会社設立のミチシルベ

iDeCoを始めたいけれど、どの商品を選べばいいか分からず悩んでいませんか。

iDeCoの商品は元本確保型と元本変動型の2種類があり、それぞれリスクとリターンの特性が異なります。

この記事では、iDeCoの商品の基本から選び方のポイント、年代別のおすすめ配分例まで詳しく解説します。投資の目的やリスク許容度に合わせた商品選びができるようになり、老後資金を効率的に準備できます。

商品選びで失敗しないための注意点もお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

iDeCoの商品とは｜2つの種類と基本の仕組み

iDeCo（個人型確定拠出年金）は、自分で運用商品を選んで老後資金を準備する私的年金制度です。掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税で受け取れるため、税制面で大きなメリットがあります。

iDeCoで選べる商品は、大きく分けて元本確保型と元本変動型の2種類に分類されます。それぞれの商品にはリスクとリターンの特性があり、ご自身の投資目的や年齢、リスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。

厚生労働省:iDeCo公式サイト

元本確保型の商品

元本確保型の商品は、預けた掛金が減らない商品です。定期預金や保険商品が該当し、満期まで保有すれば元本が保証されます。

ただし、金融機関が破綻した場合は預金保険の対象となり、1,000万円までとその利息が保護されます。

元本確保型が向いているのは、受取時期が近い50代後半の方や、どうしても元本割れを避けたい方です。ただし、長期的な資産形成という観点では、インフレリスクを考慮する必要があります。

元本変動型の商品（投資信託）

元本変動型の商品は、主に投資信託が該当します。株式や債券などに投資し、市場の動きに応じて資産価値が変動します。

元本割れのリスクがある一方で、長期的には元本確保型よりも高いリターンが期待できます。

投資対象も多様で、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券・バランス型（複数の資産に分散投資）などがあります。リスク許容度に応じて、株式の比率を調整することが重要です。

金融庁:投資の基本

2つの商品タイプの比較

iDeCoの商品を選ぶ5つのポイント｜初心者でも失敗しない方法

iDeCoの商品選びは、老後資金を左右する重要な判断です。しかし、初心者の方でも体系的に考えれば、適切な商品を選ぶことができます。

この5つのポイントを押さえることで、ご自身に合った商品を自信を持って選べるようになります。

1. 投資の目的と目標額を決める

まず、iDeCoで老後資金をいくら準備したいのか、具体的な目標額を設定しましょう。例えば「65歳時点で1,000万円を準備したい」といった明確な目標があると、毎月の掛金や運用方針が決めやすくなります。

目標額を決める際は、公的年金の受給見込み額や退職金、その他の貯蓄も考慮します。ねんきん定期便で将来の年金額を確認し、不足分をiDeCoで補う計画を立てるとよいでしょう。

2. 自分のリスク許容度を確認する

リスク許容度とは、どの程度の価格変動に耐えられるかという指標です。リスク許容度は年齢・収入・資産状況・性格によって異なります。

一般的に、若い方や安定収入がある方、他に十分な資産がある方はリスク許容度が高いとされます。

性格面では、資産が一時的に30%減少しても冷静でいられるか、夜眠れなくなるほど心配になるかを自問してみましょう。後者の場合は、リスクを抑えた運用が向いています。

3. 商品の特性とリスクを理解する

投資信託を選ぶ際は、投資対象の資産クラスごとの特性を理解しましょう。

各資産クラスの過去の年間リターンの変動幅（標準偏差）も確認しましょう。国内株式は±20%程度、外国株式は±25%程度、国内債券は±5%程度が目安です。

4. 長期・積立・分散投資を意識する

iDeCoは60歳まで引き出せないという制約がありますが、これは長期投資のメリットを最大限活かせる仕組みでもあります。長期投資では、短期的な価格変動の影響が平準化され、安定したリターンが期待できます。

分散投資は、複数の資産や地域に投資することでリスクを分散します。例えば、国内株式50%・外国株式30%・国内債券20%といった配分が考えられます。

金融庁:投資の基本

5. 定期的に見直す

iDeCoの商品は一度選んだら終わりではなく、定期的な見直しが必要です。年に1回程度、運用状況を確認し、当初の計画と大きくずれていないかチェックしましょう。

見直しのタイミングとしては、誕生日や年末年始など、決まった時期に確認する習慣をつけるとよいでしょう。資産配分が当初の計画から大きくずれている場合は、リバランス（配分調整）を検討します。

商品を選ぶときに確認したい3つのポイント

iDeCoの商品を具体的に選ぶ際、どの数値をどう見ればよいのか迷う方も多いでしょう。

特に信託報酬は長期的な運用成果に大きく影響するため、必ず確認しましょう。

運用実績（リターン）の見方

運用実績は、過去にその商品がどれだけのリターンを上げたかを示す指標です。確認する際は、1年だけでなく3年・5年・10年といった複数の期間を見ることが重要です。

運用実績を見る際は、トータルリターン（分配金を再投資した場合の収益率）を確認しましょう。年率3%〜7%程度のリターンが長期的に続いていれば、優良な商品と言えます。

運用実績の確認は、各運用会社の公式サイトや、iDeCoを取り扱う金融機関のウェブサイトで可能です。目論見書や運用報告書にも詳しい情報が記載されています。

手数料（信託報酬）の重要性

信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日差し引かれる運用管理費用です。年率で表示され、例えば信託報酬0.5%の商品を100万円保有している場合、年間5,000円が差し引かれます。

インデックスファンドの信託報酬は年0.1%〜0.5%程度が一般的で、0.2%以下なら低コストと言えます。アクティブファンドは年1.0%〜2.0%程度ですが、その分ベンチマークを大きく上回るリターンが期待できるかを慎重に判断する必要があります。

信託報酬は目論見書に必ず記載されており、運用会社のウェブサイトでも確認できます。

純資産残高の確認方法

純資産残高は、その投資信託に集まっている資産の総額です。純資産残高が大きいほど、多くの投資家から支持されている商品と言えます。

目安として、100億円以上あれば安定した運用が期待でき、繰上償還（運用が途中で終了すること）のリスクも低くなります。

純資産残高は、各運用会社の公式サイトや、投資信託の情報サイト（モーニングスター、投信まとなび等）で確認できます。商品選びの際は、純資産残高が100億円以上で、増加傾向にある商品を選ぶとよいでしょう。

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

投資信託には、インデックスファンドとアクティブファンドという2つの運用スタイルがあります。どちらを選ぶかは、iDeCoの運用成果に大きく影響します。

一般的には、初心者の方や長期的な資産形成を目指す方には、低コストで分かりやすいインデックスファンドがおすすめです。

インデックスファンドの特徴

インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの市場指数（インデックス）に連動することを目指す投資信託です。市場全体に投資するため、個別銘柄の選定は行わず、指数と同じ銘柄を同じ比率で保有します。

デメリットは、市場平均を上回るリターンは期待できないことです。市場全体が下落すれば、インデックスファンドも同様に下落します。

インデックスファンドは、長期的な資産形成に適しています。市場全体の成長を享受でき、低コストで運用できるため、複利効果を最大限活かせます。

アクティブファンドの特徴

アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づいて銘柄を選定し、市場平均を上回るリターンを目指す投資信託です。

メリットは、市場平均を大きく上回るリターンが期待できることです。優秀なファンドマネージャーが運用する商品では、年10%以上のリターンを上げることもあります。

アクティブファンドを選ぶ場合は、過去の運用実績を慎重に確認しましょう。少なくとも5年以上の期間で、継続的にベンチマークを上回っている商品を選ぶことが重要です。

どちらを選ぶべき？

結論として、多くの投資家にとってはインデックスファンドが適しています。特にiDeCoのような長期投資では、低コストが大きなアドバンテージになります。

年代別・リスク許容度別のおすすめ配分例

iDeCoの商品配分は、年齢やリスク許容度によって変えるべきです。若い方は長期的な運用期間があるため積極的な運用が可能ですが、受取時期が近い方は安全性を重視した配分が適しています。

これらはあくまで一例であり、個人の状況に応じて調整してください。

20代・30代｜積極的に運用したい人向け

20代・30代の方は、受取時期まで30年以上の運用期間があります。この長期間を活かして、積極的にリスクを取った運用が可能です。

具体的な商品例としては、「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」（信託報酬0.09372%）や「楽天・全米株式インデックス・ファンド」（信託報酬0.162%）、「ニッセイ日経225インデックスファンド」（信託報酬0.154%）などが挙げられます。

この年代は、市場が大きく下落しても慌てて売却せず、むしろ買い増しのチャンスと捉える心構えが重要です。

40代｜バランス重視の人向け

40代は、受取時期まで20年前後の運用期間があります。まだ積極的な運用が可能ですが、徐々に安定性も意識し始める時期です。

具体的な商品例としては、株式部分は20代・30代と同様のインデックスファンド、債券部分は「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」（信託報酬0.154%）や「ニッセイ国内債券インデックスファンド」（信託報酬0.132%）などが適しています。

この年代は、5年に1回程度、配分を見直すことをおすすめします。

50代｜受取時期が近い人向け

50代は、受取時期まで10年前後となり、徐々に安全性を重視した運用に切り替える時期です。特に50代後半になったら、株式の比率を下げ、元本確保型や債券の比率を高めることを検討しましょう。

受取時期の3〜5年前には、元本確保型の比率を50%以上に高めることも検討しましょう。

リスクを抑えたい人向け

年齢だけでなく、個人のリスク許容度も配分を決める重要な要素です。投資経験が少ない方や、価格変動に不安を感じる方は、上記の年代別配分よりも保守的な配分を選ぶとよいでしょう。

商品を変更したいとき｜スイッチングの方法とタイミング

iDeCoでは、運用中の商品を変更することができます。これを「スイッチング」と呼びます。

当初の計画と状況が変わった場合や、より良い商品が見つかった場合に活用できる仕組みです。

スイッチングとは

スイッチングは、保有している商品を売却し、別の商品を購入する手続きです。例えば、保有している国内株式ファンドを売却して、外国株式ファンドを購入するといった変更ができます。

iDeCoでは、スイッチングに手数料はかからない金融機関がほとんどです。

スイッチングの手続きは、iDeCoの運営管理機関のウェブサイトやアプリから行えます。通常、手続きから数営業日で完了しますが、商品によっては1週間程度かかる場合もあります。

スイッチングのタイミング

スイッチングを検討すべきタイミングは、主に4つあります。

50代に入ったら、徐々に株式の比率を下げ、債券や元本確保型を増やすことを検討しましょう。年1回程度、配分を確認し、10%以上ずれている場合は調整を検討しましょう。

スイッチングの手順

スイッチングの具体的な手順を説明します。

通常、翌営業日以降に売却が行われ、数営業日後に購入が完了します。この間、資金は現金で保有される状態になり、運用されません。

スイッチング完了後は、必ず運用状況を確認しましょう。意図した配分になっているか、購入価格は妥当かをチェックします。

iDeCoの商品選びで気をつけたいこと

iDeCoの商品選びには、いくつかの落とし穴があります。初心者の方が陥りやすい失敗パターンを知っておくことで、適切な判断ができるようになります。

これらの注意点を理解し、長期的な視点で冷静に運用することが、iDeCoで成功するための鍵です。

元本確保型だけを選ぶリスク

元本割れが怖いという理由で、元本確保型だけを選ぶ方がいます。しかし、これには大きなリスクがあります。

さらに深刻なのが、インフレリスクです。物価が年2%上昇した場合、元本確保型で年0.01%しか増えなければ、実質的な資産価値は年1.99%ずつ目減りしていきます。30年間で約45%も価値が減少する計算になります。

元本確保型は、受取時期が近い方や、どうしても元本割れを避けたい方に限定して使うべきです。若い方や長期運用できる方は、少なくとも一部は投資信託を組み入れることをおすすめします。

高すぎる信託報酬の商品を選んでしまう

信託報酬の重要性を理解せず、運用実績だけを見て商品を選んでしまうのは危険です。信託報酬が年1.5%の商品と年0.2%の商品では、30年間で数百万円の差が生まれることもあります。

信託報酬を比較する際は、同じ資産クラスの商品同士で比べることが重要です。信託報酬が年0.5%以上の商品は、本当にその価値があるのかを慎重に検討しましょう。

短期的な値動きに一喜一憂する

iDeCoは長期投資が前提の制度ですが、短期的な値動きに反応して頻繁に商品を変更する方がいます。これは「狼狽売り」と呼ばれ、最も避けるべき行動です。

市場が下落したときに売却すると、損失を確定させてしまい、その後の回復の恩恵を受けられません。

運用状況を確認するのは年1回程度で十分です。日々の値動きを気にする必要はありません。計画に沿って淡々と積立を続けることが、長期投資で成功する秘訣です。

商品を選んだ後に放置してしまう

商品を選んだ後、何年も見直しをせずに放置するのも問題です。年齢が上がればリスク許容度は変わりますし、市場環境の変化により資産配分が大きく崩れることもあります。

年1回程度、運用状況を確認し、必要に応じて見直しを行いましょう。確認すべきポイントは、現在の資産配分、各商品の運用実績、信託報酬、純資産残高の推移などです。

金融機関によって選べる商品は違う？

iDeCoを始める際、どの金融機関を選ぶかは非常に重要です。なぜなら、金融機関によって取り扱う商品ラインナップが大きく異なるからです。

商品選びの前に、金融機関選びをしっかり行うことが成功の第一歩です。

金融機関ごとに商品ラインナップが異なる

iDeCoの商品は、各金融機関が独自に選定して提供しています。そのため、金融機関によって取扱商品数や商品の種類が大きく異なります。

商品数は、少ない金融機関で10本程度、多い金融機関で30本以上と幅があります。

金融機関を選ぶ際は、各社の公式サイトで商品ラインナップを確認しましょう。商品の信託報酬や運用実績も公開されているので、比較検討することができます。

商品数が多ければ良いわけではない

商品数が多い金融機関が必ずしも良いとは限りません。商品数が多すぎると、かえって選ぶのが難しくなります。

重要なのは、質の高い商品が揃っているかどうかです。低コストで純資産残高が大きい優良な商品が10〜20本あれば十分です。

具体的には、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの大手ネット証券が人気です。これらの金融機関は、低コストのインデックスファンドを豊富に取り揃え、口座管理手数料も無料です。

すでに別の金融機関でiDeCoを始めている方でも、金融機関変更が可能です。ただし、変更には2〜3ヶ月かかり、その間は運用ができません。また、変更時に保有商品をすべて売却する必要があります。

まとめ

iDeCoの商品選びは、老後資金を左右する重要な判断です。商品は元本確保型と元本変動型の2種類があり、それぞれリスクとリターンの特性が異なります。

長期的な資産形成を目指すなら、投資信託を中心とした運用がおすすめです。

商品を選ぶ際は、投資の目的と目標額を明確にし、ご自身のリスク許容度を確認しましょう。商品の特性を理解し、長期・積立・分散投資を意識することが大切です。

また、信託報酬が低く、純資産残高が大きい商品を選ぶことで、長期的な運用成果を高められます。

年代別の配分例を参考に、ご自身に合ったポートフォリオを組みましょう。20代〜30代は株式中心、40代はバランス型、50代は徐々に安全資産へシフトすることが基本です。

年1回程度、運用状況を見直し、必要に応じてスイッチングを行うことも重要です。

金融機関によって商品ラインナップが異なるため、低コストの優良商品を揃えた金融機関を選ぶことも大切です。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各金融機関にご確認ください。