5大証券ランキング|規模・特徴・選び方を徹底比較

5大証券ランキング|規模・特徴・選び方を徹底比較

証券会社を選ぶとき、「5大証券」という言葉を耳にしたことはありませんか。

大手証券会社の中でも特に規模が大きく、信頼性の高い証券会社として知られています。

しかし、「5大証券とは具体的にどの会社なのか」「それぞれどんな特徴があるのか」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、5大証券の定義から各社の特徴、選び方まで詳しく解説します。

口座数や売上高などの客観的なデータをもとに、あなたに合った証券会社選びをサポートします。

投資を始めたい方、証券会社の乗り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約
  • 5大証券とは野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社
  • 独立系(野村・大和)と銀行系(SMBC・みずほ・三菱UFJ)では経営戦略やサービス内容が異なる
  • 投資目的や資産規模に応じて、5大証券とネット証券を使い分けるのがおすすめ
SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

目次

5大証券(五大証券)とは?|大手証券会社の定義

5大証券とは、日本の証券業界で特に規模が大きく、影響力のある5つの証券会社を指します。

具体的には、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社です。

これらの証券会社は、口座数や売上高、預かり資産などの規模で業界をリードしています。

長い歴史と実績を持ち、全国に店舗網を展開しているのが特徴です。対面での相談サービスを重視し、富裕層向けのサービスも充実しています。

5大証券の5社とは

5大証券を構成する5社は、以下のとおりです。

  • 野村證券:業界最大手の独立系証券会社。口座数、預かり資産ともにトップクラス
  • 大和証券:独立系証券の老舗。全国に幅広い店舗網を持つ
  • SMBC日興証券:三井住友フィナンシャルグループ傘下の銀行系証券会社
  • みずほ証券:みずほフィナンシャルグループ傘下で、銀行との連携が強み
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券:三菱UFJフィナンシャル・グループとモルガン・スタンレーの合弁

これらの証券会社は、金融庁に登録された第一種金融商品取引業者であり、投資者保護基金にも加入しています。顧客資産は分別管理されており、万が一の倒産時にも一定の保護が受けられる仕組みになっています。

独立系と銀行系の違い

5大証券は、大きく「独立系」と「銀行系」の2つに分けられます。

独立系は野村證券と大和証券の2社で、銀行グループに属さず、証券業務を中心に事業を展開しています。

一方、銀行系はSMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社です。大手銀行グループの傘下にあり、銀行との連携サービスが充実しているのが特徴です。

独立系証券会社の特徴

証券業務に特化した専門性の高さ

IPO(新規株式公開)の主幹事実績が豊富

富裕層向けのプライベートバンキングサービスも充実

特に野村證券は、業界トップの実績と信頼性を誇ります。

銀行系証券会社の強みは、銀行との一体的なサービス提供です。住宅ローンや預金口座と連携した資産管理ができるほか、相続・贈与の相談も銀行と合わせて行えます。

グループ全体での総合的な金融サービスを受けられるのが魅力です。

どちらを選ぶかは、投資目的や資産状況によって異なります。証券業務に特化したサービスを求めるなら独立系、銀行サービスとの連携を重視するなら銀行系がおすすめです。

5大証券を6つの指標でランキング比較

5大証券各社の規模や実績を、6つの客観的な指標で比較します。

口座数、売上高、預かり資産、店舗数、格付け、IPO取扱実績の順に見ていきましょう。これらのデータは、各社の公式発表や業界統計に基づいています。

口座数ランキング

口座数は、証券会社の顧客基盤の大きさを示す重要な指標です。

口座数が多いほど、多くの投資家から選ばれている証券会社と言えます。

順位 証券会社名 口座数
1位 野村證券 約550万口座
2位 SMBC日興証券 約400万口座
3位 大和証券 約350万口座
4位 みずほ証券 約170万口座
5位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 非公開

野村證券が550万口座でトップに立っています。

長い歴史と全国的な知名度が、多くの投資家から選ばれる理由です。

売上高ランキング

売上高は、証券会社の事業規模を示す指標です。

手数料収入や投資銀行業務などの総合的な収益力が反映されます。

順位 証券会社名 売上高(営業収益)
1位 野村證券 約1兆5,000億円
2位 大和証券 約5,000億円
3位 SMBC日興証券 約3,500億円
4位 みずほ証券 約3,000億円
5位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 約2,800億円

野村證券は売上高でも首位です。約1兆5,000億円と、2位の大和証券(約5,000億円)の3倍の規模です。

グローバルな投資銀行業務や機関投資家向けサービスが、高い収益を支えています。

預かり資産ランキング

預かり資産は、顧客から預かっている株式や投資信託などの資産総額です。

顧客の信頼度や資産運用サービスの充実度を示します。

順位 証券会社名 預かり資産
1位 野村證券 約120兆円
2位 大和証券 約50兆円
3位 SMBC日興証券 約30兆円
4位 みずほ証券 約25兆円
5位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 約20兆円

野村證券の預かり資産は約120兆円で、2位の大和証券(約50兆円)の2.4倍の規模です。

富裕層向けサービスの充実が、大きな資産を預ける顧客の獲得につながっています。

店舗数ランキング

店舗数は、対面サービスの充実度を示す指標です。

店舗が多いほど、全国各地で相談しやすい環境が整っています。

順位 証券会社名 店舗数
1位 野村證券 約150店舗
2位 大和証券 約120店舗
3位 SMBC日興証券 約90店舗
4位 みずほ証券 約70店舗
5位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 約60店舗

野村證券と大和証券は、全国に幅広い店舗網を展開しています。

地方在住の方でも、近くの店舗で相談できる可能性が高いです。

格付けランキング

格付けは、証券会社の財務健全性や信用力を示す指標です。

格付け機関による評価が高いほど、安全性が高いと判断できます。

証券会社名 格付け(JCR) 格付け(R&I)
野村證券 AA- AA-
大和証券 A+ A+
SMBC日興証券 A+ A+
みずほ証券 A+ A
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 A+ A+

野村證券は格付けでも最高水準のAA-の評価を受けています。

5大証券はいずれも高い格付けを維持しており、財務面での安全性は十分と言えるでしょう。

IPO取扱実績ランキング

IPO(新規株式公開)の取扱実績は、投資銀行業務の強さを示します。

主幹事実績が多いほど、IPO株の配分を受けやすくなります。

順位 証券会社名 IPO取扱件数(2024年) 主幹事実績
1位 SMBC日興証券 52銘柄 22社
2位 野村證券 46銘柄 16社
3位 みずほ証券 43銘柄 19社
4位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 21銘柄 9社
5位 大和証券 非公開 非公開

SMBC日興証券は、IPO取扱件数52銘柄・主幹事実績22社とトップクラスです。

IPO投資を重視する方には、特に魅力的な選択肢と言えます。

5大証券各社の特徴を詳しく解説

ここからは、5大証券各社の特徴を詳しく見ていきます。

それぞれの強みやサービス内容を理解することで、自分に合った証券会社を選びやすくなります。

野村證券|業界トップの実績と信頼性

野村證券は、1925年創業の日本最大手の証券会社です。

口座数約550万、預かり資産約120兆円と、すべての指標で業界トップの実績を誇ります。

野村證券の強み

圧倒的な情報力と提案力

富裕層向けのプライベートバンキングサービス充実

IPO主幹事実績が豊富

全国約150店舗で対面相談しやすい

国内外の機関投資家向けサービスで培ったリサーチ力を活かし、個人投資家にも質の高い投資情報を提供しています。

「野村ウェルス・マネジメント」では、資産運用から相続対策まで、総合的なサポートが受けられます。

手数料は他社と比べてやや高めに設定されています。現物取引の手数料は、約定金額に応じて152円から78,571円の範囲です。少額取引よりも、まとまった資金での資産運用を考えている方に向いています。

野村證券は、業界最大手の安心感と高品質なサービスを求める方におすすめです。

特に、数百万円以上の資産を運用したい方、専門的なアドバイスを受けたい方に適しています。

大和証券|独立系証券の老舗

大和証券は、1902年創業の独立系証券会社です。

野村證券に次ぐ業界2位の地位を確立しており、預かり資産は約50兆円に達します。

大和証券の特徴

バランスの取れたサービス提供

対面サービスとオンライン取引の使い分けが可能

全国約120店舗を展開

投資セミナーや勉強会も充実

「ダイワ・コンサルティング」コースでは、担当者による対面サービスが受けられ、投資初心者でも安心して相談できます。

オンライン取引サービス「ダイワ・ダイレクト」も充実しており、店舗とオンラインの使い分けが可能です。手数料は、オンライン取引の方が店舗取引より割安に設定されています。

大和証券は、大手証券の安心感とバランスの取れたサービスを求める方におすすめです。

対面サービスとオンライン取引の両方を活用したい方に向いています。

SMBC日興証券|三井住友FGの総合力

SMBC日興証券は、三井住友フィナンシャルグループ傘下の証券会社です。

銀行系証券会社の中では最大規模で、口座数約400万、預かり資産約30兆円を誇ります。

SMBC日興証券の強み

IPO取扱実績が5大証券の中でトップ

三井住友銀行との連携サービス充実

ポイントサービスが充実(dポイント・Vポイント)

オンライン取引の手数料が割安

2024年は52銘柄を取り扱い、主幹事も22社と5大証券の中でトップです。IPO投資を重視する方には、特に魅力的な選択肢と言えます。

三井住友銀行との連携サービスも充実しています。銀行口座からの即時入金サービス「らくらく入金」を利用すれば、資金移動がスムーズです。

SMBC日興証券は、IPO投資を重視する方、三井住友銀行を利用している方におすすめです。

銀行との連携サービスを活用したい方に向いています。

みずほ証券|みずほFGとの連携サービス

みずほ証券は、みずほフィナンシャルグループ傘下の証券会社です。

口座数約170万、預かり資産約25兆円の規模を持ちます。

みずほ証券の特徴

みずほ銀行との緊密な連携

IPO取扱実績が豊富

海外投資に力を入れている(米国株約6,500銘柄)

信用取引の手数料が無料

「みずほマイレージクラブ」会員であれば、銀行と証券の資産を一元管理できる「One みずほ」サービスが利用できます。

IPO取扱実績も豊富で、2024年は43銘柄を取り扱い、主幹事も19社と高い実績を誇ります。

海外投資にも力を入れており、米国株は約6,500銘柄と、5大証券の中でも最多の取扱数です。

みずほ証券は、みずほ銀行を利用している方、海外投資を重視する方におすすめです。

銀行との一体的なサービスを求める方に向いています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券|グローバルな投資機会

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループと米国モルガン・スタンレーの合弁証券会社です。

2010年に三菱UFJ証券とモルガン・スタンレー証券が統合して誕生しました。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の特徴

グローバルな投資機会の提供

14カ国の株式に投資可能

三菱UFJ銀行との連携サービス充実

富裕層向けサービスに力を入れている

モルガン・スタンレーのネットワークを活かし、海外の投資情報や金融商品へのアクセスが充実しています。

特に、米国をはじめとする海外株式の取扱いが豊富で、14カ国の株式に投資できます。

「ウェルスマネジメント」では、資産運用から相続対策まで、専門家による総合的なアドバイスが受けられます。

IPO取扱実績は2024年に21銘柄、主幹事9社と、他の5大証券と比べるとやや少なめです。IPO投資を最優先する方には、他社の方が有利な可能性があります。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、グローバルな投資を重視する方、三菱UFJ銀行を利用している方におすすめです。

海外資産の運用や相続対策を考えている方に向いています。

5大証券とネット証券の違い|どちらを選ぶべき?

5大証券とネット証券は、サービス内容や手数料体系が大きく異なります。

それぞれの特徴を理解し、自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが大切です。

対面証券とネット証券の特徴比較

対面証券(5大証券)とネット証券の主な違いを比較してみましょう。

項目 対面証券(5大証券) ネット証券
手数料 高め(数百円~数万円) 低め(無料~数百円)
サポート 担当者による対面サポート 電話・メール・チャット
店舗 全国に店舗網あり 店舗なし(オンラインのみ)
投資情報 担当者からの提案・レポート Webサイト・アプリで情報提供
取扱商品 IPO、債券、仕組債など幅広い 株式、投資信託中心
富裕層向けサービス 充実(ラップ口座等) 限定的
相続・贈与サポート 対応可能 限定的

対面証券の最大の魅力は、担当者による手厚いサポートです。投資初心者や、まとまった資金を運用したい方にとって、専門家のアドバイスは心強い存在です。

ネット証券の魅力は、圧倒的な手数料の安さです。株式取引の手数料が無料の証券会社も多く、頻繁に取引する方にとってはコスト面で大きなメリットがあります。

手数料の違いはどれくらい?

手数料の違いを具体的に見てみましょう。

例として、100万円の株式を購入する場合の手数料を比較します。

5大証券(対面取引)
手数料は約1万円前後かかることが一般的です
ネット証券
無料から数百円程度で済みます

例えば、年間10回取引する場合、5大証券では年間約10万円の手数料がかかりますが、ネット証券では無料から数千円程度です。

長期的に見ると、手数料の差は投資リターンに大きく影響します。

ただし、手数料だけで判断するのは危険です。対面証券では、手数料に見合ったサービスが提供されています。投資情報の提供、銘柄選定のアドバイス、相続対策など、専門家のサポートを受けられる価値は、手数料以上のものがある可能性があります。

投資スタイルや知識レベルに応じて、適切に選択することが重要です。

併用するメリットと使い分けのコツ

5大証券とネット証券は、どちらか一方を選ぶ必要はありません。

両方の口座を開設し、目的に応じて使い分けるのが賢い戦略です。

  • 日常的な株式取引はネット証券:手数料が安く、頻繁に取引しやすい
  • IPO投資は5大証券:主幹事実績が豊富で、当選確率が高い
  • まとまった資金の運用は5大証券:専門家のアドバイスを受けながら、安心して運用
  • 少額の積立投資はネット証券:投資信託の保有ポイントが貯まりやすい
  • 相続・贈与の相談は5大証券:専門的なサポートが受けられる

複数の証券会社で口座を持つことは、法律上も問題ありません。

むしろ、それぞれの強みを活かすことで、より効率的な資産運用が可能になります。

ただし、口座が増えると管理が煩雑になる点には注意が必要です。確定申告が必要な場合、複数の証券会社の取引を合算する手間がかかります。特定口座(源泉徴収あり)を選択すれば、確定申告不要で管理しやすくなります。

投資目的別|5大証券の選び方ガイド

5大証券の中から自分に合った証券会社を選ぶには、投資目的を明確にすることが大切です。

ここでは、代表的な5つの投資目的別に、おすすめの証券会社を紹介します。

初めての投資|安心して相談できる証券会社を選びたい

投資が初めての方は、対面でしっかりサポートしてくれる証券会社を選ぶのがおすすめです。

野村證券または大和証券が適しています

野村證券は、業界最大手の安心感があります。全国約150店舗を展開しており、自宅近くの店舗で相談しやすい環境が整っています。

大和証券も、バランスの取れたサービスが魅力です。「ダイワ・コンサルティング」コースでは、担当者が投資目的やリスク許容度をヒアリングし、最適な投資プランを提案してくれます。

IPO投資|当選確率を高めたい

IPO投資を重視する方は、主幹事実績が豊富な証券会社を選ぶことが重要です。

SMBC日興証券が最もおすすめです

SMBC日興証券は、2024年に52銘柄のIPOを取り扱い、主幹事も22社と5大証券の中でトップです。

次点では、野村證券とみずほ証券も有力です。野村證券は主幹事16社、みずほ証券は主幹事19社と、いずれも高い実績を持っています。

複数の証券会社で口座を開設し、それぞれからIPOに申し込むことで、当選確率をさらに高められます。

資産運用|まとまった資金を運用したい

数百万円以上のまとまった資金を運用したい方は、富裕層向けサービスが充実している証券会社を選ぶのがおすすめです。

野村證券または三菱UFJモルガン・スタンレー証券が適しています

野村證券の「野村ウェルス・マネジメント」では、資産運用のプロが、顧客の資産状況や投資目的に応じて、最適なポートフォリオを提案してくれます。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、グローバルな投資機会の提供が強みです。モルガン・スタンレーのネットワークを活かし、海外の投資商品や最新の投資戦略にアクセスできます。

相続・贈与|資産承継の相談をしたい

相続や贈与など、資産承継の相談をしたい方は、銀行系証券会社を選ぶのがおすすめです。

SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が適しています

銀行系証券会社の強みは、銀行の信託部門や相続専門部署と連携できることです。証券資産だけでなく、預金や不動産も含めた総合的な相続対策が可能です。

特に、みずほ証券は「みずほ信託銀行」と連携した相続サービスが充実しています。遺言信託や遺産整理など、相続に関する幅広いサポートが受けられます。

海外投資|グローバルに分散投資したい

海外投資を重視する方は、外国株式の取扱いが豊富な証券会社を選ぶことが重要です。

みずほ証券または三菱UFJモルガン・スタンレー証券がおすすめです

みずほ証券は、6カ国の株式を取り扱っており、特に米国株は約6,500銘柄と5大証券の中で最多です。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、14カ国の株式を取り扱っており、新興国を含む幅広い国への投資が可能です。モルガン・スタンレーのグローバルネットワークを活かし、最新の海外投資情報が得られるのも魅力です。

5大証券の歴史と業界再編の経緯

5大証券の現在の姿は、長い歴史と業界再編の結果です。

証券業界の変遷を理解することで、各社の特徴や強みがより深く理解できます。

戦後から現在までの証券業界の変遷

日本の証券業界は、戦後の復興期に大きく発展しました。

1948年に証券取引法が制定され、証券会社の業務が明確に定義されました。この時期に、野村證券、大和証券、日興證券(現SMBC日興証券)、山一證券の4社が「四大証券」として業界をリードしていました。

高度経済成長期には、株式市場が活況を呈し、証券会社の業績も大きく伸びました。個人投資家の増加とともに、全国に店舗網が拡大されました。

1990年代のバブル崩壊後、証券業界は大きな転換期を迎えます。1997年には、四大証券の一角だった山一證券が経営破綻し、業界に衝撃を与えました。

金融ビッグバンと証券会社の再編

1996年から始まった金融ビッグバン(金融制度改革)は、証券業界に大きな変化をもたらしました。

手数料の自由化、業務範囲の拡大、外資系証券の参入促進など、規制緩和が進みました。

この改革により、銀行と証券の垣根が低くなり、銀行系証券会社が誕生しました。1999年には、さくら銀行(現三井住友銀行)系のさくら証券と日興證券が統合し、日興コーディアル証券(後のSMBC日興証券)が誕生しました。

2000年代には、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループも証券子会社を設立・強化しました。

一方、独立系の野村證券と大和証券は、証券業務に特化した専門性を武器に、業界での地位を維持しました。

2000年代後半には、インターネット取引の普及により、ネット証券が急成長しました。SBI証券や楽天証券などが台頭し、手数料の低価格化が進みました。

現在の5大証券の姿は、こうした業界再編と競争の歴史の中で形成されたものです。

5大証券を選ぶときに気をつけたいこと

5大証券は信頼性が高い証券会社ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。

デメリットや気をつけるべき点を理解した上で、自分に合った証券会社を選びましょう。

手数料が高めに設定されている

5大証券の手数料は、ネット証券と比べて高めに設定されています。

現物取引の手数料は、数百円から数万円の範囲で、約定金額が大きくなるほど手数料も高くなります。

例えば、100万円の株式を購入する場合、ネット証券では無料から数百円程度ですが、5大証券では約1万円前後かかることが一般的です。頻繁に取引する方や、少額取引が中心の方にとっては、コスト面での負担が大きくなる可能性があります。

ただし、手数料には対面サポートや投資情報の提供などのサービスが含まれています。手数料の高さをどう評価するかは、受けられるサービスの価値次第です。

営業担当者からの提案をどう受け止めるか

5大証券では、担当者から投資商品の提案を受けることがあります。

これは対面証券のメリットでもありますが、時には不要な商品を勧められるのではないかと不安に感じる方もいるでしょう。

担当者は、証券会社の社員として販売目標を持っています。そのため、提案される商品が必ずしも顧客にとって最適とは限りません。

  • 商品の仕組みとリスクを十分に理解できているか
  • 自分の投資目的やリスク許容度に合っているか
  • 手数料や費用は適正か
  • 他の選択肢と比較してどうか

分からないことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。納得できない場合は、断る勇気も必要です。

店舗での相談は予約が必要な場合も

5大証券の店舗で相談する際は、事前に予約が必要な場合があります。

特に、資産運用の相談や複雑な手続きの場合、予約なしで訪問すると長時間待たされることがあります。

店舗の営業時間も確認しておきましょう。一般的に、平日の9時から15時(または17時)までが営業時間です。土日祝日は休業の店舗が多いため、平日に時間を取る必要があります。

最低投資金額が設定されている商品もある

5大証券が取り扱う一部の商品には、最低投資金額が設定されていることがあります。

特に、富裕層向けのラップ口座やプライベートバンキングサービスでは、数百万円以上の最低投資金額が必要です。

例えば、野村證券のラップ口座「野村ファンドラップ」は、最低投資金額が500万円からとなっています。

少額投資を希望する場合は、投資信託や単元未満株(ミニ株)など、少額から始められる商品を選ぶとよいでしょう。または、ネット証券と併用し、少額投資はネット証券で行うのも一つの方法です。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)
5大証券とネット証券、初心者にはどちらがおすすめ?

初心者の方には、投資スタイルによって選択が変わります。自分で情報収集し、投資判断できる方はネット証券が向いています。手数料が安く、少額から始められるためです。

一方、投資の知識に不安がある方、専門家のアドバイスを受けたい方は、5大証券がおすすめです。担当者が投資目的やリスク許容度をヒアリングし、最適な投資プランを提案してくれます。

5大証券で口座開設するのに費用はかかる?

5大証券では、口座開設や口座維持に費用はかかりません。無料で口座を開設できます。ただし、取引を行う際には、売買手数料や投資信託の信託報酬などの費用が発生します。

5大証券でもオンライン取引はできる?

はい、5大証券はすべてオンライン取引サービスを提供しています。野村證券の「野村ネット&コール」、大和証券の「ダイワ・ダイレクト」、SMBC日興証券の「ダイレクトコース」など、各社がオンライン取引サービスを展開しています。オンライン取引では、店舗取引よりも手数料が割安に設定されていることが多いです。

証券会社が倒産したら預けた資産はどうなる?

証券会社は、顧客から預かった資産を自社の資産と分けて管理する「分別管理」が法律で義務付けられています。そのため、証券会社が倒産しても、顧客の資産は原則として保護されます。

さらに、5大証券はすべて「投資者保護基金」に加入しています。万が一、分別管理が適切に行われていなかった場合でも、1人あたり1,000万円まで補償されます。

複数の証券会社で口座を持つことはできる?

はい、複数の証券会社で口座を持つことは可能です。法律上の制限はありません。実際、IPO投資を重視する方は、複数の証券会社で口座を開設し、それぞれからIPOに申し込むことで当選確率を高めています。5大証券とネット証券を併用し、目的に応じて使い分けるのもおすすめです。

5大証券の中で新NISA対応が充実しているのは?

5大証券はすべて新NISAに対応しています。つみたて投資枠と成長投資枠の両方が利用可能です。特に、野村證券とSMBC日興証券は、NISA口座での投資信託の取扱本数が多く、選択肢が豊富です。ただし、つみたて投資枠で投資できる投資信託の本数は、ネット証券の方が多い傾向があります。

まとめ

5大証券とは、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社を指します。

これらは日本の証券業界をリードする大手証券会社で、長い歴史と高い信頼性を持っています。

独立系の野村證券と大和証券は、証券業務に特化した専門性が強みです。銀行系のSMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、銀行との連携サービスが充実しています。

それぞれの特徴を理解し、自分の投資目的に合った証券会社を選ぶことが大切です。

5大証券は、対面サポートや富裕層向けサービス、IPO取扱実績などで優れています。一方、手数料はネット証券より高めです。

自分で投資判断できる方はネット証券、専門家のアドバイスを求める方は5大証券が向いています。両方を併用し、目的に応じて使い分けるのも賢い選択です。

証券会社選びは、投資成果に大きく影響します。この記事で紹介した情報を参考に、自分に最適な証券会社を見つけてください。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、不明な点は各証券会社にご確認ください。

SOICO株式会社 共同創業者・取締役COO 土岐彩花
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
SOICO株式会社
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。

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