NISAとは?新制度の仕組みと始め方をわかりやすく解説

「積立NISAを始めたいけど、知恵袋で『やめたほうがいい』という意見を見て不安になっている」という方は多いのではないでしょうか。
2024年から新NISA制度が始まり、つみたて投資枠として生まれ変わった積立NISAですが、SNSや知恵袋では「思ったより増えない」「元本割れが怖い」といった声も少なくありません。
しかし、これらの意見の多くは、制度の正しい理解がされていないことが原因です。
積立NISAは長期・積立・分散投資を前提とした制度であり、短期的な利益を求める人や、投資の仕組みを理解せずに始めた人が「やめたほうがよかった」と感じやすい傾向があります。
この記事では、知恵袋で実際に語られている「やめたほうがいい」という声の理由を分析し、FPの視点から本当にやめたほうがいい人の特徴と、逆に積立NISAが向いている人の特徴を解説します。
自分が積立NISAを始めるべきかどうか、この記事を読んで判断してください。
目次
積立NISAをやめたほうがいい人の3つの特徴
積立NISAは多くの人にとって有効な資産形成の手段ですが、すべての人に向いているわけではありません。
以下の3つの特徴に当てはまる人は、積立NISAを始める前に慎重に検討する必要があります。
積立NISAは長期・積立・分散投資を前提とした制度です。
金融庁のデータによると、20年間の積立・分散投資を行った場合、元本割れのリスクは大幅に低減され、年率2〜8%程度の収益が期待できます。
積立NISAの対象商品は、金融庁の基準をクリアした長期投資向けのインデックスファンドが中心です。短期的な価格変動は比較的小さいものの、短期間で大きなリターンを狙うには不向きです。
しかし、短期間で大きな利益を得たい人には向いていません。
「3年後までに資産を倍に増やしたい」といった短期的な目標がある場合は、株式投資やFXなど他の投資手法の方がニーズに合っているでしょう。
「すぐにお金を増やしたい」という期待で積立NISAを始めると、思ったより増えないことに失望し、途中でやめてしまう可能性が高くなります。
積立NISAは、最長20年間(新NISAでは無期限)非課税で運用できる制度です。
この長期間の運用によって複利効果を得られる点が最大のメリットですが、それには継続的な積立が必要です。
生活費を削って無理に積み立てたり、近い将来に使う予定のあるお金を投資に回したりすると、途中で解約せざるを得なくなります。解約時に元本割れしていれば損失が確定してしまい、積立NISAのメリットを十分に享受できません。
たとえば、子どもの進学費用やマイホームの頭金など、3〜5年以内に確実に必要になる資金を積立NISAで運用するのはおすすめできません。
必要なタイミングで相場が下落していれば、元本割れした状態で引き出すことになるからです。
積立NISAは、生活費の6ヶ月〜1年分の預貯金を確保したうえで、余裕資金で行うのが基本です。
無理のない金額で長期間続けられる人に向いています。
積立NISAは投資信託で運用するため、預金と異なり元本保証はありません。
市場の状況によっては、一時的に元本割れする可能性があります。
「1円でも損をしたくない」「元本割れが怖くて夜も眠れない」という人は、積立NISAには向いていません。
短期的な価格変動に一喜一憂して、含み損が出たときに慌てて売却してしまうと、損失が確定してしまいます。
金融庁のデータでは、国際分散投資を20年間続けた場合、元本割れする確率は極めて低いことが示されています。しかし、運用期間が5年以下の場合は元本割れのリスクが高まります。
元本割れのリスクを避けたい場合は、元本保証のある定期預金や個人向け国債などを検討しましょう。
ただし、これらの商品は積立NISAと比べてリターンも小さくなります。
知恵袋で「やめたほうがいい」と言われる5つの理由
Yahoo!知恵袋やSNSでは、積立NISAに対して「やめたほうがいい」という意見が一定数存在します。
これらの意見を分析すると、以下の5つの理由に集約されます。それぞれについて、専門家の視点から解説します。
知恵袋でよく見られるのが「積立NISAを始めたけど、思ったより増えない」「元本割れして不安」という声です。
専門家の回答:積立NISAは短期間で大きく増やす投資ではありません。
長期投資による複利効果を活かすことで、着実に資産を増やす制度です。始めて数ヶ月〜1年程度では、目に見える成果が出にくいのは当然です。
2022年から積立NISAを始めた人の多くは、2023年初頭に元本割れを経験しました。しかし、その後市場が回復し、2023年2月末にはプラスに転じています。このように、短期的な価格変動は長期投資では問題になりません。
金融庁のデータによると、20年間の国際分散投資を行った場合、年率2〜8%の収益に落ち着いています。
これは「すぐに倍になる」といった劇的な成果ではありませんが、預金金利と比較すれば十分に魅力的なリターンです。
「株式投資のように短期で売買して利益を得たい」という人が積立NISAを始めると、制度の制約に不満を感じることがあります。
専門家の回答:積立NISAは原則として積立投資のみが可能で、短期売買には向いていません。
証券会社によっては年2回までボーナス設定で追加投資できますが、基本は毎月または毎日の積立投資です。
短期で売買して利益を狙いたい場合は、2024年からの新NISAの成長投資枠を活用するか、課税口座での投資を検討しましょう。
積立NISAは「長期・積立・分散」の投資スタイルに合った人向けの制度です。
「周りがやっているから」「おすすめされたから」と、制度や商品の内容を十分に理解せずに始めた人が後悔しやすい傾向があります。
専門家の回答:積立NISAを始める前に、制度の仕組みや投資信託の基本を理解することが重要です。
特に、投資信託には信託報酬などのコストがかかること、元本保証がないことは必ず理解しておきましょう。
知恵袋では「FPに言われるがままに手数料の高いアクティブファンドを買ってしまった」という失敗談も見られます。金融機関の担当者の勧めを鵜呑みにせず、自分で商品の内容を確認することが大切です。
金融庁のつみたてNISA対象商品は、手数料が一定水準以下の商品に限定されていますが、それでも商品によって信託報酬には差があります。
長期投資では、わずかな手数料の差が大きな差になります。
積立NISAで損失が出た場合、他の課税口座の利益と相殺する「損益通算」や、翌年以降に繰り越す「繰越控除」ができません。
専門家の回答:これは積立NISAのデメリットの一つですが、そもそも利益が非課税になる制度なので、損益通算の対象外となっています。
複数の口座で投資をしている場合は、この点に注意が必要です。
たとえば、課税口座で20万円の利益、積立NISAで30万円の損失が発生した場合、損益通算ができないため20万円の利益に対して約4万円の税金がかかります。
一方、両方とも課税口座であれば損益通算で-10万円となり、税金はかかりません。
ただし、長期投資で利益が出る可能性が高い積立NISAでは、損益通算ができないデメリットよりも、利益が非課税になるメリットの方が大きいと考えられます。
積立NISAの投資対象は、金融庁の基準を満たした投資信託・ETFのみです。
個別株式や不動産投資信託(REIT)には投資できません。
専門家の回答:投資信託のみという制約は、投資初心者にとっては逆にメリットになります。
金融庁が厳選した商品に限定されているため、商品選びで失敗するリスクが低くなります。
個別株式や様々な金融商品に投資したい場合は、2024年からの新NISAの成長投資枠を活用しましょう。
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、両方のメリットを享受できます。
実際にやめた人の失敗パターン5選
積立NISAを始めたものの途中でやめてしまった人には、共通する失敗パターンがあります。
実際のケーススタディから、同じ轍を踏まないための教訓を学びましょう。
Aさん(30代・会社員)は、2022年初頭に積立NISAを開始。
毎月3万円を米国株式のインデックスファンドに積み立てていましたが、半年後に含み損が発生。「このまま損が拡大するのでは」と不安になり、全額売却してしまいました。
失敗の原因:短期的な価格変動に動揺し、長期投資の視点を失ってしまったこと。
2022年は世界的に株式市場が下落した年でしたが、2023年には回復しました。Aさんがそのまま保有していれば、その後プラスに転じていた可能性が高いです。
教訓:積立投資では、価格が下がったときこそ多くの口数を購入できるチャンスです。短期的な含み損に動揺せず、長期的な視点で継続することが重要です。
Bさん(40代・主婦)は、銀行の窓口で勧められた投資信託を積立NISAで購入。
しかし、その商品は信託報酬が年1.5%と高く、運用成績も思わしくありませんでした。数年後に手数料の安いインデックスファンドの存在を知り、後悔しました。
失敗の原因:金融機関の担当者の勧めを鵜呑みにし、自分で商品の内容を確認しなかったこと。
信託報酬の差は、長期投資では大きな差になります。
教訓:積立NISAの対象商品でも、信託報酬には差があります。人気のインデックスファンドでは信託報酬が年0.1%未満の商品もあります。商品を選ぶ際は、信託報酬や運用実績を自分で確認しましょう。
Cさん(20代・会社員)は、「早く始めた方が有利」と聞き、生活費を削って毎月5万円を積立NISAに投資。
しかし、急な出費が重なり、半年で積立を停止。その後、元本割れしている状態で全額解約せざるを得なくなりました。
失敗の原因:余裕資金がない状態で無理な金額を積み立てたこと。
生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)を確保せずに投資を始めてしまいました。
教訓:積立NISAは余裕資金で行うのが基本です。まずは生活防衛資金を貯めてから、無理のない金額で始めましょう。月1万円からでも十分に資産形成は可能です。
Dさん(50代・会社員)は、積立NISAを1年続けましたが、「もっと早く増やしたい」と考え、一般NISAに切り替えて個別株式に投資。
しかし、銘柄選びに失敗し、大きな損失を出してしまいました。
失敗の原因:短期的な利益を求めて、自分のリスク許容度を超えた投資をしてしまったこと。
積立NISAの「長期・積立・分散」という基本を軽視しました。
教訓:投資経験が少ない人が個別株式に投資するのはリスクが高いです。積立NISAの分散投資の方が、リスクを抑えながら着実に資産を増やせる可能性が高いです。
Eさん(30代・会社員)は、「みんながやっているから」という理由で積立NISAを開始。
しかし、何のために積み立てているのか目的が曖昧だったため、モチベーションが続かず、1年でやめてしまいました。
失敗の原因:投資の目的や目標金額を設定せずに始めたこと。
「なんとなく」始めた投資は、継続するのが難しくなります。
教訓:積立NISAを始める前に、「老後資金のため」「子どもの教育資金のため」など、明確な目的を設定しましょう。目標金額を決めて、それに必要な積立額を逆算すると、計画的に資産形成ができます。
積立NISAで得する人・損する人の違いは?
積立NISAは万人に向いているわけではありません。
得する人と損する人の特徴を理解し、自分がどちらに当てはまるか確認しましょう。
積立NISAで得する人の特徴は以下の通りです。
積立NISAが向いている人
①長期的な視点で資産形成したい人
②毎月一定額を積み立てられる人
③短期的な価格変動に動じない人
④投資初心者で商品選びに不安がある人
⑤税制優遇を活用したい人
①長期的な視点で資産形成したい人
老後資金や子どもの教育資金など、10年以上先に必要な資金を準備したい人に最適です。長期投資によって複利効果を得られ、元本割れのリスクも低減されます。
②毎月一定額を積み立てられる人
月1万円〜3万円程度の余裕資金を継続的に積み立てられる人は、ドルコスト平均法の効果を得られます。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入できるため、平均購入単価を抑えられます。
③短期的な価格変動に動じない人
一時的な含み損が出ても慌てず、長期的な視点で保有し続けられる人は、積立NISAの非課税メリットを最大限に活かせます。
④投資初心者で商品選びに不安がある人
積立NISAの対象商品は金融庁が厳選した投資信託に限定されているため、投資初心者でも安心して商品を選べます。手数料が一定水準以下の商品のみが対象となっています。
⑤税制優遇を活用したい人
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、積立NISAでは非課税です。長期投資で大きな利益が出た場合、この税制優遇のメリットは非常に大きくなります。
積立NISAで損する(後悔する)可能性が高い人の特徴は以下の通りです。
①短期間で大きな利益を狙いたい人
「1年で資産を倍にしたい」など短期的な目標がある人は、積立NISAには向いていません。株式投資やFXなど、他の投資手法を検討しましょう。
②余裕資金がなく、生活費を削って積み立てる人
生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)を確保せずに投資を始めると、急な出費で解約せざるを得なくなります。元本割れしている状態で解約すれば損失が確定します。
③短期的な価格変動に敏感な人
含み損が出るとすぐに売却してしまう人は、積立NISAのメリットを享受できません。長期投資では、短期的な価格変動は問題になりません。
④投資の目的が曖昧な人
「なんとなく」「周りがやっているから」という理由で始めた人は、モチベーションが続かず途中でやめてしまう可能性が高いです。
⑤元本割れを1円も許容できない人
投資には元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」という人は、元本保証のある定期預金や個人向け国債を検討しましょう。
積立NISAのデメリット・リスクを正直に解説
積立NISAには多くのメリットがありますが、デメリットやリスクも存在します。
これらを正しく理解したうえで、投資判断をすることが重要です。
積立NISAは投資信託で運用するため、預金と異なり元本保証はありません。
市場の状況によっては、投資元本を下回る可能性があります。
ただし、金融庁のデータによると、国際分散投資を20年間続けた場合、元本割れする確率は極めて低くなります。
一方、5年以下の短期投資では元本割れのリスクが高まります。
元本割れのリスクを軽減するには、長期投資を前提とすることが重要です。
一時的な含み損が出ても、長期的には市場が回復する可能性が高いため、慌てて売却しないことが大切です。
また、複数の資産に分散投資することで、リスクを抑えることができます。
国内株式・外国株式・債券など、異なる特徴を持つ資産に分散投資する「バランス型」の投資信託を選ぶのも一つの方法です。
積立NISAは、長期・積立・分散投資によって着実に資産を増やす制度です。
短期間で大きなリターンを得ることは難しいです。
金融庁のシミュレーションでは、20年間の国際分散投資で年率2〜8%程度の収益が期待できるとされています。
これは「すぐに倍になる」といった劇的な成果ではありませんが、預金金利と比較すれば十分に魅力的なリターンです。
「3年後までに資産を倍に増やしたい」など、短期的な目標がある場合は、積立NISAよりも株式投資やFXなどの方がニーズに合っている可能性があります。
ただし、これらはリスクも高いことを理解しておく必要があります。
積立NISAで損失が出た場合、他の課税口座の利益と相殺する「損益通算」や、損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」ができません。
たとえば、課税口座で20万円の利益、積立NISAで30万円の損失が発生した場合、損益通算ができないため20万円の利益に対して約4万円の税金がかかります。
ただし、積立NISAは利益が非課税になる制度であるため、長期投資で利益が出る可能性が高い場合は、損益通算ができないデメリットよりも非課税のメリットの方が大きいと考えられます。
積立NISAの投資対象は、金融庁の基準を満たした投資信託・ETFのみです。
個別企業の株式や不動産投資信託(REIT)、新規公開株(IPO)には投資できません。
個別株式に投資したい場合は、2024年からの新NISAの成長投資枠を活用しましょう。
新NISAでは、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用できるため、両方のメリットを享受できます。
ただし、投資初心者にとっては、投資信託のみという制約は逆にメリットになります。
金融庁が厳選した商品に限定されているため、商品選びで失敗するリスクが低くなります。
含み損が出た時の対処法
積立NISAで含み損が出たとき、慌てて売却してしまうのは得策ではありません。
やめる前に確認すべきポイントと、適切な対処法を解説します。
投資信託の価格は日々変動します。
特に株式を中心とした投資信託では、短期的に10〜20%程度の価格変動は珍しくありません。
短期的な含み損は、長期投資では問題になりません。
金融庁のデータによると、5年間の積立投資では元本割れの可能性がありますが、20年間の積立投資では元本割れのリスクが大幅に低減されます。
たとえば、2022年から積立NISAを始めた人の多くは、2022年末に含み損を抱えていました。しかし、2023年に市場が回復し、その後プラスに転じています。含み損の段階で売却していたら、その後の回復の恩恵を受けられませんでした。
積立投資では、価格が下がったときこそ多くの口数を購入できるチャンスです。
ドルコスト平均法により、平均購入単価を下げることができます。短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で継続することが重要です。
含み損が出ている原因が、商品選びのミスである場合は、商品の変更を検討しましょう。
特に、信託報酬が高い商品や、運用実績が悪い商品を選んでしまった場合は、見直しが必要です。
含み損が出ている商品を売却すると損失が確定してしまうため、基本的にはそのまま保有し、新しい商品で積立を継続するのがおすすめです。
市場が回復すれば、既存の商品もプラスに転じる可能性があります。
商品を見直す際は、信託報酬が低く、長期的な運用実績が良好なインデックスファンドを選びましょう。
人気の高い商品としては、全世界株式インデックスファンド(オールカントリー)や、米国株式インデックスファンド(S&P500)などがあります。
家計が苦しくなり、現在の積立額を継続するのが難しくなった場合は、積立額を減らすか、一時停止することを検討しましょう。
無理に継続して生活費を圧迫するよりも、無理のない範囲に調整することが重要です。
積立額を減らす方法:
証券会社のウェブサイトやアプリから、積立設定の変更が可能です。毎月3万円を1万円に減額するなど、家計に合わせて調整しましょう。
一時停止する方法:
積立設定を停止することで、新たな投資を止めることができます。既に保有している商品はそのまま保有し続けることができるため、市場が回復するまで待つことができます。
積立を一時停止しても、NISA口座が閉鎖されるわけではありません。家計に余裕ができたら、再び積立を再開することができます。無理のない範囲で継続することが、長期投資成功のカギです。
途中でやめる場合の手続きと影響
積立NISAを途中でやめたい場合、どのような手続きが必要で、どのような影響があるのかを解説します。
積立NISAをやめる方法は、大きく分けて2つあります。
①積立設定を停止する(商品は保有し続ける)
新たな投資を止めるだけで、既に保有している商品はそのまま保有し続ける方法です。証券会社のウェブサイトやアプリから、積立設定を停止できます。
この方法のメリットは、市場が回復するまで待つことができる点です。含み損が出ている状態で売却すると損失が確定してしまいますが、保有し続ければ回復の可能性があります。
②保有している商品を売却する
既に保有している商品を売却し、現金化する方法です。証券会社のウェブサイトやアプリから、売却注文を出すことができます。
売却した資金は、通常3〜5営業日程度で証券口座に入金され、その後銀行口座に出金できます。ただし、含み損が出ている状態で売却すると、損失が確定してしまいます。
なお、2024年からの新NISAでは、売却した商品の非課税枠(購入時の金額分)を翌年以降に再利用できるようになりました。これにより、柔軟な資産運用が可能になっています。
積立NISAをやめた場合の税金への影響を解説します。
①利益が出ている状態で売却した場合
積立NISAで得た利益は非課税です。たとえば、投資元本100万円が150万円になっていた場合、50万円の利益は非課税で受け取れます。通常の課税口座であれば約10万円(20.315%)の税金がかかりますが、積立NISAではゼロです。
②損失が出ている状態で売却した場合
積立NISAで損失が出た場合、他の課税口座の利益と損益通算することはできません。損失が確定してしまい、その損失を税制面で活用することはできません。
③保有し続ける場合
積立設定を停止しても、既に保有している商品はそのまま非課税で保有し続けることができます。2023年までに購入した商品は、購入から20年間は非課税で保有できます。
たとえば、2023年に購入した商品は2042年まで非課税で保有できます。その後は、非課税期間が終了した時点の時価を取得価額として、課税口座に移されます。
積立NISAとは?
積立NISAの基本的な仕組みと、2024年から始まった新NISA制度について解説します。
積立NISA(つみたてニーサ)は、2018年に始まった少額投資非課税制度です。
投資で得た利益が非課税になる点が最大の特徴で、投資初心者をはじめ幅広い年代の方に利用されています。
積立NISAの主な特徴
①年間投資枠:40万円(月約3.3万円)
②非課税期間:最長20年間
③投資対象:金融庁が厳選した投資信託・ETF
④購入方法:積立投資のみ(毎月または毎日)
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
たとえば、10万円の利益が出た場合、約2万円が税金として引かれ、手元に残るのは約8万円です。しかし、積立NISAでは利益が非課税になるため、10万円全額を受け取ることができます。
積立NISAの投資対象は、金融庁の基準を満たした投資信託に限定されています。
具体的には、①信託期間が20年以上または無期限、②分配頻度が毎月でない、③デリバティブ運用が組み込まれていない、といった条件を満たす商品です。
これにより、投資初心者でも安心して商品を選ぶことができます。手数料が一定水準以下の商品のみが対象となっているため、コストを抑えた投資が可能です。
2024年1月から、NISA制度が大幅に改正され、新NISA制度が始まりました。
積立NISAは「つみたて投資枠」として、新NISA制度に引き継がれています。
新NISA制度の主な変更点
①非課税保有期間の無期限化
②年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円)
③つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
④非課税保有限度額の設定(生涯で1,800万円)
⑤制度の恒久化
①非課税保有期間の無期限化
旧制度では積立NISAが20年、一般NISAが5年と非課税期間に制限がありましたが、新NISAでは無期限になりました。これにより、長期的な資産形成がより柔軟に行えるようになりました。
②年間投資枠の拡大
つみたて投資枠:年間120万円(月10万円)
成長投資枠:年間240万円
合計で年間360万円まで投資が可能になりました。
③つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
旧制度では積立NISAと一般NISAの選択制でしたが、新NISAでは両方を併用できます。つみたて投資枠で投資信託を積み立てながら、成長投資枠で個別株式に投資することも可能です。
④非課税保有限度額の設定
生涯で投資できる総額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。ただし、売却した商品の枠(購入時の金額分)は翌年以降に再利用できるため、柔軟な運用が可能です。
⑤制度の恒久化
旧制度では投資可能期間に制限がありましたが、新NISAは恒久的な制度となりました。いつでも口座開設でき、長期的な資産形成が可能です。
なお、2023年までに積立NISAで購入した商品は、新NISAとは別枠で非課税保有期間(20年間)が継続されます。
2023年に購入した商品は2042年まで非課税で保有できます。新NISAへのロールオーバー(移管)はできませんが、既存の商品はそのまま保有し続けることができます。
積立NISAは、長期・積立・分散投資を前提とした資産形成の制度です。
知恵袋で「やめたほうがいい」と言われる理由の多くは、制度の理解不足や期待値のズレが原因であり、正しく理解して活用すれば、多くの人にとって有効な資産形成の手段となります。
やめたほうがいい人の特徴は、「短期間で資産を増やしたい人」「長期間積み立てる余裕資金がない人」「元本割れのリスクを許容できない人」の3つです。
これらに当てはまる場合は、積立NISAではなく他の方法を検討しましょう。
一方、長期的な視点で資産形成したい人、毎月一定額を積み立てられる人、投資初心者で商品選びに不安がある人には、積立NISAは非常に適しています。
金融庁が厳選した商品に限定されており、税制優遇も受けられるため、効率的に資産を増やすことができます。
含み損が出ても慌てて売却せず、長期的な視点で保有し続けることが重要です。
短期的な価格変動は長期投資では問題になりません。無理のない金額で継続し、複利効果を活かすことが成功のカギです。
2024年からの新NISA制度では、非課税保有期間が無期限になり、年間投資枠も拡大されました。
つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、より柔軟な資産運用が可能になっています。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。詳しくは各証券会社や金融機関、またはファイナンシャル・プランナーにご相談されることをおすすめします。
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