NISAの売却方法と注意点|タイミングの判断基準も解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)に興味があるけれど、「非課税」と聞いてもピンとこない方は多いのではないでしょうか。
実は、iDeCoには3つの税制優遇があり、年収400万円の会社員なら年間約5.5万円も節税できる可能性があります。
この記事では、iDeCoの非課税メリットの仕組みと、具体的な節税額をわかりやすく解説します。
掛金の所得控除、運用益非課税、受取時の控除という3つのメリットを理解すれば、老後資金を効率的に準備できます。
年収別のシミュレーションや、NISAとの比較も紹介しますので、ご自身に合った活用法が見つかるはずです。
非課税メリットを最大限に活かして、賢く資産形成を始めましょう。
目次
iDeCoの非課税とは?
iDeCoの最大の魅力は、3つの段階で税制優遇が受けられる点です。
掛金を拠出するとき、運用しているとき、そして受け取るときのすべてで税金の負担が軽減されます。
この3つの税制優遇を組み合わせることで、通常の投資や預金と比べて大きな差が生まれます。それぞれの仕組みを詳しく見ていきましょう。
iDeCoでは、毎月積み立てる掛金が全額所得控除の対象になります。
これは、課税対象となる所得から掛金分を差し引けるということです。
たとえば年収400万円の会社員が月2万円(年間24万円)を積み立てた場合、その24万円が所得から控除されます。所得税と住民税を合わせた税率が約20%なら、年間で約4.8万円の節税になります。
この所得控除は年末調整や確定申告で手続きすれば、確実に受けられる節税メリットです。
預金や通常のNISAにはないiDeCo独自の強みといえます。
iDeCoで投資信託などを運用して得た利益には、税金がかかりません。
通常の投資では運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoではこれが非課税です。
たとえば10万円の運用益が出た場合、通常の口座なら約2万円が税金で引かれますが、iDeCoなら10万円全額を再投資に回せます。この差は長期運用になるほど複利効果で大きく広がっていきます。
運用益非課税のメリットは、20年・30年という長期の資産形成で真価を発揮します。
iDeCoで積み立てたお金を受け取るときも、税制優遇があります。
一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。
たとえば20年間積み立てて一時金で受け取る場合、退職所得控除は800万円です。受取額が800万円以下なら税金はかかりません。
受取時の控除があることで、積立時から受取時まで一貫して税制優遇を受けられるのがiDeCoの大きな特徴です。
掛金の所得控除でどれくらい節税できる?
掛金の所得控除は、iDeCoの税制優遇の中でも最も確実に効果を実感できるメリットです。
年収や掛金額によって節税額は変わりますが、具体的にどれくらいお得になるのか見ていきましょう。
ここでは年収別のシミュレーション、所得控除の仕組み、そして専業主婦(夫)の場合について詳しく解説します。
年収と掛金額によって、節税額は大きく変わります。
以下の表で、代表的なケースを確認してみましょう。
| 年収 | 月額掛金 | 年間掛金 | 所得税率 | 住民税率 | 年間節税額 | 30年の節税額 |
| 300万円 | 1万円 | 12万円 | 5% | 10% | 約1.8万円 | 約54万円 |
| 400万円 | 2万円 | 24万円 | 10% | 10% | 約4.8万円 | 約144万円 |
| 500万円 | 2万円 | 24万円 | 10% | 10% | 約4.8万円 | 約144万円 |
| 600万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 20% | 10% | 約8.3万円 | 約249万円 |
| 800万円 | 2.3万円 | 27.6万円 | 20% | 10% | 約8.3万円 | 約249万円 |
年収400万円の会社員が月2万円を積み立てた場合、年間で約4.8万円の節税になります。
これを30年続けると、節税額だけで約144万円にもなります。
年収が高いほど所得税率も高くなるため、節税効果も大きくなります。年収600万円以上なら、年間8万円以上の節税も可能です。
所得控除は、課税対象となる所得から一定額を差し引く仕組みです。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になるため、その分だけ課税所得が減ります。
計算式
節税額 = 年間掛金 × (所得税率 + 住民税率10%)
たとえば年収500万円の会社員(所得税率10%)が年間24万円を積み立てた場合、
24万円 × (10% + 10%) = 4.8万円の節税になります。
この節税効果は年末調整や確定申告で手続きすることで、確実に受け取れます。
掛金を払うだけで自動的に節税できるわけではないので、手続きを忘れないようにしましょう。
専業主婦(夫)など、所得がない方や所得が少ない方の場合、所得控除のメリットは受けられません。
課税対象となる所得がないため、控除する対象がないからです。
ただし、運用益非課税と受取時の控除というメリットは残ります。特に運用益非課税は、長期運用で大きな差を生みます。
専業主婦(夫)の場合は、所得控除よりも運用益非課税のメリットを重視してiDeCoを活用するとよいでしょう。
また、配偶者の扶養に入っている場合、掛金を払うことで扶養から外れないか確認することも大切です。
パート収入がある場合は、年収に応じて所得控除のメリットを受けられる可能性があります。ご自身の収入状況に合わせて、iDeCoの活用を検討してみてください。
運用益非課税のメリットと効果
iDeCoの運用益非課税は、長期的な資産形成において大きな威力を発揮します。
通常の投資では運用益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoではこれが一切かかりません。
この差は時間が経つほど複利効果で広がっていきます。具体的にどれくらいの差が生まれるのか、詳しく見ていきましょう。
通常の証券口座(特定口座や一般口座)で投資した場合、売却益や配当金には20.315%の税金がかかります。
一方、iDeCoでは運用益に税金がかかりません。
たとえば投資信託を保有していて10万円の値上がり益が出た場合、通常の口座では約2万円が税金で引かれ、手元に残るのは約8万円です。しかしiDeCoなら10万円全額が残ります。
この差額の2万円を再投資できるかどうかが、長期運用では大きな違いを生みます。
税金で引かれた分は再投資できないため、複利効果が弱まってしまうのです。
運用益非課税の効果は、長期運用になるほど顕著に表れます。
毎月2万円を年率5%で運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。
| 運用期間 | 積立総額 | iDeCo(非課税) | 通常口座(課税) | 差額 |
| 20年 | 480万円 | 約822万円 | 約754万円 | 約68万円 |
| 30年 | 720万円 | 約1,664万円 | 約1,466万円 | 約198万円 |
30年間運用した場合、iDeCoと通常口座では約198万円もの差が生まれます。
これは運用益に税金がかからないことで、再投資できる金額が増え、複利効果が高まるためです。
この差額は、掛金の所得控除による節税額とは別のメリットです。所得控除と運用益非課税を合わせると、iDeCoの税制優遇効果はさらに大きくなります。
複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生む仕組みです。
iDeCoでは運用益に税金がかからないため、利益を全額再投資でき、複利効果が最大限に働きます。
通常の口座では、運用益の約20%が税金で引かれるため、再投資できる金額が減ります。この小さな差が、20年・30年という長期では大きな違いになるのです。
たとえば100万円の運用益が出た場合、iDeCoなら100万円全額を再投資できますが、通常口座では約80万円しか再投資できません。この20万円の差が、次の年の運用益にも影響し、年を重ねるごとに差が広がっていきます。
運用益非課税のメリットは、長期運用を前提とするiDeCoだからこそ、最大限に活かせる仕組みといえます。
iDeCoで積み立てたお金を受け取るときも、税制優遇があります。
受取方法は「一時金」「年金」「併用」の3つから選べ、それぞれ異なる控除が適用されます。
受取方法によって税金の負担が変わるため、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
iDeCoを一時金で受け取る場合、退職所得控除が適用されます。
退職所得控除は、勤続年数(iDeCoの場合は加入年数)に応じて控除額が決まります。
控除額の計算式
・加入年数20年以下:40万円 × 加入年数(最低80万円)
・加入年数20年超:800万円 + 70万円 × (加入年数 – 20年)
| 加入年数 | 退職所得控除額 |
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
たとえば30年間加入していた場合、退職所得控除は1,500万円です。
受取額が1,500万円以下なら税金はかかりません。控除額を超えた部分も、2分の1だけが課税対象になるため、税負担は軽くなります。
ただし、会社から退職金を受け取る場合は、退職所得控除の枠を共有することになります。退職金が多い方は、控除枠が不足する可能性があるため注意が必要です。
iDeCoを年金形式で受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。
これは国民年金や厚生年金と同じ扱いになるということです。
公的年金等控除の額は、年齢と年金収入の合計額によって決まります。65歳以上の場合、年金収入が110万円以下なら控除額は110万円で、税金はかかりません。
| 年齢 | 年金収入 | 控除額 |
| 65歳未満 | 60万円以下 | 60万円 |
| 65歳未満 | 60万円超130万円未満 | 収入 × 25% + 27.5万円 |
| 65歳以上 | 110万円以下 | 110万円 |
| 65歳以上 | 110万円超330万円未満 | 収入 × 25% + 27.5万円 |
年金形式で受け取る場合は、毎年の受取額が公的年金等控除の範囲内に収まるように調整すれば、税負担を抑えられます。
ただし、国民年金や厚生年金と合算されるため、合計額が控除額を超えると課税されます。
一時金と年金、どちらで受け取るのがお得かは、個人の状況によって異なります。
以下のポイントを参考に、ご自身に合った方法を選びましょう。
また、一時金と年金を併用する方法もあります。たとえば退職所得控除の範囲内を一時金で受け取り、残りを年金形式で受け取るといった使い分けも可能です。
受取方法は60歳以降に決められるため、その時点での税制や自分の状況を見て判断できます。ただし、退職金の有無や金額は受取方法の選択に大きく影響するため、事前に確認しておくことをおすすめします。
NISAとiDeCoの非課税メリットを比較
NISAとiDeCoは、どちらも非課税で資産運用できる制度ですが、非課税の仕組みや目的が異なります。
両制度の違いを理解することで、効果的に使い分けができます。
ここでは、非課税メリットの違いと、どちらを優先すべきか、そして併用する方法について解説します。
NISAとiDeCoの非課税メリットには、以下のような違いがあります。
| 項目 | NISA | iDeCo |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(全額控除) |
| 運用益の非課税 | あり | あり |
| 受取時の課税 | なし(非課税) | 控除あり(退職所得控除・公的年金等控除) |
| 年間投資枠 | つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円 | 職業により月1.2万円~6.8万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円 | なし |
| 引き出し | いつでも可能 | 60歳まで原則不可 |
| 主な目的 | 資産形成全般 | 老後資金準備 |
NISAは運用益と受取時が非課税ですが、掛金の所得控除はありません。
一方、iDeCoは掛金・運用・受取のすべてで税制優遇がありますが、60歳まで引き出せない制約があります。
NISAは自由度が高く、iDeCoは節税効果が大きいという特徴があります。それぞれの強みを活かして使い分けることが重要です。
NISAとiDeCoのどちらを優先すべきかは、年齢・収入・資金の使い道によって異なります。
以下を参考に判断してみてください。
一般的には、老後資金はiDeCo、それ以外の目的や緊急資金はNISAという使い分けがおすすめです。
特に会社員の方は、掛金の所得控除があるiDeCoを優先的に活用すると、節税効果が高まります。
NISAとiDeCoは併用できます。両制度を組み合わせることで、非課税メリットを最大限に活かせます。
併用する場合の基本戦略
1. まずiDeCoで老後資金を積み立てる(所得控除のメリットを活用)
2. 余裕資金をNISAで運用する(引き出しの自由度を確保)
3. 合計の投資額が収入の10~20%程度になるよう調整する
たとえば年収500万円の会社員なら、iDeCoに月2万円、NISAに月3万円といった配分が考えられます。
iDeCoで年間24万円の所得控除を受けながら、NISAで年間36万円の柔軟な資産形成ができます。
ただし、無理な積立は生活を圧迫します。まずは生活費の6か月分程度の緊急資金を確保し、その上で投資に回す金額を決めることが大切です。
NISAとiDeCoの併用は、節税と資産形成の両方を実現する最も効率的な方法といえます。
非課税メリットを最大化する5つの方法
iDeCoの非課税メリットを最大限に活かすには、掛金額や金融機関選び、運用方法を工夫することが重要です。
ここでは、具体的な5つの方法を紹介します。
掛金の所得控除は、年収が高いほど節税効果が大きくなります。
ただし、掛金額には職業別の上限があるため、その範囲内で最適な金額を設定しましょう。
会社員(企業年金なし)の上限は月2.3万円、自営業者は月6.8万円です。年収が高く、所得税率が20%以上の方は、上限まで掛金を設定すると節税効果が最大化されます。
一方、年収が低い方は、無理のない範囲で少額から始めるとよいでしょう。
iDeCoでは、加入時・運用中・受取時に手数料がかかります。
特に運営管理手数料は金融機関によって異なり、年間数千円の差が出ることもあります。
運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶことで、非課税メリットを手数料で相殺されずに済みます。長期運用では手数料の差が大きく響くため、金融機関選びは慎重に行いましょう。
投資信託の信託報酬(運用コスト)は、商品によって大きく異なります。
信託報酬が年0.1%の商品と1.0%の商品では、30年間で数百万円の差が生まれることもあります。
インデックスファンドなど、信託報酬が0.2%以下の低コスト商品を選ぶことで、運用益非課税のメリットを最大限に活かせます。
iDeCoの運用益非課税は、長期運用で真価を発揮します。
短期的な値動きに惑わされず、20年・30年の長期視点で運用を続けることが大切です。
複利効果は時間が経つほど大きくなるため、早く始めるほど有利です。20代・30代から始めれば、少額の積立でも大きな資産を築ける可能性があります。
受取時の税金を最小化するには、退職金の有無や金額を事前に確認しておくことが重要です。
退職金が多い場合は、退職所得控除の枠が不足する可能性があります。
また、受取時期をずらすことで、退職金とiDeCoの受取年を分け、それぞれ退職所得控除を適用できる場合もあります。受取方法は60歳以降に決められるため、その時点で最適な方法を選びましょう。
年末調整・確定申告での手続き方法
iDeCoの掛金の所得控除を受けるには、年末調整または確定申告での手続きが必要です。
手続きを忘れると控除を受けられないため、必ず行いましょう。
会社員の方は、年末調整で所得控除の手続きができます。以下の手順で行います。
証明書には、その年に支払った掛金の合計額が記載されています。
この金額を申告書に転記し、証明書と一緒に提出すれば、年末調整で所得控除が適用されます。
自営業者の方は、確定申告で所得控除の手続きを行います。以下の手順で申告します。
確定申告は翌年2月16日~3月15日に行います。e-Taxを利用すれば、自宅から簡単に申告できます。
年末調整・確定申告で必要な書類は以下のとおりです。
証明書は再発行できますが、時間がかかるため、届いたら大切に保管しましょう。紛失した場合は、加入している金融機関に連絡して再発行を依頼してください。
iDeCoの非課税メリットで気をつけたいこと
iDeCoには大きな税制優遇がありますが、注意すべき点もあります。
メリットだけでなく、デメリットや制約も理解した上で活用することが大切です。
iDeCoの最大の制約は、原則として60歳まで引き出せないことです。
途中で解約して現金化することはできません。
そのため、生活費や緊急資金を確保した上で、余裕資金で積み立てることが重要です。住宅購入や教育資金など、60歳前に必要になる可能性がある資金は、NISAや預金で準備しましょう。
ただし、掛金額の変更や積立の停止は可能です。収入が減った場合は、掛金を減額したり、一時的に積立を停止したりすることもできます。
iDeCoでは、以下の手数料がかかります。
運営管理手数料が無料の金融機関を選べば、月171円の固定費で済みます。年間では約2,000円ですが、30年では約6万円になるため、低コストの金融機関を選ぶことが大切です。
iDeCoで投資信託を選んだ場合、運用成績によっては元本割れする可能性があります。
非課税メリットがあっても、運用で損失が出れば資産は減ります。
リスクを抑えたい方は、定期預金や保険などの元本確保型商品を選ぶこともできます。ただし、元本確保型商品は利回りが低いため、インフレに負ける可能性もあります。
ご自身のリスク許容度に合わせて、投資信託と元本確保型商品をバランスよく組み合わせるとよいでしょう。
iDeCoには特別法人税(年1.173%)が課される制度がありますが、現在は課税が停止されています。
この停止措置は何度も延長されており、2026年3月末まで停止される予定です。
もし将来的に課税が再開されれば、運用益非課税のメリットが一部相殺される可能性があります。ただし、過去20年以上にわたって停止が続いているため、再開される可能性は低いと考えられています。
iDeCoの非課税メリットは、掛金の所得控除、運用益非課税、受取時の控除という3つの税制優遇から成り立っています。
年収400万円の会社員なら、年間約5.5万円の節税が可能で、30年間で165万円以上の節税効果が期待できます。
掛金の所得控除は毎年確実に受けられるメリットであり、運用益非課税は長期運用で複利効果を高めます。受取時も退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、積立時から受取時まで一貫して税制優遇を受けられます。
NISAとの併用で非課税メリットを最大化し、手数料が安い金融機関と低コストの運用商品を選ぶことで、効率的な資産形成が可能です。
年末調整や確定申告での手続きを忘れずに行い、ご自身の年収や家族構成に合わせた最適な掛金額を設定することが大切です。受取方法は60歳以降に決められるため、退職金の有無や金額を確認しながら、その時点で最適な選択をしましょう。
なお、iDeCoには60歳まで引き出せない制約や手数料がかかること、投資には元本割れのリスクがあることも理解しておきましょう。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは各金融機関にご確認ください。
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