少額投資におすすめの証券会社|選び方と始め方を解説

少額投資におすすめの証券会社|選び方と始め方を解説

投資を始めたいけれど、まとまった資金がなくて不安に感じていませんか。

実は、今は100円から投資を始められる時代です。

少額投資なら、リスクを抑えながら投資の経験を積むことができます。

この記事では、少額投資に適した証券会社の選び方と、実際の始め方を初心者にも分かりやすく解説します。

手数料や取扱商品、サービスの違いを理解すれば、自分に合った証券会社が見つかります。

この記事の要約
  • 100円から投資信託、1株から個別株を買える証券会社が増えている
  • 手数料無料・取扱商品数・取引時間が証券会社選びの重要ポイント
  • NISAを活用すれば少額投資でも非課税で効率的に資産形成できる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

少額投資とは?100円から始められる仕組み

少額投資とは、数百円から数万円程度の少ない資金で始められる投資方法です。従来は株式投資といえば数十万円単位の資金が必要でしたが、現在は証券会社のサービス拡充により、誰でも気軽に投資を始められる環境が整っています。

少額投資が可能になった背景には、単元未満株制度や投資信託の最低購入金額の引き下げがあります。これにより、投資初心者でもリスクを抑えながら資産運用の経験を積めるようになりました。

単元未満株(ミニ株)で1株から買える

通常、日本の株式市場では100株単位(単元株)での取引が基本です。しかし、単元未満株サービスを利用すれば、1株から株式を購入できます。例えば、1株5,000円の銘柄なら、5,000円から投資を始められるわけです。

SBI証券の「S株」、楽天証券の「かぶミニ®」、マネックス証券の「ワン株」など、各証券会社が独自のサービス名で単元未満株取引を提供しています。取引できる銘柄数は証券会社により異なり、約1,500銘柄から3,500銘柄まで幅があります。

単元未満株でも配当金や株主優待を受け取れる場合があるため、少額でも株主としてのメリットを享受できます。

ただし、取引時間や約定タイミングは通常の株式取引と異なる点に注意が必要です。

投資信託なら100円から積立可能

投資信託は、多くの投資家から集めた資金をプロが運用する金融商品です。主要なネット証券では、投資信託を100円から購入できるサービスを提供しています。

投資信託の魅力は、少額でも分散投資が実現できる点です。1つの投資信託で、国内外の株式や債券など複数の資産に分散投資できるため、リスクを抑えながら運用できます。

投資信託協会「投資信託の基礎」

毎月一定額を自動で積み立てる「積立投資」を設定すれば、時間分散効果も得られます。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入することで、平均購入単価を抑える効果が期待できます。

ポイント投資で現金不要で始められる

楽天証券やSBI証券では、貯まったポイントを使って投資できるサービスがあります。楽天ポイント、Vポイント、Pontaポイント、dポイントなど、普段の買い物で貯まるポイントを投資に回せるため、現金を使わずに投資体験ができます。

ポイント投資なら、自分のお金を使わないため心理的なハードルが低くなります。投資初心者が実際の値動きを体験しながら学ぶには最適な方法です。

ポイントで購入した投資信託や株式も、現金で購入した場合と同じように値上がり益や配当を受け取れます。

少額投資におすすめの証券会社5社

少額投資を始めるには、手数料が安く、少額取引に対応した証券会社を選ぶことが重要です。ここでは、少額投資に適した主要な証券会社5社の特徴を詳しく解説します。

各社の手数料体系、取扱商品、独自サービスを比較して、自分に合った証券会社を見つけましょう。

SBI証券|手数料無料で銘柄数No.1

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

SBI証券は、口座開設数約1,500万口座を誇る国内最大手のネット証券です。最大の特徴は、単元未満株サービス「S株」の取扱銘柄数が約3,500銘柄と業界トップクラスである点です。

SBI証券の特徴

現物取引・信用取引の手数料が原則無料

投資信託は約2,600本を取り扱い、100円から積立投資が可能

5種類のポイント(Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイント)から選べる

米国株も約5,000銘柄と豊富で外国株投資にも強い

取引ツールも充実しており、初心者から上級者まで幅広く対応しています。

楽天証券|リアルタイム取引と楽天ポイント

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券は、楽天経済圏を活用したい方に最適な証券会社です。単元未満株サービス「かぶミニ®」では、リアルタイムで取引できる点が大きな特徴です。

他社の多くが寄付・引けでの約定となる中、楽天証券なら市場の動きを見ながら即座に売買できます。

楽天証券の特徴

楽天ポイントで投資信託や国内株式を購入可能

楽天カードでの積立投資で最大1%のポイント還元

投資信託は約2,550本、米国株は約4,500銘柄を取り扱い

取引アプリ「iSPEED」は使いやすさに定評

普段から楽天サービスを利用している方なら、ポイントを効率よく投資に回せます。

マネックス証券|米国株に強い

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

マネックス証券は、米国株投資に力を入れている証券会社です。米国株の取扱銘柄数は約5,000銘柄と業界トップクラスで、米国株の単元未満株取引にも対応しています。

米国の有名企業の株を少額から購入できるため、海外投資に興味がある方に適しています。

マネックス証券の特徴

単元未満株サービス「ワン株」で約1,500銘柄の国内株を1株から購入可能

投資信託は約1,800本を取り扱い、NISA口座での取引手数料も実質無料

マネックスポイントやdポイントが貯まり、投資に利用可能

投資情報やレポートが充実

松井証券|25歳以下は手数料無料

松井証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,670,000口座 ※2025年3月時点
取引手数料 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料
NISA対応 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上)
投資信託 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点)
取引ツール(PC) ネットストック・ハイスピード(無料)
スマホアプリ 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料)
提携銀行口座 MATSUI Bank(松井証券専用銀行)
ポイント投資・付与 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込)

松井証券の最大の特徴は、25歳以下の方なら現物取引・信用取引の手数料が完全無料になる点です。若い世代の資産形成を応援する姿勢が明確で、学生や新社会人が投資を始めるには最適な環境が整っています。

松井証券の特徴

25歳以下でなくても、1日の約定代金合計が50万円までなら手数料無料

投資信託は約1,900本、米国株は約4,900銘柄を取り扱い

サポート体制が充実しており、電話やチャットで投資の相談ができる

口座開設は最短即日で完了

三菱UFJeスマート証券|三菱UFJグループの安心感

三菱UFJ eスマート証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,800,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算
NISA対応 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 251銘柄(2025年4月時点)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄)
投資信託 約1,853本(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点)
取引ツール(PC) kabuステーション / 銘柄スカウター
スマホアプリ 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込)

三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)は、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、大手金融グループの信頼性と安心感があります。単元未満株サービス「プチ株®」で少額投資に対応しています。

三菱UFJeスマート証券の特徴

一日定額手数料コースなら、現物取引・信用取引合わせて1日100万円まで手数料無料

投資信託は約1,800本を取り扱い、三菱UFJポイントが貯まる

NISA口座にも対応しており、つみたて投資枠では約250本の投資信託から選べる

Pontaポイントとの連携もあり、ポイント投資も可能

証券会社を選ぶ3つのポイント

証券会社は数多くありますが、少額投資に適した証券会社を選ぶには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に注目すべき3つの選択基準を解説します。

これらを理解すれば、自分の投資スタイルに合った証券会社を見つけられます。

手数料の安さ|少額取引でも負担にならないか

少額投資では、手数料の影響が大きくなります。例えば、5,000円の投資で手数料が100円かかれば、2%のコストになります。

利益を出すには、手数料を上回る値上がりが必要になるため、手数料の安さは非常に重要です。

現在、多くのネット証券では少額取引の手数料を無料または格安に設定しています。SBI証券や楽天証券は現物取引の手数料が原則無料、松井証券は1日50万円まで無料です。

単元未満株の手数料も確認が必要です。約定代金の0.5%程度が一般的ですが、無料の証券会社もあります。長期的に投資を続けるなら、手数料の差が積み重なって大きな違いになります。

取扱商品の豊富さ|投資信託・単元未満株・米国株

少額投資を始める際は、投資信託、単元未満株、米国株など、自分が投資したい商品を取り扱っているか確認しましょう。投資信託の本数は証券会社により約100本から2,600本まで大きな差があります。

単元未満株サービスの取扱銘柄数も重要です。約1,500銘柄から3,500銘柄まで幅があり、投資したい企業の株が買えない可能性もあります。

特に人気の高配当株や優待株を狙う場合は、取扱銘柄数の多い証券会社を選ぶと選択肢が広がります。

米国株に興味がある方は、米国株の取扱銘柄数も確認しましょう。AppleやAmazonなどの有名企業の株を少額から買える証券会社もあります。

取引時間と約定タイミング|リアルタイムか寄付・引けか

単元未満株の取引では、約定タイミングが証券会社によって異なります。楽天証券の「かぶミニ®」はリアルタイム取引に対応しており、市場が開いている時間なら即座に売買できます。

一方、多くの証券会社では、寄付(前場・後場の始値)または引け(後場の終値)での約定となります。

  • リアルタイム取引なら、ニュースや相場の動きを見ながら自分のタイミングで売買できる
  • 約定価格が事前に分からないため、想定より高く買ってしまうリスクもある
  • 寄付・引けでの取引は、注文時に約定価格の目安が分かりやすい利点がある

自分の投資スタイルに合わせて選びましょう。頻繁に売買したい方はリアルタイム取引、長期保有前提でタイミングをあまり気にしない方は寄付・引けでも問題ありません。

少額投資のメリット3つ|リスクを抑えて始められる

少額投資には、初心者にとって多くのメリットがあります。まとまった資金がなくても投資を始められるだけでなく、リスク管理の面でも優れた特徴があります。

ここでは、少額投資の主な3つのメリットを詳しく解説します。

少ない資金で分散投資できる

少額投資の最大のメリットは、少ない資金で複数の銘柄に分散投資できる点です。例えば、10万円の資金があれば、1万円ずつ10銘柄に投資できます。

1つの銘柄に集中投資するより、複数の銘柄に分散した方がリスクを抑えられます。

投資信託を活用すれば、100円から国内外の数百〜数千の銘柄に分散投資できます。個別株を自分で選ぶ手間もなく、プロが運用してくれるため、投資初心者でも分散投資の効果を得られます。

金融庁「投資の基本」

分散投資により、特定の企業や業種の不振による影響を軽減できます。長期的な資産形成を目指すなら、分散投資は基本戦略です。

損失リスクを最小限に抑えられる

少額投資なら、万が一損失が出ても金額が限定的です。5,000円の投資が半分になっても損失は2,500円ですが、50万円の投資が半分になれば25万円の損失になります。

投資経験が少ないうちは、少額から始めることで精神的な負担を軽くできます。

少額なら「勉強代」と割り切れる範囲に収まります。大きな損失を経験すると投資自体を諦めてしまう可能性がありますが、少額なら失敗から学んで次に活かせます。

リスク許容度は人それぞれ異なります。自分が失っても生活に影響しない範囲の金額で投資することが、長く投資を続けるコツです。

投資の勉強・練習に最適

少額投資は、実際のお金を使いながら投資の仕組みや市場の動きを学べる絶好の機会です。本や動画で勉強するだけでは分からない、実際の値動きによる心理的な影響を体験できます。

株価が下がったときの不安感、上がったときの喜びを実感することで、投資家としての判断力が養われます。

少額なら、様々な投資手法を試すこともできます。個別株、投資信託、米国株など、異なる商品の特性を実際に体験しながら、自分に合った投資スタイルを見つけられます。

投資の経験を積んでから投資額を増やせば、大きな失敗を避けられます。少額投資は、本格的な資産運用を始める前の練習期間として非常に有効です。

少額投資で気をつけたい3つのこと

少額投資にはメリットが多い一方で、注意すべき点もあります。これらを理解せずに始めると、期待した成果が得られない可能性があります。

ここでは、少額投資を始める前に知っておくべき3つの注意点を解説します。

手数料負けで損をする可能性

少額投資では、手数料の比率が高くなりやすい点に注意が必要です。例えば、5,000円の投資で手数料が100円かかれば2%のコストです。

2%の利益を出すだけで手数料分を取り戻す必要があり、実質的な利益を得るにはさらに値上がりが必要になります。

頻繁に売買を繰り返すと、手数料が積み重なって利益を圧迫します。特に単元未満株は、約定代金の0.5%程度の手数料がかかる場合が多く、短期売買には向きません。

少額投資では、手数料無料の証券会社を選ぶか、長期保有を前提とした投資戦略を立てることが重要です。投資信託の場合は、購入時手数料がかからない「ノーロード」の商品を選びましょう。

また、運用管理費用(信託報酬)が低い商品を選ぶことで、長期的なコストを抑えられます。

取引できる銘柄が限られる場合がある

単元未満株サービスは、すべての銘柄で利用できるわけではありません。証券会社によって取扱銘柄数が異なり、約1,500銘柄から3,500銘柄まで幅があります。

投資したい企業の株が単元未満株で買えない可能性もあります。

特に新興市場の銘柄や一部の小型株は、単元未満株の対象外となっている場合があります。投資したい銘柄が決まっている場合は、事前に取扱銘柄を確認しましょう。

米国株の単元未満株取引も、対応している証券会社が限られます。海外投資に興味がある方は、米国株の少額取引に対応した証券会社を選ぶ必要があります。

大きなリターンは期待しにくい

少額投資では、投資額が少ない分、得られる利益の絶対額も小さくなります。5,000円の投資が10%値上がりしても利益は500円です。

資産を大きく増やすには時間がかかることを理解しておきましょう。

ただし、リターンの「率」は投資額に関係ありません。5,000円の投資でも50万円の投資でも、10%の値上がりなら利益率は同じです。

少額投資で経験を積み、投資スキルを磨いてから投資額を増やせば、将来的に大きなリターンを狙えます。少額投資は、短期間で大きく儲けるためではなく、長期的な資産形成の第一歩として捉えることが大切です。

少額投資の始め方|口座開設から購入まで5ステップ

少額投資を実際に始めるには、証券口座の開設から初回購入までいくつかのステップがあります。ここでは、投資初心者でも迷わず進められるよう、具体的な手順を5つのステップで解説します。

各ステップでのポイントや注意点も押さえておきましょう。

証券会社を選んで口座開設を申し込む

まずは、自分に合った証券会社を選びます。手数料、取扱商品、サービス内容を比較して、優先順位をつけましょう。

初心者なら、手数料が安く、サポート体制が充実した大手ネット証券がおすすめです。

証券会社の公式サイトから口座開設の申し込みができます。メールアドレスを登録し、基本情報(氏名、住所、生年月日など)を入力します。

NISA口座を同時に開設する場合は、申込画面で選択しましょう。NISA口座は1人1口座しか開設できないため、慎重に選んでください。

本人確認書類を提出する

口座開設には本人確認が必要です。マイナンバーカードがあれば、スマホで撮影してアップロードするだけで手続きが完了します。

マイナンバーカードがない場合は、通知カードまたはマイナンバー記載の住民票と、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要です。

オンラインで本人確認を完了すれば、最短翌営業日に口座開設が完了する証券会社もあります。郵送での手続きの場合は、1週間程度かかることもあります。

口座開設完了後、初回入金をする

口座開設が完了すると、ログインIDとパスワードが発行されます。証券会社のサイトまたはアプリにログインし、取引口座に入金します。

入金方法は、銀行振込、即時入金サービス、ATMからの入金などがあります。

即時入金サービスを利用すれば、手数料無料で24時間いつでも入金できます。対応している銀行は証券会社によって異なるため、自分が使っている銀行が対応しているか確認しましょう。

少額投資なら、1万円程度から始めるのが無理のない範囲です。

投資する商品を選ぶ

入金が完了したら、実際に投資する商品を選びます。投資初心者なら、投資信託から始めるのがおすすめです。

国内外の株式や債券に分散投資できる「バランス型」の投資信託なら、1つの商品で分散投資が実現できます。

個別株に投資したい場合は、単元未満株サービスで1株から購入できる銘柄を探しましょう。配当利回りが高い銘柄や、株主優待がある銘柄は人気があります。

過去の実績が将来を保証するわけではないため、企業の業績や将来性も確認することが大切です。

注文を出して購入する

購入したい商品が決まったら、注文画面で数量や金額を入力します。投資信託なら金額指定(100円から)、単元未満株なら株数指定(1株から)で注文できます。

注文内容を確認し、問題がなければ注文を確定します。

投資信託は通常、注文した翌営業日以降に約定します。単元未満株は、寄付・引けでの約定が一般的で、注文のタイミングによって約定日が変わります。

約定後、取引履歴や保有銘柄の画面で購入した商品を確認できます。これで少額投資のスタートです。

投資額別のおすすめ戦略|1万円・5万円・10万円

少額投資といっても、投資できる金額によって最適な戦略は異なります。ここでは、1万円、5万円、10万円という3つの投資額別に、具体的なポートフォリオ例と投資戦略を紹介します。

自分の資金に合わせた投資方法を参考にしてください。

1万円で始める場合|投資信託の積立から

投資資金が1万円の場合は、投資信託の積立投資から始めるのがおすすめです。1つの銘柄に1万円を一括投資するより、毎月1,000円ずつ10ヶ月に分けて積み立てる方がリスクを分散できます。

時間分散により、高値づかみのリスクを減らせます。

具体的には、国内外の株式に分散投資できるバランス型投資信託を選びましょう。「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」のような商品なら、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、先進国REITの8資産に均等に投資できます。

毎月1,000円の積立なら、年間12,000円の投資になります。無理のない金額から始めて、投資に慣れてきたら積立額を増やしていきましょう。

5万円で始める場合|単元未満株+投資信託

5万円の資金があれば、単元未満株と投資信託を組み合わせた分散投資ができます。例えば、3万円を投資信託、2万円を単元未満株に配分する方法です。

投資信託で安定的な分散投資をしつつ、個別株で配当や値上がり益を狙えます。

単元未満株の選び方
高配当株を2〜3銘柄選ぶのがおすすめです。配当利回り3〜4%の銘柄を選べば、年間数百円の配当収入が得られます。少額でも配当を受け取ることで、投資の実感が湧きやすくなります。
投資信託の選び方
株式中心の「株式型」または「バランス型」を選びましょう。3万円を一括投資するか、毎月5,000円ずつ6ヶ月に分けて積み立てるかは、自分のリスク許容度に合わせて決めてください。

10万円で始める場合|分散投資を意識

10万円の資金があれば、本格的な分散投資が可能です。投資信託5万円、国内株(単元未満株)3万円、米国株2万円のように、複数の資産クラスに分散する戦略が考えられます。

地域や資産を分散することで、リスクをさらに抑えられます。

投資信託は、国内株式型、先進国株式型、バランス型など、異なるタイプを2〜3本組み合わせましょう。国内株は、業種の異なる3〜5銘柄に分散します。

金融、通信、消費財など、景気の影響を受けにくい業種を選ぶと安定性が高まります。

米国株は、AppleやMicrosoftなどの大型優良株を1〜2銘柄購入するか、米国株の投資信託を活用する方法があります。10万円を一度に投資するのではなく、数ヶ月に分けて段階的に投資すれば、時間分散の効果も得られます。

NISAで少額投資をもっとお得に|非課税制度の活用法

NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、投資で得た利益が非課税になります。通常、株式や投資信託の売却益や配当には約20%の税金がかかりますが、NISA口座なら税金がかかりません。

少額投資でもNISAを使えば、効率的に資産を増やせます。

金融庁「NISA特設ウェブサイト」

つみたて投資枠で毎月コツコツ

2024年から始まった新NISA制度では、「つみたて投資枠」で年間120万円まで非課税で投資できます。毎月1万円の積立なら年間12万円なので、非課税枠を十分に活用できます。

つみたて投資枠で購入できるのは、金融庁が定めた基準を満たす投資信託のみです。

つみたて投資枠の対象商品は、販売手数料が無料(ノーロード)で、信託報酬が低い商品に限られています。長期投資に適した商品が厳選されているため、初心者でも安心して選べます。

毎月一定額を自動で積み立てる設定をすれば、手間をかけずに資産形成ができます。非課税保有期間は無期限なので、長期間保有するほど非課税のメリットが大きくなります。

成長投資枠で単元未満株も買える

新NISAの「成長投資枠」では、年間240万円まで非課税で投資できます。成長投資枠では、個別株や一部の投資信託を購入できます。

単元未満株も成長投資枠の対象になるため、少額から個別株に投資したい方に適しています。

成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、合計で年間360万円まで非課税で投資可能です。少額投資の段階では、まずつみたて投資枠を優先的に使い、余裕があれば成長投資枠で個別株に挑戦する戦略がおすすめです。

非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。売却すれば非課税枠が復活するため、柔軟に運用できます。

NISA対応の証券会社を選ぶポイント

NISA口座は1人1口座しか開設できないため、証券会社選びは慎重に行いましょう。NISA口座での取引手数料が無料かどうかを確認してください。

多くのネット証券では、NISA口座での株式売買手数料を無料にしています。

つみたて投資枠で選べる投資信託の本数も重要です。証券会社によって約20本から270本まで大きな差があります。選択肢が多い方が、自分に合った商品を見つけやすくなります。

クレジットカードでの積立投資に対応している証券会社なら、ポイント還元を受けながら積立できます。楽天証券やSBI証券では、クレジットカード積立で0.5〜1%のポイント還元があり、実質的な利回りが向上します。

NISA口座の変更は年に1回しかできないため、最初の証券会社選びが重要です。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
少額投資は本当に儲かるの?

少額投資でも、適切な商品選択と長期保有により利益を得ることは可能です。ただし、投資額が少ない分、利益の絶対額も小さくなります。5,000円の投資が10%値上がりしても利益は500円です。短期間で大きく儲けることを期待するのではなく、長期的な資産形成の手段として捉えることが大切です。

証券会社が倒産したら資産はどうなる?

証券会社は、顧客の資産を自社の資産と分別して管理することが法律で義務付けられています。万が一証券会社が倒産しても、顧客の株式や投資信託は保護されます。また、日本投資者保護基金により、1人あたり1,000万円まで補償されます。大手ネット証券は財務基盤がしっかりしており、倒産リスクは極めて低いと言えます。

税金や確定申告は必要?

NISA口座での取引なら、利益が非課税のため確定申告は不要です。一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で取引した場合は、年間の利益が20万円を超えると確定申告が必要になります。特定口座(源泉徴収あり)を選べば、証券会社が自動的に税金を計算・徴収してくれるため、確定申告は原則不要です。少額投資を始める際は、特定口座(源泉徴収あり)またはNISA口座を選ぶと、税金の手続きが簡単になります。

国税庁「株式等の譲渡所得等の課税」

複数の証券口座を持っても大丈夫?

複数の証券会社で口座を開設することは全く問題ありません。証券会社ごとに強みが異なるため、用途に応じて使い分けるのも有効な戦略です。例えば、NISA口座はA証券、米国株はB証券、IPO投資はC証券のように分けることで、それぞれの強みを活かせます。ただし、NISA口座は1人1口座しか開設できないため、どの証券会社で開設するか慎重に選びましょう。

単元未満株と投資信託、どちらがおすすめ?

投資初心者には投資信託がおすすめです。投資信託なら、1つの商品で数百〜数千の銘柄に分散投資でき、プロが運用してくれます。単元未満株は、特定の企業に投資したい、配当や株主優待を受け取りたいという方に適しています。理想的には、投資信託で基盤を作りつつ、余裕資金で単元未満株に挑戦する方法です。両方を組み合わせることで、分散投資とリターンのバランスが取れます。

ポイント投資のメリット・デメリットは?

ポイント投資の最大のメリットは、現金を使わずに投資体験ができる点です。投資初心者が値動きを実感しながら学ぶには最適です。ポイントで購入した商品も、現金と同じように値上がり益や配当を受け取れます。デメリットは、貯まるポイント数に限りがあるため、大きな金額を投資できない点です。また、ポイントの有効期限がある場合もあるため、計画的に使う必要があります。ポイント投資で慣れたら、現金での投資に移行するのがおすすめです。

まとめ

少額投資は、100円や1株から始められる初心者に優しい投資方法です。投資信託なら100円から、単元未満株なら1株から購入でき、まとまった資金がなくても投資を始められます。

証券会社を選ぶ際は、手数料の安さ、取扱商品の豊富さ、取引時間の柔軟性を重視しましょう。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJeスマート証券など、主要なネット証券は少額投資に対応しています。

それぞれの特徴を比較して、自分の投資スタイルに合った証券会社を選んでください。

少額投資のメリットは、リスクを抑えながら分散投資ができ、投資の勉強や練習に最適な点です。一方で、手数料負けのリスクや、大きなリターンが期待しにくい点には注意が必要です。

これらを理解した上で、長期的な資産形成の第一歩として少額投資を始めましょう。

NISA制度を活用すれば、投資で得た利益が非課税になります。つみたて投資枠で毎月コツコツ積み立て、成長投資枠で個別株にも挑戦できます。

非課税のメリットを最大限に活かして、効率的に資産を増やしていきましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。不安な点があれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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