iDeCoの掛金変更は年1回まで|手続き方法と注意点

iDeCoの掛金変更は年1回まで|手続き方法と注意点

iDeCoの掛金を変更したいけれど、何回まで変更できるのか、どうやって手続きすればいいのか分からず困っていませんか。

iDeCoの掛金変更は年1回まで可能で、変更可能期間は12月分から翌年11月分までと決まっています。

変更手続きはオンライン(e-iDeCo)または書面で行えますが、反映までに1~2カ月かかるため、早めの申請が必要です。

この記事では、iDeCoの掛金変更の基本ルール、具体的な手続き方法、変更のベストタイミング、注意点まで詳しく解説します。

転職や収入の変化に合わせて適切に掛金を調整し、無理なく老後資金を準備していきましょう。

この記事の要約
  • iDeCoの掛金変更は年1回まで、12月分~翌年11月分の期間で可能
  • オンライン(e-iDeCo)または書面で手続きでき、反映まで1~2カ月かかる
  • 収入の変化や年末調整のタイミングを考慮して計画的に変更しよう
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

iDeCoの掛金変更は年1回まで可能

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金額は、年1回まで変更することができます。家計状況やライフステージの変化に合わせて、柔軟に掛金を調整できる仕組みになっています。

ただし、変更には明確なルールがあり、変更可能な回数や期間、金額の範囲が定められています。これらのルールを正しく理解しておくことで、計画的な資産形成が可能になります。

変更できる回数と期間

iDeCoの掛金変更は、1年に1回のみ行うことができます。変更可能期間は毎年12月分から翌年11月分までの12カ月間です。

変更手続きには1~2カ月の処理期間が必要なため、希望する月から掛金を変更したい場合は、早めに申請することが大切です。

たとえば4月分から変更したい場合は、遅くとも2月中には手続きを開始する必要があります。

変更できる金額の範囲

掛金額は月額5,000円から、1,000円単位で設定できます。上限額は加入者の区分(会社員、公務員、自営業など)によって異なります。

掛金を最低額の5,000円まで減額することも、上限額まで増額することも可能です。

一度5,000円未満にはできないため、家計が厳しい場合は後述する「掛金の一時停止」を検討する必要があります。

変更が反映されるタイミング

掛金変更の申請から実際に変更が反映されるまでには、通常1~2カ月かかります。これは、金融機関での書類確認や国民年金基金連合会での処理に時間を要するためです。

たとえば、1月10日に変更届を提出した場合、早ければ2月分の掛金から、遅い場合は3月分から変更が反映されます。金融機関によって処理速度が異なるため、具体的な反映時期は利用している金融機関に確認するのが確実です。

変更が反映されると、金融機関から「掛金額変更完了のお知らせ」が届きます。また、マイページ(e-iDeCo)でも変更内容を確認できます。年末調整や確定申告で所得控除を受ける際には、変更後の掛金額を正確に把握しておくことが重要です。

iDeCoの掛金を変更する3つの方法

iDeCoの掛金変更には、大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれの方法で手続きの流れや必要書類が異なるため、自分の目的に合った変更方法を選びましょう。

毎月の掛金額を変更する

最も一般的な変更方法が、毎月の定額掛金の金額を変更することです。収入が増えて掛金を増額したい場合や、家計が厳しくなって減額したい場合に利用します。

変更手続きは、利用している金融機関のウェブサイトまたは書面で行います。オンライン手続き(e-iDeCo)に対応している金融機関であれば、マイページから「加入者掛金額変更届」を電子申請できます。書面の場合は、金融機関に連絡して「加入者掛金額変更届」を取り寄せ、必要事項を記入して返送します。

変更できる金額の例

月額5,000円から上限額までの範囲内で、1,000円単位

現在月額10,000円→15,000円に増額も可能

注意点として、この変更は「年1回まで」のカウントに含まれます。一度変更すると、次の変更まで最低12カ月待つ必要があるため、慎重に金額を決めましょう。

年単位拠出(月別指定拠出)に変更する

年単位拠出とは、毎月定額ではなく、月ごとに拠出額を変えられる制度です。正式には「月別指定拠出」と呼ばれ、ボーナス月に多めに拠出するなど、柔軟な資金計画が可能になります。

たとえば、年間の拠出上限が276,000円(月額23,000円×12カ月)の会社員の場合、1月~11月は月額10,000円(計110,000円)、12月に166,000円を一括拠出するといった設定ができます。各月の拠出額は5,000円以上で1,000円単位、年間合計が上限額を超えなければ自由に配分できます。

年単位拠出への変更も「加入者掛金額変更届」で行いますが、通常の金額変更とは異なり、12カ月分の拠出スケジュールを指定する必要があります。e-iDeCoに対応している金融機関では、オンラインで月別の金額を入力して申請できます。

年単位拠出は資金繰りの柔軟性が高い反面、一括拠出すると相場変動リスクが高まるというデメリットもあります。長期・分散投資の観点からは、毎月定額の方がドルコスト平均法の効果を得やすいため、メリット・デメリットを理解した上で選択しましょう。

掛金の拠出を一時停止する

家計が厳しく掛金の支払いが困難な場合は、掛金の拠出を一時的に停止することができます。これを「加入者資格喪失」ではなく「掛金の停止」または「拠出の休止」と呼びます。

拠出を停止しても、iDeCoの加入者資格は維持されます。これまで積み立てた資産は引き続き運用され、運用商品の変更(スイッチング)も可能です。ただし、新たな掛金の拠出は行われないため、資産の増加ペースは遅くなります。

停止手続きは「加入者資格喪失届」ではなく、「加入者掛金額変更届」で掛金額を「0円」に設定することで行います。ただし、金融機関によっては専用の「拠出停止届」が用意されている場合もあるため、事前に確認しましょう。

拠出を停止している間も口座管理手数料(月額171円~)は継続して発生します。手数料は既存の資産から差し引かれるため、長期間停止すると資産が目減りする可能性があります。

なお、拠出の停止と再開も「年1回まで」の変更回数にカウントされます。停止後に再開したい場合は、停止から12カ月経過後でなければ再開できないため、計画的に判断しましょう。

掛金変更の手続き方法|オンラインと書面

掛金変更の手続きは、オンライン(e-iDeCo)または書面の2つの方法があります。それぞれの具体的な流れと、手続き完了までの期間を確認しておきましょう。

オンライン手続き(e-iDeCo)の流れ

e-iDeCoは、iDeCoの各種手続きをオンラインで行えるシステムです。書面よりも手続きが早く、24時間いつでも申請できるため便利です。ただし、すべての金融機関がe-iDeCoに対応しているわけではないため、事前に確認が必要です。

1. 金融機関のウェブサイトにログイン
2. マイページから「掛金額変更」を選択
3. 変更後の掛金額を入力
4. 入力内容を確認して送信

e-iDeCoのメリットは、書類の郵送が不要で手続きが迅速な点です。書面よりも1~2週間早く処理されることが多く、申請状況もマイページで随時確認できます。

書面による手続きの流れ

e-iDeCoに対応していない金融機関や、オンライン手続きに不安がある場合は、書面での手続きも可能です。

1. 金融機関に「加入者掛金額変更届」を請求
2. 届いた書類に必要事項を記入
3. 記入した書類を金融機関に返送
4. 金融機関での審査・処理

書面手続きの注意点は、郵送に時間がかかることです。書類の往復だけで1~2週間、金融機関での処理にさらに1~2週間かかるため、オンラインよりも全体の処理期間が長くなります。また、記入ミスがあると書類が差し戻されるため、慎重に記入しましょう。

手続き完了までの期間

掛金変更の手続きが完了するまでの期間は、手続き方法や金融機関によって異なりますが、一般的には1~2カ月かかります。

e-iDeCoでオンライン申請した場合、最短で申請から1カ月程度で変更が反映されることもあります。一方、書面手続きの場合は、書類の往復や郵送期間を含めて1.5~2.5カ月かかることが多いです。

具体的なスケジュール例を見てみましょう。1月10日にe-iDeCoで申請した場合、1月中に金融機関の審査が完了し、2月上旬に国民年金基金連合会に書類が送られます。2月中旬に処理が完了し、3月分の掛金から変更が反映されるというイメージです。

掛金を変更するタイミングはいつがいい?

掛金変更は年1回しかできないため、タイミングの選択が重要です。ライフイベントや家計の状況、税制面を考慮して、最適な時期に変更しましょう。

収入が減ったとき(転職・育休など)

転職や育児休業で収入が減少した場合は、早めに掛金を減額することをおすすめします。無理して高額の掛金を続けると、家計が圧迫されて生活に支障が出る可能性があります。

特に育児休業中は、給付金の支給はあるものの収入が大幅に減少します。この期間は掛金を最低額の5,000円まで減額するか、一時停止を検討しましょう。ただし、育休中も所得控除のメリットは受けられるため、家計に余裕があれば少額でも継続する方が有利です。

転職の場合は、新しい勤務先の企業年金制度を確認することが重要です。企業型DCに加入する場合は、iDeCoの掛金上限額が変わる可能性があります。

収入が増えたとき(昇給・ボーナス増など)

昇給や転職で収入が増えた場合は、掛金を増額する絶好のタイミングです。掛金は全額所得控除の対象となるため、収入が増えるほど節税効果も大きくなります。

たとえば、年収が500万円から600万円に増えた会社員が、掛金を月額10,000円から20,000円に増額した場合、年間の掛金は240,000円となり、所得税・住民税合わせて約48,000円の節税効果が期待できます(所得税率20%、住民税率10%と仮定)。

増額する際は家計全体のバランスを考慮しましょう。iDeCoは60歳まで引き出せないため、緊急予備資金や短期的な貯蓄を確保した上で、余裕資金を増額に回すのが賢明です。

年末調整・確定申告との関係

年末調整や確定申告で所得控除を受けるためには、その年の12月までに拠出した掛金が対象となります。そのため、年末に向けて掛金を増額したい場合は、早めの手続きが必要です。

たとえば、12月分の掛金を増額して年内の所得控除額を増やしたい場合、遅くとも10月中には変更手続きを完了させる必要があります。11月以降の申請では、処理が年明けにずれ込み、翌年の所得控除扱いになる可能性があります。

年単位拠出を利用している場合は、12月に一括拠出することで年内の所得控除を最大化できます。ただし、一括拠出は相場変動リスクが高まるため、節税効果と投資リスクのバランスを考慮して判断しましょう。

国税庁「小規模企業共済等掛金控除」

家計の見直しをしたとき

住宅ローンの借り換え、保険の見直し、子どもの進学など、家計の大きな見直しを行ったタイミングも、掛金変更を検討する好機です。

住宅ローンの返済額が減った場合は、浮いた資金をiDeCoに回すことで、老後資金の準備を加速できます。逆に、子どもの教育費が増える時期は、掛金を減額して教育資金を優先するのも合理的な判断です。

家計簿アプリやファイナンシャルプランナーの相談を活用して、定期的に家計全体を見直し、iDeCoの掛金が適切かどうかチェックしましょう。

転職・退職時の掛金変更手続き

転職や退職で勤務先が変わると、被保険者区分が変わり、iDeCoの掛金上限額も変更される可能性があります。適切な手続きを行わないと、拠出が停止したり、上限額を超過したりするリスクがあるため注意が必要です。

会社員から自営業になった場合

会社員から自営業(第1号被保険者)になった場合、掛金の上限額が大幅に増えます。会社員時代の上限額は月額23,000円(企業年金なしの場合)ですが、自営業者は月額68,000円まで拠出できます。

この変更には「加入者被保険者種別変更届」の提出が必要です。この届出を行わないと、掛金上限額が更新されず、増額したくてもできない状態が続きます。被保険者種別変更届は、退職後14日以内に提出するのが原則です。

企業型DCに加入する場合

転職先に企業型DC(企業型確定拠出年金)がある場合、iDeCoとの併用ルールを確認する必要があります。2022年10月の制度改正により、企業型DCとiDeCoの併用が原則可能になりましたが、掛金の上限額が変わります。

企業型DCに加入する会社員のiDeCo掛金上限額は、原則として月額20,000円です。ただし、企業型DCの事業主掛金額によっては、さらに低くなる場合があります。具体的には、「企業型DCの事業主掛金額+iDeCo掛金≦55,000円」という制限があります。

企業型DCとの併用例

企業型DC事業主掛金:月額40,000円の場合

iDeCo上限額:15,000円(55,000円-40,000円)

転職時の手続き期限と注意点

転職時のiDeCo手続きには期限があります。被保険者種別変更届は、原則として退職後14日以内、遅くとも転職後1カ月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると、拠出が自動的に停止される場合があります。

拠出が停止されると、新たな掛金の積み立てができなくなり、所得控除のメリットも受けられなくなります。また、口座管理手数料は継続して発生するため、資産が目減りするリスクもあります。

また、転職時は「年1回まで」の変更回数にカウントされるかどうかも気になるポイントです。被保険者種別変更に伴う掛金上限額の変更は、通常の掛金額変更とは別扱いとなるため、年1回の制限には含まれません。ただし、種別変更と同時に任意で掛金額を変更する場合は、年1回のカウントに含まれる可能性があるため、金融機関に確認しましょう。

年単位拠出のメリット・デメリット

年単位拠出(月別指定拠出)は、毎月定額ではなく、月ごとに拠出額を変えられる柔軟な制度です。ボーナス時にまとめて拠出したい人には便利ですが、投資戦略の観点からはデメリットもあります。

年単位拠出とは?

年単位拠出とは、12月から翌年11月までの1年間を1つの単位として、月ごとに異なる金額を拠出できる制度です。各月の拠出額は5,000円以上(1,000円単位)で、年間の合計額が上限を超えなければ自由に配分できます。

たとえば、会社員(企業年金なし)の年間上限額は276,000円(月額23,000円×12カ月)です。年単位拠出を利用すれば、1月~11月は月額5,000円(計55,000円)、12月に221,000円を一括拠出するといった設定が可能です。

メリット|ボーナス時にまとめて拠出できる

年単位拠出の最大のメリットは、資金繰りの柔軟性です。毎月の給与から一定額を拠出するのが難しい場合でも、ボーナス月に多めに拠出することで年間の拠出額を確保できます。

毎月の家計が厳しいが、夏と冬のボーナスでまとまった資金がある人は、6月と12月に多めに拠出する設定にすれば、無理なくiDeCoを継続できます。

さらに、年末に一括拠出することで、その年の所得控除を確実に受けられるというメリットもあります。毎月定額の場合、年の途中で拠出を始めると、その年の所得控除額が少なくなりますが、年単位拠出なら12月に一括拠出することで、年間上限額まで所得控除を受けられます。

デメリット|相場変動リスクが高まる

年単位拠出のデメリットは、投資タイミングが集中することで、相場変動リスクが高まる点です。特に、ボーナス月に一括拠出する場合、その時の相場が高値であれば、高値掴みのリスクが生じます。

長期投資の基本戦略として「ドルコスト平均法」があります。これは、毎月一定額を積み立てることで、相場が高い時は少ない口数、安い時は多い口数を購入し、平均購入単価を平準化する手法です。毎月定額拠出はこの効果を得やすいですが、年単位拠出で一括拠出すると、この効果が薄れます。

12月に一括で20万円を拠出した場合、その月の相場が高値圏であれば、購入単価が高くなります。翌年1月に相場が下落しても、すでに購入済みのため、安く買う機会を逃すことになります。

年単位拠出を利用する場合は、このリスクを理解した上で、資金繰りのメリットと投資リスクのバランスを考慮して判断しましょう。投資の基本である「長期・積立・分散」の観点からは、毎月定額の方が安定した運用成果を期待できます。

金融庁「投資の基本」

掛金変更で気をつけたい5つの注意点

掛金変更には、知っておくべき注意点がいくつかあります。失敗を避けるために、以下の5つのポイントを確認しておきましょう。

所得控除が減ると節税メリットも減る

掛金を減額すると、その分だけ所得控除額が減り、節税効果も小さくなります。たとえば、月額20,000円から10,000円に減額した場合、年間の掛金は240,000円から120,000円に減り、所得控除額も120,000円減少します。所得税率20%、住民税率10%の人であれば、年間約36,000円の節税効果が失われます

家計が厳しい時は減額もやむを得ませんが、節税メリットが減ることを理解した上で判断しましょう。可能であれば、最低額の5,000円でも継続する方が、長期的には有利です。

変更には1~2カ月かかる

掛金変更の手続きには1~2カ月かかるため、希望する月から変更したい場合は早めの申請が必要です。特に、年末調整に間に合わせたい場合や、転職直後に変更したい場合は、スケジュールに余裕を持って手続きしましょう。

月末近くに申請すると、翌月の処理に間に合わず、さらに1カ月遅れることがあります。余裕を持って、希望月の2~3カ月前に手続きを開始するのが安全です。

停止中も口座管理手数料はかかる

掛金の拠出を停止している間も、口座管理手数料は継続して発生します。手数料は毎月171円~(金融機関によって異なる)で、既存の資産から差し引かれます。

たとえば、月額171円の手数料が1年間発生すると、年間2,052円が資産から差し引かれます。長期間停止すると、手数料による資産の目減りが無視できない金額になるため、家計が回復したら早めに拠出を再開しましょう。

上限額を超えた拠出に注意

転職などで被保険者区分が変わった場合、掛金の上限額も変わります。上限額を超えた拠出をしてしまうと、超過分は還付されますが、その分の所得控除は受けられません。

会社員から公務員に転職した場合、上限額は月額23,000円から12,000円に減少します。転職後も23,000円の拠出を続けると、超過分の11,000円は還付されますが、所得控除の対象外となり、税制上の損失が生じます。

年1回制限のカウント方法

掛金変更は「年1回まで」ですが、このカウント方法を正しく理解しておくことが重要です。「年1回」とは、暦年(1月~12月)ではなく、変更を申請した月から12カ月間を指します。

たとえば、2025年3月に変更手続きを行った場合、次に変更できるのは2026年3月以降です。2025年12月に再度変更したいと思っても、まだ12カ月経過していないため変更できません。

被保険者種別変更(転職等)に伴う掛金上限額の変更は、通常の掛金変更とは別扱いとなるため、年1回の制限には含まれないことが多いです。ただし、種別変更と同時に任意で金額を変更する場合は、カウントに含まれる可能性があるため、金融機関に確認しましょう。

2024年12月制度改正による掛金上限額の変更

2024年12月に確定拠出年金制度の改正が行われ、一部の加入者の掛金上限額が変更されました。自分の上限額がどう変わったのか、確認しておきましょう。

改正内容の概要

2024年12月の制度改正では、企業型DCとiDeCoを併用する場合の掛金上限額の計算方法が見直されました。従来は、企業型DCの事業主掛金額に応じてiDeCoの上限額が複雑に計算されていましたが、改正後はよりシンプルなルールになりました。

具体的には、企業型DCとiDeCoの掛金合計の上限が、企業年金の種類に応じて明確化されました。企業型DCのみに加入している場合は月額55,000円、企業型DCと確定給付企業年金(DB)の両方に加入している場合は月額27,500円が上限です。

自分の上限額を確認する方法

制度改正により、自分の掛金上限額がどう変わったのかを確認するには、以下の手順を踏みましょう。

1. 自分の被保険者区分を確認
2. 勤務先に企業年金制度があるか確認
3. 企業型DCの事業主掛金額を確認
4. 上限額シミュレーターで計算

不明な点がある場合は、利用している金融機関のコールセンターや、勤務先の人事部に問い合わせるのが確実です。また、iDeCo公式サイトには「掛金上限額シミュレーター」が用意されており、簡単な質問に答えるだけで自分の上限額を確認できます。

上限額変更に伴う手続き

制度改正により上限額が変わった場合、自動的に掛金が調整されるわけではありません。上限額が引き上げられた場合、増額したいのであれば、自分で掛金額変更届を提出する必要があります。

上限額が引き下げられた場合は、金融機関から通知が届き、自動的に上限額まで減額されることがあります。ただし、通知が届くまでに時間がかかる場合もあるため、自分で上限額を確認し、必要に応じて早めに減額手続きを行いましょう。

上限額を超えた拠出をしてしまった場合、超過分は後日還付されますが、所得控除の対象外となり、税制上の損失が生じます。制度改正の情報は定期的にチェックし、自分の掛金が適切かどうか確認する習慣をつけましょう。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
年に2回以上変更する方法はある?

原則として、掛金変更は年1回までです。ただし、被保険者種別が変わる場合(転職等)の掛金上限額変更は、通常の変更回数にカウントされないことが多いです。

たとえば、3月に掛金額を変更し、9月に転職して被保険者種別が変わった場合、種別変更に伴う上限額調整は別扱いとなるため、実質的に年2回変更できることがあります。ただし、種別変更と同時に任意で金額を変更する場合は、年1回のカウントに含まれる可能性があるため、金融機関に確認しましょう。

変更申請を取り消すことはできる?

掛金変更の申請後、まだ金融機関での処理が完了していない段階であれば、取り消しや訂正が可能な場合があります。早めに金融機関のコールセンターに連絡して、取り消しが可能か確認しましょう。

ただし、国民年金基金連合会に書類が送られた後は、取り消しが難しくなります。また、変更が反映された後に元に戻したい場合は、再度変更届を提出する必要があり、年1回の変更回数を消費することになります。申請前に金額をよく確認し、慎重に手続きしましょう。

掛金変更と運用商品の見直しは同時にすべき?

掛金変更と運用商品の見直しは、必ずしも同時に行う必要はありませんが、ライフステージの変化に合わせて両方を見直すのは効果的です。

たとえば、掛金を増額する際に、増額分を異なる運用商品に配分することで、ポートフォリオのバランスを調整できます。また、掛金を減額する場合は、既存の資産配分を見直し、リスク許容度に合った商品に変更することも検討しましょう。

運用商品の配分変更(スイッチング)は、掛金変更とは別に何度でも行えます。定期的に運用状況をチェックし、必要に応じてリバランスを行うことが、長期的な資産形成には重要です。

掛金を0円にすることはできる?

掛金を0円にすること、つまり拠出を一時停止することは可能です。「加入者掛金額変更届」で掛金額を0円に設定するか、金融機関によっては専用の「拠出停止届」を提出します。

ただし、拠出停止中も口座管理手数料は継続して発生し、既存の資産から差し引かれます。また、拠出停止と再開も年1回の変更回数にカウントされるため、停止後に再開したい場合は、停止から12カ月経過後でなければ再開できません。家計が厳しい場合は、0円にするよりも最低額の5,000円で継続する方が、所得控除のメリットを維持できます。

変更後の所得控除証明書はいつ届く?

iDeCoの所得控除証明書は、毎年10月下旬から11月上旬にかけて、国民年金基金連合会から郵送されます。掛金変更を行った場合でも、証明書には変更後の掛金額が反映されます。

ただし、変更のタイミングによっては、証明書発行時点で変更が反映されていない場合があります。その場合は、翌年1月頃に訂正版の証明書が送られてくるか、金融機関から別途証明書を取得する必要があります。年末調整に間に合わない場合は、確定申告で所得控除を申請しましょう。

金融機関を変更する場合の掛金は?

iDeCoの金融機関を変更(運営管理機関の変更)する場合、掛金の拠出は一時的に停止されます。変更手続きには通常2~3カ月かかり、その間は新たな掛金の拠出ができません。

金融機関変更が完了した後、新しい金融機関で掛金の拠出を再開します。この際、掛金額を変更することも可能です。ただし、金融機関変更に伴う掛金額の設定は、年1回の変更回数にカウントされる場合があるため、変更前に確認しましょう。

また、金融機関変更には手数料(4,400円程度)がかかり、変更前の運用商品はすべて売却されて現金化されます。変更後に再度商品を購入する必要があるため、相場状況によっては不利になる可能性もあります。金融機関変更は慎重に検討しましょう。

まとめ

iDeCoの掛金変更は年1回まで可能で、変更可能期間は12月分から翌年11月分までです。変更手続きはオンライン(e-iDeCo)または書面で行え、反映までに1~2カ月かかります。

掛金変更の方法には、毎月の定額変更、年単位拠出への変更、掛金の一時停止の3つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の家計状況やライフステージに合わせて選択しましょう。

掛金を変更するベストタイミングは、収入の変化(転職・昇給・育休など)や家計の見直し時です。特に年末調整との関係を考慮し、12月分の掛金を変更したい場合は10月までに手続きを完了させることが重要です。

転職時は被保険者区分が変わり、掛金上限額も変更される可能性があります。速やかに被保険者種別変更届を提出し、新しい上限額に合わせて掛金を調整しましょう。

年単位拠出はボーナス時にまとめて拠出できる柔軟性がある一方、相場変動リスクが高まるデメリットもあります。長期・積立・分散投資の観点からは、毎月定額の方が安定した運用成果を期待できます。

掛金変更時の注意点として、所得控除の減少、手続き期間、停止中の手数料、上限額超過、年1回制限のカウント方法を理解しておきましょう。特に、掛金を減額すると節税メリットも減るため、可能な範囲で継続することをおすすめします。

2024年12月の制度改正により、企業型DCとの併用時の上限額計算方法が変わりました。自分の上限額を確認し、必要に応じて掛金を調整しましょう。

なお、iDeCoの運用には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しい手続き方法や条件については、ご利用の金融機関にご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

この記事のキーワード

キーワードがありません。

この記事と同じキーワードの記事

まだ記事がありません。

キーワードから探す

資料請求

資料請求

カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ

お問い合わせ

そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!