積立NISAはどこがいい?証券会社の選び方とおすすめ5社

積立NISAはどこがいい?証券会社の選び方とおすすめ5社

積立NISAを始めたいけれど、証券会社がたくさんあってどこを選べばいいか迷っていませんか。

結論から言うと、積立NISAにおすすめの証券会社は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・三菱UFJeスマート証券の5社です。

それぞれ取扱銘柄数、手数料、ポイント還元率、サポート体制などに特徴があり、あなたの投資スタイルや利用している経済圏によって最適な選択肢が変わります。

この記事では、各証券会社の特徴を比較しながら、あなたに合った証券会社の選び方を詳しく解説します。

口座開設から初回購入までの流れ、投資額別のシミュレーション、よくある失敗例まで網羅しているので、この記事を読めば安心して積立NISAを始められます。

この記事の要約
  • 積立NISAにおすすめの証券会社は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・三菱UFJeスマート証券の5社
  • 証券会社選びのポイントは、取扱銘柄数・手数料・クレカ積立のポイント還元率・アプリの使いやすさ・サポート体制の5つ
  • 積立NISAは年間120万円まで非課税で投資でき、長期・積立・分散投資で資産形成をサポートする制度
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

積立NISAにおすすめの証券会社5社

積立NISAを始めるなら、まずは証券会社選びが重要です。ここでは、取扱銘柄数や手数料、ポイント還元率などを総合的に評価し、おすすめの証券会社5社をご紹介します。

SBI証券|銘柄数と手数料で選ぶなら

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

SBI証券の特徴

つみたて投資枠対象の投資信託が約271本と業界トップクラス

口座開設数は約1,500万口座を超え、多くの投資家に選ばれている

クレカ積立で三井住友カード利用時、カードのランクに応じて0.5%~5.0%のポイント還元

SBI証券は、つみたて投資枠対象の投資信託が約271本と業界トップクラスの品揃えを誇ります。投資信託の保有残高に応じてVポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイントのいずれかが貯まる点も魅力です。

口座開設数は約1,500万口座を超え、多くの投資家に選ばれています。クレカ積立では三井住友カードを利用でき、カードのランクに応じて0.5%~5.0%のポイント還元を受けられます。

楽天証券|楽天ポイントを貯めたいなら

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券の特徴

楽天経済圏を利用している方に最適

楽天カードでクレカ積立をすると楽天ポイントが貯まる

貯まった楽天ポイントは投資信託の購入にも使える

楽天証券は、楽天経済圏を利用している方に最適な証券会社です。楽天カードでクレカ積立をすると、積立額に応じて楽天ポイントが貯まります。

貯まった楽天ポイントは投資信託の購入にも使えるため、ポイントを無駄なく資産形成に活用できます。つみたて投資枠対象の投資信託は約200本で、初心者でも選びやすい厳選されたラインナップです。取引ツール「MARKET SPEED Ⅱ」は高機能で使いやすく、投資情報も充実しています。

マネックス証券|クレカ積立の還元率重視なら

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

マネックス証券の特徴

クレカ積立のポイント還元率が1.1%と主要ネット証券の中でも高い水準

米国株の取扱銘柄も約5,000銘柄と豊富

将来的に米国株投資も検討している方に最適

マネックス証券の最大の特徴は、クレカ積立のポイント還元率の高さです。マネックスカードで積立投資をすると、積立額の1.1%がマネックスポイントとして還元されます。

つみたて投資枠対象の投資信託は約217本で、米国株の取扱銘柄も約5,000銘柄と豊富です。将来的に米国株投資も検討している方にとって、一つの口座で幅広い投資ができるメリットがあります。

松井証券|初心者向けサポート重視なら

松井証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,670,000口座 ※2025年3月時点
取引手数料 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料
NISA対応 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上)
投資信託 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点)
取引ツール(PC) ネットストック・ハイスピード(無料)
スマホアプリ 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料)
提携銀行口座 MATSUI Bank(松井証券専用銀行)
ポイント投資・付与 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込)

松井証券の特徴

初心者向けのサポート体制が充実

電話サポートは平日だけでなく土日も対応

25歳以下なら現物取引・信用取引の手数料が無料

松井証券は、初心者向けのサポート体制が充実している証券会社です。電話サポートは平日だけでなく土日も対応しており、投資の疑問や不安をすぐに相談できます。

25歳以下なら現物取引・信用取引の手数料が無料になる点も魅力です。つみたて投資枠対象の投資信託は約250本で、初心者でも迷わず選べるよう、おすすめ銘柄の情報提供も充実しています。投資が初めての方でも安心して始められる環境が整っています。

三菱UFJeスマート証券|au経済圏利用者なら

三菱UFJ eスマート証券のLP画像
項目 内容
口座数 約1,800,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【ワンショット手数料コース】 約定代金5万円以下:55円(税込) 約定代金50万円超:1,070円(税込)【一日定額手数料コース】 1日100万円まで:0円 1日300万円まで:2,750円(税込) 以降300万円ごとに:2,750円(税込)加算
NISA対応 〇(日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 251銘柄(2025年4月時点)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 投資信託(1,155銘柄)
投資信託 約1,853本(購入時手数料すべて無料)
外国株 米国株:約1,050銘柄(2025年4月時点)
取引ツール(PC) kabuステーション / 銘柄スカウター
スマホアプリ 三菱UFJ eスマート証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 三菱UFJ銀行 / auじぶん銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード 最短翌営業日(スマートフォンによるオンライン申込)

三菱UFJeスマート証券の特徴

au経済圏を利用している方におすすめ

auカブコムFXやauじぶん銀行との連携で取引条件が優遇

プチ株®という単元未満株取引サービスで少額から個別株投資が可能

三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)は、au経済圏を利用している方におすすめの証券会社です。auカブコムFXやauじぶん銀行との連携で、取引条件が優遇されます。

つみたて投資枠対象の投資信託は約250本で、三菱UFJポイントが貯まります。一日定額手数料コースなら、現物取引・信用取引合わせて1日100万円まで手数料無料です。プチ株®という単元未満株取引サービスもあり、少額から個別株投資を始めたい方にも適しています。

比較表|5社の特徴を一覧でチェック

証券会社 つみたて投資枠対象商品数 クレカ積立還元率 貯まるポイント 口座開設数 特徴
SBI証券 約271本 0.5%~5.0% Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイント 約1,500万口座 銘柄数・口座数ともに業界トップクラス
楽天証券 約200本 0.5%~1.0% 楽天ポイント 約1,200万口座 楽天経済圏でポイントが貯まりやすい
マネックス証券 約217本 1.1% マネックスポイント、dポイント 約270万口座 クレカ積立の還元率が高い水準
松井証券 約250本 対応なし 松井証券ポイント 約160万口座 初心者向けサポートが充実、25歳以下は手数料無料
三菱UFJeスマート証券 約250本 1.0% 三菱UFJポイント 約40万口座 au経済圏利用者に有利、単元未満株取引可能

積立NISA(つみたて投資枠)とは?

積立NISAは、2024年から始まった新NISA制度の「つみたて投資枠」を指す通称です。長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、投資初心者でも安心して資産形成を始められる仕組みが整っています。

年間120万円まで非課税で投資できる制度

つみたて投資枠では、年間120万円まで投資でき、その運用益が非課税になります。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すればこの税金が一切かかりません。

非課税保有期間は無期限なので、長期間保有して複利効果を最大限に活用できます。

金融庁「NISA特設ウェブサイト」

たとえば、毎月1万円を積み立てて年間12万円投資し、20年後に運用益が100万円出た場合、通常なら約20万円の税金がかかりますが、NISA口座なら全額非課税です。この差は長期投資になるほど大きくなり、資産形成に大きな影響を与えます。

つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託とETFに限定されています。販売手数料が無料(ノーロード)で、信託報酬も低水準の商品が厳選されているため、初心者でも安心して選べます。

つみたて投資枠と成長投資枠の違い

新NISA制度には、つみたて投資枠と成長投資枠の2つがあり、それぞれ投資できる商品や年間投資枠が異なります。つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで投資でき、両方を併用することも可能です。

合計で年間360万円まで投資できますが、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。

金融庁「新しいNISA」

つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した投資信託・ETFが対象です。一方、成長投資枠は個別株やREIT、より幅広い投資信託が対象で、一括購入も可能です。

投資初心者はまずつみたて投資枠から始め、慣れてきたら成長投資枠も活用するのがおすすめです。両方の枠を使う場合、つみたて投資枠で毎月コツコツ積立投資をしながら、成長投資枠でボーナス時に追加投資をするといった使い分けができます。

どんな人に向いている?

積立NISAは、以下のような方に特に向いています。

  • 投資初心者で、何から始めればいいか分からない方
  • 少額から無理なく投資を始めたい方(月1,000円から可能)
  • 老後資金や教育資金など、長期的な資産形成を考えている方
  • 投資に時間をかけられない方(自動積立で手間いらず)
  • リスクを抑えながら資産を増やしたい方

積立NISAは、定期的に一定額を投資する「ドルコスト平均法」により、購入価格を平準化できます。株価が高いときは少なく、安いときは多く購入できるため、高値掴みのリスクを分散できます。

また、金融庁が厳選した低コストの商品に限定されているため、商品選びで失敗しにくい点も初心者に向いている理由です。

金融庁「投資の基本」

証券会社を選ぶ5つのポイント

積立NISAを始める証券会社を選ぶ際、チェックすべきポイントは5つあります。これらを理解しておけば、自分に最適な証券会社を見つけられます。

①取扱銘柄数|選択肢の多さを確認

つみたて投資枠で購入できる投資信託の数は、証券会社によって異なります。SBI証券は約271本、楽天証券は約200本、マネックス証券は約217本と、主要ネット証券でも差があります。

銘柄数が多いほど選択肢が広がり、自分の投資方針に合った商品を見つけやすくなります。ただし、初心者の場合は銘柄数が多すぎると迷ってしまうこともあるため、厳選された商品から選べる証券会社も選択肢の一つです。

②手数料|つみたて投資枠と成長投資枠で違う

つみたて投資枠で購入する投資信託は、どの証券会社でも購入時手数料が無料(ノーロード)です。ただし、保有中にかかる信託報酬は商品ごとに異なります。

一方、成長投資枠で個別株を購入する場合、証券会社によって売買手数料が異なります。SBI証券や楽天証券は現物取引の手数料が原則無料ですが、他の証券会社では手数料がかかる場合もあります。将来的に成長投資枠も利用する予定なら、手数料体系を確認しておきましょう。

③クレカ積立のポイント還元率|実質的な利益

クレジットカードで積立投資をすると、カード会社のポイントが貯まります。このポイント還元率は証券会社とカードの組み合わせによって異なります。

マネックス証券とマネックスカードの組み合わせは1.1%、SBI証券と三井住友カードは0.5%~5.0%(カードのランクによる)、楽天証券と楽天カードは0.5%~1.0%です。

月5万円を積み立てる場合、還元率1.1%なら年間6,600円分のポイントが貯まり、これは実質的な利益と言えます。

④アプリの使いやすさ|続けやすさに直結

投資を長く続けるためには、使いやすいアプリやツールが重要です。SBI証券の「SBI証券アプリ」、楽天証券の「iSPEED」、マネックス証券の「マネックス証券アプリ」など、各社が独自のアプリを提供しています。

画面の見やすさ、操作のしやすさ、情報の充実度などを比較し、自分にとって使いやすいアプリを選びましょう。多くの証券会社は口座開設前でもデモ画面を確認できるので、事前にチェックすることをおすすめします。

⑤サポート体制|初心者は特に重要

投資初心者にとって、サポート体制の充実度は重要なポイントです。松井証券は土日も電話サポートに対応しており、疑問をすぐに解決できます。

SBI証券や楽天証券もチャットサポートや電話サポートを提供していますが、対応時間は平日のみの場合が多いです。また、投資情報やセミナー、動画コンテンツの充実度も確認しましょう。初心者向けの学習コンテンツが豊富な証券会社を選べば、投資の知識を身につけながら資産形成を進められます。

あなたに合った証券会社の選び方フローチャート

以下の質問に答えて、自分に最適な証券会社を見つけましょう。

  • Q1: 楽天経済圏(楽天カード・楽天市場など)を利用していますか? → YES: 楽天証券がおすすめ
  • Q2: au経済圏(auカブコムFX・auじぶん銀行など)を利用していますか? → YES: 三菱UFJeスマート証券がおすすめ
  • Q3: クレカ積立のポイント還元率を最優先しますか? → YES: マネックス証券がおすすめ
  • Q4: 投資初心者で手厚いサポートが必要ですか? → YES: 松井証券がおすすめ
  • Q5: 銘柄数が多く、将来的に米国株投資も検討していますか? → YES: SBI証券がおすすめ

積立NISAを始める前に知っておきたい3つのこと

積立NISAを始める前に、投資のリスクや制度の特徴を正しく理解しておくことが大切です。ここでは、初心者が知っておくべき3つの重要なポイントを解説します。

元本割れのリスクはある|長期投資で軽減

積立NISAは投資信託への投資なので、元本割れのリスクがあります。市場環境によっては、投資した金額を下回る可能性があることを理解しておく必要があります。

ただし、長期・積立・分散投資を続けることで、リスクを軽減できます。金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資した場合、保有期間が5年では元本割れの可能性がありますが、20年保有すればプラスのリターンになる確率が高まります

積立NISAは長期投資を前提とした制度なので、短期的な価格変動に一喜一憂せず、じっくり続けることが重要です。リスクを抑えるためには、複数の資産クラス(国内株式・外国株式・債券など)に分散投資するバランス型の投資信託を選ぶのも一つの方法です。

途中で解約・売却できる|ペナルティなし

積立NISAは、iDeCoと違って途中で解約・売却してもペナルティはありません。急な出費が必要になった場合や、ライフプランの変更があった場合でも、いつでも売却して現金化できます。

ただし、売却した分の非課税枠は再利用できないため、できるだけ長期保有することをおすすめします。

売却のタイミングは自由ですが、短期的な価格変動で慌てて売却すると、損失が確定してしまうことがあります。市場が下落している時期でも、長期的には回復する可能性が高いため、焦らず保有を続けることが資産形成の成功につながります。

また、積立を一時停止することも可能です。経済状況が厳しくなった場合は、積立額を減らしたり、一時的に停止したりして、無理なく続けられる範囲で調整しましょう。

確定申告は基本不要|特定口座(源泉徴収あり)なら

NISA口座で得た利益は非課税なので、確定申告は不要です。また、証券会社で口座開設する際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すれば、NISA口座以外の取引でも、証券会社が自動的に税金を計算・納付してくれるため、確定申告の手間がかかりません。

国税庁「株式等の譲渡所得等の課税」

ただし、以下のケースでは確定申告が必要になる場合があります。

  • 複数の証券会社で取引しており、損益通算をしたい場合
  • 特定口座(源泉徴収なし)または一般口座を選択した場合
  • 配当控除や外国税額控除を受けたい場合

初心者の方は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しておけば、税金の手続きで困ることはほとんどありません。

口座開設から初回購入までの流れ

積立NISAを始めるための具体的な手順を、口座開設から初回購入まで順を追って解説します。初めての方でも迷わず進められるよう、各ステップのポイントをまとめました。

①口座開設に必要な書類を準備

必要な書類

本人確認書類
  • 運転免許証
  • パスポート
  • 健康保険証
マイナンバー確認書類
  • マイナンバーカード
  • 通知カード
  • マイナンバー記載の住民票

証券口座を開設するには、本人確認書類とマイナンバー確認書類が必要です。マイナンバーカードがあれば、本人確認とマイナンバー確認が一度に済むため便利です。

②オンラインで申し込み|最短翌営業日

証券会社の公式サイトから口座開設の申し込みを行います。氏名・住所・生年月日などの基本情報を入力し、本人確認書類をスマートフォンで撮影してアップロードします。

多くの証券会社では、オンライン本人確認(eKYC)に対応しており、最短で翌営業日に口座開設が完了します。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券はいずれも最短翌営業日、三菱UFJeスマート証券は3~5営業日で開設できます。

③初期設定|NISA口座の選択

NISA口座は1人1口座しか開設できないため、すでに他の証券会社でNISA口座を持っている場合は、変更手続きが必要です。

証券口座が開設されたら、ログインして初期設定を行います。NISA口座を開設する際は、「つみたて投資枠」を選択します。また、特定口座(源泉徴収あり)を選択しておくと、税金の手続きが不要になります。

④銘柄を選んで積立設定|月1000円から可能

NISA口座が開設されたら、投資する銘柄を選びます。初心者の方は、国内外の株式や債券に分散投資するバランス型の投資信託がおすすめです。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」などが人気です。銘柄を選んだら、毎月の積立額と積立日を設定します。多くの証券会社では月1,000円から積立可能です。

⑤クレカ積立の設定方法

クレジットカードで積立投資をする場合は、カード情報を登録します。SBI証券なら三井住友カード、楽天証券なら楽天カード、マネックス証券ならマネックスカードを登録します。

カード情報を登録したら、積立設定画面で「クレジットカード決済」を選択し、積立額を設定します。クレカ積立は毎月1回、指定日に自動的に買付が行われ、カード会社のポイントが貯まります。

投資額別シミュレーション|20年後いくらになる?

積立NISAで毎月一定額を積み立てた場合、20年後にどのくらいの資産になるのか、具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。ここでは年利5%で運用した場合を想定しています。

月1万円積立の場合|元本240万円→約330万円

毎月1万円を20年間積み立てると、元本は240万円になります。年利5%で運用できた場合、20年後の資産は約330万円に増えます。

運用益は約90万円で、元本の約1.4倍です。月1万円なら無理なく続けられる金額なので、投資初心者の方にもおすすめです。

月3万円積立の場合|元本720万円→約990万円

毎月3万円を20年間積み立てると、元本は720万円になります。年利5%で運用できた場合、20年後の資産は約990万円に増えます。

運用益は約270万円で、元本の約1.4倍です。月3万円の積立なら、老後資金の準備として十分な金額を目指せます。

月5万円積立の場合|元本1200万円→約1650万円

毎月5万円を20年間積み立てると、元本は1,200万円になります。年利5%で運用できた場合、20年後の資産は約1,650万円に増えます。

運用益は約450万円で、元本の約1.4倍です。月5万円の積立は、つみたて投資枠の年間上限(120万円)をほぼ使い切る金額です。余裕資金がある方は、成長投資枠も併用してさらに資産を増やすことも検討できます。

月積立額 20年後の元本 20年後の資産(年利5%) 運用益
1万円 240万円 約330万円 約90万円
3万円 720万円 約990万円 約270万円
5万円 1,200万円 約1,650万円 約450万円

上記はあくまでシミュレーションであり、実際の運用成績を保証するものではありません。市場環境によっては、元本を下回る可能性もあります。

よくある失敗例と対策

積立NISAを始めた方が陥りがちな失敗例と、その対策をご紹介します。事前に知っておくことで、同じ失敗を避けられます。

値下がりでパニック売り|長期視点を持つ

投資を始めたばかりの頃は、株価が下がると不安になり、損失を確定させてしまうことがあります。しかし、短期的な値下がりは市場では日常的に起こることで、長期的には回復する可能性が高いです。

積立NISAは長期投資を前提とした制度なので、一時的な値下がりに動揺せず、淡々と積立を続けることが成功の秘訣です。過去のデータを見ても、20年以上の長期投資ではプラスのリターンになる確率が高いことが分かっています。

銘柄を頻繁に変更|コストと手間が増える

投資信託の成績が思わしくないと感じて、頻繁に銘柄を変更する方がいますが、これはおすすめできません。銘柄を変更すると、売却時に利益が出ていれば税金がかかり(NISA口座内では非課税ですが、売却した枠は再利用できません)、さらに新しい銘柄を購入する手間もかかります。

投資信託は短期的には成績がばらつきますが、長期的には市場平均に近づく傾向があります。最初に選んだ銘柄を信じて、長期保有することが大切です。

複数の証券会社で口座開設|NISA口座は1社のみ

NISA口座は1人1口座しか開設できません。複数の証券会社で口座開設しようとすると、手続きが複雑になり、時間がかかります。

また、一度NISA口座を開設した証券会社を変更する場合、年単位でしか変更できないため、慎重に選ぶ必要があります。最初から自分に合った証券会社を選び、1社に絞って口座開設することをおすすめします。

成長投資枠で高リスク商品|初心者は慎重に

新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できますが、初心者の方が成長投資枠で高リスクの個別株やレバレッジ型ETFに投資するのはリスクが高いです。

まずはつみたて投資枠で分散投資の投資信託に慣れてから、成長投資枠を活用することをおすすめします。成長投資枠を使う場合も、リスクの低い商品から始め、徐々に投資の幅を広げていくのが安全です。

よくある質問

積立NISAに関してよく寄せられる質問と、その回答をまとめました。

途中で証券会社を変更できる?

NISA口座は年単位で証券会社を変更できます。ただし、変更したい年の前年10月1日から変更手続きを開始する必要があります。

また、変更前の証券会社で購入した商品は、変更後も非課税で保有し続けられますが、新たな買付はできません。変更手続きには時間がかかるため、最初から自分に合った証券会社を選ぶことが重要です。

銀行とネット証券どちらがいい?

取扱商品数や手数料の面では、ネット証券の方が有利です。銀行でもNISA口座を開設できますが、取扱商品数が少なく、対面サポートが必要な場合以外はネット証券をおすすめします。

SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券は、商品数が豊富で手数料も低く、オンラインサポートも充実しています。

積立を一時停止できる?

積立NISAの積立は、いつでも一時停止できます。経済状況が厳しくなった場合や、一時的に資金が必要になった場合は、積立額を減らしたり、停止したりすることが可能です。再開もいつでもできるので、無理なく続けられる範囲で調整しましょう。

複数の銘柄に投資できる?

積立NISAでは、複数の投資信託に同時に投資できます。たとえば、国内株式型、外国株式型、バランス型の3つの投資信託に分散投資することも可能です。ただし、初心者の方は銘柄を増やしすぎると管理が複雑になるため、1~3銘柄程度に絞るのがおすすめです。

ボーナス月だけ増額できる?

多くの証券会社では、ボーナス月に積立額を増額する設定ができます。たとえば、通常月は月1万円、ボーナス月の6月と12月は月5万円に増額するといった設定が可能です。年間の投資枠を有効活用したい方は、ボーナス設定を利用しましょう。

iDeCoと併用できる?

積立NISAとiDeCoは併用できます。積立NISAは運用益が非課税、iDeCoは掛金が所得控除の対象になるなど、それぞれ異なるメリットがあります。両方を活用することで、より効率的な資産形成が可能です。

家族全員で始められる?

NISA口座は1人1口座なので、家族全員がそれぞれ口座を開設して積立NISAを始められます。配偶者や子供(未成年の場合はジュニアNISA)もそれぞれ非課税枠を活用できるため、家族全体で効率的に資産形成を進められます。

まとめ

積立NISAは、年間120万円まで非課税で投資でき、長期・積立・分散投資で資産形成をサポートする制度です。証券会社選びでは、取扱銘柄数、手数料、クレカ積立のポイント還元率、アプリの使いやすさ、サポート体制の5つをチェックしましょう。

おすすめの証券会社は、銘柄数重視ならSBI証券、楽天経済圏利用者なら楽天証券、ポイント還元率重視ならマネックス証券、初心者サポート重視なら松井証券、au経済圏利用者なら三菱UFJeスマート証券です。自分の投資スタイルや利用している経済圏に合わせて選びましょう。

口座開設は最短翌営業日で完了し、月1,000円から積立を始められます。20年間コツコツ積み立てれば、複利効果で資産を大きく増やせる可能性があります。まずは少額から始めて、投資に慣れていきましょう。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社の公式サイトでご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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