20代の積立NISAは毎月いくら?|無理なく続ける投資額の決め方

企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していて、iDeCo(個人型確定拠出年金)も始めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
2022年10月の法改正により、企業型DCとiDeCoの併用が原則として可能になりました。
ただし、併用するには3つの条件を満たす必要があり、掛金の上限額も企業年金制度によって異なります。また、マッチング拠出との選択も重要なポイントです。
この記事では、企業型DCとiDeCoの併用条件、掛金上限額、マッチング拠出との比較、メリット・デメリット、そして証券会社の選び方まで、併用を検討する際に必要な情報を詳しく解説します。
自分が併用できるのか、どちらを選ぶべきか、具体的にいくら節税できるのかを確認していきましょう。
目次
企業型DCとiDeCoは併用できる
企業型DCとiDeCoの併用は、2022年10月の法改正により大幅に緩和されました。それまでは企業の規約で認められている場合のみ併用が可能でしたが、改正後は原則として併用できるようになっています。
この変更により、老後資金の準備手段が広がり、より多くの人が税制優遇を受けながら資産形成できるようになりました。
法改正前は、企業型DCとiDeCoを併用するには、企業の規約に「iDeCoへの加入を認める」という定めが必要でした。そのため、規約にこの定めがない企業の従業員は、企業型DCに加入していてもiDeCoを始めることができませんでした。
この改正は、企業側の事務負担を軽減しつつ、従業員の資産形成の選択肢を広げることを目的としています。企業の規約変更を待たずに、個人の判断でiDeCoを始められるようになった点が大きなメリットです。
法改正前は、企業型DCの加入者約750万人のうち、iDeCoとの併用が認められていたのは一部の企業の従業員のみでした。多くの企業では規約にiDeCo加入を認める定めがなかったため、併用できる人は限られていたのです。
改正後は、マッチング拠出を利用していない人や、企業型DCが各月拠出である人など、条件を満たせば原則として併用が可能になりました。これにより、併用できる人が大幅に増加し、より多くの人が企業型DCとiDeCoの両方のメリットを享受できるようになっています。
ただし、すべての企業型DC加入者が自動的に併用できるわけではありません。自分が併用条件を満たしているかどうかは、次のセクションで詳しく確認していきましょう。
企業型DCとiDeCoの違い
企業型DCとiDeCoは、どちらも確定拠出年金という私的年金制度ですが、運営主体や掛金の負担者、拠出限度額などに違いがあります。
併用を検討する前に、それぞれの制度の基本的な仕組みと特徴を理解しておくことが大切です。ここでは、2つの制度の違いを詳しく見ていきましょう。
企業型DCは、企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員自身が運用方法を選択する制度です。掛金は企業が負担するため、従業員の給与から天引きされることはありません。
ただし、企業によってはマッチング拠出という制度を導入しており、従業員が追加で掛金を拠出できる場合もあります。
運用商品は企業が選定した商品ラインナップの中から選びます。一般的には、定期預金などの元本確保型商品と、投資信託などのリスク性商品が用意されています。運用益は非課税で、60歳以降に一時金または年金として受け取ることができます。
企業型DCの掛金は、企業にとって全額損金算入できるため、福利厚生の一環として導入する企業が増えています。従業員にとっても、企業が掛金を負担してくれるため、自己負担なく老後資金を準備できる点が大きなメリットです。
iDeCoは、個人が自分で掛金を拠出し、自分で運用方法を選択する制度です。掛金は全額自己負担で、毎月の給与や銀行口座から引き落とされます。
掛金額は月額5,000円から1,000円単位で設定でき、年に1回変更することも可能です。
運用商品は、自分で選んだ金融機関(運営管理機関)が提供する商品ラインナップの中から選びます。金融機関によって取扱商品や手数料が異なるため、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。
企業型DCとiDeCoの主な違いを表で整理しました。併用を検討する際の参考にしてください。
| 項目 | 企業型DC | iDeCo |
| 運営主体 | 企業 | 国民年金基金連合会 |
| 掛金の負担者 | 企業(マッチング拠出の場合は従業員も追加可能) | 加入者本人 |
| 掛金の上限額 | 企業年金制度により異なる(月額2.75万円または5.5万円) | 企業年金制度により異なる(月額1.2万円または2万円) |
| 所得控除 | なし(企業拠出分)、あり(マッチング拠出分) | 全額所得控除 |
| 運用商品の選択 | 企業が選定した商品ラインナップから選択 | 自分で選んだ金融機関の商品ラインナップから選択 |
| 手数料 | 企業負担が一般的 | 加入者負担(金融機関により異なる) |
| 受取開始年齢 | 60歳以降 | 60歳以降 |
この表からわかるように、企業型DCは企業が掛金を負担してくれる点が最大のメリットですが、所得控除は受けられません。
一方、iDeCoは掛金を自己負担する必要がありますが、全額所得控除を受けられるため、税制面でのメリットが大きいのが特徴です。
併用するための3つの条件
企業型DCとiDeCoを併用するには、3つの条件をすべて満たす必要があります。これらの条件を満たさない場合は、併用できないため注意が必要です。
ここでは、それぞれの条件について詳しく解説します。自分が併用できるかどうか、以下のチェックリストで確認してみましょう。
企業型DCとiDeCoを併用する場合、それぞれの掛金の合計額が法定の上限額を超えないようにする必要があります。上限額は、企業年金制度の有無によって異なります。
企業型DCのみに加入している場合、企業型DCの掛金とiDeCoの掛金の合計が月額5.5万円以内である必要があります。このうち、iDeCoの掛金は月額2万円までとなります。
例えば、企業型DCの掛金が月額3万円の場合、iDeCoには月額2万円まで拠出できます。
なお、2024年12月からは、掛金上限額の計算方法が変更される予定です。詳しくは後述のセクションで解説します。
iDeCoと併用できる企業型DCは、各月拠出(毎月掛金を拠出する方式)である必要があります。年1回や年2回など、まとめて拠出する方式の企業型DCに加入している場合は、iDeCoとの併用ができません。
自分の企業型DCが各月拠出かどうかは、企業の人事部や総務部に確認するか、企業型DCの加入者サイトで確認できます。多くの企業では各月拠出を採用していますが、一部の企業では年単位での拠出を行っている場合もあるため、必ず確認しましょう。
この条件が設けられている理由は、iDeCoも各月拠出を基本としているためです。企業型DCとiDeCoの拠出タイミングを合わせることで、掛金の管理や上限額の確認がしやすくなります。
マッチング拠出とは、企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に加えて、従業員自身も掛金を追加で拠出できる制度です。このマッチング拠出を利用している場合は、iDeCoとの併用はできません。
つまり、企業型DCで従業員が追加の掛金を拠出する方法として、マッチング拠出とiDeCoのどちらか一方しか選択できないということです。両方を同時に利用することはできないため、どちらが自分に合っているかを比較検討する必要があります。
マッチング拠出とiDeCoの比較については、後述のセクションで詳しく解説します。現在マッチング拠出を利用している人がiDeCoに切り替えたい場合は、まずマッチング拠出を停止する手続きが必要です。手続き方法については、企業の人事部や企業型DCの運営管理機関に確認しましょう。
企業型DCとiDeCoを併用する場合の掛金上限額は、加入している企業年金制度によって異なります。
自分がどのケースに該当するかを確認し、適切な掛金額を設定することが重要です。ここでは、企業年金制度別の上限額を詳しく解説します。
企業型DCにも確定給付企業年金(DB)にも加入していない場合、iDeCoの掛金上限額は月額2.3万円です。この場合、企業型DCとの併用ではなく、iDeCoのみの加入となります。
企業年金がない会社員や公務員の方は、この上限額の範囲内でiDeCoに加入できます。例えば、月額2万円をiDeCoに拠出した場合、年間24万円の所得控除を受けられるため、所得税率が20%の人であれば年間約4.8万円の節税効果が期待できます。
企業年金がない場合でも、企業によっては退職金制度や確定給付年金などの他の制度がある場合もあります。自分の会社にどのような年金制度があるかは、人事部に確認しましょう。
企業型DCのみに加入していて、確定給付企業年金(DB)には加入していない場合、企業型DCとiDeCoの掛金の合計上限額は月額5.5万円です。このうち、iDeCoの掛金上限額は月額2万円までとなります。
例えば、企業型DCの掛金が月額3万円の場合、iDeCoには月額2万円まで拠出できます。企業型DCの掛金が月額4万円の場合も、iDeCoには月額2万円まで拠出可能です。
企業型DCと確定給付企業年金(DB)の両方に加入している場合、企業型DCとiDeCoの掛金の合計上限額は月額2.75万円です。このうち、iDeCoの掛金上限額は月額1.2万円までとなります。
DBとは、企業が従業員に対して将来の年金額を約束する制度で、企業が運用リスクを負担します。DBと企業型DCの両方がある企業は、比較的手厚い年金制度を持っていると言えます。
例えば、企業型DCの掛金が月額1.5万円の場合、iDeCoには月額1.2万円まで拠出できます。
DBの有無は企業の年金制度によって異なるため、人事部に確認しましょう。DBがある場合は、iDeCoの上限額が少なくなりますが、それでも所得控除のメリットは十分に享受できます。
2024年12月から、企業型DCとiDeCoの掛金上限額の計算方法が変更される予定です。現行の制度では、企業型DCの掛金額に関係なく、iDeCoの上限額は一律で決まっていますが、改正後は企業型DCの掛金額に応じてiDeCoの上限額が変動する仕組みになります。
具体的には、企業型DCの掛金が少ない人ほど、iDeCoの掛金を多く拠出できるようになります。これにより、より柔軟な資産形成が可能になると期待されています。
詳細な計算方法や具体的な上限額については、厚生労働省や国民年金基金連合会の公式サイトで最新情報をご確認ください。
マッチング拠出とiDeCoを比較
企業型DCに加入している人が追加で掛金を拠出する方法として、マッチング拠出とiDeCoの2つの選択肢があります。
どちらも税制優遇を受けながら老後資金を準備できますが、それぞれに特徴があります。自分に合った方法を選ぶために、両者の違いを理解しておきましょう。
マッチング拠出は、企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に加えて、従業員自身も掛金を追加で拠出できる制度です。従業員が拠出した掛金は、企業拠出分と同じ企業型DCの口座で運用されます。
マッチング拠出の大きなメリットは、手続きが簡単で手数料がかからない点です。企業型DCと同じ口座で管理されるため、新たに金融機関を選ぶ必要がなく、口座管理手数料も企業が負担している場合が多いです。
また、運用商品も企業型DCと同じラインナップから選べるため、管理がシンプルです。
ただし、マッチング拠出には上限額の制限があります。従業員が拠出できる金額は、企業拠出額を超えることができず、かつ企業拠出額と従業員拠出額の合計が法定上限額(企業年金制度により月額2.75万円または5.5万円)を超えることもできません。例えば、企業拠出額が月額2万円の場合、従業員は最大で月額2万円までしか拠出できません。
iDeCoは、個人が自分で金融機関を選び、自分で掛金を拠出して運用する制度です。企業型DCとは別の口座で管理されるため、転職や退職をしても継続して利用できる点が大きなメリットです。
iDeCoの最大の特徴は、運用商品の選択肢が広いことです。自分で金融機関を選べるため、低コストのインデックスファンドや、企業型DCにはない商品を選ぶことができます。また、金融機関によっては、口座管理手数料が無料のところもあります。
マッチング拠出とiDeCoの主な違いを表で整理しました。どちらを選ぶべきか判断する際の参考にしてください。
| 項目 | マッチング拠出 | iDeCo |
| 掛金の上限額 | 企業拠出額まで(かつ合計が法定上限額まで) | 月額1.2万円または2万円 |
| 所得控除 | 全額所得控除 | 全額所得控除 |
| 運用商品 | 企業型DCと同じラインナップ | 自分で選んだ金融機関のラインナップ |
| 手数料 | 企業負担が一般的(従業員負担なし) | 加入者負担(月額171円~) |
| 口座管理 | 企業型DCと同じ口座 | 別口座(自分で管理) |
| 転職時の継続 | 転職先に企業型DCがない場合は継続不可 | 転職・退職後も継続可能 |
| 金融機関の選択 | 選択不可(企業が決定) | 自分で選択可能 |
この表からわかるように、マッチング拠出は手続きが簡単で手数料がかからない点がメリットですが、掛金の上限額が企業拠出額に制限される点がデメリットです。
一方、iDeCoは運用商品の選択肢が広く、転職後も継続できる点がメリットですが、手数料がかかる点と管理の手間がかかる点がデメリットです。
マッチング拠出とiDeCoのどちらを選ぶべきかは、以下のポイントを考慮して判断しましょう。
企業型DCとiDeCoを併用することで、さまざまなメリットが得られます。
特に、税制優遇を最大限に活用しながら、老後資金を効率的に準備できる点が大きな魅力です。ここでは、併用する主なメリットを5つ紹介します。
企業型DCだけでは掛金が不足していると感じる場合、iDeCoを併用することで掛金を増やすことができます。例えば、企業型DCの掛金が月額2万円の場合、iDeCoで月額2万円を追加すれば、合計で月額4万円を老後資金として積み立てられます。
長期的に見ると、この掛金の違いは大きな差になります。月額2万円を30年間積み立てた場合、元本だけで720万円になります。さらに、年率3%で運用できた場合、約1,160万円になる計算です。企業型DCとiDeCoを併用することで、より充実した老後資金を準備できるのです。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されます。例えば、年収600万円の人が月額2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出した場合、所得税率20%、住民税率10%として、年間約7.2万円の節税効果が期待できます。
この節税効果は、拠出を続ける限り毎年得られます。30年間続けた場合、累計で約216万円の節税になる計算です。これは、運用益とは別に得られるメリットなので、実質的な利回りを大きく向上させる効果があります。
企業型DCもiDeCoも、運用期間中の運用益は非課税です。通常、株式や投資信託で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、企業型DCとiDeCoで運用した場合、この税金がかかりません。
例えば、100万円を運用して10万円の利益が出た場合、通常の課税口座では約2万円の税金が引かれて手元に残るのは約8万円です。しかし、企業型DCやiDeCoで運用した場合は、10万円全額を再投資できます。この差は、長期的に複利効果を生み出し、最終的な資産額に大きな違いをもたらします。
企業型DCとiDeCoの資産を受け取る際にも、税制優遇があります。一時金として受け取る場合は退職所得控除が、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。これにより、受取時の税負担を軽減できます。
例えば、30年間積み立てた場合、退職所得控除は1,500万円となります(勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円)。一時金として受け取る金額がこの控除額以下であれば、税金はかかりません。受取時の税制優遇も考慮すると、企業型DCとiDeCoの併用は非常に効率的な資産形成手段と言えます。
企業型DCとiDeCoを併用することで、運用商品の選択肢が広がります。企業型DCは企業が選定した商品ラインナップから選ぶ必要がありますが、iDeCoは自分で金融機関を選べるため、より多様な商品から選択できます。
例えば、企業型DCでは国内株式や国内債券を中心に運用し、iDeCoでは海外株式や新興国株式など、企業型DCにはない商品を選ぶことで、より効果的な分散投資が可能になります。また、低コストのインデックスファンドを選ぶことで、運用効率を高めることもできます。
併用で気をつけたい4つのこと
企業型DCとiDeCoの併用には多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。
併用を始める前に、デメリットやリスクをしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、併用する際に気をつけたい4つのポイントを解説します。
企業型DCもiDeCoも、原則として60歳まで資産を引き出すことができません。これは、老後資金の準備を目的とした制度であるため、途中で引き出せないように設計されているからです。
この制約は、長期的な資産形成にはメリットとなりますが、急な出費が必要になった場合に対応できないというデメリットでもあります。例えば、住宅購入や子どもの教育費、病気や怪我などで大きな支出が必要になっても、企業型DCやiDeCoの資産は使えません。
そのため、企業型DCとiDeCoに拠出する金額は、60歳まで使わなくても生活に支障がない範囲に留めることが重要です。緊急時に備えた預貯金や、いつでも引き出せる資産も別に確保しておきましょう。家計全体のバランスを考えながら、適切な掛金額を設定することが大切です。
iDeCoに加入すると、口座開設時や運用期間中に手数料がかかります。国民年金基金連合会への手数料(加入時2,829円、毎月105円)や、金融機関への口座管理手数料(金融機関により異なる)、信託銀行への手数料(毎月66円)などが必要です。
金融機関によっては、口座管理手数料が無料のところもありますが、最低でも月額171円(国民年金基金連合会105円+信託銀行66円)の手数料がかかります。年間では約2,052円となり、長期的に見ると無視できない金額になります。
手数料を抑えるためには、口座管理手数料が無料の金融機関を選ぶことが重要です。また、低コストの運用商品(信託報酬が低いインデックスファンドなど)を選ぶことで、トータルのコストを抑えられます。手数料は運用成績に直接影響するため、金融機関選びの際には必ず確認しましょう。
企業型DCもiDeCoも、自分で運用商品を選ぶ必要があります。元本確保型の定期預金を選べばリスクは低いですが、インフレに負けて実質的な価値が目減りする可能性があります。一方、株式型の投資信託を選べば高いリターンが期待できますが、元本割れのリスクもあります。
特に、投資経験が少ない人にとっては、どの商品を選べばよいか判断が難しい場合もあります。リスクを取りすぎて大きな損失を出したり、逆にリスクを避けすぎて十分なリターンが得られなかったりする可能性があります。
運用商品を選ぶ際には、自分のリスク許容度や運用期間を考慮することが大切です。一般的には、長期・積立・分散投資の原則に従い、低コストのインデックスファンドを中心に分散投資することが推奨されています。不安な場合は、金融機関の相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法です。
企業型DCとiDeCoを併用すると、2つの制度を別々に管理する必要があります。それぞれの口座で運用商品を選び、資産配分を決め、定期的に見直すという作業が必要になります。
また、年に1回送られてくる運用報告書も2種類になるため、全体の資産状況を把握するのに手間がかかります。企業型DCとiDeCoで同じような商品を選んでしまい、結果的に分散投資になっていないというケースもあります。
管理の手間を減らすためには、企業型DCとiDeCoで役割分担をすることが有効です。例えば、企業型DCでは国内株式、iDeCoでは海外株式というように、異なる資産クラスに投資することで、自然と分散投資ができます。また、年に1回は両方の口座を確認し、全体のバランスを見直す習慣をつけましょう。
年収別の節税シミュレーション
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、年収によって節税効果が異なります。
ここでは、年収別に具体的な節税額をシミュレーションしてみましょう。自分の年収に近いケースを参考に、どのくらいの節税効果が期待できるか確認してください。
年収400万円の人が月額2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出した場合、所得税率は10%、住民税率は10%となります。所得税の軽減額は年間約2.4万円、住民税の軽減額は年間2.4万円で、合計約4.8万円の節税効果が期待できます。
30年間続けた場合、累計で約144万円の節税になります。月額2万円の拠出額(30年間で720万円)に対して、約144万円の節税効果があるということは、実質的な負担は約576万円となり、非常に効率的な資産形成と言えます。
年収600万円の人が月額2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出した場合、所得税率は20%、住民税率は10%となります。所得税の軽減額は年間約4.8万円、住民税の軽減額は年間2.4万円で、合計約7.2万円の節税効果が期待できます。
30年間続けた場合、累計で約216万円の節税になります。年収400万円の場合と比べて、所得税率が高いため、節税効果も大きくなります。高年収の人ほど、iDeCoの節税メリットを享受できると言えます。
年収800万円の人が月額2万円(年間24万円)をiDeCoに拠出した場合、所得税率は23%、住民税率は10%となります。所得税の軽減額は年間約5.52万円、住民税の軽減額は年間2.4万円で、合計約7.92万円の節税効果が期待できます。
30年間続けた場合、累計で約237.6万円の節税になります。年収が高いほど所得税率が高くなるため、iDeCoの節税効果も大きくなります。高年収の人にとって、iDeCoは非常に有利な資産形成手段です。
年収別の節税効果を表で整理しました。自分の年収に近いケースを参考にしてください。
| 年収 | 所得税率 | 住民税率 | 年間節税額(月額2万円拠出) | 30年間の累計節税額 |
| 400万円 | 10% | 10% | 約4.8万円 | 約144万円 |
| 600万円 | 20% | 10% | 約7.2万円 | 約216万円 |
| 800万円 | 23% | 10% | 約7.92万円 | 約237.6万円 |
この表からわかるように、年収が高いほど節税効果も大きくなります。ただし、節税効果だけでなく、60歳まで引き出せないという制約や、運用リスクも考慮して、適切な掛金額を設定することが重要です。
iDeCoにおすすめの証券会社5社
iDeCoを始めるには、運営管理機関となる金融機関を選ぶ必要があります。金融機関によって、口座管理手数料や取扱商品のラインナップが異なるため、自分に合った金融機関を選ぶことが重要です。
ここでは、iDeCoにおすすめの証券会社5社を紹介します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券は、iDeCoの取扱商品数が約90本と業界トップクラスです。低コストのインデックスファンドから、アクティブファンド、元本確保型商品まで、幅広い選択肢が用意されています。特に、eMAXIS Slimシリーズなど、信託報酬が低い人気商品が充実しているのが特徴です。
口座管理手数料は無料(国民年金基金連合会と信託銀行への手数料は別途必要)で、コストを抑えながら運用できます。また、運用商品の選び方や資産配分のアドバイスなど、サポート体制も充実しています。商品選択の自由度を重視する人や、低コストで運用したい人におすすめです。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券は、iDeCoの取扱商品数が約30本と厳選されたラインナップが特徴です。低コストのインデックスファンドを中心に、初心者でも選びやすい商品が揃っています。また、楽天ポイントを貯めたり使ったりできるため、楽天経済圏を利用している人に特におすすめです。
口座管理手数料は無料で、スマートフォンアプリも使いやすいと評判です。運用状況の確認や商品の変更もアプリで簡単にできるため、初めてiDeCoを始める人にも向いています。楽天カードや楽天銀行を利用している人は、ポイント還元などの特典も受けられます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券は、低コストのインデックスファンドが充実しているのが特徴です。eMAXIS Slimシリーズや、ニッセイインデックスファンドなど、信託報酬が業界最低水準の商品が多数取り揃えられています。コストを最小限に抑えて効率的に運用したい人におすすめです。
口座管理手数料は無料で、取扱商品数は約30本と厳選されています。また、ロボアドバイザーによる運用商品の提案サービスもあり、自分に合った商品を選びやすい環境が整っています。投資経験が少ない人でも、適切な商品選択ができるようサポートしてくれます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券は、サポート体制の手厚さが特徴です。電話やチャットでの相談窓口が充実しており、運用商品の選び方や資産配分について、専門スタッフに相談できます。iDeCoが初めてで不安がある人や、運用について相談しながら進めたい人におすすめです。
口座管理手数料は無料で、取扱商品数は約40本です。低コストのインデックスファンドを中心に、バランス型ファンドなども用意されています。また、運用状況のレポートが分かりやすく、定期的に資産状況を確認しやすい点も魅力です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,800,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算 |
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 251銘柄(2025年4月時点) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄) |
| 投資信託 | 約1,853本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点) |
| 取引ツール(PC) | kabuステーション / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込) |
三菱UFJeスマート証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループの証券会社で、信頼性の高さが特徴です。iDeCoの取扱商品数は約30本で、低コストのインデックスファンドを中心に厳選されたラインナップとなっています。三菱UFJポイントが貯まるため、三菱UFJ銀行を利用している人に特におすすめです。
口座管理手数料は無料で、スマートフォンアプリも使いやすいと評判です。また、運用商品の選び方や資産配分について、Webサイト上で詳しい解説が提供されており、初心者でも理解しやすい内容になっています。大手金融グループの安心感を重視する人に向いています。
企業型DCとiDeCoの併用は、2022年10月の法改正により原則として可能になりました。併用するには、掛金の上限額を守ること、企業型DCが各月拠出であること、マッチング拠出を利用していないことの3つの条件を満たす必要があります。
掛金の上限額は企業年金制度によって異なり、企業型DCのみの場合はiDeCoに月額2万円まで、企業型DCとDBの両方に加入している場合は月額1.2万円まで拠出できます。マッチング拠出とiDeCoはどちらか一方しか選択できないため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
併用のメリットは、掛金を増やして老後資金を充実できること、所得控除による節税効果、運用益の非課税、受取時の税制優遇、運用商品の選択肢が広がることです。年収600万円の人が月額2万円を拠出した場合、年間約7.2万円、30年間で累計約216万円の節税効果が期待できます。
一方で、60歳まで引き出せないこと、iDeCoの手数料がかかること、運用商品の選択リスク、2つの制度を管理する手間といった注意点もあります。併用を始める際は、これらのデメリットも理解した上で、適切な掛金額を設定しましょう。
iDeCoを始める際は、口座管理手数料が無料で、低コストの運用商品が充実している証券会社を選ぶことが重要です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJeスマート証券などが、iDeCoにおすすめの証券会社として挙げられます。自分の投資スタイルや利用している金融サービスに合わせて、最適な証券会社を選びましょう。
企業型DCとiDeCoの併用は、税制優遇を最大限に活用しながら老後資金を準備できる有効な手段です。自分が併用条件を満たしているか確認し、マッチング拠出との比較も行った上で、適切な選択をしてください。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社や金融機関にご確認ください。
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