が豊富な支援サービスを選ぶことで、スムーズな登録が期待できます。過去の審査事例を熟知しており、事前に指摘されそうなポイントを潰しておくことができます。

設立支援の費用相場

証券会社設立支援サービスの費用相場は以下のとおりです。

  • 総合コンサルティング(トータル支援):1,000万円〜3,000万円
  • 申請代行サービス(行政書士・弁護士):300万円〜800万円
  • システム導入支援(パッケージ):3,000万円〜1億円
  • 開業後の運営支援(バックオフィス委託):月額100万円〜300万円

トータルで考えると、設立支援サービスだけで数千万円の費用がかかることを覚悟する必要があります。

銀行の証券子会社設立|地方銀行向けの特殊事情

金融機関が証券子会社を設立する場合、個人や一般企業とは異なる特殊な事情があります。

銀行法と金融商品取引法の関係

銀行が証券業務を行う場合、銀行法と金融商品取引法の両方の規制を受けます。銀行本体では証券業務に制限があるため、証券子会社を設立するのが一般的です。

銀行の証券子会社は、銀行法上の「子会社等」として、銀行の業務範囲規制の対象となります。また、金融商品取引法上の第一種金融商品取引業者として、金融庁の監督を受けます。

このため、通常の証券会社設立よりも複雑な手続きと、より厳格なコンプライアンス体制が求められます。

証券子会社設立のメリット

銀行が証券子会社を設立するメリットは、顧客への総合的な金融サービスの提供です。預金・融資に加えて、資産運用商品を提供することで、顧客満足度の向上と収益源の多様化が図れます。

特に地方銀行にとっては、地域の富裕層や中小企業オーナーに対して、相続対策や事業承継のための資産運用サービスを提供できることが大きな強みとなります。

地方銀行100行以上の実績|設立支援の実態

証券会社設立支援サービスの中には、地方銀行100行以上の証券子会社設立を支援した実績を持つ企業もあります。これらの企業は、銀行特有の規制や手続きに精通しており、スムーズな設立をサポートできます。

銀行の証券子会社設立では、以下のような支援が提供されます。

  • 銀行法・金融商品取引法の両方に準拠した事業計画の策定
  • 金融庁・財務局への申請書類作成と折衝
  • 証券システムの導入支援
  • バックオフィス業務の委託受託
  • コンプライアンス体制の構築支援
  • 人材の派遣・紹介

地方銀行が証券子会社を設立する場合、こうした実績豊富な支援サービスの活用が不可欠です。

よくある質問|証券会社・投資会社の起業Q&A

証券会社・投資会社の起業に関して、よくある質問にお答えします。

Q1. 個人投資家が証券会社を設立する必要はある?

ほとんどの個人投資家にとって、証券会社を設立する必要はありません。自分の資産を運用するだけなら、投資会社設立で十分です。他人の資産を預かって運用したい場合のみ、証券会社設立を検討しましょう。

Q2. 投資会社設立で本当に節税できる?

年間投資利益が500万円以上あれば、投資会社設立による節税効果は期待できます。ただし、設立費用や維持費用(税理士報酬など年間30万円〜50万円)も考慮する必要があります。税理士に相談して、具体的な試算を行うことをおすすめします。

Q3. 金融庁の審査はどれくらい厳しい?

第一種金融商品取引業の審査は非常に厳格です。資本金、役員の適格性、業務運営体制、システムの安全性など、あらゆる面で厳しくチェックされます。申請から登録まで通常3〜6ヶ月かかり、不備があればさらに長期化します。専門家のサポートなしでは、登録が認められない可能性が高いでしょう。

Q4. 資本金5000万円を用意できない場合は?

資本金5000万円を用意できない場合、証券会社設立は諦めて、IFAや投資顧問業を検討しましょう。投資顧問業なら資本金500万円で登録できます。IFAなら資本金は不要で、提携先証券会社のインフラを利用できます。

Q5. 無登録で投資助言をするとどうなる?

金融商品取引業の登録を受けずに投資助言を行うと、金融商品取引法違反となり、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、(またはこれを併科する)が科されます。友人や知人に対する無償のアドバイスは問題ありませんが、報酬を得て継続的に投資助言を行う場合は、必ず投資助言・代理業の登録を受けましょう。

金融庁:金融商品取引法の概要

Q6. IFAになるにはどうすればいい?

IFAになるには、まず証券外務員資格(一種または二種)を取得します。その後、IFA法人に所属するか、自分でIFA法人を設立して証券会社と業務委託契約を結びます。IFA法人の設立費用は数十万円〜数百万円程度で、証券会社設立と比べて圧倒的に低コストです。

Q7. 証券会社設立後の運営コストは?

証券会社設立後の年間運営コストは、最低でも数千万円に達します。人件費(5〜10名で年間5,000万円〜1億円)、システム保守費用(年間数百万円〜数千万円)、オフィス費用、コンプライアンス費用などが継続的に発生します。開業後すぐに収益が上がるとは限らないため、数年分の運転資金を確保しておく必要があります。

Q8. 設立支援サービスに依頼すべき?

証券会社設立は、金融庁への登録申請、システム構築、コンプライアンス体制の整備など、専門知識が必要な作業が多岐にわたります。自力で行うのは極めて困難なため、実績豊富な設立支援サービスに依頼することを強くおすすめします。費用は数千万円かかりますが、登録が認められない、あるいは開業後にコンプライアンス違反で処分を受けるリスクを考えれば、必要な投資と言えるでしょう。

まとめ

証券会社の起業には、最低5000万円の資本金と、億単位のシステム投資が必要です。金融庁の厳しい審査をクリアし、開業後も継続的に高額な運営コストが発生します。

多くの個人投資家にとって、本当に必要なのは証券会社設立ではなく、投資会社設立です。投資会社なら30万円〜100万円程度で設立でき、年間投資利益500万円以上あれば節税効果が期待できます。

金融業として独立したい場合は、IFAや投資顧問業という選択肢もあります。IFAなら低コストで始められ、投資顧問業なら資本金500万円で登録できます。

証券会社設立は、顧客資産を預かって本格的な金融事業を展開したい場合にのみ検討すべき選択肢です。その場合も、実績豊富な設立支援サービスの活用が不可欠です。

あなたの目的に最も適した選択肢を見極め、慎重に判断してください。なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

この記事のキーワード

キーワードがありません。

この記事と同じキーワードの記事

まだ記事がありません。

キーワードから探す

資料請求

資料請求

カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ

お問い合わせ

そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!

お問い合わせ