長期株式投資とは?メリットと始め方を実践的に解説

長期株式投資とは?メリットと始め方を実践的に解説

「長期株式投資って本当に儲かるの?」「短期投資との違いは何?」と疑問を持っていませんか。

長期株式投資とは、株式を数年から数十年にわたって保有し続ける投資手法です。短期的な値動きに惑わされず、企業の成長とともに資産を増やすことを目指します。

この記事では、長期投資の定義から具体的なメリット、実際の始め方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。過去のデータを基に、長期投資の効果や銘柄選定のポイントもご紹介しますので、資産形成の参考にしてください。

この記事の要約
  • 長期株式投資は15年以上の保有で元本割れリスクが大幅に低減する
  • 複利効果と値動きの安定化により、時間を味方につけた資産形成が可能
  • 銘柄選定と分散投資を実践することで、初心者でも着実に資産を増やせる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

長期株式投資とは何か|定義と基本的な考え方

長期株式投資とは、株式を短期的に売買するのではなく、数年から数十年にわたって保有し続ける投資手法です。

株価の短期的な上下に一喜一憂せず、企業の成長とともに資産を増やしていくことを目指します。金融庁も「長期・積立・分散」投資の重要性を推奨しており、時間をかけて資産を育てる考え方が広まっています。

金融庁:投資の基本

長期投資の「長期」は何年から?

長期投資における「長期」の明確な定義はありませんが、一般的には5年以上、できれば10年以上の保有期間を指すことが多いです。

投資の専門家の間では、15年以上保有することで値動きの振れ幅が大きく縮小するとされています。実際のデータを見ると、世界株式に投資した場合、15年以上保有していればどのタイミングで投資を始めてもマイナスになることはありませんでした。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

長期投資の効果を実感するには、最低でも10年、理想的には15年以上の保有期間を想定することが大切です。短期的な値動きに動揺せず、じっくりと資産を育てる覚悟が求められます。

短期投資との違いは何か

短期投資は、数日から数ヶ月程度の短い期間で売買を繰り返し、値動きの差益を狙う手法です。

一方、長期投資は企業の成長や配当による利益を重視し、売買回数を最小限に抑えます。短期投資では市場のタイミングを読む必要があり、日々の株価チェックや売買判断に時間を取られます。手数料も頻繁にかかるため、コストがかさみがちです。

比較項目 短期投資 長期投資
保有期間 数日~数ヶ月 5年以上(理想は15年以上)
手間 日々の株価チェック必要 年1~2回の確認で十分
コスト 売買手数料が頻繁にかかる 手数料を最小限に抑えられる
精神的負担 感情的な判断に陥りやすい 短期的な値動きを気にしない

長期投資なら、一度購入したら基本的に保有し続けるため、手間もコストも抑えられます。また、短期投資は感情的な判断に陥りやすく、損失が出たときにパニック売りしてしまうリスクがあります。

長期株式投資が注目される理由

長期株式投資が注目される理由は、複利効果による資産の雪だるま式の成長と、時間分散によるリスク軽減効果にあります。

過去のデータから、株式市場は短期的には上下を繰り返しますが、長期的には右肩上がりの成長を続けてきました。2024年から始まった新NISA制度では、非課税保有期間が無期限化され、長期投資がさらに有利になりました。非課税で運用益を受け取れるため、複利効果を最大限に活用できます。

金融庁:新しいNISA

人生100年時代を迎え、老後資金の準備が重要視される中、若いうちから長期投資を始めることで、将来の経済的な不安を軽減できる点も注目される理由です。

長期株式投資の5つのメリット|複利効果と安定性

長期株式投資には、短期投資にはない大きなメリットがあります。

ここでは、複利効果、値動きの安定化、コスト削減、精神的負担の軽減、継続のしやすさという5つの観点から、長期投資の魅力を詳しく解説します。

複利効果で資産が雪だるま式に増える

複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生む仕組みのことです。

元本だけでなく、増えた利益にも利息がつくため、時間が経つほど資産の増加スピードが加速します。例えば、100万円を年率5%で運用した場合、10年後には約163万円、20年後には約265万円、30年後には約432万円になります。

複利効果の威力

単利(元本のみに利息):30年後でも250万円

複利(利益も再投資):30年後には約432万円

差額は約180万円以上!

配当金を受け取って使ってしまうと複利効果が得られません。長期投資では、配当金を再投資することで、雪だるま式に資産を増やすことができます。

新NISAの成長投資枠やつみたて投資枠を活用すれば、非課税で複利効果を享受できます。時間を味方につけることが、複利効果を最大化する鍵です。

値動きの振れ幅が小さくなる

株式投資では、短期的には大きく値動きしますが、保有期間が長くなるほど年率リターンの振れ幅は縮小します。

これは「時間分散効果」と呼ばれ、長期投資の大きなメリットです。世界株式に投資した場合、1年間保有では年率リターンが-40%から+60%程度まで振れますが、15年以上保有すると振れ幅は大幅に縮小し、過去のデータではマイナスになることはありませんでした。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

日本株式(TOPIX)でも同様の傾向が見られます。短期的には大きく下落する局面もありますが、長期で保有することで、景気の波を乗り越えてプラスのリターンを得られる可能性が高まります。

売買手数料を抑えられる

短期投資では頻繁に売買を繰り返すため、その都度手数料がかかります。

一方、長期投資は購入時と売却時の2回しか手数料が発生しないため、コストを大幅に削減できます。例えば、1回の売買手数料が500円だとすると、年間10回売買すれば5,000円、20回なら1万円の手数料がかかります。10年間では10万円以上のコストになることもあります。

長期投資なら、この手数料をほぼゼロに抑えられます。特に新NISA口座を利用すれば、売却益が非課税になるため、さらに有利です。

また、売却時には利益に対して約20%の税金がかかります。短期売買で利益確定を繰り返すと、その都度税金を支払うことになり、複利効果が損なわれます。

精神的な負担が少ない

短期投資では、日々の株価変動に一喜一憂し、売買のタイミングを常に考える必要があります。

市場が下落すると不安になり、上昇すると欲が出て、感情的な判断で失敗するリスクが高まります。長期投資では、短期的な値動きを気にする必要がありません。一時的に株価が下がっても、長期的には回復すると信じて保有し続けるため、精神的に楽です。

長期投資のメンタル面のメリット

日々の株価チェック不要

暴落時も冷静に対応できる

本業に集中できる

特に暴落時には、短期投資家がパニック売りする中、長期投資家は冷静に対応できます。むしろ暴落は買い増しのチャンスと捉えることもできます。

忙しい人でも続けやすい

長期投資は、一度購入したら基本的に保有し続けるため、日々の売買判断や市場の分析に時間を取られません。

忙しい会社員や子育て中の方でも、無理なく続けられる投資手法です。積立投資を設定すれば、毎月自動的に一定額が投資されるため、手間もかかりません。相場のタイミングを読む必要もなく、機械的に投資を続けることで、感情的な判断を避けられます。

時間がない人ほど、長期投資のメリットを実感できます。手間をかけずに資産を増やせる点が、長期投資の大きな魅力です。

過去のデータで見る長期投資の効果|15年以上でマイナスなし

長期投資の効果は、過去のデータからも明らかです。

ここでは、日本株式市場と米国株式市場の長期リターンを確認し、保有期間によってリターンの振れ幅がどう変化するかを見ていきます。

日本株式市場の長期リターン

日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(東証株価指数)の長期リターンを見てみましょう。

1949年から約75年間でTOPIXは110倍以上に上昇し、年率平均リターンは約7%でした。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

ただし、日本株式市場は1989年のバブル崩壊や2008年のリーマンショックなど、大きな下落局面を経験しています。過去20年間では約2倍の上昇で、年率平均リターンは約4%でした。

特に2013年以降のアベノミクス相場では、日本株式も大きく上昇しました。2024年には日経平均株価が史上最高値を更新するなど、日本株式市場も回復基調にあります。

米国株式市場の長期リターン

米国株式市場の代表的な指数であるS&P500の長期リターンは、日本株式を大きく上回ります。

1927年から約96年間でS&P500は約270倍に上昇し、年率平均リターンは約6%でした。過去20年間では約4倍の上昇で、年率平均リターンは約8%です。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

米国株式市場の強さ

世界最大の経済規模

GAFAMなどの巨大IT企業を擁する

イノベーションが活発で企業の成長力が高い

米国株式市場も、1987年のブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなど、大きな暴落を経験しています。しかし、いずれの局面も乗り越えて、力強い成長を続けてきました。

保有期間別のリターンの振れ幅

保有期間が長くなるほど、リターンの振れ幅は縮小します。

世界株式に投資した場合、1年間保有では年率リターンが-40%から+60%程度まで振れますが、15年以上保有すると振れ幅は大幅に縮小し、過去のデータではマイナスになることはありませんでした。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

これは、短期的には市場心理や経済イベントで株価が大きく変動するものの、長期的には企業の成長や経済の拡大が株価を押し上げるためです。時間をかけることで、一時的な下落の影響が薄れ、安定したリターンが得られるようになります。

つまり、長期投資では「いつ始めるか」よりも「どれだけ長く続けるか」が重要です。早く始めて長く続けることが、長期投資成功の鍵となります。

長期株式投資で気をつけたい3つのデメリット

長期株式投資にはメリットが多い一方で、注意すべきデメリットもあります。

ここでは、資金拘束、損失回復の時間、短期利益の難しさという3つの観点から、長期投資のリスクを正直に解説します。

資金が長期間拘束される

長期投資では、数年から数十年にわたって資金を株式に投じるため、その間は自由に使えません。

急な出費が必要になったときに、株式を売却すると損失が出る可能性があります。例えば、住宅購入や子どもの教育費、医療費などの大きな支出が予想される場合、長期投資に回す資金は慎重に決める必要があります。

生活費の6ヶ月分程度は現金で確保し、余裕資金のみを投資に回すことが基本です。資金計画をしっかり立て、無理のない範囲で投資することが大切です。

損失が出たら挽回に時間がかかる

長期投資では、短期的な損失を取り戻すのに時間がかかります。

例えば、リーマンショック時には株価が半分以下に下落し、元の水準に戻るまで数年を要しました。その間、含み損を抱えたまま保有し続ける忍耐力が求められます。

また、投資した企業の業績が悪化し続けた場合、株価が回復しない可能性もあります。個別株に集中投資していると、このリスクが高まります。分散投資を徹底し、市場全体に投資するインデックスファンドを活用することで、このリスクを軽減できます。

短期的な利益は狙いにくい

長期投資は、短期的な値動きで利益を得ることを目的としていません。

数ヶ月で大きく儲けたいという方には向いていません。短期的には株価が下落することもあり、すぐに利益が出るわけではありません。

ただし、短期投資は難易度が高く、プロでも安定して利益を出すのは困難です。長期投資は、時間をかけて着実に資産を増やす手法として、初心者から上級者まで幅広く支持されています。

長期投資に向いている人・向いていない人

長期投資は誰にでも向いているわけではありません。

ここでは、長期投資に向いている人の特徴と向いていない人の特徴をそれぞれ解説します。

長期投資に向いている人の特徴

長期投資に向いているのは、時間を味方につけて着実に資産を増やしたい人です。

具体的には、以下のような特徴を持つ人が向いています。

  • 老後資金や子どもの教育資金など、将来のために資産形成したい人
  • 短期的な値動きに一喜一憂せず、冷静に投資を続けられる人
  • 忙しくて日々の株価チェックや売買に時間を割けない人
  • 複利効果を活用して、時間をかけて資産を増やしたい人
  • リスクを抑えながら、安定したリターンを得たい人

特に、20代~40代の若い世代は時間を味方につけられるため、長期投資の恩恵を最大限に受けられます。早く始めるほど、複利効果が大きくなります。

長期投資に向いていない人の特徴

一方、長期投資に向いていないのは、短期的に大きな利益を狙いたい人や、資金に余裕がない人です。

具体的には、以下のような特徴を持つ人は、長期投資以外の手法を検討した方が良いでしょう。

  • 数ヶ月~1年程度で大きく儲けたい人
  • 株価の値動きを楽しみたい、売買のスリルを味わいたい人
  • 近い将来に使う予定がある資金を投資に回そうとしている人
  • 短期的な損失に耐えられず、すぐに売却してしまう人
  • 日々の株価変動が気になって、仕事や生活に支障が出る人

特に、生活費や緊急時の備えが不十分な状態で投資を始めるのは危険です。まずは生活防衛資金を確保し、余裕資金のみを投資に回すことが基本です。

長期保有におすすめの銘柄の選び方|3つのポイント

長期投資で成功するには、銘柄選定が非常に重要です。

ここでは、業績の安定性、配当利回り、業界分散という3つの観点から、長期保有に適した銘柄の選び方を解説します。

業績が安定している企業を選ぶ

長期投資では、業績が安定して成長している企業を選ぶことが基本です。

売上高や利益が毎年安定して増加している企業は、株価も長期的に上昇する傾向があります。業績の安定性を確認するには、過去5~10年間の売上高、営業利益、純利益の推移をチェックしましょう。

業績チェックのポイント

過去5~10年間の売上高・利益の推移

ROE(自己資本利益率)が10%以上

一時的な業績悪化からの回復力

東証マネ部!:株式投資の基礎知識

配当利回りが高い企業を選ぶ

長期投資では、配当利回りが高い企業も魅力的です。

配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合で、3~4%以上が高配当とされています。配当金を再投資することで、複利効果を高められます。

ただし、配当利回りが高すぎる企業には注意が必要です。業績が悪化して株価が下落した結果、配当利回りが高く見えているだけの場合があります。配当性向(利益のうち配当に回す割合)が50%以下で、安定して配当を出し続けている企業を選びましょう。

また、連続増配企業(毎年配当を増やしている企業)も長期投資に適しています。増配を続けられるということは、業績が安定して成長している証拠です。

業界を分散して複数保有する

長期投資では、複数の業界に分散して投資することがリスク管理の基本です。

特定の業界に集中投資すると、その業界全体が不況に陥ったときに大きな損失を被る可能性があります。例えば、IT、金融、ヘルスケア、消費財、エネルギーなど、異なる業界の銘柄を組み合わせることで、リスクを分散できます。

また、個別株の選定に自信がない場合は、市場全体に分散投資できるインデックスファンドやETFを活用するのも良い選択です。TOPIX連動型やS&P500連動型のファンドなら、一つの商品で数百~数千の銘柄に分散投資できます。

長期株式投資の始め方|5つのステップで解説

長期株式投資を始めるには、目標設定、口座開設、投資先選定、購入、定期確認という5つのステップを踏む必要があります。

ここでは、初心者の方でも迷わず始められるよう、具体的な手順を解説します。

投資の目標と資金計画を立てる

まずは、何のために投資するのか、目標を明確にすることが大切です。

老後資金、子どもの教育資金、住宅購入資金など、具体的な目標を設定しましょう。目標が明確になると、必要な金額や投資期間が見えてきます。

ステップ1:目標金額を決める
  • 老後資金2,000万円を目指す
  • 子どもの教育資金500万円を準備する
ステップ2:投資期間を設定する
  • 30歳から60歳まで30年間
  • 40歳から55歳まで15年間
ステップ3:毎月の積立額を計算する
  • 年率5%運用で月3万円の積立が必要

証券口座を開設する

投資を始めるには、証券口座の開設が必要です。

ネット証券なら、スマホやパソコンから簡単に口座開設できます。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などがおすすめです。

口座開設時には、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと、確定申告が不要になり便利です。また、新NISA口座も同時に開設しておくと、非課税で投資を始められます。

投資先を選ぶ(個別株・投資信託・ETF)

証券口座を開設したら、投資先を選びます

初心者の方には、市場全体に分散投資できる投資信託やETFがおすすめです。特に、TOPIX連動型やS&P500連動型のインデックスファンドは、低コストで分散投資できます。

初心者におすすめの投資先

TOPIX連動型インデックスファンド

S&P500連動型インデックスファンド

全世界株式インデックスファンド

積立投資または一括投資で購入する

投資先が決まったら、実際に購入します。

長期投資では、毎月一定額を積み立てる「積立投資」が基本です。相場のタイミングを読む必要がなく、ドルコスト平均法により平均購入単価を抑えられます。

積立投資は、証券会社のサイトやアプリから簡単に設定できます。一度設定すれば、毎月自動的に購入されるため、手間がかかりません。

定期的に運用状況を確認する

投資を始めたら、定期的に運用状況を確認しましょう。

ただし、毎日チェックする必要はありません。3ヶ月~半年に1回程度、資産残高や保有銘柄の業績を確認すれば十分です。

大きく株価が下落した場合でも、慌てて売却しないことが大切です。長期投資では、短期的な下落は想定内です。むしろ、下落時は買い増しのチャンスと捉えることもできます。

暴落時の対処法|長期投資で成功するための心構え

長期投資を続けていると、必ず暴落に遭遇します。

ここでは、暴落時に売却してはいけない理由、買い増しのチャンス、感情的判断を避ける方法について解説します。

暴落時に売却してはいけない理由

株価が大きく下落すると、不安になって売却したくなるものです。

しかし、暴落時に売却することは、長期投資において最大の失敗です。過去のデータから、暴落後には必ず回復していることが分かっています。

野村アセットマネジメント:長期投資の「長期」とは何年?

例えば、2008年のリーマンショック時には、世界株式が約50%下落しましたが、その後5年程度で元の水準に回復しました。暴落時に売却した人は、その後の回復の恩恵を受けられませんでした。

暴落時こそ買い増しのチャンス

暴落時は、優良企業の株を安く買えるチャンスです。

業績が安定している企業の株価が一時的に下落しているだけなら、将来的には回復する可能性が高いです。むしろ、割安な価格で購入できる絶好の機会と捉えましょう。

ただし、暴落時に買い増すには、余裕資金が必要です。日頃から積立投資を続けつつ、暴落時に備えて現金も確保しておくと良いでしょう。

感情的な判断を避けるためのルール作り

暴落時に冷静に対応するには、事前にルールを決めておくことが有効です。

例えば、「株価が30%下落しても売却しない」「暴落時は追加で○万円買い増す」といったルールを決めておけば、感情的な判断を避けられます。

暴落時のルール例

30%下落しても売却しない

暴落時は追加で5万円買い増す

積立投資は継続する

年齢別・資金別の長期投資戦略

長期投資の戦略は、年齢や資金規模によって異なります。

ここでは、20-30代、40-50代、60代以降の3つの年代別に、適した投資戦略を解説します。

20-30代の投資戦略

20-30代:時間を最大限に活用
積極的にリスクを取った投資が可能。株式の比率を高めに設定し、成長性の高い銘柄やインデックスファンドに投資しましょう。毎月1万円~3万円程度の積立投資を続けることで、30年後には大きな資産を築けます。

20-30代は、時間を最大限に活用できる年代です。

複利効果を最大限に享受できるため、積極的にリスクを取った投資が可能です。例えば、毎月3万円を年率5%で30年間積み立てると、約2,500万円になります。

40-50代の投資戦略

40-50代:リスクとリターンのバランス
収入が増え、投資資金にも余裕が出てくる年代です。株式の比率を70%程度に設定し、残りを債券や現金で保有するなど、分散投資を徹底しましょう。配当利回りが高い銘柄を増やすことで、安定した収入源を確保できます。

40-50代は、収入が増え、投資資金にも余裕が出てくる年代です。

一方で、老後までの期間が短くなるため、リスクとリターンのバランスを考えた投資が重要です。

60代以降の投資戦略

60代以降:資産を守りながら運用
大きな損失を避けるため、株式の比率を50%以下に抑え、債券や現金の比率を高めましょう。配当利回りが高い銘柄や、値動きが安定した大型株を中心に保有すると良いです。ただし、人生100年時代では、60代以降も20~30年の投資期間があります。

60代以降は、資産を守りながら運用することが重要です。

大きな損失を避けるため、株式の比率を50%以下に抑え、債券や現金の比率を高めましょう。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
長期投資は本当に儲かるのか?

過去のデータから、長期投資は高い確率でプラスのリターンを得られることが分かっています。世界株式に15年以上投資した場合、どのタイミングで始めてもマイナスになることはありませんでした。ただし、将来も同じ結果になる保証はありません。分散投資を徹底し、長期的な視点で投資を続けることが大切です。

どのタイミングで始めても大丈夫?

長期投資では、「いつ始めるか」よりも「どれだけ長く続けるか」が重要です。市場のタイミングを完璧に読むことは不可能なので、思い立ったときに始めるのが良いでしょう。積立投資なら、購入タイミングを分散できるため、相場の高値掴みを避けられます。早く始めるほど、複利効果を大きく享受できます。

NISAやiDeCoは使うべき?

新NISAやiDeCoは、運用益が非課税になる制度です。長期投資では複利効果を最大化できるため、積極的に活用すべきです。新NISAは年間最大360万円まで投資でき、非課税保有期間は無期限です。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、節税効果も高いです。ただし、iDeCoは60歳まで引き出せないため、資金計画を慎重に立てましょう。

金融庁:新しいNISA

配当金の再投資はどうすればいい?

配当金を再投資することで、複利効果を高められます。証券会社によっては、配当金を自動的に再投資する「配当金再投資サービス」を提供しています。投資信託の場合は、分配金を受け取らずに再投資する「再投資型」を選ぶと良いでしょう。新NISA口座なら、配当金も非課税で受け取れるため、さらに有利です。

税金や確定申告はどうなる?

株式の売却益や配当金には、約20%の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が自動的に税金を徴収してくれるため、確定申告は不要です。新NISA口座なら、売却益も配当金も非課税になります。ただし、複数の証券口座で損益通算したい場合や、損失の繰越控除を受けたい場合は、確定申告が必要です。

国税庁:株式等の譲渡所得等の課税

まとめ

長期株式投資は、時間を味方につけて着実に資産を増やす投資手法です。

複利効果と値動きの安定化により、15年以上保有すれば元本割れリスクが大幅に低減します。過去のデータから、日本株式も米国株式も長期的には成長を続けてきました。

業績が安定した企業を選び、業界を分散して複数保有することで、リスクを抑えながら安定したリターンを目指せます。投資を始めるには、目標設定、証券口座開設、投資先選定、購入、定期確認という5つのステップを踏みましょう。

新NISA口座を活用すれば、非課税で複利効果を最大化できます。暴落時には売却せず、むしろ買い増しのチャンスと捉える心構えが大切です。

年齢や資金規模に応じた戦略を立て、長期的な視点で投資を続けることが成功の鍵となります。なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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