会社設立のミチシルベ

iDeCoで積み立ててきた資産を受け取るとき、「一時金と年金、どちらがお得なの？」と悩んでいませんか。

受け取り方によって税金が大きく変わるため、何も考えずに選ぶと数十万円も損をする可能性があります。

この記事では、iDeCoの3つの受け取り方（一時金・年金・併給）の仕組みと、税金で損をしない選び方を具体的なシミュレーションとともに解説します。

退職所得控除や公的年金等控除の計算方法、2026年の税制改正への対応、社会保険料への影響まで、受取時に知っておくべき情報を網羅しました。

この記事を読めば、あなたの状況に合った最適な受け取り方が分かり、老後資金を賢く受け取ることができます。

iDeCoの年金受取とは｜3つの受け取り方と基本ルール

iDeCo（個人型確定拠出年金）は、60歳以降に積み立てた資産を受け取ることができる私的年金制度です。受け取り方には3つの選択肢があり、それぞれ税制が大きく異なります。自分に合った受け取り方を選ぶことで、税負担を抑えて効率的に老後資金を活用できます。

受け取り方は3種類｜一時金・年金・併給

iDeCoの受け取り方は、一時金・年金・併給の3種類から選択できます。一時金は積み立てた資産を一括で受け取る方法で、退職所得控除が適用されます。年金は5年以上20年以下の期間で分割して受け取る方法で、公的年金等控除の対象となります。

併給は一時金と年金を組み合わせる方法で、両方の控除を活用できるのが特徴です。たとえば資産の半分を一時金で受け取り、残りを年金で受け取るといった柔軟な選択が可能です。それぞれの受け取り方にメリット・デメリットがあるため、退職金の有無や公的年金の受給額などを考慮して選ぶ必要があります。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

受取開始年齢と通算加入者等期間の関係

iDeCoを受け取れる年齢は、通算加入者等期間によって決まります。通算加入者等期間とは、iDeCoに加入していた期間と企業型確定拠出年金の加入期間を合算したものです。10年以上加入していれば60歳から受け取れますが、10年未満の場合は受取開始年齢が61歳以降になります。

具体的には、8年以上10年未満なら61歳から、6年以上8年未満なら62歳から、4年以上6年未満なら63歳から、2年以上4年未満なら64歳から、1か月以上2年未満なら65歳から受け取り可能です。受け取りを開始する時期は自分で選べますが、遅くとも75歳までには受け取りを開始しなければなりません。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

75歳までに受け取らないとどうなる？

iDeCoは75歳までに受け取りを開始する必要があります。75歳の誕生日の前日までに請求手続きをしないと、自動的に一時金として支給される仕組みになっています。この場合、自分で受け取り方を選べないため、税制面で不利になる可能性があります。

たとえば年金で受け取った方が税負担が少ない場合でも、自動的に一時金で支給されてしまうと、退職所得控除を超えた部分に課税されることになります。また、受け取りを先延ばしにしている間も、運用は継続されますが、75歳を過ぎると新たな掛金の拠出はできません。計画的に受け取り時期を決めることが大切です。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

一時金で受け取る｜退職所得控除のしくみと注意点

一時金で受け取る場合、退職所得として課税されるため、退職所得控除が適用されます。退職所得控除は勤続年数（iDeCoの場合は加入期間）に応じて控除額が決まる仕組みで、長期間積み立てるほど控除額が大きくなります。ただし、会社からの退職金と受け取り時期が重なると、控除枠を分け合うことになるため注意が必要です。

退職所得控除の計算方法

退職所得控除の計算方法は、加入期間によって異なります。加入期間が20年以下の場合は「40万円×加入年数」、20年を超える場合は「800万円+70万円×（加入年数-20年）」で計算します。たとえば加入期間が15年なら600万円、30年なら1,500万円の控除が受けられます。

退職所得控除を超えた部分については、その2分の1が課税対象となります。たとえばiDeCoの資産が1,000万円で退職所得控除が800万円の場合、(1,000万円-800万円)÷2=100万円が課税対象です。この100万円に所得税・住民税が課税されます。

国税庁:退職金と税

5年ルール・20年ルールで気をつけたいこと

退職所得控除には「5年ルール」と「20年ルール」という重要な規定があります。5年ルールとは、過去5年以内に他の退職金を受け取っている場合、その退職金で使った控除額を差し引いた残りの控除額しか使えないというルールです。たとえば会社の退職金で退職所得控除を全額使っていた場合、iDeCoでは控除が受けられません。

20年ルールは、過去20年以内に確定拠出年金以外の退職金を受け取っている場合、その期間に対応する控除額が重複して使えないというルールです。これらのルールがあるため、会社の退職金とiDeCoの一時金を受け取るタイミングは慎重に調整する必要があります。一般的には、退職金を先に受け取り、5年以上経ってからiDeCoを一時金で受け取るのが有利とされています。

国税庁:退職金と税

退職金がある人はタイミングに注意

会社から退職金を受け取る予定がある人は、iDeCoの受け取りタイミングが非常に重要です。退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、退職所得控除を分け合うことになり、控除しきれない部分に課税されてしまいます。最も税負担を抑えられるのは、退職金を受け取ってから5年以上空けてiDeCoを一時金で受け取る方法です。

たとえば60歳で退職金を受け取った場合、65歳以降にiDeCoを受け取れば、それぞれの控除枠をフルに活用できます。ただし、iDeCoは75歳までに受け取る必要があるため、受け取り時期の選択肢は限られます。退職金の金額が大きい場合は、iDeCoを年金で受け取る方が有利になることもあるため、シミュレーションが欠かせません。

年金で受け取る｜公的年金等控除のしくみと注意点

年金で受け取る場合、雑所得として課税されるため、公的年金等控除が適用されます。公的年金等控除は、年齢と年金収入の金額によって控除額が決まる仕組みです。一時金と比べて控除額は小さくなりますが、毎年控除を受けられるため、長期間にわたって受け取る場合は有利になることがあります。

公的年金等控除の計算方法

公的年金等控除の金額は、年齢と年金収入によって異なります。65歳未満の場合、年金収入が60万円以下なら全額控除、60万円超130万円未満なら収入×25%+27.5万円、130万円以上410万円未満なら収入×75%-27.5万円が控除されます。65歳以上の場合は、110万円以下なら全額控除、110万円超330万円未満なら収入×25%+27.5万円、330万円以上410万円未満なら収入×75%-27.5万円です。

たとえば65歳以上で年金収入が200万円の場合、公的年金等控除額は200万円×25%+27.5万円=77.5万円となります。控除後の122.5万円が課税対象の雑所得となり、ここから基礎控除48万円を差し引いた74.5万円に所得税・住民税が課税されます。

国税庁:公的年金等の課税関係

受取期間は5年～20年で選べる

iDeCoを年金で受け取る場合、受取期間は5年以上20年以下の範囲で選択できます。受取期間が短いほど年間の受取額が多くなり、長いほど少なくなります。年間の受取額が多いと公的年金等控除を超えやすくなるため、課税額が増える可能性があります。

たとえば資産が1,000万円ある場合、5年で受け取ると年間200万円、10年なら年間100万円、20年なら年間50万円になります。公的年金と合わせた年金収入が控除額を超えないよう、受取期間を調整することが大切です。また、受取期間中も資産は運用され続けるため、運用成績によって受取総額が変動する点にも注意が必要です。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

年金受取で気をつけたい3つのこと

年金受取には3つの注意点があります。1つ目は、公的年金と合算して課税されることです。国民年金や厚生年金と合わせた年金収入の合計額に対して公的年金等控除が適用されるため、公的年金が多い人は課税額が増えやすくなります。

2つ目は、社会保険料への影響です。年金として受け取ると雑所得として扱われるため、国民健康保険料や介護保険料の算定基礎に含まれます。一時金なら社会保険料への影響は限定的ですが、年金受取では毎年保険料が増える可能性があります。

3つ目は、受取期間中の手数料です。金融機関によっては、年金受取のたびに給付手数料（1回あたり440円程度）がかかります。20年間毎年受け取ると、手数料だけで約9,000円になるため、受取期間を短くするか一時金との併給を検討するのも一つの方法です。

一時金と年金どちらがお得？｜税金の比較と選び方

一時金と年金のどちらが有利かは、退職金の有無や金額、公的年金の受給額、iDeCoの資産額によって異なります。ここでは具体的なケースごとにシミュレーションを行い、最適な受け取り方を検討します。自分の状況に近いケースを参考にして、受け取り方を選ぶ際の判断材料にしてください。

【ケース1】退職金なし・iDeCo500万円の場合

退職金がなく、iDeCoの資産が500万円、加入期間が20年のケースを考えます。一時金で受け取る場合、退職所得控除は40万円×20年=800万円となり、iDeCoの500万円は全額控除されるため、税金はかかりません。年金で10年間受け取る場合、年間50万円の受け取りとなり、公的年金と合算して課税されます。

このケースでは、退職所得控除の範囲内に収まるため、一時金で受け取る方が有利です。年金で受け取ると公的年金と合算されて課税されるため、手取り額が減少します。退職金がない人は、退職所得控除を最大限活用できるため、一時金での受け取りがおすすめです。

【ケース2】退職金1,500万円・iDeCo500万円の場合

会社から退職金1,500万円を受け取り、iDeCoの資産が500万円、加入期間が20年のケースです。退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、退職所得控除800万円を分け合うことになります。退職金が1,500万円なので控除を使い切り、iDeCoの500万円は全額課税対象となります。

このケースでは、退職金を受け取ってから5年以上空けてiDeCoを一時金で受け取るのが最も有利です。5年ルールをクリアすれば、iDeCoでも退職所得控除をフルに使えるため、税金がかかりません。同じ年に受け取ると大きく課税されるため、タイミング調整が重要です。

【ケース3】退職金3,000万円・iDeCo1,000万円の場合

会社から退職金3,000万円を受け取り、iDeCoの資産が1,000万円、加入期間が30年のケースです。退職所得控除は1,500万円ですが、退職金だけで控除を使い切るため、iDeCoを一時金で受け取ると全額課税されます。このような場合は、年金で受け取る方が有利になる可能性があります。

退職金が非常に多い場合は、iDeCoを年金で受け取る方が税負担を抑えられます。ただし、公的年金の受給額が多い場合は、併給で一部を一時金にする方が有利になることもあります。複数のパターンでシミュレーションを行い、最適な方法を選ぶことが大切です。

自分に合った受け取り方を選ぶポイント

最適な受け取り方を選ぶには、以下のポイントをチェックしましょう。まず、退職金の有無と金額を確認します。退職金がない、または少額の場合は一時金が有利です。退職金が多い場合は、5年ルールを活用するか、年金受取を検討します。

次に、公的年金の受給額を確認します。公的年金が多い場合、年金受取にすると合算されて課税額が増えるため、一時金や併給が有利になります。iDeCoの資産額も重要で、資産が多いほど控除額を超えやすくなるため、受け取り方の工夫が必要です。

最後に、社会保険料への影響も考慮します。年金受取は毎年の所得として扱われるため、国民健康保険料や介護保険料が増える可能性があります。一時金なら翌年の所得には影響しないため、社会保険料を抑えたい場合は一時金が有利です。これらの要素を総合的に判断して、自分に最適な受け取り方を選びましょう。

併給で受け取る｜一時金と年金を組み合わせる方法

併給は、一時金と年金の両方のメリットを活用できる受け取り方です。たとえば資産の一部を一時金で受け取って大きな支出に充て、残りを年金で受け取って安定した収入を確保するといった使い方ができます。税制面でも、退職所得控除と公的年金等控除の両方を活用できるため、柔軟な税負担の調整が可能です。

併給のメリットとデメリット

併給の最大のメリットは、2つの控除を同時に活用できることです。一時金部分には退職所得控除、年金部分には公的年金等控除が適用されるため、資産を分散して受け取ることで税負担を最適化できます。また、一時金でまとまった資金を確保しつつ、年金で継続的な収入を得られるため、ライフプランに合わせた柔軟な資金計画が立てられます。

デメリットは、手続きが複雑になることです。一時金と年金の両方の請求手続きが必要になり、金融機関によっては併給に対応していない場合もあります。また、年金部分については給付手数料が毎回かかるため、受取回数が多いと手数料負担が増えます。さらに、一時金と年金の最適な配分を決めるには、詳細なシミュレーションが必要になります。

併給を選ぶべき人はこんな人

併給が向いているのは、退職金が多く一時金だけでは控除を使い切れない人です。たとえば退職金で退職所得控除を使い切っている場合、iDeCoを全額一時金で受け取ると課税されますが、一部を年金にすることで税負担を分散できます。

また、公的年金の受給額が少ない人も併給が有利です。公的年金が少なければ、iDeCoの年金部分を加えても公的年金等控除の範囲内に収まりやすく、税負担を抑えられます。さらに、まとまった資金が必要な支出（住宅リフォーム、医療費など）がある一方で、継続的な収入も確保したい人にも適しています。

併給の具体的な受取例

iDeCoの資産が1,000万円ある場合の併給例を見てみましょう。たとえば500万円を一時金で受け取り、残り500万円を10年の年金で受け取るパターンです。一時金部分は退職所得控除が適用され、加入期間が30年なら1,500万円まで非課税です。年金部分は年間50万円となり、公的年金と合算して公的年金等控除が適用されます。

このように、一時金と年金の配分を変えることで税負担が変わります。退職金の金額や公的年金の受給額、今後の収入予定などを考慮して、最適な配分を決めることが重要です。金融機関や税理士に相談しながら、具体的なシミュレーションを行うことをおすすめします。

社会保険料への影響｜国民健康保険料と介護保険料

iDeCoの受け取り方は、税金だけでなく社会保険料にも影響します。特に会社を退職して国民健康保険に加入している人や、75歳未満で後期高齢者医療制度に移行していない人は、受け取り方によって保険料が大きく変わる可能性があります。社会保険料も含めた手取り額を考えることが、真の意味での最適化につながります。

一時金で受け取ると社会保険料はどうなる？

一時金で受け取る場合、退職所得として扱われるため、原則として社会保険料の算定基礎には含まれません。国民健康保険料や介護保険料は、前年の所得をもとに計算されますが、退職所得は分離課税のため、保険料の計算対象となる総所得金額には含まれないのが一般的です。

ただし、退職所得控除を超えた部分については課税されるため、その年の所得税・住民税は増加します。住民税が増えると、翌年の国民健康保険料に影響する可能性があります。また、自治体によっては独自の計算方法を採用している場合があるため、詳しくはお住まいの市区町村に確認することをおすすめします。

厚生労働省:国民健康保険制度

年金で受け取ると社会保険料はどうなる？

年金で受け取る場合、雑所得として扱われるため、国民健康保険料や介護保険料の算定基礎に含まれます。公的年金と合算した年金収入が増えると、保険料も増加します。特に国民健康保険料は所得に応じて大きく変動するため、年金受取による影響は無視できません。

たとえば年間100万円をiDeCoから年金として受け取る場合、公的年金と合わせた年金収入が増え、公的年金等控除を差し引いた後の雑所得が増加します。この雑所得が国民健康保険料の算定基礎となるため、年間数万円から十数万円の保険料増加につながることがあります。社会保険料の増加も考慮して、受け取り方を選ぶことが大切です。

厚生労働省:国民健康保険制度

社会保険料を抑える受け取り方のコツ

社会保険料を抑えるには、一時金での受け取りが基本的に有利です。一時金なら社会保険料への影響が限定的なため、手取り額を最大化できます。ただし、退職所得控除を超える部分が大きい場合は、併給で年金部分を少なくする方法も検討しましょう。

また、年金受取を選ぶ場合は、受取期間を長くして年間の受取額を抑えることで、社会保険料の増加を緩和できます。公的年金と合わせた年金収入が一定額を超えないよう調整することが重要です。さらに、75歳以降に後期高齢者医療制度に移行すると、保険料の計算方法が変わるため、受け取り時期の調整も一つの方法です。

2026年税制改正（10年ルール）への対応方法

2026年から、退職所得控除の計算に「10年ルール」が導入される予定です。これは、退職金とiDeCoの一時金を受け取る間隔が10年未満の場合、控除額が調整される仕組みです。現行の5年ルールよりも厳しくなるため、受け取り戦略の見直しが必要になります。

10年ルールとは？｜改正内容をわかりやすく解説

10年ルールとは、退職金を受け取ってから10年以内にiDeCoを一時金で受け取る場合、退職所得控除の計算方法が変わる制度です。現行の5年ルールでは、5年以上空ければそれぞれの控除をフルに使えますが、10年ルールでは10年以内だと控除額が調整されます。

具体的には、退職金とiDeCoの受け取り間隔が10年未満の場合、重複する加入期間に対応する控除額が減額されます。たとえば会社勤続30年で退職金を受け取り、8年後にiDeCo加入期間20年分を受け取る場合、重複する期間の控除が制限されるため、税負担が増える可能性があります。

金融庁:税制改正情報

改正後の受取戦略はどう変わる？

10年ルール導入後は、退職金とiDeCoの受け取り間隔を10年以上空けることが基本戦略になります。たとえば60歳で退職金を受け取った場合、iDeCoの受け取りは70歳以降にするのが理想です。ただし、iDeCoは75歳までに受け取る必要があるため、計画的なタイミング調整が重要になります。

また、退職金が多い場合は、iDeCoを年金で受け取る選択肢も有効です。10年ルールは一時金受取に適用されるため、年金受取なら影響を受けません。併給の場合も、一時金部分を少なくして年金部分を多くすることで、10年ルールの影響を緩和できます。改正後は、より柔軟な受け取り戦略が求められます。

今から準備できること

2026年の改正に向けて、今から準備できることがあります。まず、自分の退職金の見込み額を確認しましょう。会社の退職金規程を確認し、退職時にいくら受け取れるかを把握することが第一歩です。次に、iDeCoの加入期間と資産額を確認し、受け取り時期のシミュレーションを行います。

また、早めに金融機関や税理士に相談することをおすすめします。10年ルール導入後の最適な受け取り戦略は、個人の状況によって大きく異なります。専門家のアドバイスを受けながら、複数のパターンでシミュレーションを行い、自分に最適な計画を立てましょう。改正前に受け取りを完了させる選択肢も含めて、幅広く検討することが大切です。

iDeCoの受取手続きの流れ｜必要書類と注意点

iDeCoの受け取りには、事前の手続きが必要です。受け取り開始の3か月前から手続きができるため、余裕を持って準備を始めましょう。手続きの流れや必要書類を理解しておくことで、スムーズに受け取りを開始できます。

受取手続きの5つのステップ

iDeCoの受取手続きは、以下の5つのステップで進めます。

手続きには時間がかかるため、受け取りを希望する時期の3か月前には手続きを開始することをおすすめします。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

必要書類と提出先

iDeCoの受取手続きに必要な書類は、以下の通りです。

提出先は、iDeCoを運用している金融機関です。金融機関によっては、オンラインでの手続きに対応している場合もあります。書類の記入方法や提出方法について不明な点があれば、金融機関のコールセンターに問い合わせましょう。

国民年金基金連合会:iDeCo公式サイト

手続きでよくある失敗と対策

iDeCoの受取手続きでよくある失敗には、以下のようなものがあります。

これらの失敗を避けるために、早めに金融機関に連絡し、手続きの流れを確認することが大切です。不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。

よくある質問（Q&A）

まとめ

iDeCoの受け取り方には、一時金・年金・併給の3つの選択肢があり、それぞれ税制が異なります。一時金は退職所得控除が適用され、年金は公的年金等控除が適用されるため、退職金の有無や金額、公的年金の受給額によって最適な選択が変わります。

退職金がない人や少額の人は、退職所得控除を最大限活用できる一時金が有利です。退職金が多い人は、5年以上空けてiDeCoを受け取るか、年金受取を検討しましょう。2026年からは10年ルールが導入されるため、受け取り戦略の見直しが必要になります。

また、税金だけでなく社会保険料への影響も考慮することが大切です。年金受取は毎年の所得として扱われるため、国民健康保険料や介護保険料が増える可能性があります。一時金なら社会保険料への影響が限定的なため、手取り額を最大化できます。

受取手続きは3か月前から開始でき、75歳までに受け取る必要があります。手続きには時間がかかるため、計画的に進めましょう。受取方法は一度決めると変更できないため、複数のパターンでシミュレーションを行い、慎重に選ぶことが重要です。

なお、投資には元本割れのリスクがあります。税制は個人の状況により異なるため、詳しくは税理士等の専門家にご相談ください。最終的な受取方法の判断はご自身の責任で行ってください。最新情報は各金融機関・国民年金基金連合会にご確認ください。