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取締役になるには?取締役に欠かせない3つのスキルとなり方

取締役になるには?

将来的に取締役へのキャリアアップを考えている人はいるのではないでしょうか。取締役は会社にとって重要なポストであるため、就任するにあたって、果たすべき役割やリスクを理解しておかなければなりません。

この記事では、取締役になるにはどのようなスキルが必要か、注意すべき点、取締役になる方法を解説します。

取締役とは?従業員や代表取締役・社外取締役との違い

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取締役とは、会社運営を執り行うために意思決定し、決定事項が遅滞なく執行されるために監督する役割を担う職務です。具体的には、会社が進む方向性を定め、方針に従って遂行するために人員配置や予算配分などについて各部門へ指示し、実行します。

以下、取締役とほかの役職との違いを見ていきましょう。

従業員との違い

従業員は会社と「雇用契約」を結びますが、取締役は会社と「委任契約」を結びます。取締役は使用者であって、労働者には該当しないため、従業員との兼任はできません。

そのため、従業員から取締役になる場合は、現在の雇用契約を終了して、新たに会社と委任契約を結ぶことになります。

代表取締役との違い

会社法上の会社の最高責任者のことを「代表取締役」といいます。取締役会がない会社では、取締役と代表取締役は一体化していますので職務は同じです。

一方、取締役会のある会社では、代表取締役を含めた取締役員すべてを「取締役」といいます。代表取締役以外の役員は、代表取締役とは異なり、業務執行の一切の権限があるわけではありません。

社外取締役との違い

社外取締役は、会社内部ではなく、利害関係のない外部から招いた取締役のことをいいます。取締役会のある会社では、社外取締役を含めて取締役といいます。

社外取締役に期待されるのは、外部からの客観的な経営状況の判断です。2021年3月1日施行の会社改正法において、上場会社など一定の監査役設置会社は社外取締役の選任義務が課せられました。経営の透明性、コーポレート・ガバナンスの担保のため、特に大企業を中心に社外取締役の存在は重要性を増してきています。

社外取締役について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
【社外取締役になるには?】役割・仕事内容や報酬相場、受け入れ先企業の見つけ方まで詳しく解説!

役員との違い

会社法において役員は、取締役、監査役、会計参与を表します。会社法上では、取締役は役員のうちのひとつです。会社法上で「役員等」と表現する場合は、取締役、監査役、会計参与、のほか、執行役と会計監査人を含みます。

役員等に含まれる執行役とは、執行役員のことです。「役員」という名称がつきますが、役員には含まれず、従業員の役職のひとつです。

取締役の主な仕事内容

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次に、取締役の主な仕事内容について解説していきます。

業務の監督

取締役の主な仕事内容のひとつが、監督業務です。取締役が決定した方向に進んでいるか監督する役割を担います。取締役全体では、代表取締役や業務執行取締役といった、職務執行を担う役員を監督するのも役割のひとつです。

経営に関わる意思決定

取締役は、以下に挙げる会社法第362条第4項で定められた事項を除いた、経営に関わる意思決定を仕事として行います。

【会社法第362条4項で定められた取締役に委任できない事項】

  • ・重要な財産の処分や譲り受け
  • ・多額の金銭の借り入れ
  • ・重要な使用人や支配人の選任や解任
  • ・支店や重要な組織の設置や廃止、変更
  • ・会社法第476条第1号に定める募集社債などに関する事項
  • ・法令や定款に取締役の職務が適合するための体制の整備、業務の適正を図るための企業集団の体制の整備
  • ・会社法第426条第1項に定める役員等の損害賠償責任の免除

会社法第362条4項で定められた事項は、株主総会の決議事項になるため、取締役だけでは決定できません。

会社の監視

会社の業務の執行において、不正行為または法令・定款に違反していないか監視することも取締役の仕事です。取締役は会社に著しい損害を与えるおそれがある事実を発見したときは、ただちにその事実を株主(監査役会設置会社の場合は監査役)に報告する必要があります。

取締役の年収・報酬

取締役に支払われる報酬は、一般の従業員の「給与」とは異なり、「役員報酬」になります。取締役には就業規則が適用されないため、労働時間などの対価で報酬が決まるのではなく、会社の経営状況や方針で決定するのが特徴です。

報酬は、取締役が自由に決められるものではなく、定款や株主総会の決議によって決まります。一般的には、従業員の給与よりも役員報酬の方が高いことが多いですが、会社の業績が悪い場合は、役員報酬が大きく減額されることもあり、一定額が支払われるとは限りません。

一般財団法人労務行政研究所の調査によると、役位別に見た報酬と賞与(常勤の場合)において、取締役(兼務は除く)の年間報酬は以下のとおりです。

企業規模

年間報酬(万円)

1,000人以上

2,171万円

300~900人

1,786万円

300人未満

1,726万円

平均で1,800万円が報酬として支払われていることが読み取れます。

出典:「役員の報酬等に関する実態調査(2020年度)」(一般財団法人労務行政研究所)

また、従業員のボーナスのような報酬は、取締役では「役員賞与」といい、職務や実績、会社の規模や業績などを考慮して支給額が決まります。

取締役になるために欠かせない3つのスキル

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ここからは、取締役になるにはどうしたら良いか、取締役へのキャリアアップを目指す人が身につけておきたい3つのスキルについて取り上げます。

経営スキル

取締役になるには、事業戦略や経営戦略、組織戦略、財務戦略、法務への知識など、経営に関わるあらゆるスキルが必要です。

状況に応じて専門家などの意見を取り入れることはできますが、最終的には取締役が会社の方向性を決定します。適切に判断できるようにするためにも会社経営について全般的に理解しておく必要があります。

マネジメントスキル・リーダーシップ

取締役は、各部署をまとめる管理職の上に立って、会社組織全体をマネジメントする役割があります。

組織をまとめるためには、部下である管理職の育成と管理が欠かせません。必要に応じて、管理職への助言を行ったり、事業に対して間接的に取り組んだりすることが求められます。

さらに、会社の上層部として人と関わる立場になるため、自然と人を巻き込めるようなリーダーとしての資質も取締役には必要です。リーダーシップは、従業員はもちろん、人脈作りにも生きてきます。

専門スキル

取締役は、会社の意思決定はもちろん、ある担当分野の責任者として部門を統括する立場になることもあります。現場の製造部門に精通している、優れた営業スキルを備えている、ITやテクノロジーの知見があるなど、特定の分野に関する深く広い知識・スキルを備えていれば、適切な判断力や実行力の発揮につながります

取締役になる注意点(リスク・責任)

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取締役は、会社の上層部として組織を運営できるやりがいがあること、一般的に従業員よりも報酬が高く設定されることが多いことから、魅力的な仕事です。

しかし、メリットばかりに目を向けると、「こんなはずではなかった」と感じることもあります。ここでは、取締役になる前に知っておきたい注意点をいくつか見ていきましょう。

労働基準法の適用外になる

取締役は、会社と雇用契約ではなく、委任契約を結びます。そのため、労働時間や雇用保険などの規制が設けられていません。所定の労働時間がないため、必要に応じて長期間の連続勤務や長時間労働が必要になることもあります。

また、取締役は雇用される側ではないため、失業しても、従業員のように失業保険を受けることができません。労働基準法の適用から外れる点に注意しましょう。

取締役になる場合は、生活や将来にどのくらいの影響が出そうか、確認しておきましょう

経営責任を負う必要がある

取締役は、善管注意義務を負うこと、忠実義務を負うことが責務とされています。善管注意義務とは、善良な管理者として、株式会社との関係で注意義務を負うこと。忠実義務とは、法令や定款、株主総会の決議に対して忠実に職務を行う義務のことです。

取締役が善管注意義務や忠実義務に違反して、会社に損害を与えたときは、損害賠償責任を負うことが定められています。

過去の善管注意義務違反として挙げられるのが、経営不良の会社との取引継続、特定の会社に対する安価での商品の販売の継続などです。

ただし、損害賠償責任は、取締役に過失や故意があった場合に限られますので、結果として会社が損害を受けても、必ずしも責任が追及されるものではありません。常に取締役としての義務を自覚し、行動することが大切です。

代表や株主から解任されるリスクがある

委任契約では、相互の信頼関係が重要です。そのため、民法では、「相互解除の自由」の大原則が定められており、契約はいつでも解除することができます。

委任契約で結ばれる会社と取締役の契約は、任期に満たない場合でも解除される可能性があり、取締役を決定する株主総会で解任されるリスクがあります。

解任リスクを避けるためにも、常に株主に行動を見られていることを意識して、取締役として求められていることを実行するよう心がけましょう。

企業との価値観が合わないと働きづらい

取締役の責任は、経営幹部として、企業理念やビジョンを実現することです。そのため、価値観の合わない会社の取締役になると、働きづらいと感じることもあります。取締役になるなら、価値観の合う会社の取締役になることが重要です。

取締役になれば、中でも特に代表取締役とコミュニケーションを取る機会が多くなるので、その企業の経営者との相性は見極める必要があります。

取締役になるための方法

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取締役になるなら、まずは取締役としての役目と責任を理解しましょう。その上で、自分に合った会社の取締役になれるように行動することが大切です。最後に、取締役になるための方法を5つ紹介します。

昇進

取締役になる方法のひとつは、今いる会社で出世して役員に昇進することです。昇進のゴールとして、取締役のポストが設けられている会社であれば、出世により取締役になることもできます。着実に昇進するためには仕事で結果を出し続け、経営層・現場両方から信頼を得ることが大切です。

転職エージェント

ハイクラスやエグゼクティブ人材を扱っている転職エージェントであれば、役員クラスの人材を斡旋しているところもあります。転職エージェントを利用して、取締役になる方法も考えられるでしょう。非公開求人を扱っているような転職エージェントもおすすめです。

ヘッドハンティング

ヘッドハンティングとは、同じ業界の別の企業などから、引き抜きの打診を受けることをいいます。ヘッドハンティングは能力を見込んで行うものですので、取締役になれるだけの実績があれば、企業からスカウトされることもあるでしょう。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、一般的には会社側が積極的に人材獲得に動く採用手法をいいます。SNSの発展によって、直接経営者と交流する機会も得やすくなってきました。SNS上で知り合った経営者から、取締役にならないかと直接誘われるケースもあります。

取締役マッチングサービス

取締役になりたいなら、取締役マッチングサービスを利用する方法もあります。取締役マッチングサービスとは、取締役になりたい人と、取締役を採用したい会社とのマッチングを行うサービスのことです。

ジョトリーは、取締役マッチングサービスの中でも、ESG経営の推進で重視されてきている女性社外役員のマッチングに特化したサービスです。弁護士からアスリートまで、多彩な経歴をもったプロ人材が登録しています。

取締役になりたい人向けには、社外役員養成講座など、社外取締役になるためのサポートも充実していますので、まずはジョトリーへお問い合わせください。

まとめ

取締役になるにはいくつかの方法がありますが、何よりも大切なのは、自分の価値観にあった会社を見つけることです。取締役になるには、取締役マッチングサービスも活用してみましょう。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。ベンチャー企業から上場企業まで、年間1000社近くの資本政策や組織運営の相談に乗る。特にストックオプションを始めとする株式報酬制度の導入支援を専門とする。