積立NISA下落時の対処法|売るべき?続けるべき?

老後資金に2,000万円が必要と言われる今、将来への不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、税制優遇を受けながら老後資金を準備できる制度として注目されています。
しかし、どの証券会社を選べばいいのか、どうやって始めればいいのか、迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、iDeCoにおすすめの証券会社5社を比較し、選び方のポイントから口座開設の流れまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
手数料の安さ、取扱銘柄数、サポート体制など、あなたに合った証券会社を見つけて、賢く老後資金を準備しましょう。
目次
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を積み立てて運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取る私的年金制度です。
公的年金に上乗せして老後資金を準備できるため、将来への備えとして多くの方が利用しています。
iDeCoの最大の特徴は、税制優遇の手厚さです。掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税、受取時にも控除が適用されるという3つの税制メリットがあります。
iDeCoは、加入者自身が金融機関、掛金額、運用商品を選んで運用する確定拠出年金制度です。
掛金は月額5,000円から1,000円単位で設定でき、職業によって上限額が異なります。
2024年12月の制度改正により、企業年金に加入している会社員や公務員の掛金上限額が月額1万2,000円から2万円に引き上げられました。ただし、企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額の合計が月額5万5,000円を超えることはできません。
iDeCoの掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。
仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。これは積み立てるだけで確実に得られるメリットです。
通常、金融商品を運用すると運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoなら非課税で再投資されます。
長期運用では複利効果により、この差が大きな金額になります。
iDeCoは年金か一時金で受取方法を選択できます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
iDeCoにおすすめの証券会社5社
iDeCoを始めるには、まず金融機関を選ぶ必要があります。
金融機関によって手数料、取扱銘柄数、サポート体制が異なるため、自分に合った証券会社を選ぶことが重要です。ここでは、手数料が安く、商品ラインナップが充実している主要な証券会社5社を紹介します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券の特徴
口座開設数約1,500万口座を誇る大手ネット証券
iDeCoでは約90本の投資信託を取り扱い
運営管理手数料は無条件で0円
信託報酬が低いeMAXIS Slimシリーズを8本取り扱い
5種類のポイントサービスから選択可能
SBI証券は口座開設数約1,500万口座を誇る大手ネット証券です。
iDeCoでは約90本の投資信託を取り扱っており、豊富な商品ラインナップが特徴です。
運営管理手数料は無条件で0円、信託報酬が低いeMAXIS Slimシリーズを8本取り扱うなど、コストを抑えた運用が可能です。
Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイントの5種類から選べるポイントサービスも魅力です。
2005年からiDeCoを提供している実績があり、口座開設は最短翌営業日と迅速です。
取扱商品数が多いため、自分に合った商品を選びやすく、初心者から上級者まで幅広い層におすすめできる証券会社です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券の特徴
約1,200万口座を持つ大手ネット証券
iDeCoでは約200本の投資信託を取り扱い
運営管理手数料は無条件で0円
楽天・プラスシリーズで低コスト運用が可能
楽天ポイントが貯まる仕組みあり
楽天証券は約1,200万口座を持つ大手ネット証券で、iDeCoでは約200本の投資信託を取り扱っています。
運営管理手数料は無条件で0円です。
2024年1月から楽天・プラスシリーズの「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」と「楽天・S&P500インデックス・ファンド」をiDeCoの商品ラインナップに追加し、さらに低コストでの運用が可能になりました。
楽天ポイントが貯まる仕組みもあり、楽天経済圏を利用している方には特にメリットが大きい証券会社です。
口座開設は最短翌営業日、土日も新規加入に関する問い合わせに応じているため、週末しか時間が取れない方でも安心して始められます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券の特徴
約160万口座を持つネット証券
iDeCoでは約40本の投資信託を取り扱い
運営管理手数料は無条件で0円
iDeCo口座の保有残高に応じてポイントが貯まる
電話サポートが充実
松井証券は約160万口座を持つネット証券で、iDeCoでは約40本の投資信託を取り扱っています。
運営管理手数料は無条件で0円です。
松井証券の特徴は、iDeCo口座で保有している投資信託の残高に応じてポイントが貯まるサービスです。
他社では特定口座やNISA口座のみが対象のことが多い中、iDeCo口座も対象となる数少ないネット証券です。
商品ラインナップはeMAXIS Slimシリーズと楽天バンガードシリーズの両方を扱っており、低コスト商品が充実しています。
口座開設は最短即日と迅速で、電話サポートも充実しているため、初心者の方でも安心して始められます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券の特徴
約270万口座を持つネット証券
iDeCoでは約217本のつみたてNISA対象ファンドを含む約1,800本の投資信託を取り扱い
運営管理手数料は無条件で0円
米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富
マネックス証券は約270万口座を持つネット証券で、iDeCoでは約217本のつみたてNISA対象ファンドを含む約1,800本の投資信託を取り扱っています。
運営管理手数料は無条件で0円です。
マネックス証券の特徴は、米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と豊富な点です。
iDeCoでも米国株式インデックスファンドを中心とした商品ラインナップが充実しています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,800,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算 |
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 251銘柄(2025年4月時点) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄) |
| 投資信託 | 約1,853本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点) |
| 取引ツール(PC) | kabuステーション / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込) |
三菱UFJeスマート証券の特徴
約40万口座を持つネット証券
iDeCoでは約250本のつみたてNISA対象ファンドを含む約1,800本の投資信託を取り扱い
運営管理手数料は無条件で0円
三菱UFJポイント(Pontaポイント)が貯まる
三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)は約40万口座を持つネット証券で、iDeCoでは約250本のつみたてNISA対象ファンドを含む約1,800本の投資信託を取り扱っています。
運営管理手数料は無条件で0円です。
三菱UFJeスマート証券の特徴は、三菱UFJポイント(Pontaポイント)が貯まる点です。
三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、安心感のあるサポート体制も魅力です。
ワンショット手数料コースと一日定額手数料コースの2つの手数料プランがあり、取引スタイルに合わせて選べます。
口座開設は3~5営業日、kabuステーション®をはじめとする16種類のPC向け取引ツールと7種類のモバイルアプリを提供しています。
iDeCoの金融機関を選ぶ3つのポイント
iDeCoは一度金融機関を選ぶと変更には手間とコストがかかるため、最初の選択が重要です。
ここでは、金融機関を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
iDeCoでは、口座管理手数料や加入手数料など、複数の手数料が存在します。
大手ネット証券は運営管理手数料が無条件で0円であり、口座管理手数料は最安になります。一方、みずほ銀行のように資産50万円以上という条件付きで無料になる金融機関もあります。
運営管理手数料が有料の金融機関では、月額数百円の手数料がかかります。仮に月額300円の場合、年間3,600円、30年間で10万8,000円もの差になります。長期運用が前提のiDeCoでは、この差が運用成績に大きく影響します。
SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券などの大手ネット証券は、無条件で運営管理手数料が0円です。
特別な理由がない限り、これらの証券会社から選ぶことをおすすめします。
投資信託は商品によって対象資産・地域・組入銘柄が異なり、リスクやリターンにも差があります。
投資信託の数や種類が多い証券会社なら多様な投資先を選択できるため、自身が許容できるリスクの商品や運用方針に納得できる商品などを選びやすいでしょう。
特に重要なのは、信託報酬が低い商品の充実度です。
信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっとかかる手数料で、年率0.1%~2%程度と商品によって大きく異なります。長期運用では、この差が数十万円から数百万円の違いになることもあります。
SBI証券ではeMAXIS Slimシリーズを8本取り扱っており、低コスト商品が充実しています。eMAXIS Slimシリーズは業界最低水準の信託報酬を目指すファンドシリーズで、長期運用に適しています。楽天証券も楽天・プラスシリーズを追加し、低コスト商品が充実しています。
iDeCoは制度が複雑で、初めて投資をする方にとってはわかりにくい部分も多くあります。
そのため、サポート体制の充実度も重要な選択基準です。
電話サポートの受付時間、チャット対応の有無、WEBサイトやアプリの使いやすさなどを確認しましょう。
SBI証券は土日も問い合わせに応じており、楽天証券も土日の新規加入相談に対応しています。
また、投資情報の提供やセミナーの開催なども、初心者にとっては有用なサポートです。
マーケットレポート、運用ガイド、動画コンテンツなどが充実している金融機関を選ぶと、投資の知識を深めながら運用できます。松井証券は電話サポートが手厚く、初心者でも安心して始められる体制が整っています。
iDeCoの手数料はいくら?
iDeCoでは、加入時、運用中、受取時にそれぞれ手数料がかかります。
手数料の仕組みを理解し、コストを抑えることが、将来受け取る金額を最大化するために重要です。
iDeCoに加入、または企業型確定拠出年金から移換する際に、2,829円の手数料が発生します。
支払先はiDeCoの運用元である国民年金基金連合会で、初回のみの支払です。
この手数料は初回の掛金から差し引かれるのが基本です。
企業型確定拠出年金から乗り換える場合は、これまで企業型確定拠出年金で積み立てた資産から差し引かれます。どの金融機関を選んでも同じ金額がかかる固定費用です。
口座管理手数料は、毎月支払う必要があります。
掛金を拠出している場合と拠出していない場合で、手数料が異なります。掛金を拠出している場合は、合計で171円の手数料が毎月発生します。
この171円の内訳は、国民年金基金連合会への加入者手数料105円と、事務委託先金融機関への事務委託手数料66円です。
これらはどの金融機関を選んでも必ずかかる費用です。
金融機関によって差が出るのが「運営管理手数料」です。SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券などの大手ネット証券は無条件で0円ですが、一部の金融機関では月額数百円かかります。30年間の積立期間で考えると、この差は10万円以上になることもあります。
iDeCoの資産を受け取る際にも手数料がかかります。
受取方法によって手数料が異なり、一時金として一括で受け取る場合は1回あたり440円程度、年金として分割で受け取る場合は受取のたびに440円程度かかります。
年金として受け取る場合、受取回数が多いほど手数料の総額が増えます。例えば、毎月受け取ると年間12回×440円=5,280円、10年間で5万2,800円の手数料がかかります。受取方法を検討する際は、手数料も考慮に入れましょう。
運営管理手数料の差が長期運用でどれくらいの影響を与えるか、具体例で見てみましょう。
運営管理手数料が月額0円の金融機関と月額300円の金融機関で、30年間運用した場合を比較します。
月額300円×12か月×30年=10万8,000円の差になります。さらに、この手数料分を年利3%で運用できていたと仮定すると、機会損失を含めた差はさらに大きくなります。
このように、一見小さな手数料の差でも、長期運用では大きな差になります。
運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶことが、将来受け取る金額を最大化するために重要です。
iDeCoのメリットは3つ
iDeCoの最大の魅力は、3つの段階で受けられる税制優遇です。
ここでは、それぞれの税制メリットを具体的な数値例とともに解説します。
掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。
具体例を見てみましょう。年収500万円の会社員が毎月2万円をiDeCoに拠出した場合、年間24万円が所得控除の対象となります。
所得税率10%、住民税率10%とすると、年間4万8,000円の税負担が軽減されます。30年間継続すると、144万円もの税負担軽減効果があります。
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoなら非課税で再投資されます。
この運用益非課税のメリットは、長期運用ほど大きくなります。
具体例で比較してみましょう。毎月2万円を年利3%で30年間運用した場合、元本は720万円、運用益は約440万円、合計約1,160万円になります。
通常の課税口座では、運用益440万円に対して約89万円(20.315%)の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税です。
この約89万円をさらに運用できることで、複利効果により資産がより大きく成長します。
長期運用を前提とするiDeCoでは、運用益非課税のメリットが非常に大きいと言えます。
年金として受取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
どちらの受取方法を選んでも、一定額までは非課税で受け取れます。
一時金として受け取る場合は、会社の退職金と同じ扱いになります。
原則、iDeCoの受給額と会社の退職金とを合算した金額から「退職所得控除」を差し引き、その金額の2分の1が課税対象になります。退職所得控除は、勤続年数20年までは1年につき40万円、20年を超える年数は1年につき70万円です。
年金として受給する場合は「雑所得」となり、公的年金があれば合算した上で「公的年金等控除」を差し引いて課税対象の所得を計算します。公的年金等控除は、65歳未満なら最低で年60万円、65歳以上は最低年110万円です。年金で受け取る場合、注意したいのは社会保険料です。課税される雑所得が増えると、国民健康保険料や介護保険料が高くなる可能性があります。
iDeCoで気をつけたい3つのこと
iDeCoには多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。
ここでは、iDeCoを始める前に知っておきたい3つの注意点を解説します。
iDeCoの最大の注意点は、原則として60歳まで引き出すことができないことです。これは老後資金を確実に準備するための制度設計ですが、急な出費が必要になった場合でも引き出せません。
結婚、出産、住宅購入、子どもの教育費など、人生にはさまざまな資金ニーズがあります。
iDeCoに拠出した資金は60歳まで使えないため、生活費や近い将来の資金ニーズに影響しない範囲で掛金を設定することが重要です。
掛金は年1回変更できますし、一時的に拠出を停止することも可能です。
ただし、拠出を停止しても口座管理手数料はかかり続けます。また、長期・積立・分散投資の効果を最大限享受するには、可能な限り継続して拠出することが望ましいでしょう。
iDeCoで投資信託を選択した場合、運用成績によっては元本割れのリスクがあります。定期預金など元本確保型商品を選べば元本割れは避けられますが、インフレリスクや低い運用益により、実質的な資産価値が目減りする可能性があります。
投資信託は株式や債券に投資するため、市場環境によって価格が変動します。
短期的には大きく値下がりすることもありますが、長期・積立・分散投資により、リスクを抑えながらリターンを狙うことができます。
iDeCoは20年、30年という長期運用が前提の制度です。
短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で資産形成を行うことが大切です。リスク許容度に応じて、株式中心、バランス型、債券中心など、自分に合った商品を選びましょう。
iDeCoでは、加入時に2,829円、運用中は毎月171円以上の手数料がかかります。
さらに、投資信託を選択した場合は信託報酬も負担する必要があります。
少額の掛金で運用すると、手数料の割合が大きくなり、手数料負けする可能性があります。
例えば、月5,000円を定期預金(金利0.01%)で運用した場合、年間の運用益は約6円ですが、口座管理手数料は年間2,052円(171円×12か月)かかります。
ただし、税制優遇を考慮すれば、手数料を上回るメリットがあります。月5,000円の拠出で年間6万円が所得控除され、所得税率5%、住民税率10%とすると年間9,000円の税負担が軽減されます。手数料を差し引いても、約6,900円のメリットがあります。
手数料負けを避けるには、ある程度の掛金額で運用し、低コストの投資信託を選ぶことが重要です。
iDeCoを始めるには、金融機関で専用口座を開設する必要があります。
ここでは、口座開設から運用開始までの具体的な手順を解説します。
まず、iDeCoを取り扱っている金融機関を選びます。
銀行、証券会社、生命保険会社など、さまざまな金融機関がiDeCoを提供していますが、手数料と商品ラインナップの観点から、大手ネット証券がおすすめです。
SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券などは、運営管理手数料が無条件で0円、取扱商品数が多く、低コスト商品が充実しています。
各社の公式サイトで商品ラインナップや手数料を確認し、自分に合った金融機関を選びましょう。
金融機関を決めたら、公式サイトから申込書類を請求します。
多くの金融機関では、WEBサイトから必要事項を入力すると、郵送で申込書類一式が届きます。SBI証券や楽天証券では、オンラインで申込手続きを完結できる場合もあります。
2024年12月から、個人口座から掛金を拠出する場合、会社員・公務員の方でも勤務先に申請することなく、iDeCoに加入できるようになりました。従来必要だった事業主証明書の提出が不要になり、より簡単に加入できるようになっています。
申込には、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、基礎年金番号がわかる書類(年金手帳、基礎年金番号通知書など)、金融機関の口座情報(掛金引落用)が必要です。
マイナンバーカードを持っている場合、本人確認書類としてマイナンバーカードのコピーを提出すれば、他の書類は不要です。
基礎年金番号は、年金手帳や「ねんきん定期便」で確認できます。
申込書類に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーとともに返送します。
記入漏れや不備があると審査に時間がかかるため、丁寧に記入しましょう。
書類が金融機関に到着後、国民年金基金連合会での審査が行われます。
審査には1~2か月程度かかることが一般的です。審査完了後、口座開設完了の通知とログインIDが郵送で届きます。
口座開設が完了したら、運用商品を選びます。
金融機関から送られてくる商品一覧やWEBサイトで、各商品の特徴、リスク、リターン、信託報酬などを確認しましょう。
初めて投資をする方は、バランス型ファンド(株式と債券に分散投資するファンド)から始めるのもおすすめです。
慣れてきたら、年代やリスク許容度に応じて、株式中心、債券中心など、配分を調整していきましょう。商品は後から変更できるため、まずは始めることが大切です。
iDeCoでは、自分で運用商品を選ぶ必要があります。
年代によってリスク許容度が異なるため、ここでは年代別のおすすめ商品選択例を紹介します。
具体的には、全世界株式インデックスファンドや先進国株式インデックスファンドを中心に、ポートフォリオの70~100%を株式に配分します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなどが代表的な商品です。
信託報酬が年0.1%未満の低コスト商品を選ぶことが重要です。20代で月2万円を年利5%で運用した場合、30年後には約1,664万円になる計算です。積極的な運用で複利効果を最大限活用しましょう。
NISAとの違いは?
iDeCoとNISAはどちらも税制優遇のある制度ですが、目的や制度内容が異なります。
ここでは、両制度の違いと併用時のポイントを解説します。
iDeCoとNISA(少額投資非課税制度)はともに個人が利用できる制度ですが、その目的や制度の内容は異なります。
iDeCoはNISAと異なり、掛金が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減される一方、老後生活のための制度であるため、原則60歳以降にならないと受け取ることができません。
NISAは、資産運用の利益(売却益や配当)が非課税になる制度で、自由に売却して資金を引き出すことが可能です。
新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計年間360万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,800万円です。
iDeCoは掛金が全額所得控除される点が最大のメリットですが、60歳まで引き出せません。
NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せる柔軟性がありますが、掛金の所得控除はありません。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
iDeCoとNISAの両方を利用することもできます。
例えば、iDeCoで老後の資産をじっくり育てつつ、NISAで中期的な資金ニーズに対応するという組み合わせも有効です。
併用する場合の掛金配分の考え方を紹介します。
まず、老後資金として確実に準備したい金額をiDeCoに配分します。税制優遇が大きいため、可能な範囲でiDeCoの掛金を優先することがおすすめです。
次に、住宅購入や教育費など、60歳より前に必要になる可能性がある資金はNISAで運用します。
NISAはいつでも引き出せるため、ライフイベントに柔軟に対応できます。
具体例として、年収500万円の30代会社員が月5万円を投資に回せる場合、iDeCoに月2万円(年間24万円)、NISAのつみたて投資枠に月3万円(年間36万円)という配分が考えられます。
iDeCoの所得控除で年間約4.8万円の税負担が軽減され、NISAでは運用益が非課税になります。ご自身の年収、家族構成、ライフプランに合わせて、最適な配分を検討しましょう。
iDeCoに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
加入を検討する際の参考にしてください。
はい、2022年10月以降、企業型DCに加入している方でもiDeCoを併用できるようになりました。
ただし、企業型DCでマッチング拠出(加入者掛金拠出)を利用している場合は、iDeCoに加入できません。
また、企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額の合計が月額5万5,000円を超える場合、iDeCoの掛金を拠出できなくなることがあります。
ご自身の掛金上限額は、勤務先の人事部または企業型DCの運営管理機関に確認しましょう。
はい、掛金額は年1回変更できます。
変更したい場合は、金融機関に「加入者掛金額変更届」を提出します。変更は、提出月の翌月または翌々月から反映されます。
また、掛金の拠出を一時的に停止することも可能です。
ただし、拠出を停止しても口座管理手数料はかかり続けます。iDeCoは長期・積立・分散投資の効果を享受する制度のため、可能な限り継続して拠出することが望ましいでしょう。収入が減少した場合は、掛金を減額して継続することも検討しましょう。
はい、金融機関は途中で変更できます。
ただし、変更には手間とコストがかかります。変更手続きには2~3か月かかり、変更時に4,400円程度の手数料がかかります。
また、変更前の金融機関で保有していた商品はすべて売却され、現金化されてから新しい金融機関に移管されます。
市場環境によっては、売却時に損失が出る可能性もあります。金融機関の変更は慎重に検討し、最初の選択を大切にしましょう。
はい、国民年金の第3号被保険者である専業主婦(夫)の方もiDeCoに加入できます。
掛金の上限額は月額2万3,000円(年額27万6,000円)です。
ただし、専業主婦(夫)の方は所得がないため、掛金の所得控除によるメリットは受けられません。
運用益非課税と受取時の控除というメリットはありますが、NISAと比較して検討することをおすすめします。世帯全体で考えると、所得のある配偶者がiDeCoに加入する方が、税制メリットは大きくなります。
はい、iDeCoの資産は「年金」「一時金」「年金と一時金の併用」から受取方法を選べます(金融機関によっては併用できない場合もあります)。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
どちらが有利かは、退職金の額、公的年金の額、その他の所得などによって異なります。
受取時期が近づいたら、税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、最適な受取方法を検討することをおすすめします。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除され、運用益も非課税、受取時にも控除が適用されるという3つの税制優遇が魅力の私的年金制度です。
公的年金に上乗せして老後資金を準備でき、長期的な資産形成に適しています。
金融機関選びでは、運営管理手数料が無料、取扱銘柄数が多く、低コスト商品が充実している証券会社を選ぶことが重要です。
SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、三菱UFJeスマート証券などの大手ネット証券がおすすめです。手数料の差は長期運用で大きな金額になるため、最初の選択を慎重に行いましょう。
運用商品は、年代やリスク許容度に応じて選びます。
20代・30代は株式中心、40代はバランス型、50代は債券の比率を高めるなど、ライフステージに合わせて調整することが大切です。信託報酬が低い商品を選び、長期・積立・分散投資の効果を最大限活用しましょう。
iDeCoは60歳まで引き出せない、元本割れのリスクがある、手数料がかかるといった注意点もあります。
これらを理解したうえで、生活費や近い将来の資金ニーズに影響しない範囲で、無理のない掛金額で始めることが重要です。NISAとの併用も検討し、老後資金と中期的な資金ニーズの両方に対応できる資産形成を目指しましょう。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、ご自身の投資目的やリスク許容度、ライフプランに合わせて、慎重にご検討ください。詳しくは各証券会社または専門家にご相談ください。
この記事のキーワード
キーワードがありません。
この記事を見た方はこんな記事も見ています
この記事と同じキーワードの記事
まだ記事がありません。
キーワードから探す
カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ
そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!