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会社を退職するとき、退職金とiDeCoをどう受け取るかで税金が大きく変わることをご存じですか。
同じタイミングで受け取ると、退職所得控除が重複して税負担が増えてしまう可能性があります。
一方で、受け取る時期をずらせば、それぞれ独立して控除を使えるケースもあります。
この記事では、退職所得控除の仕組みから、一時金・年金の選び方、受取タイミングの最適化まで、税金を減らすための具体的な方法を解説します。
2026年からの税制改正(10年ルール)についても触れ、あなたの状況に合った受取戦略が見つかります。
目次
iDeCoと退職金を受け取るときの税金の基本
iDeCoと退職金は、受け取り方によって適用される税制が異なります。
一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が使えます。どちらも税負担を軽減できる仕組みですが、それぞれの特徴を理解することが重要です。
一時金で受け取る場合、退職所得として課税されます。
退職所得控除は、勤続年数(iDeCoの場合は加入期間)に応じて控除額が計算される仕組みです。控除額を超えた部分は2分の1だけが課税対象となるため、税負担が軽くなります。
たとえば、勤続30年の場合、退職所得控除額は1,500万円です。退職金が1,500万円以下なら、税金はかかりません。1,500万円を超えた部分は、その半分だけが課税対象となります。
年金として受け取る場合、雑所得として課税されます。
公的年金等控除が適用されるため、一定額までは非課税です。ただし、他の公的年金(国民年金・厚生年金)と合算して控除額が計算されるため、すでに年金を受給している場合は課税される可能性があります。
65歳未満の場合、年間60万円までは非課税です。65歳以上なら110万円まで非課税となります。ただし、年金受取を選ぶと確定申告が必要になる点に注意が必要です。
iDeCoは、一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。
たとえば、退職所得控除の範囲内で一時金を受け取り、残りを年金として受け取る方法があります。この方法なら、両方の控除を活用できます。ただし、金融機関によって併用できる条件が異なるため、事前に確認が必要です。
退職所得控除のしくみ
退職所得控除は、勤続年数に応じて控除額が決まる仕組みです。
勤続年数が長いほど控除額が大きくなるため、長期間勤めた人ほど税負担が軽くなります。iDeCoの場合は、加入期間が勤続年数として扱われます。
退職所得控除の計算式は、勤続年数が20年以下か20年超かで異なります。それぞれの計算方法を見ていきましょう。
勤続年数が20年以下の場合、控除額は「40万円×勤続年数」で計算されます。
ただし、最低でも80万円が保証されています。たとえば、勤続10年なら控除額は400万円、勤続15年なら600万円です。
勤続年数が20年を超える場合、控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算されます。
たとえば、勤続30年なら「800万円+70万円×10年=1,500万円」が控除額です。勤続40年なら2,200万円となり、かなりの金額が非課税になります。
iDeCoの場合、加入期間が勤続年数として扱われます。
加入期間は、掛金を拠出した月数で計算され、1年未満の端数は切り上げられます。たとえば、10年3か月加入していた場合、11年として計算されます。
ただし、企業型DCからiDeCoに移換した場合、企業型DCの加入期間も通算されます。転職して複数の企業型DCに加入していた場合も、すべての期間が合算されるため、正確な加入期間を把握しておくことが重要です。
具体的な計算例を見てみましょう。以下の条件で計算します。
まず、退職所得控除額を計算します。
勤続30年の場合、「800万円+70万円×10年=1,500万円」です。iDeCoの加入期間20年の場合、「40万円×20年=800万円」です。
退職金とiDeCoを同時に受け取る場合、控除額は重複して計算されます。この場合、勤続年数の長い方(30年)が優先され、控除額は1,500万円です。
退職金2,000万円とiDeCo500万円の合計2,500万円から1,500万円を引いた1,000万円の半分、つまり500万円が課税対象となります。
退職金とiDeCoを同時に受け取るとどうなる?
退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、退職所得控除が合算されて計算されます。
この場合、控除額を超えた部分に税金がかかるため、受取タイミングを工夫することで税負担を減らせる可能性があります。
退職金とiDeCoを同時に受け取る場合、退職所得控除は勤続年数の長い方を基準に計算されます。
たとえば、会社の勤続年数が30年、iDeCoの加入期間が20年の場合、30年分の控除額(1,500万円)が適用されます。iDeCoの加入期間は、会社の勤続年数に含まれる形で扱われるため、別々に控除を受けることはできません。
退職所得控除を超えた部分は、その半分だけが課税対象となります。これを「2分の1課税」と呼びます。
たとえば、退職金とiDeCoの合計が2,500万円、控除額が1,500万円の場合、1,000万円が控除を超えた部分です。この1,000万円の半分、つまり500万円が課税対象となります。
課税対象額に対して所得税と住民税が課されます。所得税は累進課税のため、金額が大きいほど税率が高くなります。
具体的なシミュレーションを見てみましょう。以下の条件で計算します。
| 項目 | 金額 |
| 退職金 | 2,000万円 |
| iDeCo資産 | 500万円 |
| 合計 | 2,500万円 |
| 退職所得控除(勤続30年) | 1,500万円 |
| 控除後の金額 | 1,000万円 |
| 課税対象額(2分の1) | 500万円 |
| 所得税・住民税(概算) | 約100万円 |
この場合、約100万円の税金がかかります。ただし、受取タイミングをずらすことで、税負担を減らせる可能性があります。
受け取るタイミングをずらすと税金が減る?
退職金とiDeCoを別々の年に受け取ることで、それぞれ独立して退職所得控除を使える場合があります。
ただし、受取タイミングには「前年以前4年ルール」と「前年以前19年ルール」という制約があります。これらのルールを理解することで、最適な受取戦略を立てることができます。
iDeCoを先に受け取り、その後に退職金を受け取る場合、「前年以前4年ルール」が適用されます。
このルールでは、iDeCoを受け取った年の前年以前4年間に他の退職金を受け取っていない場合、iDeCoの退職所得控除を満額使えます。
前年以前4年ルールとは、退職金を受け取る前の4年間に他の退職所得がない場合、退職所得控除を満額使えるルールです。
たとえば、60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、5年以上空いているため、それぞれ独立して控除を使えます。
iDeCoと退職金の受取時期を5年以上空ければ、それぞれ独立して退職所得控除を使えるます。
たとえば、iDeCoを60歳で受け取り、退職金を65歳で受け取る場合、iDeCoの控除額800万円、退職金の控除額1,500万円をそれぞれ満額使えます。この場合、税負担を大幅に減らすことができます。
退職金を先に受け取り、その後にiDeCoを受け取る場合、「前年以前19年ルール」が適用されます。
このルールでは、退職金を受け取った年から19年以内にiDeCoを受け取ると、重複期間の調整が必要になります。
前年以前19年ルールとは、退職金を受け取った年の翌年から19年以内にiDeCoを受け取る場合、重複期間の調整が行われるルールです。
たとえば、60歳で退職金を受け取り、65歳でiDeCoを受け取る場合、5年しか空いていないため、重複期間の調整が必要です。
重複期間の調整計算は複雑です。
退職金の勤続年数とiDeCoの加入期間が重複している場合、重複期間はiDeCoの控除額から差し引かれます。たとえば、勤続30年で退職金を受け取り、5年後にiDeCo(加入期間20年)を受け取る場合、重複期間15年分が差し引かれ、iDeCoの控除額は200万円(40万円×5年)に減額されます。
受取パターンによって税負担がどう変わるか、3つのケースで比較してみましょう。
| パターン | 受取時期 | 控除額合計 | 税負担 |
| 同時受取 | 60歳で両方受取 | 1,500万円 | 約100万円 |
| iDeCo先行(5年空ける) | 60歳iDeCo、65歳退職金 | 2,300万円 | 約20万円 |
| 退職金先行(5年空ける) | 60歳退職金、65歳iDeCo | 1,700万円 | 約60万円 |
この例では、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取るパターンが最も税負担が少なくなります。
ただし、個人の状況によって最適なパターンは異なるため、税理士やFPに相談することをおすすめします。
税制改正で何が変わる?
2026年1月1日以降、退職所得控除の重複期間ルールが改正されます。
現行の「前年以前4年ルール」が「前年以前10年ルール」に変更されるため、受取戦略の見直しが必要です。
現行制度では、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取れば、それぞれ独立して控除を使えます。
しかし、2026年以降は、10年以上空けないと独立した控除を使えなくなります。たとえば、60歳でiDeCoを受け取る場合、70歳まで退職金を受け取らないと、独立した控除を使えません。
税制改正の影響を受けるかどうかは、受取時期によって異なります。以下のチェックリストで確認しましょう。
2025年末までにiDeCoを受け取れば、現行の5年ルールが適用されます。
ただし、60歳になっていない場合は受け取れないため、年齢要件を確認する必要があります。また、早期に受け取ると運用期間が短くなるため、運用益を逃す可能性もあります。税負担の軽減と運用益のバランスを考えて判断することが重要です。
年金で受け取る場合の税金と注意点
iDeCoを年金として受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。
ただし、他の公的年金と合算して課税されるため、確定申告が必要になります。また、社会保険料(国民健康保険料)にも影響する点に注意が必要です。
公的年金等控除は、年齢と年金収入額によって控除額が決まります。
65歳未満の場合、年間60万円までは非課税です。60万円を超えた部分は、収入に応じて控除額が計算されます。65歳以上の場合、年間110万円までは非課税となります。
たとえば、65歳で年金収入が200万円の場合、110万円が控除され、残り90万円が課税対象となります。ただし、他の公的年金(国民年金・厚生年金)と合算して計算されるため、すでに年金を受給している場合は課税される可能性が高くなります。
年金として受け取る場合、原則として確定申告が必要です。
iDeCoの年金は源泉徴収されますが、他の所得と合算して税額を再計算する必要があるためです。ただし、年金収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下の場合は、確定申告不要制度を利用できます。
確定申告を行うことで、源泉徴収された税金が還付される場合もあります。特に、医療費控除や生命保険料控除などを受ける場合は、確定申告を行うことで税負担を減らせる可能性があります。
年金として受け取る場合、所得が増えるため、国民健康保険料が上がる可能性があります。
国民健康保険料は、前年の所得に基づいて計算されるため、年金を受け取った翌年から保険料が上がります。
たとえば、年金収入が年間100万円増えた場合、国民健康保険料が年間10万円程度上がる可能性があります。一時金で受け取る場合は、退職所得として分離課税されるため、国民健康保険料には影響しません。年金受取を検討する場合は、税金だけでなく社会保険料への影響も考慮することが重要です。
会社員・公務員・自営業
職業によって退職金の有無やiDeCoの活用方法が異なります。それぞれの状況に応じた最適な受取戦略を見ていきましょう。
会社員で退職金が多い場合、退職金とiDeCoを同時に受け取ると税負担が大きくなる可能性があります。
この場合、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取る戦略が有効です。たとえば、55歳でiDeCoを受け取り、60歳で退職金を受け取る方法があります。
ただし、iDeCoは原則60歳まで受け取れないため、60歳以降に受け取る場合は、退職金を65歳まで繰り下げる必要があります。会社によっては、退職金の受取時期を選べる場合があるため、人事部に確認することをおすすめします。
公務員は退職金が比較的多いため、iDeCoとの合算で税負担が大きくなりがちです。以下のような受取戦略が考えられます。
ただし、iDeCoを繰り下げる場合、運用を継続するか、運用を停止して保管するかを選択できます。運用を継続すれば、さらに資産を増やせる可能性があります。
自営業の場合、退職金がないため、iDeCoが老後資金の主要な柱となります。
この場合、一時金と年金を組み合わせて受け取る方法が有効です。たとえば、退職所得控除の範囲内(加入期間20年なら800万円)を一時金で受け取り、残りを年金として受け取る方法があります。
年金として受け取る場合、公的年金等控除を活用できるため、税負担を抑えられます。ただし、国民年金と合算して課税されるため、年金収入が多い場合は税負担が増える可能性があります。
確定申告の手順と退職所得の源泉徴収票の見方
退職金やiDeCoを受け取った後、確定申告が必要かどうかを確認する必要があります。
また、源泉徴収票の内容を正しく理解することで、税金が正しく計算されているか確認できます。
一時金で受け取る場合、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、原則として確定申告は不要です。
この申告書を提出することで、退職所得控除が適用され、正しい税額が源泉徴収されます。ただし、複数の退職金を受け取った場合や、他の所得がある場合は、確定申告が必要になることがあります。
年金として受け取る場合、原則として確定申告が必要です。
iDeCoの年金は源泉徴収されますが、他の所得と合算して税額を再計算する必要があるためです。確定申告書には、「公的年金等の源泉徴収票」を添付し、年金収入と控除額を記載します。
退職所得の源泉徴収票には、以下の項目が記載されています。
これらの項目を確認し、計算が正しいかチェックしましょう。特に、勤続年数が正しく記載されているか、控除額が正しく計算されているかを確認することが重要です。
退職所得がある場合、確定申告書第三表(分離課税用)を使用します。
第三表には、退職所得の金額、控除額、税額を記載します。具体的な記入方法は以下のとおりです。
まず、源泉徴収票に記載された支払金額を「収入金額」欄に記入します。次に、退職所得控除額を「所得金額」欄に記入し、控除後の金額を計算します。最後に、2分の1課税を適用し、課税対象額を計算します。
企業型DCとの併用パターンと移換手続き
企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している場合、転職や退職時にiDeCoへの移換手続きが必要です。
また、企業型DCとiDeCoを併用している場合、受取時の税制が複雑になるため、事前に理解しておくことが重要です。
転職や退職で企業型DCの加入資格を失った場合、6か月以内にiDeCoへの移換手続きを行う必要があります。
手続きが遅れると、自動移換されてしまい、運用指図ができなくなるだけでなく、手数料が発生します。
移換手続きは、iDeCoを取り扱う金融機関で行います。必要書類を提出し、企業型DCの資産をiDeCoに移換します。移換には1~2か月程度かかるため、早めに手続きを始めることをおすすめします。
複数の会社で働いた場合、それぞれの会社から退職金を受け取ることがあります。
この場合、退職金を受け取る年が異なれば、それぞれ独立して退職所得控除を使えます。ただし、同じ年に複数の退職金を受け取る場合は、合算して計算されます。
転職者がiDeCoを活用する場合、以下の点に注意が必要です。
iDeCoは原則60歳から受け取れます。ただし、加入期間が10年未満の場合、受取開始年齢が繰り下げられます。加入期間が8年以上10年未満なら61歳、6年以上8年未満なら62歳、4年以上6年未満なら63歳、2年以上4年未満なら64歳、2年未満なら65歳から受け取れます。
受取開始を遅らせることで、運用期間が延びるため、資産が増える可能性があります。ただし、税金が減るかどうかは、他の所得や退職金の受取時期によって異なります。受取時期をずらすことで、退職所得控除を最大限活用できる場合があります。
受取方法は、受取開始前であれば変更できる場合があります。ただし、金融機関によって変更できる条件が異なるため、事前に確認が必要です。受取開始後の変更は原則できません。
iDeCoの加入者が死亡した場合、遺族が死亡一時金として受け取ります。この場合、相続税の課税対象となります。ただし、退職所得控除は適用されず、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)が適用されます。
iDeCoを受け取る際、給付手数料がかかります。手数料は金融機関によって異なりますが、1回あたり440円程度が一般的です。年金として受け取る場合、受取回数が多いほど手数料がかかるため、一時金で受け取る方が手数料を抑えられます。
以下のような複雑なケースでは、税理士やFPへの相談をおすすめします。
iDeCoと退職金の受け取り方は、税負担に大きな影響を与えます。
一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用され、それぞれメリット・デメリットがあります。
受取タイミングをずらすことで、それぞれ独立して控除を使える場合があります。特に、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取る戦略が有効です。ただし、2026年からの税制改正で5年ルールが10年ルールに変更されるため、早めの対策が必要です。
職業や退職金の金額によって最適な受取方法は異なります。会社員や公務員は退職金が多いため、タイミングの調整が重要です。自営業の場合は、一時金と年金を組み合わせる方法が有効です。複雑なケースでは、税理士やFPへの相談をおすすめします。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各金融機関にご確認ください。税制は改正される可能性があるため、最新情報を確認することが重要です。
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