暴落株はおすすめ?|買い時の見極め方と注意点

暴落株はおすすめ?|買い時の見極め方と注意点

株価が大きく下がった暴落株は、安く買えるチャンスに見えるかもしれません。

しかし、暴落株投資にはリスクも大きく、適切な知識がないと大きな損失を被る可能性があります。

この記事では、暴落株の基本知識から選び方、リスク管理の方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。

暴落株投資で失敗しないためのポイントを押さえて、適切な投資判断ができるようになりましょう。

この記事の要約
  • 暴落株は安く買えるチャンスだが、さらに下落するリスクも大きい
  • 暴落の原因を見極め、財務状況を確認することが重要
  • 少額・分散投資から始め、損切りルールを必ず設定する
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

暴落株とは?|株価が大きく下がった銘柄のこと

暴落株とは、何らかの理由で株価が急激に下落した銘柄のことを指します。

株価が大きく下がると「安く買えるチャンス」と考える投資家もいますが、暴落には必ず理由があります。その理由を理解せずに投資すると、さらに株価が下がり続けて大きな損失を被る可能性があります。

暴落株投資を検討する前に、まずは暴落株の基本的な知識を身につけることが大切です。

暴落株の定義と判断基準

暴落株には明確な定義はありませんが、一般的には以下のような基準で判断されます。

短期間での大幅な下落率が暴落の目安となります。具体的には、1日で10%以上の下落、1週間で20%以上の下落、1ヶ月で30%以上の下落などが暴落の基準とされることが多いです。

東京証券取引所では、値下がり率ランキングとして前日比での下落率が大きい銘柄を公開しています。このランキングで上位に入る銘柄は、投資家から「暴落株」として注目されることがあります。

ただし、下落率だけで投資判断をするのは危険です。なぜ株価が下がったのか、その原因を理解することが何より重要になります。

暴落が起こる3つの原因

株価が暴落する原因は大きく分けて3つあります。それぞれの原因によって、投資判断は大きく変わってきます。

  • 市場全体の下落による暴落:リーマンショックやコロナショックのように、経済全体に大きな悪影響がある出来事が起こると、多くの銘柄が一斉に売られて株価が暴落します。この場合、個別企業の業績に問題がなくても株価が下がるため、優良企業を割安で買えるチャンスになることがあります。
  • 個別企業の業績悪化による暴落:決算発表で予想を大きく下回る業績が発表されたり、主力製品の販売不振が明らかになったりすると、その企業の株価だけが大きく下落します。この場合、業績が回復する見込みがあるかどうかを慎重に見極める必要があります。
  • 不祥事や経営問題による暴落:粉飾決算、法令違反、経営陣の不正などが発覚すると、投資家の信頼が失われて株価が暴落します。この場合は、最悪の場合、上場廃止や倒産のリスクもあるため、投資は避けるべきケースが多いです。

暴落株と値下がり株の違い

暴落株と似た言葉に「値下がり株」がありますが、この2つには違いがあります。

暴落株は急激かつ大幅な下落を指すのに対し、値下がり株は緩やかな下落も含みます。暴落株は短期間で20%以上下落するような急激な変動を指しますが、値下がり株は数ヶ月かけて10%程度下落するような緩やかな下落も含まれます。

投資戦略としても違いがあります。暴落株は短期的な値動きの大きさを利用した投機的な投資になりやすいのに対し、値下がり株は中長期的な視点での割安投資の対象となることが多いです。

暴落株投資はハイリスク・ハイリターンの投資手法であり、初心者が安易に手を出すと大きな損失を被る可能性があることを理解しておきましょう。

暴落株投資のメリット3つ|安く買えるチャンス

暴落株投資にはリスクがある一方で、大きなメリットもあります。ここでは暴落株投資の主なメリットを3つ紹介します。

ただし、これらのメリットを享受できるのは、適切な銘柄選定とリスク管理ができた場合に限られます。メリットだけに目を向けず、リスクとのバランスを考えることが大切です。

割安で株を買えるチャンス

暴落株投資の最大のメリットは、本来の価値よりも安い価格で株を買えることです。

市場全体の下落や一時的な悪材料で株価が下がった場合、企業の本質的な価値は変わっていないのに株価だけが下がっている状態になります。

例えば、通常は1株3,000円で取引されている優良企業の株が、市場全体の下落で2,000円まで下がったとします。この企業の業績や財務状況に問題がなければ、2,000円で買って3,000円に戻った時に売却すれば、50%の利益を得られる計算になります。

このような割安な価格で株を買えることが、暴落株投資の大きな魅力です。ただし、本当に割安なのか、それとも適正な価格まで下がっただけなのかを見極める目が必要になります。

割安かどうかを判断するには、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標を活用します。同業他社と比較して明らかに低い水準であれば、割安と判断できる可能性があります。

回復時の大きなリターンが期待できる

暴落株が回復した場合、短期間で大きなリターンを得られる可能性があります。これが暴落株投資の2つ目のメリットです。

株価が50%下落した銘柄が元の水準に戻れば、投資額は2倍になります。

例えば、1,000円の株が500円に暴落した時に買い、その後1,000円に回復すれば、投資額は2倍になる計算です。通常の株式投資で短期間に2倍のリターンを得るのは難しいため、これは大きな魅力と言えます。

過去の事例を見ても、リーマンショック後やコロナショック後に暴落した優良企業の株は、その後数ヶ月から1年程度で元の水準に回復したケースが多くあります。このような回復局面を捉えることができれば、大きな利益を得られます。

ただし、すべての暴落株が回復するわけではありません。業績悪化が深刻な場合や、業界全体が構造的な問題を抱えている場合は、株価が回復しないこともあります。回復の可能性を慎重に見極めることが重要です。

配当利回りが高くなる場合がある

暴落株投資の3つ目のメリットは、配当利回りが高くなることです。これは見落とされがちですが、長期投資を考える上で重要なポイントです。

株価が下がっても配当金額が維持されれば、配当利回りは自動的に高くなります。

配当利回りは「年間配当金÷株価×100」で計算されるため、分母の株価が小さくなれば利回りは上がります。

例えば、年間配当金が100円の株が、株価2,000円の時は配当利回り5%ですが、株価が1,000円に暴落すれば配当利回りは10%になります。企業が配当を維持できる財務状況であれば、高い配当利回りを得ながら株価回復を待つことができます。

ただし、業績悪化で暴落した場合は、配当が減配されたり無配になったりする可能性があります。配当利回りの高さだけで投資判断をせず、企業の配当政策や財務状況を確認することが大切です。

暴落株投資で気をつけたい5つのリスク

暴落株投資には大きなメリットがある一方で、深刻なリスクも存在します。

投資判断をする前に、これらのリスクを十分に理解しておくことが極めて重要です。

ここでは、暴落株投資で特に注意すべき5つのリスクについて詳しく解説します。これらのリスクを理解せずに投資すると、取り返しのつかない損失を被る可能性があります。

さらに株価が下がる可能性

暴落株投資の最大のリスクは、買った後にさらに株価が下がり続けることです。

「もう十分下がったから、ここが底だろう」と思って買っても、その後さらに下落することは珍しくありません。

株価が50%下落した銘柄を買った後、さらに50%下落すれば、投資額は4分の1になってしまいます。例えば、1,000円の株が500円に下落した時に買い、その後250円まで下がれば、投資額は半分になります。

特に、業績悪化が深刻な場合や、業界全体が構造的な問題を抱えている場合は、株価が長期間にわたって下落し続けることがあります。「安いから買う」という単純な理由だけでは、このリスクに対応できません。

このリスクを軽減するには、なぜ株価が下がったのかを理解し、今後回復する可能性があるかを冷静に分析することが必要です。また、一度に全額を投資せず、段階的に買い増す方法も有効です。

倒産や上場廃止のリスク

暴落株投資で最も恐れるべきリスクは、投資先企業が倒産したり上場廃止になったりすることです。

このリスクが現実になると、投資資金のほぼ全額を失う可能性があります。

業績悪化が深刻な企業や、不祥事を起こした企業の株は、最悪の場合、企業が倒産して株式の価値がゼロになることがあります。また、上場廃止基準に抵触すると、取引所での売買ができなくなり、事実上売却が困難になります。

上場廃止基準には、債務超過、売買高の極端な減少、虚偽記載などがあります。これらの基準に抵触しそうな企業の株は、いくら株価が安くても投資を避けるべきです。

倒産リスクを見極めるには、自己資本比率、流動比率、営業キャッシュフローなどの財務指標を確認します。特に自己資本比率が低く、営業キャッシュフローがマイナスの企業は要注意です。

売りたいときに売れない流動性リスク

暴落株は取引量が少なく、売りたいときに売れない流動性リスクがあります。

これは初心者が見落としがちなリスクです。

株価が暴落すると、多くの投資家がその銘柄を避けるようになり、売買が成立しにくくなります。買い手が少ないため、売り注文を出しても約定しなかったり、希望価格よりもかなり安い価格でしか売れなかったりすることがあります。

例えば、株価500円の暴落株を売ろうとしても、買い注文が450円までしかなければ、50円も安い価格で売らざるを得ません。これは実質的な損失の拡大につながります。

流動性リスクを避けるには、出来高(取引量)を確認することが重要です。1日の出来高が数万株以下の銘柄は流動性が低いため、避けた方が無難です。また、東証プライム市場の銘柄の方が、スタンダード市場やグロース市場の銘柄よりも流動性が高い傾向があります。

回復までに長い時間がかかる

暴落株が元の株価水準に回復するまでには、予想以上に長い時間がかかることがあります。

これは資金効率の観点から大きなリスクとなります。

株価が回復するまでに数年かかる場合、その間、投資資金は拘束されたままになります。その資金を他の投資機会に使えないため、機会損失が発生します。また、長期間含み損を抱えることは、精神的なストレスにもなります。

特に、業界全体が構造的な問題を抱えている場合や、企業の競争力が低下している場合は、株価が元の水準に戻らない可能性もあります。例えば、技術革新によって既存のビジネスモデルが通用しなくなった企業の株価は、回復しないことがあります。

このリスクを軽減するには、投資する前に「どのくらいの期間で回復しそうか」を考えておくことが大切です。また、長期間待てる余裕資金で投資することも重要です。

感情的な判断で失敗しやすい

暴落株投資では、恐怖や欲望といった感情が判断を狂わせやすく、これが大きなリスクになります。

冷静な判断ができないと、損失を拡大させてしまいます。

株価が下がり続けると「もう少し待てば回復するはず」と考えて損切りできず、損失がどんどん膨らむことがあります。これを「損切りできない病」と呼びます。逆に、少し利益が出ると「また下がるかもしれない」と恐怖を感じて、早すぎる利益確定をしてしまうこともあります。

また、株価が下がり続けると「平均取得単価を下げよう」とナンピン買い(追加購入)をしてしまい、結果的に損失を拡大させることもあります。ナンピン買いは、株価が回復する根拠がある場合にのみ有効な戦略です。

感情的な判断を避けるには、投資する前に明確なルールを決めておくことが重要です。「株価が購入価格から10%下がったら損切りする」「目標価格に達したら利益確定する」といったルールを事前に設定し、そのルールを厳守することが成功の鍵となります。

金融庁:投資の基本

暴落株の選び方|買っていい株と避けるべき株

暴落株投資で成功するには、買っていい株と避けるべき株を見極めることが最も重要です。ここでは、具体的な選定基準と確認方法を解説します。

適切な銘柄選定ができれば、リスクを抑えながらリターンを狙うことができます。逆に、選定を誤ると大きな損失につながるため、慎重に判断しましょう。

暴落の原因を確認する方法

暴落株に投資する前に、必ず暴落の原因を確認しましょう。

原因によって投資判断は180度変わります。

暴落の原因を確認するには、まず企業の適時開示情報をチェックします。東京証券取引所の「適時開示情報閲覧サービス(TDnet)」では、上場企業が発表した重要情報を無料で閲覧できます。決算発表、業績予想の修正、重要な契約の締結や解除などの情報が掲載されています。

次に、証券会社の提供するニュースや、経済メディアの報道を確認します。Yahoo!ファイナンス、ブルームバーグ、日本経済新聞などで、その企業に関するニュースを検索しましょう。暴落の背景にある出来事や市場の反応を理解できます。

  • 暴落の原因が「市場全体の下落」や「一時的な悪材料」であれば、投資のチャンスになる可能性があります
  • 「粉飾決算」「深刻な業績悪化」「経営陣の不正」などが原因の場合は、投資を避けるべきです

また、アナリストレポートも参考になります。証券会社の口座を持っていれば、多くの場合、アナリストレポートを無料で閲覧できます。専門家の分析を参考にすることで、より深い理解が得られます。

企業の財務状況をチェックするポイント

暴落株投資では、企業の財務状況の確認が特に重要です。

財務が健全でない企業は、倒産リスクが高いため避けるべきです。

まず確認すべきは自己資本比率です。自己資本比率は「自己資本÷総資産×100」で計算され、企業の財務の安定性を示します。一般的に、自己資本比率が30%以上あれば健全、40%以上あれば優良とされます。逆に10%以下の場合は、倒産リスクが高いため注意が必要です。

次に流動比率を確認します。流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で計算され、短期的な支払い能力を示します。流動比率が100%以上あれば、1年以内に支払うべき負債を資産でカバーできることを意味します。150%以上あれば安全性が高いと判断できます。

営業キャッシュフローも重要な指標です。営業キャッシュフローがプラスであれば、本業で現金を稼げていることを示します。逆にマイナスが続いている場合は、事業が現金を生み出せていない状態であり、危険信号です。

これらの財務指標は、企業の決算短信や有価証券報告書で確認できます。また、証券会社の提供する銘柄情報ページでも、主要な財務指標を簡単に確認できます。財務状況が健全な企業の暴落株を選ぶことで、倒産リスクを大きく減らすことができます。

日本証券業協会:投資者のためのガイドブック

出来高と流動性の確認方法

暴落株投資では、出来高(取引量)と流動性の確認が欠かせません。

流動性が低い銘柄は、売りたいときに売れないリスクが高くなります。

出来高は、その銘柄が1日にどれだけ取引されたかを示す指標です。出来高が多いほど、売買が活発に行われており、流動性が高いと判断できます。一般的に、1日の出来高が10万株以上あれば、ある程度の流動性があると考えられます。

出来高を確認するには、証券会社の取引ツールやYahoo!ファイナンスなどの株価情報サイトを利用します。株価チャートと一緒に出来高の推移も表示されるため、直近の取引状況を簡単に把握できます。

注意すべきは、暴落直後は出来高が一時的に増えることです。暴落のニュースが広まると、売り注文が殺到して出来高が急増します。しかし、その後は出来高が減少することが多いため、暴落後の平常時の出来高を確認することが重要です。

また、東証プライム市場の銘柄は、スタンダード市場やグロース市場の銘柄よりも流動性が高い傾向があります。初心者が暴落株投資をする場合は、プライム市場の銘柄から選ぶ方が安全です。

避けるべき暴落株の特徴

どんなに株価が安くても、投資を避けるべき暴落株があります。

以下の特徴に当てはまる銘柄は、高いリスクがあるため避けましょう。

  • 債務超過の企業:負債が資産を上回っている状態で、実質的に企業の価値がマイナスになっています。債務超過が続くと上場廃止基準に抵触するため、投資は避けるべきです。
  • 粉飾決算や重大な不祥事を起こした企業:これらの企業は投資家の信頼を失っており、株価が回復する可能性は極めて低いです。また、上場廃止のリスクも高くなります。
  • 業界全体が衰退している企業:個別企業の努力だけでは対応できない構造的な問題がある場合、株価が長期的に低迷する可能性が高いです。
  • 出来高が極端に少ない銘柄:1日の出来高が数千株程度しかない銘柄は、売りたいときに売れないリスクが非常に高いため、避けた方が無難です。

暴落株投資の始め方|初心者向け5ステップ

暴落株投資を実際に始めるための具体的な手順を、5つのステップで解説します。

これらのステップを順番に実行することで、初心者でも安全に暴落株投資を始められます。

証券口座を開設する

暴落株投資を始めるには、まず証券口座を開設する必要があります。

証券会社選びは、今後の投資活動に大きく影響するため、慎重に選びましょう。

初心者におすすめなのは、ネット証券です。ネット証券は手数料が安く、取引ツールも充実しているため、効率的に暴落株投資ができます。特に、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの大手ネット証券は、取扱銘柄数が多く、情報提供も充実しています。

口座開設の手続きは、各証券会社のウェブサイトから行えます。必要なものは、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)と、マイナンバーが確認できる書類です。最近では、スマートフォンで本人確認を完結できる「eKYC」に対応している証券会社も多く、最短で翌営業日には取引を始められます。

口座開設時には、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶことをおすすめします。これにより、確定申告の手間を省くことができます。また、NISA口座も同時に開設しておくと、将来的に非課税で投資できるメリットがあります。

暴落株をスクリーニングで探す

証券口座を開設したら、次は投資対象となる暴落株を探します。

証券会社が提供するスクリーニングツールを活用すると、効率的に銘柄を絞り込めます。

スクリーニングツールでは、値下がり率、出来高、PER、PBR、自己資本比率などの条件を設定して、条件に合う銘柄を検索できます。暴落株を探す場合は、「1ヶ月の値下がり率が30%以上」「出来高が10万株以上」「自己資本比率が30%以上」といった条件を設定すると良いでしょう。

また、証券会社のウェブサイトや株価情報サイトには、値下がり率ランキングが掲載されています。Yahoo!ファイナンス、みんかぶ、株探などのサイトでは、リアルタイムまたは準リアルタイムで値下がり率ランキングを確認できます。

スクリーニングで候補銘柄を10〜20銘柄程度に絞り込んだら、次のステップで詳細を調査します。最初から1銘柄に絞り込むのではなく、複数の候補を比較検討することが大切です。

企業情報と暴落原因を調べる

候補銘柄を絞り込んだら、各企業の詳細情報と暴落の原因を調べます。

この調査を怠ると、投資判断を誤る可能性が高くなります。

まず、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で、企業が発表した重要情報を確認します。決算短信、業績予想の修正、重要な契約の締結・解除などの情報から、暴落の原因を特定できます。

次に、企業の決算短信や有価証券報告書で、財務状況を詳しく確認します。自己資本比率、流動比率、営業キャッシュフローなどの指標をチェックし、財務が健全かどうかを判断します。これらの資料は、各企業のIR(投資家向け情報)ページや、証券会社のウェブサイトで閲覧できます。

また、証券アナリストのレポートも参考になります。多くの証券会社では、口座開設者向けにアナリストレポートを無料で提供しています。専門家の分析を読むことで、自分では気づかなかった視点を得られることがあります。

調査の結果、暴落の原因が一時的なものであり、企業の財務状況が健全であれば、投資候補として有望と判断できます。逆に、構造的な問題や深刻な財務悪化が原因であれば、投資を見送るべきです。

少額から投資を始める

投資する銘柄を決めたら、まずは少額から投資を始めましょう。

初めての暴落株投資では、大金を投じるのではなく、経験を積むことを優先すべきです。

最初の投資額は、余裕資金の10%程度、金額にして3万円〜10万円程度が適切です。この金額であれば、仮に損失が出ても生活に影響はありません。また、精神的な余裕を持って投資判断ができます。

単元株(通常100株単位)を買う資金がない場合は、単元未満株取引を利用しましょう。SBI証券の「S株」、楽天証券の「かぶミニ®」、マネックス証券の「ワン株」などのサービスを使えば、1株から購入できます。これにより、数千円から暴落株投資を始められます。

また、一度に全額を投資するのではなく、複数回に分けて買い増す方法も有効です。例えば、10万円の投資予算があれば、最初に3万円分を購入し、株価の動きを見ながら残りを追加購入します。これにより、平均取得単価を調整でき、リスクを分散できます。

損切りラインを決めておく

暴落株投資で最も重要なのが、損切りラインを事前に決めておくことです。

これを怠ると、損失が際限なく拡大する可能性があります。

損切りラインとは、「この価格まで下がったら必ず売却する」という基準のことです。一般的には、購入価格から10%〜15%下落した価格を損切りラインに設定します。例えば、1,000円で購入した株であれば、850円〜900円が損切りラインになります。

損切りラインを決めたら、必ずそのルールを守ることが重要です。「もう少し待てば回復するかもしれない」という期待から損切りを先延ばしにすると、損失がさらに拡大します。機械的に損切りを実行することが、長期的な投資成功の鍵となります。

証券会社の取引ツールには、「逆指値注文」という機能があります。これは、株価が指定した価格まで下がったら自動的に売却する注文方法です。逆指値注文を活用すれば、感情に左右されずに損切りを実行できます。

また、利益確定のラインも決めておきましょう。「購入価格から30%上昇したら売却する」といったルールを設定することで、適切なタイミングで利益を確定できます。損切りと利益確定のルールを守ることが、暴落株投資で成功するための最も重要なポイントです。

暴落株投資で失敗しないための3つのルール

暴落株投資で失敗しないためには、明確なルールを設定し、それを守ることが不可欠です。ここでは、特に重要な3つのルールを紹介します。

これらのルールを守ることで、大きな損失を避け、長期的に安定した投資成果を得られる可能性が高まります。

投資金額は余裕資金の範囲内にする

暴落株投資は、必ず余裕資金で行いましょう。

生活費や近い将来使う予定のあるお金を投資に回すことは絶対に避けるべきです。

余裕資金とは、当面使う予定がなく、仮に失っても生活に影響がない資金のことです。一般的には、生活費の6ヶ月分程度の貯蓄を確保した上で、それを超える部分が余裕資金と考えられます。

暴落株投資は、通常の株式投資よりもリスクが高い投資手法です。株価がさらに下落したり、回復に長い時間がかかったりする可能性があります。そのため、余裕資金の全額を暴落株投資に充てるのではなく、余裕資金の30%〜50%程度に留めることをおすすめします。

借金をして投資することは厳禁です。信用取引で借入をして投資する方法もありますが、初心者が暴落株に信用取引を使うのは非常に危険です。株価がさらに下落すると、追加の証拠金(追証)を求められたり、強制的に決済されたりして、大きな損失を被る可能性があります。

1銘柄に集中せず分散投資する

暴落株投資では、1銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資することが重要です。

分散投資により、1銘柄が失敗しても全体への影響を抑えられます。

例えば、投資資金が30万円ある場合、1銘柄に30万円を投資するのではなく、3〜5銘柄に分散して投資します。1銘柄あたり6万円〜10万円程度に分散することで、仮に1銘柄が大きく下落しても、他の銘柄でカバーできる可能性があります。

分散投資をする際は、業種も分散させることが大切です。同じ業種の銘柄ばかりに投資すると、その業種全体に悪影響がある出来事が起こった時に、すべての銘柄が下落してしまいます。例えば、製造業、小売業、金融業など、異なる業種の銘柄に分散することでリスクを軽減できます。

また、暴落株投資だけでなく、安定した優良株や投資信託にも資産を分散することをおすすめします。ポートフォリオ全体のバランスを考え、暴落株投資の比率は全体の20%〜30%程度に抑えることで、リスクを管理しながらリターンを狙えます。

損切りルールを守る

損切りルールを設定し、それを厳守することが、暴落株投資で失敗しないための最も重要なルールです。

損切りができないと、小さな損失が大きな損失に拡大してしまいます。

損切りルールは、投資する前に必ず決めておきましょう。「購入価格から10%下落したら売却する」「損失額が投資額の15%に達したら売却する」といった具体的な基準を設定します。そして、その基準に達したら、感情を排除して機械的に売却を実行します。

多くの投資家が損切りできない理由は、「損失を確定させたくない」という心理と、「もう少し待てば回復するかもしれない」という希望的観測です。しかし、株価がさらに下落すると、損失はさらに拡大します。早めに損切りすることで、残った資金を他の投資機会に使えます。

損切りを確実に実行するには、証券会社の「逆指値注文」機能を活用しましょう。購入と同時に逆指値注文を設定しておけば、株価が損切りラインに達した時に自動的に売却されます。これにより、感情に左右されずに損切りを実行できます。

損切りは「負けを認める」ことではなく、「損失を限定して次の機会に備える」ための賢明な判断です。損切りルールを守ることで、長期的に安定した投資成果を得られる可能性が高まります。

日本証券業協会:投資者のためのガイドブック

暴落株投資に役立つ情報の集め方

暴落株投資で成功するには、適切な情報収集が欠かせません。ここでは、暴落株投資に役立つ情報源と、その活用方法を解説します。

正確で最新の情報を効率的に集めることで、より良い投資判断ができるようになります。

値下がり率ランキングサイトの活用

値下がり率ランキングサイトは、暴落株を効率的に見つけるための最も基本的なツールです。

これらのサイトを活用することで、市場全体から暴落株を素早く絞り込めます。

代表的な値下がり率ランキングサイトには、Yahoo!ファイナンス、株探、みんかぶ、Investing.comなどがあります。これらのサイトでは、リアルタイムまたは準リアルタイムで、前日比の値下がり率が大きい銘柄をランキング形式で表示しています。

Yahoo!ファイナンスでは、「株式ランキング」のページで値下がり率ランキングを確認できます。市場区分(プライム、スタンダード、グロース)別にランキングを見ることもでき、初心者は流動性の高いプライム市場のランキングから確認すると良いでしょう。

株探では、より詳細な条件でスクリーニングができます。値下がり率だけでなく、出来高、時価総額、PER、PBRなどの条件を組み合わせて検索できるため、自分の投資基準に合った銘柄を効率的に見つけられます。

これらのランキングサイトは毎日チェックすることをおすすめします。ただし、ランキング上位に表示されているからといって、すぐに投資するのではなく、必ず企業情報と暴落原因を確認してから判断することが大切です。

企業の適時開示情報の確認方法

企業の適時開示情報は、暴落の原因を理解し、投資判断をするための最も重要な情報源です。

適時開示情報を正しく読み解くことで、投資リスクを大きく減らせます。

適時開示情報とは、上場企業が投資家に対して迅速に公開すべき重要情報のことです。決算発表、業績予想の修正、重要な契約の締結・解除、災害による被害、訴訟の提起などが含まれます。これらの情報は、東京証券取引所の「適時開示情報閲覧サービス(TDnet)」で無料で閲覧できます。

TDnetの使い方は簡単です。TDnetのウェブサイトにアクセスし、企業名や証券コードで検索すると、その企業が過去に発表した適時開示情報の一覧が表示されます。最新の情報から順に並んでいるため、直近の重要な発表を素早く確認できます。

特に注目すべきは「業績予想の修正」と「決算短信」です。業績予想の修正で大幅な下方修正が発表されると、株価が暴落することがあります。また、決算短信では、企業の最新の業績と財務状況を確認できます。これらの資料を読むことで、暴落の原因が一時的なものか、構造的な問題かを判断できます。

証券会社のスクリーニングツール

証券会社が提供するスクリーニングツールは、自分の投資基準に合った暴落株を効率的に見つけるための強力なツールです。

無料で利用できるため、積極的に活用しましょう。

スクリーニングツールでは、値下がり率、出来高、時価総額、PER、PBR、自己資本比率、配当利回りなど、様々な条件を組み合わせて銘柄を検索できます。例えば、「1ヶ月の値下がり率が30%以上」「出来高が10万株以上」「自己資本比率が30%以上」「PBRが1倍以下」といった条件を設定することで、財務が健全で割安な暴落株を絞り込めます。

  • SBI証券の「スクリーニング」機能:条件設定の自由度が高く、初心者から上級者まで幅広く使えます
  • 楽天証券の「スーパースクリーナー」:視覚的に分かりやすいインターフェースで、初心者でも使いやすい設計になっています
  • マネックス証券の「銘柄スカウター」:企業の財務分析に特化したツールで、過去10年分の財務データをグラフで確認できます
  • 松井証券の「株価ボード」:リアルタイムで株価と出来高を監視でき、急激な値動きを素早く捉えられます

スクリーニングツールを使いこなすには、まず自分の投資基準を明確にすることが大切です。「どのような条件の暴落株に投資したいか」を考え、その条件をスクリーニングツールに入力します。何度も試行錯誤しながら、自分に合った検索条件を見つけていきましょう。

暴落株投資に関するよくある質問

暴落株投資に関するよくある質問
暴落株は初心者でも買えますか?

暴落株は初心者でも買うことができますが、通常の株式投資よりもリスクが高いため、十分な知識と慎重な判断が必要です。

初心者が暴落株投資を始める場合は、まず少額から始めることをおすすめします。余裕資金の10%程度、金額にして3万円〜10万円程度から始めれば、仮に損失が出ても生活に影響はありません。また、単元未満株取引を利用すれば、数千円から投資できます。

初心者が暴落株投資をする際の注意点は、財務が健全な企業を選ぶことです。自己資本比率が30%以上、営業キャッシュフローがプラスの企業を選ぶことで、倒産リスクを大きく減らせます。また、東証プライム市場の銘柄の方が、流動性が高く安全性が高い傾向があります。

さらに、必ず損切りルールを設定し、それを守ることが重要です。「購入価格から10%下落したら売却する」といった明確なルールを決めておけば、損失を限定できます。

暴落株はいつ買うのがベストですか?

暴落株を買うベストタイミングは、暴落の原因が明確になり、株価が底を打ったと判断できる時です。ただし、正確に底を予測することは非常に難しいため、現実的なアプローチが必要です。

一般的には、暴落直後ではなく、株価が安定してきた段階で購入する方が安全です。暴落直後は売り注文が殺到し、株価がさらに下落することが多いためです。数日から1週間程度様子を見て、株価の動きが落ち着いてから投資判断をすることをおすすめします。

また、一度に全額を投資するのではなく、複数回に分けて買い増す方法も有効です。例えば、投資予算が10万円あれば、最初に3万円分を購入し、その後の株価の動きを見ながら残りを追加購入します。これにより、平均取得単価を調整でき、リスクを分散できます。

重要なのは、「完璧なタイミング」を狙うのではなく、「合理的なタイミング」で投資することです。

暴落株でナンピン買いはしてもいいですか?

ナンピン買い(追加購入)は、株価が回復する明確な根拠がある場合にのみ行うべきです。根拠なくナンピン買いを続けると、損失が拡大する危険があります。

ナンピン買いとは、購入した株の株価が下がった時に、さらに買い増すことで平均取得単価を下げる手法です。例えば、1,000円で100株買った後、株価が800円に下がった時にさらに100株買うと、平均取得単価は900円になります。

ナンピン買いが有効なのは、暴落の原因が一時的なものであり、企業の業績や財務に問題がない場合です。市場全体の下落や、一時的な悪材料による暴落であれば、ナンピン買いで平均取得単価を下げることで、回復時の利益を大きくできます。

一方、業績悪化や構造的な問題が原因の暴落では、ナンピン買いは避けるべきです。株価がさらに下落し続け、損失が拡大する可能性が高いためです。

暴落株はNISA口座で買えますか?

暴落株はNISA口座で買うことができます。NISA口座で購入すれば、売却益や配当金が非課税になるため、税制面で有利です。

2024年から始まった新NISA制度では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。暴落株投資に使えるのは「成長投資枠」です。成長投資枠では、上場株式や投資信託を年間240万円まで購入でき、非課税保有限度額は1,200万円です。

NISA口座で暴落株投資をするメリットは、利益が出た場合に税金がかからないことです。通常の課税口座では、株式の売却益に20.315%の税金がかかりますが、NISA口座ではこれが非課税になります。

ただし、NISA口座にはデメリットもあります。損失が出た場合、他の口座の利益と損益通算ができません。また、NISA口座の非課税投資枠は一度使うと、売却しても翌年まで復活しません。そのため、NISA口座では、より慎重に銘柄を選ぶことが重要です。

暴落株投資で税金はどうなりますか?

暴落株投資で利益が出た場合、株式の譲渡所得として税金がかかります。税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

証券口座には「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があります。初心者におすすめなのは「特定口座(源泉徴収あり)」です。この口座では、証券会社が自動的に税金を計算して源泉徴収してくれるため、確定申告が不要になります。

暴落株投資で損失が出た場合は、損益通算という制度を活用できます。損益通算とは、他の株式取引の利益と損失を相殺する制度です。例えば、A株で50万円の利益、B株で30万円の損失が出た場合、利益と損失を相殺して20万円に対してのみ税金がかかります。

また、損失が利益を上回った場合は、確定申告をすることで最大3年間損失を繰り越せます。これを「繰越控除」と言います。

暴落株投資におすすめの証券会社は?

暴落株投資におすすめの証券会社は、手数料が安く、スクリーニングツールや情報提供が充実しているネット証券です。特に、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券の4社がおすすめです。

SBI証券は、国内株式の現物取引手数料が原則無料で、取扱銘柄数も約3,500銘柄と豊富です。スクリーニングツールの機能も充実しており、多様な条件で銘柄を検索できます。また、単元未満株取引「S株」を利用すれば、1株から購入できるため、少額投資にも適しています。

楽天証券も、現物取引手数料が原則無料で、楽天ポイントを使って投資できる点が魅力です。「スーパースクリーナー」は視覚的に分かりやすく、初心者でも使いやすい設計になっています。

マネックス証券は、「銘柄スカウター」が企業分析に特化したツールで、過去10年分の財務データを詳細に確認できます。

松井証券は、1日の取引金額が50万円以下なら手数料無料で、少額投資に向いています。また、25歳以下は取引金額にかかわらず手数料無料です。

まとめ

暴落株投資は、株価が大きく下がった銘柄を割安で購入し、回復時に大きなリターンを狙う投資手法です。安く買えるチャンスがある一方で、さらに株価が下落したり、倒産したりするリスクも大きい、ハイリスク・ハイリターンの投資方法です。

暴落株投資で成功するには、暴落の原因を見極めることが最も重要です。市場全体の下落や一時的な悪材料による暴落であれば投資のチャンスになりますが、業績悪化や不祥事が原因の場合は避けるべきです。企業の財務状況を確認し、自己資本比率が30%以上、営業キャッシュフローがプラスの企業を選ぶことで、倒産リスクを減らせます。

初心者が暴落株投資を始める場合は、少額から始め、必ず損切りルールを設定することが大切です。余裕資金の10%程度、3万円〜10万円程度から始めれば、仮に損失が出ても生活に影響はありません。また、1銘柄に集中せず、3〜5銘柄に分散投資することで、リスクを軽減できます。

暴落株投資に役立つ情報源として、値下がり率ランキングサイト、東京証券取引所の適時開示情報、証券会社のスクリーニングツールなどを活用しましょう。これらのツールを使いこなすことで、効率的に投資候補を見つけ、適切な投資判断ができるようになります。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。暴落株投資は特にリスクが高いため、ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて慎重にご検討ください。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。不安な場合は、ファイナンシャルプランナーや証券会社の担当者など、専門家に相談することをおすすめします。

金融庁:投資の基本

国税庁:株式等の譲渡所得等の課税

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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