金投資信託をおすすめしない理由|代わりの方法と選び方

金投資信託をおすすめしない理由|代わりの方法と選び方

金投資信託に興味を持っているけれど、「おすすめしない」という声も聞いて迷っていませんか。

たしかに金投資信託には配当がない、手数料が高いといったデメリットがあります。

しかし、少額から始められる手軽さやリスク分散効果など、メリットもあるんです。

この記事では、金投資信託をおすすめしない理由を正直に解説しながら、代わりとなる金ETFや純金積立といった選択肢も詳しく紹介します。

最後まで読めば、あなたに合った金投資の方法が見つかるはずです。

この記事の要約
  • 金投資信託は配当がなく手数料が高めで、短期的な利益は期待しにくい
  • 金ETFは手数料が安くNISA成長投資枠が使えるため、金投資信託より有利
  • 長期的な資産保全やリスク分散を重視する人には金投資信託も選択肢になる
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

金投資信託とは|仕組みと特徴を知ろう

金投資信託は、投資家から集めた資金を使って金や金関連の資産に投資し、その運用成果を分配する金融商品です。

投資家の代わりに専門家が運用を行うため、金の知識が少ない初心者でも始めやすい特徴があります。

金投資信託の大きな特徴は、実際に金の現物を保有する必要がないことです。

運用会社が金を管理するため、盗難や紛失のリスクを心配する必要がありません。

また、数百円から数千円といった少額から投資をスタートできるため、まとまった資金がなくても金投資を始められます。

金投資信託の仕組み

金投資信託の仕組みは、投資信託協会が定める基準に基づいて運用されます。

投資家が購入した資金は、運用会社によって金の現物や金ETF、金先物取引などに投資されます。

運用会社は毎日基準価額を算出し、1日1回の価格で売買が行われます。

株式のようにリアルタイムで取引することはできませんが、価格変動を気にせず長期的に保有する投資スタイルに適しています。

金投資信託の多くは、海外の金ETFや国内の金ETFを投資対象としています。

例えば、「三菱UFJ純金ファンド」は国内ETFの「純金上場信託(1540)」を主な投資対象としています。

このように、金投資信託は間接的に金に投資する仕組みになっているんです。

投資家が支払うコストとしては、購入時手数料と信託報酬があります。信託報酬は運用管理費用として年率0.5〜1.5%程度が毎年発生し、長期的にコストとして積み上がります。

金価格に連動する投資商品

金投資信託は、金価格に連動するように設計された投資商品です。

金価格は1トロイオンス(約31.1グラム)あたりの米ドル建てで表示され、国際市場で取引されています。

日本国内で公表される円建ての金価格は、このドル建て金価格を円に換算して算出されます。

そのため、金投資信託に投資する際は、金価格の変動だけでなく為替変動の影響も受けることになります。

金投資信託には「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2つのタイプがあります。

為替ヘッジありの商品は、為替変動の影響を抑えながら金投資を行うことができますが、ヘッジコストが発生します。

一方、為替ヘッジなしの商品は、円安時に金価格上昇と為替差益の両方の恩恵を受けられる可能性があります。

金価格は需要と供給によって変動し、インフレ時や地政学的リスクが高まる局面では価格が上昇しやすい傾向があります。2024年には金価格が過去最高値を更新し、1グラムあたり1万円を超える水準まで上昇しました。

金投資信託をおすすめしない5つの理由

金投資信託には、投資を検討する前に知っておくべきデメリットがあります。

ここでは、金投資信託をおすすめしない理由を5つ解説します。

これらの理由を理解した上で、自分に合った投資方法を選ぶことが大切です。

配当や利息がもらえない

金投資信託の最大のデメリットは、配当や利息といったインカムゲインが得られないことです。

株式投資であれば配当金、債券投資であれば利息が定期的に受け取れますが、金は保有しているだけでは収益を生みません。

金投資信託で利益を得る方法は、購入時より高い価格で売却することによる売買差益(キャピタルゲイン)のみです。

そのため、定期的な収入を得たい人や、配当金でキャッシュフローを良くしたい人には不向きな投資方法と言えます。

高配当株やREIT(不動産投資信託)であれば、保有しているだけで年3〜5%程度の配当利回りが期待できます。金投資信託にはこうしたインカムゲインがないため、長期保有する場合でも価格上昇を待つしかありません。

手数料が高めで利益が削られる

金投資信託には、購入時手数料と信託報酬という2つの主要なコストがかかります。

信託報酬は年率0.5〜1.5%程度で、金ETFの信託報酬(年率0.2〜0.4%程度)と比較すると割高です。

この手数料の差は、長期投資では大きな影響を与えます。

例えば、100万円を10年間運用した場合、信託報酬が年1%と年0.3%では、最終的な資産額に数万円から十万円以上の差が生じる可能性があります。

金投資信託の信託報酬は、運用成果に関わらず毎年発生します。金価格が下落している局面でも手数料は引かれ続けるため、投資効率を圧迫する要因となります。

手数料負担を抑えたい場合は、金ETFなどの低コスト商品を検討する価値があります。

短期的な利益は期待しにくい

金価格は株式や暗号資産と比較して価格変動が小さく、短期間で大きな利益を得ることは難しい投資商品です。

金は長期的には価値を保つ傾向がありますが、数ヶ月から1年程度の短期では大きな値上がりは期待しにくいのが実情です。

金投資信託は長期保有を前提とした資産保全の手段として適していますが、短期間での資産増加を目指す投資家にとってはデメリットとなります。

例えば、株式投資であれば企業の業績向上により数ヶ月で20〜30%の値上がりも期待できますが、金ではそうした急激な上昇は稀です。

金価格の変動は比較的緩やかで、長期間の運用で徐々に資産を増やしていく性質があります。そのため、短期的な取引で利益を出したい人や、積極的に資産を増やしたい人には向いていません。

為替リスクの影響を受ける

金価格は国際市場で米ドル建てで取引されるため、日本円で投資する場合は為替変動の影響を受けます。

円高になると、ドル建ての金価格が上昇していても円建てでは価格が下落することがあります。

例えば、ドル建て金価格が1トロイオンスあたり2,000ドルから2,100ドルに5%上昇したとします。

しかし、同時期に為替レートが1ドル=150円から140円に円高になった場合、円建ての金価格は実質的に下落する可能性があります。

為替ヘッジありの金投資信託を選べば為替リスクを軽減できますが、ヘッジコストが発生するため信託報酬が高くなります。為替ヘッジなしの商品は円安時に恩恵を受けられる反面、円高時には不利になるというリスクがあります。

税金の計算が複雑になりやすい

金投資信託は、特定口座(源泉徴収あり)で保有していれば確定申告は不要ですが、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で保有している場合は確定申告が必要になります。

売却時の譲渡益には20.315%の税金がかかります。

金の現物投資の場合、売却益は譲渡所得として総合課税の対象となり、給与所得などと合算されて税金が計算されます。

所有期間が5年を超える場合と5年以下の場合で税金の計算式が異なるため、さらに複雑になります。

金投資信託は証券口座で管理されるため、金の現物投資よりは税制面でシンプルですが、それでも投資初心者にとっては理解が難しい部分があります。NISA口座を利用すれば非課税で運用できるため、税金の心配を減らすことができます。

金投資信託のメリット|知っておきたい4つの利点

金投資信託にはデメリットもありますが、投資初心者や少額から始めたい人にとって魅力的なメリットも存在します。

ここでは、金投資信託の4つの利点を解説します。

少額から始められる手軽さ

金投資信託の最大のメリットは、数百円から数千円という少額から投資を始められることです。

金の現物を購入する場合、最小単位の5グラムでも約11万円(2025年10月時点)の資金が必要になります。

さらに、500グラム未満の金地金には特殊加工料(スモールバーチャージ)が追加でかかるため、少量購入はコストが割高になります。

一方、金投資信託であれば、まとまった資金を用意できない人でも気軽に金投資を始められます。

ネット証券を利用すれば、月々100円から積立投資が可能です。投資初心者や、いきなり大金を投じるのは不安という人にとって、心理的なハードルを下げて投資を始められる大きなメリットがあります。

リスク分散の効果が期待できる

金は株式や債券とは異なる値動きをする資産です。

株式市場が下落している局面でも、金価格は安定していたり上昇したりすることがあります。

そのため、投資ポートフォリオに金投資信託を組み入れることで、全体のリスクを分散する効果が期待できます。

金は「安全資産」として知られており、経済不安や地政学的リスクが高まる局面では需要が増加し、価格が上昇しやすい傾向があります。

株式や証券は企業や国の信用に左右されますが、金は現物そのものに価値があるため、価値がゼロになるリスクは極めて低いと考えられます。

資産全体の5〜10%程度を金投資信託に配分することで、市場の変動に対する耐性を高めることができます。特に、長期的な資産形成を目指す人にとって、リスク分散の手段として有効です。

保管の手間やコストがかからない

金の現物投資では、盗難や紛失のリスクを避けるために貸金庫を借りる必要がありますが、年間数千円から数万円の保管料がかかります。

また、自宅で保管する場合は盗難や火災のリスクが常に付きまといます。

金投資信託であれば、運用会社が金の現物を厳重に保管・管理してくれるため、投資家はこれらのリスクや費用を負担する必要がありません。

信託銀行などが分別管理を行っているため、運用会社が破綻した場合でも投資家の資産は保護されます。

保管の手間がかからないことは、特に投資初心者や忙しい人にとって大きなメリットです。金の現物を持つ満足感は得られませんが、手軽に金投資を続けられる点は魅力的です。

インフレに強い資産として活用できる

インフレが進むと、現金や預金の価値は相対的に下がります。

しかし、金は現物資産であるため、インフレ時には価格が上昇しやすい特性があります。

そのため、金投資信託はインフレから資産を守る手段として活用できます。

2024年以降、世界的にインフレが進行しており、日本でも物価上昇が続いています。

このような環境下では、現金のまま保有しているよりも、金などのインフレに強い資産に一部を振り向けることで、資産価値の目減りを防ぐことが期待できます。

金価格は長期的に見ると、物価上昇率を上回るペースで上昇してきた実績があります。1970年代のオイルショック時には、金価格が約5年で4倍以上に上昇しました。長期的な資産保全を重視する人にとって、金投資信託は有力な選択肢となります。

金投資信託が向いている人・向いていない人

金投資信託にはメリットとデメリットがあるため、すべての人に適しているわけではありません。

ここでは、金投資信託が向いている人と向いていない人の特徴を解説します。

自分がどちらに当てはまるかを確認して、投資判断の参考にしてください。

金投資信託が向いている人の特徴

金投資信託が向いているのは、長期的な資産保全を重視する人です。

金は短期的な値上がりは期待しにくいものの、長期保有によって徐々に価値を保ち、インフレから資産を守る効果が期待できます。

10年、20年といった長期スパンで資産形成を考えている人に適しています。

投資初心者や、まとまった資金を用意できない人にも向いています。

金投資信託は数百円から始められるため、投資経験がない人でも無理なくスタートできます。

また、運用は専門家が行うため、金の知識が少なくても安心して投資できます。

金投資信託が向いている人

✓ 長期的な資産保全を重視する人

✓ 投資初心者や少額から始めたい人

✓ リスク分散を重視する人

✓ 保管の手間を避けたい人

リスク分散を重視する人にもおすすめです。

株式や債券など他の資産とは異なる値動きをする金を組み入れることで、ポートフォリオ全体のリスクを軽減する効果が期待できます。

資産全体の5〜10%程度を金投資信託に配分することで、市場の変動に対する耐性を高められます。

金投資信託が向いていない人の特徴

短期的な利益を重視する人には、金投資信託は向いていません。

金価格は変動が小さく、数ヶ月から1年程度の短期間で大きな値上がりは期待しにくいためです。

短期売買で利益を狙いたい人は、株式投資や暗号資産など値動きの大きい資産を検討する方が良いでしょう。

配当や利息など、定期的な収入を求める人にも不向きです。

金投資信託にはインカムゲインがないため、保有しているだけでは収益を生みません。

定期的なキャッシュフローを重視する人は、高配当株やREITなど配当が得られる投資商品を選ぶべきです。

金投資信託が向いていない人

✗ 短期的な利益を重視する人

✗ 配当や利息など定期的な収入を求める人

✗ 手数料を最小限に抑えたい人

✗ 金の現物を手元に置きたい人

手数料を最小限に抑えたい人にも適していません。

金投資信託の信託報酬は年率0.5〜1.5%程度で、金ETF(年率0.2〜0.4%程度)と比較すると割高です。

長期投資では手数料の差が大きな影響を与えるため、コストを重視する人は金ETFを検討する方が有利です。

金の現物を手元に置きたい人にも向いていません。

金投資信託では、ほとんどの銘柄で現物の金として引き出すことができません。

金そのものの輝きを堪能したい人や、有事の際に実物を持っておきたい人は、金地金や金貨の購入を検討する方が良いでしょう。

金投資信託の代わりになる3つの方法

金投資信託にはデメリットもあるため、代わりとなる投資方法を知っておくことが大切です。

ここでは、金投資信託の代替手段として有力な3つの方法を解説します。

それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。

金ETF|手数料が安くNISAも使える

金ETF(上場投資信託)は、金価格に連動するように設計された投資商品で、株式のように証券取引所でリアルタイムに売買できます。

金投資信託と比較して信託報酬が低く、年率0.2〜0.4%程度に抑えられているのが大きな特徴です。

金ETFの最大のメリットは、NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を利用できることです。

NISA口座で金ETFを購入すれば、売却益が非課税になるため、税金の負担を大幅に軽減できます。

年間240万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)です。

日本の証券会社で購入できる主要な金ETFには、「iシェアーズ ゴールドETF(314A)」「NEXT FUNDS 金価格連動型(1328)」「純金上場信託(1540)」などがあります。信託報酬が最も低いのは「NEXT FUNDS 金価格連動型」で年率0.176%、世界的な運用会社の信頼性を重視するなら「iシェアーズ ゴールドETF」が選択肢になります。

金ETFは証券会社であればどこでも購入できますが、銀行や郵便局では購入できない点に注意が必要です。

また、リアルタイムで売買できるため、価格が大きく動いたタイミングを狙ってピンポイントで取引したい人に適しています。

純金積立|コツコツ貯めたい人に

純金積立は、毎月一定額で金の現物を購入していく投資方法です。

月々1,000円から始められるため、少額から金投資を始めたい人に適しています。

価格が安い時に多く買い、高い時に少なく買う「ドルコスト平均法」の効果が期待できます。

純金積立の大きなメリットは、運用会社が金の現物を保管・管理してくれることです。

自分で貸金庫を借りる必要がなく、盗難や紛失のリスクを心配する必要がありません。

また、一定の量に達した金は、引き出し手数料を支払えば現物として引き出すこともできます。

純金積立にかかるコストは、買付手数料と年会費です。証券会社によって手数料率は異なりますが、毎回数%程度の手数料が発生します。ネット証券を利用すれば、スポット購入を選択することで手数料がかからない場合もあります。

純金積立は長期保有を前提とした投資方法で、5年、10年とコツコツ積み立てることで利益を増やせる可能性が高いです。

ただし、NISA口座は利用できないため、売却時には税金がかかる点に注意が必要です。

金の現物投資|実物を保有する安心感

金の現物投資は、金地金(インゴット)や金貨を実際に購入して保有する方法です。

金そのものの輝きを堪能でき、有事の際に実物を持っているという安心感があります。

金地金は貴金属商や宝石商、商社などで購入できます。

金地金の最小単位は一般的に5グラムで、約11万円(2025年10月時点)の資金が必要です。

500グラム未満の金地金には特殊加工料(スモールバーチャージ)が追加でかかるため、少量購入はコストが割高になります。

1キログラム単位であれば追加手数料はかかりませんが、1キログラムあたり2,300万円と高額です。

金貨は金地金に比べて重量が小さい分、少額から始められるのがメリットです。外国政府が発行する金貨には、カンガルー金貨、メイプルリーフ金貨、ウィーン金貨ハーモニーなどがあり、コレクションとしての価値もあります。

金の現物投資のデメリットは、保管リスクと購入・売却時の手数料が高いことです。自宅で保管する場合は盗難や火災のリスクがあり、銀行の貸金庫を利用する場合は年間数千円から数万円の保管料がかかります。また、他の金投資方法に比べて購入・売却時の手数料が高い点も考慮が必要です。

金投資信託と金ETFを比較|どちらを選ぶべき?

金投資信託と金ETFは、どちらも金価格に連動する投資商品ですが、手数料や取引方法、NISA対応などに違いがあります。

ここでは、両者の詳細な比較を通じて、どちらを選ぶべきか判断するポイントを解説します。

手数料の違いを比較

金投資信託と金ETFの最も大きな違いは、信託報酬の水準です。

金投資信託の信託報酬は年率0.5〜1.5%程度であるのに対し、金ETFは年率0.2〜0.4%程度と低コストです。

この手数料の差は、長期投資では大きな影響を与えます。

例えば、100万円を10年間運用した場合を比較してみましょう。

金価格が年平均3%上昇したと仮定すると、信託報酬が年1%の金投資信託では最終的な資産額は約121万円になります。

一方、信託報酬が年0.3%の金ETFでは約129万円になり、約8万円の差が生じます。

金投資信託には購入時手数料がかかる場合もありますが、ネット証券を利用すれば無料の場合が多いです。金ETFも証券会社によって売買手数料が異なりますが、最近では無料の証券会社も増えています。

長期投資では手数料の差が運用成果に大きく影響するため、コストを重視する人は金ETFを選ぶ方が有利です。

ただし、金投資信託でも信託報酬が比較的低い銘柄を選べば、コスト負担を抑えることができます。

NISA対応の違い

金ETFはNISAの成長投資枠の対象商品であるため、非課税で運用できます。

年間240万円まで投資でき、売却益や分配金が非課税になるため、税金の負担を大幅に軽減できます。

一方、金投資信託もNISAの成長投資枠の対象商品が多く存在します。

ただし、つみたて投資枠(年間120万円)では金をメインの投資先とする商品は対象外です。

そのため、金投資信託をNISA口座で購入する場合は、成長投資枠を利用することになります。

NISA口座を利用すれば、金投資信託でも金ETFでも非課税で運用できるため、この点では大きな違いはありません。ただし、金ETFの方が信託報酬が低いため、NISA口座内でも長期的には金ETFの方が有利になる可能性が高いです。

流動性と売買のしやすさ

金ETFは証券取引所に上場しているため、取引時間中であればリアルタイムで売買できます。

株式のように指値注文や成行注文も可能で、価格を見ながら機動的に売買したい人に適しています。

一方、金投資信託は1日1回算出される基準価額で売買が行われます。

リアルタイムでの取引はできませんが、売り手や買い手の多寡に関わらず、毎営業日に委託会社が公表する基準価額で売買が成立します。

そのため、流動性リスク(希望した値段や数量で売買できないリスク)は低いと言えます。

金ETFは取引所での需給によって価格が変動するため、市場での取引参加者が少なく売買が極端に少ない場合には、希望した値段や数量で売買できない可能性があります。ただし、主要な金ETFは純資産総額が大きく流動性も高いため、実際にはこうした問題が生じることは稀です。

金投資信託は金額を指定して購入でき、自動積み立ても簡単に設定できるため、少ない金額からコツコツと投資するのに向いています。

一方、金ETFは価格が大きく動いたタイミングを狙ってピンポイントで売買したい人に適しています。

具体的な金投資信託と金ETFの銘柄比較

具体的な金投資信託と金ETFの銘柄比較

金投資信託と金ETFには、それぞれ多くの銘柄が存在します。

ここでは、具体的な銘柄を比較して、どの商品を選ぶべきか判断するポイントを解説します。

信託報酬や純資産総額、NISA対応などを確認して、自分に合った銘柄を見つけましょう。

主要な金投資信託5本の比較

金投資信託の主要な銘柄を比較します。

信託報酬や純資産総額、為替ヘッジの有無などを確認して、自分の投資スタイルに合った銘柄を選びましょう。

銘柄名 信託報酬(年率) 純資産総額 為替ヘッジ NISA成長投資枠
三菱UFJ純金ファンド 約0.99% 約200億円 なし 対応
ピクテ・ゴールド 約0.99% 約150億円 あり・なし選択可 対応
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド 約0.51% 約100億円 あり・なし選択可 対応
SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド 約0.18% 約50億円 なし 対応
eMAXIS ゴールド 約0.44% 約80億円 なし 対応

信託報酬が最も低いのは「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド」で年率0.18%程度です。

金ETFに近い低コストを実現しているため、手数料を抑えたい人に適しています。

「三菱UFJ純金ファンド」は国内ETFの「純金上場信託(1540)」を投資対象としているため、円建ての金価格に連動し為替の影響を受けません。

為替リスクを避けたい人に向いています。

「ピクテ・ゴールド」や「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド」は、為替ヘッジありとなしを選択できるため、為替戦略に応じて使い分けることができます。円安時の恩恵を受けたい人は為替ヘッジなし、為替リスクを避けたい人は為替ヘッジありを選ぶと良いでしょう。

おすすめの金ETF3本の比較

金ETFの主要な銘柄を比較します。

信託報酬や純資産総額、運用会社の信頼性などを確認して、自分に合った銘柄を選びましょう。

銘柄名 銘柄コード 信託報酬(年率) 純資産総額 運用会社 NISA成長投資枠
iシェアーズ ゴールドETF 314A 約0.22% 約537億円 ブラックロック 対応
NEXT FUNDS 金価格連動型 1328 約0.176% 約468億円 野村アセットマネジメント 対応
純金上場信託(金の果実) 1540 約0.4% 約3,781億円 三菱UFJ信託銀行 対応

信託報酬が最も低いのは「NEXT FUNDS 金価格連動型(1328)」で年率0.176%です。

全銘柄中で最も低コストを実現しているため、手数料を最小限に抑えたい人に最適です。

「iシェアーズ ゴールドETF(314A)」は、世界最大級の資産運用会社ブラックロックが提供するETFで、2025年1月に上場したばかりの新しい銘柄です。

信託報酬も年率0.22%と低く、運用会社の信頼性を重視する人に適しています。

「純金上場信託(1540)」は、純資産総額が約3,781億円と最も大きく、流動性も高いです。一定以上の受益権口数を保有していると金現物が引き出せるユニークな特徴があります。ただし、信託報酬は年率0.4%とやや高めです。

金投資におすすめの証券会社3社

金投資を始める際は、証券会社選びも重要です。

ここでは、金ETFや金投資信託の取扱が豊富で、手数料が安く、サービスが充実している証券会社を3社紹介します。

SBI証券|金ETFの取扱が豊富

SBI証券の画像
項目 内容
口座数 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む)
取引手数料 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。
NISA対応
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点
成長投資枠対象商品 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点)
投資信託 約2,550本 ※2025年3月3日時点
外国株 8カ国/米国株式(5,000銘柄)
取引ツール(PC) HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー
スマホアプリ SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD
提携銀行口座 SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行
ポイント投資・付与 Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立)
口座開設スピード 最短 翌営業日

SBI証券は、国内最大手のネット証券で、金ETFや金投資信託の取扱銘柄が豊富です。

純金積立にも対応しており、月々1,000円から始められます

SBI証券の金ETFは、現物・積立取引の手数料が業界最低水準です。

また、三井住友銀行の仲介口座を開設して取引すれば、金の現物・積立取引手数料の1%相当がポイント還元されるメリットもあります。

SBI証券の特徴

✓ 金ETF・金投資信託の取扱銘柄が豊富

✓ 純金積立に対応(月々1,000円から)

✓ 現物・積立取引の手数料が業界最低水準

✓ NISA口座に対応

✓ 投資信託の取扱本数は約2,600本

NISA口座にも対応しており、金ETFを非課税で運用できます。

投資信託の取扱本数は約2,600本と豊富で、金関連の投資信託も多数取り扱っています。

口座開設は最短翌営業日で完了するため、すぐに投資を始めたい人にも適しています。

楽天証券|楽天ポイントで投資できる

楽天証券LP画像
項目 内容
口座数 約12,000,000口座 ※2025年1月時点
取引手数料 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。
NISA対応 〇(新NISA対応)
つみたて投資枠取扱銘柄数 263銘柄 ※2025年4月24日時点
成長投資枠対象商品 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄)
投資信託 約2,550本 ※2025年4月24日時点
外国株 6カ国/米国株式(約4,500銘柄)
取引ツール(PC) マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4
スマホアプリ iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物
提携銀行口座 楽天銀行(マネーブリッジ)
ポイント投資・付与 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>)
口座開設スピード 最短 翌営業日

楽天証券は、楽天ポイントを使って金ETFや金投資信託を購入できるのが大きな特徴です。

楽天カードのクレジット決済で投資信託を積み立てれば、ポイントも貯まります。

楽天証券の金ETFは、現物取引の手数料が原則無料です。

また、純金積立にも対応しており、月々1,000円から始められます。

楽天証券の特徴

✓ 楽天ポイントで金ETF・金投資信託が購入できる

✓ 金ETFの現物取引手数料が原則無料

✓ 純金積立に対応(月々1,000円から)

✓ NISA口座に対応

✓ 投資信託の取扱本数は約2,550本

NISA口座にも対応しており、金ETFを非課税で運用できます。

投資信託の取扱本数は約2,550本と豊富で、金関連の投資信託も多数取り扱っています。

口座開設は最短翌営業日で完了し、楽天ポイントを活用したい人に最適です。

マネックス証券|米国株の金ETFに強い

マネックス証券のLP画像
項目 内容
口座数 約2,700,000口座 ※2025年2月時点
取引手数料 【取引毎手数料コース】
  • 5万円以下:55円(税込)

  • 5万超~10万円以下:99円

  • 10万超~20万円以下:115円

  • 20万超~50万円以下:275円

  • 50万超~100万円以下:535円

  • 100万超~150万円以下:640円

  • 150万超~3,000万円以下:1,013円

  • 3,000万円超:1,070円

NISA対応 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料)
つみたて投資枠取扱銘柄数 〇(銘柄数は公式サイトで確認)
成長投資枠対象商品 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上)
投資信託 約1,800本(購入時手数料すべて無料)
外国株 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点)
取引ツール(PC) マネックストレーダー / 銘柄スカウター
スマホアプリ マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ
提携銀行口座 マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認)
ポイント投資・付与 マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能)
口座開設スピード オンライン申込で最短翌営業日

マネックス証券は、米国株の金ETFの取扱が豊富で、約5,000銘柄の米国株を取り扱っています。

世界最大級の金ETF「SPDRゴールド・シェア」など、海外の金ETFに投資したい人に適しています。

マネックス証券の純金積立は、買付手数料が業界最低水準です。

月々1,000円から始められ、スポット購入にも対応しています。

マネックス証券の特徴

✓ 米国株の金ETFの取扱が豊富(約5,000銘柄)

✓ 純金積立の買付手数料が業界最低水準

✓ 月々1,000円から始められる

✓ NISA口座に対応

✓ 投資信託の取扱本数は約1,800本

NISA口座にも対応しており、金ETFを非課税で運用できます。

投資信託の取扱本数は約1,800本で、金関連の投資信託も取り扱っています。

口座開設は最短2営業日で完了し、米国株の金ETFに投資したい人に最適です。

まとめ

金投資信託には、配当がない、手数料が高い、短期的な利益は期待しにくいといったデメリットがあります。

しかし、少額から始められる手軽さやリスク分散効果、保管の手間がかからないといったメリットもあります。

金投資信託の代わりとして、金ETFは手数料が安くNISA成長投資枠が使えるため、長期投資には有利な選択肢です。

純金積立はコツコツ貯めたい人に適しており、金の現物投資は実物を保有する安心感があります。

金投資信託と金ETFを比較すると、手数料の面では金ETFが有利です。

流動性と売買のしやすさでも、リアルタイムで取引できる金ETFが機動的な投資に向いています。

一方、金投資信託は少額から積立投資がしやすく、投資初心者に適しています。

金投資を始める際は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券を利用すると、手数料を抑えながら豊富な銘柄から選ぶことができます。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社・金融機関にご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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