ウェルスナビのNISAとは?手数料や始め方を解説

新NISAを始めたいけれど、つみたて投資枠と成長投資枠の違いがよく分からず、どちらを選べばいいのか迷っていませんか。
2024年から始まった新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの非課税投資枠が用意されており、それぞれ特徴や投資方法が異なります。
この記事では、2つの投資枠の違いを分かりやすく比較し、あなたに合った選び方や併用のコツを具体的に解説します。
投資初心者の方でも理解できるよう、年代別・投資額別のシミュレーションや、よくある失敗パターンも紹介しています。
この記事を読めば、自分に最適な投資枠を選び、効率的に資産形成を進められるようになります。
目次
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの非課税投資枠があります。どちらも投資で得た利益が非課税になる点は同じですが、年間投資枠や投資対象商品、投資方法などに違いがあります。
以下の表で2つの投資枠の主な違いを確認しましょう。自分の投資スタイルや目的に合った枠を選ぶことが、効率的な資産形成の第一歩です。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠と合わせて) | 1,200万円まで |
| 投資対象商品 | 金融庁基準を満たした投資信託のみ(約271本) | 上場株式・投資信託・ETF・REITなど幅広い商品 |
| 投資方法 | 積立投資のみ | 積立投資・一括投資の両方が可能 |
| 商品の選定基準 | 金融庁が定める厳しい基準をクリアした商品 | 監理銘柄・整理銘柄などを除く |
| 信託報酬 | 低コスト(年0.1%〜0.5%程度) | 商品により幅がある |
| 向いている人 | 投資初心者・長期でコツコツ積み立てたい人 | 投資経験者・まとまった資金を運用したい人 |
つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで投資できます。2つの枠は併用可能で、合計で年間360万円まで非課税で投資できるのが新NISAの大きな魅力です。
非課税保有限度額は生涯で1,800万円までですが、そのうち成長投資枠として使えるのは1,200万円までとなっています。つまり、つみたて投資枠だけで1,800万円まで使うことも、両方を組み合わせて使うこともできます。
投資対象商品の違いも重要なポイントです。つみたて投資枠は金融庁が定めた厳しい基準を満たした投資信託のみが対象で、初心者でも安心して選べる商品に絞られています。一方、成長投資枠は上場株式や多様な投資信託、ETF、REITなど幅広い商品から選べるため、投資の自由度が高くなっています。
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を通じた資産形成を支援するために設けられた非課税投資枠です。金融庁が定める厳しい基準をクリアした投資信託のみが対象となっており、投資初心者でも安心して始められる仕組みになっています。
毎月一定額を自動で積み立てる方式のため、投資のタイミングを考える必要がなく、時間分散によってリスクを抑えながら資産を増やせます。少額から始められるため、投資が初めての方や、まずは少しずつ投資に慣れたい方に最適な投資枠です。
つみたて投資枠の年間投資枠は120万円です。月額に換算すると10万円まで積み立てられる計算になります。毎月1万円から始めて、収入が増えたら徐々に積立額を増やすといった柔軟な運用も可能です。
非課税保有限度額は、成長投資枠と合わせて生涯で1,800万円までです。つみたて投資枠だけで1,800万円すべてを使うこともできますし、成長投資枠と併用することもできます。例えば、つみたて投資枠で600万円、成長投資枠で1,200万円という組み合わせも可能です。
非課税保有期間は無期限となっており、一度投資した商品は何年保有していても非課税のメリットを受け続けられます。長期投資を前提とした制度設計になっているため、10年、20年と長い目で資産形成を考える方に適しています。
つみたて投資枠で投資できるのは、金融庁が定める基準を満たした投資信託のみです。2024年12月時点で約271本の投資信託が対象となっています。これらの商品は、以下のような厳しい基準をクリアしています。
販売手数料がかからないノーロード型であることが条件です。購入時に手数料がかからないため、投資した金額がそのまま運用に回ります。
また、信託報酬(運用管理費用)も低く設定されており、国内株式型で年0.5%以下、海外株式型で年0.75%以下という上限が設けられています。
さらに、毎月分配型ではなく、運用益を再投資する仕組みの投資信託に限定されています。これにより複利効果を最大限に活かせる設計になっています。信託契約期間が無期限または20年以上という条件もあり、長期投資に適した商品だけが選ばれています。
具体的には、国内株式に投資するインデックスファンド、先進国株式や全世界株式に投資するインデックスファンド、バランス型ファンドなどが対象となっています。いずれも低コストで分散投資ができる商品ばかりなので、初心者でも選びやすくなっています。
つみたて投資枠では、積立投資のみが認められており、一括投資はできません。毎月または毎日など、定期的に一定額を自動で買い付ける仕組みです。この積立方式には、投資初心者にとって大きなメリットがあります。
積立投資の主なメリットは以下の通りです。
ドルコスト平均法とは、価格が高い時には少なく、安い時には多く買い付けることで、平均購入単価を抑える投資手法です。積立投資では自動的にこの効果が得られるため、投資初心者でもリスクを抑えながら資産形成ができます。
例えば、毎月3万円ずつ投資信託を積み立てる場合、基準価額が1万円の時は3口、基準価額が1万5千円の時は2口購入することになります。価格変動があっても一定額を買い続けることで、長期的には購入単価が平準化され、リスクを分散できるのです。
成長投資枠とは
成長投資枠は、つみたて投資枠よりも投資の自由度が高く、幅広い商品から選んで投資できる非課税投資枠です。上場株式や投資信託、ETF、REITなど多様な商品に投資でき、積立投資だけでなく一括投資も可能です。
年間投資枠が240万円とつみたて投資枠の2倍あるため、まとまった資金を運用したい方や、投資経験があり自分で銘柄を選びたい方に適しています。個別株への投資やテーマ型ファンドへの投資など、より戦略的な資産運用を目指す方に向いている投資枠です。
成長投資枠の年間投資枠は240万円です。つみたて投資枠の120万円と合わせると、新NISAでは年間最大360万円まで非課税で投資できます。月額に換算すると20万円まで投資可能で、ボーナス時にまとめて投資するといった使い方もできます。
非課税保有限度額は1,200万円までです。つみたて投資枠と成長投資枠を合わせた生涯の非課税保有限度額は1,800万円なので、成長投資枠だけで上限まで使う場合は1,200万円、残りの600万円分はつみたて投資枠を使う必要があります。
つみたて投資枠と同様に、非課税保有期間は無期限です。売却して非課税保有限度額に空きができれば、翌年以降に再び投資枠として利用できる仕組みになっています。例えば、500万円分の株式を売却すれば、翌年以降に500万円分の投資枠が復活します。
成長投資枠では、つみたて投資枠に比べて投資対象商品の選択肢が大幅に広がります。上場株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など、多様な金融商品に投資できます。
具体的には、東京証券取引所に上場している国内株式、米国株式などの外国株式、日経平均株価やTOPIXに連動するETF、国内外の不動産に投資するREIT、アクティブ型投資信託など、幅広い商品が対象です。つみたて投資枠の対象となっている投資信託も、成長投資枠で購入できます。
ただし、すべての上場商品が対象というわけではありません。監理銘柄・整理銘柄に指定されている株式、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象外となっています。
この制限は、投資者保護の観点から設けられているものです。短期的な値動きを狙った投機的な商品や、複雑な仕組みの商品は除外されており、長期的な資産形成に適した商品を選びやすくなっています。
成長投資枠の大きな特徴は、投資方法を自由に選べる点です。つみたて投資枠のように毎月定額を積み立てることもできますし、まとまった資金を一度に投資する一括投資も可能です。
投資方法の選択肢は以下の通りです。
一括投資は、まとまった資金がある場合や、市場が下落したタイミングで買い増したい場合に有効です。ただし、投資タイミングの判断が必要になるため、投資経験がある程度ある方に向いています。
例えば、ボーナスで100万円の余裕資金ができた場合、成長投資枠を使って一度に投資信託や個別株を購入できます。また、日経平均株価が大きく下落した時に、割安になった株式を買い増すといった戦略的な投資も可能です。投資初心者の方は、まずは積立投資から始めて、慣れてきたら一括投資やスポット投資を組み合わせるのがおすすめです。
つみたて投資枠のメリット・デメリット
つみたて投資枠には、投資初心者でも始めやすい多くのメリットがある一方で、投資の自由度が制限されるデメリットもあります。ここでは、つみたて投資枠の長所と短所を公平に解説します。自分の投資目的やライフスタイルに合っているか確認しながら読み進めてください。
つみたて投資枠の最大のメリットは、少額から投資を始められる点です。証券会社によっては月100円から積立投資が可能で、投資初心者や収入が少ない若い世代でも気軽に資産形成をスタートできます。
例えば、月1,000円の積立なら、ランチ1回分を節約するだけで投資が始められます。最初は少額から始めて、収入が増えたり投資に慣れたりしたら徐々に積立額を増やしていくこともできます。無理のない範囲で投資を続けられるため、途中で挫折しにくいのも魅力です。
積立投資では、毎月一定額を自動で買い付けるため、時間分散によってリスクを抑える効果があります。これはドルコスト平均法と呼ばれる投資手法で、価格が高い時には少なく、安い時には多く買い付けることで、平均購入単価を抑えられます。
ドルコスト平均法により、一括投資に比べて高値づかみのリスクを軽減できます。相場が上昇している時も下落している時も、淡々と積み立てを続けることで、長期的には安定したリターンが期待できます。
例えば、投資信託の基準価額が1万円の月は3万円で3口、8千円に下落した月は3万円で3.75口購入できます。価格が下がった時に多く買えるため、平均購入単価が下がり、その後の値上がり時に利益が出やすくなります。市場のタイミングを読む必要がないため、投資初心者でも実践しやすい方法です。
つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が定める厳しい基準をクリアした低コストの投資信託のみです。販売手数料は無料(ノーロード)で、信託報酬も国内株式型で年0.5%以下、海外株式型で年0.75%以下と低く抑えられています。
投資信託の運用コストは、長期的なリターンに大きく影響します。例えば、信託報酬が年1.5%の投資信託と年0.2%の投資信託を20年間運用した場合、最終的な資産額には数百万円の差が生まれることもあります。つみたて投資枠の対象商品は低コストなので、運用益を最大化しやすくなっています。
つみたて投資枠のデメリットは、年間投資枠が120万円と成長投資枠の240万円に比べて少ない点です。月額に換算すると10万円までなので、まとまった資金を一度に投資したい方や、年間360万円の非課税枠を最大限活用したい方には物足りなく感じるかもしれません。
例えば、退職金や相続で数百万円の資金を手にした場合、つみたて投資枠だけでは投資に時間がかかります。このような場合は、成長投資枠を併用することで、より効率的に非課税枠を活用できます。
つみたて投資枠で投資できるのは、金融庁基準を満たした約271本の投資信託のみです。個別株式やETF、REITには投資できないため、投資経験者にとっては選択肢が限られていると感じるかもしれません。
また、アクティブ型投資信託の本数も少なく、大半がインデックス型投資信託です。特定のテーマや業種に集中投資したい場合や、高配当株に投資したい場合は、成長投資枠を利用する必要があります。
つみたて投資枠では積立投資のみが認められており、一括投資やスポット投資ができません。市場が大きく下落した時に買い増したくても、毎月の積立額以上は投資できないため、投資機会を逃してしまうこともあります。
運用の自由度が低いデメリットは以下の通りです。
ただし、この制約は投資初心者にとっては必ずしもデメリットではありません。投資タイミングを考える必要がなく、感情に左右されずに淡々と積み立てを続けられるため、長期的には安定したリターンが期待できます。投資に慣れてきて、より柔軟な運用をしたくなったら、成長投資枠を併用するのがおすすめです。
成長投資枠のメリット・デメリット
成長投資枠は、つみたて投資枠に比べて投資の自由度が高く、幅広い商品から選んで投資できる一方で、投資判断の難しさやリスクの高さといったデメリットもあります。ここでは、成長投資枠の長所と短所を公平に解説します。
成長投資枠の年間投資枠は240万円と、つみたて投資枠の2倍の金額です。月額に換算すると20万円まで投資できるため、まとまった資金を効率的に運用したい方に適しています。
例えば、退職金で1,000万円の資金を手にした場合、成長投資枠を使えば年間240万円ずつ投資でき、約4年で非課税枠の上限である1,200万円まで投資できます。つみたて投資枠だけだと年間120万円なので、同じ金額を投資するのに約8年かかる計算です。時間を有効に使って資産形成を進めたい方には大きなメリットです。
成長投資枠では、上場株式、投資信託、ETF、REITなど多様な商品に投資できます。つみたて投資枠の対象である約271本の投資信託に加えて、個別株式や高配当ETF、テーマ型ファンドなど、投資戦略に応じた商品を自由に選べます。
商品選択肢が広いため、自分の投資方針に合わせたポートフォリオを組みやすくなります。例えば、配当金を重視したい方は高配当株やREITに投資し、成長性を重視したい方は米国のハイテク株に投資するといった戦略が可能です。
また、つみたて投資枠の対象商品も成長投資枠で購入できるため、積立投資と一括投資を組み合わせた柔軟な運用もできます。投資経験がある方や、特定の投資テーマに興味がある方にとっては、大きなメリットと言えます。
成長投資枠では、積立投資だけでなく一括投資やスポット投資も可能です。市場の状況や自分の資金状況に応じて、投資タイミングや投資額を自由に調整できるため、戦略的な資産運用ができます。
例えば、基本は毎月5万円の積立投資を続けながら、市場が大きく下落した時には追加で50万円を一括投資するといった使い方ができます。また、ボーナス時期にまとめて投資したり、株価が割安になったタイミングで個別株を購入したりと、自分の判断で投資を進められます。
成長投資枠は投資の自由度が高い反面、どの商品にいつ投資するかを自分で判断する必要があります。個別株式に投資する場合は企業分析が必要ですし、投資信託を選ぶ際も運用方針やコストを比較検討しなければなりません。
投資判断を誤ると、期待したリターンが得られなかったり、大きな損失を被ったりするリスクがあります。特に投資初心者の場合、どの商品を選べばよいか分からず、判断に迷うことが多いでしょう。
成長投資枠を効果的に活用するには、ある程度の投資知識や経験が必要です。個別株式に投資する場合は、企業の財務状況や業績、株価の割安・割高を判断する力が求められます。投資信託を選ぶ際も、運用方針や過去の実績、信託報酬などを比較する必要があります。
投資知識が不足していると、高コストの商品を選んでしまったり、リスクの高い商品に集中投資してしまったりする可能性があります。投資初心者の方は、まずはつみたて投資枠で投資に慣れてから、徐々に成長投資枠を活用していくのがおすすめです。
成長投資枠の対象商品には、値動きの大きい個別株式やテーマ型ファンドなど、リスクの高い商品も含まれています。つみたて投資枠の対象商品は金融庁の厳しい基準をクリアした低リスク商品に限定されていますが、成長投資枠では投資者自身がリスクを判断する必要があります。
高リスク商品に投資する際の注意点は以下の通りです。
成長投資枠を利用する際は、自分のリスク許容度を理解し、分散投資を心がけることが大切です。投資経験が浅い方は、まずは投資信託やETFなど分散投資ができる商品から始めるのがよいでしょう。
どちらを選ぶべき?
つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを選ぶべきかは、投資経験や投資目的、リスク許容度によって異なります。ここでは、投資家タイプ別におすすめの選び方を解説します。自分がどのタイプに当てはまるか確認しながら、最適な投資枠を選びましょう。
投資が初めての方や、投資経験が浅い方には、つみたて投資枠から始めるのがおすすめです。つみたて投資枠は金融庁基準を満たした低コストの投資信託のみが対象で、商品選びで失敗しにくい仕組みになっています。
投資初心者につみたて投資枠が適している理由は以下の通りです。まず、少額から始められるため、投資に慣れるまで無理のない金額で続けられます。月1,000円や月3,000円といった少額から始めて、徐々に積立額を増やしていけば、投資への不安も和らぎます。
また、積立投資は投資タイミングを考える必要がなく、自動で買い付けが行われるため、手間がかかりません。相場の上下に一喜一憂せず、淡々と積み立てを続けることで、長期的には安定したリターンが期待できます。ドルコスト平均法により、高値づかみのリスクも軽減できます。
投資初心者は、まずつみたて投資枠で全世界株式や米国株式のインデックスファンドを積み立てるのがおすすめです。これらの商品は幅広く分散投資ができ、長期的な成長が期待できます。投資に慣れてきたら、成長投資枠も併用して投資の幅を広げていくとよいでしょう。
すでに投資経験があり、個別株式やETFにも興味がある方は、成長投資枠を積極的に活用するのがおすすめです。成長投資枠では幅広い商品から選べるため、自分の投資戦略に合わせたポートフォリオを組めます。
投資経験者が成長投資枠を活用するメリットは、年間240万円という大きな投資枠を使えることです。つみたて投資枠の120万円と合わせれば年間360万円まで非課税で投資できるため、効率的に資産形成を進められます。
例えば、つみたて投資枠で毎月5万円(年間60万円)を投資信託に積み立てながら、成長投資枠で年間240万円を個別株式やETF、REITに投資するといった使い方ができます。配当金を重視したい方は高配当株やREITに投資し、成長性を重視したい方は米国のハイテク株に投資するなど、自分の投資方針に合わせた運用が可能です。
つみたて投資枠と成長投資枠を併用する場合、どのような配分にするかは投資経験や資金状況、リスク許容度によって異なります。ここでは、一般的な配分の考え方を紹介します。
併用する際の配分例は以下の通りです。
基本的には、つみたて投資枠で安定的な積立投資を続けながら、成長投資枠で個別株式やテーマ型ファンドなどに投資するのがおすすめです。つみたて投資枠をコア(中核)、成長投資枠をサテライト(衛星)と位置づけて、リスクとリターンのバランスを取るとよいでしょう。
例えば、毎月5万円をつみたて投資枠で全世界株式インデックスファンドに積み立て、余裕資金ができたら成長投資枠で高配当株や米国株ETFに投資するといった使い方が考えられます。つみたて投資枠で長期的な資産形成の基盤を作り、成長投資枠で投資の楽しみや追加のリターンを狙うイメージです。
配分を決める際は、自分のリスク許容度を考慮することが大切です。元本割れのリスクを最小限に抑えたい方はつみたて投資枠の比率を高くし、積極的にリターンを狙いたい方は成長投資枠の比率を高くするとよいでしょう。年齢やライフステージによっても最適な配分は変わるため、定期的に見直すことをおすすめします。
年代別・投資額別の活用シミュレーション
新NISAをどのように活用すればよいか、具体的なイメージを持つために、年代別・投資額別のシミュレーションを紹介します。自分の年齢や投資可能額に近いケースを参考にして、実際の投資計画を立ててみましょう。
20代で投資を始める最大のメリットは、長い運用期間を確保できることです。月1万円という少額からでも、30年、40年と長期で運用すれば、複利効果により大きな資産を築ける可能性があります。
例えば、25歳から月1万円(年間12万円)をつみたて投資枠で積み立て、年率5%で運用できた場合、40年後の65歳時点で約1,500万円の資産になります。投資元本は480万円(12万円×40年)なので、約1,020万円が運用益です。この運用益が非課税になるのがNISAの大きなメリットです。
※これはあくまでシミュレーションであり、実際の運用成果を保証するものではありません。市場環境により運用成績は変動します。
20代の方におすすめの活用方法は、まずつみたて投資枠で全世界株式や米国株式のインデックスファンドに月1万円から積み立てを始めることです。収入が増えたら徐々に積立額を月3万円、月5万円と増やしていきましょう。投資に慣れてきたら、成長投資枠で個別株式やETFにも挑戦するとよいでしょう。
30代は結婚や出産、住宅購入などライフイベントが多い時期ですが、まだ運用期間も長く、資産形成の重要な時期です。月3万円(年間36万円)を投資に回せる場合、つみたて投資枠と成長投資枠を併用して効率的に資産を増やせます。
例えば、つみたて投資枠で月2万円(年間24万円)、成長投資枠で月1万円(年間12万円)を投資する配分が考えられます。つみたて投資枠では全世界株式インデックスファンドに積み立て、成長投資枠では高配当株やREITに投資して配当収入も得るといった戦略です。
35歳から月3万円を年率5%で運用した場合、30年後の65歳時点で約2,500万円の資産になります。投資元本は1,080万円(36万円×30年)なので、約1,420万円が運用益です。つみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、安定性と成長性のバランスが取れたポートフォリオを構築できます。
30代の方は、基本的にはつみたて投資枠を中心に積み立てを続けながら、ボーナスなどで余裕資金ができたら成長投資枠で一括投資するのがおすすめです。住宅購入などの大きな支出予定がある場合は、無理のない範囲で投資額を調整しましょう。
40代は収入が増え、投資に回せる資金も増えてくる時期です。月5万円(年間60万円)を投資できる場合、つみたて投資枠を満額に近い形で活用しながら、成長投資枠も併用して本格的な資産運用ができます。
例えば、つみたて投資枠で月5万円(年間60万円)を積み立て、ボーナスなどの余裕資金で成長投資枠に年間60万円を投資する配分が考えられます。合計で年間120万円を投資でき、10年で1,200万円、15年で1,800万円の非課税枠を使い切れます。
45歳から月5万円を年率5%で運用した場合、20年後の65歳時点で約2,000万円の資産になります。投資元本は1,200万円(60万円×20年)なので、約800万円が運用益です。老後資金として2,000万円を準備できれば、公的年金と合わせて安心した老後生活を送れるでしょう。
40代の方は、つみたて投資枠で安定的な積立投資を続けながら、成長投資枠で個別株式やテーマ型ファンドにも投資して、リターンの向上を狙うのがおすすめです。ただし、老後までの運用期間が短くなってきているため、リスクを取りすぎないよう注意が必要です。
50代で退職金や相続などでまとまった資金を手にした場合、新NISAの年間投資枠360万円を満額活用して、効率的に資産運用ができます。つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を併用すれば、5年で1,800万円の非課税枠を使い切れます。
50代の方が年間360万円を満額活用する場合の配分例を以下の表で示します。
| 投資枠 | 年間投資額 | 投資対象例 | 目的 |
| つみたて投資枠 | 120万円(月10万円) | 全世界株式インデックスファンド | 安定的な資産成長 |
| 成長投資枠 | 240万円(月20万円) | 高配当株・REIT・バランス型ファンド | 配当収入と資産成長の両立 |
| 合計 | 360万円(月30万円) | – | – |
50代の方は、老後までの運用期間が10〜15年程度と短いため、リスクとリターンのバランスを考えた投資が重要です。つみたて投資枠で安定的な成長を狙いながら、成長投資枠で配当収入も得られる高配当株やREITに投資するのがおすすめです。
例えば、55歳から年間360万円を年率4%で運用した場合、10年後の65歳時点で約4,400万円の資産になります。投資元本は3,600万円(360万円×10年)なので、約800万円が運用益です。この運用益が非課税になるため、老後資金を効率的に準備できます。
ただし、50代は老後までの運用期間が短いため、リスクの高い商品に集中投資するのは避けましょう。株式だけでなく、債券やバランス型ファンドも組み入れて、リスクを分散することが大切です。また、年金受給開始までの生活資金は別途確保しておくことをおすすめします。
よくある失敗パターンと回避策
新NISAを始める際、多くの人が陥りがちな失敗パターンがあります。ここでは、代表的な失敗例とその回避策を紹介します。これらの失敗を事前に知っておくことで、後悔のない投資ができるようになります。
よくある失敗の1つ目は、自分の投資経験やリスク許容度を考えずに投資枠を選んでしまうことです。例えば、投資初心者なのに成長投資枠で個別株式に投資して大きな損失を出したり、投資経験者なのにつみたて投資枠だけで物足りなさを感じたりするケースです。
この失敗を避けるには、まず自分の投資経験とリスク許容度を正直に評価することが大切です。投資が初めての方や、元本割れのリスクを最小限に抑えたい方は、つみたて投資枠から始めましょう。金融庁基準を満たした低コストの投資信託のみが対象なので、商品選びで失敗しにくくなっています。
一方、すでに投資経験があり、個別株式やETFにも興味がある方は、成長投資枠も積極的に活用するとよいでしょう。ただし、いきなり高リスクの商品に集中投資するのではなく、まずは投資信託やETFで分散投資を心がけることが重要です。
新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計360万円です。しかし、この枠を使い切れずに年末を迎えてしまう人が少なくありません。使い切れなかった投資枠は翌年に繰り越せないため、非課税のメリットを十分に活かせないことになります。
この失敗を避けるには、年初に年間の投資計画を立てることが大切です。月々の積立額を設定するだけでなく、ボーナス時期にまとめて投資する金額も決めておきましょう。例えば、毎月10万円を積み立て(年間120万円)、ボーナス時に2回に分けて各120万円を投資する(年間240万円)といった計画を立てれば、年間360万円の枠を使い切れます。
また、年末が近づいたら投資枠の使用状況を確認し、余裕があれば追加投資を検討しましょう。証券会社のマイページで現在の投資額を確認できるので、定期的にチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
成長投資枠では幅広い商品に投資できる反面、リスクの高い商品も含まれています。投資知識が不足したまま高リスク商品に投資して、大きな損失を出してしまうケースがあります。例えば、レバレッジ型ETFやテーマ型ファンド、新興国株式などは値動きが激しく、短期間で大きく値下がりすることもあります。
この失敗を避けるためのチェックリストは以下の通りです。
投資初心者の方は、まずは全世界株式や米国株式のインデックスファンドなど、分散投資ができる低コストの商品から始めることをおすすめします。個別株式やテーマ型ファンドに投資したい場合は、ポートフォリオ全体の一部(10〜20%程度)に留めて、リスクを分散しましょう。
また、投資判断をする際は、短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点を持つことが大切です。市場が下落した時に慌てて売却するのではなく、長期的には回復すると信じて保有を続けることが、資産形成の成功につながります。
旧NISA保有者向けの移行ガイド
2023年までに旧NISAを利用していた方は、2024年からの新NISAへの移行について疑問を持っているかもしれません。ここでは、旧つみたてNISAと旧一般NISAから新NISAへの移行方法と注意点を解説します。
旧つみたてNISAを利用していた方は、2024年から自動的に新NISAのつみたて投資枠に移行されます。旧つみたてNISAで保有していた商品は、非課税期間が終了するまでそのまま非課税で保有できます。ただし、旧NISAと新NISAは別枠として管理されるため、旧NISAの保有分は新NISAの非課税保有限度額1,800万円には含まれません。
例えば、旧つみたてNISAで200万円分の投資信託を保有している場合、この200万円は新NISAの非課税保有限度額とは別枠で管理されます。新NISAでは新たに1,800万円まで非課税で投資できるため、旧NISAの保有分と合わせて最大2,000万円の非課税資産を持つことができます。
旧つみたてNISAから新NISAへの移行で注意すべき点は、旧NISAの商品を新NISAに移管(ロールオーバー)することはできないことです。旧NISAで保有している商品は、非課税期間が終了したら課税口座に移すか、売却するかを選ぶ必要があります。長期保有を前提とした商品であれば、非課税期間終了後も課税口座で保有し続けるのがよいでしょう。
旧一般NISAを利用していた方も、2024年から新NISAを利用できます。旧一般NISAで保有していた株式や投資信託は、非課税期間(最長5年間)が終了するまでそのまま非課税で保有できます。旧つみたてNISAと同様に、旧一般NISAの保有分は新NISAの非課税保有限度額には含まれません。
旧一般NISAから新NISAへの移行で考えるべきポイントは以下の通りです。
旧一般NISAで個別株式を中心に投資していた方は、新NISAの成長投資枠を活用すれば、引き続き個別株式に投資できます。ただし、新NISAでは長期的な資産形成を重視した制度設計になっているため、短期売買よりも長期保有を前提とした投資スタイルに切り替えることをおすすめします。
また、旧一般NISAでは年間120万円までしか投資できませんでしたが、新NISAでは年間360万円まで投資できるため、より効率的に資産形成を進められます。つみたて投資枠と成長投資枠を併用して、バランスの取れたポートフォリオを構築しましょう。
はい、同時に使えます。つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円の合計360万円まで、同じ年に投資できます。例えば、つみたて投資枠で毎月5万円を積み立てながら、成長投資枠で個別株式に投資するといった使い方が可能です。
はい、できます。つみたて投資枠の対象となっている投資信託は、成長投資枠でも購入できます。成長投資枠なら一括投資もできるため、まとまった資金がある場合は成長投資枠を使うのも選択肢の1つです。
いいえ、繰り越せません。使い切らなかった投資枠は消滅してしまうため、計画的に投資することが大切です。年初に年間の投資計画を立て、定期的に投資枠の使用状況を確認しましょう。
非課税保有限度額に達した後は、新たに投資することはできません。ただし、保有している商品を売却すれば、その分の枠が翌年以降に復活します。例えば、500万円分を売却すれば、翌年以降に500万円分の投資枠が使えるようになります。
投資枠の変更はできませんが、両方を併用することは可能です。例えば、今まではつみたて投資枠だけを使っていたけれど、来年から成長投資枠も使い始めるといったことはできます。すでにつみたて投資枠で投資した分を成長投資枠に移すことはできません。
いいえ、移せません。旧NISAと新NISAは別の制度として管理されるため、旧NISAで保有している商品を新NISAに移管(ロールオーバー)することはできません。旧NISAの商品は、非課税期間が終了したら課税口座に移すか、売却する必要があります。
新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は、それぞれ異なる特徴を持つ非課税投資枠です。つみたて投資枠は年間120万円まで投資でき、金融庁基準を満たした低コストの投資信託に積立投資ができます。投資初心者や、リスクを抑えて長期でコツコツ資産形成したい方に適しています。
一方、成長投資枠は年間240万円まで投資でき、上場株式や投資信託、ETF、REITなど幅広い商品に投資できます。積立投資だけでなく一括投資も可能で、投資経験者やまとまった資金を運用したい方に向いています。2つの投資枠は併用でき、年間最大360万円まで非課税で投資できるのが新NISAの大きな魅力です。
どちらの投資枠を選ぶべきかは、投資経験やリスク許容度、投資目的によって異なります。投資初心者の方は、まずつみたて投資枠で全世界株式や米国株式のインデックスファンドに積み立てを始めるのがおすすめです。投資に慣れてきたら、成長投資枠も併用して投資の幅を広げていきましょう。
年代別・投資額別のシミュレーションを参考に、自分に合った投資計画を立てることが大切です。20代は少額から始めて長期運用の恩恵を受け、30代・40代は本格的に資産形成を進め、50代はまとまった資金を効率的に運用するといった戦略が考えられます。よくある失敗パターンを知っておくことで、後悔のない投資ができるようになります。
なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各証券会社・金融機関にご確認ください。
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