日経平均CFDとは?始め方と注意点をやさしく解説

転職を考えているけれど、iDeCoの手続きをどうすればいいのか分からず不安に感じていませんか。
iDeCoは転職しても継続できる制度ですが、転職先の企業年金制度によって必要な手続きが変わります。
手続きを放置すると、自動移換という状態になり、手数料がかかったり運用が止まったりするリスクがあります。
この記事では、転職時のiDeCo手続きを転職先の状況別に詳しく解説します。転職前の準備から具体的な手続き方法、よくある質問まで網羅していますので、安心して転職に臨めます。
目次
転職したらiDeCoはどうなる?
転職時のiDeCoについて、まず押さえておきたい基本的なポイントを解説します。iDeCoは転職しても継続できる制度ですが、適切な手続きが必要です。
iDeCoは転職しても資産を持ち運べる「ポータビリティ制度」があり、転職後も継続して運用できます。これまで積み立ててきた資産が無駄になることはありません。
転職先の企業年金制度に関わらず、iDeCoの加入資格を失うことはほとんどありません。ただし、転職先の制度によって掛金の上限額や併用の可否が変わるため、手続きが必要になります。
転職先が決まっていない場合でも、自営業やフリーランスとしてiDeCoを継続できますし、配偶者の扶養に入る場合も加入を続けられます。
転職後は、できるだけ早く手続きを行うことが大切です。被保険者種別が変わる場合は、速やかに運営管理機関に連絡して必要書類を提出しましょう。
手続きを怠ると、掛金の引き落としが停止されたり、掛金上限額を超えて拠出してしまい返金手数料(1,048円)がかかったりする可能性があります。
企業型DCからiDeCoに移換する場合は、退職日の翌日から資格を喪失し、その月の翌月から6ヶ月以内に手続きを完了させる必要があります。この期限を過ぎると、自動移換という状態になってしまいます。
転職時のiDeCo手続きは、転職先の企業年金制度によって大きく異なります。主に以下の5つのパターンに分かれます。
転職先の企業年金制度は、内定時や入社時に人事部門に確認しておくとスムーズです。就業規則や企業型DCの規約に記載されていることもあります。
企業型DCとiDeCoの併用可否や、マッチング拠出制度の有無なども、転職先の制度によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
転職前にやっておきたい3つの準備
転職後は何かと忙しくなるため、転職前にiDeCoに関する準備をしておくと手続きがスムーズに進みます。事前準備をしっかり行うことで、手続き漏れや自動移換を防げます。
まず、現在のiDeCo加入状況を整理しましょう。運営管理機関の名称、口座番号、掛金額、運用商品、資産残高などを確認しておきます。
運営管理機関のウェブサイトやコールセンターで、自分の加入状況を詳しく確認できます。加入者証や定期的に送られてくる「個人型年金の記録」などの書類も手元に用意しておくと安心です。
現在の掛金額と転職後の掛金上限額を比較し、変更が必要かどうかも事前に把握しておきましょう。掛金額の変更は年1回できるため、転職のタイミングで見直すのも良い機会です。
また、運営管理機関を変更する予定がある場合は、変更手続きに1〜2ヶ月程度かかることも考慮して、早めに検討を始めることをおすすめします。
転職先の企業年金制度を事前に調べておくことで、必要な手続きを把握できます。内定後、入社前に人事部門に以下の点を確認しましょう。
企業型DCがある場合、規約でiDeCoとの併用が認められているかどうかが重要なポイントです。2022年10月の法改正により、企業型DCの規約に関わらずiDeCoに加入できるようになりましたが、マッチング拠出を利用する場合はiDeCoと併用できません。
確定給付企業年金(DB)がある場合、2024年12月以降はiDeCoの掛金上限額の計算方法が変わっています。DBの掛金相当額によってはiDeCoの掛金を拠出できなくなる可能性もあるため、詳細を確認しておきましょう。
転職後に必要となる書類を事前に準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。主に以下の書類が必要になります。
これらの書類は、運営管理機関のウェブサイトからダウンロードできることが多いです。事前に書式を確認し、記入方法を理解しておくと良いでしょう。
2024年12月以降、企業等にお勤めの方がiDeCoに加入する際の事業主証明書は廃止されました。ただし、事業主払込を選択する場合は引き続き事業主の証明書が必要です。
また、マイナンバーカードや本人確認書類のコピーなど、手続きに必要な書類も事前に準備しておくと安心です。
転職先の企業年金制度によって、iDeCoの手続き方法は大きく異なります。ここでは、5つのパターン別に具体的な手続き方法を解説します。自分の転職先がどのパターンに当てはまるかを確認し、適切な手続きを行いましょう。
転職先に企業型DCがない場合、iDeCoをそのまま継続できます。この場合の手続きは比較的シンプルです。
必要な手続きは、運営管理機関に「加入者登録事業所変更届」を提出することです。この書類で、勤務先が変わったことを運営管理機関に知らせます。
企業型DCがない会社への転職時のポイント
掛金上限は月額23,000円
被保険者種別が変わる場合は種別変更届も必要
運用商品はそのまま保有し続けられる
被保険者種別が変わらない場合(会社員から会社員への転職など)は、この届出だけで手続きは完了します。ただし、被保険者種別が変わる場合(会社員から自営業など)は、「加入者被保険者種別変更届」も必要になります。
掛金額の上限は、企業年金がない会社員の場合、月額23,000円です。現在の掛金額がこの上限を超えている場合は、「加入者掛金額変更届」を提出して掛金額を調整しましょう。
企業型DCがない会社に転職した場合、iDeCoの運用は継続されるため、資産が現金化されることもありません。これまでの運用商品もそのまま保有し続けられます。
転職先に企業型DCがある場合、いくつかの選択肢があります。主に以下の3つのパターンに分かれます。
転職先の企業型DCの規約でiDeCoとの併用が認められている場合、iDeCoをそのまま継続できます。2022年10月の法改正により、多くの企業でこの併用が可能になりました。
この場合、「加入者登録事業所変更届」と「加入者被保険者種別変更届」を運営管理機関に提出します。企業型DCとiDeCoの掛金合計が月額55,000円を超えないように調整する必要があります。
企業型DCの事業主掛金額によっては、iDeCoの掛金上限が20,000円よりも低くなることがあります。例えば、企業型DCの事業主掛金が月額40,000円の場合、iDeCoの掛金上限は15,000円になります。
ただし、転職先でマッチング拠出制度を利用する場合は、iDeCoとの併用はできません。マッチング拠出とiDeCoのどちらが有利かは、企業の掛金額や税制優遇の観点から検討する必要があります。
転職先の企業型DCの規約でiDeCoとの併用が認められていない場合、またはマッチング拠出を利用する場合は、iDeCoの資産を企業型DCに移換するか、iDeCoの掛金拠出を停止して運用指図者になる必要があります。
iDeCoの資産を企業型DCに移換する場合は、運営管理機関に「加入者資格喪失届(K-015)」を提出します。その後、転職先の企業型DCの担当者に連絡し、移換手続きを進めます。
移換手続きが完了すると、iDeCoで運用していた資産は一度現金化され、転職先の企業型DCに移されます。移換後は、転職先の企業型DCで用意されている運用商品の中から、あらためて運用商品を選択する必要があります。
運用指図者として継続する場合は、新規の掛金拠出は停止しますが、これまでの資産は引き続きiDeCoで運用できます。運用指図者になるには、「加入者資格喪失届」を提出します。
転職先に確定給付企業年金(DB)がある場合、iDeCoを継続することができます。ただし、掛金の上限額が変わる点に注意が必要です。
2024年12月以降、DBに加入している場合のiDeCo掛金上限額は、「月額55,000円-DB等の他制度掛金相当額」で計算され、上限は20,000円です。DBの掛金相当額が大きい場合、iDeCoの掛金上限が低くなったり、最低掛金額の5,000円を下回って拠出できなくなったりすることがあります。
手続きとしては、運営管理機関に「加入者登録事業所変更届」と「加入者被保険者種別変更届」を提出します。DBの掛金相当額によってiDeCoの掛金上限が変わるため、必要に応じて「加入者掛金額変更届」も提出しましょう。
また、転職先のDBの規約で、iDeCoからの資産移換を受け入れることが可能と定められている場合は、iDeCoの資産をDBに移換することもできます。移換の可否については、転職先の人事部門に確認してください。
会社員から自営業やフリーランスになった場合、国民年金の第1号被保険者に変わるため、被保険者種別変更の手続きが必要です。
運営管理機関に「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)(K-010A)」を提出します。この手続きにより、iDeCoの掛金上限額が月額68,000円に変更されます。
自営業・フリーランスのポイント
掛金上限は月額68,000円(国民年金基金等との合算)
厚生年金がないためiDeCoの活用が重要
掛金全額が所得控除の対象
自営業・フリーランスの場合、国民年金基金や国民年金付加保険料との合算で月額68,000円が上限となります。例えば、国民年金基金に月額20,000円拠出している場合、iDeCoの掛金上限は月額48,000円になります。
自営業・フリーランスは厚生年金に加入していないため、iDeCoを最大限活用して老後資金を準備することが重要です。掛金の全額が所得控除の対象となるため、税制優遇のメリットも大きくなります。
配偶者の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者になる場合も、被保険者種別変更の手続きが必要です。
運営管理機関に「加入者被保険者種別変更届(第3号被保険者用)(K-010C)」を提出します。第3号被保険者の場合、iDeCoの掛金上限額は月額23,000円です。
第3号被保険者になると、国民年金保険料の支払いが免除されますが、iDeCoの掛金は自分で支払う必要があります。ただし、掛金は全額所得控除の対象となるため、配偶者に収入がある場合は税制優遇のメリットを受けられます。
配偶者の扶養に入る場合でも、iDeCoの加入を継続できるため、老後資金の準備を途切れさせることなく続けられます。掛金額を調整したい場合は、「加入者掛金額変更届」を提出しましょう。
また、一時的に扶養に入るだけで、将来的に再就職する予定がある場合は、運用指図者として掛金拠出を停止し、運用のみを続けることも選択肢の一つです。
転職時のiDeCo手続きに必要な書類と提出先
転職時のiDeCo手続きには、いくつかの書類が必要になります。ここでは、主要な書類の書き方と提出先を詳しく解説します。書類の記入ミスや提出漏れを防ぐため、事前に内容を確認しておきましょう。
被保険者種別変更届は、国民年金の被保険者種別が変わった場合に提出する書類です。第1号被保険者用(K-010A)、第3号被保険者用(K-010C)、任意加入被保険者用(K-010D)など、変更後の種別によって書式が異なります。
書類には、基本情報として氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、個人番号(マイナンバー)、基礎年金番号などを記入します。運営管理機関によっては、加入者番号や口座番号も必要になります。
第1号被保険者に変更する場合(K-010A)は、国民年金基金の掛金額や付加保険料の納付の有無も記入します。これらはiDeCoの掛金上限額に影響するため、正確に記入することが重要です。
書類には、変更後の掛金額も記入します。被保険者種別が変わると掛金上限額も変わるため、新しい上限額の範囲内で掛金額を設定しましょう。掛金額は月額5,000円以上、1,000円単位で設定できます。
加入者資格喪失届(K-015)は、iDeCoの加入者資格を喪失する場合に提出する書類です。企業型DCに資産を移換する場合や、運用指図者に変更する場合に必要になります。
書類には、基本情報として氏名、生年月日、住所、電話番号、加入者番号などを記入します。資格喪失の理由も選択肢から選んで記入します。
企業型DCに資産を移換する場合は、移換先の企業型DCの情報(企業名、記録関連運営管理機関名など)も記入する必要があります。転職先の人事部門に確認して、正確な情報を記入しましょう。
加入者資格喪失届を提出すると、iDeCoの掛金引き落としが停止されます。提出のタイミングを間違えると、余分に掛金が引き落とされたり、逆に引き落としが止まってしまったりするので注意が必要です。
iDeCoの手続き書類は、主に以下の方法で入手できます。
多くの運営管理機関では、ウェブサイトでPDF形式の書類を提供しています。ダウンロードして印刷し、手書きで記入して郵送する方法が一般的です。
一部の運営管理機関では、オンラインで手続きを完結できるシステムを提供しています。ウェブサイトやスマートフォンアプリから、必要事項を入力するだけで手続きが完了するため、書類の郵送が不要になります。
書類の提出先は、原則として運営管理機関です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など、iDeCoを取り扱っている金融機関が運営管理機関になります。
書類は、運営管理機関が指定する住所に郵送します。多くの場合、返信用封筒が用意されているか、ウェブサイトで返信用ラベルをダウンロードできます。書類の不備があると手続きが遅れるため、記入漏れや添付書類の不足がないか、提出前に必ず確認しましょう。
手続きをしないとどうなる?
転職時のiDeCo手続きを放置すると、「自動移換」という状態になります。自動移換には大きなデメリットがあるため、必ず期限内に手続きを行いましょう。自動移換は資産が目減りし、老後資金の準備に悪影響を及ぼします。
自動移換とは、企業型DCの加入者が退職後6ヶ月以内に移換手続きを行わなかった場合、運用していた資産が現金化されて国民年金基金連合会に自動的に移されることを指します。
自動移換は、確定拠出年金制度において手続きを放置した場合の措置として定められています。資産を保護するための仕組みではありますが、加入者にとっては多くのデメリットがあります。
自動移換されると、加入者でも運用指図者でもない「自動移換者」という状態になります。この状態では、資産の運用ができず、給付金の受け取りもできません。
2021年12月時点で、自動移換者は約106万人に達しており、確定拠出年金制度の大きな課題となっています。転職時の手続き漏れや、制度の理解不足が主な原因です。
自動移換には、主に以下の3つのデメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
自動移換されると、高額な手数料が発生します。自動移換時に4,269円、その後は自動移換4ヶ月目以降から毎月51円(年間612円)の管理手数料が資産から差し引かれます。
これらの手数料は、本来であれば運用に回せたはずの資金です。手数料によって資産が目減りすることは、老後資金の準備にとって大きな損失となります。
自動移換されると、資産は現金化されて国民年金基金連合会に移されます。この状態では、投資信託などでの運用ができなくなり、資産を増やす機会を失います。
iDeCoの大きなメリットの一つは、運用益が非課税になることです。しかし、自動移換の状態では運用ができないため、この税制優遇のメリットを受けられません。
長期的に見ると、運用機会の損失は大きな影響を及ぼします。例えば、年率3%で運用できる場合、10年間で資産は約1.3倍に増えますが、自動移換の状態ではこの成長が得られません。
自動移換の期間は、確定拠出年金の通算加入者等期間にカウントされません。これにより、老齢給付金の受給開始年齢が遅くなる可能性があります。
確定拠出年金は、通算加入者等期間が10年以上あれば60歳から受給できますが、10年未満の場合は受給開始年齢が段階的に引き上げられます。例えば、通算加入者等期間が8年以上10年未満の場合、受給開始は61歳からになります。
自動移換の期間が長いと、60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たず、受給開始が遅れる可能性があります。特に、50歳以降にiDeCoに加入した場合は、この影響が大きくなります。
すでに自動移換されてしまった場合でも、復旧することは可能です。以下の手順で手続きを進めましょう。
まず、自動移換の状態を確認します。国民年金基金連合会が委託している特定運営管理機関(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社)に連絡し、自分の資産が自動移換されているかどうかを確認します。自動移換者専用コールセンター(03-5958-3736、平日9:00〜17:30)に電話すると、状況を確認できます。
次に、iDeCoまたは企業型DCに資産を移換する手続きを行います。iDeCoに移換する場合は、新たにiDeCoの口座を開設し、「個人別管理資産移換依頼書」などの必要書類を提出します。企業型DCに移換する場合は、勤務先の人事部門に相談して手続きを進めます。
移換手続きが完了すると、自動移換されていた資産がiDeCoまたは企業型DCに移され、再び運用できるようになります。ただし、自動移換時に差し引かれた手数料は戻ってこないため、早めに手続きを行うことが重要です。
転職後の掛金上限額はどう変わる?
転職により被保険者種別が変わると、iDeCoの掛金上限額も変わります。ここでは、被保険者種別ごとの掛金上限額と、企業型DCとの併用時の上限額について解説します。掛金上限額を正しく理解し、適切な掛金額を設定しましょう。
iDeCoの掛金上限額は、国民年金の被保険者種別と企業年金の有無によって異なります。以下の表で、被保険者種別ごとの掛金上限額を確認しましょう。
| 被保険者種別 | 対象者 | 掛金上限額(月額) | 備考 |
| 第1号被保険者 | 自営業・フリーランス・学生など | 68,000円 | 国民年金基金・付加年金との合算 |
| 第2号被保険者(企業年金なし) | 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | |
| 第2号被保険者(企業型DCのみ) | 会社員(企業型DCあり) | 20,000円 | 企業型DCとの合算で55,000円まで |
| 第2号被保険者(DB等あり) | 会社員(DB等あり) | 12,000円→20,000円(2024年12月〜) | 企業型DC+DB等との合算で55,000円まで |
| 第2号被保険者(公務員) | 公務員 | 12,000円→20,000円(2024年12月〜) | 共済掛金相当額との合算で55,000円まで |
| 第3号被保険者 | 専業主婦(夫) | 23,000円 |
2024年12月の制度改正により、DB等に加入している会社員と公務員の掛金上限額が12,000円から20,000円に引き上げられました。ただし、企業型DCやDB等の掛金相当額との合算で月額55,000円が上限となるため、実際の上限額は個人によって異なります。
また、2025年度の税制改正大綱では、さらなる掛金上限額の引き上げが予定されています。企業年金なしの会社員は月額62,000円、企業年金ありの会社員・公務員は月額55,000円、自営業・フリーランスは月額75,000円に引き上げられる見込みです。
企業型DCとiDeCoを併用する場合、両方の掛金を合算して月額55,000円が上限となります。具体的な計算方法は以下の通りです。
iDeCoの掛金上限額=55,000円−(企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)(上限20,000円)
企業型DCの事業主掛金が月額50,000円を超える場合、iDeCoの掛金上限は5,000円未満となり、iDeCoの最低掛金額(5,000円)を下回るため、iDeCoに掛金を拠出できなくなります。この場合は、運用指図者として運用のみを続けるか、iDeCoの資産を企業型DCに移換する必要があります。
また、マッチング拠出制度を利用している場合は、iDeCoとの併用はできません。マッチング拠出とiDeCoのどちらが有利かは、企業の掛金額や個人の所得税率などによって異なるため、慎重に検討しましょう。
転職を機にiDeCoの運営管理機関を変更すべき?
転職のタイミングで、iDeCoの運営管理機関(金融機関)を変更するかどうか検討する人もいるでしょう。ここでは、運営管理機関変更のメリットと注意点を解説します。手数料や商品ラインナップを比較し、自分に合った運営管理機関を選びましょう。
運営管理機関を変更する主なメリットは、以下の3つです。
運営管理機関変更の3つのメリット
運営管理手数料の削減(月額数百円→無料)
運用商品ラインナップの充実
サービスの利便性向上
まず、運営管理手数料を削減できる可能性があります。運営管理機関によっては、口座管理手数料として月額数百円を徴収しているところもあります。一方、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの主要なネット証券では、運営管理手数料が無料になっています。長期的に見ると、この手数料の差は大きな金額になります。
次に、運用商品のラインナップを充実させられます。運営管理機関によって、取り扱っている投資信託の本数や種類が異なります。より低コストなインデックスファンドや、自分の投資方針に合った商品を選べる運営管理機関に変更することで、運用成果の向上が期待できます。
運営管理機関を変更する際には、以下の注意点とデメリットがあります。
まず、変更手続きに1〜2ヶ月程度の時間がかかります。この間、運用商品の売買ができなくなるため、相場の変動によっては不利なタイミングで資産が現金化される可能性があります。
次に、変更時に手数料が発生します。変更元の運営管理機関によっては、資産を移換する際に4,400円程度の手数料がかかることがあります。また、変更先の運営管理機関でも、加入時手数料として2,829円がかかります。
さらに、運用商品がリセットされます。変更時には、現在保有している運用商品がすべて売却されて現金化され、変更先の運営管理機関で新たに運用商品を選び直す必要があります。このため、長期投資の戦略が一時的に中断されることになります。
運営管理機関を変更する場合の手続きの流れは、以下の通りです。
まず、変更先の運営管理機関を選び、資料請求や口座開設の申し込みを行います。変更先の運営管理機関から「個人型年金運営管理機関変更届」などの必要書類が送られてきます。
次に、必要事項を記入し、変更先の運営管理機関に書類を提出します。この際、現在の運営管理機関の名称や加入者番号などの情報が必要になります。
変更先の運営管理機関が書類を受理すると、国民年金基金連合会を通じて変更元の運営管理機関に連絡が行きます。変更元の運営管理機関では、保有している運用商品をすべて売却して現金化し、変更先の運営管理機関に資産を移換します。
資産の移換が完了すると、変更先の運営管理機関から通知が届きます。その後、変更先の運営管理機関で運用商品を選択し、運用を開始します。手続き全体には、通常1〜2ヶ月程度かかります。
転職時のiDeCoでよくある質問(Q&A)
転職時のiDeCoについて、よくある質問とその回答をまとめました。実際の転職者が抱く疑問に答えることで、手続きをスムーズに進められます。
転職先が決まる前に退職した場合でも、iDeCoは継続できます。退職後、国民年金の第1号被保険者(自営業・無職)または第3号被保険者(配偶者の扶養)になるため、被保険者種別変更の手続きが必要です。
第1号被保険者になる場合は、「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)(K-010A)」を提出します。掛金上限額は月額68,000円になりますが、収入がない場合は掛金の拠出を一時停止し、運用指図者として運用のみを続けることもできます。
また、企業型DCに加入していた場合は、退職後6ヶ月以内にiDeCoへの移換手続きを行う必要があります。転職先が決まっていない場合でも、この期限は変わらないため、早めに手続きを行いましょう。
短期間で複数回転職する場合、その都度被保険者種別変更の手続きが必要になります。手続きを怠ると、掛金の引き落としが停止されたり、掛金上限額を超えて拠出してしまったりする可能性があります。
特に、企業型DCがある会社とない会社を行き来する場合は、iDeCoと企業型DCの資産を移換するかどうかの判断が必要になります。短期間で何度も資産を移換すると、その都度手数料がかかり、運用も中断されるため、資産形成に悪影響を及ぼす可能性があります。
短期間で複数回転職する可能性がある場合は、iDeCoをそのまま継続し、企業型DCには資産を移換しないという選択肢も検討しましょう。2022年10月以降、企業型DCとiDeCoの併用が可能になったため、両方を保有し続けることもできます。
企業型DCからiDeCoに資産を移換する際には、以下の手数料がかかります。
まず、国民年金基金連合会に支払う加入時手数料として2,829円がかかります。この手数料は、iDeCoに初めて加入する場合や、企業型DCからiDeCoに資産を移換する場合に必要になります。
また、移換元の企業型DCの運営管理機関によっては、資産を移換する際に手数料がかかることがあります。この手数料は運営管理機関によって異なりますが、一般的には0円〜4,400円程度です。
転職後も掛金を拠出し続けるかどうかは、個人の状況によって異なります。以下の点を考慮して判断しましょう。
まず、家計の状況を確認します。転職により収入が減少した場合や、引っ越しなどで支出が増えた場合は、一時的に掛金の拠出を停止し、運用指図者として運用のみを続けることも選択肢の一つです。iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せないため、無理のない範囲で拠出することが重要です。
次に、税制優遇のメリットを考慮します。iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税を節税できます。特に、所得税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。転職後も一定の収入がある場合は、掛金を拠出し続けることで税制優遇のメリットを享受できます。
また、老後資金の準備状況も考慮しましょう。老後に必要な資金を十分に準備できていない場合は、できるだけ早く積立を再開することが望ましいです。一方、すでに十分な資産がある場合は、無理に掛金を拠出する必要はありません。
転職後に運用商品を見直すかどうかは、個人の状況や投資方針によって異なります。以下のような場合は、見直しを検討すると良いでしょう。
まず、年齢やライフステージが変わった場合です。転職を機に30代から40代になった場合や、結婚・出産などのライフイベントがあった場合は、リスク許容度が変わる可能性があります。若いうちはリスクを取って株式中心の運用をしていても、年齢が上がるにつれて債券や定期預金の割合を増やすなど、資産配分を見直すことが推奨されます。
次に、収入や家計の状況が大きく変わった場合です。転職により収入が増えた場合は、よりリスクを取った運用を検討できます。逆に収入が減った場合は、安定的な運用にシフトすることも選択肢の一つです。
また、運用成績が期待通りでない場合も見直しのタイミングです。保有している投資信託の運用成績が悪い場合や、信託報酬が高い商品を保有している場合は、より低コストで運用成績の良い商品に変更することを検討しましょう。
転職先の企業型DCでマッチング拠出制度がある場合、マッチング拠出とiDeCoのどちらを選ぶべきか迷う人もいるでしょう。どちらが有利かは、個人の状況によって異なります。
マッチング拠出のメリットは、企業型DCの事業主掛金に上乗せして自分でも掛金を拠出できることです。マッチング拠出の掛金も全額所得控除の対象となるため、税制優遇のメリットを受けられます。また、企業型DCの運用商品をそのまま利用できるため、手続きが簡単です。
一方、マッチング拠出にはいくつかの制約があります。まず、拠出できる金額は事業主掛金と同額までという制限があります。例えば、事業主掛金が月額10,000円の場合、マッチング拠出も月額10,000円までしか拠出できません。また、マッチング拠出とiDeCoは併用できないため、どちらか一方を選ぶ必要があります。
iDeCoのメリットは、運営管理機関を自分で選べることです。手数料が安く、商品ラインナップが充実している運営管理機関を選ぶことで、より有利な運用ができる可能性があります。また、iDeCoの掛金上限額は、マッチング拠出よりも高く設定されていることが多いです。
どちらを選ぶべきかは、企業型DCの事業主掛金額、運用商品の質、手数料などを総合的に比較して判断しましょう。一般的には、事業主掛金が少ない場合や、企業型DCの運用商品の質が低い場合は、iDeCoの方が有利になることが多いです。
転職時のiDeCo手続きは、転職先の企業年金制度によって異なりますが、基本的にはiDeCoを継続できます。最も重要なのは、手続きを放置せず、速やかに必要な書類を提出することです。
手続きを怠ると自動移換という状態になり、手数料がかかったり運用が停止したりするリスクがあります。特に、企業型DCからiDeCoに移換する場合は、退職後6ヶ月以内に手続きを完了させる必要があります。
転職前に現在のiDeCo加入状況を確認し、転職先の企業年金制度を調べておくことで、手続きをスムーズに進められます。また、転職のタイミングで運営管理機関の変更や運用商品の見直しを検討するのも良い機会です。
iDeCoは老後資金の準備に役立つ制度ですが、転職時には適切な手続きが必要です。この記事で紹介した内容を参考に、自分の状況に合った手続きを行い、安心して転職に臨んでください。なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各運営管理機関や専門家にご確認ください。
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