iDeCoの受け取り方|税金で損しない選び方を解説

iDeCoの受け取り方|税金で損しない選び方を解説

iDeCoの受け取りが近づいてきたけれど、どの方法で受け取れば税金を抑えられるのか悩んでいませんか。

一時金、年金、併用の3つの方法があり、それぞれ税制が異なります。さらに、2026年1月から税制が改正され、退職金との受取順序によっては数十万円単位で税負担が増える可能性があるんです。

この記事では、iDeCoの受け取り方の基本から2026年税制改正の影響、退職金額別の最適戦略まで、税金で損しない選び方を徹底解説します。自分に合った受取方法を選べば、老後資金を最大限活用できますよ。

この記事の要約
  • iDeCoは一時金・年金・併用の3つの受取方法があり、それぞれ退職所得控除と公的年金等控除が適用される
  • 2026年1月から10年ルールが適用され、退職金との受取順序で税負担が大きく変わる
  • 退職金が多い人・少ない人・ない人で最適な受取戦略が異なるため、自分の状況に合わせた選択が重要
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。
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目次

iDeCoの受け取り方は3種類|それぞれの特徴

iDeCoの受け取り方には、一時金、年金、併用の3つの方法があります。それぞれ税制が異なるため、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

一時金で受け取る

一時金は、積み立てた資産を一括で受け取る方法です。税制上は「退職所得」として扱われ、退職所得控除が適用されます。

退職所得控除は、加入年数に応じて控除額が決まり、20年以下の場合は「40万円×加入年数」、20年超の場合は「800万円+70万円×(加入年数-20年)」で計算されます。

一時金受取のポイント

例えば、25年間iDeCoに加入していた場合、退職所得控除額は1,150万円(800万円+70万円×5年)となり、この金額までは税金がかかりません。控除額を超えた部分も、その2分の1が課税対象となるため、税負担が軽減されます。

年金で受け取る

年金は、積み立てた資産を分割して受け取る方法です。税制上は「雑所得」として扱われ、公的年金等控除が適用されます。受取期間は金融機関によって異なりますが、5年以上20年以下で設定できることが一般的です。

公的年金等控除は、年齢と年金収入額によって控除額が変わります。65歳未満の場合は年間60万円まで、65歳以上の場合は年間110万円までが非課税です。

年金受取の場合、公的年金や他の収入と合算されるため、所得税率が上がる可能性があります。また、国民健康保険料や介護保険料にも影響する点に注意が必要です。

例えば、65歳以上で年間350万円の年金を受け取る場合、公的年金等控除後の課税所得は235万円となります。年金受取のメリットは、毎年安定した収入が得られることと、公的年金等控除を活用できることです。

一時金と年金を併用する

併用は、一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る方法です。それぞれの控除を組み合わせることで、税負担を最適化できます。

例えば、退職所得控除の範囲内で一時金を受け取り、残りを年金で受け取ることで、両方の控除を有効活用できます。併用のメリットは、柔軟な受取計画が立てられることです。

併用は、退職金が多く退職所得控除を使い切ってしまう方や、公的年金が少ない方に特に適しています。

ただし、受取方法の変更は基本的にできないため、事前にしっかりシミュレーションすることが重要です。運営管理機関によって併用の可否や設定方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。

【参考】2027年1月からの制度改正

2027年1月(引落日は2027年1月26日)から、iDeCoの掛金上限額が引き上げられます。

第1号被保険者(自営業・フリーランス等)

  • 現行: 月額68,000円 → 改正後: 月額75,000円(+7,000円)
  • ※国民年金基金・付加保険料との合算

第2号被保険者(会社員・公務員)

  • 企業年金なし: 現行 月額23,000円 → 改正後: 月額62,000円(+39,000円)
  • 企業年金あり/公務員: iDeCo単体の上限撤廃、企業年金等との合算で月額62,000円まで

この改正により、より多くの老後資金を積み立てられるようになります。

受け取れるのはいつから?|年齢と加入期間の条件

iDeCoは原則60歳から受け取ることができますが、加入期間によって受給開始年齢が変わります。また、受給開始は75歳まで繰り下げることが可能です。

受給開始年齢は60歳から75歳まで

iDeCoの老齢給付金は、原則として60歳から受け取ることができます。ただし、60歳から受け取るには、通算加入者等期間が10年以上あることが条件です。

受給開始は75歳まで繰り下げることができ、その間は運用を続けることも可能です。75歳に達すると、自動的に老齢給付金として受取が開始されます。

受給開始年齢を遅らせることで、運用期間を延ばして資産を増やせる可能性がありますが、市場の変動リスクにもさらされます。自分のライフプランや資金需要に合わせて、最適な受給開始年齢を検討しましょう。

通算加入者等期間で受け取り時期が変わる

通算加入者等期間とは、iDeCoや企業型DCに加入していた期間の合計です。この期間によって、受給開始可能年齢が決まります。

10年以上:60歳から受給可能
8年以上10年未満:61歳から受給可能
6年以上8年未満:62歳から受給可能
4年以上6年未満:63歳から受給可能
2年以上4年未満:64歳から受給可能
1ヶ月以上2年未満:65歳から受給可能

加入期間が短いほど、受給開始年齢が遅くなる仕組みです。企業型DCからiDeCoへ移換した場合、企業型DCの加入期間も通算加入者等期間に含まれます。

10年未満でも受け取れる?

通算加入者等期間が10年未満の場合でも、iDeCoの資産は受け取ることができます。ただし、受給開始年齢が段階的に遅くなります。

例えば、50歳でiDeCoを始めた場合、60歳時点では加入期間が10年に満たないため、61歳以降に受給開始となります。ただし、掛金の所得控除や運用益の非課税というメリットは変わらないため、遅くから始めても十分に活用価値があります。

税金の仕組み|一時金と年金でどう違う?

iDeCoの受取方法によって、適用される税制が異なります。一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が適用され、それぞれ計算方法が違います。

一時金は退職所得控除が使える

一時金で受け取る場合、退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。退職所得控除は、iDeCoの加入年数(掛金拠出期間)に応じて計算され、非常に大きな節税効果があります。

退職所得控除の計算式

退職所得控除の計算式は、加入年数によって異なります。加入年数の1年未満の端数は、1年に切り上げて計算します。

  • 加入年数20年以下:40万円×加入年数(最低80万円)
  • 加入年数20年超:800万円+70万円×(加入年数-20年)

例えば、加入年数が15年の場合、退職所得控除額は600万円(40万円×15年)となります。加入年数が30年の場合は、1,500万円(800万円+70万円×10年)となります。

計算例で見る税額

具体的な計算例を見てみましょう。iDeCoの加入年数が25年で、資産が2,000万円の場合を考えます。

退職所得控除額は1,150万円(800万円+70万円×5年)です。退職所得は(2,000万円-1,150万円)×1/2=425万円となり、この425万円に対して所得税がかかります。

項目 金額
iDeCo資産 2,000万円
退職所得控除 1,150万円
課税対象額 425万円
税負担(所得税+住民税) 約85万円
手取り額 約1,915万円

退職所得控除を適用することで、2,000万円の資産に対して税負担は約85万円に抑えられ、手取り額は約1,915万円となります。

年金は公的年金等控除が使える

年金で受け取る場合、雑所得として扱われ、公的年金等控除が適用されます。公的年金等控除は、年齢と年金収入額によって控除額が決まります。

公的年金等控除の計算式

公的年金等控除の計算式は、年齢によって異なります。

  • 65歳未満:年金収入60万円以下は全額控除
  • 65歳未満:60万円超130万円未満は「収入×25%+27万5,000円」が雑所得
  • 65歳以上:年金収入110万円以下は全額控除
  • 65歳以上:110万円超330万円未満は「収入×75%-27万5,000円」が雑所得

例えば、65歳以上で年金収入が350万円の場合、雑所得は350万円×75%-27万5,000円=235万円となります。この235万円に対して、所得税と住民税が課税されます。

計算例で見る税額

具体的な計算例を見てみましょう。65歳以上で、iDeCoから年間72万円を5年間受け取る場合(総額360万円)を考えます。

年間72万円の場合、公的年金等控除後の雑所得は72万円×75%-27万5,000円=26万5,000円となります。他に所得がない場合、基礎控除(48万円)を適用すると課税所得はゼロとなり、税金はかかりません。

年金受取の場合、毎年の受取額を調整することで、公的年金等控除の範囲内に収めることができます。特に、65歳未満で公的年金を受け取っていない期間(60歳~64歳)は、年間60万円までが非課税となるため、この期間を有効活用する戦略も有効です。

併用の場合の税金

一時金と年金を併用する場合、それぞれの控除を組み合わせることができます。一時金として受け取る部分には退職所得控除、年金として受け取る部分には公的年金等控除が適用されます。

例えば、退職金とiDeCoの合計が2,360万円で、退職所得控除が2,060万円の場合、退職金2,000万円とiDeCo60万円を一時金で受け取り、iDeCoの残額300万円を年金で受け取る戦略が考えられます。

一時金部分は退職所得控除の範囲内に収まり、年金部分は公的年金等控除(60歳~64歳の5年間で年60万円×5年=300万円)を活用することで、全額を非課税で受け取ることが可能です。

国税庁:退職金を受け取ったとき

退職金がある人は要注意|受け取り順序で税金が変わる

退職金とiDeCoの一時金を両方受け取る場合、受取順序によって税負担が大きく変わります。特に2026年1月からは、従来の5年ルールが10年ルールに変更され、受取戦略の見直しが必要です。

5年ルール・19年ルールとは?

従来の制度では、iDeCoの一時金を先に受け取り、5年以上経過してから退職金を受け取れば、それぞれに退職所得控除を満額適用できました。これが「5年ルール」です。

例えば、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、それぞれ別々に退職所得控除が適用されました。

一方、退職金を先に受け取り、その後iDeCoの一時金を受け取る場合は「19年ルール」(前年以前19年以内のルール)が適用されます。退職金を受け取った後、20年以上経過してからiDeCoの一時金を受け取らないと、退職所得控除の重複調整が行われます。

税法上の正確な表現: 税法では「前年以前19年以内」と規定されており、通称「19年ルール」と呼ばれています。実質的には「20年未満」という意味ですが、正確には19年と規定されている点にご注意ください。

2026年1月から10年ルールに変わる

2026年1月1日以降に受け取る退職金・iDeCo一時金からは、「5年ルール」が「10年ルール」に変更されます。

税法上の正確な表現は「前年以前9年以内」ですが、実質的には「受取間隔を10年以上空ける必要がある」ため、「10年ルール」と通称されています。つまり、iDeCoの一時金を受け取った後、10年以上経過してから退職金を受け取らないと、退職所得控除の重複調整が行われます。

具体的には、iDeCoを受け取ってから退職金を受け取るまでの間隔が9年以内の場合、退職金の退職所得控除からiDeCoとの重複期間分が差し引かれます。

この改正により、60歳でiDeCoを受け取り、65歳定年で退職金を受け取るという従来の戦略が使えなくなります。定年延長や継続雇用により、60歳以降も働く方が増えている現状に合わせ、課税の公平性を保つための改正とされています。

国税庁:令和7年度税制改正

どちらを先に受け取るべき?

2026年以降、退職金とiDeCoのどちらを先に受け取るべきかは、個人の状況によって異なります。基本的には「iDeCoを先、退職金を後」の順番が有利なケースが多いですが、10年以上間隔を空ける必要があります。

退職金を先に受け取る場合

退職金を先に受け取る場合、iDeCoの一時金には「19年ルール」(前年以前19年以内のルール)が適用されます。退職金を受け取った後、20年以上経過してからiDeCoの一時金を受け取らないと、退職所得控除の重複調整が行われます。

例えば、62歳で退職金を受け取り、65歳でiDeCoを受け取る場合、iDeCoの退職所得控除から退職金との重複期間分が差し引かれます。iDeCoの加入期間が25年で、会社の勤続期間と20年重複している場合、調整後の退職所得控除は200万円(40万円×5年)に減額されます。

退職金を先に受け取る戦略は、iDeCoを年金形式で受け取ることを前提とした場合に有効です。年金受取にすることで、退職所得控除の重複問題を根本的に回避できます。

iDeCoを先に受け取る場合

iDeCoを先に受け取る場合、「10年ルール」が適用されます。iDeCoを受け取った後、10年以上経過してから退職金を受け取れば、それぞれに退職所得控除を満額適用できます。

例えば、60歳でiDeCoを受け取り、70歳で退職金を受け取る場合、両方の控除を活用できます。ただし、60歳でiDeCoを受け取り、70歳まで退職金を受け取らないという戦略は、現実的には難しいケースが多いでしょう。

iDeCoを先に受け取る場合、一部を一時金、残りを年金で受け取る併用戦略が有効です。退職所得控除の範囲内で一時金を受け取り、残りを年金で受け取ることで、税負担を最適化できます。

企業型DCからiDeCoへの移換で控除枠を拡大する方法

転職や退職時に企業型DCの資産をiDeCoに移換することで、通算加入者等期間を維持・拡大できます。これにより、退職所得控除の金額を増やすことができます。

例えば、企業型DCに15年加入し、その後iDeCoに10年加入した場合、通算加入者等期間は25年となり、退職所得控除額は1,150万円となります。

企業型DCからiDeCoへの移換は、退職後6ヶ月以内に手続きを行う必要があります。移換手続きを忘れると、企業型DCの資産が自動的に国民年金基金連合会に移換され、運用指図ができなくなるため、早めに手続きを行いましょう。

自分に合った受け取り方の選び方|3つのパターン別

iDeCoの最適な受取方法は、退職金の有無や金額によって異なります。ここでは、退職金額別に3つのパターンに分けて、最適な受取戦略を解説します。

退職金が多い人(1,000万円以上)

退職金が1,000万円以上ある方は、退職所得控除を退職金で使い切ってしまう可能性が高いため、iDeCoは年金形式で受け取ることをおすすめします。

例えば、勤続年数が38年で退職金が2,000万円の場合、退職所得控除は2,060万円となり、退職金だけで控除の大部分を使い切ります。この場合、iDeCoを一時金で受け取ると、退職金との合算で退職所得控除を超える部分に課税されます。

60歳〜64歳の戦略
iDeCoを年金形式で年間60万円ずつ受け取る(5年間で最大300万円を非課税で受け取り)
65歳以降の戦略
残りの資産を年金で受け取り、公的年金等控除を活用(年間110万円まで非課税)

また、一部を一時金、残りを年金で受け取る併用も検討しましょう。退職所得控除の範囲内で一時金を受け取り、残りを年金で受け取ることで、両方の控除を有効活用できます。

退職金が少ない人(500万円未満)

退職金が500万円未満の方は、退職所得控除に余裕があるため、iDeCoを一時金で受け取ることをおすすめします。

例えば、勤続年数が30年で退職金が400万円の場合、退職所得控除は1,500万円となり、退職金とiDeCoを合わせても控除の範囲内に収まる可能性が高いです。

一時金で受け取ることで、まとまった資金を一度に受け取ることができ、老後の生活資金や住宅リフォーム、旅行などに活用できます。また、退職所得控除の範囲内であれば、税金がかからないため、手取り額を最大化できます。

ただし、2026年以降は10年ルールが適用されるため、退職金とiDeCoの受取タイミングに注意が必要です。同じ年に受け取る場合は、控除が合算されるため、退職所得控除の範囲内に収まるか事前にシミュレーションしましょう。

退職金がない人(自営業・フリーランス)

退職金がない自営業やフリーランスの方は、iDeCoの退職所得控除を満額活用できるため、一時金で受け取ることをおすすめします。

例えば、iDeCoに30年加入した場合、退職所得控除は1,500万円となり、この金額までは税金がかかりません。自営業の方は、会社員に比べてiDeCoの掛金上限が高い(月額6.8万円※)ため、より多くの資産を積み立てることができます。

※注意:この6.8万円は、国民年金基金の掛金および国民年金付加保険料(月額400円)との合算額です。例えば、国民年金基金に月額2万円を拠出している場合、iDeCoには月額4.8万円までしか拠出できません。

退職金がない方は、小規模企業共済との併用も検討しましょう。小規模企業共済も退職所得控除の対象となるため、iDeCoと合わせて受け取る場合は、受取タイミングを調整することで、税負担を最適化できます。

また、公的年金が少ない場合は、iDeCoの一部を年金形式で受け取ることも有効です。公的年金等控除を活用することで、老後の安定した収入を確保しつつ、税負担を抑えることができます。

受け取り方で気をつけたい5つのこと

iDeCoの受け取りには、税制以外にも注意すべきポイントがあります。ここでは、よくある失敗事例と回避策を5つ紹介します。

運用商品の売却タイミング

受取直前に市場が暴落すると、資産が大きく目減りする可能性があります。受取時期が近づいたら、リスク資産(株式投資信託など)から安定資産(定期預金など)へ預け替えることを検討しましょう。

一般的には、受取の1~2年前から段階的に預け替えを行うことで、市場変動リスクを軽減できます。ただし、預け替えには手数料がかかる場合があるため、運営管理機関の手数料体系を確認しましょう。

受け取り方法の変更はできる?

受取方法は、原則として一度選択すると変更できません。ただし、運営管理機関によっては、年金受取の途中で残りを一時金として受け取る「繰上一時金」の制度がある場合もあります。

受取方法の選択は慎重に行う必要があります。事前に複数のシミュレーションを行い、自分の退職金額、公的年金額、その他の収入を考慮して、最適な受取方法を選びましょう。不安な場合は、税理士やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

マーケット暴落時の対処法

受取時期に市場が大きく下落している場合、受給開始を遅らせることも一つの選択肢です。iDeCoは60歳から75歳まで受給開始を繰り下げることができるため、市場の回復を待つことができます。

また、一時金ではなく年金形式で受け取ることで、市場の変動リスクを分散することができます。年金受取の場合、受取期間中も運用が継続されるため、市場の回復による資産増加の機会を得られます。

受け取り時期を遅らせるメリット・デメリット

受給開始を遅らせるメリットは、運用期間を延ばして資産を増やせる可能性があることです。また、退職金との受取間隔を空けることで、10年ルールの影響を回避できる場合もあります。

一方、デメリットは、市場変動リスクにさらされ続けることと、口座管理手数料が継続してかかることです。また、75歳に達すると自動的に受取が開始されるため、受給開始を無期限に遅らせることはできません。

75歳までに受け取らないとどうなる?

75歳に達すると、自動的に老齢給付金として受取が開始されます。受取方法を選択していない場合、運営管理機関の規定に従って、一時金または年金として受け取ることになります。

75歳までに受取手続きを行わなかった場合、運営管理機関から通知が届きますが、通知を見逃すと自動的に受取が開始される可能性があります。受取時期が近づいたら、運営管理機関からの通知を見逃さないよう注意しましょう。

受け取り手続きの流れ|必要書類と注意点

iDeCoの受取手続きは、受給開始年齢の半年前から始まります。スムーズに手続きを進めるため、必要書類や注意点を事前に確認しておきましょう。

受給開始年齢の半年前に書類が届く

受給開始年齢の半年前になると、運営管理機関から「受給権資格取得通知書」が届きます。この通知書には、受取可能な資産額や受取方法の選択肢が記載されています。

通知書は、iDeCo運用中の金融機関に登録している住所に届きます。引越しで住所変更を忘れていると、自宅に届かないことがあるため、事前に登録住所を確認し、必要に応じて住所変更手続きを行いましょう。

一時金の請求手続き

一時金で受け取る場合、「老齢給付金裁定請求書」に必要事項を記入し、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)とともに運営管理機関に提出します。

書類に不備がなければ、提出から1~2ヶ月程度で指定口座に振り込まれます。一時金の受取には、給付手数料(1回あたり440円)がかかります。ただし、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行では2025年7月から給付手数料が無料化されています。

一時金で受け取る場合、源泉徴収が行われます。退職所得控除を適用するため、「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があります。この申告書を提出しないと、一律20.42%の税率で源泉徴収されるため、必ず提出しましょう。

年金の請求手続き

年金で受け取る場合、「老齢給付金裁定請求書」に加えて、受取期間や受取回数を指定する書類を提出します。受取期間は5年以上20年以下で設定でき、受取回数は年1回、年2回、年4回、年6回などから選択できます(運営管理機関によって異なります)。

年金受取の場合、毎回の給付時に給付手数料(1回あたり440円)がかかります。年6回受け取る場合、年間で約2,640円の手数料がかかるため、受取回数を少なくすることで手数料を抑えることができます。

なお、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行では2025年7月から給付手数料が無料化されています。

ケース別シミュレーション|あなたの手取りはいくら?

具体的な金額でのシミュレーションを通じて、受取方法による税負担の違いを確認しましょう。ここでは、3つのケースを紹介します。

退職金2,000万円・iDeCo1,000万円の場合

勤続年数38年、iDeCo加入年数20年のケースを考えます。退職所得控除は2,060万円(800万円+70万円×18年)となります。

パターン1:同じ年に一時金で受け取る場合

パターン2:10年空けて一時金で受け取る場合

受取パターン 税負担 手取り額
同じ年に一時金 約98万円 約2,902万円
10年空けて一時金 約7万5,000円 約2,992万円
退職金一時金・iDeCo年金 約30万円 約2,970万円

退職金500万円・iDeCo500万円の場合

勤続年数30年、iDeCo加入年数15年のケースを考えます。退職所得控除は1,500万円(800万円+70万円×10年)となります。

パターン1:同じ年に一時金で受け取る場合

受取パターン 税負担 手取り額
同じ年に一時金 0円 1,000万円
5年空けて一時金(2026年以降) 約11万円 約989万円
退職金一時金・iDeCo年金 0円 1,000万円

退職金なし・iDeCo800万円の場合(自営業)

自営業でiDeCo加入年数25年のケースを考えます。退職所得控除は1,150万円(800万円+70万円×5年)となります。

パターン1:一時金で受け取る場合

受取パターン 税負担 手取り額
一時金 0円 800万円
年金(5年間) 約40万円 約760万円
併用(一時金500万円+年金300万円) 0円 800万円

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
iDeCoを受け取ると確定申告は必要?

一時金で受け取る場合、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、原則として確定申告は不要です。ただし、他に所得がある場合や、源泉徴収された税額が多すぎる場合は、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。

年金受け取り中に亡くなったらどうなる?

年金受取中に亡くなった場合、残りの資産は遺族が「死亡一時金」として受け取ることができます。死亡一時金は、相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

海外に住んでいても受け取れる?

海外に住んでいても、iDeCoの老齢給付金は受け取ることができます。ただし、海外の銀行口座への振込に対応していない運営管理機関もあるため、事前に確認が必要です。

受け取り時の手数料はいくら?

受取時には、給付手数料が1回あたり440円程度かかります(運営管理機関によって異なります)。一時金で受け取る場合は1回のみですが、年金で受け取る場合は、受取回数に応じて手数料がかかります。

まとめ

iDeCoの受け取り方には、一時金、年金、併用の3つの方法があり、それぞれ退職所得控除と公的年金等控除が適用されます。どの方法が最適かは、退職金の有無や金額、公的年金の見込額、その他の収入によって異なります。

2026年1月からは、従来の5年ルールが10年ルールに変更され、退職金とiDeCoの受取順序がより重要になります。60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、従来は満額の控除が適用されましたが、2026年以降は控除が制限され、税負担が増加する可能性があります。

退職金が多い方はiDeCoを年金形式で受け取り、退職金が少ない方や退職金がない方はiDeCoを一時金で受け取ることが基本戦略となります。また、一時金と年金を併用することで、両方の控除を最大限活用できます。

受取方法の選択は、一度決めると変更が難しいため、事前に複数のシミュレーションを行い、自分の状況に合った最適な方法を選びましょう。なお、投資には元本割れのリスクがあります。iDeCoの受取方法や税制は個人の状況により異なるため、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは、税理士や運営管理機関にご相談ください。


【重要】この記事の情報更新日

最終更新: 2026年1月22日時点の情報に基づいています。

今後予定されている主な制度改正:

  • 2027年1月: iDeCoの掛金上限額引き上げ(第1号被保険者75,000円、第2号被保険者62,000円)
  • 税制や制度は今後も変更される可能性があります

情報の正確性について:
本記事の情報は、国税庁、iDeCo公式サイト、各金融機関の公式情報に基づいています。ただし、個別の税務判断については、必ず税理士または税務署にご確認ください。

参考資料:

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  • 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
  • iDeCo公式サイト
  • 令和7年度税制改正大綱
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慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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