新NISAと旧NISAの違いは?変更点と移行のポイント

証券会社を選ぶとき、最も気になるのが手数料ではないでしょうか。
2023年から大手ネット証券を中心に手数料無料化が進み、投資コストを大きく抑えられる環境が整いました。
しかし、「無料」と言っても条件があったり、隠れたコストが存在したりと、実際にはどの証券会社が本当にお得なのか分かりにくいのが現状です。
この記事では、主要な証券会社の手数料を徹底比較し、取引スタイル別におすすめの証券会社をランキング形式でご紹介します。
少額投資から本格的なデイトレードまで、あなたに最適な証券会社が見つかります。
手数料で損をしない証券会社選びの参考にしてください。
目次
証券会社の手数料とは?
証券会社の手数料は、株式や投資信託などの金融商品を売買する際に支払うコストのことです。従来は取引のたびに数百円から数千円の手数料が必要でしたが、近年のネット証券の台頭により手数料は大幅に下がり、一部では無料化も進んでいます。
手数料の仕組みを正しく理解することで、年間で数万円以上のコスト削減が可能になります。ここでは証券会社の手数料体系の基本を分かりやすく解説します。
証券会社の売買手数料には、大きく分けて「1約定制」と「1日定額制」の2つのタイプがあります。
1約定制は取引ごとに手数料が発生する仕組みで、1回の取引金額に応じて手数料が決まります。例えば10万円の株を買うと55円、50万円なら275円といった具合です。
一方、1日定額制は1日の取引金額の合計で手数料が決まる仕組みです。1日100万円までなら無料、それを超えると一定の手数料がかかるといったプランが一般的です。
少額を何度も取引する人は1日定額制、大きな金額を1回だけ取引する人は1約定制が有利になることが多いです。自分の取引スタイルに合わせて、どちらのプランが得なのかを事前に確認しておくことが大切です。
株式取引には「現物取引」と「信用取引」の2種類があり、それぞれ手数料体系が異なります。現物取引は自分の資金で株を買う通常の取引で、購入した株式は自分の資産になります。
信用取引は証券会社から資金や株を借りて取引する方法で、自己資金の約3倍まで取引できるレバレッジ効果があります。
ただし、信用取引には売買手数料に加えて、金利(買い方)や貸株料(売り方)といった追加コストが発生します。
多くのネット証券では、現物取引の手数料を無料化していますが、信用取引の金利や貸株料は別途かかるため、トータルコストを確認することが重要です。初心者の方はまず現物取引から始めることをおすすめします。
2023年9月、SBI証券が国内初となる国内株式売買手数料の完全無料化を発表しました。これに楽天証券が追随し、主要ネット証券で手数料無料化の波が広がっています。
手数料無料化の背景には、2024年から始まった新NISA制度による投資人口の拡大があります。証券会社は手数料収入を減らしてでも顧客を獲得し、投資信託の販売手数料や信用取引の金利、FX取引など他のサービスで収益を確保する戦略に転換しています。
ただし、「無料」には条件がある場合が多く、電子交付への切り替えや特定のコース選択が必要です。また、手数料が無料でもスプレッド(売値と買値の差)や為替手数料など、他のコストが発生することもあります。
表面的な手数料だけでなく、トータルコストで比較することが賢明です。
証券会社の手数料比較
証券会社を選ぶ際、最も重要なのが実際の取引でいくら手数料がかかるかです。
ここでは約定代金(取引金額)別に、主要ネット証券の手数料を比較します。少額投資から大口取引まで、あなたの取引スタイルに合った最安の証券会社が一目で分かります。手数料は2024年12月時点の情報で、税込価格で表示しています。
10万円以下の少額取引では、SBI証券と楽天証券が完全無料で最もお得です。両社とも条件を満たせば、約定代金に関係なく現物取引・信用取引ともに手数料が0円になります。
松井証券は1日の取引金額が50万円まで無料なので、10万円以下の取引なら実質無料です。三菱UFJeスマート証券も1日100万円まで無料なので、少額投資には適しています。
マネックス証券は1約定ごとに55円(税込)、DMM株も55円がかかりますが、25歳以下なら実質無料になるキャンペーンを実施しています。
少額から投資を始めたい初心者の方は、手数料無料の証券会社を選ぶことで、投資コストをゼロに抑えられます。
50万円の取引でも、SBI証券と楽天証券は条件を満たせば無料です。松井証券は1日50万円までが無料なので、1日1回の取引なら手数料はかかりません。
三菱UFJeスマート証券も1日定額制なら100万円まで無料なので、50万円の取引は0円です。マネックス証券は1約定ごとに275円(税込)、DMM株は198円がかかります。
この価格帯では、1日定額制のプランを選ぶか、手数料無料の証券会社を利用することで、コストを大幅に抑えられます。
特に月に数回取引する方は、1日定額制の上限を意識して取引することで、手数料負担をゼロにできます。
100万円以上の大口取引になると、証券会社による手数料の差が顕著になります。SBI証券と楽天証券は引き続き無料ですが、他社では手数料が発生します。
松井証券は1日100万円を超えると1,100円(税込)、三菱UFJeスマート証券も100万円超で手数料が発生します。マネックス証券は535円(税込)、DMM株は374円です。
大口取引を頻繁に行う方は、手数料無料の証券会社を選ぶことで、年間数万円から数十万円のコスト削減が可能です。
特にデイトレードなど1日に何度も取引する場合、手数料の差が投資成績に大きく影響します。
1日定額制は、1日の取引金額の合計で手数料が決まるプランです。SBI証券と楽天証券は条件を満たせば無料、松井証券は50万円まで無料、三菱UFJeスマート証券は100万円まで無料です。
100万円を超える取引では、松井証券が1日100万円超で1,100円、200万円超で2,200円と段階的に上がります。三菱UFJeスマート証券は100万円超で1日2,750円(現物・信用合計)です。
1日に複数回取引する方や、少額を何度も売買する方は、1日定額制の方が割安になることが多いです。自分の取引頻度と金額を確認して、最適なプランを選びましょう。
手数料が安いおすすめの証券会社5社
ここでは、手数料の安さで特におすすめの証券会社を5社ご紹介します。
各社の特徴や強み、向いている人を詳しく解説しますので、自分に合った証券会社を見つけてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約15,000,000口座 ※2025年11月25日時点(SBIネオモバイル証券など含む) |
| 取引手数料 | 【スタンダードプラン(1注文ごと)】 取引金額に関係なく0円【アクティブプラン(1日定額制)】 1日100万円以下の取引:0円※現物取引・信用取引・単元未満株(S株)もすべて対象です。 |
| NISA対応 | 〇 |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(259銘柄)※2025年3月3日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 外国株 / 投資信託(約1,329銘柄 ※2025年3月3日時点) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年3月3日時点 |
| 外国株 | 8カ国/米国株式(5,000銘柄) |
| 取引ツール(PC) | HYPER SBI 2 / HYPER SBI / SBI CFDトレーダー |
| スマホアプリ | SBI証券 株アプリ / 米国株アプリ / かんたん積立 / HYPER FX / HYPER 先物 / HYPER CFD |
| 提携銀行口座 | SBI新生銀行 / 住信SBIネット銀行 |
| ポイント投資・付与 | Pontaポイント / dポイント / Vポイント(クレカ積立) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
SBI証券は国内初の国内株式売買手数料完全無料化を実現したネット証券最大手です。インターネットコースで取引報告書などを電子交付に設定するだけで、約定代金に関係なく現物取引・信用取引ともに手数料が0円になります。
SBI証券の特徴
口座開設数約1,500万口座で国内トップクラス
投資信託約2,600本、米国株約5,000銘柄と商品ラインナップが豊富
単元未満株(S株)も手数料無料で1株から投資可能
Vポイント、Pontaポイント、dポイントなど複数ポイントに対応
IPO取扱実績も年間78銘柄(2024年実績)と豊富で、幅広い投資ニーズに対応できます。取引ツールも充実しており、初心者から上級者まで幅広く支持されています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約12,000,000口座 ※2025年1月時点 |
| 取引手数料 | 【ゼロコース】 国内株式(現物・信用):0円 かぶミニ®(単元未満株):0円 投資信託:0円 ※ゼロコース選択時。 ※一部、スプレッドや信託財産留保額が発生する場合があります。 |
| NISA対応 | 〇(新NISA対応) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 263銘柄 ※2025年4月24日時点 |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株式 / 外国株式 / 投資信託(約1,345銘柄) |
| 投資信託 | 約2,550本 ※2025年4月24日時点 |
| 外国株 | 6カ国/米国株式(約4,500銘柄) |
| 取引ツール(PC) | マーケットスピード / マーケットスピード II / 楽天MT4 |
| スマホアプリ | iSPEED / iSPEED for iPad / iSPEED FX / iSPEED 先物 |
| 提携銀行口座 | 楽天銀行(マネーブリッジ) |
| ポイント投資・付与 | 楽天ポイント(投資信託 / 国内株式 / 米国株式<円貨決済>) |
| 口座開設スピード | 最短 翌営業日 |
楽天証券は手数料コースを「ゼロコース」に設定することで、国内株式の現物取引・信用取引の手数料が無料になります。SBI証券と並ぶ手数料の安さに加えて、楽天ポイントが貯まる・使えるのが大きな魅力です。
楽天証券の特徴
楽天カード積立で最大1%の楽天ポイント還元
貯まったポイントは株式・投資信託の購入に使える
単元未満株(かぶミニ®)はリアルタイム取引に対応
楽天経済圏を活用している方に特におすすめ
投資信託は約2,550本、米国株は約4,500銘柄を取り扱い、商品ラインナップも充実しています。楽天経済圏を活用している方には特におすすめです。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約1,670,000口座 ※2025年3月時点 |
| 取引手数料 | 【ボックスレート(1日定額制)】 1日の約定代金合計50万円まで:0円 50万円超:1,000円(税込1,100円)~※25歳以下なら約定代金に関わらず手数料無料 |
| NISA対応 | 〇(日本株、米国株、投資信託すべて売買手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 投資信託(約1,800本以上) |
| 投資信託 | 約1,900本以上(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 米国株:約4,900銘柄(2025年4月23日時点) |
| 取引ツール(PC) | ネットストック・ハイスピード(無料) |
| スマホアプリ | 日本株アプリ / 投信アプリ / 米国株アプリ(すべて無料) |
| 提携銀行口座 | MATSUI Bank(松井証券専用銀行) |
| ポイント投資・付与 | 松井証券ポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマートフォンによるオンライン申込) |
松井証券は1日の取引金額が50万円までなら手数料が無料です。25歳以下は取引金額に関係なく手数料が無料になるため、若年層の投資家に人気があります。
松井証券の特徴
創業100年以上の老舗証券会社で信頼性が高い
電話サポートが無料で初心者でも安心
1日定額制のシンプルな手数料体系
高機能取引ツール「マーケットラボ」が無料
投資信託は約1,900本、米国株は約4,900銘柄を取り扱っています。50万円以下の少額投資や、1日に数回取引する方に適しています。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 約2,700,000口座 ※2025年2月時点 |
| 取引手数料 | 【取引毎手数料コース】
|
| NISA対応 | 〇(日本株・米国株・中国株・投資信託の売買手数料が無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 〇(銘柄数は公式サイトで確認) |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 / 中国株 / 投資信託(約1,750本以上) |
| 投資信託 | 約1,800本(購入時手数料すべて無料) |
| 外国株 | 2カ国/米国株:約5,000銘柄以上(2025年1月27日時点) |
| 取引ツール(PC) | マネックストレーダー / 銘柄スカウター |
| スマホアプリ | マネックス証券アプリ / 米国株アプリ / 投信アプリ |
| 提携銀行口座 | マネックス証券専用銀行口座(詳細は公式サイトで確認) |
| ポイント投資・付与 | マネックスポイント / dポイント(投資信託の積立に利用可能) |
| 口座開設スピード | オンライン申込で最短翌営業日 |
マネックス証券は米国株投資に強みを持つネット証券です。国内株式の手数料は1約定ごとに55円~1,070円(税込)と有料ですが、米国株の取扱銘柄数は約5,000と豊富で、米国株投資を本格的に行いたい方に適しています。
マネックス証券の特徴
米国株の取引手数料は約定代金の0.495%(税込)と低水準
為替手数料は買付時0銭(売却時25銭)
高機能取引ツールが17種類無料で利用可能
マネックスポイントやdポイントが貯まる
投資信託は約1,800本、IPO取扱実績は年間54銘柄(2024年実績)と充実しています。米国株投資のトータルコストを抑えたい方におすすめです。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座数 | 非公開 |
| 取引手数料 | 【国内株式】 ~5万円:55円 ~10万円:88円 ~20万円:106円 ~50万円:198円 ~100万円:374円 ~150万円:440円 ~300万円:660円 300万円超:880円※信用取引手数料は0円、25歳以下は実質手数料0円(キャッシュバック) |
| NISA対応 | 〇(新NISA・成長投資枠/国内株・米国株、取引手数料無料) |
| つみたて投資枠取扱銘柄数 | 取扱なし |
| 成長投資枠対象商品 | 国内株 / 米国株 |
| 投資信託 | 取扱なし |
| 外国株 | 米国株:約1,950銘柄(2025年4月時点) |
| 取引ツール(PC) | DMM株 PRO+ / DMM株 STANDARD |
| スマホアプリ | DMM株アプリ(かんたんモード/ノーマルモード) |
| 提携銀行口座 | 約340行に対応(ゆうちょ、みずほ、三菱UFJ、住信SBIなど) |
| ポイント投資・付与 | 取引手数料の1%をDMM株ポイントで還元(1pt=1円で現金化可) |
| 口座開設スピード | 最短即日(スマホでスピード本人確認) |
DMM株は25歳以下の投資家に特化した手数料優遇が魅力です。25歳以下は現物取引の手数料が実質無料(キャッシュバック)になるため、若年層の資産形成に最適です。
DMM株の特徴
通常の手数料も55円~880円(税込)と低水準
信用取引の手数料は完全無料
米国株約1,950銘柄を取引手数料無料で売買可能
DMM株ポイントが取引手数料の1%還元
取引ツール「DMM株 PRO+」は高機能で使いやすく、スマホアプリも直感的な操作が可能です。株式投資に特化したシンプルなサービスを求める方におすすめです。
取引スタイル別の証券会社の選び方
証券会社は取引スタイルによって最適な選択肢が異なります。
ここでは、代表的な4つの投資スタイル別に、おすすめの証券会社と選び方のポイントを解説します。
少額投資を始めたい方には、手数料無料のSBI証券か楽天証券がおすすめです。両社とも単元未満株(1株から購入できる)の取引手数料も無料なので、数百円から投資を始められます。
松井証券も1日50万円まで無料なので、少額を何度か取引する場合に適しています。投資信託なら100円から積立できる証券会社が多いため、まとまった資金がなくても投資を始められます。
少額投資では手数料の割合が相対的に大きくなるため、手数料無料の証券会社を選ぶことで、投資効率を高められます。ポイント投資に対応している楽天証券やSBI証券なら、ポイントを使って実質的な元手ゼロで投資を始めることも可能です。
積立投資をメインに考えている方には、楽天証券かSBI証券がおすすめです。両社ともクレジットカード決済での投資信託積立に対応しており、積立額に応じてポイントが還元されます。
楽天証券は楽天カードで積立すると最大1%の楽天ポイントが貯まり、SBI証券は三井住友カードで積立すると最大5%のVポイントが貯まります(カードの種類により還元率は異なります)。
新NISA制度を活用すれば、年間120万円まで(つみたて投資枠)の投資が非課税になります。長期的な資産形成を目指す方は、ポイント還元と非課税メリットを組み合わせることで、効率的に資産を増やせます。
デイトレードなど1日に何度も取引する方には、手数料無料のSBI証券か楽天証券が圧倒的に有利です。1日に10回取引すれば、他社では数千円の手数料がかかりますが、両社なら完全無料です。
松井証券も1日50万円まで無料なので、少額のデイトレードには適しています。ただし、50万円を超えると手数料が発生するため、取引金額が大きい場合はSBI証券か楽天証券を選ぶべきです。
デイトレードでは取引ツールの使いやすさも重要です。SBI証券の「HYPER SBI 2」や楽天証券の「MARKET SPEED Ⅱ」は、高速な注文執行と豊富なチャート機能を備えており、デイトレーダーに人気があります。
米国株投資をメインに考えている方には、マネックス証券かSBI証券がおすすめです。マネックス証券は米国株の取扱銘柄数が約5,000と豊富で、為替手数料も買付時0銭と低コストです。
SBI証券も米国株は約5,000銘柄を取り扱い、NISA口座なら売買手数料が無料です。為替手数料もリアルタイム為替取引なら無料(スプレッドあり)なので、トータルコストを抑えられます。
楽天証券は米国株約4,500銘柄を取り扱い、指定の15銘柄のETFは買付手数料が無料です。米国株投資では為替手数料やスプレッドも含めたトータルコストで比較することが重要です。
手数料以外でチェックしたい隠れコスト
証券会社を選ぶ際、売買手数料だけに注目していると思わぬコストが発生することがあります。
ここでは、手数料無料でも発生する可能性のある隠れコストについて解説します。
スプレッドとは、買値(アスク)と売値(ビッド)の価格差のことです。単元未満株のリアルタイム取引や、一部の外国株取引では、売買手数料が無料でもスプレッドが発生します。
例えば、楽天証券の単元未満株「かぶミニ®」のリアルタイム取引では、手数料は無料ですが0.22%のスプレッドがかかります。10万円の株を買う場合、220円のコストが実質的に発生することになります。
スプレッドは取引画面では明示されないことが多いため、気づかないうちにコストを支払っている可能性があります。特に短期売買を繰り返す場合、スプレッドの積み重ねが大きな負担になることもあるので注意が必要です。
米国株などの外国株投資では、円をドルに換える際に為替手数料が発生します。多くのネット証券では、1ドルあたり25銭の為替手数料がかかります。10万円分(約700ドル)を換える場合、往復で約350円のコストになります。
SBI証券はリアルタイム為替取引なら手数料無料ですが、買値と売値にスプレッドがあるため、実質的なコストは発生します。マネックス証券は買付時の為替手数料が0銭(売却時25銭)と低コストです。
外国株投資では、売買手数料だけでなく為替手数料も含めたトータルコストで比較することが重要です。
長期保有を前提とする場合、為替手数料の影響は相対的に小さくなりますが、短期売買では無視できないコストになります。
多くのネット証券では、口座開設料や口座管理費は無料ですが、出金手数料は証券会社によって異なります。SBI証券や楽天証券は、提携銀行への出金なら手数料無料ですが、他行への振込は手数料がかかることがあります。
一部の証券会社では、一定期間取引がない休眠口座に対して口座管理手数料を請求する場合があります。ただし、主要なネット証券では休眠口座でも手数料は発生しないことが一般的です。
出金手数料を節約するには、証券会社と提携している銀行口座を開設しておくと便利です。SBI証券なら住信SBIネット銀行、楽天証券なら楽天銀行との連携で、手数料無料で即時入出金ができます。
年間コストのシミュレーション
手数料の差が実際にどれくらいの影響を与えるのか、具体的な取引パターンでシミュレーションしてみましょう。
ここでは代表的な3つの投資スタイルで、年間コストを比較します。
月1回、10万円の投資信託を積立する場合、SBI証券と楽天証券なら手数料は完全無料です。さらに、クレジットカード決済を利用すれば、積立額の0.5~5%のポイント還元を受けられます。
仮に1%のポイント還元を受けられる場合、年間120万円の積立で12,000円分のポイントが貯まります。10年間続ければ、ポイントだけで12万円の資産が増えることになります。
一方、売買手数料が有料の証券会社で株式を毎月10万円購入すると、1回あたり55円として年間660円のコストがかかります。金額は小さく見えますが、長期的には無視できない差になります。
週1回、50万円の株式を売買する場合、年間約52回の取引になります。SBI証券や楽天証券なら手数料は完全無料ですが、手数料が有料の証券会社では大きなコスト差が生まれます。
例えば、1回の取引で往復550円(買い275円+売り275円)の手数料がかかる場合、年間で28,600円のコストになります。10年間では28万6,000円にもなり、投資成績に大きく影響します。
1日定額制の松井証券(50万円まで無料)や三菱UFJeスマート証券(100万円まで無料)なら、この取引パターンでは手数料無料になります。自分の取引金額と頻度に合ったプランを選ぶことが重要です。
毎日100万円の株式を売買するデイトレーダーの場合、手数料の差は極めて大きくなります。SBI証券や楽天証券なら完全無料ですが、有料の証券会社では年間数十万円のコストが発生します。
仮に1回の取引で往復1,000円の手数料がかかる場合、1日2往復(4取引)で4,000円、年間約240営業日で96万円ものコストになります。これは手数料だけで年間100万円近い負担です。
デイトレードでは、手数料無料の証券会社を選ぶことが絶対条件です。手数料の差が利益を大きく左右するため、手数料無料の環境で取引することが成功の鍵になります。
手数料の差は短期的には小さく見えても、長期的には複利効果により大きな差を生みます。例えば、年間3万円の手数料を10年間支払うと、単純計算で30万円の損失です。
しかし、その3万円を毎年投資に回し、年利5%で運用できたと仮定すると、10年後には約37万7,000円になります。つまり、手数料を支払わずに投資に回すことで、67万7,000円の差が生まれる計算です。
さらに20年、30年と長期になるほど、複利効果により差は拡大します。若いうちから手数料無料の証券会社で投資を始めることで、将来的に数百万円の資産差が生まれる可能性があります。
証券会社の乗り換え方
すでに証券口座を持っている方でも、手数料を見直して乗り換えることで、年間数万円以上のコスト削減が可能です。
ここでは、証券会社の乗り換え方法と注意点を解説します。
証券会社を乗り換える際、保有している株式を移管する方法は主に2つあります。1つ目は、現在の証券会社で株式を売却し、新しい証券会社で買い直す方法です。2つ目は、株式を保有したまま移管する「証券保管振替機構(ほふり)」を通じた移管手続きです。
売却して買い直す方が手続きは簡単ですが、売却時に課税されたり、買い直すタイミングで株価が変動したりするリスクがあります。長期保有を前提とする株式は、移管手続きを利用する方が安全です。
株式移管には、移管元の証券会社で移管手数料がかかる場合があります。SBI証券や楽天証券では、他社からの移管受け入れは無料ですが、移管元で1銘柄あたり3,300円程度の手数料がかかることが一般的です。
ただし、一部の証券会社では、他社からの乗り換えキャンペーンとして移管手数料を全額キャッシュバックしています。乗り換えを検討する際は、キャンペーン情報をチェックすることで、コストを抑えられます。
移管にかかる期間は、通常1~2週間程度です。移管手続き中は株式の売買ができないため、相場が大きく動く可能性がある時期は避けた方が無難です。移管完了後は、新しい証券会社で通常通り取引できるようになります。
証券会社を完全に乗り換えるのではなく、複数の口座を使い分けるのも賢い方法です。例えば、手数料無料のSBI証券をメイン口座にして、IPO投資用にSMBC日興証券やみずほ証券を併用するといった使い方ができます。
米国株投資はマネックス証券、国内株式はSBI証券、ポイント投資は楽天証券といった使い分けも可能です。複数口座を持つことで、各社の強みを活かしながら、トータルコストを最小化できます。
ただし、口座が増えすぎると管理が煩雑になるため、2~3社程度に絞るのが現実的です。NISA口座は1人1口座しか開設できないため、最も取引頻度が高い証券会社で開設することをおすすめします。
主要なネット証券では、口座開設料や口座維持費は無料です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など、ほとんどのネット証券で口座を持っているだけでは費用は発生しません。
一部の対面証券では口座管理料がかかる場合がありますが、ネット証券では基本的に無料です。複数の証券口座を開設しても費用はかからないため、用途に応じて使い分けることができます。
NISA口座での取引は、多くの証券会社で売買手数料が無料です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など主要なネット証券では、NISA口座での国内株式・投資信託の購入手数料は無料になっています。
新NISA制度では年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで投資でき、運用益が非課税になります。手数料無料と非課税メリットを組み合わせることで、効率的に資産を増やせます。
証券会社が手数料無料にできる理由は、売買手数料以外の収益源があるためです。SBI証券や楽天証券は、投資信託の販売手数料、信用取引の金利、FX取引、外国株取引など、多様な収益源を持っています。
また、手数料無料化により顧客数が増えれば、預かり資産が増加し、資産管理手数料や金利収入が増えます。短期的には売買手数料収入が減少しますが、長期的には顧客基盤の拡大により収益を確保できると判断しています。
信用取引では、証券会社から資金や株式を借りて取引するため、金利や貸株料が発生します。買い方の場合は金利(年利2~3%程度)、売り方の場合は貸株料(年利1~2%程度)がかかります。
例えば、100万円を借りて1ヶ月間保有した場合、年利2.5%なら約2,000円の金利が発生します。信用取引では売買手数料が無料でも、金利や貸株料がかかるため、トータルコストを確認することが重要です。
証券会社の手数料改定は、各社の公式サイトで発表されます。重要な変更がある場合は、メールやマイページでの通知、取引画面でのお知らせなどで事前に案内されます。
手数料は市場環境や競合状況により変更されることがあるため、定期的に確認することをおすすめします。特に大きな手数料改定がある場合は、金融メディアでもニュースとして報道されることが多いです。
ネット証券と対面証券では、手数料に大きな差があります。ネット証券は店舗や人件費を抑えているため、手数料が安く、無料化も進んでいます。一方、対面証券は店舗での相談やアドバイスが受けられる代わりに、手数料は高めに設定されています。
例えば、50万円の株式を購入する場合、ネット証券なら無料~数百円ですが、対面証券では数千円から1万円以上かかることもあります。投資初心者で対面でのサポートが必要な場合は対面証券、コストを抑えたい場合はネット証券が適しています。
証券会社の手数料は、投資成績に直接影響する重要なコストです。SBI証券と楽天証券を中心に手数料無料化が進み、投資家にとって有利な環境が整いました。
手数料を選ぶ際は、売買手数料だけでなく、スプレッドや為替手数料などの隠れコストも含めて比較することが大切です。自分の取引スタイルや投資金額に合わせて、最適な証券会社とプランを選びましょう。
手数料の差は短期的には小さく見えても、長期的には複利効果により大きな資産差を生みます。今から手数料を見直すことで、将来的に数百万円の資産差が生まれる可能性があります。
この記事を参考に、あなたに最適な証券会社を見つけて、賢い投資を始めてください。なお、投資には元本割れのリスクがあります。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、慎重にご検討ください。手数料やサービス内容は変更される可能性がありますので、最新情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
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