つみたてNISAの一部引き出し|手順と知っておきたい注意点

「手数料無料なのに証券会社はどうやって儲けているの?」
株式投資を始めようとしたとき、こんな疑問を感じたことはありませんか。
2024年の新NISA開始に合わせて、SBI証券や楽天証券など多くのネット証券が株式売買手数料を無料化しました。一見すると証券会社の収益源がなくなったように見えますが、実は手数料以外にも複数の収益源があります。
この記事では、証券会社の基本的な4つの業務から、手数料無料化時代の収益構造、大手証券とネット証券の違いまで、証券会社の儲けの仕組みを徹底解説します。
投資を始める前に知っておきたい、証券会社のビジネスモデルを分かりやすくお伝えします。
目次
証券会社の収益を理解するには、まず基本的な業務を知る必要があります。
証券会社には大きく分けて4つの主要業務があり、それぞれが異なる収益をもたらしています。
ブローカー業務は、投資家から株式や債券の売買注文を受けて、証券取引所に取り次ぐ業務です。
私たちが証券会社を通じて株を買ったり売ったりするとき、証券会社はこのブローカー業務を行っています。この業務で得られるのが、株式売買の仲介手数料です。
かつては証券会社の主要な収益源でしたが、2023年以降、SBI証券や楽天証券などネット証券が相次いで手数料無料化を実施しました。
現在では、SBI証券の営業収益に占める国内株式委託手数料の比率は20%未満にまで低下しています。
手数料無料化により、証券会社は他の収益源への依存度を高めざるを得なくなっています。
ディーラー業務は、証券会社が自己資金を使って株式や債券を売買し、その売買差益で利益を得る業務です。
顧客の注文を仲介するブローカー業務とは異なり、証券会社自身が投資家として市場に参加します。
この業務は「自己売買」「トレーディング業務」とも呼ばれます。市場の動きを予測して売買を行うため、相場環境に大きく左右される収益源です。
株価が上昇局面では大きな利益を得られますが、下落局面では損失が発生するリスクもあります。
証券会社には、顧客の利益を優先する義務があるため、ディーラー業務には厳しい規制が設けられています。顧客の注文情報を利用した不公正な取引は禁止されており、自己売買と顧客注文は明確に分離して管理されています。
アンダーライティング業務は、企業が新たに株式や債券を発行する際に、証券会社がそれらを買い取って投資家に販売する業務です。
企業が資金調達のために株式を発行するIPO(新規株式公開)や公募増資の際に、証券会社がこの業務を担います。
この業務の特徴は、証券会社が売れ残りのリスクを負う点です。もし投資家への販売が不調に終わった場合、証券会社が引き受けた株式や債券を自社で保有しなければなりません。
そのリスクの対価として、企業から引受手数料を受け取ります。
大手証券会社は、IPOや大型の資金調達案件で主幹事証券会社として大きな手数料収入を得ています。2024年の実績では、SBI証券が年間78銘柄のIPOを取り扱い、うち11社で主幹事を務めました。
主幹事証券会社は引受手数料の大部分を受け取るため、IPO業務は大手証券の重要な収益源となっています。
セリング業務は、企業が発行する株式や債券を投資家に販売する業務です。
アンダーライティング業務と似ていますが、大きな違いは売れ残りのリスクを負わない点です。証券会社は販売の仲介者として、売れた分だけ販売手数料を受け取ります。
この業務は「募集・売出し業務」「ディストリビューター業務」とも呼ばれます。アンダーライティング業務を行う主幹事証券会社の下で、複数の証券会社が協力して投資家への販売活動を行う形が一般的です。
リスクを負わない分、受け取る手数料はアンダーライティング業務よりも少なくなりますが、在庫リスクがないため、多くの証券会社が参加しやすい業務といえます。
手数料無料でも儲かる仕組み
株式売買手数料が無料化された現在でも、証券会社は複数の収益源を持っています。
むしろ手数料無料化により顧客数が増加し、他の収益源が拡大する戦略を取っています。
信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて行う取引です。
投資家が株を買うために資金を借りる場合は「買方金利」、株を売るために株式を借りる場合は「貸株料」が発生します。この金利収入が証券会社の重要な収益源となっています。
信用取引の金利
貸株料は買方金利よりも低く設定されており、年率1~1.5%程度です。
SMBC日興証券では制度信用の貸株料が年利1.15%、楽天証券では年利1.10%となっています。
手数料無料化により株式取引を始める投資家が増え、その中から信用取引を利用する人が一定数いることで、証券会社は金利収入を確保しています。
投資信託を保有している間、投資家は「信託報酬」という運用管理費用を支払います。
この信託報酬は、運用会社、販売会社(証券会社)、信託銀行の三者で配分されます。証券会社は販売会社として、信託報酬の一部を継続的に受け取ることができます。
信託報酬は投資信託の純資産総額に対して年率で設定されており、一般的には年率0.5~2.5%程度です。
インデックスファンドは年率0.1~0.5%程度と低めですが、アクティブファンドは年率1~2%程度と高めに設定されています。
信託報酬の配分例
新NISA制度の開始により投資信託の積立投資が拡大しており、証券会社にとって信託報酬収入の重要性は増しています。
投資信託は一度購入されると長期保有される傾向があるため、安定的な収益源として注目されています。
貸株サービスは、投資家が保有している株式を証券会社に貸し出し、その対価として金利を受け取るサービスです。
証券会社は、投資家から借りた株式を信用取引で空売りをしたい他の投資家に貸し出します。この仲介により、証券会社は収益を得ています。
投資家が受け取る貸株金利は年率0.1~1%程度ですが、証券会社が信用取引の投資家から受け取る貸株料は年率1~1.5%程度です。この差額が証券会社の収益となります。
貸株サービスは、投資家にとっては保有株式を活用して金利収入を得られるメリットがありますが、貸株期間中は株主優待や議決権を失うため、注意が必要です。
米国株など外国株式を取引する際には、日本円を外貨に両替する必要があります。
この両替時に発生する為替スプレッド(為替手数料)が証券会社の収益源となっています。
為替スプレッドは、証券会社が提示する為替レートと実際の市場レートの差額です。例えば、SBI証券の米ドル/円の為替スプレッドは片道25銭(0.25円)です。
100万円を米ドルに両替すると、往復で約5,000円の手数料がかかる計算になります。
近年、米国株投資が人気を集めており、外国株取引の増加により為替スプレッドからの収益も拡大しています。
2023年以降、一部のネット証券では新NISA口座での外国株取引について為替手数料を無料化する動きも出ています。競争激化により、この収益源も変化していく可能性があります。
前述のディーラー業務と同じく、証券会社が自己資金で株式や債券を売買して得る利益も重要な収益源です。
特に相場が好調な時期には、自己売買による収益が大きく伸びる傾向があります。
2024年は日本株が好調で、日経平均株価が史上最高値を更新しました。この株高局面で、証券会社の自己売買部門は大きな利益を上げています。
SBI証券を傘下に持つSBIホールディングスは、2024年3月期に過去最高益を記録しましたが、自己売買による収益も大きく貢献しました。
ただし、自己売買は市場環境に大きく左右されるため、株価下落局面では損失が発生するリスクもあります。証券会社は、手数料や信託報酬などの安定的な収益源と、自己売買などの変動的な収益源をバランスよく組み合わせることで、経営の安定性を保っています。
なぜ手数料を無料にできるのか?
証券会社が手数料無料化に踏み切った背景には、アメリカでの先行事例と、新NISA開始による顧客獲得競争の激化があります。
アメリカでは、2015年にロビンフッドが手数料完全無料でサービスを開始し、若年層の支持を集めました。
2020年のコロナ禍では3カ月で300万人の新規ユーザーを獲得し、ユーザー数は1,000万人を突破しました。
ロビンフッドのビジネスモデルは、売買手数料に依存しないものでした。収益の半分は「ペイメント・フォー・オーダーフロー(PFOF)」という仕組みで、残り半分が信用取引に伴う金利収入となっています。
ロビンフッドに続き、大手オンライン証券会社のチャールズ・シュワブも2019年10月に完全無料化を実施しました。
アメリカでは、手数料競争が進み、オンライン証券の再編が起こっています。
日本では、SBI証券が手数料無料化の流れを牽引しています。
2020年から段階的に手数料を引き下げ、2021年には25歳以下の顧客を対象に国内株式の売買手数料を無料化しました。そして2023年9月30日から、すべての顧客を対象に国内株式の売買手数料を無料化しました。
楽天証券も2023年10月から、手数料コースを「ゼロコース」に変更することで、国内株式の売買手数料を無料化しました。
両社合わせてネットの個人向け株式委託売買代金シェアは7割以上を占めるため、証券業界への影響は大きいものでした。
ただし、日本ではアメリカのPFOFのような仕組みは導入されていません。金融庁の資料によると、PFOFは最良執行の観点から問題が大きいと考えられており、現時点で日本の証券会社がPFOFを実施している例は認められていません。
証券会社が手数料無料化にふみ切った最大の理由は、新NISA開始に合わせた顧客の囲い込みです。
手数料を無料化することで新たに投資を始める顧客を多く獲得し、将来的な収益拡大につなげる狙いがあります。
新NISA制度は2024年1月に開始しました。新NISA開始前の2023年12月末の証券会社におけるNISA口座数は1,428万口座でしたが、2024年12月末には1,803万口座に増加しました。証券会社だけで、わずか1年で約375万口座が増加したことになります。なお、全金融機関(銀行含む)では、2023年12月末の2,125万口座から2024年12月末には2,559万口座に増加しています。
各社の戦略
手数料無料化は、証券会社にとって短期的には収益減少につながりますが、長期的には顧客基盤の拡大により、信用取引や投資信託などの他の収益源を増やす戦略といえます。
大手証券とネット証券の違い
証券会社の収益構造は、大手証券とネット証券で大きく異なります。
それぞれのビジネスモデルの特徴を理解することで、証券会社の儲けの仕組みがより明確になります。
野村證券、大和証券、SMBC日興証券などの大手証券会社は、対面営業を主力としています。
営業担当者が顧客一人ひとりに対して投資アドバイスを行い、資産運用の提案をします。この人的サービスの対価として、比較的高い手数料を徴収するビジネスモデルです。
大手証券の収益源は多岐にわたります。個人顧客からの株式売買手数料に加えて、投資信託の販売手数料、ラップ口座の管理手数料、債券の販売手数料などがあります。
特に富裕層向けには、資産管理型の「ラップ口座」を提供し、預かり資産残高に応じた年間手数料(1~3%程度)を継続的に受け取ります。
大手証券のIPO実績(2024年)
大手証券の強みは、対面営業による信頼関係の構築と、企業との強固なネットワークです。
ただし、店舗運営コストや人件費が高いため、ネット証券に比べて手数料水準は高めに設定されています。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券は、インターネット取引を主体とした薄利多売のビジネスモデルです。
店舗を持たず、営業担当者もいないため、低コスト運営が可能です。その分、手数料を大幅に引き下げ、現在では多くのネット証券が株式売買手数料を無料化しています。
ネット証券の主な収益源は、信用取引の金利収入、投資信託の信託報酬、外国株取引の為替スプレッドです。
特に投資信託の残高拡大が重要な戦略となっており、各社は投資信託の取扱本数を増やし、積立投資を促進しています。
ネット証券の取扱商品
投資信託は一度購入されると長期保有される傾向があるため、信託報酬による継続的な収益が見込めます。
大手証券とネット証券の収益構造の違いは、具体的な数値で見るとより明確になります。
SBI証券の場合、手数料無料化前の2021年時点でも、営業収益に占める国内株式委託手数料の比率は17.7%でした。
他のオンライン証券が20~40%だったのに比べて、すでに低い水準でした。現在では、国内株式委託手数料の比率はさらに低下し、信用取引の金利収入や投資信託の信託報酬が主要な収益源となっています。
一方、大手証券会社は、株式売買委託手数料の比重が依然として大きいものの、預かり資産残高に応じたストック収入へのシフトを図っています。
ラップ口座や投資信託の残高を増やすことで、相場環境に左右されにくい安定的な収益基盤を構築しようとしています。
| 証券会社 | 現物取引手数料 | 特徴 |
| 野村證券 | 152円~78,571円(税込) | 対面営業の総合コースではさらに高額 |
| SMBC日興証券 | ダイレクトコース:137円~27,500円(税込) 総合コース:1,925円~192,500円(税込) |
対面営業は高単価モデル |
| SBI証券 | 原則無料 | 薄利多売モデル |
| 楽天証券 | 原則無料 | 薄利多売モデル |
このように、大手証券は高単価・低頻度、ネット証券は低単価(無料)・高頻度という対照的な収益モデルを持っています。
証券会社の収益構造を実際のデータで見る
証券会社の収益構造を理解するには、実際の決算データを見るのが最も分かりやすい方法です。
ここでは、ネット証券最大手のSBI証券と、大手証券の野村證券の収益内訳を見ていきます。
SBI証券を傘下に持つSBIホールディングスは、2024年3月期に過去最高益を記録しました。
下半期から国内株式売買手数料をゼロにしたにもかかわらず、営業収益から純利益まですべてが過去最高となりました。
この背景には、手数料無料化により顧客数が大幅に増加し、信用取引や投資信託などの他の収益源が拡大したことがあります。
SBI証券の収益の柱
特に注目すべきは、信用取引の活発化です。手数料無料化により株式投資を始めた初心者の中から、信用取引に手を伸ばす人が一定数います。
信用取引では年率2~3%の金利が発生するため、取引が活発になるほど証券会社の収益も増加します。
また、新NISA制度の開始により、投資信託の積立投資が大きく伸びています。投資信託の残高が増えれば、信託報酬による継続的な収益も増加します。
SBI証券は、手数料収入に依存しない収益モデルへの転換に成功したといえます。
野村證券は、日本最大の証券会社として、個人向けと法人向けの両方で幅広いビジネスを展開しています。
個人向けでは、富裕層を中心に対面営業による資産運用アドバイスを提供し、株式売買手数料、投資信託の販売手数料、ラップ口座の管理手数料などを徴収しています。
法人向けビジネスでは、IPO引受業務が大きな収益源となっています。2024年には年間46銘柄のIPOを取り扱い、うち13社で主幹事を務めました。
主幹事証券会社は引受手数料の大部分を受け取るため、大型IPO案件では数億円規模の手数料収入を得ることもあります。
また、M&Aアドバイザリー業務も重要な収益源です。企業の合併・買収に関するアドバイスや仲介を行い、取引金額に応じた成功報酬を受け取ります。
大手証券の強みは、企業との強固なネットワークと、長年の実績による信頼性です。ネット証券が個人向けビジネスで台頭する中、大手証券は法人向けビジネスと富裕層向けビジネスに注力することで、差別化を図っています。
証券業界全体の収益トレンドを見ると、株式売買手数料への依存度が低下し、投資信託の信託報酬や資産管理型サービスへのシフトが進んでいます。
これは「フロー収益からストック収益へ」という業界全体の変化を示しています。
フロー収益とストック収益
ストック収益の利点は、相場環境に左右されにくく、安定的な収益が見込める点です。
株式市場が低迷して取引が減少しても、投資信託の残高が維持されていれば信託報酬収入は確保できます。証券会社は、長期的な経営安定性を高めるため、ストック収益の比率を高める戦略を取っています。
新NISA制度の開始により、長期・積立・分散投資が推奨され、投資信託の積立投資が拡大しています。
この流れは、証券会社のストック収益拡大を後押ししています。
アメリカのPFOFとは?
アメリカの証券会社が手数料無料化を実現できた背景には、PFOF(ペイメント・フォー・オーダーフロー)という独特の仕組みがあります。
日本では導入されていないこの仕組みについて解説します。
PFOF(ペイメント・フォー・オーダーフロー:payment for order flow)とは、証券会社が顧客からの売買注文を機関投資家であるマーケットメーカー(値付け業者)に回し、その対価としてリベート(報酬)を受け取る仕組みです。
マーケットメーカーがリベートを払ってでも個人投資家の注文情報を欲しがるのは、そのビッグデータをAIで解析することで、個人投資家の売買動向を予測し、自らのアルゴリズム取引の精度を高めることができるからです。
また、個人投資家の注文をまとめて執行することで、価格スプレッド(売値と買値の差)から利益を得ることもできます。
PFOFは1980年代初めに登場し、アメリカの証券業界では長年にわたり一般的な慣行となっています。米国証券取引委員会(SEC)は1990年代以降、PFOFを何度か見直してきましたが、情報開示を義務づけた上で、この慣行自体は容認してきました。
ロビンフッドは、PFOFを主要な収益源とするビジネスモデルで成功した代表的な企業です。
ロビンフッドの収益の半分はPFOFによるもので、残り半分が信用取引に伴う金利収入となっています。2020年第2四半期のPFOF売上は1億8,000万ドル(約190億円)に達しました。
ロビンフッドは、ヘッジファンド運営会社のシタデルやTwo Sigmaなどから対価を受け取って顧客の注文データを提供しています。
これらの企業は、コンピュータを用いた超高速取引で収益を上げており、顧客の注文データを入手することで、株式市場の一瞬先の動向を知り、儲けを増やしています。
ただし、PFOFには批判もあります。証券会社の収益構造をゆがめ、顧客の犠牲による利益最大化を助長するとの見方があります。2020年には、SECがロビンフッドに対して、PFOFに関する情報提供が不適切であったとして、6,500万ドルの制裁金を課しました。
日本では、PFOFは導入されていません。
金融庁の資料によると、現時点で日本の証券会社がPFOFを実施している例は認められていません。PFOFが日本で導入されない理由は、主に以下の点にあります。
このため、日本の証券会社は、PFOFに依存せず、信用取引の金利収入や投資信託の信託報酬など、他の収益源で手数料無料化に対応しています。
新NISA導入後の収益モデルの変化
2024年1月に開始した新NISA制度は、証券会社の収益モデルに大きな影響を与えています。
手数料無料化の加速と、投資信託への依存度の増加が顕著です。
新NISA制度の開始に合わせて、多くの証券会社が新NISA口座での国内株式、米国株式、海外ETF、投資信託の売買手数料を無料化しました。
これにより、証券会社の株式売買手数料収入は大幅に減少しました。
SBI証券の場合、手数料無料化により営業収益に占める国内株式委託手数料の比率が大きく低下しました。楽天証券も同様に、手数料収入の減少を他の収益源でカバーする必要に迫られました。
ただし、手数料無料化により新たに投資を始める顧客が大幅に増加しました。新NISA開始前の2023年12月末のNISA口座数は1,428万口座でしたが、2024年12月末には1,803万口座に増加しました。この顧客基盤の拡大が、長期的には証券会社の収益拡大につながると期待されています。
新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠が設けられ、特につみたて投資枠では投資信託の積立投資が推奨されています。
これにより、投資信託の残高が急速に拡大しており、証券会社にとって信託報酬収入の重要性が増しています。
投資信託の信託報酬は、販売会社(証券会社)、運用会社、信託銀行の三者で配分されます。証券会社の取り分は、信託報酬全体の30~40%程度が一般的です。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託であれば、証券会社は年率0.3~0.4%程度を受け取ることになります。
投資信託は一度購入されると長期保有される傾向があるため、信託報酬による継続的な収益が見込めます。新NISA制度では非課税保有期間が無期限化されたため、投資家は長期保有するインセンティブが高まっています。
これは、証券会社にとって安定的な収益基盤の拡大につながります。
新NISA時代の証券会社の収益戦略は、「顧客基盤の拡大」と「ストック収益の増加」の二つに集約されます。
投資家が知っておきたい隠れたコスト
株式売買手数料が無料化されても、投資には様々なコストがかかります。
ここでは、見落としがちな隠れたコストについて解説します。
投資信託を保有している間、信託報酬という運用管理費用が継続的にかかります。
信託報酬は投資信託の純資産総額から日々差し引かれるため、別途支払う必要はありませんが、基準価額に反映されています。
信託報酬の水準は投資信託の種類によって大きく異なります。インデックスファンドは年率0.1~0.5%程度と低めですが、アクティブファンドは年率1~2%程度と高めです。
例えば、100万円を年率1%の信託報酬がかかる投資信託で運用すると、年間1万円のコストがかかります。
長期投資では、信託報酬の差が運用成果に大きく影響します。年率0.1%と年率1%では、30年間で数百万円の差が生じることもあります。投資信託を選ぶ際には、信託報酬の水準を必ず確認しましょう。
米国株など外国株式を取引する際には、日本円を外貨に両替する必要があります。
この両替時に発生する為替スプレッド(為替手数料)は、見落としがちなコストです。
為替スプレッドは証券会社によって異なりますが、一般的には片道25銭(0.25円)程度です。
100万円を米ドルに両替して米国株を購入し、後で売却して日本円に戻す場合、往復で約5,000円の為替手数料がかかります。
頻繁に外国株を売買する場合、為替スプレッドが積み重なって大きなコストになります。一部の証券会社では、新NISA口座での外国株取引について為替手数料を無料化していますが、課税口座では依然として手数料がかかる場合が多いため、注意が必要です。
信用取引を利用すると、資金や株式を借りるための金利・貸株料がかかります。
買方金利は年率2~3%程度、貸株料は年率1~1.5%程度が一般的です。
例えば、100万円を借りて信用買いを行うと、年間2万5,000円~3万円の金利がかかります。
短期売買であれば金利負担は小さいですが、長期保有すると金利が積み重なって大きなコストになります。
また、信用売り(空売り)では、逆日歩という追加費用が発生する場合があります。逆日歩は、市場で売建株が買建株を上回り、株式が不足した場合に発生する費用です。逆日歩の金額は入札で決定されるため、予測が難しく、思わぬコストになることがあります。
証券口座からお金を出金する際に、出金手数料がかかる場合があります。
多くのネット証券では、提携銀行への出金は無料ですが、他行への出金には数百円の手数料がかかることがあります。
また、一部の証券会社では、口座管理料や不活動口座手数料がかかる場合があります。特に海外証券会社では、一定期間取引がない場合に口座管理料を徴収することがあります。
日本の主要ネット証券では口座管理料は無料ですが、海外証券口座を利用する場合は注意が必要です。
その他、IPOに当選して購入する際の手数料、単元未満株取引のスプレッド、夜間取引の手数料など、様々な場面でコストが発生する可能性があります。投資を始める前に、各証券会社の手数料体系を十分に確認することが大切です。
証券会社の収益源は、株式売買の仲介手数料だけではありません。
信用取引の金利収入、投資信託の信託報酬、外国株の為替スプレッド、自己売買による利益など、多岐にわたる収益源を持っています。手数料無料化の時代でも、これらの収益源により証券会社は利益を確保しています。
大手証券は対面営業と高額商品を中心とした収益モデル、ネット証券は薄利多売と投資信託の信託報酬を中心とした収益モデルと、それぞれ異なる戦略を取っています。
新NISA制度の開始により、投資信託の積立投資が拡大し、証券会社のストック収益の重要性が増しています。
投資家としては、手数料無料化の恩恵を受けつつも、信託報酬や為替スプレッドなどの隠れたコストにも注意を払う必要があります。
証券会社の収益構造を理解することで、自分に合った証券会社を選び、コストを抑えた効率的な資産運用が可能になります。なお、投資には元本割れのリスクがあります。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。
※本記事の数値・制度は2025年1月時点の情報に基づいています。金利、手数料、取扱銘柄数などは変更される可能性がありますので、最新情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
| 順位 | 証券会社 | 特徴 | 手数料 | 口座開設 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | SBI証券 おすすめ |
|
0円 | 口座開設 |
| 2 | 楽天証券 |
|
0円 | 詳細を見る |
| 3 | moomoo証券 |
|
0円 | 詳細を見る |
PR | 情報は2026年1月時点
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