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「ジョトリー社外役員養成講座」を開催!即戦力となる女性社外役員を育てるために、ジョトリーが仕掛ける実践型トレーニングとは?

セミナーレポートジョトリー研修1

近年、ESG経営が世界的な潮流となりつつあり、ジェンダー格差の解消と役員の多様性の確保が求められています。女性登用が遅れている日本でも、女性社外取締役・社外監査役のニーズが高まっており、企業間で人材の獲得競争が激化が見られます。しかし、需要は高まっていても供給が足りていないのが現状です。

こうした状況をうけ、「実務派」の女性社外役員を増やすことを目的に、ジョトリーは2021年9月23日から4回にわたって「ジョトリー女性社外役員 養成講座」を開催。プロ講師陣によるレクチャーの一部と模擬取締役会をピックアップしてレポートします。

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DAY1「社外役員に必要な基礎知識。社外役員の役割と会計」

❏ 講師
伊藤章子氏(伊藤章子公認会計士事務所 代表)
❏ モデレーター

高森厚太郎氏(プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO)

取締役会における、社外取締役の3つの役割

高森厚太郎氏は冒頭、会社法2条の定義規定に触れ、社外取締役の役割として「取締役として会社の経営陣の一翼を担いつつ、経営上の意思決定や業務執行についての監督を社外の立場から行う」と語りました。

具体例として会社法2条15号の要件の、就任前の10年間に当該株式会社の業務執行取締役等ではないことを紹介。客観的な立場であることを形式的な面からも要求されていることに言及しました。

また、社外取締役の機能として挙げたのは、「監督」、「意思決定における助言」、「株主意見の反映」の3点。中でも「株主意見の反映」では、会社を経営しない株主と株主から委任を受けた経営陣との間で意見のズレが生じやすいことを踏まえ、社外取締役が株主の意向を取締役会に反映することの重要性を指摘しました。

このほか、後半部分では、取締役会への出席状況は開示されるため、株主から助言・監督機能に疑念を持たれないためにも8割は出席すべきであること、後継者育成や機関投資家との対話を求められる場合があることなど、補足的な内容も聞かれました。

統計データから見た社外取締役
「東証一部・二部では69%が1社目と回答」

高森氏のレクチャーでは、社外取締役に関する様々な統計データが示されました。例えば、「どのような経歴を持つ人材が社外取締役に就任したか」、「社外取締役はいま、何社目なのか」といった本人の経歴や「社外取締役の報酬・兼任制限」、「取締役会における社外取締役の発言内容」など、実務上のデータに対する考察が行われました。

社外取締役の経験社数では「東証一部・二部上場企業の社外取締役の69%が、初めて社外取締役に就任というデータがあり、「社外取締役の設置が推奨・義務化されたのはここ10年の動き。加えて毎年約100社が上場しているため、上場したての会社も少なくなく、初めて社外取締役を経験したという方が多くなったのではないか」との分析がありました。

先輩社外役員スピーチ

続いて登壇した伊藤章子氏は、現在4社の社外役員を務めています。社外役員の実務経験をもとに、「社外役員に就任した会社の特徴」や「取締役会に参加する際の心構え」など主に4つのテーマでスピーチを行いました。

「取締役会に参加する際の心構え」では、事前準備、当日、事後それぞれの段階で必要な対応について言及。特に上場会社では「少数株主のことまで考えた上で、合理的な意思決定・運営を行っているか」という観点が必要で、執行側の役員とは良好なコミュニケーションを図る一方、何かあった時は対峙する可能性があることも念頭に適度な距離感を保つことが大切と語りました。

また、取締役会の議事録には自分の発言のうち重要な内容は細かく記載するように依頼して、社外役員の責任を果たしていたことを疎明できるようにしているなど、社外役員の経験がなければ思いもよらない、個別具体的な話がありました。

このほか、予実管理という点では「予算策定」と「月次決算」の2つを取り上げ、確認すべき事項について説明があり、質疑応答では、ハラスメント案件への対応や経営陣との相性など実際の経験に即した事例が参加者との対話を通じて紹介されました。

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DAY2「社外役員が押さえるべき法律」

❏ 講師
淵邊善彦(ベンチャーラボ弁護士事務所 代表)
❏ モデレーター

高森厚太郎氏(プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO)

取締役に課される義務と責任

淵邊善彦氏は、取締役に「権限があるということは、それだけ義務もあり責任も負うことになる」と述べ、具体的には、取締役は善管注意義務や忠実義務、監視・監督義務等を負うこと、利益相反取引や任務懈怠、損害賠償請求権の消滅時効に関する注意点等を説明しました。

善管注意義務に関しては「一般的に要求される平均的な取締役の注意義務」と言い換えて、特別に高い注意義務は要求されないものの、業界標準や知識・経験は持っている必要があると指摘。特にIT企業の取締役は個人情報の保護という観点でより高度の注意義務が課されることにも言及しました。

一方で経営判断の原則にも焦点を当て、取締役は経営資料に基づいて十分な議論を尽くし、合理的な判断を行っていれば、重過失や違法行為が存しない限り、結果責任を負うことはないと補足がありました。また、情報が足りない場合は、取締役会事務局や法務部など議案に関連する部署、社外の専門家に相談することが大切だといいます。

注意すべき法分野

会社法等の法律に規定される情報開示制度や取引関連、独占禁止法関連、人事・労務など8つの分野が挙げられました。

取引関連では、違法ではなくても社会問題に発展して、倫理的な責任やレピュテーションリスクが発生することも考えられる。この点、社外取締役は社内の方とは違って、客観的な観点から「No」と言うことができる、という話がありました。

このほか、改訂コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コード、投資家と企業の対話ガイドラインにも目を通しておく必要性が強調されました。

ケーススタディ~M&Aにおける取締役の責任~

ケーススタディでは、大手不動産サービス会社の、事業再編における株主代表訴訟の事例を参照しながら、社外取締役の経営判断におけるポイントを解説しました。

このケースは、株式の買取価格の設定の合理性が争われた事件ですが、弁護士意見の聴取を含めて経営会議で相当に議論がなされていた一方、社外取締役にはその議論の一部しか伝えられていなかったといいます。原審・控訴審・最高裁の判決と弁護士ならではの法的な視点を踏まえた上で、淵邊氏は次のように話をまとめました。

「取締役会は経営会議での議論を踏まえた上での議論になるため、社外取締役として疑問に思ったことは、経営会議で既に議論されている可能性が高いです。しかし、社外取締役として疑問に思ったのであれば、取締役会の場でもう一度議論することが大事だと考えています」(淵邊氏)

講義や質疑応答を通じて、参加者からは「知りたい内容が全て凝縮されていた」、「社外取締役がどのくらいの責任を負い、どのように振る舞うべき立場なのか、DAY1の内容と合わせて知ることができた」、「内部統制システムでどのような仕組みを作れば良いのか、具体例がとても参考になった」といった感想をいただきました。

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DAY3「社外役員が押さえるべきコーポレートガバナンス」

❏ 講師
荻野好正氏(前曙ブレーキ 代表取締役副社長兼CFO)
❏ モデレーター
高森厚太郎氏(プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO)

ガバナンスの日米独比較

荻野好正氏は、コーポレートガバナンス・コードの解説にあたって、日本、アメリカ、ドイツのガバナンスの違いに言及しました。

特に日本では、従来、「三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)」「メインバンク」の2つが存在。前者は「三方に良いように商売を行いながら、会社をきちっと発展させていこう」という考え方のことで、これが日本独自のガバナンスであると言います。一方の後者は、メインバンクが、会社のオペレーションに入り込み、経営に対しては意見を表明してきたことにより、ガバナンスが効いていたと語りました。

また、アメリカでは、CEOを除く取締役全員が独立取締役であるのに対して、日本は社長以外にも社内出身の取締役が存在する、といった取締役会の構成上の違いがあるという話もありました。

コーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則

コーポレートガバナンス・コードは、5つの基本原則とそれに付従する原則及び補充原則で構成されています。2021年6月改訂の要点を含め、各原則や企業がそれに対応するために実施すべき事柄について解説がありました。

また、大成建設株式会社のコーポレート・ガバナンス報告書を参照して、報告書の構成・内容や「コンプライ・オア・エクスプレイン」の意味、企業が原則を実施できない場合(コンプライしない場合)に求められる対応を紹介しました。

「成長のガバナンス」の実現のために求められること

レクチャーの後半で、「社外取締役の立場で、成長のガバナンスにどのようなことが期待されるか?」という質問に荻野氏は次のように回答しました。

「社内の雰囲気を見ながら、社内の人たちとどこまで話をして、ビジネスとして成り立っていくのかニュアンスを掴むのが一つ。それから財務的な問題と、リスク分析が本当に出来ているのかどうか。この3つが社外取締役としてコメントしていくことかと思います。自分で思ったことをきちっと提言していくということが一番重要なのではないかと思います」(荻野氏)

講義後、参加者からは「実務家として社外取締役に期待すること」やレクチャーで取り上げられた事例が参考になったという声だけでなく、「コーポレートガバナンス・コードを読んでみたい」など、モチベーションの向上につながったというコメントも寄せられました。

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DAY4「模擬取締役会」

❏ 講師
真田哲弥氏(KLab株式会社 取締役会長)
髙山大地氏(明倫国際法律事務所 所属弁護士)
❏ モデレーター
高森厚太郎氏(プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO)

1号議案から4号議案まで、実践的に学ぶプログラム

模擬取締役会は、十分な感染対策をとった上で対面実施され、実際の取締役会で議論になることの多い4つの議案が検討されました。

まず、1号議案はデモンストレーションとして、上場会社の実際の決算説明会資料が用いられ、高森厚太郎氏が中期経営計画と進捗状況を報告し、それに対する質問を高山大地氏が行うという形式で進められました。

例えば、次期の業績目標に対しては、「来年度の目標値が今期の目標とかなり近い数字になっているが、今期に達成できなかった目標値を来期に達成できると判断された理由を説明いただきたい」という指摘がなされました。

続いて2号、3号議案では、グループディスカッションが行われました。冒頭、高山氏が業務執行役員役として、配布資料の中身や数値について説明。その後、グループに分かれて、質問するべき事項の検討・発表及び講評を行うという形式で進められました。

講評では、真田哲弥氏から「社長から見た理想的 社外取締役」というテーマのプレゼンテーションが合わせて行われました。社長が社外取締役に求める心構えや話し方、ガバナンスと柔軟性のバランスなど、真田氏自身の経営経験等を反映して理想的な社外取締役とは何かを語りました。

個人発表の場が設けられた4号議案

最後の4号議案では、2号、3号議案同様に資料や数値の説明があった後、個人検討・発表及び講評を行うという形式で進められました。

個人発表では1~3号議案を参考に、様々な視点から問題が提起され、講評や質疑応答を含めて活発な意見交換が行われました。特に高山氏は公平性・透明性の観点から、真田氏は取締役会の意思決定プロセスとファイナンスの観点から、個人発表や議案に対するフィードバックを行いました。

研修を終えて、参加者からいただいた評価

終了後のアンケートでは、参加者全員から「満足度が高い」、「講義の内容が分かりやすい」との評価をいただいたほか、グループワークと個人発表の両方を取り入れた構成で、講師のコメントやフォローがあり、「実践的な内容でとても参考になった」とのお声も多数いただきました。

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「ジョトリー社外役員養成講座」で”実務派”の社外役員に

JOTORY(ジョトリー)は「ジョトリー社外役員養成講座」を提供しております。

大企業の代表や社外取締役・社外監査役を歴任するプロの講師陣をお呼びした実践型トレーニングです。座学や模擬取締役会を通じて、基礎知識だけではない、社外取締役として必要な実践的内容、スキルやテクニックを学ぶことができます。

多様な人材で構成するため未経験の人材を登用するにあたり、就任前に知識・経験を身に着けさせたい企業様も、ジョトリーの教育プログラムをご利用ください。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。ベンチャー企業から上場企業まで、年間1000社近くの資本政策や組織運営の相談に乗る。特にストックオプションを始めとする株式報酬制度の導入支援を専門とする。