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【書き起こし】イノベーションを生み出すこれからの報酬制度とは?【新しい報酬制度が求められる背景・概要編(三沢様)】

この記事は、2020年6月24日にオンライン開催されたイベント『イノベーションを起こすこれからの報酬制度とは?』の書き起こし記事です。

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後編:【書き起こし】イノベーションを生み出すこれからの報酬制度とは?【信託型ストックオプションの最新の活用事例(茅原)】

本イベントについて

新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出自粛要請がなされ、企業もオフィスを閉鎖しリモートワークへの切り替えを行う必要が出てきており、これまでなかなか進まなかったデジタルトランスフォーメーション(以下DX)の推進が求められています。

また今回のコロナショックによって今後より一層デジタル化が進むことが予想され、コロナ終息後(Afterコロナ)を見越したDX戦略を強化しなければならない企業も多いことでしょう。

しかし、DXや新規事業を担うイノベーション人材の採用や定着、活躍機会の少なさに課題を感じる企業も多く、その要因の一つには「報酬制度」の未整備が考えられます。

本セミナーでは、経営課題・組織課題に対して高度な専門性とソリューションを持つ「株式会社クニエ」と、資本政策や報酬制度設計のプロである「SOICO株式会社」の共同開催で、今後DXや新規事業を推進するにあたり必要なDX人材の採用・定着・活躍のために必要な「報酬制度」についてお話致しました。

<イベント概要>
主催:株式会社クニエ、soico株式会社(共同開催)
日時:6/24(水) 15:00〜16:00
URL:https://dx-era-incentive.peatix.com/

前編:新しい報酬制度が求められる背景・概要(株式会社クニエ 三沢氏)

登壇者紹介・会社紹介

株式会社クニエの三沢と申します。

本日のタイトルは「イノベーションを生み出すこれからの報酬制度」となっております。

中身としては大きく二つに分かれており、前半は私の方で、後半はsoicoの茅原さんからお話させていただきます。

前半では私から新しい報酬制度が求められる背景・概要について、後半では茅原さんの方から詳細と具体的な事例についてお伝えしていきます。

これから前半のパートを進めていきますが、本題に入る前に、簡単に私の自己紹介もさせてください。

改めまして、株式会社クニエの三沢です。現在はHCM(人事のコンサル)をしております。

経歴としましては、これまでコンサルティングファームや人材系ベンチャーを経験し、ここ12年ぐらいはシンクタンクにおりました。

ちょうど2年くらい前にクニエに入社しまして今に至ります。

社内ではDXの推進担当でもあり、同時に外部での様々な活動もやらせていただいております。

クニエの会社紹介もさせてください。元々は「日本アーンスト&ヤングコンサルティング」という外資系企業の流れを汲んでおり、キャップジェミニなどの名前に変わりながら、その後NTTデータと提携し、(NTTの)ビジネスコンサルティング部と合流して2009年の7月にクニエとなって今に至ります。

大体10年ほど経ったのが現在のクニエですね。

なぜ「クニエ」なのかと申しますと「Quality Unites Enthusiasm」の頭文字を取っており、意味は『”品質”と”熱意の”融合”』です。

現在700名くらいの会社で、海外展開もしております。海外は8拠点ほどあり、日本からグローバルに展開しているファームです。

NTTデータが親会社なので、「日本社会への貢献性」を使命感として大事にしている、そんな会社です。

新しい報酬制度が求められる背景・概要

ここからが本題になります。

私はDXの推進担当として、いかにして今後DXが進むのかを海外事例も合わせて調べておりましたが、その中で見つけた中国の人事制度が面白かったのでご紹介します。

昨年の11月の上海のカンファレンスにて、とあるブースがやたら盛り上がっておりました。

そのブースは「ストックオプション」をテーマにしており、 元々中国でストックオプションが流行っていることは知っていましたが、A株市場において3,533社中1,406社(およそ4割ほど)の上場企業がストックオプションを導入していることがわかりました。

さらに業種・業界別に見ると、ITサービス系の会社は6,7割の企業が導入していますし、今後さらに増えると予想されています。

一方、日本(のストックオプションを導入している企業数)はだいたい3割くらいと言われているので、かなり差をつけられている状態ですね。

かくいう私も正直、はじめは「ストックオプションか…」と意外に感じたのですが、soicoの茅原さんとお会いして、日本においても大企業からスタートアップまで幅広くストックオプションが取り入れられつつあることを知ったので、それも含めて今日はお話できればと思います。

採用市場を見ると、スタートアップのDX人材を採用しやすくなっている

まず採用マーケットを見ると、IT・通信の求人倍率が久しぶりに5.86%となり6%を下回っています。2018年以降下回ったことがないので、久々に大幅下落が起きていますね。

求職者の数は変わっていないものの、企業が出している求人数が減っているので、全体の有効求人倍率が下がっている状況です。

今回のコロナの影響で採用意欲が減退している企業が多いので仕方ない部分もありますが、この影響がどこまで続くのか気になります。

続いてスタートアップのデータです。

こちらは2020年5月から今後何ヶ月分の活動資金を確保しているかというデータですが、6ヶ月以内の資金を確保できていない企業が42%もある状態です。

この状況下で追加の資金確保は難しいので、これからしばらくはスタートアップが採用人数を増やしていくのは現実的に厳しいことが予想されます。

逆にいえば、他企業は「本来スタートアップに行くであろうDX人材を採用しやすくなっている」と言えると思います。

DX推進人材として、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)で定義している職種は6種類ありますが、どの職種も6~7割不足しております。

6職種の中でも、スタートアップ企業は特に「プロデューサー」や「ビジネスデザイナー」を好んで採用する傾向がありますが、いまスタートアップが全体的に採用数を減らしているので、そのような人材が市場に出てきて採用しやすくなるのではないかと思います。

DX人材を確保するために有効な報酬制度とは?

どの企業もDXについて課題は山積みであり、「良い人の応募が来ない」「他部署が協力してくれない」「DXの部署に異動したがらない」など問題は様々です。

同じ企業内であっても部門ごとに”成果のアピール合戦”で、下手すると足を引っ張りあっているケースも多く見られます。また、NIH症候群に陥っている企業も多いです。

報酬制度で言うと、「多くの会社が高額報酬(給与)を出して何とか採用している」という状況です。

NTTデータでもADP制度を導入し、優秀な人材については2000万、業績が上がれば3000万という報酬を提示しています。

実際の事例として、30代で2000~2500万程度の報酬を得て転職しているケースも見受けられます。

DXの成功を報酬面から考えてみましょう。図のように、「内部/外部」「個人/組織」の4象限で整理してみました。

左上(外部・個人)では、外部から優秀な人材を採用するためには魅力的な報酬が必要となります。

左下(内部・個人)では、元々社内にいる人と、新しく採用する人の給与格差がどのくらい起こるのか問題となります。また、一度DXの部署に異動となり給与が上がる場合、何かしらの事情で元の部署に戻ることになっても、本人が嫌がってしまう問題も起こりえます(上がった給与が下がるため)。

右下(内部・組織)では、左下ともつながりますが、例えば部署異動する人が年収800万、中途採用した人が年収2000万円となると、「同じ仕事をしているのになぜ待遇が違うのか」と社内の不満につながる可能性があります。

右上(外部・組織)では、外部協力者(顧問など)に対して魅力的な報酬制度があるかどうかが非常に大切になります。

つまりまとめると、「本人にとって魅力的な報酬か」「周りにとって納得可能か」を両面から見ていく必要があると思われます。

信託型ストックオプション+ポイント制度

では、どのような報酬制度が良いのかと言うと、結論「信託型ストックオプション」+「ポイント制度」は一つ良い例だと思います。

スタートアップやベンチャー企業においては、信託型ストックオプションの制度は浸透しつつありますが、その他多くの企業において、上記制度はまだまだ認知されていません。

しかし、この制度はキャッシュアウトを防ぐこともできる上、現金報酬では渡せないような経済的価値を提供できるため、DXの組織形成において「信託型ストックオプション+ポイント制度」は非常に相性が良いのではないかと思います。

さらに、(信託型のストックオプションは)通常のストックオプションと異なり、発行タイミングで付与する対象を決めなくても良いのも特徴です。付与タイミングが遅くても発行時と同じ価値を提供もできますね。

また、ポイント制をとることで、評価に応じたインセンティブ制度にでき、さらにこちらは外部協力者や他部署にも付与できるので、周囲の協力を得やすくなります。

結果として、先ほどの4象限ごとの問題を解決できるようになります。

左上(外部・個人)では、採用において魅力的な報酬制度を作れるので優秀な人材を採用しやすくなります。

左下(内部・個人)では、社内の優秀人材に対して魅力的なインセンティブを提示できる上、元の部署に戻る抵抗感や部門間格差の解消にもつながるでしょう。

右下(内部・組織)では、現金で報酬渡すわけではないので、周囲の「妬み」が起こりづらくなります。

右上(外部・組織)では、外部協力者にポイントを付与することによって、より協力してもらいやすくなります。

高額報酬リスクの回避、外的報酬による動機の低下リスク回避など他にもメリット

また、現金による高額報酬リスクを回避することもできます。日本の年功型の給与制度だと、一度高く報酬を設定してしまうと安易に下げられないので、現金による報酬制度はリスクが高いのです。

信託型ストックオプションを用いることで、このようなリスクを回避することができます。

他にも、外的報酬(給料、昇給、昇進など)による動機づけ低下のリスクも軽減できますね。

給料をたくさんあげると、その分頑張ってパフォーマンスしてくれると思いがちですが、逆に創発的な動きが阻害されることも多々あります。

信託型ストックオプション制度の場合、例えば最初は報酬は低め(ないしは平均的)で成果に応じてストックオプションをもらえるという形であれば、納得感を持たないと入社しないと思います。

この「納得感」こそ、内発的動機を起こすために大切です。

内発的動機には「①自律性への欲求」「②有能感への欲求」「③関係性への欲求」の3つの源泉があると言われていますが、①の自立性への欲求の観点でいうと「自ら納得感を持って入社したのだから頑張ろう」と思いやすくなります。

また現金報酬ではないので、周囲から妬まれることなく「あの人優秀だよね」「協力してあげよう」と思ってもらいやすいので、②の有能感への欲求、③関係性への欲求についても満たされやすいのです。

質疑応答

土岐:ここで、質問が2点ほど来ていますので、ご回答お願いできますでしょうか?

質問1:イノベーション人材とは、DXに限ったものなのでしょうか?

回答:イノベーション人材はDX限定ではもちろんございません。今のこの状況下でDXが話題なので、今回はややそちらに偏って説明させていただきました。

基本的には「イノベーション人材の中にDX人材も含まれている」と考えていただき大丈夫です。

質問2:報酬のリスクを感じているというのは、内部の公平性が担保されず皆が不満を持つ状態となり会社が無秩序となってしまうということでしょうか?

回答:そうですね。報酬のリスクは様々あると思いますが。書いていただいている点はもちろん出てくると思います。

 

私のパートは以上となります。本日はありがとうございました!

 

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後編:【書き起こし】イノベーションを生み出すこれからの報酬制度とは?【信託型ストックオプションの最新の活用事例(茅原)】